有価証券報告書-第102期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/18 15:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
188項目
③戦略
(気候関連のリスク及び機会の識別)
当社グループの事業活動および見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連のリスクおよび機会を、移行リスクについては、低炭素社会への急速な移行が進展する1.5℃シナリオ、物理リスクについては気候変動対策が十分に進まない4℃シナリオを想定し、以下のとおり識別しています。
<主なリスク>
分類/シナリオリスク時間軸
(注1)
影響度
(注2)
移行
リスク
1.5℃燃費規制未達による罰金支払いや販売停止中期/長期
燃費規制強化等によるICE(内燃機関)新車販売台数減長期
炭素税・排出権取引(ETS)の導入による費用負担増中期/長期
物理的
リスク
4℃自然災害による資産損害およびサプライチェーンや生産拠点への操業影響長期

<主な機会>
シナリオ機会時間軸影響度
1.5℃電動製品の販売拡大長期
省エネルギー施策の導入や再生可能エネルギーの活用による事業運営コスト削減中期/長期
HEV等の低燃費車の販売拡大中期/長期
4℃災害時に非常用電源へ転用が可能な製品の需要増長期

(注) 1 当社グループは、戦略的意思決定に用いる計画期間との整合性を鑑みて、これらのリスクおよび機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸を以下のとおり定義しています。
短期:当連結会計年度末から1年以内(年度ごとの実行計画期間) 中期:短期終了後から2031年3月期まで(中期経営計画期間) 長期:中期終了後から2050年(カーボンニュートラルの実現に向けた基準年)
(注) 2 当社グループは、リスク及び機会の影響度として、財務的影響が算定可能なものは金額基準を、その他は定性的な閾値を適用し、評価を実施しています。
大:1,000億円以上または全社規模の影響 中:100億円以上1,000億円未満または複数地域にまたがる影響 小:25億円以上100億円未満または特定の地域内での影響
(ビジネスモデル及びバリューチェーンに与える影響)
<気候関連のリスク及び機会が集中している部分>当社グループの温室効果ガス排出量の大半は、製品使用時におけるCO2です。このため、気候関連の移行リスクのうち、燃費規制未達による罰金支払いや販売停止のリスクについては四輪事業に、また、燃費規制強化等によるICE新車販売台数減のリスクについては二輪事業および四輪事業に、気候関連のリスクおよび関連する機会が集中していると認識しています。
当社グループの温室効果ガス排出量の残りは、企業活動による直接排出および間接排出ならびに資源採掘・廃棄等に関わる排出です。これらの領域に、炭素税や排出権取引(ETS)の導入による費用負担増のリスクおよび関連する機会が集中しています。
また、当社グループは製造工程において水利用を伴う事業モデルであることから、自然災害に伴う水リスクを主な気候関連の物理的リスクとして認識しています。当社グループの完成車工場が所在する地域のうち、インド、タイ、ベトナムおよびメキシコについては洪水リスクが高く、物理的リスクが集中している地域であると認識しています。
<気候関連のリスク及び機会が現在・将来へ与える影響>当社グループは2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、影響度の大きい製品使用のCO2排出と、自社企業活動の責任領域である企業活動のCO2排出の削減をマイルストーンに設定し、優先的に推進しています。
自動車業界を取り巻く環境は日々激しく変化し、環境規制の変化や通商政策動向の変化など、事業環境の不透明さが増していますが、中長期的に燃費規制やZEV規制が強化された場合は、ICEの新車販売台数の減少や、規制未達による罰金等や販売停止のリスクが生じる可能性があります。
当社グループは地域ごとの市場環境、需要動向を見極めながら、EV、ハイブリッド車、カーボンニュートラル燃料、カーボンオフセット技術などを組み合わせた多角的なアプローチを加速させます。
また、自社の企業活動に伴うCO2排出については、今後導入が予想される炭素税・排出権取引(ETS)の導入により、税務負担など財務面での影響を受けるリスクがあります。
自社企業活動の責任領域である企業活動のCO2排出削減に対しては、①生産効率の向上と省エネルギー施策の実施、②生産設備の電化、③再生可能エネルギーの活用を3つの主な技術・ノウハウとして、自社の企業活動によるCO2排出削減を実施していきます。
加えて、自社の企業活動だけではなく、素材・部品調達から設計・開発・生産・輸送・販売・使用・廃棄段階に至るまでのライフサイクル全体を対象とし、グローバルに展開する多くのパートナーとともにCO2削減の施策に取り組んでいきます。
(戦略及び意思決定に与える影響)
<気候関連の移行リスク及び機会への対応>当社グループは、2050年のカーボンニュートラル実現にむけて、EVをはじめとする電動化を長期的な気候関連の機会として位置付けています。一方で、当社グループでは足元需要動向を見据えたパワートレーンポートフォリオの見直しを行い、当面は需要の高いハイブリッド車を主軸に環境対応を行うため、開発・生産リソースを再配分する意思決定を行っています。
これらの意思決定にあたっては、電動化によるCO2排出削減の加速と、市場環境との間で生じるトレードオフを考慮しています。
当社グループでは、地域ごとの市場環境や、需要動向を見極めながら、EV、ハイブリッド車、カーボンニュートラル燃料、カーボンオフセット技術などを組み合わせた多角的なアプローチを加速させます。EVについては、さらに競争力のあるEVハードウェアプラットフォームの導入や全固体電池の研究開発についても引き続き進めていきます。また、短中期的には内燃機関搭載製品の販売も継続する計画であることから、二輪・四輪・パワープロダクツ製品の環境性能向上にも継続的に取り組みます。
製品の電動化によってCO2排出削減は進みますが、各国・地域の再生可能エネルギーの普及・適用状況によっては、電動製品使用によるCO2排出が残ります。また、既存車も含めた内燃機関搭載製品に関しては、カーボンニュートラル燃料の普及へ対応していくことも必要と認識しています。
そのために当社グループは、製品使用段階におけるCO2排出削減に取り組むとともに、再生可能エネルギーの自社利用だけにとどまらず、エネルギーのクリーン化の促進に向けた渉外活動にも取り組んでいきます。当社グループは、お客様へのクリーンエネルギー供給に直接的に携わることも視野に入れながら、社会全体のクリーンエネルギー化の拡大に貢献していきます。
当社グループは、実質的なCO2排出ゼロに到達した生産拠点を「カーボンニュートラル工場」と定義し、企業活動のCO2削減の取り組みを進めています。四輪車の生産拠点である埼玉製作所完成車工場では①生産効率の向上と省エネルギー施策の実施、②生産設備の電化、③再生可能エネルギーの活用という3つの主な技術・ノウハウを適用することで、2026年3月期第4四半期より当社グループ初のカーボンニュートラル工場を実現し、操業しています。当社グループは、全世界の四輪生産拠点でカーボンニュートラル工場を実現することをめざし、取り組みを進めていきます。
2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画については、「(1)サステナビリティ関連財務開示 ③戦略」を、投入資源に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。
<事業別の主な対応計画・進捗>二輪事業では、2025年11月のEICMA(ミラノショー)で初の電動モーターサイクル「Honda WN7」を公開し、欧州市場への供給を開始しました。2026年1月には固定式バッテリー搭載の「Honda UC3」をタイとベトナムで発売しました。両国では固定式バッテリー搭載車用の二輪CHAdeMO充電ステーションを整備しながら、交換式バッテリーステーションの設置も進め、充電インフラの拡充を図ります。
四輪事業では、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、市場環境の変化に柔軟に対応しながら、電動製品の普及による確実なCO2削減を推進しています。
EV領域では、2025年9月に発売した「N-ONE e:」を皮切りに、2026年には「Super-ONE」を日本、英国、アジア各国で順次展開します。さらに、2027年にはグローバル戦略車「Honda 0 α」を日本やインドを中心に投入します。一方で、高効率なハイブリッド技術の活用も強化しています。2025年9月発売の「PRELUDE」に加え、独自に開発を進める次世代のハイブリッドシステム技術を応用し、特に北米市場で需要の高い中・大型車セグメントを中心に適用を拡大します。
<気候関連の物理的リスクと適応策>当社グループでは「AQUEDUCT」や「Water Risk Filter」などの評価指標に、浸水解析(CaMa-Flood(注))やハザードマップによる評価補正を行い、洪水などによる操業リスクを評価し、評価結果は、拠点ごとの対策検討や改善計画の立案に活用しています。
物理的リスクの高い地域にある各拠点では、事業への影響を軽減する措置として、拠点建設時の高低差確保、増水時における下水管等からの逆流防止策の実施に加え、内水氾濫防止に向けた排水能力の強化などの対策を実施しています。また、渇水や枯渇リスクについては、節水対策や、取水/排水規制が厳しい地域に対するリサイクル設備の導入等で対策をしています。これらの取り組みにより、拠点ごとの操業リスク軽減を図っています。
(注) CaMa-Flood:河川流量や氾濫を推定するための全球規模の氾濫解析モデル
(気候レジリエンス)
当社グループは、当連結会計年度における気候関連リスク評価プロセスの一環として、毎年気候関連のシナリオ分析を実施しています。当有価証券報告書に記載の内容は直近の報告期間に実施した分析結果に基づいています。
<シナリオ分析の概要>当社グループでは、気候変動が事業に与える影響を評価・考察するため、パリ協定の目標である「産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑える」ことを想定した政策移行の影響が大きいシナリオ(1.5℃シナリオ)および環境規制が強化されず物理リスクが高まるシナリオ(4℃シナリオ)を選択し、シナリオ分析を実施しています。
シナリオ分析では、対象範囲を当社グループの二輪・四輪・パワープロダクツ事業に加え、これら事業が活動する拠点とし、気候変動関連移行リスクと物理リスクならびに機会を検討のうえ、シナリオ下における中長期の財務的影響を可能な限り定量化しました。なお、影響度の定量化において、移行リスクは中期および長期、物理リスクは長期の時間軸を用いています。
各シナリオ下において想定される主要な仮定は以下のとおりです。
■ 1.5℃シナリオ
1.5℃シナリオでは、IEA(国際エネルギー機関)の「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」およびIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のAR6「SSP1-1.9」の報告内容を参考にしました。本シナリオでは、長期的には世界全体で2050年カーボンニュートラルに向けた施策が推進され、新技術の開発や利用の促進により脱炭素製品が広く普及することや、再生可能エネルギーの利用が拡大することが想定されます。EV普及の前提となる各地域での環境規制の変化などによるEV市場拡大スピードの鈍化や通商政策動向の変化など、事業環境の不透明さが増していますが、長期的には燃費・ZEV規制が強化され、先進国を中心にEVやFCEVの需要が増加すると想定されます。
■ 4℃シナリオ
4℃シナリオはIPCCのAR6「SSP3-7.0」を参考にしました。本シナリオでは、温室効果ガス排出が高水準で継続することにより気温上昇が進行し、その結果、台風や洪水等の極端な気象現象の頻発化・激甚化、降雨パターンの変化や海面上昇など、物理的リスクの顕在化が進展することが想定されます。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。