有価証券報告書-第157期(2022/04/01-2023/03/31)
②指標及び目標
a. コンプライアンス
・2016年に犯した燃費不正にかかる法令違反、並びに2019年の完成検査不正の問題によりお客様へ多大なご迷惑をおかけしました。その事実を決して忘れることなく後世へと伝え、毎年5月18日を全従業員が改めて自部門に関わる法令を総点検し、その遵守を再認識する日としました。2017年に技術部門より開始し2018年以降は社内の全ての部門で自分達に関連する法令の棚卸しと総点検する活動を実施しています。
b. エンゲージメント(職場コミュニケーション)
・2021年より、社長自らが社内全職場(本部・工場・拠点)現場に足を運び、全社員を対象に意見交換会(2022年:41職場)を実施しています。社長自らが従業員に直接思いを伝え、また従業員は日々の困りごとを打ち上げ、諸問題を共有し、協力一致して解決に取り組んでいます。特に若手から中堅の従業員にとっては、自分の思いを、自分の言葉で直接社長まで届けることができる機会となり、また社長のみならず経営陣は現場のこうした声に耳を傾け、柔軟かつ素早く改善に取り組んでいます。
・2023年度より各本部の業務計画は達成のために必要工数を可視化し、各個人レベルまで落とし込み割付けることで業務遂行を通じた人材育成と工数のバランスをとる様にしました。これまでは、業務量と工数(人数×能力)のバランスを一部欠いた計画があり、その結果、従業員の育成につながるどころか、過度な業務量に追われることが仕事の質の低下につながり、結果として仕事の手戻りが多く発生、計画の修正や遅れを生み、疲弊してしまったという反省があります。一人ひとりが成長実感を得られるように、上司と部下が日々コミュニケーションを密にしながら業務のPDCAサイクルを回しています。
c. 多様性
・多様な人材を確保するべく新卒採用に加え、近年はキャリア採用に注力しています。2022年度の実績105名(前年度比244%(43名))となっており、2023年度は既に84名(4月末時点)と、スピード感をもって、社外の力を獲得しています。また、一部社内に全くない知見・経験をもった人材の方を対象に、既存の人事制度の枠にとらわれない雇用形態を新設し、2023年6月より導入しています。
・次世代技術開発に向けたデジタル人材の採用に注力しています。2018年よりインド工科大学の卒業生を直接採用(2023年4月時点10名)しており、当社が得意とするインド市場において、Maruti Suzuki India Limitedとともに更なる競争力の向上に取り組んでいます。
・これまで以上に女性が活躍できる会社となるよう、2015年からは女性の新卒採用者数の増加、2020年からは係長以上の女性役職者数を2025年に2015年度比3倍とする計画を掲げ、管理職候補者である女性役職者数の増加に取り組んでいます。その効果もあり、2022年度の女性役職者は2015年度比で2.94倍の156名まで増加しました。
一方で、女性管理職数は2022年度時点で21名(女性比率1.6%)となっています。役職、職系、性別に係わらず、全ての従業員に対して能力に応じて仕事を任せ、処遇できているか人事制度の再点検を進めています。当社は一般・役職者・管理職など各役職における男女比率がいずれも近似であることが公平性の観点から合理的であると考えます。全従業員に占める女性比率(2022年度は12.4%)を、達成すべき管理職の女性比率の将来目標とし、2025年度目標を2.0%として、人事制度改革や環境整備、人材育成に取り組んでまいります。
また、自動車産業の女性比率が低いことも課題と捉え、生産工場をはじめとする社内の全ての職場が、性別、年齢、障がいの有無などを問わず、全ての人にとって働き易いものとなるよう、生産技術の革新による根本的な作業環境の改善等、働きやすさの実現にも取り組んでまいります。
なお、「(2)人的資本に関する取り組み ①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理ととともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記の指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。
・また、仕事と子育ての両立ができるよう、短時間勤務制度の条件を緩和しました。これまでは小学校3年生までの子供を養育する従業員を対象としておりましたが、2023年より小学校6年生までに拡充しました。また、次世代育成支援対策推進法に基づき、仕事と子育ての両立に関する幾つかの要件を満たした「子育てサポート企業」として、2022年当社は厚生労働大臣の認定である(くるみん認定)を取得しています。
・60歳以上の従業員は5.9%(2023年3月時点)おりますが、こうした方々の過去の経験や知見を活かし、ご自身の体力・健康を配慮しながら、活き活きと活躍できるよう、管理職の再雇用制度を改定しました。職務内容が60歳以降も同等レベルであれば、定年前と同じ処遇に改善しています。今後は組合員まで広げることで、役職を問わず経験豊富な人材の活躍を促してまいります。
d. 人材育成
・業務遂行において表面的な原因分析と拙速な対処が散見され、業務の手戻りやムダな作業が発生しており、工数不足に拍車をかけていました。問題の真因特定とその解決力を向上させ、従業員一人ひとりの課題解決能力向上を図るべく、2021年6月より全社共通の問題解決手法の導入を開始しました。プロジェクトチームで同手法の展開と浸透・定着を図っており、2022年度からは全社研修においても取り入れております。
・当社本来の「困難に立ち向かい自ら切り開く起業家精神」に立ち返り、視野・知見を広げ、従業員一人ひとりが社外へのアンテナを高めることを目的に、若手人材のスタートアップ企業への派遣を開始しました。国内では、2020年より株式会社エムスクエアラボへ、また2022年8月より株式会社SkyDriveへは、『空飛ぶ車』を、四輪・二輪・マリンに次ぐ新たなモビリティ事業の一つとするために、種をまき、育成することを目的に派遣しています。海外では、デジタル化が急速に進んでいるインドに、2022年11月よりSIC(スズキ・イノベーション・センター)を通じて社内各本部の若手を派遣し、人々の日常にある課題解決を目指し、インド工科大学の学生と当社従業員とがアイディアを出し合いITプロダクトを開発、社会貢献に繋げるイノベーション創出活動を開始しています。
・CASE対応を始めとする新分野については主に日本で取り組み、一方の既存領域についてはインドに移管を進めています。これまで以上にインド人の教育を進めるためにも、Maruti Suzuki India Limitedを始めとする現地インド人材と日本人材が混然一体となって業務に取り組むことで、インドの開発能力を向上させスズキ全体の競争力も向上させています。
・2017年9月よりシリコンバレーにて、問題解決手法『デザイン思考』を学び、失敗を恐れず挑戦する“ベンチャー精神”の体得を目的で派遣を開始しました。当社の社是の精神である『お客様のために』を体現している現地スタートアップ企業から学ぶべく、これまでに16回、延べ173名をシリコンバレーへ派遣、コロナ感染拡大以降はオンラインにより更に10回、延べ103名に対し研修を実施しました。社長自らも参加するなど、役員から若手に至る多様な役職・階層が研修に参加し、研修の後現地で学んだデザイン思考や、失敗を恐れず挑戦するマインドセットを日々の業務や新規プロジェクト、人材育成に活かしています。
・デジタルを活用して課題を発掘・解決する動きが急激に加速しており、当社においてデジタルに関する様々な取組み・意思決定が急増していることから、役員・本部長をはじめ全社員に、デジタルの目的・リテラシー・知識・スキルを具備できるように取り組んでいます。
<デジタル教育の主な取組み>(1)経営層自らが意識ではなく行動を変える(例:紙資料からデジタル資料へ)
(2)SimpleWork!というスローガンでのデジタルを活用した間接業務50%削減
(3)データドリブン経営を目指し基幹業務システムの刷新(ERP導入)
(4)データ活用を促進するための全社教育の実施
(5)あらゆる顧客接点で当社とお客様とつながり、お客様のニーズにこたえる
(6)デジタル化対応のスピード向上のために、社内でデジタル化内製人材の育成・配属
a. コンプライアンス
・2016年に犯した燃費不正にかかる法令違反、並びに2019年の完成検査不正の問題によりお客様へ多大なご迷惑をおかけしました。その事実を決して忘れることなく後世へと伝え、毎年5月18日を全従業員が改めて自部門に関わる法令を総点検し、その遵守を再認識する日としました。2017年に技術部門より開始し2018年以降は社内の全ての部門で自分達に関連する法令の棚卸しと総点検する活動を実施しています。
b. エンゲージメント(職場コミュニケーション)
・2021年より、社長自らが社内全職場(本部・工場・拠点)現場に足を運び、全社員を対象に意見交換会(2022年:41職場)を実施しています。社長自らが従業員に直接思いを伝え、また従業員は日々の困りごとを打ち上げ、諸問題を共有し、協力一致して解決に取り組んでいます。特に若手から中堅の従業員にとっては、自分の思いを、自分の言葉で直接社長まで届けることができる機会となり、また社長のみならず経営陣は現場のこうした声に耳を傾け、柔軟かつ素早く改善に取り組んでいます。
・2023年度より各本部の業務計画は達成のために必要工数を可視化し、各個人レベルまで落とし込み割付けることで業務遂行を通じた人材育成と工数のバランスをとる様にしました。これまでは、業務量と工数(人数×能力)のバランスを一部欠いた計画があり、その結果、従業員の育成につながるどころか、過度な業務量に追われることが仕事の質の低下につながり、結果として仕事の手戻りが多く発生、計画の修正や遅れを生み、疲弊してしまったという反省があります。一人ひとりが成長実感を得られるように、上司と部下が日々コミュニケーションを密にしながら業務のPDCAサイクルを回しています。
c. 多様性
・多様な人材を確保するべく新卒採用に加え、近年はキャリア採用に注力しています。2022年度の実績105名(前年度比244%(43名))となっており、2023年度は既に84名(4月末時点)と、スピード感をもって、社外の力を獲得しています。また、一部社内に全くない知見・経験をもった人材の方を対象に、既存の人事制度の枠にとらわれない雇用形態を新設し、2023年6月より導入しています。
・次世代技術開発に向けたデジタル人材の採用に注力しています。2018年よりインド工科大学の卒業生を直接採用(2023年4月時点10名)しており、当社が得意とするインド市場において、Maruti Suzuki India Limitedとともに更なる競争力の向上に取り組んでいます。
・これまで以上に女性が活躍できる会社となるよう、2015年からは女性の新卒採用者数の増加、2020年からは係長以上の女性役職者数を2025年に2015年度比3倍とする計画を掲げ、管理職候補者である女性役職者数の増加に取り組んでいます。その効果もあり、2022年度の女性役職者は2015年度比で2.94倍の156名まで増加しました。
一方で、女性管理職数は2022年度時点で21名(女性比率1.6%)となっています。役職、職系、性別に係わらず、全ての従業員に対して能力に応じて仕事を任せ、処遇できているか人事制度の再点検を進めています。当社は一般・役職者・管理職など各役職における男女比率がいずれも近似であることが公平性の観点から合理的であると考えます。全従業員に占める女性比率(2022年度は12.4%)を、達成すべき管理職の女性比率の将来目標とし、2025年度目標を2.0%として、人事制度改革や環境整備、人材育成に取り組んでまいります。
また、自動車産業の女性比率が低いことも課題と捉え、生産工場をはじめとする社内の全ての職場が、性別、年齢、障がいの有無などを問わず、全ての人にとって働き易いものとなるよう、生産技術の革新による根本的な作業環境の改善等、働きやすさの実現にも取り組んでまいります。
なお、「(2)人的資本に関する取り組み ①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理ととともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記の指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。
・また、仕事と子育ての両立ができるよう、短時間勤務制度の条件を緩和しました。これまでは小学校3年生までの子供を養育する従業員を対象としておりましたが、2023年より小学校6年生までに拡充しました。また、次世代育成支援対策推進法に基づき、仕事と子育ての両立に関する幾つかの要件を満たした「子育てサポート企業」として、2022年当社は厚生労働大臣の認定である(くるみん認定)を取得しています。
・60歳以上の従業員は5.9%(2023年3月時点)おりますが、こうした方々の過去の経験や知見を活かし、ご自身の体力・健康を配慮しながら、活き活きと活躍できるよう、管理職の再雇用制度を改定しました。職務内容が60歳以降も同等レベルであれば、定年前と同じ処遇に改善しています。今後は組合員まで広げることで、役職を問わず経験豊富な人材の活躍を促してまいります。
d. 人材育成
・業務遂行において表面的な原因分析と拙速な対処が散見され、業務の手戻りやムダな作業が発生しており、工数不足に拍車をかけていました。問題の真因特定とその解決力を向上させ、従業員一人ひとりの課題解決能力向上を図るべく、2021年6月より全社共通の問題解決手法の導入を開始しました。プロジェクトチームで同手法の展開と浸透・定着を図っており、2022年度からは全社研修においても取り入れております。
・当社本来の「困難に立ち向かい自ら切り開く起業家精神」に立ち返り、視野・知見を広げ、従業員一人ひとりが社外へのアンテナを高めることを目的に、若手人材のスタートアップ企業への派遣を開始しました。国内では、2020年より株式会社エムスクエアラボへ、また2022年8月より株式会社SkyDriveへは、『空飛ぶ車』を、四輪・二輪・マリンに次ぐ新たなモビリティ事業の一つとするために、種をまき、育成することを目的に派遣しています。海外では、デジタル化が急速に進んでいるインドに、2022年11月よりSIC(スズキ・イノベーション・センター)を通じて社内各本部の若手を派遣し、人々の日常にある課題解決を目指し、インド工科大学の学生と当社従業員とがアイディアを出し合いITプロダクトを開発、社会貢献に繋げるイノベーション創出活動を開始しています。
・CASE対応を始めとする新分野については主に日本で取り組み、一方の既存領域についてはインドに移管を進めています。これまで以上にインド人の教育を進めるためにも、Maruti Suzuki India Limitedを始めとする現地インド人材と日本人材が混然一体となって業務に取り組むことで、インドの開発能力を向上させスズキ全体の競争力も向上させています。
・2017年9月よりシリコンバレーにて、問題解決手法『デザイン思考』を学び、失敗を恐れず挑戦する“ベンチャー精神”の体得を目的で派遣を開始しました。当社の社是の精神である『お客様のために』を体現している現地スタートアップ企業から学ぶべく、これまでに16回、延べ173名をシリコンバレーへ派遣、コロナ感染拡大以降はオンラインにより更に10回、延べ103名に対し研修を実施しました。社長自らも参加するなど、役員から若手に至る多様な役職・階層が研修に参加し、研修の後現地で学んだデザイン思考や、失敗を恐れず挑戦するマインドセットを日々の業務や新規プロジェクト、人材育成に活かしています。
・デジタルを活用して課題を発掘・解決する動きが急激に加速しており、当社においてデジタルに関する様々な取組み・意思決定が急増していることから、役員・本部長をはじめ全社員に、デジタルの目的・リテラシー・知識・スキルを具備できるように取り組んでいます。
<デジタル教育の主な取組み>(1)経営層自らが意識ではなく行動を変える(例:紙資料からデジタル資料へ)
(2)SimpleWork!というスローガンでのデジタルを活用した間接業務50%削減
(3)データドリブン経営を目指し基幹業務システムの刷新(ERP導入)
(4)データ活用を促進するための全社教育の実施
(5)あらゆる顧客接点で当社とお客様とつながり、お客様のニーズにこたえる
(6)デジタル化対応のスピード向上のために、社内でデジタル化内製人材の育成・配属