有価証券報告書-第74期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/24 16:47
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138項目
3.重要性がある会計方針
以下に記載されている会計方針は、他の記載がない限り、連結財務諸表に記載されているすべての期間において、継続的に適用されております。
(1)連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループが支配しているすべての企業であります。当社グループが、企業への関与による変動リターンにさらされている、又は変動リターンに対する権利を有している場合で、その企業に対するパワーを通じてこれらの変動リターンに影響を与えることができる場合には、当社グループはその企業を支配していると判断しております。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めております。
子会社の会計方針が、当社グループが採用している会計方針と異なる場合には、当該子会社の財務諸表に調整を行っております。
当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表作成に際して消去しております。
支配を喪失しない子会社に対する持分の変動は、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額と支払対価又は受取対価の公正価値との差額を資本に直接認識し、親会社の所有者に帰属させております。
子会社の支配を喪失する場合、処分損益は受取対価の公正価値及び残存持分の公正価値の合計と子会社の資産(のれんを含む)、負債及び非支配持分の支配喪失時の帳簿価額との差額として算定し、純損益で認識しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して、重要な影響力を有しているものの、支配していない企業であります。
関連会社に対する投資は持分法で会計処理を行っております。取得時に取得原価で認識し、その後、重要な影響力を有した日から喪失する日まで、関連会社の純損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分を認識し、投資額を修正しております。
関連会社との取引から発生した未実現損益は、当社グループの持分を上限として投資額に加減算しております。
関連会社の会計方針が、当社グループが採用している会計方針と異なる場合には、当該関連会社の財務諸表に調整を行っております。
(2)企業結合
企業結合は取得法によって会計処理しております。
取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、被取得企業の旧所有者に対する負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定しております。企業結合に関連して発生する取引費用は、発生時に費用処理しております。
企業結合において取得した識別可能な資産及び負債は、公正価値で測定されない資産・負債(繰延税金負債、繰延税金資産、被取得企業の株式に基づく報酬契約、売却目的に分類される資産等)を除いて、取得日の公正価値で測定しております。当社グループは非支配持分を、公正価値で測定するか又は被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分の比例割合で測定するかについて、個々の取引ごとに選択しております。
取得対価が、識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合、その超過額をのれんとして計上しております。反対に下回る場合には、差額を純損益として認識しております。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
(3)セグメント別報告
事業セグメントとは、他の事業セグメントとの取引を含む、収益を稼得し費用を発生させる事業活動の構成単位であります。
事業セグメントは、最高経営意思決定者に提出される内部報告と整合した方法で報告されております。最高経営意思決定者は、事業セグメントの資源配分及び業績評価について責任を負っております。当社グループでは戦略的意思決定を行う取締役会が最高経営意思決定者と位置付けられております。
(4)外貨換算
① 外貨建取引の換算
当社グループの各社の財務諸表は、その企業の機能通貨で作成しております。機能通貨以外の通貨(外貨)での取引については、取引日の為替レートで換算しております。
外貨建貨幣性項目は、連結会計年度末の為替レートで機能通貨に換算しています。外貨建非貨幣性項目は、取得原価で測定するものは取引日の為替レートで、公正価値で測定するものは当該公正価値の算定日の為替レートで機能通貨に換算しております。
換算又は決済により生じる為替換算差額は、純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産から生じる為替換算差額は、その他の包括利益として認識する方針としております。
② 在外営業活動体の換算
在外営業活動体の資産及び負債は、連結会計年度末の為替レートで日本円に換算しております。収益及び費用は、期中平均為替レートで日本円に換算しております。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体を処分した場合には、その累積換算差額は処分した期間の純損益として認識しております。
(5)金融商品
① 金融資産(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、金融商品の契約の当事者となった取引日に金融資産を認識しております。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、公正価値に当該金融資産に直接帰属する取引費用を加算した額で当初測定しております。
(ⅱ)分類
(a)負債性金融資産
償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産を保有している。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルに基づいて、資産を保有している。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記のいずれにも分類されないものについて、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
ただし、会計上のミスマッチを解消又は大幅に削減するために、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産以外の金融資産に対し、当初認識時に、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定する場合があります。
(b)資本性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識時に、公正価値の変動をその他の包括利益を通じて認識すると指定したものについては、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(ⅲ)事後測定
償却原価で測定する金融資産は、実効金利法により測定しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、公正価値で測定し、その変動額を純損益として認識しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、公正価値で測定し、その変動額をその他の包括利益として認識しております。
また、認識を中止した場合、その他の包括利益として認識していた累積損益について、負債性金融資産は純損益に、資本性金融資産は利益剰余金に振替えております。
なお、配当金については、純損益で認識しております。
(ⅳ)金融資産の減損
当社グループは、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産及び償却原価で測定する金融資産に係る予想信用損失を、貸倒引当金として認識する方針としております。
貸倒引当金は、報告日後12ヵ月以内に生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)と同額で測定しております。ただし、当社グループが、金融資産に関する信用リスクが当初認識以降に著しく増大していると判断した場合には、貸倒引当金は、金融商品の予想存続期間にわたるすべての生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)と同額で測定することとしております。なお、信用リスクが著しく増大しているかどうかについては、金融資産の債務不履行リスクの変動に基づいて判断しております。
上記にかかわらず、重大な金融要素を含んでいない営業債権及びリース債権に係る貸倒引当金については、全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
(ⅴ)認識の中止
金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る権利が消滅したか、あるいは当該金融資産が譲渡され、当社グループが所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転した時に金融資産の認識を中止しております。
② 金融負債(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、金融商品の契約の当事者となった取引日に金融負債を認識しております。
すべての金融負債は当初認識時に公正価値で測定していますが、償却原価で測定する金融負債については、公正価値から直接帰属する取引費用を控除した額で測定しております。
(ⅱ)分類
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
会計上のミスマッチを解消又は大幅に削減するために、当初認識時に、純損益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。
償却原価で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債以外の金融負債については、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
(ⅲ)事後測定
償却原価で測定する金融負債は、実効金利法により測定しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、公正価値で測定し、その変動額を純損益として認識しております。
(ⅳ)認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消又は失効した場合に認識を中止しております。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、金利及び為替の変動リスクを軽減するために、通貨スワップ、為替予約等のデリバティブを利用しております。これらのデリバティブは、契約締結時点の公正価値で当初測定し、その後も各報告期間末の公正価値で再測定しております。
上記デリバティブについて、ヘッジ会計の適用となるものはありません。
④ 金融資産及び金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識された金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、かつ純額ベースで決済するか又は資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ、相殺し、連結財政状態計算書において純額で表示する方針としております。
(6)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっております。
(7)棚卸資産
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定しております。棚卸資産は、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のすべてのコストを含んでおり、原価の算定にあたっては、主として移動平均法を使用しております。また、正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成に要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除して算定しております。
(8)有形固定資産
有形固定資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で計上しております。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、解体・除去及び土地の原状回復費用、及び資産計上すべき借入費用を含めております。
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。
主な資産の種類別の耐用年数は以下のとおりであります。
・建物及び構築物 10-30年
・機械装置及び運搬具 7-20年
・工具、器具及び備品 4-7年
見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合には会計上の見積変更として将来に向かって適用しております。
(9)のれん及び無形資産
① のれん
のれんは償却を行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの帳簿価額は取得原価から減損損失累計額を控除した額で表示しております。のれんの減損損失は純損益として認識し、戻し入れは行っておりません。
② 耐用年数を確定できない無形資産
耐用年数を確定できない個別に取得した無形資産は、償却を行わず減損テストの上、取得原価から減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。減損テストは、毎年、又は、減損の兆候が存在する場合はその都度、個別に又は各資金生成単位で実施しています。
③ その他の無形資産
その他の無形資産の当初認識後の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で計上しております。
(ⅰ)個別に取得した無形資産及び企業結合で取得した無形資産
個別に取得した無形資産は当初認識時に取得原価で測定しております。企業結合で取得した無形資産は、のれんとは区分して認識し、取得日の公正価値で測定しております。
(ⅱ)自己創設無形資産
開発活動(又は内部プロジェクトの開発段階)で発生した費用は、以下のすべてを立証できる場合に限り、資産計上しております。
(a)使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
(b)無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
(c)無形資産を使用又は売却できる能力
(d)無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法
(e)無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
(f)開発期間中に無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
上記の資産計上の要件を満たさない開発費用及び研究活動に関する支出は、発生時に純損益として認識しております。
(ⅲ)償却
耐用年数を確定できる無形資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。
主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
① 個別に取得した無形資産
・ソフトウエア3-5年
見積耐用年数及び償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合には会計上の見積変更として将来に向かって適用しております。
(10)リース
当社グループでは、契約の開始時に、契約がリースまたはリースを含んだものであるかを契約の実質に基づき判断しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転 する場合には、当該契約はリースであるかまたはリースを含んでいると判断しております。
リース期間が12ヵ月以内に終了する短期リースに係るリース取引を除くすべての借手としてのリース取引に対して、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識しております。
短期リースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、リース料総額をリース期間にわたり定額法により純損益に認識しております。
使用権資産は、取得原価で当初測定しております。この取得原価は、リース負債の当初測定額に、当初直接コスト、前払リース料等を調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務等のコストを加えた額で測定しております。使用権資産は、見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたって定額法により減価償却しております。使用権資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で、連結財政状態計算書上、有形固定資産に含めて表示しております。リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率又は計算利子率を容易に算定できない場合には当社グループの追加借入利子率で割り引いた現在価値で当初測定しております。リース負債は連結財政状態計算書上、その他の金融負債に含めて表示しております。
貸手としてのファイナンスリース取引におけるリース債権は、対象リース取引の正味リース投資未回収額を資産計上しております。
(11)借入コスト
当社グループは、意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産、つまり適格資産の取得、建設又は生産に直接起因する借入コストは、その資産が実質的に意図した使用又は販売を可能にする時まで、それらの資産の取得原価に加算しております。
上記以外のすべての借入コストは、発生した期間に純損益に認識しております。
(12)非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産について、報告期間の末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しております。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産並びに未だ使用可能でない無形資産については、毎年、又は、減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。なお、のれんは、減損テスト実施のために、企業結合からの便益を得ることが期待される個々の資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。
回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。個々の資産について回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しております。
のれん以外の資産の資金生成単位については、他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。のれんの資金生成単位は、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定し、集約前の事業セグメントの範囲内としております。全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しております。
資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、純損益として減損損失を認識しております。
過去に認識したのれん以外の資産の減損損失は、報告期間の末日ごとに、損失の減少又は消滅を示す兆候(減損の戻入れの兆候)の有無を判断しております。減損の戻入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻し入れております。減損損失は、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を上限として戻し入れております。のれんに関連する減損損失は戻し入れしておりません。
(13)売却目的で保有する非流動資産
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産及び資産グループのうち、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能で、当社グループの経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産及び処分グループとして分類し、非流動資産は減価償却又は償却は行わず、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定することとしております。
(14)引当金
過去の事象の結果として、現在の法的義務又は推定的義務が存在し、当社グループが当該義務の決済をするために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、その義務の金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、引当金を認識しております。
貨幣の時間価値の影響に重要性がある場合には、見積られた将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値と当該負債に固有のリスクについての現在の市場の評価を反映した税引前の割引率で割り引いた現在価値で測定しております。時の経過に伴う割引額の割戻しは、純損益として認識しております。
主な引当金の計上方法は以下のとおりであります。
・製品保証引当金
将来のクレームに対する費用として、過去の実績等を基礎にして製品保証費用、経済的便益の流出時期を見積り、認識しております。
なお、当社グループでは、その大部分が発生から1年以内に決済されると予測しておりますが、製品回収等に時間がかかる等の理由により、決済が数年にわたって行われる場合も一部想定されます。決済が数年にわたって行われることが明らかである場合には、上記予測を適切に修正することとしております。
(15)従業員給付
① 退職後給付
ⅰ)確定給付型制度
当社グループでは、確定給付型の退職年金及び退職一時金制度を設けております。
確定給付型制度は、確定拠出型制度(下記ⅱ)参照)以外の退職後給付制度であります。
確定給付型制度に関連する債務の現在価値は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当連結会計年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割り引くことによって算定しております。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っております。
連結財政状態計算書で認識されている負債(資産)の額は、確定給付制度の債務の現在価値から制度資産の公正価値を差し引いた金額に対して、利用可能な経済的便益を検討の上、必要に応じて資産上限額に関する調整を行うことにより測定しております。
割引率は、当社グループの確定給付制度債務と概ね同じ期間を有する信用格付AAの社債の、期末日の利回りを使用しております。
確定給付負債(資産)の純額に係る利息費用については、金融費用として純損益に認識しております。制度の改訂による従業員の過去の勤務に係る確定給付制度債務の増減は、発生時に純損益として認識しております。
当社グループは、確定給付型制度の給付債務及び制度資産の再測定による負債(資産)の増減を、その他の包括利益で認識し、累積額は直ちに利益剰余金に振り替えております。
ⅱ)確定拠出型制度
確定拠出型制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的義務又は推定的義務を負わない退職後給付制度であります。確定拠出型制度については、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識しております。
② 短期従業員給付
有給休暇に関する債務等の短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。
(16)収益
当社グループは、手動変速装置、自動変速装置及びその他の事業を行っており、いずれの事業においても、これらの製品の販売については、完成した製品を顧客に納入することを履行義務と識別しております。原則として顧客、あるいは顧客が手配した輸送業者に製品を引き渡した時点で当該製品に対する支配が顧客に移転し、履行義務が充足されると判断していることから、当該時点で収益を認識しております。
なお、収益は顧客との契約で約束された対価から、値引き、リベート及び返品などを控除した金額で測定しております。
顧客への納品後、1年以内に支払いを受けているため、約束した対価の金額に重要な金融要素は含まれておりません。
製品保証については、販売時に存在していた欠陥を修理する以上のサービスを提供する等のサービス型の製品保証を提供していないため、製品保証を独立した履行義務として区分せず、取引価格の一部を製品保証に配分しておりません。
また、顧客との契約から受け取る対価の額に、取引価格に含まれていない重要な変動対価の額等はありません。
(17)政府補助金
補助金交付のための条件を満たし、補助金を受領することに合理的な保証がある場合は、補助金収入を公正価値で測定し、認識しております。資産の取得に対する補助金は、繰延収益として計上し、資産の耐用年数にわたって、規則的に収益として認識しております。発生した費用に対する補助金は、繰延収益として計上し、費用の発生と同じ連結会計年度に収益として認識しております。
(18)法人所得税
法人所得税費用は、当期法人所得税費用と繰延法人所得税費用から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しております。
当期法人所得税費用は、連結会計年度末時点において制定又は実質的に制定されている税率を使用して、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で算定しております。
繰延法人所得税費用は、連結会計年度末における会計上の資産及び負債の帳簿価額と、関連する税務基準額との差額により生じる一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除に対して、それらを回収できる課税所得が生じる可能性が高い範囲で認識し、繰延税金負債は、原則として将来加算一時差異について認識しております。なお、繰延税金資産は毎期見直しを行い、税務便益の実現が見込めないと判断される部分については減額しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識により生じる将来加算一時差異
・取得時に会計上の利益にも税務上の課税所得(税務上の欠損金)にも影響を与えない取引(企業結合取引を除く)によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異について、当該一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得が稼得される可能性が高くない場合、又は予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合
繰延税金資産及び負債は、連結会計年度末において制定、又は実質的に制定されている税率に基づいて、資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率によって測定しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しております。
(19)株式に基づく報酬
当社グループは、従業員に対するインセンティブ制度として、持分決済型の株式付与ESOP信託を導入しており、同信託が有する当社株式は自己株式として認識しております。また、常勤の取締役及び執行役員(海外駐在者を除く)に対して、持分決済型の譲渡制限付株式報酬制度を、海外駐在の執行役員に対しては、会社株式の株価に連動した金銭報酬を給付する制度を導入しています。
持分決済型の株式報酬に該当するものについては、受領した役務および対応する資本の増加を付与日における(資本性金融商品の)公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用として計上したうえで、同額を資本の増加として認識しております。付与日における公正価値は、株式の市場価格を予想配当利回りを考慮に入れて修正し、算定しております。
また、現金決済型の株式報酬に該当するものについては、受領した役務および発生した負債を、当該負債の公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用として計上したうえで、同額を負債の増加として認識しております。また当該負債の公正価値は決算日および決済日に再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
(20)資本
普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を「資本金」及び「資本剰余金」に計上し、直接発行費用は税効果を考慮した上で「資本剰余金」から控除しております。
自己株式
自己株式を取得した場合は、税効果を考慮した直接取引費用を含む支払対価を、資本の控除項目として認識しています。自己株式を売却した場合は、処分差額を「資本剰余金」として認識しております。
(21)公正価値の測定
特定の資産・負債は、公正価値によって計上することが求められております。当該資産・負債の公正価値は、市場価格等の市場の情報や、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチ等の算出手順に基づき決定されております。公正価値の測定に使用されるインプットは、以下の3つのレベルがあります。
① レベル1
測定日現在で当社グループがアクセスできる活発な市場(十分な売買頻度と取引量が継続的に確保されている市場)における同一資産又は負債の市場価格を、調整を入れずにそのまま使用しております。
② レベル2
活発な市場における類似の資産又は負債の公表価格、活発でない市場における同一の資産又は負債の公表価格、資産又は負債の観察可能な公表価格以外のインプット及び相関その他の手法により、観察可能な市場データによって主に算出又は裏付けられたインプットを含んでおります。
③ レベル3
限られた市場のデータしか存在しないために、市場参加者が資産又は負債の価格を決定する上で使用している前提条件についての当社グループの判断を反映した観察不能なインプットを使用しております。当社グループは、当社グループ自身のデータを含め、入手可能な最良の情報に基づき、インプットを算定しております。
公正価値の測定は、当社グループの評価方針及び手続きに従い財務部によって行われており、金融商品の個々の性質、特徴並びにリスクを最も適切に反映できる評価モデルにて実施しております。また、公正価値の変動に影響を与える重要な指標の推移を継続的に検証しております。検証の結果、金融商品の公正価値の変動が著しい際は、財務部責任者への報告及び承認を行っております。
(22)1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。
(23)配当
配当金については、期末配当は株主総会により承認された日、中間配当については取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しております。