有価証券報告書-第158期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 10:44
【資料】
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【項目】
146項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活用し、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供と、それを基にした社会課題解決のための仕組み作りを行い、企業価値の向上に努めています。
また、社是、経営理念に次いで「地球・社会・人との調和を図りながら、社会課題に取り組み、明るい未来を創造する」という当社の基本姿勢を表したCSR憲章を制定し、「事業を通じた社会課題の解決」と「社会の一員としての責任ある活動」の両輪で企業活動を行い、社会的責任を果たすことを目指しています。
(2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題
1) 経営環境および中期的な成長戦略
2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くものの、ワクチンの段階的な普及と各国の経済支援策によって、世界経済は回復に向かい、5%台の成長率に拡大すると予想されています。
当社においては、経済回復に伴う需要の拡大やコロナ禍で発生した新たな需要を取り込み、高い経済成長が予想される地域を中心に事業成長を図ります。また、引き続き管理可能経費の適正化に取り組むとともに、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)推進によって生産性を向上させ、新しいビジネスとして収益性の更なる向上を図ります。
2020年より開始した中期経営計画の方針や成長戦略を踏襲し、「世界のパートナーと社会課題の解決に取り組む企業」として、感染症や認知症等の診断を通じたヘルスケアに関する課題の対策、電動モビリティの電池、モーター、材料等の評価を通じた脱炭素社会の実現をはじめとする「社会課題解決のための仕組み作り」を進め、持続的な事業成長を目指します。
2) 感染症対策プロジェクトの取り組み
2020年は、感染症対策を緊急かつ重要な社会的課題として位置づけ、新型コロナウイルス検出試薬キットやクリニック向け全自動PCR検査装置の開発販売、大学でのPCR検査センターの設立支援、クラスター発生防止に役立つ下水中ウイルス検査サービスなど、感染拡大防止に寄与する事業を進めてまいりました。今後は呼気によるウイルス検査や重症化を予測して防ぐ取り組み等の新たな検査法の確立に取り組みます。また、検出試薬キットや全自動PCR検査装置の海外展開を進めます。加えて、検査結果や検査履歴を管理するネットワークシステムを開発し、陰性確認を行う検査体制の構築を目指して企業内検査室や大学PCR検査センターなどへも提案してまいります。さらに政府や自治体との連携も進め、感染症対策の仕組み作りを推進してまいります。
3) 4つの成長戦略と成長基盤の強化
① 重点事業の強化
計測機器事業の液体クロマトグラフと質量分析システムを中心に、高分解能・高感度のハイエンド製品、AI・IoT・ロボットなどを用いた全自動前処理システムなどの製品ラインナップを拡充し、リモートワークを可能とするソフトウェアと組合せ、戦略・事業パートナーとともに社会実装を推進します。
② 海外事業の強化
海外での事業成長を実現するために、米国では医薬品分野、欧州では臨床分野に注力する等、各地域の需要に合わせてイノベーションセンターの機能を強化し、有力パートナーと共同して地域の強い産業に向けたソリューションを開発します。また、開発したソリューションをグローバルに展開することで、成長の好循環サイクルを実現してまいります。
③ リカーリング事業の拡大
新型コロナウイルス感染症対策の中で成長した試薬を含む消耗品事業を拡大することで、アフターマーケット事業の着実な成長を目指します。さらに、新たに創設したDX戦略統括部を中心に、デジタル技術と既存の製品・サービスを融合し、サブスクリプションビジネス等の新たな事業の創出に取り組みます。
④ 成長分野での事業拡大
取り組みを進めている4成長分野での事業拡大は、アドバンスト・ヘルスケア分野では、高齢化対策と感染症対策という2つの切り口を中心に事業を進めます。環境・エネルギー分野では、電気自動車等の電動モビリティ、電池、再生可能エネルギー分野のソリューションを提案するバーチャル展示等の仕組みをつくり、事業化を加速します。また、マテリアル分野では、材料計測と成分分析の複合データを用いたマテリアルインフォマティクスを中心に事業構想を検討してまいります。
社会インフラでは、開発製品の事業化を加速し、新市場の開拓を進めます。
また、シンガポール・チャンギ総合病院と共同で臨床検査と個別化治療のための協働ラボを開設するなど、社外の事業パートナーとの協働も強化し、新市場創出を加速してまいります。
⑤ 事業ポートフォリオの見直し
2020年の業績を振り返りますと、事業や機種毎に新型コロナウイルス感染症の影響は様々でした。社会課題解決のための投資を増やすためにも、新たな経営指標に基づき、拡大・育成・撤退の区別のもと、事業ポートフォリオの見直しを引き続き進めます。
事業別の対処すべき課題として、中長期で目指すことおよび中期経営計画の中で実施する主な取り組みテーマは、以下のとおりです。
・計測機器事業
液体クロマトグラフと質量分析システムを当社グループの重点事業と位置づけ、引き続き売上と営業利益の増加を牽引します。液体クロマトグラフ等は海外の市場規模が8割以上を占めており、成長には、海外、特に欧米市場で伸ばすことが必須となります。そのため各地のイノベーションセンターで、顧客との共同研究による新製品開発を進めるとともに、コロナ禍で培ったリモートでの展示会・イベントなどデジタルマーケティングのノウハウを活用し、試薬・消耗品事業の拡大と、AIやIoTを活用した顧客課題解決型サービスなど、新しい価値の提供に取り組みます。
・医用機器事業
収益性が改善してきたⅩ線TVシステムの拡販を米国での直販化等の事業強化によって進めます。また、計測機器事業の技術を用いて開発した全自動PCR検査装置をクリニック向けに販売する等、分析と医用の融合による新たなビジネスモデルの確立に取り組みます。サービス事業の拡大と、診断支援アプリケーションソフトウェアの販売に取り組み、収益性の向上を目指します。
・航空機器事業
コロナ禍での民間航空機減産の影響を大きく受け、大変厳しい事業環境が続くと予想されます。収益確保を図るために製品毎に拡大・育成・撤退を区分し、防衛・民間航空機用部品の区別なく選択と集中を進めています。
さらに、航空機器で培った技術を他の分野に活用し新事業の取り組みを進めます。
・産業機器事業
5G(第5世代通信網)やデータセンター向けなど継続的な需要増が見込まれる半導体の製造に不可欠なターボ分子ポンプを柱とした事業成長を継続しつつ、工業炉等の既存製品の改良開発による付加価値向上に取り組みます。同時に、海外サービス拠点の新規開設などによってサービス事業の比率を高め、収益性の更なる向上を図ります。また、油圧機器分野では、日本と中国の2拠点生産体制を強化し生産効率の向上を図るとともに、欧米において販売活動を強化し、事業規模の拡大を目指します。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年5月に2020-2022中期経営計画を策定・公開しましたが、コロナ禍の影響で事業環境が大きく変化し、持続的な成長のためには新たな対策が必要となりました。この観点で、2021年5月に中期経営計画の内容を見直し、目標数値を上方修正しました。
3ヵ年の中期経営計画において、連結売上高4,300億円以上(4,000億円以上)、営業利益570億円以上(460億円以上)、営業利益率13.3%以上(11.5%以上)、株主利益重視の観点から自己資本利益率10.0%以上(10.0%以上)を、最終年度である2023年3月期の目標数値としています。
(注) ( )内は2020年5月に公開した目標数値です。

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