有価証券報告書-第162期(2025/04/01-2026/03/31)
(6) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、これに関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
① 人材に対する基本的な考え方
当社グループは、「信頼と創造」という企業理念のもと、コア技術である光利用技術と精密技術をベースに製品やソリューションを提供しています。人々や産業における希望や期待に応え、より豊かな社会の実現をサポートするグローバル企業です。
その担い手となるのは、「当社グループで働く多様な人材」です。当社グループはこれまでも、様々な能力や価値観、経験を持つ人材が集まり、その才能を活かし合うことで、創立100年を超える実績と世界に誇る高いものづくり力を築き上げてきました。従業員一人ひとりの成長と、その力を最大限に活かし合うことが、チームや組織力を向上させ、当社グループの成長につながっていきます。さらなるグローバル化や価値観の多様化が進む中で、当社グループと、そして従業員一人ひとりが社会やお客様から求められる存在になるためには、会社と従業員が共に成長していく関係でなければなりません。
そのために、当社グループは会社の目指す方向性や組織の目標を明確に示し、これに連動した人材戦略を実行することで、多様な従業員がその能力を最大限に発揮し、自身と当社グループの成長を実感できる環境や活躍の機会を提供していきます。従業員に求められるのは、その機会を逃すことなく、主体的・継続的にスキルを磨き続ける姿勢です。当社グループは、成長に向けて挑戦し、努力する従業員を支援するとともに、成果を出し、組織に貢献した従業員には、その活躍に公正かつ公平に報いていきます。
また、変化に対応し、多様化する社会やお客様の課題に応えるためには、当社グループで働く人材が持つ多様な知識や経験、価値観、専門性などを活かす必要があります。共に働くメンバーの個性や能力を認め合い、活かし合うことのできる職場環境や企業文化の醸成に向け、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」(DEI)を推進していきます。
このことが、当社グループの社会やお客様への価値提供力を高め、従業員のやりがいやエンゲージメントを高めることにつながり、チームのため、自分の成長のために主体的に考え、行動する、自律した「個」の形成へとつながる好循環を生み出します。当社グループは多様な従業員一人ひとりと共に成長し、企業理念である「信頼と創造」の実現と、持続可能な社会に貢献し続ける企業を目指します。
<2026年3月31日時点>
② 中期経営計画と連動した人材戦略
中期経営計画(2022-2025年度)の軸となる方針は、ソリューション提供の強化による「主要事業の安定化」と「戦略事業の収益拡大」です。また、世界中のお客様が求めているモノやコトの「本質」を理解し、完成品・コンポーネント・サービスをお客様にとって最適な形で提供していくことは、すべての事業に共通する戦略であり、当社グループのコア技術と他社とのオープンイノベーションを組み合わせるなど、社内外のシナジー強化にも取り組みながらビジネスモデルの変革を進めます。こうした経営戦略の担い手となる人材には、次のような要素が求められます。
・環境変化に柔軟に対応し、社会・顧客起点の発想や価値提供ができること
・組織やチームの目標達成のために自律的に考え、行動できること
・国・地域・事業を超えて多様な人材や組織と協働できること
・新たな価値観と既存の価値観を掛け合わせ、シナジー創出ができること
特に、成長領域においては、顧客開発とソリューションビジネスの強化をリードする人材の獲得が急務となっています。また、既存領域においては、当社グループの強みである「ものづくり」を支える人材が今後不足する見込みです。
このように、ありたい姿の実現に向けた人材の質的転換と量的確保が求められる中、世界的な人材流動化や獲得競争の激化があり、経営戦略を実践する人材の確保への危機意識が高まっています。こうした経営戦略上の要請や現状認識を踏まえ、当社グループでは、人材の「獲得」「育成」「活躍」の3点を人的資本経営の考え方に基づく人材戦略の柱に据え、それぞれ以下の方針のもとで各施策を展開しています。
経営戦略と人材戦略を一体のものとして推進を図るため、求められる人材やスキルの具体的な定義や各施策の検討は、社長執行役員以下の経営層が中心となり、人事部門と連携のうえ行っています。2025年度は、中期経営計画(2022-2025年度)の期間における各施策の振り返りや、新たな中期経営計画(2026-2030年度)の策定に向け、課題整理等を行いました。
<人材戦略の3つの柱と取り組み>
なお、2026年度から開始する新たな中期経営計画においては、人的資本経営に関する考えを継続させたうえで、ソリューションエンジニアなど、組織の要として「活躍」する人材を「育成」するフェーズへシフトしていきます。
③ 人材戦略を支える基盤となる人事制度
当社グループでは、対話・コミュニケーションを重視し、従業員の意欲を引き出し、能力を最大限に発揮できる職場環境を整備することを基本方針として、会社ごとに人事制度を定めています。また、年齢や性別などにかかわらず、パフォーマンスを重視した公正な評価・処遇を行い、従業員一人ひとりの職務・役割の遂行や成果の創出を促進しています。そして適性や能力、意欲に応じた職務や役割を従業員に付与し、自律的にキャリアを考え、能力開発に取り組むことを支援しています。
当社においては、年齢や性別等を問わず、担当する職務・役割の水準や、その成果を重視して処遇を決定する職責等級制度を導入しています。全従業員にプロフェッショナルとしての自律性や専門性を求める狙いから、時間管理対象の組合員層を「プロフェッショナル等級」に格付け、時間管理対象外の従業員(非組合員層)を「高度プロフェッショナル等級」、役職につく場合は「マネジメント等級」に格付けます。
プロフェッショナル等級の月例賃金は、「基本給」のほか、条件を満たす場合に支給する手当で構成します。高度プロフェッショナル等級及びマネジメント等級の月例賃金は、「月手当」と、条件を満たす場合に支給する手当で構成します。いずれの等級においても年に2回、賞与を支給します。
全等級において、評価は、職責評価と成績評価の2種類により行います。担当する職務・役割の水準を評価する職責評価に基づいて等級区分を決定し、基本給又は月手当を決定します。さらに、各評価期間における個々人の成果に対する成績評価は、賞与金額の算定に用います。なお、プロフェッショナル等級においては、成績評価の結果を基本給にも反映します。
各職責、各等級における報酬水準は、外部機関による報酬調査データ等を参考にし、競合他社の動向をベンチマークすることにより、市場に対し競争力のある水準を担保しています。
各人の職務・役割やパフォーマンスを重視した仕組みとすることで、一人ひとりの成果・成長を企業価値向上につなげ、企業理念の実現と、持続可能な社会に貢献し続ける企業を目指します。
④ 人材戦略を支える基盤となる文化・環境
(ⅰ) ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
当社グループでは、DEI推進を人的資本経営における重要施策の一つと位置づけ、年齢や性別、国籍等を問わず、多様な従業員一人ひとりが、その能力を最大限に発揮し、活躍することのできる機会の提供と環境整備に取り組んでいます。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンに関するニコングループ共通の考え方を示した「Nikon Global Diversity, Equity & Inclusion Policy」(Nikon Global DEI Policy)を従業員一人ひとりの判断や行動のベースとなる大切な考え方として浸透させるべく、「Nikon Global DEI Policy浸透度」をグローバル共通のKPIに設定しています。Nikon Global DEI Policyの内容を従業員により分かりやすく伝えるためのコミュニケーションブックの発行のほか、トップメッセージの継続的な発信等を行っています。また、組織運営の中核を担うマネジメント層の意識改革をグローバル共通のテーマと位置づけ、国内外グループ会社の社長向けワークショップの開催や、当社部課長向けのDEIマネジメント研修の導入等を行いました。
当社グループは、Nikon Global DEI Policyの下、一人ひとりがチームの一員としての居場所を感じ、個々の能力を活かし合うことのできる職場環境や企業文化の醸成を図るとともに、各地の法令や事業特性などを踏まえた具体的な取り組みを、グループ全体で、又は会社・事業ごとに推進していきます。
なお、当社における多様な従業員の活躍推進に関する取り組みは、以下のとおりです。
・女性活躍推進
一般的に、技術系職種に占める女性の割合は他の職種に比べて低く、技術系職種の従業員が多い当社においても、女性活躍推進は重要な課題の一つです。女性が当社の意思決定や組織運営により深く関わり、多様な視点をもたらす状態を目指し、その活躍状況を測る指標の一つとして「女性管理職比率」をKPIに設定しています。職場における計画的な育成・登用の推進、キャリア開発支援など、比率向上に向けた取り組みを実施しています。また、女性従業員数を安定的に確保するため、「新卒採用における女性比率」を25%以上とする目標を2016年度から継続的に掲げ、技術系分野をはじめとした女性向けの採用イベント等にも積極的に参加しています。
さらに、女性のみならず、育児や介護など、多様な事情を持つ従業員がライフステージに応じた柔軟な働き方の選択ができるよう、制度や環境の整備にも取り組んでいます。これらの多様な働き方に対する支援や継続的な取り組みが評価され、厚生労働大臣より「プラチナくるみん」「えるぼし(2段階目)」の認定を取得しています。
* 当社グループでは、「Nikon Global DEI Policy浸透度」をグローバル共通の指標に設定しています。DEIに関する課題は、国や地域、各社や事業特性や状況によって異なることから、Nikon Global DEI Policyの下、その具体的な課題設定は各社、事業毎に一任しています。こうした背景から、女性活躍推進については、当社では目標設定及び進捗管理を実施して取り組んでいるものの、グループ全体としては実施していません。そのため、上記指標に関するグループ全体の目標及び実績の記載は困難であり、当社のみを対象範囲として記載しています。
・キャリア人材の活躍支援
中期経営計画(2022-2025年度)の期間において、キャリア人材の採用を強化しました。当社がこれまで培ってきた技術とともに、新たな領域へ向かうためには、多様なスキル・知識・経験を活かすことが重要です。前職で培った知見を存分に発揮できるよう、キャリア人材の定着促進や活躍を支援する研修・教育、定期モニタリングを実施するなど、早期活躍を目指したフォロー体制を強化しています。
2026年3月末時点における当社の管理職に占めるキャリア採用者の割合は38.2%です。
<株式会社ニコン><女性従業員比率・女性管理職比率の推移><管理職に占めるキャリア採用者の比率>
そのほか、障がい者やシニア従業員など多様な従業員の活躍支援に関する取り組みを実施しています。当社における取り組みの詳細は、「サステナビリティ報告書」をご参照ください。
2025年度の情報は、当社ウェブサイト(https://www.jp.nikon.com/company/sustainability/report/)に2026年7月中旬に公開予定です。
(ⅱ) 従業員の健康と安全
従業員の健康と安全は、企業活動の基盤です。従業員が心身ともに健康かつ安全な状態で働くことができる職場環境を整備・提供することは、組織の活力や生産性の向上につながると考えています。この考えのもと、当社グループでは「ニコングループ健康安全方針」を策定し、同方針に基づく施策を「健康安全活動」として毎年展開しています。
当社グループは、法令遵守、安全管理の徹底による労働災害の抑止を重点項目と位置づけ、次のKPIを設定して、グループ全体の労働災害の発生防止に努めています。
国内ニコングループにおいては、従業員の健康の保持・増進(ヘルスリテラシーの向上)及び対話による活力ある職場環境づくり(コンフォート、コミュニケーションの向上)を重点項目と位置づけ、教育やイベントの実施等各施策に取り組むとともに、次のKPIを設定しています。
*1 定期健康診断・ストレスチェックのいずれも日本国内の制度であること、また、ストレスチェックについては日本国内でも実施義務の有無は会社規模によって異なることから、グループ全体を対象とするKPI設定やデータ管理は行っていません。そのため、「定期健康診断における有所見率」については国内ニコングループ、「ストレスチェックにおける高ストレス者率」については当社を対象範囲として記載しています。
*2 厚生労働省公表の製造業の全国平均値。2024年は59.4%
*3 ストレスチェック委託業者公表の全国平均値。2024年は14.7%
そのほか、当社グループにおける従業員の健康と安全に関する具体的な取り組みの詳細は、「サステナビリティ報告書」をご参照ください。
2025年度の情報は、当社ウェブサイト(https://www.jp.nikon.com/company/sustainability/report/)に2026年7月中旬に公開予定です。
① 人材に対する基本的な考え方
当社グループは、「信頼と創造」という企業理念のもと、コア技術である光利用技術と精密技術をベースに製品やソリューションを提供しています。人々や産業における希望や期待に応え、より豊かな社会の実現をサポートするグローバル企業です。
その担い手となるのは、「当社グループで働く多様な人材」です。当社グループはこれまでも、様々な能力や価値観、経験を持つ人材が集まり、その才能を活かし合うことで、創立100年を超える実績と世界に誇る高いものづくり力を築き上げてきました。従業員一人ひとりの成長と、その力を最大限に活かし合うことが、チームや組織力を向上させ、当社グループの成長につながっていきます。さらなるグローバル化や価値観の多様化が進む中で、当社グループと、そして従業員一人ひとりが社会やお客様から求められる存在になるためには、会社と従業員が共に成長していく関係でなければなりません。
そのために、当社グループは会社の目指す方向性や組織の目標を明確に示し、これに連動した人材戦略を実行することで、多様な従業員がその能力を最大限に発揮し、自身と当社グループの成長を実感できる環境や活躍の機会を提供していきます。従業員に求められるのは、その機会を逃すことなく、主体的・継続的にスキルを磨き続ける姿勢です。当社グループは、成長に向けて挑戦し、努力する従業員を支援するとともに、成果を出し、組織に貢献した従業員には、その活躍に公正かつ公平に報いていきます。
また、変化に対応し、多様化する社会やお客様の課題に応えるためには、当社グループで働く人材が持つ多様な知識や経験、価値観、専門性などを活かす必要があります。共に働くメンバーの個性や能力を認め合い、活かし合うことのできる職場環境や企業文化の醸成に向け、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」(DEI)を推進していきます。
このことが、当社グループの社会やお客様への価値提供力を高め、従業員のやりがいやエンゲージメントを高めることにつながり、チームのため、自分の成長のために主体的に考え、行動する、自律した「個」の形成へとつながる好循環を生み出します。当社グループは多様な従業員一人ひとりと共に成長し、企業理念である「信頼と創造」の実現と、持続可能な社会に貢献し続ける企業を目指します。
<2026年3月31日時点>

② 中期経営計画と連動した人材戦略
中期経営計画(2022-2025年度)の軸となる方針は、ソリューション提供の強化による「主要事業の安定化」と「戦略事業の収益拡大」です。また、世界中のお客様が求めているモノやコトの「本質」を理解し、完成品・コンポーネント・サービスをお客様にとって最適な形で提供していくことは、すべての事業に共通する戦略であり、当社グループのコア技術と他社とのオープンイノベーションを組み合わせるなど、社内外のシナジー強化にも取り組みながらビジネスモデルの変革を進めます。こうした経営戦略の担い手となる人材には、次のような要素が求められます。
・環境変化に柔軟に対応し、社会・顧客起点の発想や価値提供ができること
・組織やチームの目標達成のために自律的に考え、行動できること
・国・地域・事業を超えて多様な人材や組織と協働できること
・新たな価値観と既存の価値観を掛け合わせ、シナジー創出ができること
特に、成長領域においては、顧客開発とソリューションビジネスの強化をリードする人材の獲得が急務となっています。また、既存領域においては、当社グループの強みである「ものづくり」を支える人材が今後不足する見込みです。
このように、ありたい姿の実現に向けた人材の質的転換と量的確保が求められる中、世界的な人材流動化や獲得競争の激化があり、経営戦略を実践する人材の確保への危機意識が高まっています。こうした経営戦略上の要請や現状認識を踏まえ、当社グループでは、人材の「獲得」「育成」「活躍」の3点を人的資本経営の考え方に基づく人材戦略の柱に据え、それぞれ以下の方針のもとで各施策を展開しています。
経営戦略と人材戦略を一体のものとして推進を図るため、求められる人材やスキルの具体的な定義や各施策の検討は、社長執行役員以下の経営層が中心となり、人事部門と連携のうえ行っています。2025年度は、中期経営計画(2022-2025年度)の期間における各施策の振り返りや、新たな中期経営計画(2026-2030年度)の策定に向け、課題整理等を行いました。
<人材戦略の3つの柱と取り組み>
| 獲得 | 育成 | 活躍 | |
| 方針 | 事業運営上必要な人材を安定的に確保する。 経営戦略上獲得が急務な人材については新規採用やM&A等により早期獲得を目指す。 | 業務遂行に必要なスキルや役割、キャリアパスなどを明確化し、自律的な成長を促すための幅広い教育、育成の機会を提供する。 中核人材やグローバル人材については戦略的な登用や配置により計画的に育成する。 | 多様な従業員が自律的に成長する姿勢とチームに貢献する意識を持ち、その能力を最大限に発揮できる環境(制度・職場環境・企業文化等)の構築を推進する。 |
| 重点項目 | ・ビジネス開発人材、技術営業など重点的に獲得 ・採用ブランディングの強化 ・獲得プロセス・体制の強化 ・雇用・労働条件の柔軟化 | ・中核人材の早期選抜と計画的な育成 ・人材グローバル化に向けた戦略配置 ・キャリアデベロップメント、リスキルプログラムの拡充 | ・若手・キャリア採用者が成長活躍できる環境整備 ・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進 ・実力・意欲重視の抜擢・登用 |
| 主な進捗 (2022-2025年度) | ・国内グループにおいて4期連続の賃上げの実施、4期合計で2,400名超の新規採用を行い、多様な知と経験の獲得や年齢分布の是正等が進展 ・新卒採用における職種別採用(2022年度導入)の実施による適材適所の人材配置の強化 ・経営トップ自らが「経営人材」を早期に選抜、経営層が育成主導 ・各事業におけるソリューションエンジニアの定義及び選抜と計画的育成、経営層によるモニタリングの実施 ・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンに関するニコングループ共通の考え方を示した「Nikon Global Diversity, Equity & Inclusion Policy」を制定、マネジメント向け研修の導入など階層別の理解浸透策を実施 ・キャリア採用者の定着や活躍を支援する教育やモニタリング制度など環境整備 ・海外出向者の処遇、福利厚生制度の抜本的な見直しの実施 | ||
なお、2026年度から開始する新たな中期経営計画においては、人的資本経営に関する考えを継続させたうえで、ソリューションエンジニアなど、組織の要として「活躍」する人材を「育成」するフェーズへシフトしていきます。
③ 人材戦略を支える基盤となる人事制度
当社グループでは、対話・コミュニケーションを重視し、従業員の意欲を引き出し、能力を最大限に発揮できる職場環境を整備することを基本方針として、会社ごとに人事制度を定めています。また、年齢や性別などにかかわらず、パフォーマンスを重視した公正な評価・処遇を行い、従業員一人ひとりの職務・役割の遂行や成果の創出を促進しています。そして適性や能力、意欲に応じた職務や役割を従業員に付与し、自律的にキャリアを考え、能力開発に取り組むことを支援しています。
当社においては、年齢や性別等を問わず、担当する職務・役割の水準や、その成果を重視して処遇を決定する職責等級制度を導入しています。全従業員にプロフェッショナルとしての自律性や専門性を求める狙いから、時間管理対象の組合員層を「プロフェッショナル等級」に格付け、時間管理対象外の従業員(非組合員層)を「高度プロフェッショナル等級」、役職につく場合は「マネジメント等級」に格付けます。
プロフェッショナル等級の月例賃金は、「基本給」のほか、条件を満たす場合に支給する手当で構成します。高度プロフェッショナル等級及びマネジメント等級の月例賃金は、「月手当」と、条件を満たす場合に支給する手当で構成します。いずれの等級においても年に2回、賞与を支給します。
全等級において、評価は、職責評価と成績評価の2種類により行います。担当する職務・役割の水準を評価する職責評価に基づいて等級区分を決定し、基本給又は月手当を決定します。さらに、各評価期間における個々人の成果に対する成績評価は、賞与金額の算定に用います。なお、プロフェッショナル等級においては、成績評価の結果を基本給にも反映します。
各職責、各等級における報酬水準は、外部機関による報酬調査データ等を参考にし、競合他社の動向をベンチマークすることにより、市場に対し競争力のある水準を担保しています。
各人の職務・役割やパフォーマンスを重視した仕組みとすることで、一人ひとりの成果・成長を企業価値向上につなげ、企業理念の実現と、持続可能な社会に貢献し続ける企業を目指します。
④ 人材戦略を支える基盤となる文化・環境
(ⅰ) ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
当社グループでは、DEI推進を人的資本経営における重要施策の一つと位置づけ、年齢や性別、国籍等を問わず、多様な従業員一人ひとりが、その能力を最大限に発揮し、活躍することのできる機会の提供と環境整備に取り組んでいます。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンに関するニコングループ共通の考え方を示した「Nikon Global Diversity, Equity & Inclusion Policy」(Nikon Global DEI Policy)を従業員一人ひとりの判断や行動のベースとなる大切な考え方として浸透させるべく、「Nikon Global DEI Policy浸透度」をグローバル共通のKPIに設定しています。Nikon Global DEI Policyの内容を従業員により分かりやすく伝えるためのコミュニケーションブックの発行のほか、トップメッセージの継続的な発信等を行っています。また、組織運営の中核を担うマネジメント層の意識改革をグローバル共通のテーマと位置づけ、国内外グループ会社の社長向けワークショップの開催や、当社部課長向けのDEIマネジメント研修の導入等を行いました。
当社グループは、Nikon Global DEI Policyの下、一人ひとりがチームの一員としての居場所を感じ、個々の能力を活かし合うことのできる職場環境や企業文化の醸成を図るとともに、各地の法令や事業特性などを踏まえた具体的な取り組みを、グループ全体で、又は会社・事業ごとに推進していきます。
| KPI | 対象範囲 | 目標値 | 2025年度実績 | ||
| Nikon Global DEI Policy浸透度 | ニコングループ | 100 | %(2030年度) | ポリシーを読んだことがある人の割合は、2023年度調査より約8pt向上(ニコン:87.7%、グループ会社:83.3%) | |
なお、当社における多様な従業員の活躍推進に関する取り組みは、以下のとおりです。
・女性活躍推進
一般的に、技術系職種に占める女性の割合は他の職種に比べて低く、技術系職種の従業員が多い当社においても、女性活躍推進は重要な課題の一つです。女性が当社の意思決定や組織運営により深く関わり、多様な視点をもたらす状態を目指し、その活躍状況を測る指標の一つとして「女性管理職比率」をKPIに設定しています。職場における計画的な育成・登用の推進、キャリア開発支援など、比率向上に向けた取り組みを実施しています。また、女性従業員数を安定的に確保するため、「新卒採用における女性比率」を25%以上とする目標を2016年度から継続的に掲げ、技術系分野をはじめとした女性向けの採用イベント等にも積極的に参加しています。
さらに、女性のみならず、育児や介護など、多様な事情を持つ従業員がライフステージに応じた柔軟な働き方の選択ができるよう、制度や環境の整備にも取り組んでいます。これらの多様な働き方に対する支援や継続的な取り組みが評価され、厚生労働大臣より「プラチナくるみん」「えるぼし(2段階目)」の認定を取得しています。
| KPI | 対象範囲* | 目標値 | 2025年度実績 | ||
| 女性管理職比率 | 株式会社ニコン | 2025年度末までに8 | %以上 | 8.0% | |
| 新卒採用における女性比率 | 株式会社ニコン | 25 | %以上 | 34.2% | |
* 当社グループでは、「Nikon Global DEI Policy浸透度」をグローバル共通の指標に設定しています。DEIに関する課題は、国や地域、各社や事業特性や状況によって異なることから、Nikon Global DEI Policyの下、その具体的な課題設定は各社、事業毎に一任しています。こうした背景から、女性活躍推進については、当社では目標設定及び進捗管理を実施して取り組んでいるものの、グループ全体としては実施していません。そのため、上記指標に関するグループ全体の目標及び実績の記載は困難であり、当社のみを対象範囲として記載しています。
・キャリア人材の活躍支援
中期経営計画(2022-2025年度)の期間において、キャリア人材の採用を強化しました。当社がこれまで培ってきた技術とともに、新たな領域へ向かうためには、多様なスキル・知識・経験を活かすことが重要です。前職で培った知見を存分に発揮できるよう、キャリア人材の定着促進や活躍を支援する研修・教育、定期モニタリングを実施するなど、早期活躍を目指したフォロー体制を強化しています。
2026年3月末時点における当社の管理職に占めるキャリア採用者の割合は38.2%です。
<株式会社ニコン><女性従業員比率・女性管理職比率の推移><管理職に占めるキャリア採用者の比率>

そのほか、障がい者やシニア従業員など多様な従業員の活躍支援に関する取り組みを実施しています。当社における取り組みの詳細は、「サステナビリティ報告書」をご参照ください。
2025年度の情報は、当社ウェブサイト(https://www.jp.nikon.com/company/sustainability/report/)に2026年7月中旬に公開予定です。
(ⅱ) 従業員の健康と安全
従業員の健康と安全は、企業活動の基盤です。従業員が心身ともに健康かつ安全な状態で働くことができる職場環境を整備・提供することは、組織の活力や生産性の向上につながると考えています。この考えのもと、当社グループでは「ニコングループ健康安全方針」を策定し、同方針に基づく施策を「健康安全活動」として毎年展開しています。
当社グループは、法令遵守、安全管理の徹底による労働災害の抑止を重点項目と位置づけ、次のKPIを設定して、グループ全体の労働災害の発生防止に努めています。
| KPI | 対象範囲 | 目標値 | 2025年度実績 |
| 業務起因性、業務遂行性の高い労働災害の発生数 | ニコングループ | 60件以下 | 43件 |
国内ニコングループにおいては、従業員の健康の保持・増進(ヘルスリテラシーの向上)及び対話による活力ある職場環境づくり(コンフォート、コミュニケーションの向上)を重点項目と位置づけ、教育やイベントの実施等各施策に取り組むとともに、次のKPIを設定しています。
| KPI | 対象範囲*1 | 目標値 | 2025年度実績 |
| 定期健康診断における有所見率 | 国内ニコングループ | 毎年度:前回全国平均*2以下 | 53.5% |
| ストレスチェックにおける高ストレス者率 | 株式会社ニコン | 毎年度:前回全国平均*3以下 | 13.8% |
*1 定期健康診断・ストレスチェックのいずれも日本国内の制度であること、また、ストレスチェックについては日本国内でも実施義務の有無は会社規模によって異なることから、グループ全体を対象とするKPI設定やデータ管理は行っていません。そのため、「定期健康診断における有所見率」については国内ニコングループ、「ストレスチェックにおける高ストレス者率」については当社を対象範囲として記載しています。
*2 厚生労働省公表の製造業の全国平均値。2024年は59.4%
*3 ストレスチェック委託業者公表の全国平均値。2024年は14.7%
そのほか、当社グループにおける従業員の健康と安全に関する具体的な取り組みの詳細は、「サステナビリティ報告書」をご参照ください。
2025年度の情報は、当社ウェブサイト(https://www.jp.nikon.com/company/sustainability/report/)に2026年7月中旬に公開予定です。