有価証券報告書-第79期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 10:27
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【項目】
110項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成29年1月1日から平成29年12月31日まで)の世界経済は、緩やかに回復していますが、中国やアジア新興国等の経済や政策、欧州諸国の政局に関して、先行きの不透明感が続きました。日本経済は、企業収益や雇用情勢が改善しており、また個人消費も緩やかな回復基調が続きました。
このような状況の中、当社グループ関連市場では依然として厳しい状況が続いております。当社はこのような経営環境においても、収益力を維持向上させるために損益分岐点の引き下げが急務と考え、全社を挙げた生産性向上活動、徹底したムダ排除活動を推し進めるとともに、高付加価値製品の積極的な製造・拡販に努め、業績の確保と収益性の改善を図ってまいりました。
こうした取り組みにより原価率が低減したことに加え、為替環境が円安で推移した結果、当期の連結売上高は837億69百万円(前期比0.6%増)、連結経常利益は98億86百万円(前期比24.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は77億39百万円(前期比39.4%増)となり、増収増益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
①コンポーネント
コンポーネントセグメントにおきましては、デジタルカメラ市場は、手軽に高画質な写真撮影が可能な製品への需要が高まっていますが、スマートフォンの影響により厳しい状況が続いています。このような状況でしたが、主力製品であるデジタルカメラ用シャッターユニットや絞りユニット等について積極的に受注活動を展開した結果、売上は堅調に推移しました。レーザープリンター・複合機向けのレーザースキャナーユニットは、生産性の向上や構成部品の内製化を積極的に推し進め、引き続き原価低減に取り組みました。新製品の製造開始もあり、売上は堅調に推移しました。また、前期末からベトナム子会社において生産を開始した複合機向けのリーダーユニットは、今期は受注が堅調に推移し、売上が増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は476億50百万円(前年同期比7.9%増)、営業利益は84億37百万円(前年同期比22.4%増)となりました。
②電子情報機器
電子情報機器セグメントにおきましては、ドキュメントスキャナーは、低速機から高速機までラインアップをより充実させたimageFORMULA(イメージフォーミュラ)シリーズの一層の拡販に努めました。当期はドキュメントスキャナーや海外向け小切手スキャナーの新製品を発売した結果、欧州・米州向け等の売上が伸び、全体の売上も増加しました。ハンディターミナルは、スマートフォンやタブレット端末との差別化と新しい自動認識技術の導入により、使用業種、業務範囲が広がっております。当期はハンディターミナル本体の売上は増加しましたが、バッテリー・モバイルプリンター等の関連商品の売上が前期を下回り、全体の売上は減少しました。レーザープリンターは、効率的な部品調達や生産性の向上等に取り組みましたが、減産の影響により売上は減少しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は264億95百万円(前年同期比12.4%減)、営業利益は為替影響もあり38億18百万円(前年同期比15.7%増)となりました。
③その他
その他セグメントにおきましては、情報関連事業は、情報セキュリティ対策ソフト「SML」、業務分析サービス「ログマネジメント」、名刺管理サービス「アルテマブルー」、医療機関向け日本語入力ソフト「医用辞書」等の受注活動を積極的に展開しました。また、サーバーやネットワークの構築等、インフラ関連やシステム開発・保守・運用案件の獲得に努めました。加えて、金融機関向け情報系基盤・データベース「entrance® Banking」、ならびに学校向け教務管理システム「SCHOOL AID®」の販売に注力し、売上は増加しました。環境機器事業は、小型三次元加工機「MF-150A MarkⅡ」および業務用生ごみ処理機「Land care16Ⅱ」、小型電動射出成形機「LS-715シリーズ」を主力商品として積極的な販売活動を展開しました。また、FA機器の新規案件の受注が増え、医療分野では血圧計や滅菌機などの生産移管をキヤノングループ内で受け、生産を開始した結果、売上は増加しました。なお、歯科市場向けの小型三次元加工機については、平成30年中の販売を目指し、準備を本格化させています。
これらの結果、当セグメントの売上高は96億23百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益は4億56百万円(前年同期比20.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度においては、主に税金等調整前当期純利益と減価償却費により、営業活動によるキャッシュ・フローは96億79百万円の収入(前年同期比21億23百万円増)となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは貸付金の回収による収入により28億95百万円の収入(前年同期比109億60百万円増)となり、フリーキャッシュ・フローは125億75百万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払により23億91百万円の支出(前年同期比56百万円減)となり、これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は261億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ100億93百万円増加しました。