有価証券報告書-第50期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 9:15
【資料】
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【項目】
116項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
① 会社の経営の基本方針
当社は昭和43年の創立の際に、会社はどのような思想を持ち、実践していくかという、経営に対する姿勢、理念を「創立の根本精神及経営理念」に掲げました。
その中で創立の目的は、「同一の思想を持ち、信頼し合う事のできる人間が集まって、何かの仕事を通して、(極論すれば、それがどのような仕事、業種であってもよい) 経済的無から、一つの理想体(理想企業体)を造り上げる事への挑戦」と謳っております。
また、「社会に対し社会性を充分発揮してその存在価値を高め、社員個々の幸福を勝ち取り、企業の維持、発展をならしめること」を基本理念とし、そして、その結果得られた利益を株主、社員、社会に公平に分配し、また、一部を社内留保して、会社の事業内容を充実させ、発展させることが、最大の社会性を意味すると考えております。
この基本理念を実現していくために、当社では創立以来毎期、必要な人件費、経費(賃借料、減価償却費等)、そして適切な利益(営業利益)を得る場合の売上などを記載した付加価値経営計画や、役員の年収を株主、金融機関、社員に公表したりするなど、情報の開示に努めてまいりました。このようにオープンな経営姿勢に対する社員個々の意識の高まりが、互いの信頼感を強くし、個々の能力を充分に発揮させることで、計画達成という一つの目的に邁進することができたと確信しております。
このように、「道は一つ、共に進もう」というスローガンに沿った付加価値経営こそが当社の躍進の原動力であり、今後も成長の糧として継続してまいります。
② 目標とする経営指標
当社の付加価値経営計画の主体は経営理念にもありますように人であり、人(社員)を中心とした経営計画によって組み立てられています。
そのため、目標とする経営指標は、まず人件費を基点とした付加価値を決定し、次にその付加価値を達成するためにはどのくらいの売上高が必要かといった逆算のプロセスによるガイドラインと、市場状況を勘案して設定しております。
付加価値は、人件費、福利厚生費、金融費用、動産不動産賃借料、減価償却費、付加価値内利益という六つの構成要素から成り立っており、その経営指標は経済情勢や当社の経営環境を勘案して、設定しております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
分析機器事業、半導体事業、自動認識事業はいずれも最先端の技術を必要とするため、研究開発に経営資源の重点的投入を行うとともに、業務の効率化を推し進め収益力の強化を図ってまいります。
(分析機器事業)
当業界における国内市場は成熟期を迎えつつあります。一方、海外市場におきましてはアジア市場を中心に成長が続いており、特に中国・インドの成長は著しく、当事業の最重要地域として今後も活発な営業展開を行ってまいります。
平成30年3月期は3ヵ年の中期経営計画の最終年度となります。従いまして、次期は次の中期経営計画(平成31年3月期~平成33年3月期)の基盤づくりの年として、下記の施策に基づき活動してまいります。
① 新製品開発力の強化
・海外に販売できる製品を生み出すことを念頭にマーケティングセクションと連動し、市場要求に合った製品の開発及び新製品の早期リリースを実現します。
・当社グループ会社の持つ開発力や商材を効果的に活用し、新製品開発や商材ラインアップの強化を図ってまいります。
② 全社業務改革
・業務合理化を目指し、販売管理システムを平成28年~平成30年にかけて刷新しております。また、営業の顧客管理システムをはじめ、勤怠管理システム、電子記録債権(でんさい)の導入、さらに社内ワークフローを刷新し、効率よく効果的な運用を目指してまいります。
・海外を中心とした「液体クロマトグラフ用充填カラム」の受注増加に対応するため、福島工場の敷地内に新 工場の建設を予定しており、併せて製造方法の見直しなど抜本的な改革を検討してまいります。
③ 新規事業の柱の創出
新規事業の創設に向け共同開発などに積極的に参画します。
(半導体事業)
半導体関連業界は、これまで世界的な規模で成長を牽引してきたスマートフォンが中・低価格品のインド等新興国市場での需要を継続しました。さらにサーバ及びストレージ関連機器や医療機器及び自動車産業、人工知能(AI)やロボティクスなど将来性豊かな市場への拡大等、今後も成長が続くものと予想されます。また、国内半導体メーカーは一時の混乱を乗り越え、設備投資の再開による増産体制の確立等、成長軌道に転換してきています。海外大手半導体メーカーは引き続き微細化、積層化を含めた設備投資計画を実施しています。
当事業は目下、半導体製造装置メーカーを中心とした顧客需要に応えるべく、国内及び中国子会社工場における増産体制構築のための設備投資を順次進めております。さらに、将来展望に立った生産体制の拡大と効率化及び今後の国内工場の統合・整備のため、蔵王南工場隣接地の取得の契約をしました。
昨今の半導体市場の急速かつ構造的な変化の中、当事業が今後とも取り組むべき中長期的な成長戦略と課題を以下に示します。
① 国際化促進と市場ボーダーレス化への対応
中国、韓国及び台湾を中心にアジアへの展開を強化し、更なる事業拡大を図ります。
② 急速に進んでいる半導体の微細化への対応
喫緊の課題として加工技術の開発推進及び設備の充実を図ります。
③ 新規分野への参入
製品開発部を中心として既存分野のシェアアップにとどまらず、技術革新により新規分野(低反射ステージ露光装置部品、微細加工開発製品等)への参入を図り、安定的経営を目指します。
④ 技術革新による差別化
超精密加工技術(メディカル等)、拡散接合技術等の技術を高度化し、当事業独自のコア・コンピタンスを創出することで技術革新を図り、他社との差別化を推進します。
(自動認識事業)
RFIDのパイオニアとして信頼に値する製品を提供していくとともに、自動認識技術を利用した魅力ある応用製品・システムを生み出していく企業たるべく活動いたします。ビジネス規模が拡大しており、これに応えられる組織作りが大きな課題となります。
主な具体的施策は以下のとおりであります。
① 組織作り
・事業拡大に対応できるよう管理部門 (生産管理、品質管理、営業管理等) を強化し、その連携を図ります。
・受注予測、在庫管理、生産・手配、開発進行、評価検証の効率化を図るとともに、これらの作業の見える化を進め、ミスの防止に努めます。
② 製品開発
・一昨年度より進めていました新型RFIDチップCLRC663/PN5180の評価・研究の成果を、製品として提供します。
・Bluetooth Low Energy関連技術とNFCを連携した製品の提供を開始します。
・既存技術の応用と組合せにより付加価値の高い製品を開発します。
・最新技術動向を収集し、将来の製品開発を見据えた検討を行います。
・ドキュメント整備から製造工場の管理まで、各種製品全般の信頼性の向上を図ります。
・協業企業との連携によるアプリケーション開発とシステム構築を行います。
③ 企業認知及びブランド認知
・企業ブランドの認知度向上を図り、雑誌やWeb、製品説明会、展示会による情報発信を行います。
・CLUB CENTiO(クラブセンティオ)、AcCENTiO(アクセンティオ)の会という二つの協業組織それぞれの特長を活かした活動を行い、取引先企業との関係強化を実現するとともに、全体の知名度向上を図ります。