四半期報告書-第89期第2四半期(平成27年7月1日-平成27年9月30日)

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2015/11/12 15:21
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間における日本経済は、円安基調の継続や原油安の影響により企業収益は改善傾向にありましたが、中国経済の減速懸念と、それを契機とした世界同時株安など株式市場の不安定化もあり、先行き不透明な状況で推移しました。
このような経営環境のもと、当社グループは、第4次中期経営計画の最終年度として、グローバルブランドの確立をはじめとし同計画に掲げる成長戦略と構造改革の遂行により、企業価値の向上に取り組んでおります。
当第2四半期は、収益力の拡大に向け、国内外でフラッグシップモデルの最高級グランドピアノ『Shigeru Kawai』を中心とした高付加価値商品の販売拡大に注力するとともに、営業基盤の強化やコスト改善に積極的に取り組みました。また業務資本提携をした学研グループとの協業にも力を入れ事業の拡大に努めました。
国内では、営業体制を刷新し、直営販売の強みを活かし教室・販売・アフターサービスを一体化したユニット体制を敷いてより強力な営業活動を展開するとともに、中核都市への店舗戦略として大宮・横浜・広島の直営店舗をそれぞれ移転・リニューアルしました。海外においては、好調な電子ピアノの拡販に取り組むとともに、米国ヒューストンでの直営店展開の強化、ロシアでのショールームオープン、新興国におけるピアノの普及価格帯モデルの販売拡大などを進めました。また、重要市場である中国においては、今後の中長期的な成長に向け、前期に設立した「河合音楽教育・中日友好交流基金」を通じて中日友好交流コンサートを日中両国で開催し、カワイブランドの認知拡大や信頼性の向上に努めました。
これらの結果、国内、海外での楽器販売の増加や円安による為替影響により、当第2四半期連結累計期間の売上高は 32,563百万円(前年同期比 1,043百万円増)となりました。営業利益につきましては、円安による仕入原価の上昇があったものの、楽器販売の増加などにより、1,197百万円(前年同期比 365百万円増益)となり、経常利益は外貨建債権の評価替えに伴う為替差益の発生などにより 1,245百万円(前年同期比 195百万円増益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 873百万円(前年同期比 156百万円増益)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(楽器)
楽器事業は、国内では営業体制刷新による活動の効率化、販売力の強化により『Shigeru Kawai』を中心にピアノの販売が増加し、電子ピアノについても主力のCNシリーズや木製鍵盤搭載モデルCAシリーズが好調に推移し販売が増加しました。
海外においては、ピアノは北米で販売が伸長し、電子ピアノについては中国を中心に販売が増加しました。
この結果、売上高は為替影響もあり 17,733百万円(前年同期比 1,604百万円増)となり、営業利益は、362百万円(前年同期比 379百万円増益)となりました。
(教育関連)
教育関連事業は、重点戦略であるピアノコースの拡大や、教室の新設、運営効率の改善に積極的に取り組みましたが、生徒数の減少などにより、売上高は 8,378百万円(前年同期比 39百万円減)、営業利益は 478百万円(前年同期比 53百万円減益)となりました。
(素材加工)
素材加工事業は、金属事業における半導体の受注減少などにより、売上高は 5,360百万円(前年同期比 138百万円減)となりましたが、CVT(無段変速機)関連部品の受注が堅調だったことや、塗装事業における自動車内装部品の受注増加、生産効率の向上などにより、営業利益は、462百万円(前年同期比 87百万円増益)となりました。
(情報関連)
情報関連事業は、IT機器の販売減少により、売上高は 998百万円(前年同期比 390百万円減)となり、営業損失は 80百万円(前年同期比 65百万円悪化)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、売掛金減少の一方で現金及び預金が増加、また業務資本提携先である学研ホールディングスの株式取得による投資有価証券の増加などにより、45,355百万円(前期末比 150百万円の増加)となりました。
負債合計は、仕入債務の減少などにより、26,380百万円(前期末比 543百万円の減少)となりました。
純資産合計は、利益剰余金の増加などにより、18,974百万円(前期末比 693百万円の増加)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、7,540百万円(前年同四半期比 1,134百万円増加)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益 1,392百万円の計上や仕入債務の減少 908百万円などがあり、680百万円の資金増加(前年同四半期は、29百万円の資金増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出 588百万円、投資有価証券の取得による支出 419百万円などにより、845百万円の資金減少(前年同四半期は、664百万円の資金減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加 1,058百万円や配当金の支払額 379百万円などにより、531百万円の資金増加(前年同四半期は、1,177百万円の資金減少)となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者(以下「方針決定を支配する者」といいます。)の在り方について、基本的には、株主の自由な判断に基づいた当社株式の自由な取引を通じて決定されるべきものであると考えており、上場企業として多様な投資家に当社の株主となっていただき、また、その様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させることが望ましいと考えております。
昨今のわが国の資本市場においては、経営陣の同意なく、会社支配権の取得を意図して株式を大量に買付けようとする事例も少なくありません。このような買付けの中には、当社及び当社グループの顧客、取引先、地域社会、従業員等ステークホルダーの利益を著しく損なう蓋然性の高いものや、株主に十分な判断の時間や判断の材料を与えないものなど、当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして望ましくない買付けが行われることも予想される状況にあります。
当社は、このような当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして、望ましくない買付けを行おうとする者に対して、方針決定を支配する者となる機会を与えることは、株主からの様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させるためには望ましくないものと考えております。
また、当社事業の主軸は音楽・教育分野にあり、これらの事業は単にハードやソフトを提供することにとどまるものではなく、文化に深く関わる事業であると考えております。このような事業の運営においては、経済的側面のみならず、文化的側面も視野に入れたバランスのとれた経営姿勢が不可欠であると考えております。かかる観点から、方針決定を支配する者においては、このような経営姿勢についても、十分に理解していることが望ましいと考えております。
② 基本方針に関する取組み
(ⅰ) 財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、以下のような取組みを鋭意実行することが、当社の企業価値及び株主共同の利益を向上させることとなり、さらなる多様な投資家からの当社への投資を促進させ、結果として、上記①の基本方針の実現に資するものであると考えております。
(a) 当社は、平成28年3月までの3ヵ年を対象期間とする「第4次中期経営計画」を、平成25年4月1日より遂行中であります。「第4次中期経営計画」では、事業の選択と集中を行い堅実な成長と利益の確保を図ることを基本方針に、構造改革による収益力のある成長企業を目指すとともに、国内楽器事業で培った三位一体体制のグローバルな展開に取り組んでおります。
(b) 当社は適切な組織体制の構築のために、以下の取組みを行っております。
当社は、意思決定の迅速化と経営陣の責任の明確化のために、執行役員制度を採用して業務執行と監督の分離に取り組むとともに、取締役の任期を1年として、ガバナンス体制の強化を図っております。
また当社は、独立性の高い社外取締役及び社外監査役を選任し、取締役の業務執行の監督、監査に当たらせております。加えて、平成27年6月からは社外取締役を1名増員して2名とすることにより、さらなるガバナンスの強化を図ってまいります。
(c) 上記のほかにも、機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進により株主との長期安定的な信頼関係の構築に努めてまいります。
(ⅱ) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
平成22年6月29日開催の当社第83期定時株主総会に基づき更新いたしました当社株式の大規模買付行為に関する対応方針を平成25年6月27日開催の第86期定時株主総会における株主の承認により内容を一部改定のうえ、新たな対応方針(以下「本プラン」といいます。)として更新しております。(本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載されている平成25年5月28日付プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新について」にて開示しております。)
③ 当社の取組みが、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
(ⅰ) ②(ⅰ)の取組みについて
「第4次中期経営計画」に掲げました施策に関する当社の取組みは、究極的にはステークホルダー全体の利益を実現するための施策として当社経営陣に課せられた課題であると考えておりますので、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位を維持することを目的とするものでもありません。
執行役員制度、取締役の1年任期制、社外取締役の増員、社外監査役による取締役の業務執行監査については、いずれも適正な業務執行を担保するために導入したものであり、株主共同の利益を害することにはなりませんし、また当社の会社役員の地位を維持するためのものでもありません。
機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進についても、株主共同の利益を害するものではなく、投資家の判断に資することを目的として行おうとするものですので、当社の会社役員の地位を維持するものでもないと考えております。
(ⅱ) ②(ⅱ)の取組みについて
本プランは、以下のような点から、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないものと考えております。
(a) 本プランの内容は、大規模買付者に対して事前に大規模買付情報の提供及び大規模買付行為の是非を判断する時間を確保することを求めることによって、大規模買付者の提案に応じるか否かについて株主の適切な判断を可能とするものです。したがって、株主共同の利益を害するものではなく、基本方針に沿う内容となっております。
(b) 本プランにおいて、対抗措置が発動される場合としては、大規模買付者が予め定められた大規模買付ルールを遵守しない場合や、当社企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合に限定しております。このように、対抗措置の発動は当社の企業価値及び株主共同の利益に適うか否かという観点から決定することとしておりますので、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的としないものとしております。
(c) 本プランにおいては、独立性の高い社外者を構成員とした独立委員会を設置し、対抗措置の発動を当社取締役会が判断するにあたっては、独立委員会の勧告を最大限尊重することとしております。また、当社取締役会において、必要に応じて外部専門家等の助言を得ることができるものとしております。このように、対抗措置を発動できる場合か否かの判断について、当社取締役会の恣意的判断を排除するための仕組みを備える内容となっており、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもないといえます。
本プランは、更新後3年毎に、本プランの期間更新又は廃止について、定時株主総会の議案として上程し、株主に対して本プランの継続の是非を直接判断いただくこととしております。また、取締役の任期を1年としていることを前提として、毎年、定時株主総会における取締役の選任議案に各取締役候補者の本プランに関する賛否を記載するとともに、定時株主総会後、最初に開催される取締役会において、株主より選任された取締役が本プランの継続または廃止の決議を行い、決議結果を速やかに株主及び投資家へ開示することとしております。
このように、本プランの継続については、株主の意思が直接反映されるよう努めており、株主共同の利益を害することのないよう、また、当社の会社役員の地位の維持につながることのないよう努めております。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、367百万円であります。