有価証券報告書-第67期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/29 9:03
【資料】
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【項目】
155項目

対処すべき課題

有価証券報告書に記載されている将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(Ⅰ)経営の基本方針
アシックスグループは、「ASICS SPIRIT」に掲げた創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし- "Anima Sana In Corpore Sano" 」を基本に、ビジョン「Create Quality Lifestyle through Intelligent Sport Technology-スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」の実現に向けて、「アシックスの理念」をもって事業運営を行っております。
(Ⅱ)長期ビジョン「VISION2030」策定
当社は、「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学とし、主に「パフォーマンス・アスリート」のための「プロダクト」を中心にビジネスを展開してきました。しかし、世界の60歳以上の人口が今後非常に速いペースで伸びていくことが予測され、より長く健康でいることが注目されています。また「健康」の定義も、昨今は身体の健康だけでなく、心の健康まで含めるようになっています。このように急激に変化していく社会環境の中で創業哲学を実現するため、誰もが「ライフタイム・アスリート」として、スポーツを通じて心も身体も満たされるライフスタイルを創造していくことを目指し、そのために当社が2030年にあるべき姿としてVISION2030を策定いたしました。0102010_001.png

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これからの10年に向けて、当社は「プロダクト」に加え「ファシリティとコミュニティ」「アナリシスとダイアグノシス」これら3つの事業ドメインでビジネスを拡大していきます。この3つの事業ドメインを通じて、人々の心と身体の健康を実現していきます。
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すべての事業ドメインに共通して、この3つのテーマを掲げています。進化を続けるデジタル技術を活用し、各個人に合わせてパーソナライズされた製品・サービスを、環境に配慮したサステナブルな手法で開発・提供していきます。これら3つのテーマを通じて、各事業ドメインを単独で成長させつつ、それぞれの事業ドメインが交わることで相乗効果を生み出し、価値の最大化を図ります。
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(Ⅲ)中期経営計画2023策定
① 前中期経営計画(AGP2020)の振り返り
2018年に計画を修正し、成長拡大ではなく収益性フォーカスへの方向転換を実施いたしました。修正後の数値目標はいずれも未達成であるものの、製販一体となったカテゴリー体制の導入と全社でのコストコントロールにより、収益性悪化を抑制することができました。また、ランニングも製品の評価が高まっており、注力してきたEコマースも消費者のデジタルシフトと相まって、急拡大しています。一方で、収益改善分野としていたアパレルやコアパフォーマンススポーツ、リテールビジネスでは、2016年以降の数年間、拡大路線において大きく投資したリテールやスポーツマーケティングが収益を圧迫し、十分な収益改善には至っておりません。また、デジタルを中心としたオムニチャネルにおけるリテールビジネスの再編も課題として捉えており、引き続き利益体質を確立するための戦略、施策にフォーカスしていきます。
② 経営環境
●市場環境
新型コロナウイルスの影響によって、個人消費の落ち込みや、各種スポーツイベントの中止や延期、無観客試合への変更などといった措置もとられ、経済活動に大きな影響が及ぼされています。先の見通せない状況が続いていますが、その一方で、一人でも楽しめるランニングやウォーキングへの注目が高まっています。それらを実施するためのシューズやアパレルなどの製品、デジタルを活用したバーチャルレースなどのサービスへの需要も高まってくると予想しています。
●競合他社の状況
世界各国において直営店やスポーツ用品店の一時閉店が相次ぎ、厳しい状況が続いているものの、Eコマースビジネスの売上は増加傾向にあり、今後もデジタル分野への投資が注力されることが予想されます。
●顧客動向
コロナ禍における健康意識の高まりから、心身の健康維持のための運動はこれまで以上に重要視されるようになっています。昨年グローバルで実施したランニングに関する意識調査では、73%の人が、新型コロナウイルスが収束した後も、同じように走り続けたいと考えているという結果も出ており、このトレンドは今後も継続すると見通しております。また、より持続的な社会を実現するために、消費に対する価値観やニーズの変化、さらに脱炭素社会に向けた地球規模での取り組みも、今後より一層大きく動いていくと想定しています。
③ VISION2030と中期経営計画2023の位置づけ
中期経営計画2023は、VISION2030実現のための重要な最初の3ヵ年計画であり、将来の持続的成長に向けて、まずはランニングにおいてプロダクトを軸に3つの事業ドメインの連携を強めることに注力します。また、収益性にフォーカスすることで、安定した財務基盤の確立を目指します。
④ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中期経営計画2023を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として、以下の戦略目標、方針に従って定めた重点戦略を着実に実行することで、収益性を高めることに注力し、将来の持続的成長のための安定した財務基盤を確立します。
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⑤ 経営指標
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