有価証券報告書-第65期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/29 13:56
【資料】
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【項目】
120項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「ASICS SPIRIT」に掲げた創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし-"Anima Sana In Corpore Sano"」を基本に、ビジョン「Create Quality Lifestyle through Intelligent Sport Technology-スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」の実現に向けて、「アシックスの理念」をもって事業運営を行っております。
(2) 中期経営計画「ASICS Growth Plan (AGP)2020」のアクションプラン
中期経営計画「ASICS Growth Plan(AGP)2020」の数値目標の達成に向け、その具体的な行動計画である「アクションプラン」を策定しました。この施策に基づき、収益性の改善および持続的な成長を図り、2020年12月期の連結売上高5,000億円以上、営業利益率7%以上、ROE10%以上の達成を目指します。
①アクションプランの概要
アクションプランは、本社のカテゴリー部門が企画・開発からマーケティング、販売までを統括するプロダクトカテゴリー基軸の体制に変更することで、これまで以上に収益責任を負い、販売子会社とともにグループ一体となって利益ある成長を推進します。その上で以下の重点項目への対応を強化していきます。
②重点項目
(ⅰ)米国におけるパフォーマンスランニングへの注力
✓アメリカ市場は最大かつ最重要市場と認識し、これまで以上に本社機能のリソースを投入し、若いランナーの取込みを目指す。
✓本社の各カテゴリーのトップが、米国市場での売上高と利益に対して徹底的に責任を負う。
✓本社のマーケティングや商品企画部門がアメリカ販社のセールスと共に、競争力あるキーアカウントとのパートナーシップを確立し、更なるシェア拡大に努める。
(ⅱ)中国市場における成長加速
✓拡大する中国市場の成長をしっかりと取り込むため、迅速な意思決定を実施する中国本部を上海に設置し、市場成長を超えたシェア獲得を目指す。
✓アパレル、アクセサリーの現地企画開発機能を強化して地域のニーズに迅速に対応。
✓独自の発展を遂げている中国のデジタル領域では、中国大手のE リテイラーとの関係を強化し、SNSなど中国独自のデジタル環境を活用しながら成長を加速。
(ⅲ) デジタル事業を新たな成長ドライバーへ
✓お客様接点を構築するデジタル機能を集結させ、新たな成長ドライバーとして確立。
✓デジタル部門はEC事業の収益責任を担い、フィットネスアプリやCRMをECに結びつける。
✓「お客様視点」を第一としたユーザビリティの追求による、トラフィック、コンバージョンの向上。
(ⅳ)アパレル事業を利益ある成長に転換
✓中国とアメリカでのローカルクリエーションを強化し、各地域のお客様の嗜好やトレンド、販売チャネルの特性に応じて、商品企画・デザインを行い売り切る仕組みを構築。
✓各地域のアパレルについて収益管理を徹底し、黒字化を目指す。
(ⅴ)その他
✓国、地域、店舗、カテゴリーごとの撤退基準の導入。
✓リテール損益管理の徹底とアシックス文化の発信。
✓コスト構造改革(あらゆるコストの見直し)。
(将来に関する記述等についてのご注意)
有価証券報告書に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
会社の支配に関する基本方針について
① 会社の支配に関する基本方針の内容
当社は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社の取締役会の賛同を得ずに行われる、いわゆる「敵対的買収」であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。特定の者による当社株式の大規模な買付行為等に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。
一方で、当社および当社グループは、株主の皆様をはじめ、お客様、取引先および従業員等のステークホルダーとの間に築かれた良好な関係を基本として、スポーツを核とした事業領域で当社が長年つちかってきた「技術」、「製品」、「ブランド」に対する信頼こそが強みであり、これを維持し促進することが当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資すると考えます。従って、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者としては、これらに関する十分な情報や理解がなくては、将来実現することのできる当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する可能性があり、不適切であると考えます。
② 当社の状況および企業価値向上に向けた取り組み
当社は、1949年に、スポーツを通じて青少年の健全な育成に貢献することを願い鬼塚商会として創業以来、「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学とし、「スポーツを通して、すべてのお客様に価値ある製品・サービスを提供する」ことを理念に、お客様の求めるものを徹底的に追求し、世界のスポーツをする選手、スポーツを愛するすべての人々や健康を願う方々の役に立つよう、技術とものづくりに対するこだわりを持ち続けてまいりました。
1977年に、同業2社との合併を機に、この創業哲学のラテン語「Anima Sana In Corpore Sano」の頭文字から社名を株式会社アシックス(ASICS)へ変更し、社業の発展に努めてまいりました。
当社は、2016年から2020年度までの中期経営計画「ASICS Growth Plan (AGP) 2020」に基づき、3つの事業領域である①アスレチックスポーツ事業領域、②スポーツライフスタイル事業領域および③健康快適事業領域において、当社グループ共通の7つのコア戦略を遂行し、事業の拡大・強化に取り組んでおります。
また、当社グループは、コーポレートガバナンス基本方針を制定し、企業価値を継続的に高め、株主の皆様をはじめ、すべてのステークホルダーからさらに信頼される会社となるために、スピードある透明性の高い経営を実現するためのコーポレートガバナンスを目指し、その中で、経営管理体制の整備を行うとともに、企業経営に関する監督および監査機能・内部統制の充実、コンプライアンスの徹底、経営活動の透明性の向上などに努め、株主の視点を経営に反映させることを心がけております。
③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針が支配されることを防止するための取り組み
当社は、平成29年3月29日開催の定時株主総会において、当社株式の大規模な買付行為への対応方針の一部を改定して3年間継続することを決定いたしました(以下、改定後の当社株式の大規模な買付行為への対応方針を「本対応方針」といいます。)。
本対応方針の概要は次のとおりです。
当社取締役会は、大規模買付者による情報提供及び大規模買付行為に対する取締役会の意見の公表に関する合理的なルールに従って大規模買付行為が行われることが、当社の企業価値・株主共同の利益に資すると考え、事前の情報提供に関する一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設定いたしました。
大規模買付ルールの概要は次のとおりです。
(ⅰ)大規模買付者には、大規模買付行為の前に、当社取締役会に対して、当社株主の皆様の判断および当社取締役会としての意見形成のために必要かつ十分な情報(以下「本必要情報」といいます。)を書面で提供していただきます。当社取締役会は、取締役会による評価、検討、意見形成等のため必要かつ十分な本必要情報が大規模買付者から提出されたと判断した場合には、直ちにその旨大規模買付者に通知するとともに、速やかに当社株主の皆様に公表します。なお、大規模買付者からの情報提供の迅速化と当社取締役会が延々と情報提供を求めて情報提供期間を引き延ばす等の恣意的な運用を避ける観点から、この情報提供期間は意向表明書の受領から最長60日としております。
(ⅱ)当社取締役会は、取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)として、大規模買付者が当社取締役会に対し本必要情報の提供を完了したと公表した日の翌日から、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付けの場合)または90日間(その他の大規模買付行為の場合)を設定します。取締役会評価期間の終了までに、取締役会が評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案をなしえないときは、独立委員会からの勧告を最大限尊重したうえで、合理的な範囲内において取締役会評価期間を延長することができるものとしますが、その場合でも取締役会評価期間は最長120日までとします。なお、取締役会評価期間を延長する場合は、延長する理由、延長期間等を開示いたします。大規模買付行為は、取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるものとします。当社取締役会は、取締役会評価期間中、独立委員会に諮問し、必要に応じて外部専門家等の助言および監査役の意見を参考に、提供された本必要情報を十分に評価・検討し、独立委員会からの勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置の発動または不発動を含め、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめて決議し公表します。
次に大規模買付行為がなされた場合の対応方針の概要は次のとおりです。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守する場合、当社取締役会は、大規模買付行為に対する対抗措置の発動要件を満たすときを除き、当社株主の皆様に対して、当該買付提案に対する諾否の判断に必要な判断材料を提供させていただくにとどめ、原則として、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。
当社取締役会は、大規模買付ルールを遵守しなかった場合のほか、大規模買付ルールが遵守された場合であっても、当該大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう場合で、かつ、対抗措置を発動することが相当であると判断したときに限り、株主総会において株主の皆様に承認を得たうえで、当社株主の皆様の利益を守るために、当該大規模買付行為に対する対抗措置として、無償割当てによる新株予約権を発行することができるものとします。なお、当社取締役会が当該判断を行う場合には、外部専門家等および当社監査役の意見を参考に、提供された本必要情報を十分に評価・検討したうえ、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。また、当社取締役会は、対抗措置を発動するに際し、株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、株主総会を招集し、対抗措置に関する当社株主の皆様の意思を確認するものとします。かかる株主意思確認のための株主総会において、出席株主の議決権の過半数の賛同が得られなければ、対抗措置の発動は行いません。その場合、大規模買付者は、当社株主の皆様の意思を確認し、対抗措置の発動・不発動が決定されるまで、大規模買付行為は開始できないものとします。
④ 上記取り組みが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
まず、本対応方針は、会社の支配に関する基本方針に沿って、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを当社株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、当社株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
次に、本対応方針は、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合や、大規模買付ルールを遵守する場合であっても、当該大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう場合で、かつ、対抗措置を発動することが相当であると判断したときに限り、株主総会において株主の皆様の承認を得たうえで、対抗措置が発動されるように設定されており、当社取締役会による恣意的な対抗措置の発動を防止するための仕組みが確保されています。
また、本対応方針における対抗措置の発動等に際しては、独立社外取締役または独立社外監査役によって組織された独立委員会に諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。また、その判断の概要については当社株主の皆様に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本対応方針の公正・透明な運用が行われる仕組みが確保されています。
最後に、本対応方針は、株主総会における当社株主の皆様の承認を条件に継続されるものであり、その継続について当社株主の皆様の意向が反映されることとなっております。また、本対応方針継続後、その後の株主総会において本対応方針の変更又は廃止の決議がなされた場合には、本対応方針も当該決議に従い変更又は廃止されることになります。
さらに、当社取締役の任期は1年間となっており、毎年の取締役選任手続を通じて本対応方針の継続、廃止または変更の是非の判断に当社株主の皆様の意向が反映されます。
これらの措置により、本対応方針は、会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。