有価証券報告書-第70期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/22 15:22
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183項目

有報資料

(1)経営方針・理念
当社グループは、1957年10月9日の設立以来、半世紀以上に亘り「『眼』の専門総合メーカー」として、人々の多様な「みえる」喜びを創造できる社会の実現を目指し、コンタクトレンズとケア用品を中心に取扱い、幅広く事業を展開しております。
当社グループの企業ビジョンについては以下のとおりです。
(企業ビジョン)
企業ビジョンとしての最上位概念をパーパスとしております。パーパスの実現のため、会社としての行動方針や意思決定の基準となる経営理念、社員が日常の業務レベルで持つべき価値観・行動基準をカルチャー、順守すべき規範を表した行動規範として設計しています。
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(2)経営環境
当連結会計年度における日本経済につきましては、企業収益において米国の通商政策の影響が残るものの、改善
の動きがみられます。雇用情勢や所得環境の改善の動きが続く中で、個人消費は持ち直しの傾向がみられ、設備投
資も底堅く推移しており、国内景気は緩やかに回復しつつあります。しかしながら、米国の通商政策による影響や
中東情勢の緊迫化等、地政学リスクの高まりにより、原材料価格やエネルギー価格の高騰が懸念され、下振れリス
クをはらんでおります。
国内のコンタクトレンズ市場においては、近視人口増加に伴う装用人口の増加や装用者の年齢層拡大を背景とし
て、緩やかながらも成長を続けております。特に乱視用や遠近両用等のスペシャリティレンズ、ファッション性の
高いサークル・カラーレンズ、就寝時に装用し日中裸眼で視力矯正効果が得られるオルソケラトロジーレンズ等の
需要拡大は続いております。海外のコンタクトレンズ市場におきましても、中国市場の停滞感は見られるものの、特に東南アジアやインド等、急速に経済発展している国々においては、さらなる市場の拡大が見込まれておりま
す。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の景気見通しにつきましては、中東情勢の緊迫化等を背景とした石化製品の供給不安や価格の上昇、物流コ
ストの高騰、円安による輸入物価の上昇等の影響により、景気の先行きについてはより一層不透明かつ予断を許さ
ない状況が続いております。
コンタクトレンズの国内市場におきましては、高齢化と人口減少が進んでいるものの、近視人口増加に伴う装用
人口の増加や、装用者の年齢層拡大を背景とした遠近両用レンズの需要拡大等によって、引き続き安定して成長す
ると推測しております。海外市場につきましても、近視人口の増加は喫緊の課題であり、人口増加と所得水準上昇
が見込まれるアジア、インド等の国々においては、特に市場の伸長が見込まれます。
鴻巣研究所では、安定した商品供給と今後の成長戦略を実現するため、4号棟稼働による生産力の抜本的引き上
げに取り組んでおり、国内外の需要の拡大に応えてまいります。
国内における商品戦略におきましては、主力商品である国産の「シード1dayPureシリーズ」の中でも、特に乱
視用や遠近両用といったスペシャリティレンズの販売に引き続き注力いたします。また、当社の収益の柱である
「シード1dayPureシリーズ」のリブランディングに着手いたします。既存ブランドのマーケティング戦略を改め
て見直し、「国産」「32枚入り」という商品特長を活かしながら、ブランドイメージや商品価値を再構築してまい
ります。また、新素材のシリコーンハイドロゲルレンズにつきましては、現在承認申請中の段階であり、2028年3
月期の全国発売に向けて、2027年3月期には先行販売を予定しております。サークル・カラーレンズにつきまして
も、WEB広告等を活用したプロモーション展開を積極的に行ってまいります。さらに、2027年3月期に新色の発売
やスペシャリティレンズの拡充も予定しております。
海外における商品戦略におきましても、円安メリットを活かしながら積極的な販売活動を展開いたします。特に
中国市場におきましては、連結会社の完全子会社化により、経営の意思決定スピードを一層高めます。また、国際
事業本部内に中国営業部を新設し、より中国国内での売上拡大を進めてまいります。さらに、シンガポールに新た
な物流拠点を構築することで、特にベトナムやマレーシア等、今後の成長が期待できる東南アジア地域での販売強
化につなげます。
(4)TCFD提言に対する当社の対応
(ガバナンス)
① 気候変動関連のリスク及び機会についての取締役会による監督体制
気候変動関連のリスク及び機会を含む経営上の最重要事項に関する意思決定機能は取締役会が担っており、業務執行状況に関する定期報告やリスク・セキュリティ管理委員会における重要決定事項の報告を受け、業務執行の監督を行っています。
EMS(環境マネジメントシステム)における各実施責任者が環境法規におけるリスクや気候変動関連リスクに関して十分な審議を行った上で、環境管理責任者に報告し、リスク・セキュリティ管理委員会に付議されます。リスク・セキュリティ管理委員会はリスク管理プロセスにおいて中心的な役割を果たしており、全社に影響を及ぼすリスクの特定及び対策を策定し、適宜取締役会に付議しています。また、年度ごとに各実施責任者が現状のリスク及び機会についての評価案をまとめ、環境管理責任者に報告し、環境管理責任者がリスク・セキュリティ管理委員会に付議し、委員会における討議を経て、リスク・セキュリティ管理委員会の委員長でもある代表取締役が取締役会に報告を行います。
② 気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割
当社のEMSにおけるトップマネジメントは代表取締役が担っております。代表取締役は、取締役会のメンバーであり、リスク・セキュリティ管理委員会の委員長です。EMSのポリシー、リスクと機会、ビジネス戦略、目的、行動計画、及び進捗状況について、リスク・セキュリティ管理委員会で意思決定された事項の報告を受け、EMS推進業務執行及びリスク管理システムの監督を行います。
(戦略)
① 短期・中期・長期のリスクと機会
リスク:TCFDが定義するハイリスクセクターのように、長期的に大規模な事業転換や投資を必要とするような重大な気候関連リスクは認識されていませんが、以下のリスクについて今後対応策を検討してまいります。
・物理的リスク
気候変動に伴う製造設備地域での災害リスク、サプライチェーンの寸断リスク等
・移行リスク
カーボンプライシングによるコスト増(炭素税によるコスト増加。排出権取引)
・法令リスク
環境関連法令の厳格化に伴う遵守に向けての体制整備、設備対応等によるコストアップ等
機会:気温上昇に起因する生活環境の変化による、アレルギー罹患率の増加等の事業機会が考えられます。眼におけるアレルギー罹患率も同様に増加すると考えられ、1日使い捨てコンタクトレンズユーザーの増加や、抗アレルギー薬を持続的に投与できる機能性コンタクトレンズへのニーズの増加が予測されます。また、環境意識の高まりによる環境配慮商品への期待等、新たな商品開発や研究開発の機会が増加すると考えております。
② 事業・戦略・財務計画に及ぼす影響
製造業一般に対する新たな規制強化が実施される可能性も念頭に規制動向は注視することが必要であると認識しております。一方で、環境負荷を低減する製造プロセスの構築や、サプライチェーン全体の気候レジリエンス強化への対応による、機会のポテンシャルもあると考えています。
③ 1.5℃目標等の気候シナリオを考慮した組織戦略の強靭性
環境関連法令等を管理する部署を一元管理及び監督するプロジェクト発足等、EMS(環境マネジメントシステム)にて情報収集、審議を行っております。
なお、国際エネルギー機関(IEA)及び気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオを参考に、1.5℃(脱
炭素社会への移行を達成)シナリオにおいて、ロジックツリーを用いた、気候変動による当社事業への影響(リス
ク)と対応策を整理し、グループ一体で環境経営を推進します。
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(リスク管理)
① リスク識別・評価のプロセス
リスク・セキュリティ管理委員会は、EMS(環境マネジメントシステム)における各実施責任者が特定し、環境管理責任者より報告された環境法規におけるリスクや気候変動関連リスクのうち、特に経営に大きな影響を与えるものを全社リスクとして特定します。さらに、リスクの影響度(財務的影響)及び発生可能性(発生頻度)を討議し、高・中・低の3段階で優先順位を決定するとともに、対応する部署を選定し、取締役会へ報告します。
② リスク管理のプロセス
実施責任者は、抽出したリスクの評価と改善を行い、適切なタイミングで環境管理責任者に報告を行います。環境管理責任者は、報告内容を評価し、代表取締役がトップマネジメントを行うリスク・セキュリティ管理委員会に報告します。
③ 組織全体のリスク管理への統合状況
リスク・セキュリティ管理委員会規程に基づく全社的なリスクマネジメント体制を構築しております。気候変動を含む外部環境変化についても、全社的「リスク」、業務別「リスク」の大きさ・発生可能性・発生頻度の評価を行い、重要なリスクの対策及び対応に関しては、取締役会に上程し、取締役会で検討及び関係各署への改善指示を行います。
(指標と目標)
① 組織が戦略・リスク管理に即して用いる指標
当社は中長期的な視点をもって環境保全活動を推進しており、2021年11月に発表した中期経営計画の一つの柱としてSDGsの推進を掲げております。今後、社会からの期待・要望の変化を踏まえ、中長期視点でマテリアリティを設定し対応してまいります。最終的には、2050年カーボンニュートラルの実現を目指して、2030年を中間目標として設定し、2030年において鴻巣研究所におけるScope1、2を対象としてCO2排出量原単位を2022年度比で50%改善することを削減目標としております。
② 温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)
Scope1、2、3について算出を終了し、削減計画の策定を行っております。なお、温室効果ガス排出量(Scope3を含む)の一部につきましては、第三者機関による保証を取得しております。
2025年3月期(確定値)2026年3月期(速報値)
Scope14,895(t-CO2)4,834(t-CO2)
Scope218,310(t-CO2)18,825(t-CO2)
Scope352,478(t-CO2)71,765(t-CO2)
合計75,683(t-CO2)95,424(t-CO2)

③ リスクと機会の管理上の目標と実績
リスク、機会の抽出については取締役会に提案し、議論を実施し、共有を図っています。
[削減目標(KPI)]
項目削減量
2030原単位排出量23.15g/枚
CO2排出量24,307t

(5)重要課題(マテリアリティ)
2024年10月、当社グループの存在意義を、多様な「みえる」喜びを創造できる社会を実現することとし、『まだ
みぬ、世界は、美しい』をキャッチコピーとするパーパスを策定いたしました。
それに伴い当社が解決すべき社会課題や、社会要請を「シードのマテリアリティ」と特定し、ステークホルダー
とのエンゲージメントを高める指標といたします。
グループパーパスと実現のための経営理念は、ゆるがない、あるべき姿です。
これらを支える価値創造基盤が「品質」「人材」「環境」「ガバナンス」であり、今回のマテリアリティの大枠
としています。抽出した課題への対応状況においては毎年実績を報告するとともに、外部環境の変化に応じて数年
ごとにマテリアリティの見直しも実施する予定です。
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