有価証券報告書-第72期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/26 12:03
【資料】
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【項目】
163項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
[会社の経営の基本方針]
当社は、「われらの優良な商品で世界の市場をにぎわせよう」「誠意と努力は他を益し自己の幸福の基となる」を創業理念とし、掲げております。当社の創業理念は、会社の根幹を成すものであり、当社のみならず当社グループにおいて脈々と引き継がれております。創業理念の実現に向かって進むべき羅針盤として、次の企業理念・企業指針を定め、企業価値の持続的向上を図ってまいります。
「タカラトミーグループは、すべてのステークホルダーの『夢』の実現のために、新しい遊びの価値を創造します。」
お客様 タカラトミーグループは、あらゆる人々の「夢」を形にし、「新しい遊びの価値」を提供します。
社 員 タカラトミーグループは、社員の自主性と創造性が最大限に発揮される職場環境を提供し、いきいきと働くことができる企業を目指します。
株 主 タカラトミーグループは、質の高い成長と健全な経営を通じて、株主の期待・信頼に応えます。
パートナー タカラトミーグループは、公正・公平な取引を行うと共に、パートナーとの共存共栄を目指します。
社 会 タカラトミーグループは、誠実な企業活動を持続することで、21世紀の社会に信頼される企業市民を目指します。
[目標とする経営指標]
当社グループは、株主資本の効率的運用及び収益性の追求の観点から、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標としております。また、2021年5月11日に公表いたしました中期経営計画の最終年度となる2024年3月期の数値計画として「売上高1,850億円、営業利益150億円、自己資本利益率(ROE)12%超」を掲げておりましたが、資源価格の上昇や為替の変動、地政学リスクの上昇など、当社を取り巻く経営環境が大きく変化していることから、2024年3月期の通期連結業績見通しにつきましては「売上高1,950億円、営業利益135億円」といたしました。
なお、中期経営計画において「3か年*合計の営業利益計画350億円」も掲げており、2022年3月期及び2023年3月期の2か年合計の営業利益は254億円、進捗度73%であり3か年合計の営業利益計画を達成する見込みであります。
*2022年3月期から2024年3月期の3か年
[中期的な会社の経営戦略、会社の対処すべき課題と対応方針]
2024年3月期においては、2022年3月期よりスタートした中期経営計画の最終年度として、経済活動や消費者の行動変化へ柔軟に対応を行い、次の方針に基づいて、中期経営計画の各施策達成に向かって取り組んでまいります。
・消費者行動の変容に対応
・外部環境の変化に対応する事業構造の変革(社会情勢・円安傾向・原材料高騰への対応)
・タカラトミーの強み(商品力、ブランド力、顧客ベース)を活かしたビジネス展開
・経営環境に応じたコストコントロールと流動性資金の確保
当社グループは、企業理念である「すべての「夢」の実現」に向けて、「アソビ」の強化をさらに進め強固な経営基盤を築くとともに、海外展開を推進し、真の国際優良企業(Outstanding Global Company)への変革を図ってまいります。
<中期経営計画の達成に向けて>タカラトミーグループは「おもちゃ」が本来持っている「ワクワク・驚き・感動・笑顔」を消費者に更に提供すべく、事業の軸の基点を「おもちゃ発」から「アソビ発」として変革を図っております。中期経営計画では、「アソビで、世界はもっと良くなる。だからアソビで、未来のグローバル社会に大きくこたえます」をビジョンとして掲げ、ターゲット年齢層、市場地域を広げるとともに、事業領域の拡大を図っています。
また、中期方針を「グローバルで強みを活かしたSustainable Growth(持続的成長)実現に向けた基盤整備を行うこと」と掲げました。これらを推し進めるために、現在6つの全社戦略に取り組んでいます。
① 「適所適材」をキーとした出口・年齢・地域のさらなる攻略
アジア市場での「トミカ」拡大に取り組むとともに、大人(Kidults層)に向けた「トミカプレミアム」の多様な商品展開を進めました。さらに、「ダイアクロン」の国内及びアジアでの拡大を進め、また店頭への人流が戻りつつある中、小売事業キデイランドにおいては、人気キャラクターを中心として顧客層の拡大に成果をあげることができました。
今後も、タカラトミーの持つ多様なブランド及びIPパートナーの有用なブランドを活用した商品を、その強みをより発揮できる場所(適所)に展開してまいります。
② 日本を基点としたヒット商品の創出
新触感液晶玩具「ぷにるんず」の国内ヒットの2年目に、新たにオリジナルIPとしてテレビアニメ放送をスタートし、海外展開への着手をはじめ大きな成果をあげました。また、プリスクーラー向けIP『パウ・パトロール』の拡大で市場を牽引しました。
「トミカ」においては、新コンテンツとして『トミカヒーローズ ジョブレイバー 特装合体ロボ』を立ち上げるとともに、WEBアニメ配信の新しい試みも実施し、人気を博すことができました。
引き続き、各カテゴリーでNo.1になる商品を提案し、IP・海外メーカーパートナーとの取り組みを強化してまいります。
③ IP投資の継続でグローバル成長に備える
前述の『ぷにるんず』や『トミカヒーローズ ジョブレイバー 特装合体ロボ』の映像コンテンツを立ち上げるなど、新たな売上を創出しました。
次期に向けても、発売10年目を迎える動かして遊べる動物フィギュア「アニア」初のアニメ化『冒険大陸 アニアキングダム』や『ゴー!ゴー!びーくるずー』など商品発キャラクターのテレビアニメ放送も開始するなど、新たな成長に向けてIP投資を継続し、グローバル展開を推進してまいります。
④ アソビをキーとした新規事業の立ち上げ
アミューズメントマシン「ポケモンメザスタ」「ワッチャプリマジ!スタジオ」が好調に推移し市場を牽引しました。また、新たにクラスター株式会社とコラボレーションした「メタバース 黒ひげ危機一発」をオープンしました。
今後も、新たな成長に向けた事業の創造を継続し、新規市場を構築してまいります。
⑤ バリューチェーンへのDX活用による新しい価値創造
D2C事業「タカラトミーモール」において、顧客IDクラスタリングにより、適切な情報を適切なタイミングで顧客に提供するなど、引き続きDXを活用したビジネス拡大を図ってまいります。
⑥ サステナビリティ・CSRの取組み
タカラトミーグループのサステナビリティビジョン「世界中の子どもたちと友だちになる」の実現のために、8つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に沿った目標・KPIを定め、取組みを推進しております。
特に横断的な取組みが必要なテーマでは、代表取締役社長の直轄組織サステナビリティ推進室が統括するテーマ別タスクフォースを設置し、担当執行役員とグループ横断の多様なメンバーによって、取組みの実行・推進・新たな提案を進めています。
なお、2024年3月期においては以下のとおり事業展開を行ってまいります。
4月より、2023年に発売10周年を迎える「アニア」ではテレビアニメ『冒険大陸 アニアキングダム』をスタートいたします。また、「トミカ」「プラレール」「アニア」から生まれた個性豊かなキャラクターが織りなすアニメ『ゴー!ゴー!びーくるずー』のテレビ放送を開始するなど、関連商品と合わせた映像コンテンツ展開を進めてまいります。
また夏には、現代版ベーゴマ「ベイブレード」の第4世代となる「BEYBLADE X(ベイブレードエックス)」を市場投入する他、新作の映画公開となる「トランスフォーマー」においては関連商品の拡販に取り組んでまいります。
定番商品の「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」やトレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」のように、当社のビジネス基盤となる商品を引き続き強化するとともに遊び心をもった大人(Kidults層)など年齢層の拡大を図り、その他カテゴリーにおいても商品の企画開発・マーケティングに注力いたします。
事業領域拡大を図るための取り組みとしては、カードゲームアプリ「DUEL MASTERS PLAY'S(デュエル・マスターズ プレイス)」については定期的にバージョンの更新を行い、ゲーム性を高めるとともに、「ポケモンメザスタ」「ワッチャプリマジ!スタジオ」などのアミューズメントマシンをはじめとするデジタル関連事業等についても引き続き強化を図ってまいります。
アジア市場では、定番である「トミカ」「プラレール」の販売拡大を図るとともにキャラクター商品やアミューズメントマシンなどの展開を進めてまいります。
欧米豪についてはTOMY Internationalグループにおいて、コアブランドである「ベビー用品」「農耕車両玩具」を更に強化するとともに、2020年10月にTOMY International, Inc.の子会社となった米国の独立系玩具会社ファット・ブレイン・グループの強みである消費者直販プラットフォームの強化とビジネスシナジー拡大に取り組み、また、タカラトミーアーツが展開するぬいぐるみシリーズ「もっちぃもっちぃ、海外商品名:Club Mocchi- Mocchi-」などグループ会社との連携も一層強化してまいります。
なお、当社を取り巻く経営環境としては、新型コロナウイルス感染症対策の規制が緩和されるとともに社会経済活動の本格化が加速する一方で、資源価格の上昇や為替の変動、地政学リスクの上昇など、注視が必要な状況が続くと思われます。このような不透明な状況においても当社グループは、中期経営計画の達成に向けて「アソビ」を軸とした商品展開、事業領域の拡大に努めてまいります。
以上により、2024年3月期の通期連結業績見通しにつきましては、売上高195,000百万円(2023年3月期比4.1%増)、営業利益13,500百万円(同2.9%増)、経常利益13,000百万円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,000百万円(同8.2%増)と予想しております。