有価証券報告書-第77期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:20
【資料】
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【項目】
103項目

対処すべき課題

国内アニメ業界の市場規模は、近年ほぼ横ばいの状態が続いていますが、その中身は大きく変化しています。スマートフォン等のデジタル端末やブロードバンドの急速な普及により、アニメの視聴者層やその楽しみ方も多様化しています。国内のアニメ市場での成長には限界が見える一方、開拓余地の大きいアニメの周辺事業や海外の市場を取り込んで、中長期的な業績・業容の拡大を目指していく為に、当社グループでは以下の課題に取り組んでまいります。
・「企画・製作プロダクションとしての原点回帰」
アニメプロダクションとして、『企画・製作』は当社のコア事業でありエンジンです。この当社の強みである『企画・製作』を磨きこみ、業界や視聴者から選ばれるスタジオであり続けるための投資を加速していきます。戦略的投資枠を新設し、将来の成長を支えるヒット作品の種となるパイロット開発の数を増やし、若手クリエイターの育成を支援するとともに、映像技術の開発や製作工程の改善に向けた施策を推進していきます。また、数々の作品を生み出してきた大泉スタジオの建て替えにも着手しており、さらなる製作体制の充実を図っていきます。
・「フロンティアの開拓による成長」
国内アニメ市場の成長には限界が見える一方、国内での周辺市場や海外の市場には成長の余地が十分に残されています。国内では、近年、有力コンテンツを軸とした大型催事や店舗展開が、一定の成果を伴い着実に事業の裾野を広げてきております。中でも訪日観光客の増加といったインバウンド需要におけるコンテンツ消費が注目を集めています。また海外においては、映像配信やアプリ市場等の拡大が続いており、違法配信・違法商品といった問題は引き続きあるものの、成長著しいアジアを筆頭にコンテンツ利用の拡大が見込まれています。
こうしたこれまでも一定の成果をあげてきた周辺事業や海外事業において、既存事業の枠を超えた新たなチャレンジがさらなる成長には不可欠であり、海外での一次露出を前提とした企画開発や、オリジナルコンテンツ開発等を積極的に推し進めていきます。
・「創発企業2.0への進化」
「プロダクションとしての原点回帰」と「フロンティアの開拓」を実現するための行動指針として、当社の経営理念にある“創発企業”を『創発企業2.0』として再定義しました。『創発企業2.0』の下では、全ての社員が収益を最大化する企画や仕組みを考え新たなビジネスを創出できるよう、現場をエンパワーするさまざまな体制整備を進めています。さらに従来の職務別のタテ方向の連携から、有機的なタテヨコ連携へと変えるべく、人事異動の活性化のほか、部門横断の編成チームによる戦略検討プロジェクトを展開する等、現場主導で新しいことにチャレンジしていけるよう、新たな取り組みを継続して推進していきます。
こうしたチャレンジに当たっての制約は設けず、成長を加速させるための手段として、外部企業との業務提携やM&Aの検討に加え、中途採用の活性化・グローバル人材の育成を推進し、 『もっとたくさんの面白いことができる会社』を目指していきます。