有価証券報告書-第101期(2024/04/01-2025/03/31)
③ リスクとインパクトの管理
天然ゴム事業の中でも、調達(天然ゴムの栽培)と製造(ゴム加工)プロセスでの自然資本への依存度が
高いため、これら2つのプロセスに焦点を当て、同事業の自然資本への依存と影響及びリスクと機会を
特定し、それらへの対応状況を整理しました。この作業においては、TNFD関連文書を用いた文献調査に加え、事業の現場を知る当社従業員によるレビューを行いました。なお、以下の表でまとめているリスクと機会は
それぞれその重要性が「高」または「中」と評価されたものに限定しております。
LEAPアプローチによる分析・評価の結果、天然ゴム事業について、バイオマスや遺伝資源の供給等に依存
しており、土地利用の転換や廃棄物の排出等により自然環境に影響を与えうることがわかりました。また、持続可能性やトレーサビリティに関する規制導入・厳格化への対応が求められることがリスクに該当する
一方、持続可能な天然ゴムの供給によるブランド価値の維持、市場での優位性の確保が機会となることが
明らかになりました。天然ゴム事業では、これらを含む重要なリスク、機会について、次のとおりの対応を
既に行っており、引続き自然資本や生物多様性に配慮しながら事業活動を継続していきます。対応状況に記載
している「PROJECT TREE」とは、小規模農家への農業技術の教育を行い、当社が独自に開発したシステムを
用いて、原産地情報付きの天然ゴムを調達するプロジェクトです。タイヤメーカーに原産地情報付きの
天然ゴム素材を販売し、生産された協賛タイヤの売上の一部を小規模農家へ還元し、資源の持続可能な調達を
目指しております。
(a) 自然資本関連のリスク
(注)トレーサビリティを確保し、EUDR(欧州森林破壊防止規則)に対応している天然ゴム
(b) 自然資本関連の機会
天然ゴム事業の中でも、調達(天然ゴムの栽培)と製造(ゴム加工)プロセスでの自然資本への依存度が
高いため、これら2つのプロセスに焦点を当て、同事業の自然資本への依存と影響及びリスクと機会を
特定し、それらへの対応状況を整理しました。この作業においては、TNFD関連文書を用いた文献調査に加え、事業の現場を知る当社従業員によるレビューを行いました。なお、以下の表でまとめているリスクと機会は
それぞれその重要性が「高」または「中」と評価されたものに限定しております。
LEAPアプローチによる分析・評価の結果、天然ゴム事業について、バイオマスや遺伝資源の供給等に依存
しており、土地利用の転換や廃棄物の排出等により自然環境に影響を与えうることがわかりました。また、持続可能性やトレーサビリティに関する規制導入・厳格化への対応が求められることがリスクに該当する
一方、持続可能な天然ゴムの供給によるブランド価値の維持、市場での優位性の確保が機会となることが
明らかになりました。天然ゴム事業では、これらを含む重要なリスク、機会について、次のとおりの対応を
既に行っており、引続き自然資本や生物多様性に配慮しながら事業活動を継続していきます。対応状況に記載
している「PROJECT TREE」とは、小規模農家への農業技術の教育を行い、当社が独自に開発したシステムを
用いて、原産地情報付きの天然ゴムを調達するプロジェクトです。タイヤメーカーに原産地情報付きの
天然ゴム素材を販売し、生産された協賛タイヤの売上の一部を小規模農家へ還元し、資源の持続可能な調達を
目指しております。
(a) 自然資本関連のリスク
| 区分 | 事業 プロセス | 内容 | 対応状況 | 重要性 | |
| 物理的リスク | 急性 | 調達 | クローン個体で形成されるゴム 農園の病気への脆弱性により、病原菌やウイルスが蔓延する ことによる天然ゴムの収量低下 | PROJECT TREEにおいて、適切な農園管理により病原菌やウイルスが蔓延しづらい状態に保つことの重要性に関する教育活動を実施 | 中 |
| パラゴムノキの単一栽培が続くことで土壌中の微生物の多様性が減少し、根白腐病が蔓延することによる収量低下、品質低下 | PROJECT TREEにおいて、根白腐病 対策としてアグロフォレストリーを 含む他品種作物の栽培を農家に推奨 | 中 | |||
| 集中豪雨・洪水・台風等の自然災害の増加による天然ゴム栽培の継続性喪失 | 購買地域を工場所在地近郊のみ ならず、スマトラ島南部全体に分散 | 中 | |||
| 気候変動に起因する栽培適温からの逸脱、日照不足、降雨パターンの変化等に伴うゴムの木の生育不良、収量低下 | PROJECT TREEにおいて、適切な農園管理に関する教育活動を実施 | 中 | |||
| 加工 | 気候変動に起因する異常気象や自然災害による工場インフラの損傷や工場停止 | 過去の発災時に、洪水等の自然災害にすみやかに対応可能であることを確認済み | 中 | ||
| 洪水時における適切な取水不能 | |||||
| 水質基準を超過した排水の河川 への流出による、河川と流域 土壌の汚染 | 排水処理設備を備え、排水の水質 調査を毎時実施 | 中 | |||
| 慢性 | 調達 | ゴム農園による化学肥料の多量使用や、産業活動に伴う周辺の水質・土壌劣化による天然ゴムの収量低下、品質低下 | PROJECT TREEにおいて、汚染原因 となる化学薬品や排水処理に関する 教育活動を実施 | 中 | |
| 病原菌、害虫、害獣の増加に よる天然ゴムの収量低下 | PROJECT TREEにおいて、適切な農園管理に関する教育活動を実施 | 中 | |||
| 移行リスク | 政策・法規制 | 調達 | 持続可能性やトレーサビリティに関する規制導入・厳格化 | トレーサビリティを確保し、天然ゴムの持続可能性を高める活動であるPROJECT TREEを更に拡大、TREE+(注)の導入推進 | 高 |
| ゴム農園周辺の環境保護を目的 とした法規制の導入・変更、報告義務の強化 | PROJECT TREEを通じ、小規模農家 への法規制に関する周知・教育 によって法規制対応を推進 | 中 | |||
| 加工 | ゴム加工工場による負の環境 影響からの保護を目的とした 法規制の導入・変更、報告義務 の強化 | 環境関連データの整備を進め、必要に応じて改善 | 中 | ||
| 市場 | 調達 | 自然への負の影響が小さい、 持続可能な方法で生産・製造 された商品に対する需要増等の顧客の嗜好変化 | PROJECT TREEを通じ、持続可能な 天然ゴム生産を小規模農家に広め、市場に供給 | 中 | |
| 収益性の変化によりゴム農家が 転作することによる調達先の 減少 | PROJECT TREEにより農家が適切な 対価を得られる仕組みを整え、ゴム農家の転作を抑制(売上の 一部還元等) | 中 | |||
| 区分 | 事業 プロセス | 内容 | 対応状況 | 重要性 | |
| 移行リスク | 市場 | 加工 | 環境負荷の少ない製造工程の構築や、資源効率向上のための設備導入等ネイチャーポジティブな生産方法への移行 | 天然ゴム乾燥の熱源としてバイオマスを導入済みであり、ネイチャーポジティブな生産方法への移行を常に検討 | 中 |
| 技術 | 調達 | ゴム農家へのスマートフォンの普及停滞によるトレーサビリティ確保推進の遅延 | 農家に対するスマートフォン無償 提供を計画中 | 中 | |
| 評判 | 調達 | 自然管理が不十分な農園からの天然ゴム調達による、消費者や投資家からの批判増加、ブランド価値の低下 | PROJECT TREEにおける農家のリスク アセスメントにより、自然管理が 不十分な農園を特定・改善 | 中 | |
| サステナビリティ等を謳ったプロジェクトが実態を伴っていないことによる、グリーンウォッシュ批判の発生 | PROJECT TREEは国際NGOのPro- forest、SNVの協力、指導を得て 推進 | 中 | |||
| 加工 | 環境マネジメントの管理不足やそれに伴う環境事故による、認証の取消や企業価値の毀損 | 外部機関によるISO監査に加え、天然ゴム加工会社であるPT. Aneka Bumi Pratama(以下、「ABP社」という)の社内でも年に1度の内部監査を実施し、認証取消リスクを低減 | 中 | ||
| 責任 | 調達 | 上流サプライヤーから排出される廃棄物、汚染物質起因の悪臭や水質汚染による、地域コミュニティからの訴訟や罰金 | PROJECT TREEにおいて、農家に 対する汚水処理、廃棄物処理に 関する教育活動を実施 | 中 | |
| 加工 | 工場から生じた有害汚染物質や 内分泌攪乱物質由来の健康被害 等による周辺コミュニティから の訴訟や罰金 | 汚水処理、排気処理、廃棄物処理に関してはルールに従い適切に処理をして排出 | 中 | ||
(注)トレーサビリティを確保し、EUDR(欧州森林破壊防止規則)に対応している天然ゴム
(b) 自然資本関連の機会
| 区分 | 事業 プロセス | 内容 | 対応状況 | 重要性 | |
| 企業に関するパフォ|マンス | 資源効率 | 調達 | PROJECT TREEによる天然ゴム供給の高効率化 | PROJECT TREEにおいて、天然ゴムの収量増に寄与する農業技術支援・ 教育活動を展開 | 高 |
| 品種改良(自然災害や病害、高温への耐性、不稔化等) | PROJECT TREEにおいて、ABP社の主要取引先が自社農園において改良した品種を小規模農家へ配布計画中 | 高 | |||
| ブロックチェーン等技術を活用したトレーサビリティの促進 | 自社で開発したブロックチェーン 技術を活用したトレーサビリティ システムを用いてデータ収集中。 データを活用した物流の効率化やCO2排出量の削減を検討中 | 高 | |||
| 加工 | 廃タイヤの回収工程、再生加工の効率化 | 当社が資本参加している㈱ナルネットコミュニケーションズ向けの タイヤ配送網を活用した、廃タイヤ の回収及び回収タイヤの中古タイヤ ショップへの販売を検討中 | 高 | ||
| 区分 | 事業 プロセス | 内容 | 対応状況 | 重要性 | |
| 企業に関するパフォ|マンス | 製品・ サービス | 調達 | サステナビリティ認証された 天然ゴムの提供増加 | PROJECT TREEを通じたEUDR対応品の供給に注力。タイヤメーカーのEUDR対応品に対する高い需要に対応中 | 高 |
| 加工 | 廃タイヤ回収によるリサイクル製品の提供増加 | 回収した廃タイヤのうち、まだ使用可能なものは、中古タイヤショップ経由で消費者に再販予定 | 高 | ||
| 市場 | 調達 | 持続可能な天然ゴムの供給に よるブランド価値の維持、市場での優位性の確保 | PROJECT TREEのブランド価値向上により当該天然ゴムの流通量が増加し小規模農家のインセンティブ収入が増加 | 高 | |
| 昆明・モントリオール生物多様 性枠組み(GBF)2030及び2050の 目標に合致した事業戦略の策定 | PROJECT TREEでは「保護エリア周辺の農地開拓と違法伐採を止める こと」を目的としており、GBF 「ターゲット1空間計画の策定と 効果的管理」を推進可能 | 高 | |||
| 資本 フロー・資金調達 | 調達 | 自然関連や環境に配慮した ファンド、債券、またはローンへのアクセス | 金融機関がPROJECT TREE参加企業に対してサステナビリティリンクローンの提供を提案する等、PROJECT TREE参加企業全体への資金調達力 増強を期待 | 高 | |
| 持続可能性に関するパフォ|マンス | 自然資源の持続可能な利用 | 調達 | 自然への正の影響を増加/負の影響を減少させるプロセスへの移行 | PROJECT TREEでは保護林での違法 伐採を回避させることでネイチャーポジティブに貢献。また、常に ネイチャーポジティブな生産方法への移行を検討 | 高 |
| 加工 | リサイクルシステムの確立に よる自然への正の影響を増加/負の影響を減少させるプロセスへの移行 | これまで廃棄されていたタイヤを 再利用することによる環境負荷の 低減を目指す | 高 | ||