有価証券報告書-第80期(2023/04/01-2024/03/31)
② 戦略
当社グループは、気候変動への対応は企業の長期的価値を左右する重要な経営課題と認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。2021年に策定した「Vision2030」の実現に向け、マテリアリティを軸としたさまざまな取り組みにより、中長期的な企業価値の向上を目指しております。このような状況のもと、気候変動が将来の環境、社会、経済にもたらす変化と当社グループのビジネスモデルや事業活動等、今後の戦略への影響を把握するため、2021年より環境貢献委員会の活動の一環として、全社横断型のプロジェクトによる、気候関連シナリオ分析によるビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を継続して実施しております。
2023年度においては、当社グループの気候関連のビジネス機会の最大化とリスク低減を焦点とし、1.5℃と4℃の異なる複数のシナリオを用いて、TCFD提言が示す気候関連リスクと機会の全項目に対するインパクト評価を実施しました。評価の結果、世界的な低炭素経済への移行の進展に伴い、低炭素化への寄与度の高いデジタル・IT領域のサービス需要や市場は、上述の両シナリオ下において今後も拡大を続け、特に1.5℃シナリオにおいて、より当社グループの中長期的価値向上に寄与する成長機会となりうるとの認識に至りました。今後も当社グループの製品・サービスを通じて環境貢献が可能、かつ成長が期待される領域を中心に、機会拡大に向けた各種戦略を推進してまいります。
なお、2023年度のシナリオ分析によるインパクト評価において想定した、2050年のカーボンニュートラル移行に伴う環境・社会の変化と使用シナリオ、特定した気候関連リスクと機会は次の通りです。
■1.5℃シナリオ(使用シナリオ:IEA NZE2050、RCP1.9)
排出規制等、気候変動に関する各種政策・規制の強化。最終エネルギー消費における電力の比率の増加に伴う、2050年までの太陽光・風力産業・バッテリー産業関連の市場規模の大幅な拡大等
■4℃シナリオ(使用シナリオ:RCP8.5)
気候変動の影響による国際秩序の不安定化。市場混乱による経済危機リスクの増大等
表1(気候関連リスク)
※ 期間の定義:短期(0~3年)、中期(4年~10年)、長期(11年~)
表2(気候関連機会)
※ 期間の定義:短期(0~3年)、中期(4年~10年)、長期(11年~)
当社グループは、気候変動への対応は企業の長期的価値を左右する重要な経営課題と認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。2021年に策定した「Vision2030」の実現に向け、マテリアリティを軸としたさまざまな取り組みにより、中長期的な企業価値の向上を目指しております。このような状況のもと、気候変動が将来の環境、社会、経済にもたらす変化と当社グループのビジネスモデルや事業活動等、今後の戦略への影響を把握するため、2021年より環境貢献委員会の活動の一環として、全社横断型のプロジェクトによる、気候関連シナリオ分析によるビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を継続して実施しております。
2023年度においては、当社グループの気候関連のビジネス機会の最大化とリスク低減を焦点とし、1.5℃と4℃の異なる複数のシナリオを用いて、TCFD提言が示す気候関連リスクと機会の全項目に対するインパクト評価を実施しました。評価の結果、世界的な低炭素経済への移行の進展に伴い、低炭素化への寄与度の高いデジタル・IT領域のサービス需要や市場は、上述の両シナリオ下において今後も拡大を続け、特に1.5℃シナリオにおいて、より当社グループの中長期的価値向上に寄与する成長機会となりうるとの認識に至りました。今後も当社グループの製品・サービスを通じて環境貢献が可能、かつ成長が期待される領域を中心に、機会拡大に向けた各種戦略を推進してまいります。
なお、2023年度のシナリオ分析によるインパクト評価において想定した、2050年のカーボンニュートラル移行に伴う環境・社会の変化と使用シナリオ、特定した気候関連リスクと機会は次の通りです。
■1.5℃シナリオ(使用シナリオ:IEA NZE2050、RCP1.9)
排出規制等、気候変動に関する各種政策・規制の強化。最終エネルギー消費における電力の比率の増加に伴う、2050年までの太陽光・風力産業・バッテリー産業関連の市場規模の大幅な拡大等
■4℃シナリオ(使用シナリオ:RCP8.5)
気候変動の影響による国際秩序の不安定化。市場混乱による経済危機リスクの増大等
表1(気候関連リスク)
分類 | リスクの内容と発生した場合の潜在的な影響 | 期間 ※ | 対応策 | |||
移 行 リ ス ク | 技 術 | 低 炭 素 技 術 へ の 移 行 | 低炭素技術の進歩への対応遅れによる技術力、サービス開発力の低下 | ■製品およびサービスに対する需要減少による収益減少 ・低炭素型製品・サービスに対する顧客行動の把握や関連技術の進展に資する技術開発が適切に行われない場合、市場優位性が低下する。 ・市場優位性の低下により売上機会が減少し、開発投資支出を吸収できず、収益性が低下する。 ■資本へのアクセス減少 ・低炭素志向の投資家のサステナビリティ関連格付けと、顧客の調達先評価の低下により、収益機会が減少し、資金調達費用が増加する。 | 短期~ 中期 | ■低炭素技術開発に資する研究開発 ・開発投資 ・人財育成 ■顧客ニーズの変化に対応したサービスの提供 ・気候変動緩和や適応に資する環境貢献型サービスの提供 ・顧客エンゲージメントの推進 ■信頼される気候関連情報の開示 ・TCFD提言への取り組み ・投資家との建設的な対話の推進 ■低炭素な事業活動 ・RE100に加盟し、再生可能エネルギーへの転換を推進 ・バリューチェーンエンゲージメントの推進 |
市 場 | 変 化 す る 顧 客 行 動 | 低炭素型製品・サービスの需要と供給の変化を、適切に自社の製品・サービスへ反映できなかった場合の競争力低下 | 短期~ 中期 | |||
評 判 | ス テ | ク ホ ル ダ | の 懸 念 | 低炭素志向の顧客や投資家などのニーズの変化に対応したサービス提供や、情報開示が適切に行われないことによる企業評価の低下 | 短期~ 中期 |
※ 期間の定義:短期(0~3年)、中期(4年~10年)、長期(11年~)
表2(気候関連機会)
分類 | 機会の内容と影響 | 期間 ※ | 対応策 | |
市 場 機 会 | 製 品 ・ サ | ビ ス | ■R&Dおよび技術革新を通じた新製品やサービスの開発による収益増加 低炭素経済への移行に貢献する積極的な技術開発を通じ、新たな製品・サービスを創出する。それにより、新市場や新興市場へ参入し収益が増加する。 ■低炭素型製品・サービスの開発や拡張による収益増加 デジタルを活用した低炭素型製品・サービスに対する需要*の増加により売上機会が拡大する。 *当社グループの製品・サービスを通じて環境貢献が可能、かつ成長が期待される領域 ・ITを活用したエネルギー利用効率向上と再生可能エネルギー普及 ・ITによる物の生産・消費の効率化、ロス削減 ・現場に行かずに遠隔判断ができる仕組みづくり ・デジタル技術によるグリーンな都市の仕組みづくり ・デジタル技術による人の移動に頼らない仕組みづくり ・企業のネットゼロ経営の促進に貢献する各種サービス | 短期~ 中期 | ■新たな製品・サービスの開発による新市場、新興市場における収益機会の拡大 ・顧客・パートナー・政策決定者との協働(業務提携、社会実証等) ・気候関連テック企業への出資 ■低炭素型製品・サービスの拡張 ・アウトソーシングサービス提供の 推進 ・カーボンニュートラル関連サービスの拡張 |
※ 期間の定義:短期(0~3年)、中期(4年~10年)、長期(11年~)