有価証券報告書-第70期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:14
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【項目】
109項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府の経済政策や日銀の金融政策を背景に一部企業業績や雇用環境の改善など緩やかな回復基調にある中、消費税増税、円安の進行による原材料価格の上昇、夏場の天候不順や海外での政情不安を抱え先行きが不透明な状況で推移してまいりました。
一方、当企業グループが主に属する流通業界におきましては、電力料金の値上げ、生活必需品の物価上昇などにより消費者の節約・低価格志向が続き、消費税増税前の駆け込み需要の反動が長期化する中、オーバーストアなどに起因する激しい価格競争の中で、生き残りをかけた機能充実とローコスト競争が続いております。
このような環境の下、当企業グループは、連結子会社15社、非連結子会社1社および持分法適用関連会社1社を含め、物流を伴う現物問屋として、安心安全な商品の安定供給に全力を尽くすとともに、情報・物流・リテールサポート・品揃え・品質管理などの各機能を充実させた提案を行い、関連各部門および各子会社との連携強化による総合力を活かした商流の構築と共同配送事業の拡大に努めてまいりました。
また、新規取引先の獲得や既存取引先でのシェアーアップに一段と努力いたしました結果、売上高は3,490億67百万円(前年同期比0.9%増)となり、31億32百万円の増収となりました。
一方、利益面におきましては、グループ一丸となって、販売益の確保ならびにローコストオペレーションの追求による経費の節減に努力いたしました結果、営業利益は26億40百万円(前年同期比3.0%増)となり77百万円の増益、経常利益は29億96百万円(前年同期比2.7%増)となり78百万円の増益、当期純利益は負ののれん発生益および国庫補助金等を特別利益に計上していることから、26億41百万円(前年同期比152.6%増)となり15億95百万円の増益となりました。
なおセグメント別の業績は次のとおりであります。
(食品関連事業)
加工食品関連では、消費税増税後の節約志向、冷夏による夏物商戦の不振や商品の値上げなど厳しい環境の中、お得意先様への提案型営業を強化し売上の拡大に努めてまいりました。子会社の株式会社サンエー21と共に九州に根差した商品発掘・提案強化を行い、また、関東・関西地区においては子会社のマルゼン商事株式会社、カネトミ商事株式会社との連携を強化し、物流コストの削減や営業基盤づくりを推進してまいりました。
物流においては、お得意先様の変化に対応すべく、物流拠点の統廃合や在庫集約により全体在庫の効率化に取り組み、ローコスト機能の拡充と物流環境整備・物流品質向上を図り、営業部門と物流部門の連携をさらに強固なものにして、お得意先様に役立つ問屋機能の充実に努めてまいりました。
生鮮食品関連では、原料の高騰と円安による製品の値上がり、食品の安全性に対する要望の高まりや量販店、外食、運送業の人手不足が顕在化する中、原材料コストの低減と高品質で安心・安全な商品を供給するため、原料産地との取り組みや商品力、開発力、品質管理技術が高いメーカー様との協力体制を強化しました。また、九州の原材料や加工品を九州域外へ供給する体制の整備を行い、人手不足やコスト高に対応すべく集約物流の構築に努めました。
酒類関連では、輸入洋酒主要メーカーによる値上げが発表され、輸入ワイン・ウィスキーなどが大幅値上げ実施となりました。ビール市場は機能性発泡酒が各社から新投入され、国内外クラフトビール・プレミアムビールなどの付加価値商品やスパークリング清酒、日本製ワインなどの新しい価値商品に対する購買が続いています。さらに清酒市場では一部地酒を中心に売上回復の兆しが見え始めました。そうした環境の下、九州の地場卸の機能を活かして当社の柱として取り組んでおります本格焼酎では、焼酎情報機能としてのホームページ「焼酎紀行」とネット通販「焼酎紀行どっとねっと」を充実させるとともに、試飲会(大阪・東京・福岡)を開催して「焼酎のヤマエ」として市場の拡大に努めました。また、鹿児島で清酒試飲会を初めて開催し好評でした。
この結果、売上高は2,430億76百万円(前年同期比2.9%増)となり、セグメント利益は10億25百万円(前年同期比13.8%増)となりました。
(糖粉・飼料畜産関連事業)
糖粉関連では、小麦粉・砂糖の消費が低迷、米穀・食油価格が大きく下落する中、数量拡大を目指し優良お得意先様への拡販や新規取引先の獲得、新商材の拡販に注力してまいりました。また、消費税増税後の消費低迷や円安による原材料価格の上昇の中、経費節減に積極的に取り組んで利益の確保に努めてまいりました。さらに、各メーカー様と連携して安心・安全な商品を適正価格で安定供給することに努力してまいりました。
飼料畜産関連では、主力商品の配合飼料が、前半はとうもろこしと大豆粕の価格上昇の影響で値上げ、後半はとうもろこしの豊作等の影響で値下げとなりましたが、期末には円安の影響で反発しました。畜産物については、肉豚相場が輸入肉や国内肉の減少で大幅に上昇し、牛肉相場は円安により輸入肉が、頭数減少により国産肉が上昇しました。また、鶏卵相場は鶏卵不足で高値で推移しています。この様な状況の中、お得意先様への技術支援、販売支援などの機能を発揮することで、既存取引先のシェアーアップや新規取引先の獲得に努めました。
この結果、売上高は698億32百万円(前年同期比0.9%減)となり、セグメント利益は12億93百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
(住宅・不動産関連事業)
住宅関連では、消費税増税前の駆け込み購入の反動減の影響が長引き、住宅着工数が減少し、政府による住宅政策も振るわず消費者マインドの低迷が続いています。このような環境の下、新規販売先の開拓や大手ハウスビルダーとの関係強化とプレカットを中心とした関連商材販売や「地域型住宅ブランド化事業」を通した会員各社様との連携強化と販売経路の確立、当社が西日本地区の総代理店として取り組んでおります「通気断熱WB工法」の推進、トータル提案による受注に努めてまいりました。
賃貸事業では、福岡地区においては、企業の拡張移転・館内増床などの動きが活発で大型テナントの品薄感が強まり、中小規模のオフィス需要も堅調に推移していることから、空室率は改善傾向が続いています。しかし、立地条件や築年数で競争力の劣る物件では誘致先企業様の要望に柔軟に対応することが求められています。このような環境の下、「安全・安心・快適」をモットーにビル管理を充実させ、テナントビルの入居者確保に努めてまいりました。
この結果、売上高は227億6百万円(前年同期比2.7%減)となり、セグメント利益は9億94百万円(前年同期比16.4%減)となりました。
(その他)
運送事業では、景気は緩やかな回復基調が継続し荷動きは良好な状況が続いております。しかしながら物流を取り巻く環境は、ドライバー不足、環境対応への投資増、運賃の低迷などが経営に影響を及ぼしております。このような中、物流品質の向上、新規開拓、安全管理の徹底、業務の効率化、労働環境の改善、人材の確保などに積極的に取り組んでまいりました。
燃料関連事業では、石油製品は原油価格が高止まり状態から下落に転じましたが、販売価格競争が激化し利益の確保が難しく厳しい状況となりました。そうした中、卸・直売部門では新規開拓と仕入先との連携強化、コスト削減に取り組み、SS(サービスステーション)では提案力向上のためスタッフ教育に力を入れ競争力強化に努めました。また、太陽光発電設備は、順調に運用されております。
レンタカー事業では、国内の自動車保有台数が減少する中、レンタカーの登録台数・業者数は増加しており、価格競争が激しくなっています。さらに、カーシェア方式のレンタカーも各所のコインパーキングに設置され顧客の分散が始まっています。そうした環境の下、損保・代車チャネルは、同業他社との価格競争により苦戦を強いられましたが、個人・法人チャネルはWebによる車両受付の浸透により売上を確保しシェアを取り戻しつつあります。
情報処理サービス事業では、昨年度の消費税率変更に伴う需要の反動によりIT投資抑制が懸念される中、情報処理サービス部門では、物流システムおよびその付随関連システム、自社開発の食品メーカー向け生産管理システムや外国人旅行者を対象とした消費税免税対応システムの拡販に努めてまいりました。
この結果、売上高は134億52百万円(前年同期比15.2%減)となり、セグメント利益は3億25百万円(前年同期比2.4%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて12億22百万円増加し、当連結会計年度末には、104億74百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は49億9百万円(前連結会計年度比67.6%増)となり、前連結会計年度に比べて19億81百万円の収入の増加となりました。
これは主に、未払消費税等の増加額9億37百万円、売上債権の減少額7億97百万円によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は72億54百万円(前連結会計年度比71.8%増)となり、前連結会計年度に比べて30億31百万円の支出の増加となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出75億72百万円、有形固定資産の売却による収入13億7百万円によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果得られた資金は35億67百万円(前連結会計年度比209.3%増)となり、前連結会計年度に比べて24億14百万円の収入の増加となりました。
これは主に、長期借入れによる収入112億55百万円、長期借入金の返済による支出52億19百万円によるものであります。