有価証券報告書-第91期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 12:52
【資料】
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【項目】
115項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、好調な企業業績や設備投資に加え、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの兆しが見られるなど、緩やかな回復基調が続いていますが、米国の新政権の政策動向、英国のEU離脱問題等の懸念材料もあり、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような状況の下、当社グループは、お客さま本位の積極的な営業活動に注力するとともに、市場の変化を先取りした提案型営業活動の推進など、営業施策の強化に努めてまいりました。
これらの結果、売上高は221億4千8百万円(前年同期比5.9%増)と増収となりましたが、本社ビル建築に係る関連費用の発生により販売費及び一般管理費が増加したこと、また平成27年12月に連結子会社化したキョーワ株式会社が営業赤字となったことなどから、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ2億7千2百万円(前年同期比4.7%減)、3億6千4百万円(前年同期比1.3%減)、2億4千1百万円(前年同期比2.3%減)と、いずれも減益となりました。
事業セグメント別の概況は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
[科学事業]
<土木・建材資材関連分野>土木関連分野では、東京外環自動車道等の公共事業によるインフラ整備工事関連が首都圏を中心に堅調で、地盤強化セメント用薬剤や省力工法のRCセグメント用薬剤等が上伸、また熊本震災の復興工事関連の地盤補強用パイル生産用途のモルタル添加用薬剤も増加し増収となりました。
建材資材関連分野では、壁紙等の化粧材や外壁塗料用途の関連薬剤やエコ住宅に使用される断熱ウレタンフォーム用薬剤は新規採用があって伸長しましたが、無機ボードの製造処方変更により添加薬剤の使用が大幅に減少したことから減収となりました。
<情報・輸送機器関連分野>情報関連分野では、スマートフォンやタブレット等の情報端末機器用液晶表示部材は、国内生産縮小の影響から関連薬剤は減少しましたが、高機能化が著しい蓄電池用途で放熱資材や絶縁材料に採用拡大があったほか、機能性コート剤に新規採用があって増収となりました。
輸送機器関連分野では、国内の自動車生産が緩やかな回復基調にあるなか、車体周りのシール材用樹脂や防振用樹脂が上伸したほか、新型車用途でも軽量化等の環境対応を背景に機能性特殊プラスチックが増加したこと、また安全装置関連で電装部材に新規採用があったことなどから増収となりました。
<日用品関連分野>日用品関連分野では、製靴関連は依然として末端需要に回復が見られず関連薬剤が苦戦しましたが、化粧品関連は化粧水等の基礎化粧品は低調に推移したものの、ファンデーション等の仕上げ化粧品が好調で同用途の薬剤が伸長したほか、新規分野として室内用芳香剤の容器部材等に採用があり増収となりました。
フィルム関連分野では、菓子用途の汎用軟質包装用フィルムや工業用フィルムは末端需要の低迷や価格競争により苦戦しましたが、生鮮食品や餅・冷凍食品用途で防曇性やガスバリア性の高い高機能フィルムが大幅に上伸し増収となりました。
<化学工業関連分野>繊維関連分野では、車両等に使用される繊維バインダー等の薬剤は回復の兆しが見られましたが、産業用フェルトやフィルターに使用される薬剤や衣料用の繊維加工薬剤は繊維の国内加工の減少や海外市場の低迷により減少し減収となりました。
化学工業関連分野では、フィルムラミネート用接着剤やフィルム印刷インキバインダーは国内需要の低迷により苦戦しましたが、国内の生産活動全般に緩やかな回復傾向が見られ、全体として関連薬剤が堅調に推移したほか、接着剤原料等の輸入化学品の増加もあって増収となりました。
これらの結果、科学事業セグメントの売上高は175億4千万円(前年同期比3.5%増)、営業利益は3億3千万円(前年同期比8.8%増)となりました。
[建装材事業]
新設戸建住宅の着工件数が住宅ローンの低金利政策効果により好調に推移したほか、集合住宅も相続税対策による影響から特に賃貸住宅需要が堅調で木質什器の関連部材や造作・内装部材が増加したこと、また顧客オリジナル建具も好調に推移したこと、更には連結子会社化によりキョーワ株式会社の売上高が加わったことなどから大幅な増収となりました。
この結果、建装材事業セグメントの売上高は46億7百万円(前年同期比15.9%増)、営業利益は1億2千3百万円(前年同期比21.8%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、8億4千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億8千5百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、減少した資金は2億1千3百万円(前連結会計年度は5億6千7百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3億8千7百万円、仕入債務の増加額1億4百万円、減価償却費9千1百万円などの収入に対し、売上債権の増加額5億9千7百万円、法人税等の支払額2億6百万円などの支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は4億7千4百万円(前連結会計年度は4億5千9百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による4億5百万円、投資有価証券の取得による6千5百万円などの支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は1億8千万円(前連結会計年度は1億2千8百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入れによる1億2千7百万円などの収入に対し、借入金の返済による1億5千9百万円、配当金の支払額1億2千9百万円などの支出によるものであります。