有価証券報告書-第96期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 11:19
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、お客様中心の営業活動を基本として、環境に優しい商品の提案に積極的に取り組むとともに、お客様に喜ばれるグローバル商社を目指すことを、経営の基本方針としております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、以下のような中期的な経営戦略の下に、多様化する顧客ニーズに迅速に対応し、タイムリーで的確な商品・サービスの提供に努め、企業競争力の強化、企業価値の向上に取り組んでおります。
①収益の向上
当社は創業以来、一貫して技術コンサルタントを主体とした技術指向型営業を行い、商社でありながらファブレスによるものづくりを行うなど、より付加価値の高い商品提供を目指しております。具体的には長年蓄積した技術・ノウハウを駆使したファインケミカル(精密化学品)商品への指向を図るなか、化学系商材に限らない幅広い取扱品目を展開し、併せて東南アジアへの営業基盤の拡大・整備等に積極的に取り組んでおります。また、建装材事業にメーカー機能を取り込み、その強化を図るため、2015年12月に各種木工製品の製造販売を主たる事業とするキョーワ株式会社を完全子会社とし、事業基盤の拡充とグループ収益の改善に持続的に取り組んでおります。
②海外の市場拡大
近年、国内経済がシュリンクするなか、営業の軸足を東南アジアを中心とした海外に移し、海外のお客様に対する販売だけでなく輸入品の取り扱いにも力を入れて取り組んでおります。これまで当社は1995年に東洋紡績株式会社(現 東洋紡株式会社)との合弁で香港に三東洋行有限公司を、2002年にはSANKYO KASEI SINGAPORE PTE.LTD.を、2007年には中国上海市に産京貿易(上海)有限公司を、また2010年にはタイ王国バンコク都にSANKYO KASEI (THAILAND) CO.,LTD.をいずれも独資で設立、更に工業用ゴム製品メーカーの山川モールディング株式会社との合弁により、工業用ゴム製品の製造販売を事業内容とする新会社“SY RUBBER (THAILAND) CO.,LTD.”を2018年8月に設立し、タイのサムットプラカーンにて、2019年2月から事業を開始しております。これらの海外5拠点と国内6拠点のグループ力を集結し、お客様に喜ばれるソリューション営業を展開しております。
③サステナビリティへの取組みと高品質体制の確立
すべての事業目的の遂行に当たっては、環境保全、省資源、健康・労働環境への配慮と公正・適切な処遇、公正な取引、自然災害等への危機管理など、社会貢献と地球環境のサステナビリティ向上に努めております。また、先端技術分野、社会貢献ならびに地球環境に資する分野をターゲットとすることで、高付加価値経営の基盤づくりを目指しています。
④人的資本や知的財産への投資等
当社は、役職員の心身の健康に資するよう労働衛生管理の改善に努めるとともに、人材育成方針にもとづき、職務遂行能力を高めるための技能・技術・知識習得と階層別の期待役割、発揮能力及び態度を習得する機会を提供・支援し、専門性の高い人材集団となることを目指しております。また、取引先との連携を通じて、必要に応じて知的財産への投資機会にも積極的に取り組みます。
⑤事業継続計画への取組み
予想される広域災害及び重大な局所災害の発生後、人命を尊重し、会社がいち早く事業を再開し、災害に起因する従業者の経済的不安の解消や、生活行動の早期正常化を目指すとともに、感染症の流行に関しては、社会的責任と事業継続の観点から、感染を広める行為を行わないよう配慮することとしております。このように非常時において当社グループのレジリエンスを発揮し、出来る限りの社会貢献を行うことを目的として「事業継続計画(BCP)」を策定しております。
(3) 会社の対処すべき課題
世界経済は、欧米先進国がコロナ禍による社会活動の制限からの大幅な緩和に踏み切るなど、本格的な回復軌道に向かおうとしていたところに、深刻なウクライナ情勢がもたらした国際秩序の激変と世界的な資源、材料価格高の長期化、更には中国の感染急拡大にともなう社会経済活動への厳格な規制など、先行きの不確実性が高まっております。
我が国においては、コロナ禍にもようやく収束の兆しが見られ、本格的な景気回復が期待されますが、上記の海外リスク要因に急速な円安が加わって、物価高による景気への下押し圧力が強く、弱い成長にとどまるものと見られます。
このような環境下において、国内事業では、国内外の状況変化に迅速に対応し、取引先との緊密な連携のもと、商材の安定確保と新たな機能性商材の取引拡大により事業拡大を図るとともに、業務の効率化と経費節減に努め収益改善に注力する所存であります。
また、海外事業では、営業4拠点(香港、上海、タイ、シンガポール)との連携による輸出入及び海外進出企業との取引拡大に加えて、SY RUBBER (THAILAND) CO.,LTD.(資本金88,800千タイバーツ、当社出資比率90%)は、合弁パートナーの山川モールディング株式会社との一致協力のもと、収益基盤の確立に注力し、タイ及びその周辺諸国に進出する日本企業との取引拡大に繋げていく所存です。
業務改善活動では、ISO9001・14001及び事業継続マネジメントシステム(BCMS)による体質強化活動を引き続き進化させるとともに、コロナ禍で更に重要性が高まったICTの更なる活用等を通じて多様で効率的な働き方を推進し、事業の持続性の向上を図ってまいります。
今後の更なる飛躍を目指し、グループ一丸となってこれらの課題に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。