有価証券報告書-第68期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 11:30
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。将来の事象については、現時点における仮定および予想となりますので、今後、様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、記載の予想や目標の達成および、将来の業績を保証するものではありません。
(1)経営理念
当社の経営理念は「環境の変化に合わせて進化するデバイスを中心とした存在価値のある商社」であります。この理念に基づき現在はルネサスエレクトロニクス株式会社を始めとしてTDK株式会社、株式会社トーキン、京セラ株式会社、ザイリンクス株式会社等のデバイスや電子部品を販売する他、顧客の要望に基づくアッセンブリ(EMS)事業やその他エレクトロニクスに関わる全ての商社事業を手掛けております。
(2)経営方針
「企画提案型エレクトロニクスの総合ソリューション・プロバイダー」を目指す。
・お客さまの海外展開へのグローバル対応
・仕入先さまとの協業を推進
・国内・海外の新市場開拓
・新たなビジネスモデルの追求
・継続的な発展と企業価値の向上
・豊かな社会の構築に貢献
(3)経営戦略等
・インダストリ、オートモーティブ、アミューズメント、オフィス・オートメーションをコアマーケットとして位置付け、デバイスからシステム・ソリューション・ビジネスまで総合的に提案する。
・EMSビジネスの拡大を図る。
・新ビジネスモデルや新たな仕入先を発掘し続け、新たなビジネス領域の拡大を図る。
・海外現地法人を充実させ、日本国内と海外を当社ビジネスの両輪として運営を図る。
・コーポレートガバナンスとIRを重要視し、ステークホルダーへの企業価値向上を図る。
・ESG/SDGs/CSR/CSVを意識して企業価値向上を図る。
– ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)
- SDGs:持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)
– CSR:企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)
– CSV:共通価値の創造(Creating Shared Value)
中期経営戦略概要
①お客さまのご要求に応えるだけのビジネスモデルから脱却し、お客さまの課題・問題を解決するソリューション提案型のビジネスモデルを目指す。
[概要]
・お客さまの課題や問題を解決する手段を検討し、提案し続ける。
・当社グループの総合力を結集し、最適なソリューション開発を実現する。
・これらの活動を通じて、お客さまからの永続的なCS(Customer Satisfaction)の向上を図る。
②特約店・代理店契約を締結した強力な各仕入先さまの戦略に基づき、着実な成長を目指す。
[概要]
・主要仕入先さまと目標・課題・戦略・戦術のフェーズを合わせ、その達成に向けて継続的な活動を実施することでSS(Supplier Satisfaction)の向上を図る。
・仕入先さまと整合の上、目標達成のための必要な投資を実施する。
③当社の強みである、海外現地法人を活用し、グローバルな成長を目指す。
[概要]
・欧米、中国、ASEAN、インドに張り巡らせた当社グループのネットワークを利用し、各お客さまに最適なロジスティック・ソリューションを提供する。また、現地現場における特有な課題・問題に対し能動的に活動し、日系のお客さまのサポートから現地ローカルのお客さまの発掘・開拓までを実現する。
④EMS/ODMを中心とした、組込み・システムソリューション・ビジネスをシームレスに対応する「総合ソリューション・プロバイダー」としての活動を更に充実させる。
[概要]
・豊富な経験に基づいたEMSビジネスを更に発展させ、ODMビジネスにチャレンジする。
・DX(Digital Transformation)に対応し、クラウドやAI(人工知能)、ビッグデータ、データマイニングなどIoT/ICTのあらゆる領域でビジネスを推進する。
⑤積極的な企画提案を実施し、付加価値の高い企画提案型のクリエイティブなビジネスに挑戦する。
[概要]
・当社グループからビジネス企画や製品アイデアなどを提案する事に挑戦していく。
・付加価値のある製品企画は、特許出願などによる知的財産ビジネスにも挑戦する。
⑥企業価値向上のためのM&Aや財務戦略なども適時実施できるアクティブな企業運営を目指す。
[概要]
・総還元性向を始めとした財務戦略も適時実施する。
・シナジーあるM&Aについては、積極的に検討して行く。
⑦コーポレート・ガバナンスが効いた健全な企業運営を実施し続ける。
[概要]
・上場企業の社会的責任を自覚し、ESG/SDGs/CSR/CSVを意識した企業運営を行う。
・フェアディスクロージャルールに則った各ステークホルダーとの対話を重視し、積極的な情報開示に努める。
・コーポレート・ガバナンスを更に強化し企業価値の向上に努める。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画(2019年4月~2022年3月)の最終年度である2022年度の見通しは以下の通りです。2018年に策定の中期計画と新型コロナウイルス感染症から経済回復段階の2021年度現在を比較し「経済状況、消費動向、需給状況等」が劇的に変化したことにより、2022年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画公表値は未達の見込となりました。
指標2022年3月期
(中期計画数値目標)(予想)
売上高1,400億円1,100億円
親会社株主に帰属する
当期純利益
28.0億円12.6億円
ROE
(自己資本利益率)
5.0%2.5%

※2022年3月期(予想)は2021年5月14日決算短信より
(5)経営環境
現在の経営環境は、当社の主要マーケットである自動車電装機器関連、産業機器関連、OA機器関連の顧客において生産回復基調に転じておりますが、一方では世界的な半導体製品の需給逼迫の影響が懸念されます。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、継続的な成長を目指すべく、収益拡大に加え収益体質・財務体質の一層の強化に取り組んでいきます。また、半導体メーカーや半導体商社の業界再編の流れが続く中、企業価値向上のため適切な対応を行っていきます。
主な課題への具体的取り組みは以下の通りです。
①新たな成長戦略の展開
当社グループは、ルネサスエレクトロニクス株式会社をはじめとする主要仕入先製品の更なる拡販に努めるほか、グローバルなネットワーク体制のもと、部品の調達、購買代行、アッセンブリおよび品質管理ならびにハード・ソフトの設計を含めた完成品の納入までを請け負えるビジネスモデルを基盤に、新規商材の発掘や新規顧客開拓を積極的に進め、新たなビジネスの拡大に取り組んでいきます。
②半導体製品の需給逼迫
世界的な半導体需要拡大の中、半導体ファウンドリの一極集中や災害等による影響から半導体製品の需給逼迫は
長期化も予想されます。このような状況下においても、顧客需要を的確に把握するとともに、仕入れ先との円滑な
連携により半導体製品の確保に努め、商社の役割を果たしてまいります。
③在庫リスク
商社機能の重要なファクターでもある流通在庫の保有は、顧客や仕入先に求められる役割となります。近年、半導体メーカーの国際的競争激化に伴う生産品目の集中と選択による生産終了品(EOL)在庫や、地震等の災害発生時にサプライチェーンを継続するための流通品(BCM)在庫が増加しましたが、最近では半導体の需給逼迫による新たなBCM在庫ニーズも高まっています。
当社グループは、これを重要なリスクとして捉え、適正在庫管理の強化や将来のリスクに備えた会計処理対応によりリスクのミニマム化に努めております。
④半導体業界再編のリスク
国際競争激化による半導体メーカーの再編により、直販化や更なる商流の統一が進み、半導体商社においても再編の動きが続いています。当社グループは、開発・調達・物流・金融等のあらゆるステージでのソリューション提案の向上を図り、顧客および仕入先に選ばれる商社を目指してまいります。また、シナジー効果のあるM&A案件については、積極的かつ慎重に取り組んでいきます。
⑤危機管理体制の更なる強化
これまで、過去の震災による危機管理体制の見直しとして、サプライチェーン継続に必要なBCM在庫の管理強化をおこなってきましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の発生に対応し、テレワーク実施等による社員の感染防止対策の徹底に加え、事業継続計画(BCP)の一層の充実を図っていきます。