有価証券報告書-第81期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2022/01/04 12:04
【資料】
PDFをみる
【項目】
112項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営基本方針
当社は、生活者の生活の質の向上に貢献する価値の創造を目指し、企業活動・事業活動に従事しております。そのために、企業活動の活性化と経営基盤を強化し、多様な付加価値を創造することで、特定地域や分野で能力を発揮できる専門商社となることを目指し努力を重ねております。
当社は次の4つの基本方針の下、全社一丸となって取組んでまいります。
①利益率の向上と安定的利益の確保
畜産物を中心とした当社基幹事業の中で、多様化する顧客の幅を広げ、食肉原料を多売する販売戦略から、一次食品加工品及び加熱加工品を充実強化するとともに、当社が得意とする事業分野で、より専門的な商品を取り扱って利益率の向上と安定的利益の確保に努めます。また、中国やインド等の経済環境の異なる市場を開拓し、日本産の商品、並びに三国間取引を通じて魅力ある商品の提供を行い、利益の創出を目指します。
②リスクの分散・回避
相場変動や商品リスクを分散・回避するために、実需に見合う数量・価格等の取引を行いながら、商機を逃さず収益が確保できる仕組みの構築を目指します。
③機動的な資金の投入
商品の仕入及び販売の管理コントロールの徹底を図り、必要とする部門への機動的な資金の投入ができる体制構築を目指します。
④純資産の部の改善
純資産が1億3百万円であることから、営業利益の確保のみならず、想定外に発生しうるリスクに耐える体制とするため、貸借対照表における純資産の部を盤石なものとすることに努めます。
(2)目標とする経営指標
当社は、株主重視の経営推進という観点から企業価値を高めるため利益率の向上を目指すため、売上高を重視することからの脱却を図るキメの細かい販売を心がけます。その方策として、高付加価値商品の提供につとめ、収益基盤の強化を目標とした経営を推進し、中期的に売上高総利益率4%以上を目指しております。
(3)経営環境
当事業年度における経済環境は、新型コロナウイルスの世界的な蔓延の収束には至っておりませんが、各国におけるコロナワクチンの接種率にばらつきがあるものの感染者数は減少傾向となっており、我が国に於いてもオリンピック・パラリンピックが開催され、ウィズコロナとしてニューノーマル状況を受け入れながら、一部の業界には経済活動に活気が戻りつつある中、当事業年度末を迎えました。
このような環境の下、当社の主要商材である食肉関連では、外食産業を主要取引先としていることから、来客の減少から牛肉・加工食品の仕入量が抑えられ、当社の販売量も減少しております。また、原産地での新型コロナウイルス感染症の広がりも加わり生産量の低下や船積遅延等による供給減少により食肉全般で価格が高騰しております。しかしながら、このような環境にあるため、比較的安価な食肉としての輸入鶏肉の需要が高まり、当社の畜産品事業をけん引しております。
農産品では、大豆等で中国などの産地価格が上昇したことや、ロシアでは輸出規制等も行っており、割高感から取扱数量も減少となりました。
中国向け新規ビジネスに関しては、中国のネット販売会社向けの生活関連商品の拡販により、想定以上に売上高を伸ばすことができました。
輸入豚肉に関しましても、前事業年度では既存の輸入取引の商流等の見直し変更で減少しておりましたが、徐々に回復しつつあります。
(4)事業上対処すべき課題
以上の経営環境等を踏まえると、コロナ禍の影響は続くものと思われ、当社は、当社の主要商材である食品関連はハムソーセージメーカーや外食産業をメインに販売していることから、取扱数量及び売上高を伸ばすことは厳しい状況にあると想定しておりますが、新規販路の拡大、新規商品の開発等、商品の構成力を高め、「量より質」で収益力の強化を図ります。また、鶏肉では、相場リスクの低減が必須と認識しており、先物取引を中心にした相場の影響を最小限に留める契約取引を増やすことにより、安定的な利益の確保を目指してまいります。
食品関連以外の農産品・化学品・中国向け取引においては、魅力ある商品や企画の提案を通じて販売活動を展開しておりますが、特に中国向けの取引では、日本製の商品の輸出入だけでなく、三国間取引も含めて、旺盛な中国の消費に対応してまいります。
そして、以前から掲げてまいりました「シンカ」を改めて提唱し、事業環境に応じた「シンカ」を営業活動に活かして邁進してまいります。
当社におきましての「シンカ」は、物事の意味を深く理解する「深化」、変化する環境に適応し変化を続ける「進化」、モノの本当の価値を示す「真価」を意味してまいりましたが、全役社員が、今一度その意味を噛み締め、それぞれが関わる「ヒト・モノ・情報」全てに対する関係性をシンカさせ、その関わりの追求から、品質の向上や新たな提案を生み出し、個々の課題に対して的確に応える能力をシンカさせてまいります。
来期も、依然としてこのコロナ禍の収束は長引くものと思われ、このような環境であっても利益が出せる業績の回復と、財務基盤の盤石化を図るとともに、当社の事業環境は厳しいと認識せざるを得ませんが、これを、絶好のノウハウ吸収の機会ととらえ、飛躍できる「強い会社」となるよう対処してまいる所存です。