有価証券報告書-第65期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 11:21
【資料】
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【項目】
162項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「革新と創造」を経営理念として掲げ、研究・産業・医療のフィールドにおいてヒト・モノ・情報・サービスをつなぎ、研究者や医療従事者の皆様の活動を後押しすることを目的として事業活動を行っています。また、「顧客満足度の追求」を経営方針とし、お客様の利便性の向上を実現するため多様化するニーズに対応し、幅広い品揃えやカタログおよびインターネットによる商品情報の提供、顧客の事業規模に応じたeコマースツールの開発、豊富な在庫や配送ネットワークによるクイックデリバリーなど、業界に先駆けて様々な施策を実行し業容を拡大してきました。当社は、サプライヤー・販売店・エンドユーザーをつなぐハブであり、研究や医療活動を支える流通事業者としての社会的使命を果たすと同時に、魅力ある商品・サービスの提供や業務効率化を進めることにより適正な利益を確保することで、企業価値の拡大を図っています。
(2) 経営戦略と目標とする経営指標
2025年5月に策定した長期ビジョン「AS ONE VISION-2035」では、研究者が直面する課題である“3つのない”(お金がない、時間がない、もったいない)を解消するため、当社が提供するプラットフォームをイノベイティブに進化させるコンセプトを打ち出しました。具体的には、サプライチェーン上の商品や在庫などの様々な情報を可視化すること(見える)、当社がハブとしてサプライヤー・販売店・研究者を結びつけること(つながる)、機器レンタルなど研究者に購入以外の多様な選択肢を提供すること(手に入る)により、あらゆる研究リソースが「見える・つながる・手に入る」プラットフォームの創造を目指します。
当社グループは16期連続となる増収を継続中ですが、今後も既存事業の持続的な成長に向け必要な手立てを講じていきます。また、上記プラットフォームの実現や当社が到達可能な市場領域拡大のため、M&Aやアライアンスの積極的な活用により外部リソースを獲得することで、非連続な成長も同時に志向しています。加えて、資本効率の向上も追求し、積極的な投資による事業成長と高効率経営の両立を目指します。2035年3月期のありたい姿として、連結売上高2,000億円~3,000億円、ROE17.0%以上を掲げています。
また、2026年3月期を初年度とする中期経営計画「FY2025-27」の概要は以下のとおりです。
・基本戦略 ECの進化、サプライチェーン上の価値の最大化、事業領域の拡大
・重点施策 「(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題」をご参照ください。
・目標とする経営指標 売上高 1,300億円、営業利益 148億円、営業利益率 11.4%、ROE 13.0%以上
(2028年3月期連結)
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、主たる事業領域とする研究・産業・医療の分野で利用される消耗品や機器・備品類の流通市場において、ヒト・モノ・情報・サービスをつなぐプラットフォーマーとしての機能を強化することで、サプライチェーン全体の最適化や効率化、エンドユーザーや販売店が抱える様々な課題の解決に貢献することを目指しています。
2025年5月に公表した中期経営計画「FY2025-27」においては、ECの進化、サプライチェーン上の価値の最大化、事業領域の拡大の3点を事業上の重点テーマと位置づけ、様々な施策に取り組んでいます。また、キャッシュ・アロケーションに関する基本方針に基づき、積極的な投資と効果的な株主還元の両立を目指すと同時に、サステナビリティに関する各種取り組みに注力することで、財務・非財務の両面から企業価値の長期的な向上を図ります。
a.ECの進化
①eコマース事業の拡大
企業や大学などのエンドユーザーが研究・生産活動に必要な消耗品や備品類を購入する組織購買において、購買システムやEC通販事業者などのeコマースの利用が浸透しつつあります。電話やFAXを使った従来型の購買方法に比べ格段に利便性が高く、業務効率化やコスト削減にもつながるため、eコマースの利用は今後ますます増加する見込みです。
当社では、エンドユーザーの事業規模に応じたeコマースツールとして、大規模企業向け集中購買システム「ocean」、中規模事業者をターゲットとした販売店向けECサイト「Wave」、小規模事業者向け自社WEBショップ「AXEL」・「as kitchen」を展開しています。当社のeコマースツールを広くお使いいただくには、検索の正確性や検索速度の向上に加え、購買の決裁ルーティンをシステムに組み込むなど利便性を高めるための開発が不可欠です。検索機能の飛躍的な向上を実現したAI搭載型検索エンジン「AXEL2.0」の導入や、エンドユーザーの発注や在庫管理にかかる業務を自動化するシステムをリリースするなど、新しい機能開発を継続的に進めています。
加えて、当社のeコマースツールの利用を広げるための営業活動も重要です。eコマースが既に浸透している研究・産業の分野に加え、最近では経営効率化ニーズの高い医療機関へのプロモーションにも力を入れるなど、新規顧客の開拓に取り組んでいます。また、既に当社のeコマースツールをご利用いただくお客様に対しては、購買コストの引き下げや様々な業務効率化につながる提案を行うなど、ご利用の金額や頻度を高めるための活動を行っています。
②商品データベースの質と利便性の向上
当社がカタログやWEBサイトを通じて提供するのは、1,400万点を超える取扱商品の様々な情報です。サイズや重量、スペックなどの商品の特徴に関する情報はもちろん、価格や納期、梱包後の荷姿など流通にかかる情報も必要です。当社の商品データベース「SHARE-DB」を質・量ともに充実させることは、当社のeコマースツールの利便性に直結します。当社では、サプライヤーから集めた情報だけでなく、自社スタジオで撮影した画像や使用方法についての動画を商品情報として登録するなど、お客様にとって有用な情報の提供に力を入れています。
また、当社とサプライヤーとの間で行われる膨大な商品情報のやり取りを円滑化するシステム「SHARE-GATE」の導入や、商品情報の整備にAIを活用し業務効率化を図るなど、データベースの充実を支える仕組みの整備も進めています。
b.サプライチェーン上の価値の最大化
③商品点数の拡充
当社は2015年に商品情報WEBサイト「AXEL」をオープンして以降、積極的なサプライヤー開拓により品揃えを飛躍的に拡大し、取扱商品点数は1,400万点、WEB単独掲載商品(売れ筋商品を集めた当社カタログに掲載されていない商品)の売上高は225億円にまで増加しました。2028年3月期には、取扱商品点数を1,700万点まで拡大し、WEB単独掲載商品の売上高を340億円まで増加させることを目指しています。OA機器やサプライ品、研究用試薬、電線資材、各種ソフトウェアなど、お客様が求める最適な品揃えの実現に向け今後も新たな分野を開拓していきます。
④サプライチェーン全体の資産効率の最大化
当社が属する研究・産業・医療の分野で使用される消耗品や備品類の市場では、専門性の高い数多くのサプライヤーにより多品種の商品が供給され、顧客密着型の多くの販売店が流通を担い、全国各地のエンドユーザーに届けられています。消耗品類は様々な事業活動に必要不可欠な商品であるため、欠品が発生しないようサプライチェーンの至るところに流通在庫が存在しています。当社は、サプライヤー・販売店・エンドユーザーの3者をつなぐハブとしてのポジションを活かし、サプライチェーン全体における様々な情報を統合して可視化することで、在庫や配送などが最適化されサプライチェーン参加者の資産効率や業務効率の向上に貢献できると考えています。現在、サプライヤーが保有する在庫の情報をデータ連携により取得し、当社が保有する在庫情報とあわせて販売店やエンドユーザーに対し開示しています。開示しているサプライヤーの在庫(バーチャル在庫)を金額換算すると1,691億円分にのぼり、当社自身が保有する在庫金額の16倍の規模に達しています。また、バーチャル在庫の86%は受注から3日以内の出荷を実現しており、エンドユーザーや販売店に納期の安心感を提供することで売上拡大につなげています。次の段階では、販売店やエンドユーザーが保有する在庫情報を可視化した上で、エンドユーザーの在庫管理や発注の自動化を可能とする「4-Stock」サービスの導入を推進していきます。
⑤物流機能の拡充と効率化
当社では、夕方までに受注した商品は当日中に出荷し、原則として翌日中には販売店へお届けしています。この物流サービスを効率的かつ低コストで実現するため、継続的な各種投資が必要となります。国内5か所に大規模な物流センターを設け、全国にお届けする配送ネットワークを構築し、物流のサービスレベルを維持しています。2025年6月には福岡県の九州DCを移転新設し、2026年5月より千葉県のSmart DCを増床するなど、売上成長に見合った必要な物流キャパシティを確保しています。
一方、質の高い物流サービスを提供する上で、様々なコストアップへの対応は大きな課題です。物流センターの賃料や光熱費、倉庫内作業を行うスタッフの人件費が上昇し、ドライバーの人手不足やガソリン価格上昇を背景に配送費も値上げ基調が続くなど、物流にかかるコストは今後も上昇が見込まれます。当社では、棚搬送AGVの導入による庫内作業の省人化、データ活用による配送ルートや在庫配置の最適化、ポスト投函サービスを含めた多様な配送方法の確保など、物流オペレーションの効率化に向けて様々な施策を実施しています。今後は新しいエリアへのサテライトセンターの設置や基幹センターの新設を検討するなど、変化する市場環境に応じた新しい物流サービスの形を検討していきます。
c.事業領域の拡大
⑥サービス事業の育成
研究、医療の分野で使用される機器類の領域においても、「所有から利用へ」の変化が始まっています。限られた予算の中で効率的に研究活動を行うことが今まで以上に求められる中、文部科学省が研究設備・機器の共用を推進するなど、その変化は企業だけでなく大学等のアカデミアにまで広がりつつあります。当社は2018年より研究用・医療用機器のレンタル事業を本格化させ様々なニーズに対応してきましたが、サービスの認知度を高めるためのプロモーション活動や、レンタル対象機器を増やす取り組みを行っています。
また、研究や生産現場で使用される計測機器類の校正(精度検査)サービスにも注力しています。製品のスペックや製造環境など品質全般に対するコンプライアンス意識が高まる中、それらを担保する計測機器の定期的な精度確認はこれまで以上に求められています。当社では、JCSS(計量法校正事業者登録制度)認定の取得や校正メニューの拡充などにより、校正ビジネスの拡大を図っています。
機器レンタルや校正サービスの拡大を見据え、2026年11月の完成を目指し、新しいレンタル&校正センターの建設を進めています。既存のセンターに比べ延床面積は3.3倍となり、点検や修理など他のサービス分野の拡大にも取り組んでいく予定です。
⑦当社オリジナル商品の投入加速
自社開発するプライベートブランド品と当社が独自に海外から輸入する商品の総称であるオリジナル品は、取扱商品において他社との差別化を図る重要な存在であるだけでなく、当社の高い利益率を生み出す源泉にもなっています。商品開発のためのマーケティング活動やグループ会社を交えた効率的な開発体制の構築、有力メーカーとの協業によるダブルブランド品の開発などの取り組みにより、オリジナル商品の開発と市場投入のサイクルを加速し、2028年3月期には商品売上高420億円を目指しています。
d.その他
⑧キャッシュ・アロケーション
2025年5月に公表した「AS ONE VISION-2035」では、2035年3月期の連結売上高を2,000億円~3,000億円とする目標を掲げました。既存事業においてオーガニックな成長を続けていくためには、ITや物流、人財などへの継続的な投資が必要となります。また、当社が志向する非連続的な成長を実現するためには、M&Aや新規事業開発に投資資金を振り向けることも必要です。当社では、非連続的な成長につながる投資機会を積極的に探索すると同時に、代表取締役社長を含む主要役員が参加する投資委員会を設置し、様々な観点から投資の適正性や妥当性の検証を行っています。
一方、積極的な株主還元は当社が長年取り組んできた施策の一つであり、今後も継続していく方針です。中期経営計画「FY2025-27」の期間中は、配当は基準利益の50%以上かつ累進配当制度(増配)を採用した上で、機動的な自己株買いをあわせて実施し3年間の累計総還元性向を60%~75%とする方針を掲げています。また、必要な投資資金を非事業用資産の削減により創出するなど、資本効率や資産効率をこれまで以上に意識した経営を進め、長期的にROEを向上させる方針です。
⑨サステナビリティ
当社は、多様なステークホルダーの期待に応えてサステナブルな事業成長を実現するため、常勤の取締役と執行役員の全員が参加するサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティに関する様々な取り組みを推進する体制を敷いています。
多様な人財が、心身ともに健康で、能力を最大限発揮できる環境づくりは、人的資本経営の根幹です。当社では、健康リスクの改善、多様な働き方の推進、快適な職場環境の形成を目指す健康経営プログラムを推進し、健康経営優良法人に4年連続で認定されるなど一定の成果を上げています。加えて、多様性に関する指標の一つである管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合を、2030年度に20%とする目標を掲げ、女性社員を対象としたリーダー層育成プログラムなどを行っています。
また、当社は国内外に5,500社を超える多くのサプライヤーとの取引関係を有しており、自社のサプライチェーンにおけるCO2削減をはじめとする気候変動への対応、生物多様性や水・森林などの地球資源への配慮、人権リスクの把握と軽減は喫緊の課題です。サプライヤーに対するアンケートを実施し現状把握に努めると同時に、優先順位の高いサプライヤーに対し個別のエンゲージメントを実施するなど、健全なサプライチェーンの実現に向けた取り組みを行っています。

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