有価証券報告書-第59期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営戦略
当社グループは、「革新と創造」という経営理念のもとで、「顧客満足度の追求」を徹底することにより業容を拡大し、併せて業務の効率化を推進することによって収益力の強化・企業価値の増大を図ることを経営の基本方針といたしております。
「顧客満足度の追求」につきましては、より多様化するユーザーニーズにきめ細かく対応するために、魅力ある幅広い品揃え、カタログやインターネット等による様々な情報の提供に加え、商品のクイックデリバリーやサポートサービス等、お客様の利便性向上が重要であると考えております。
<目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略>中期経営計画「PROJECT ONE」の推進
当社グループは、2020年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT ONE」を基本方針とし、2024年度の達成すべき目標に向け活動していくとともに、その先の将来に向けても成長を継続することができるよう経営基盤の構築に邁進してまいります。
[中期経営計画 -Opportunity of Next Evolution-「PROJECT ONE」(2020年度~2024年度)]
① 経営ビジョン
「アズワンは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域とし、顧客が必要とする商品・サービス・情報を提供することで、社会に貢献する企業を目指します」
② 3つの課題
ⅰ.成長のシフトアップ
ⅱ.収益性の向上
ⅲ.企業価値の向上
③ 目標とする経営指標
3つの軸となる成長戦略を推進し、2024年度において、連結売上高1,000億円、連結営業利益率12.5%、ROE(株主資本利益率)12.0%を実現することを目標としております。
(2) 経営環境
当社を取り巻く環境としては、以下のような変化が見られます。
ユーザーサイドの発注管理の効率化やコンプライアンスの観点から取引の電子化を求めるニーズが高まってきております。また、電子購買に移行するにあたっても、専門的でかつワンストップで購買ができる品揃えの豊富さやスピーディーに納品できる高度な物流機能が重視されております。さらに、研究開発或いは製造プロセスにおいて機器類の品質を担保するニーズが高まっており、点検・校正などのアフターメンテナンスサービスを求められるケースが増えてきております。一方、利用する様々な機器メーカーに、個々に点検や校正を依頼すると管理が煩雑になることから、管理を一括化したいというニーズが生じております。
海外においては、日本の2~3倍の研究開発費を使う米国や中国、或いはそれに追随する欧州などの広大な研究開発市場があります。また、国内ユーザー企業のグローバル化は伸展し、工場進出先の中国から東南アジアへのシフトや、欧米企業とのアライアンスなど多方面への拡大が見られます。一方、保護主義的な経済のブロック化への動きや、新型コロナウイルスによるパンデミック発生により、グローバルなサプライチェーンの寸断リスクを目の当たりにし、国内回帰の機運も高まっております。
医療業界においては、中長期的に医療費抑制という国を挙げての方向性があり病院の経営環境は引き続き厳しく、病院数、病床数は減少傾向にある一方、クリニックや介護施設は増加傾向にあります。一方、喫緊においては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い病床・医療器材・医療者の不足から医療崩壊の瀬戸際までの経験を経て、国を挙げての対応が行われている状況にあります。
社会構造の変化として、人口の高齢化に伴い労働力人口はマイナスに転じております。また、労働の質という面からは働き方改革という言葉に象徴される効率的な働き方が推奨されております。こうした変化は、例えば物流業界で、人材確保難や労働環境の改善等から配送費等の上昇という形で表出しております。当社グループにおいても、運賃や倉庫作業料の上昇という形で少なからず影響を受けております。
また、シェアリングエコノミーという言葉に代表される、所有から使用へという流れも、研究プロセスにおける実験機器の所有にこだわるより、機器の利用或いは委託によるアウトプットのみを求めるという形で当業界においても変化していくことが予想されます。
さらに、Society5.0時代のAI(人工知能)やIoT、ロボットなどの新しいテクノロジーは、人の介在を減らし社会に大きな変化をもたらすものと期待されていますが、遠隔操作や非接触を旨とする新型コロナウイルス感染拡大への対応は、ますますこの変化を加速させるものと思われます。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、2020年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT ONE」を基本方針とし、3つの課題として「成長のシフトアップ」「収益性の向上」「企業価値の向上」を挙げております。当社グループのリソースを最大限活用し、課題解決に尽力してまいります。
ⅰ.成長のシフトアップ
イ)品揃えと物流機能の強化
品揃えの拡充
前中期経営計画(以下「前中計」という)スタート時には約7万点であった取扱商品点数は、2020年3月末には420万点を超え、飛躍的に増加させることができました。今後もユーザーが求めるあらゆるものを提供することを目標に、日本国内のみならず世界各国のサプライヤーとの連携強化を通し、専門性に拘った業界のデータベース的な存在となるべく品揃えの拡充を図ってまいります。
また、重量・荷姿情報の登録、JANコード添付などの情報加工、バラ売りやアソートなどの流通加工を当社が担うことにより、メーカー等のネット通販進出を支援し、当社の品揃え拡充にもつなげてまいります。
物流機能の強化・活用
当社では、物流機能の拡充に常に取り組むことで、カタログ掲載品の当日出荷率を95%程度と高い水準で維持するなど、医療や研究の現場に必要なモノをスピーディーにお届けする社会的使命を担ってまいりました。
また、2020年5月に千葉市稲毛区に稼働した新しい物流拠点「Smart DC」では、増大する在庫量・出荷量へ対応するだけでなく、新たに加わった荷合わせ機能を活用することにより、共同配送のアライアンスを展開し理化学業界の物流の効率化に貢献してまいります。当社は、サプライヤーと販売店をつなぐ役割を担っておりますが、流通のハブとしてのポジションを更に強固にすべく、物流機能を武器に業容の拡大を図ってまいります。
ロ)eコマースの強化及び海外チャネルの拡大
eコマースの強化
エンドユーザーの購買手法のEC(電子商取引)化が急速に進んだことを背景に、前中計期間において、売上成長を最も牽引したのがeコマース分野です。
当社では、業界随一の商品データベースを整備すると同時に、ユーザーの特性に合った様々なeコマース・チャネルを用意しています。大規模ユーザー向けには集中購買システム「ocean」の導入を推進し、中堅ユーザー向けにはカタログに代わる販売店支援ツールである集中購買システム「Wave」により販売店との連携を強化することで売上拡大を図っています。また、小規模ユーザーに対しては、自社ネットショップ「AXEL Shop」の機能強化を進めることで、集客・販売の強化を行っています。購買のEC化は今後も進むと予想されるため、EC分野におけるマーケティング強化、ネット通販事業者向けの供給アイテムの増加促進など、eコマースのさらなる拡大に向け引き続き取り組んでいまいります。
海外チャネルの拡大
当社の海外向け売上は全体の1割にも満たず、海外チャネルの拡大は重要な課題であると同時に、大きなチャンスであると捉えています。現在の海外事業で最も力を入れている地域は、現地法人を置く中国です。中国では、沿岸部に6営業拠点を展開し、現地に在庫を持ち、中国語のカタログを活用して営業しております。今後も、現地販売店の開拓に力を入れ、国営企業向け集中購買システムの導入等に取り組んでまいります。
また、当社が運営する海外向けの多言語商品サイト「AXEL_GLOBAL」の取扱商品点数は約100万点にのぼりますが、今後はさらに拡充し、欧米や東南アジア市場の開拓に力を入れていきます。目下のところは新型コロナウイルス感染拡大の影響により、グローバルな営業活動に制約が生じておりますが、収束の暁には海外における販売エリアの拡大・深耕を再強化してまいります。
ハ)サービス事業拡大及び新規ビジネスの展開
サービス事業の拡大
当社グループの主要なお客様である研究者の多くは、「時間がない」「予算がない」「もったいない」の『3つのない』の悩み(=課題)を抱えています。従来、当社では、モノの購買の利便性を高めることに注力することで研究者の課題解決に貢献してきましたが、前中計の期間においては、計測機器の校正サービスや機器レンタルなどのサービスビジネスを新たに開始しました。校正サービスでは、複数メーカーの機器校正を当社が一括受託することで、お客様が各メーカーに発注する手間を削減できる上、短納期・低価格である点も評価を受けています。また、必要な機器を、必要な期間だけ提供する機器レンタルサービスは、自前保有に拘らないシェアリング時代に合ったものであり、需要の拡大を期待しております。今後は研究者のニーズに対応する様々なサービス事業の開発に力を入れ、物販以外の事業を強化してまいります。
新規ビジネスの展開
2018年に当社グループに加わった子会社の株式会社トライアンフ・ニジュウイチでは、研究機材や試薬などのモノに関する最適購買を提供するWEB購買業務代行サービスを行ってきましたが、今後は新規ビジネスとして、モノに加えて通信費や人材派遣料などの間接経費も一括して最適購買を提供する全間接材購買ソリューションビジネスを開始します。また、IoTやAIなどの科学技術の急速な進歩により、様々な技術を応用することでお客様の課題を解決できる可能性が広がっています。専門分野に強みを持つ異業種プレイヤーとのコラボレーションにより新しいビジネスの開発に取り組み、当社が有するプラットフォームにあらゆる技術、機能をつなげ、お客様が研究成果を出すまでの時間の短縮に貢献してまいります。
ⅱ.収益性の向上
当社グループは、卸売業態でありながら10%以上の営業利益率を確保し、収益性にこだわってまいりました。新中計においても引き続き高水準の利益率を目指してまいります。
そのために、比較的付加価値の高いオリジナル商品やサービス事業の拡大に加え、原価構造の継続的見直しを行い、粗利益の向上を図ってまいります。販管費につきましては、eコマース拡大に伴う電子受注拡大、RPA・AI活用によるデスクワークの自動化を進めてまいります。一方で、運賃単価は今後も上昇が続くと見込まれるため、最適地在庫の徹底など様々なコスト吸収策を講じてまいります。また、「Smart DC」の開設は、売上高の成長に伴う出荷能力増強が目的でありますが、最先端の省人化設備を導入しており、高騰が続く庫内作業費の抑制を図り、出荷あたりのコストを半減していくことも考えております。
上記設備投資に伴う減価償却費や賃借料といったコスト負担により一時的に収益性が下がりますが、各種施策の遂行と売上成長により、早期に10%以上の営業利益率を回復させ、最終年度12.5%へ向上させてまいります。
ⅲ.企業価値の向上
当社グループは、資産効率を意識して資金の配分を検討し、成長への効率的かつ積極的な投資を行い、企業価値を高めてまいります。また、資本コストを意識し、ROEを高めることで、株主価値の向上に努めてまいります。
ⅳ.新型コロナウイルス感染拡大への対応
喫緊の課題として、パンデミックを引き起こしている新型コロナウイルス感染拡大への対応がございます。医療や研究開発を下支えする企業として、社員の安全を守りつつ、事業を継続し医療用品の供給を続けることが必要です。オフィスワークについては、大半の社員のテレワークが可能なインフラを整えており、政府・行政機関による外出自粛の要請があっても社員の安全を守りながら、事業を継続することができます。物流施設についても、毎日の検温、マスク着用、昼食時間の分散など予防措置をとり、操業しております。医療機関に十分な医療器材・感染防止・保護用品が行きわたらない状況が続いている中、代替品の供給や新規調達ルートの開拓等を通じ少しでも早くお届けできるよう注力してまいります。
新型コロナウイルス感染拡大による世界経済への打撃は小さくありませんが、医療や研究開発を下支えする社会的使命をより強く意識し、「革新と創造」という経営理念のもと、常に新しいことにチャレンジし、新しい仕組みを作り出し、中期経営計画「PROJECT ONE」を推進することにより、業容を拡大させてまいります。
(1) 経営方針及び経営戦略
当社グループは、「革新と創造」という経営理念のもとで、「顧客満足度の追求」を徹底することにより業容を拡大し、併せて業務の効率化を推進することによって収益力の強化・企業価値の増大を図ることを経営の基本方針といたしております。
「顧客満足度の追求」につきましては、より多様化するユーザーニーズにきめ細かく対応するために、魅力ある幅広い品揃え、カタログやインターネット等による様々な情報の提供に加え、商品のクイックデリバリーやサポートサービス等、お客様の利便性向上が重要であると考えております。
<目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略>中期経営計画「PROJECT ONE」の推進
当社グループは、2020年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT ONE」を基本方針とし、2024年度の達成すべき目標に向け活動していくとともに、その先の将来に向けても成長を継続することができるよう経営基盤の構築に邁進してまいります。
[中期経営計画 -Opportunity of Next Evolution-「PROJECT ONE」(2020年度~2024年度)]
① 経営ビジョン
「アズワンは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域とし、顧客が必要とする商品・サービス・情報を提供することで、社会に貢献する企業を目指します」
② 3つの課題
ⅰ.成長のシフトアップ
ⅱ.収益性の向上
ⅲ.企業価値の向上
③ 目標とする経営指標
3つの軸となる成長戦略を推進し、2024年度において、連結売上高1,000億円、連結営業利益率12.5%、ROE(株主資本利益率)12.0%を実現することを目標としております。
(2) 経営環境
当社を取り巻く環境としては、以下のような変化が見られます。
ユーザーサイドの発注管理の効率化やコンプライアンスの観点から取引の電子化を求めるニーズが高まってきております。また、電子購買に移行するにあたっても、専門的でかつワンストップで購買ができる品揃えの豊富さやスピーディーに納品できる高度な物流機能が重視されております。さらに、研究開発或いは製造プロセスにおいて機器類の品質を担保するニーズが高まっており、点検・校正などのアフターメンテナンスサービスを求められるケースが増えてきております。一方、利用する様々な機器メーカーに、個々に点検や校正を依頼すると管理が煩雑になることから、管理を一括化したいというニーズが生じております。
海外においては、日本の2~3倍の研究開発費を使う米国や中国、或いはそれに追随する欧州などの広大な研究開発市場があります。また、国内ユーザー企業のグローバル化は伸展し、工場進出先の中国から東南アジアへのシフトや、欧米企業とのアライアンスなど多方面への拡大が見られます。一方、保護主義的な経済のブロック化への動きや、新型コロナウイルスによるパンデミック発生により、グローバルなサプライチェーンの寸断リスクを目の当たりにし、国内回帰の機運も高まっております。
医療業界においては、中長期的に医療費抑制という国を挙げての方向性があり病院の経営環境は引き続き厳しく、病院数、病床数は減少傾向にある一方、クリニックや介護施設は増加傾向にあります。一方、喫緊においては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い病床・医療器材・医療者の不足から医療崩壊の瀬戸際までの経験を経て、国を挙げての対応が行われている状況にあります。
社会構造の変化として、人口の高齢化に伴い労働力人口はマイナスに転じております。また、労働の質という面からは働き方改革という言葉に象徴される効率的な働き方が推奨されております。こうした変化は、例えば物流業界で、人材確保難や労働環境の改善等から配送費等の上昇という形で表出しております。当社グループにおいても、運賃や倉庫作業料の上昇という形で少なからず影響を受けております。
また、シェアリングエコノミーという言葉に代表される、所有から使用へという流れも、研究プロセスにおける実験機器の所有にこだわるより、機器の利用或いは委託によるアウトプットのみを求めるという形で当業界においても変化していくことが予想されます。
さらに、Society5.0時代のAI(人工知能)やIoT、ロボットなどの新しいテクノロジーは、人の介在を減らし社会に大きな変化をもたらすものと期待されていますが、遠隔操作や非接触を旨とする新型コロナウイルス感染拡大への対応は、ますますこの変化を加速させるものと思われます。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、2020年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT ONE」を基本方針とし、3つの課題として「成長のシフトアップ」「収益性の向上」「企業価値の向上」を挙げております。当社グループのリソースを最大限活用し、課題解決に尽力してまいります。
ⅰ.成長のシフトアップ
イ)品揃えと物流機能の強化
品揃えの拡充
前中期経営計画(以下「前中計」という)スタート時には約7万点であった取扱商品点数は、2020年3月末には420万点を超え、飛躍的に増加させることができました。今後もユーザーが求めるあらゆるものを提供することを目標に、日本国内のみならず世界各国のサプライヤーとの連携強化を通し、専門性に拘った業界のデータベース的な存在となるべく品揃えの拡充を図ってまいります。
また、重量・荷姿情報の登録、JANコード添付などの情報加工、バラ売りやアソートなどの流通加工を当社が担うことにより、メーカー等のネット通販進出を支援し、当社の品揃え拡充にもつなげてまいります。
物流機能の強化・活用
当社では、物流機能の拡充に常に取り組むことで、カタログ掲載品の当日出荷率を95%程度と高い水準で維持するなど、医療や研究の現場に必要なモノをスピーディーにお届けする社会的使命を担ってまいりました。
また、2020年5月に千葉市稲毛区に稼働した新しい物流拠点「Smart DC」では、増大する在庫量・出荷量へ対応するだけでなく、新たに加わった荷合わせ機能を活用することにより、共同配送のアライアンスを展開し理化学業界の物流の効率化に貢献してまいります。当社は、サプライヤーと販売店をつなぐ役割を担っておりますが、流通のハブとしてのポジションを更に強固にすべく、物流機能を武器に業容の拡大を図ってまいります。
ロ)eコマースの強化及び海外チャネルの拡大
eコマースの強化
エンドユーザーの購買手法のEC(電子商取引)化が急速に進んだことを背景に、前中計期間において、売上成長を最も牽引したのがeコマース分野です。
当社では、業界随一の商品データベースを整備すると同時に、ユーザーの特性に合った様々なeコマース・チャネルを用意しています。大規模ユーザー向けには集中購買システム「ocean」の導入を推進し、中堅ユーザー向けにはカタログに代わる販売店支援ツールである集中購買システム「Wave」により販売店との連携を強化することで売上拡大を図っています。また、小規模ユーザーに対しては、自社ネットショップ「AXEL Shop」の機能強化を進めることで、集客・販売の強化を行っています。購買のEC化は今後も進むと予想されるため、EC分野におけるマーケティング強化、ネット通販事業者向けの供給アイテムの増加促進など、eコマースのさらなる拡大に向け引き続き取り組んでいまいります。
海外チャネルの拡大
当社の海外向け売上は全体の1割にも満たず、海外チャネルの拡大は重要な課題であると同時に、大きなチャンスであると捉えています。現在の海外事業で最も力を入れている地域は、現地法人を置く中国です。中国では、沿岸部に6営業拠点を展開し、現地に在庫を持ち、中国語のカタログを活用して営業しております。今後も、現地販売店の開拓に力を入れ、国営企業向け集中購買システムの導入等に取り組んでまいります。
また、当社が運営する海外向けの多言語商品サイト「AXEL_GLOBAL」の取扱商品点数は約100万点にのぼりますが、今後はさらに拡充し、欧米や東南アジア市場の開拓に力を入れていきます。目下のところは新型コロナウイルス感染拡大の影響により、グローバルな営業活動に制約が生じておりますが、収束の暁には海外における販売エリアの拡大・深耕を再強化してまいります。
ハ)サービス事業拡大及び新規ビジネスの展開
サービス事業の拡大
当社グループの主要なお客様である研究者の多くは、「時間がない」「予算がない」「もったいない」の『3つのない』の悩み(=課題)を抱えています。従来、当社では、モノの購買の利便性を高めることに注力することで研究者の課題解決に貢献してきましたが、前中計の期間においては、計測機器の校正サービスや機器レンタルなどのサービスビジネスを新たに開始しました。校正サービスでは、複数メーカーの機器校正を当社が一括受託することで、お客様が各メーカーに発注する手間を削減できる上、短納期・低価格である点も評価を受けています。また、必要な機器を、必要な期間だけ提供する機器レンタルサービスは、自前保有に拘らないシェアリング時代に合ったものであり、需要の拡大を期待しております。今後は研究者のニーズに対応する様々なサービス事業の開発に力を入れ、物販以外の事業を強化してまいります。
新規ビジネスの展開
2018年に当社グループに加わった子会社の株式会社トライアンフ・ニジュウイチでは、研究機材や試薬などのモノに関する最適購買を提供するWEB購買業務代行サービスを行ってきましたが、今後は新規ビジネスとして、モノに加えて通信費や人材派遣料などの間接経費も一括して最適購買を提供する全間接材購買ソリューションビジネスを開始します。また、IoTやAIなどの科学技術の急速な進歩により、様々な技術を応用することでお客様の課題を解決できる可能性が広がっています。専門分野に強みを持つ異業種プレイヤーとのコラボレーションにより新しいビジネスの開発に取り組み、当社が有するプラットフォームにあらゆる技術、機能をつなげ、お客様が研究成果を出すまでの時間の短縮に貢献してまいります。
ⅱ.収益性の向上
当社グループは、卸売業態でありながら10%以上の営業利益率を確保し、収益性にこだわってまいりました。新中計においても引き続き高水準の利益率を目指してまいります。
そのために、比較的付加価値の高いオリジナル商品やサービス事業の拡大に加え、原価構造の継続的見直しを行い、粗利益の向上を図ってまいります。販管費につきましては、eコマース拡大に伴う電子受注拡大、RPA・AI活用によるデスクワークの自動化を進めてまいります。一方で、運賃単価は今後も上昇が続くと見込まれるため、最適地在庫の徹底など様々なコスト吸収策を講じてまいります。また、「Smart DC」の開設は、売上高の成長に伴う出荷能力増強が目的でありますが、最先端の省人化設備を導入しており、高騰が続く庫内作業費の抑制を図り、出荷あたりのコストを半減していくことも考えております。
上記設備投資に伴う減価償却費や賃借料といったコスト負担により一時的に収益性が下がりますが、各種施策の遂行と売上成長により、早期に10%以上の営業利益率を回復させ、最終年度12.5%へ向上させてまいります。
ⅲ.企業価値の向上
当社グループは、資産効率を意識して資金の配分を検討し、成長への効率的かつ積極的な投資を行い、企業価値を高めてまいります。また、資本コストを意識し、ROEを高めることで、株主価値の向上に努めてまいります。
ⅳ.新型コロナウイルス感染拡大への対応
喫緊の課題として、パンデミックを引き起こしている新型コロナウイルス感染拡大への対応がございます。医療や研究開発を下支えする企業として、社員の安全を守りつつ、事業を継続し医療用品の供給を続けることが必要です。オフィスワークについては、大半の社員のテレワークが可能なインフラを整えており、政府・行政機関による外出自粛の要請があっても社員の安全を守りながら、事業を継続することができます。物流施設についても、毎日の検温、マスク着用、昼食時間の分散など予防措置をとり、操業しております。医療機関に十分な医療器材・感染防止・保護用品が行きわたらない状況が続いている中、代替品の供給や新規調達ルートの開拓等を通じ少しでも早くお届けできるよう注力してまいります。
新型コロナウイルス感染拡大による世界経済への打撃は小さくありませんが、医療や研究開発を下支えする社会的使命をより強く意識し、「革新と創造」という経営理念のもと、常に新しいことにチャレンジし、新しい仕組みを作り出し、中期経営計画「PROJECT ONE」を推進することにより、業容を拡大させてまいります。