有価証券報告書-第25期(平成28年5月1日-平成29年4月30日)

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2017/07/25 17:05
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業績等の概要

(1) 業績
当期の概況
当連結会計年度における当社グループの中心顧客である外食産業におきましては、天候不順に起因した原材料価格の高騰や人材不足による労働力確保競争の激化とそれに伴う費用の増大化に加え、消費者の節約志向の高まりの影響もあり、経営環境としては厳しい状況が続いております。
このような状況のもと当社におきましては、フードビジネスプロデューサー(以下:FBP)を将来の理想の姿として活動いたしました。
当社の目指すFBPとは、店舗を構えての飲食店向け機器販売にとどまらず、外販営業社員を中心に大手・中小飲食企業への営業訪問等の実施、居抜物件を中心とした不動産物件情報の提供、コストと品質を両立させた内装工事の請負、多様な資金ニーズに応えるためのリース・クレジット等の取扱、メニュー開発及び販売促進策の提案、開業のための事業計画の立案支援、M&Aの提案及び相談の受付、インターネットを通じての情報とサービスの提供等を実施することにより、飲食店開業と運営を一から包括的にサポートすることであります。
当連結会計年度の経営成績は、売上高が274億69百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益が21億54百万円(同6.9%増)、経常利益が22億31百万円(同4.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が10億39百万円(同10.9%減)となりました。
セグメント別にみた営業概況は次のとおりであります。
①物販事業
物販事業につきましては、「チャレンジ&チェンジ」をスローガンに、オムニチャネル体制の構築推進を目標としてまいりました。
「営業戦略」としては、物販としてのグループ戦略として、テンポスバスターズ・キッチンテクノ・テンポス情報館・テンポスドットコムにおいて、お客様の相互紹介を行いグループ間のシナジー効果を高めることに注力いたしました。お客様から当社グループのどの部門に頼んでも「感じが良い」「頼りがいがある」と思っていただくことができるよう、毎月開催されるグループ会議での情報共有のみではなく、案件ごとにその都度情報共有を行う体制を構築いたしました。特に、インターネットからのお問合せ案件対応には注力し、それらのお問い合わせから当連結会計年度において売上高3億50百万円をあげることができました。インターネット上での店舗展開と物販の実店舗が全国59店舗あるという安心感をお客様へ提供することで、より安心してご購入いただけるようになってきていると感じております。
店舗としては、「買いやすい」「売りやすい」「相談しやすい」をテーマに地域ごと、店舗ごとに企画を立案し実施いたしました。
「買いやすい」につきましては、当社店舗では全国各地で定期的にセミナーやイベントを実施いたしました。日本政策金融公庫と連携した事業計画セミナーやファサード(店舗の入口や看板等)の改善セミナー、特殊機器である圧力寸胴やスチームコンベクションオーブン、真空包装機の実演イベント等を実施することで当社店舗への集客につなげることができました。また、厨房機器の展示会や食品会社の主催する展示会等への出展を積極的に行いました。これはお客様のご来店を待つだけの姿勢ではなく、まだ当社を認識していただいていないお客様に向けての告知活動の一環として取り組みました。これにより「いろいろなところで見かけるテンポス=安心できる企業」という印象を少しでもお客様に持っていただきたいと考えております。
「売りやすい」につきましては、お客様により安心した商品を販売できるように取り組んでいる保守メンテナンスの販売が堅調に推移いたしました。新たに保守メンテナンスにご加入いただいた件数は、当会計年度において1,046件(累計2,210件)となっております。お客様の店舗向けの装飾インテリア商品は、社内コンテストの実施や新商品の開発および導入等の効果もあり、同商品部門の売上高は前年同期比113.0%となっております。また、店舗での効率的な売場作りのため、滞留在庫対策委員会を毎月開催し、長期滞留している在庫に対して売価変更や廃棄等の指示を出し実行し、さらに店舗間での取り扱いアイテム数格差是正のため各商品ごとに在庫定数を設定することにより、欠品対策を実施しております。これらの取り組みにより、当社店舗では「いつ行っても目新しいものがある」と「いつも置いてあって安心する」の両立を目指しております。
「相談しやすい」につきましては、お客様が飲食店を開業および経営される上で発生するお困りごとに対して、こちらから情報とサービスを提案することによって解決していくことに注力いたしました。具体的には、開業にともなう資金需要に対応するため日本政策金融公庫と連携した事業計画セミナーの実施、飲食店の必須設備である電話回線・通信回線工事の紹介、有線放送や通信カラオケ機器の紹介、ドリンクメニュー提案のためのビールメーカー紹介、決済方法多様化のためのクレジットカード決済端末紹介、オーダー受け時のミスを低減するためのオーダーエントリーシステム紹介、従業員採用支援のための飲食店専門求人サイト紹介、社員教育支援のための覆面調査・管理者教育研修紹介、販促支援のためのFAXDM紹介、集客支援のための集客ツール紹介、万が一の事故のための損害保険紹介、店舗環境改善のための衛生用品レンタル紹介等を行っております。これらの提案を行うことにより、よりお客様の経営状況に密着した営業活動が可能となり、当連結会計年度では全サービス合計で6,800件の紹介等を行い、その売上高は53百万円(前年同期比70.0%増)となっております。また、お客様よりご相談の多かったことで当社事業の一つとして始めた大型イベント向けを含めた厨房機器のレンタルについては、当連結会計年度において、およそ500件の取り扱いで売上高28百万円の実績となっております。
「商品戦略」としては、プライベートブランド商品(以下:PB商品)の新開発および販売フォローの実施に注力いたしました。特に冷凍ストッカー、店舗用椅子およびソファについては開発施策と拡販施策の相乗効果により販売計画を上回る実績となっております。冷凍ストッカーの新規PB商品化数は4種類、売上高は2億41百万円(前年同期比63.0%増)となり、店舗用椅子およびソファの新規PB商品化数は35種類、売上高は4億96百万円(前年同期比27.0%増)となっております。また、リサイクル品の商品総量増加および全国への流通量増加のための施策として、9月に広島買取センター(広島県広島市)、4月に宇都宮買取センター(栃木県塩谷郡)を新たに開設いたしました。これにより当社の買取再生拠点は全国に12か所になっております。
「人事・管理戦略」としては、感じの良い職場環境作りを目指して、従業員間での感謝の気持ちを名刺サイズのカードに書いて伝えるサンクスカードの普及に努めました。毎月サンクスカードをたくさん書いた従業員を社内で公表すること等の施策により月間流通枚数10,000枚を超えるようになってまいりました。
効率的な従業員教育を行うためパート社員向け早期戦力化プログラムを実施し、その成果を評価に反映させ、パートマイスターコンテストを行い全国で最も接客技術のあるパート社員、部門技術のあるパート社員をそれぞれ選び社内で大々的に表彰することにより、当社ではパート社員のモチベーション向上を目指しております。また、マイスター制度につきましては、当連結会計年度よりパート社員のみでなく、正社員も参加する販売マイスター制度を導入し、正社員の接客技術向上にも努めております。上記の他にエリアマネージャー(以下:AM)候補の育成を目的としたAM候補研修、店長候補の育成を目的とした店長候補研修、全AMおよび店長向けにFBP化を進めるためのFBP研修等を実施する等、お問い合わせいただいたお客様に対して失礼のないような従業員教育に努めてまいります。
これらにより物販事業の当連結会計年度の売上高は141億60百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は10億43百万円(同11.2%減)となっております。
②情報・サービス事業
「情報・サービス事業」につきましては、Web通販部門において「受注処理スキルの向上」、不動産部門において「水面下の不動産情報の取得と提供」、マーケティング部門において「大手飲食企業との密着度アップ」に注力いたしました。
「受注処理スキルの向上」としては、朝礼を含めあらゆる場を教育の場と捉え、従業員に対して指導を行いました。そしてそのスキルを競うための場としてWeb通販部門独自のマイスター検定の導入、毎月実施している覆面調査結果を改善するための面談とトレーニング等を定期的に行うことによって、従業員の生産性に対するモチベーションを向上させ、受注処理件数を前年同期比16.0%増としながらも、粗利対人件費率を24.0%(前年同期より3.0%改善)とすることができました。また、「見やすさの構築」「探しやすさの構築」「変化を捉えるマーケティング」「効率化の追求」など各々のプロフェッショナル化プログラムに沿った教育も並行して行い、これを受発注業務を行う担当者のみでなく、企画制作の担当者も同時に行うことにより、同部門のチーム力向上につながっております。また、買いやすいページ作りについても同部門では注力しており、各カテゴリTOPごとの商品の選び方などを工夫することによって、検索順位でも強化カテゴリは安定して上位表示を維持しております。
「水面下の不動産情報の取得と提供」としては、不動産部門ではこれまで競合の不動産会社と変わりなく、情報提供による仲介手数料の獲得を目指すものでしたが、これでは大手飲食企業が取得している不動産情報の取得は難しく当社グループのお客様へ有益な情報の提供が数少ないものになっておりました。そこで、当社グループの強みであるリサイクル販売と内装工事部門との連携により、新たな方式を提案、採用することによりこれまで水面下のみで動いていた不動産情報の取得に成功いたしました。これにより、当連結会計年度より当社グループのお客様へ有益な不動産情報の提供が可能となっております。この方式による実績は来期より成果として現れてくるものと見込んでおります。
「大手飲食企業との密着度アップ」としては、面談・電話・メール等で毎月必ず接点をつくる、販促支援に対しての効果測定のヒアリングを行い費用対効果を検証する、効果があったものを別エリアの担当にも共有をする、この3つを徹底して行うことで大手飲食企業との密着度があがり、依頼も安定して増加いたしました。その結果、既存の大手飲食企業との取引が拡大し、マーケティング部門での当連結会計年度の売上高は2億94百万円(前年同期比16.0%増)、営業利益は47百万円(同34.1%増)となっております。また、同部門では飲食企業大手TOP100社開拓をスローガンに新規開拓を進めた結果、100社中88社との取引につながっております。
これらにより情報・サービス事業の当連結会計年度の売上高は38億83百万円(前年同期比10.8%減)、営業利益は3億12百万円(同5.5%減)となっております。
③飲食事業
「飲食事業」につきましては、「お客様に喜んでいただき、お値打ちな商品の提供・感じの良いサービス・楽しく快適な空間を楽しんでいただくこと」を実現するために、従業員教育、販売促進、商品開発、設備投資に注力いたしました。
従業員教育については、「4つのプロ(きづき・販売・マーケティング・クレーム対応)」の育成や経験豊富な従業員に対して、よりお客様へ提供する料理やサービスの品質向上を目的に実施しております。中でも4つのプロの教育は全従業員がその内容を理解実行するために、店長およびマネージャーが店舗にて実地トレーニングを繰り返し実施しております。そして、その店長およびマネージャーが実店舗で全従業員に対してトレーニングを実施できるようになるために、本社主導の店長育成研修、マネージャー育成研修を毎月開催しております。
販売促進については、「エンターテイメントステーキレストラン」を目指して、お子様を対象にしたグリル体験やハレの日需要の利用動機を促進する施策について取り組みました。また、体験型レストラン作りとして、各種デザート(ワッフル・たい焼き・ソフトクリーム・パフェ等)をお客様が自ら作って楽しむことができる空間づくりにも注力いたしました。さらに、新店オープンイベントとして、「ステーキ甲子園」と称して、チーム対抗の早食い競争(参加費無料)を開催し、上位3チームまでに入賞したチームに同店で使用可能な割引券を進呈するという企画を実施いたしました。その一方で、「あさくまオリジナル和洋折衷おせち(特選参段・和洋弐段)」の販売を当社店舗、各グループ店舗およびグループ会社、当社通販サイトにて行い、前年度実績700個を上回る800個を超える販売を達成することができました。
商品開発については、試験販売メニューとして「シェアステーキ」「リブフィンガー」等の提供を行いました。商品開発は本社での商品開発担当が数百種類にわたる試作を行い、それを第三者が評価し、その評価の高かったものを店舗で試験販売を実施しております。そしてその結果、店舗でお客様からのご評価の高かった商品を全店に新メニューとして導入することで、お客様に選んでいただける新たなあさくまブランドを構築してまいります。
設備投資については、直営店の「ステーキのあさくま」を計5店舗新規出店し、連結子会社の㈱あさくまサクセッションが「えびす参」を計1店舗新規出店したことにより、飲食事業グループの当連結会計年度末における総店舗数は計82店舗(FC店を含む)となりました。
これらにより飲食事業の当連結会計年度の売上高は94億25百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は8億54百万円(同39.6%増)となっております。
(2)キャッシュ・フロ-の状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて9億24百万円増加し、50億69百万円となりました。各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動で獲得した資金は、12億50百万円となり、前年同期比で3億10百万円の減少となりました。これは主に、たな卸資産の減少額で2億55百万円の減少、その他の流動負債の増加額で1億12百万円の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、2億60百万円となり、前年同期比で5億61百万円の減少となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出で3億14百万円、投資有価証券の購入による支出で1億54百万円の減少があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、66百万円となり、前年同期比で17百万円の増加となりました。これは主に、配当金の支払い額で16百万円の増加があったことによるものです。