有価証券報告書-第17期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
コーポレート・ガバナンス体制図(2020年6月18日現在)
① 基本的な考え方
当社は、「双日グループ企業理念」(「双日グループは、誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造します」)に基づき、中長期に亘る企業価値の向上を図っております。
この実現に向け、コーポレート・ガバナンスの充実が経営の重要課題であるとの認識のもと、以下のようなコーポレート・ガバナンス体制を構築し、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営責任と説明責任を果たすことを含め、健全性、透明性、効率性の高い経営体制の確立に努めております。
② 企業統治の体制
⦅概要及び当該体制を採用する理由⦆
1) 経営及び業務執行体制
当社では、経営の意思決定と業務執行の分離による権限、責任の明確化及び業務執行の迅速化を実現するため、執行役員制度を導入しております。取締役会は、当社グループ経営に係る基本方針と最重要案件の審議、決議を行う最高意思決定機関であると共に、業務執行機関からの重要事項の付議、定例報告などを通じて業務の執行状況の監督を行っております。業務執行機関としては、当社グループの経営及び執行に係る重要事項を全社的視野並びに中長期的な観点で審議、決裁する経営会議を設置し、最高経営責任者である社長が議長を務めております。加えて、社長管下には、重要な投融資案件を審議・決裁する投融資審議会、重要な人事事項を審議・決裁する人事審議会、組織横断的な視点で取り組むべき事項を推進する社内委員会を設置しております。
なお、急速な経営環境の変化に迅速かつ適切に対応し、経営に対する責任を明確にするため、取締役と執行役員の任期を1年としております。
2) 経営に対する監視・監督体制
当社では、当社経営に対し、客観的な立場からの外部視点による適切な助言・提言を受けること及び取締役会の監督機能の強化を図ることを目的に複数の社外取締役を選任しております。また、社外取締役が取締役会の諮問機関である指名委員会、報酬委員会の委員長を務めることにより、取締役の選任、報酬に関する妥当性、透明性を確保しております。
なお、当社は監査役会設置会社であり、監査役会が独立した立場から、経営に対する監視・監督機能を果たしております。
(会社の機関)
1) 取締役会
最高意思決定機関として、当社グループ経営に係る基本方針と最重要案件の審議、決議を行うと共に、業務執行機関からの重要事項の付議、定例報告などを通じて業務の執行状況の監督を行っております。また、社外取締役は、業務執行取締役及び当社執行体制全般に対する監督、当社ガバナンス体制全般への意見具申を行っております。
● 取締役の選任方針及び取締役会の構成
広範で多岐に亘る事業を行う総合商社における適切な意思決定、経営監督の実現のため、取締役の選任においては、ジェンダーや国際性の面を含む多様性を考慮し、社内及び社外それぞれから豊富な経験、高い見識、高度な専門性を有する者を複数選任することとしております。なお、当社は、定款において取締役の員数を10名以内と定めており、2020年6月18日時点では、当社において豊富な業務経験を持つ社内取締役(4名)と、客観的かつ専門的な視点や多様な知見を持つ社外取締役(3名)の計7名(男性5名・女性2名)で構成されております。
● 取締役の指定手続き
上記指名方針に基づき、取締役会の諮問機関である指名委員会の審議結果を踏まえ、取締役会が個々の候補の実績並びに取締役としての資質について審議のうえ、決議し、株主総会に付議しております。
● 取締役会での審議内容等
当社は、法令・定款によるほか、取締役会規程を定め、経営方針・経営計画及び重要な人事・組織・制度などの当社グループ経営に係る基本事項・重要事項ならびに定量面より重要性の高い投融資案件等の業務執行に係る重要事項に関して、取締役会において審議・決議しております。
取締役会決議事項を除く業務執行に関しては、各事案の内容・規模・重要性・リスク等に応じて、最高経営責任者である社長、その管下の業務執行機関である経営会議・投融資審議会・人事審議会等において、審議・決裁しております。
● 取締役の支援体制
取締役を補佐する専属組織として取締役会業務室を設置しており、取締役に対し、専任スタッフ3名(2020年6月18日時点)を中心に適時適切な情報提供、報告及び連絡などを行っております。
● 取締役会の実効性に関する分析・評価
当社は、取締役会の機能向上を図るため、毎年、取締役会の実効性評価を行っております。
2019年3月期の取締役会実効性評価の結果を踏まえ、2020年3月期は下記の取り組みを行いました。
・取締役会における中期経営計画の進捗状況のフォローアップの実施。
・投融資案件につき、意思決定プロセスの実効性を高めるべく、当該案件の本部内での位置付け等を営業本部長より説明。また、投融資審議会議長を務める社内取締役から投融資審議会での論点等の補足説明を実施。
・社外取締役と社外監査役のコミュニケーションを促進するため、社外取締役向け取締役会付議議案の事前説明への社外監査役の同席、および社外役員間の定期的な意見交換会を実施。
・指名委員会・報酬委員会での協議・検討事項につき、取締役会での報告を実施。
・当社及び当社グループの幅広い事業内容についての理解を深め、業務執行者とのコミュニケーション機会を設けるため、2019年12月に社外役員によるベトナムにおける製紙事業会社等の視察を実施。
2020年3月期の分析・評価結果及び今後の取り組みは以下のとおりです。
2) 監査役会
諸法令、定款、諸規程及び監査役会が定めた監査役監査基準に基づき、独立した立場で取締役の職務執行の監査を行っております。また、監査役は、取締役会に加えて、業務執行に関する重要な会議に出席するほか、取締役からの聴取、重要な決裁書類の閲覧などを通じて経営に対する監視・監査機能を果たしております。
● 監査役会の構成
2020年6月18日時点で、当社における豊富な業務経験を持つ社内監査役2名と、客観的かつ専門的な視点や多様な知見を持つ社外監査役3名の計5名(男性4名・女性1名)で構成されており、常勤監査役を2名としております。
● 監査役の支援体制
監査役を補佐する専属組織として監査役業務室を設置しており、社内外の監査役に対し、専任スタッフ3名(2020年6月18日時点)を中心に適時適切な情報提供、報告及び連絡などを行っております。
3) 取締役会の諮問機関(指名委員会、報酬委員会)
当社は、取締役会の諮問機関として以下を設置しております。
4) 取締役・監査役に対するトレーニングの方針
当社は、取締役や監査役がその機能や役割を適切に果たせるように、以下を実施しております。
・ 新任役員に対して、弁護士による役員の法的な義務・責任等に関するレクチャーのほか、第三者によるコンサルテーションなど経営者向けのプログラムを受ける機会を設定。
・ 社内外の取締役・監査役が、当社の広範な事業活動に関する理解を深めるため、各本部長による事業・取り組みの説明会を実施するほか、最新のマクロ経済情勢についての理解を深めるため、当社シンクタンク子会社による月例説明会を実施。加えて、その他の必要な情報についても、継続的に情報提供を実施。
・ 日本取締役協会や日本監査役協会等の外部機関において開催されるセミナー等への参加機会を提供。
5) 取締役・監査役の報酬の決定方針
● 取締役の報酬の決定方針等
同業他社の報酬水準、及び当社業績をベンチマークとして、取締役会の諮問機関であり社外取締役を委員長とする報酬委員会での審議を経て、取締役会の決議により決定されます。
取締役(社外取締役を除く)の報酬は、業績と連動しない基本報酬(金銭)及び株式報酬のうち固定部分(以下「基本報酬(株式)」という。)と、業績と連動する、業績連動に基づく金銭報酬(以下「業績連動報酬(金銭)」という。)及び株式報酬のうち業績連動部分(以下「業績連動報酬(株式)という。」から構成されております。基本報酬は取締役の役位に応じた金銭、及び一定数の株式交付ポイントの付与を行うものです。業績連動報酬は、取締役の役位に応じて対象期間における各事業年度の親会社の所有者に帰属する当期純利益(以下「連結当期純利益」という。)の額に連動した金銭、及び株式交付ポイントの付与を行うものです。なお、業績連動報酬に係る指標は、会社業績との連動性が高く、かつ透明性・客観性の高い役員報酬制度とするため、連結業績予想として公表している連結当期純利益としております。また、株式報酬については、取締役の退任後に、交付される株式総数(株式交付1ポイントにつき当社株式1株)が確定します。取締役(社外取締役を除く)の報酬の算定方法については、「(4) 役員の報酬等 ■2020年度における報酬等」をご参照ください。
社外取締役の報酬については、独立性の観点から業績連動報酬は導入せず、基本報酬(金銭)のみとし、報酬委員会での審議を経て、取締役会の決議により決定されます。
報酬委員会は、取締役、執行役員の報酬水準、並びに評価、報酬に関する諸制度の制定・改廃、その他の事項について審議し、取締役会へ提案します。また、取締役、執行役員の個人別報酬案に関して審議し、取締役会に意見を述べます。
2019年6月20日以降は委員長を内藤加代子氏とした、社外取締役2名(内藤加代子取締役、大塚紀男取締役)、社内取締役2名(原大取締役会長、藤本昌義代表取締役社長)で構成され、2020年6月18日以降は「3)取締役会の諮問機関(指名委員会、報酬委員会)」記載の通りの構成となります。
役員の報酬の決定等に関する、取締役会、報酬委員会の2019年度の活動内容は次の通りです。
2019年5月(報酬委員会)/2019年度 業績連動報酬算出に用いる業績目標額・係数の設定について
2019年5月(取締役会) /2019年度 業績連動報酬算出に用いる業績目標額・係数の設定について
2019年6月(報酬委員会)/2018年度 執行役員の業績連動報酬について
2019年6月(取締役会) /2018年度 執行役員の業績連動報酬について
2019年10月(報酬委員会)/今後、委員会で議論すべきことについて
2019年11月(報酬委員会)/他社事例のトレンドを参考とした現報酬体系の課題について
2019年12月(報酬委員会)/今後の役員報酬体系の見直しについて
2020年1月(報酬委員会)/今後の役員報酬体系の見直しについて
2020年2月(報酬委員会)/活動報告、委員会開催時期について
● 監査役の報酬の決定方針等
監査役の報酬については、取締役の監督にあたる役割に鑑みて、業績連動報酬は導入せず、基本報酬(金 銭)のみとし、原則、監査役会において協議、決定されます。
(業務執行機関)
当社は、最高経営責任者である社長管下の業務執行機関として以下を設置しております。
1) 経営会議
業務執行取締役及び営業本部やコーポレートの責任者などから構成され、当社グループの経営政策、経営戦略及び経営管理事項を全社的視野並びに中長期的な観点から審議・決裁を行います。
2) 投融資審議会
業務執行取締役やコーポレートの責任者などから構成され、重要な投融資案件(投融資保証案件、与信案件など)を全社的な視野に立って審議・決裁を行います。
3) 人事審議会
業務執行取締役やコーポレートの責任者などから構成され、重要な人事事項を全社的な視野に立って審議・決裁を行います。
4)社内委員会
企業価値向上のため、組織横断的に取り組むべき経営事項を推進する社長管下の業務執行機関として、以下の社内委員会を設置しており、各社内委員会は、取締役会や経営会議にその活動内容に基づく報告を定期的に行っております。
⦅その他の事項⦆
(多様なステークホルダーの立場の尊重について)
当社は、双日グループ企業理念に掲げるとおり、企業活動を通じ、世界中の多様なステークホルダーのニーズや期待に誠実に応え、新たな価値を提供し続けることを通じて、当社グループの事業基盤拡充や持続的成長などの「双日が得る価値」と、国、地域経済の発展や人権・環境配慮などの「社会が得る価値」の2つの価値の実現と最大化に取り組んでおります。
また、企業理念を実践し、ステークホルダーとの強固な信頼関係を築くために、グループ全役職員が実践すべきものとして、「双日グループ サプライチェーンCSR行動指針」や「双日グループ・コンプライアンス行動基準」などの行動指針・基準を定めるほか、国連グローバル・コンパクト10原則や、パリ協定、SDGs(持続可能な開発目標)などの国際規範にも沿ったサステナビリティに関する諸方針として、「双日グループ 環境方針」、「双日グループ 人権方針」などを整備し、グループ各社、役職員へこれらの指針・基準・方針の周知・徹底を図っております。
1) サステナビリティに関する取り組み
双日では、将来にわたり「2つの価値」を創造し続けるため、事業を通じて中長期的に取り組む6つの「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を設定すると共に、長期ビジョンとして「サステナビリティ チャレンジ」を設定し、グローバルな環境・社会課題の解決と企業活動との融合促進、及びその体制の構築に取り組んでいます。
<サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)>
<サステナビリティ チャレンジ>『事業を通じた脱炭素社会実現への挑戦と、サプライチェーンを含めた人権尊重への対応により、双日と社会の持続的な成長を目指します。』
「中期経営計画2020」の3ヶ年を長期ビジョン実現に向けた準備期間と位置づけ、経営が先頭に立ち、事業活動により生じるCO2排出量の把握・評価や、低炭素社会実現に貢献するビジネスの積み上げを加速し、今後10年で低炭素ビジネスの拡大を図ると共に、恒常的に人権尊重の取り組みを拡大していきます。
<低炭素・脱炭素に向けた取り組み>当社グループは、2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定の要請を踏まえ、「サステナビリティ チャレンジ」で掲げる「事業を通じた脱炭素社会の実現」に向けて、再生可能エネルギー事業など、気候変動対策に結びつく事業への取り組みを進めています。
また、2018年8月にTCFDの最終提言への賛同を表明し、幅広いステークホルダーとの協働、積極的な情報開示と透明性向上に努めています。
2) 人材の多様性に関する取り組み
当社は、グローバルに事業を展開する中で、長期的に競争力を発揮し続けるため、性別、国籍、年代などを問わず、多様な人材の採用や育成、活用を進めています。また、これらの人材が、個々の能力を最大限に発揮し、組織の成果に貢献できるよう、制度・環境の整備に取り組んでおります。
● 女性活躍推進
中長期的な視点から行動計画及び数値目標を定め、仕事と育児の両立支援などの制度を含む職場環境の整備、上司・本人を含めた社員の意識向上に取り組むなど、女性管理職をはじめとした女性社員の活躍に向けた諸施策に取り組んでいます。また、その進捗は定期的に経営会議、取締役会へ報告を行っております。経営からの社内外へのメッセージ発信も積極的に行っており、2018年10月には「双日のイクボス宣言」を表明、多様な人材を活躍させ組織の成果に繋げる管理職を増やし、柔軟で生産性の高い働き方を推進しています。また、2020年3月には、女性活躍推進に優れた上場企業を表彰する「なでしこ銘柄」(経済産業省、東京証券取引所主催)に4年連続で選定されました。
女性活躍推進法に基づく行動計画
URL:https://www.sojitz.com/jp/csr/employee/pdf/kodo2016_02.pdf
次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画
URL:https://www.sojitz.com/jp/csr/employee/pdf/plan2018.pdf
● グローバル人材の採用及び育成
本社における採用において、外国人の新卒及びキャリア採用を進めております。また、海外事業会社では現地の優秀な経営者を雇用し、グローバルでの成長戦略を推進すべく活用するほか、海外グループ社員に対しては、幹部候補者の育成の一環として、東京本社での研修を継続実施しております。このほか、本社においては、入社5年以内に全員を海外に派遣する海外トレーニー制度や海外語学研修制度、MBA・LLMプログラムへの留学制度などグローバルな視点をもった人材に育成するための施策も積極的に行っております。なお、2019年度から本部の垣根を越えたトレーニー派遣制度を開始、所属本部の経験を活かして他本部の管轄拠点で経験を積むことにより、事業経験の幅出しにつなげられるよう全社をあげて取り組んでいます。
● 年代を問わない人材の活用
年齢や勤続年数にとらわれず、役割に応じた処遇を徹底すると共に、早期登用も可能な人事制度を導入しており、個々人がモチベーション高く働くことの出来る環境整備を進めております。
また、シニア社員が自らの経験、知見及び人脈等を最大限活用し発揮できるよう、シニア社員の活躍を促す人事制度を導入しております。
● 障害者雇用
本社での採用に加え、法に則した「特例子会社」を設けており、個々の障害特性に合わせた業務の細分化及び生活面を含めたフォロー体制を整備することで、知的・精神障害者にも適した就労環境を構築し、雇用の促進を図っております。2020年3月末時点では、法定雇用率2.2%を達成し、引き続き特例子会社と連携して法定雇用比率の充足はもとより、障害者の雇用促進を進めてまいります。
● 場所や時間に捉われない柔軟な働き方を実現できる環境整備
働き方改革の一環として、2017年度よりコアタイムを設けないフレックス勤務制度(スーパーフレックス)を導入しています。続いて、2019年度においては、2018年度から行ってきた社内トライアルを経て2020年1月から正式にテレワーク勤務制度を導入し、自律的に働く多様な人材が柔軟に業務遂行できる環境を整えています。
3) 株主との対話
当社は、経営方針や持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた取り組みについて、適切な情報を適時に提供すると共に、分かり易い説明の継続的な実施、株主の意見の経営への報告・反映などを通じ、株主との間で建設的な対話を行うことを基本方針としております。
また、当社では株主・投資家をはじめとするステークホルダーへ公平かつ適切な情報開示を行うため、フェア・ディスクロージャー・ルールの趣旨を尊重し、社内規程として、インサイダー取引防止規程のほか、法令・規則の遵守、透明性、適時性、公平性、継続性、機密性を基本原則とする情報開示規程を定め、これらを遵守すると共に、各役職員への徹底を図っております。
● 株主への情報提供
全ての株主に対して公正かつ平等に情報発信を行うことを基本とし、中期経営計画や決算内容については、取締役会での決議後速やかにTDnetや当社ウェブサイトにて公表しております。また、当社の事業活動やビジネスモデルについて理解を深めていただくべく、統合報告書の発行や、個人株主説明会/懇談会・事業説明会の実施及び当社ウェブサイトでの動画配信など、積極的な情報開示を行っております。
● 株主総会における取り組み
定時株主総会開催日の約3週間前に招集通知などを発送することに加え、発送に先立ち、約4週間前に当社ウェブサイトにて英訳版と共に開示し、また、スマートフォン・タブレットに対応した形での開示も行っております。そのほかにも、集中日を回避した開催、インターネットを通じた議決権行使の仕組みの採用、国内外の機関投資家が活用できる「議決権電子行使プラットフォーム」への参加、株主総会の動画配信など、対話型株主総会を目指した積極的な取り組みを進めております。なお、2020年6月18日開催の株主総会については、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、株主の皆様の安全を第一とした株主総会といたしました。
● 株主との対話における体制及び取り組み
株主との対話は、取締役が主体となり専任組織であるIR室が補助する体制としております。
上記に加え、決算説明会には、証券アナリストにも参加いただいております。
(内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備・運用状況)
1) 基本的な考え方
当社は、グループ全体として内部統制システムの整備に努めており、会社法及び会社法施行規則を踏まえ、2015年4月24日の取締役会にて、「当社グループの業務の適正を確保するための体制の整備に関する基本方針」を決議しております。
2) 整備・運用状況
● 内部統制システム全般
社長管下の業務執行機関である内部統制委員会が、内部統制システムの整備及び運用状況のモニタリングを実施し、内部統制体制の維持・高度化を図っております。
(運用状況の概要)
内部統制委員会は、内部統制システム全般の整備・運用状況の全体俯瞰と定期的なモニタリングを実施し、社内制度・体制などに関する全社的な課題の抽出と対応策の検討、担当部署への指示、改善を行っております。また、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制評価の進捗を監督し、財務報告の信頼性の確保に取り組んでおります。なお、個々の分野での具体的な施策については、各委員会(コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会など)・分科会(開示分科会、情報セキュリティ分科会など)において取り組んでおります。
内部統制委員会は当年度に5回開催し、その内容を取締役会に報告しております。
また、当社グループ内のルール・ガイドラインの新設・変更、注意事項等に関する重要情報の一層の周知・共有を図るため、主要情報をまとめた「内部統制通信」を作成し、国内外の全グループ会社を対象に定期配信を開始しました。
● コンプライアンス
当社グループでは、「双日グループコンプライアンス・プログラム」にコンプライアンス徹底のための手順を定めると共に、「双日グループ・コンプライアンス行動基準」を策定し、当社グループ役職員の拠りどころとなる世界共通の判断基準を示しております。
また、チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心に、当社グループ会社及び海外拠点においても、それぞれコンプライアンス責任者やコンプライアンス委員会を設置するなど、グループ全体が連携して法令・企業倫理遵守を推進する体制を構築しております。
コンプライアンス違反の防止や早期発見に向けては、CCO及び社外弁護士へのホットライン(内部通報制度)、委員会事務局につながる相談窓口、及び24時間365日活用できる多言語対応の「双日エシックスホットライン」を当社グループ役職員に周知しております。また、当社ホームページ内にコンプライアンスに関する対外的なお問い合わせ窓口を設置して、社外からの通報を受ける体制としております。
加えて、腐敗行為を防止するために、「双日グループ腐敗行為防止規程」及び「双日グループ腐敗行為防止要領」を制定し、海外現地法人ならびに国内外の当社グループ会社においてもこれに準じた規程を導入しております。
2019年11月には、贈収賄防止マネジメントシステムの国際規格であるISO37001を日本企業として初めて取得しました。
2019年7月には「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」を制定し、国内外の制裁・輸出規制違反リスクへの対応体制を構築しております。
また、2019年4月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が一部施行され、当社全社員向け必修eラーニングの実施や当社及び国内グループ会社向けに社会保険労務士によるセミナーを開催するなど、趣旨の周知に努めました。2020年1月にはテレワーク勤務制度を開始し、既に導入済みのスーパーフレックス制度などの利用とともに個人の業務効率を向上させ、新たな時間を創出することによって新規取り組み、チームや組織の生産性と発想力向上を目指しています。
そのほか、法令遵守は元より、あらゆるハラスメントの存在しない、良好な就業環境を維持・継続するための体制整備として、ハラスメント相談窓口の周知やe-ラーニングを含む研修などの運用面での活動などを、継続して実施しております。
(運用状況の概要)
コンプライアンス委員会で策定した活動計画に基づき、コンプライアンス事案に関する再発防止策の協議や行動基準の実践に向けた当社グループ会社に対する支援・指導を継続的に行っております。
当年度における具体的な活動は以下のとおりです。
・CCOと当社グループ会社社長との面談
・当社グループ会社コンプライアンス担当者連絡会の定期開催
・海外拠点コンプライアンス担当者との定期連絡会議開催
・ハラスメント防止、下請法、腐敗行為防止等の重要課題に関するセミナー・説明会の実施や個人情報保護法(GDPRを含む)に関するeラーニングの実施
・新入社員向け、キャリア入社社員向け、海外赴任者向けなど、各種研修の実施
・国内グループ会社の新任コンプライアンス担当者への導入研修や実務担当者向けのスキル養成研修の実施。
なお、当年度においてコンプライアンス委員会は四半期毎に計4回開催いたしました。
安全保障貿易管理に関しては、コンプライアンス委員会傘下の分科会を独立させ安全保障貿易管理委員会を新たに設置、当委員会で策定した活動計画に基づき、委員会事務局が制裁・輸出規制違反防止のための活動及び当社グループ会社に対する支援・指導を行っております。
当年度における具体的な活動は以下のとおりです。
・「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」を制定
・新入社員向け、キャリア入社社員向け、海外赴任者向けなど、各種研修の実施
・海外拠点の現地安全保障貿易管理関連規程の改訂・制定を支援
・安全保障貿易管理委員会を1回開催
● リスク管理
当社グループでは、総合商社の事業運営において晒される様々なリスクに対処するため、「リスク管理基本規程」に則りリスクを分類・定義し、リスク項目ごとに管理責任者を特定し「リスク管理運営方針・運営計画」を策定しております。「リスク管理運営方針・運営計画」の策定、実行、モニタリング、総括のPDCAサイクルを実践することで、継続性を担保し、リスク管理体制の高度化を図っております。
(運用状況の概要)
「リスク管理運営方針・運営計画」の策定については、取締役会で決議し、その運営状況を内部統制委員会での討議を経て、四半期毎に取締役会に報告しております。また、事業環境の変化などに伴う対応策の全社周知や新たなリスク領域への対応が必要となった場合は、課題や対応状況について適宜、経営に報告のうえ対処しております。
なお、分類したリスクのうち、定量化が可能なリスク(市場リスク・信用リスク・事業投資リスク・カントリーリスク)に関しては、リスクを計測し、算出したリスクアセットの数値に基づいて管理しております。また、定量化が困難なリスク(法務リスク、コンプライアンスリスク、環境・社会(人権)リスク、資金調達リスク、災害等リスク、システムリスク)については、管理状況のモニタリングを行い経営に報告しております。加えて、Webサイト・SNSを介した企業情報発信に関するリスク(個人情報保護・危機管理など)、品質に関するリスク(事業領域多様化に伴う品質管理への対応など)などの新興リスクについても、PDCAサイクルでのモニタリングを継続して行っております。
引き続き、当社グループ役職員のリスク管理意識の浸透に向け、多種のリスク管理研修を通じた恒常的な教育・啓蒙活動を実施しております。
なお、災害等リスクの関連では、地震、風水害、感染症など災害等リスクの発生時における社員の業務遂行の確保に加え、働き方の改善にも資する施策として、前述のテレワーク勤務制度やスーパーフレックス制度の実施体制・環境の一層の整備を行いました。また、当社グループの危機管理基本方針の実効性の担保と、経営環境の変化に対応した継続的な見直し・改善・発展を目的とし、「事業継続マネジメント委員会」を、2020年4月から設置しております。
● グループ会社経営管理
グループ会社の経営管理については、「グループ経営基本規程」、「グループ経営運営規程」に定めた当社グループの経営管理体制に基づき、各グループ会社が体制の整備を行っております。また、各社の体制整備状況については、定期的にモニタリングを行っております。
加えて、当社取締役は、主管者又は、当社がグループ会社に派遣した取締役、監査役などを通じ、グループ会社の経営状況を把握するものとしております。
(運用状況の概要)
当社がグループ会社に派遣した取締役や監査役などを通じ、適正な経営基盤やガバナンスの整備、及び運営などに対する経営監督を行い、年度事業報告・月次営業活動報告などの定期的な報告を受けております。また、重要事項については当社への事前協議を求め、グループ会社の重要な業務執行について適切に管理しております。
このほか、グループ経営を推進するために、主管者を通じグループ経営方針の説明を行うほかに、当社グループ会社の役職員向け研修等においても当社グループの経営理念、方針について浸透に努めております。
さらに、グループ会社におけるガバナンス強化の一環として、経営会議、及び、取締役会に対し、グループ会社における取締役会運営状況の定期報告を行っております。
また、グループ会社取締役研修を毎年実施しているほか、新任の取締役・監査役向けには別途研修を実施しております。
● 情報の保存及び管理
取締役会議事録などの重要文書を始めとする職務執行に係る文書の取扱いについては、文書保存規程などに基づき責任部署が法定保存期間に応じて適切に管理すると共に、必要に応じて閲覧に供せる体制としております。また、職務執行に係る情報について、その重要性・秘匿性に応じた区分や管理方法を規程に定め、運用状況についてモニタリングを行うなど、情報セキュリティに係る体制を整備しております。
(運用状況の概要)
職務執行に関わる情報については、規程に定める情報の区分や管理方法、保存期間等について定期的に見直すと共に、適切な管理の徹底に努めております。なお、当社グループでは、特に厳格な管理が求められる情報を「特定の管理が必要な情報」として、具体的な管理・運用方法のガイドラインを策定しており、保有状況の調査や必要な改善指導を継続して行っております。また、不審メールに対する対応訓練や、パスワード管理の厳格化を主目的としたITセキュリティ規程の改定、メッセージングアプリの業務利用に関するルールの策定など、種々の施策を通じて、セキュリティ対策の更なる強化に努めております。
● 監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査役への報告体制については、取締役からの報告に加え、内部統制委員会、コンプライアンス委員会などの各種委員会や監査部などを通じた当社グループに関する事項、連結子会社からの事業報告など、監査に必要な報告が適宜行われる体制を整備しております。また、監査役への報告者が不利な取扱いを受けないよう、関連規程に規定しております。
会計監査については、監査役が会計監査人より監査計画の説明及び定期的な監査実施状況の報告を受け、相互に情報を共有し、効率的な監査が実施できる体制を構築すると共に、会計監査人の独立性についても監査可能な体制としております。
(運用状況の概要)
監査役への報告は適時に行われており、監査役と取締役との面談、監査役と会計監査人との面談も定期的に実施され、意見交換が行われております。
③ 責任限定契約の内容の概要
当社は、社外取締役及び監査役との間で責任限度額を10百万円又は会社法第425条第1項に定める最低責任限度額のいずれか高い額を限度とする責任限定契約を締結しております。
④ 取締役に関する事項
● 取締役の員数
当社は、当社の取締役は10名以内とする旨、定款に定めております。
● 取締役の選任決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行い、累積投票によらない旨、定款に定めております。
⑤ 株主総会決議に関する事項
1) 株主総会決議事項を取締役会で決議することができるとしている事項
● 自己の株式の取得
当社は、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨、定款に定めております。これは、財務政策等の経営諸施策を機動的に遂行することを目的とするものであります。
● 取締役及び監査役の責任免除
当社は、会社法第426条第1項の規定により、取締役(取締役であった者を含む)及び監査役(監査役であった者を含む)による会社法第423条第1項の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨、定款に定めております。これは、取締役及び監査役が善意にして、且つ重大な過失がないことを前提としたもので、職務の遂行にあたり期待される役割を効率的且つ有効に発揮できるようにするためであります。
● 中間配当
当社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当(中間配当)をすることができる旨、定款に定めております。これは、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものであります。
2) 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨、定款に定めております。これは、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。
コーポレート・ガバナンス体制図(2020年6月18日現在)
① 基本的な考え方
当社は、「双日グループ企業理念」(「双日グループは、誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造します」)に基づき、中長期に亘る企業価値の向上を図っております。
この実現に向け、コーポレート・ガバナンスの充実が経営の重要課題であるとの認識のもと、以下のようなコーポレート・ガバナンス体制を構築し、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営責任と説明責任を果たすことを含め、健全性、透明性、効率性の高い経営体制の確立に努めております。
② 企業統治の体制
⦅概要及び当該体制を採用する理由⦆
1) 経営及び業務執行体制
当社では、経営の意思決定と業務執行の分離による権限、責任の明確化及び業務執行の迅速化を実現するため、執行役員制度を導入しております。取締役会は、当社グループ経営に係る基本方針と最重要案件の審議、決議を行う最高意思決定機関であると共に、業務執行機関からの重要事項の付議、定例報告などを通じて業務の執行状況の監督を行っております。業務執行機関としては、当社グループの経営及び執行に係る重要事項を全社的視野並びに中長期的な観点で審議、決裁する経営会議を設置し、最高経営責任者である社長が議長を務めております。加えて、社長管下には、重要な投融資案件を審議・決裁する投融資審議会、重要な人事事項を審議・決裁する人事審議会、組織横断的な視点で取り組むべき事項を推進する社内委員会を設置しております。
なお、急速な経営環境の変化に迅速かつ適切に対応し、経営に対する責任を明確にするため、取締役と執行役員の任期を1年としております。
2) 経営に対する監視・監督体制
当社では、当社経営に対し、客観的な立場からの外部視点による適切な助言・提言を受けること及び取締役会の監督機能の強化を図ることを目的に複数の社外取締役を選任しております。また、社外取締役が取締役会の諮問機関である指名委員会、報酬委員会の委員長を務めることにより、取締役の選任、報酬に関する妥当性、透明性を確保しております。
なお、当社は監査役会設置会社であり、監査役会が独立した立場から、経営に対する監視・監督機能を果たしております。
(会社の機関)
1) 取締役会
最高意思決定機関として、当社グループ経営に係る基本方針と最重要案件の審議、決議を行うと共に、業務執行機関からの重要事項の付議、定例報告などを通じて業務の執行状況の監督を行っております。また、社外取締役は、業務執行取締役及び当社執行体制全般に対する監督、当社ガバナンス体制全般への意見具申を行っております。
● 取締役の選任方針及び取締役会の構成
広範で多岐に亘る事業を行う総合商社における適切な意思決定、経営監督の実現のため、取締役の選任においては、ジェンダーや国際性の面を含む多様性を考慮し、社内及び社外それぞれから豊富な経験、高い見識、高度な専門性を有する者を複数選任することとしております。なお、当社は、定款において取締役の員数を10名以内と定めており、2020年6月18日時点では、当社において豊富な業務経験を持つ社内取締役(4名)と、客観的かつ専門的な視点や多様な知見を持つ社外取締役(3名)の計7名(男性5名・女性2名)で構成されております。
● 取締役の指定手続き
上記指名方針に基づき、取締役会の諮問機関である指名委員会の審議結果を踏まえ、取締役会が個々の候補の実績並びに取締役としての資質について審議のうえ、決議し、株主総会に付議しております。
● 取締役会での審議内容等
当社は、法令・定款によるほか、取締役会規程を定め、経営方針・経営計画及び重要な人事・組織・制度などの当社グループ経営に係る基本事項・重要事項ならびに定量面より重要性の高い投融資案件等の業務執行に係る重要事項に関して、取締役会において審議・決議しております。
取締役会決議事項を除く業務執行に関しては、各事案の内容・規模・重要性・リスク等に応じて、最高経営責任者である社長、その管下の業務執行機関である経営会議・投融資審議会・人事審議会等において、審議・決裁しております。
● 取締役の支援体制
取締役を補佐する専属組織として取締役会業務室を設置しており、取締役に対し、専任スタッフ3名(2020年6月18日時点)を中心に適時適切な情報提供、報告及び連絡などを行っております。
● 取締役会の実効性に関する分析・評価
当社は、取締役会の機能向上を図るため、毎年、取締役会の実効性評価を行っております。
2019年3月期の取締役会実効性評価の結果を踏まえ、2020年3月期は下記の取り組みを行いました。
・取締役会における中期経営計画の進捗状況のフォローアップの実施。
・投融資案件につき、意思決定プロセスの実効性を高めるべく、当該案件の本部内での位置付け等を営業本部長より説明。また、投融資審議会議長を務める社内取締役から投融資審議会での論点等の補足説明を実施。
・社外取締役と社外監査役のコミュニケーションを促進するため、社外取締役向け取締役会付議議案の事前説明への社外監査役の同席、および社外役員間の定期的な意見交換会を実施。
・指名委員会・報酬委員会での協議・検討事項につき、取締役会での報告を実施。
・当社及び当社グループの幅広い事業内容についての理解を深め、業務執行者とのコミュニケーション機会を設けるため、2019年12月に社外役員によるベトナムにおける製紙事業会社等の視察を実施。
2020年3月期の分析・評価結果及び今後の取り組みは以下のとおりです。
分析・評価方法 | 1.2020年3月期の取締役会実効性評価の進め方につき取締役会で審議しました。 2.取締役と監査役の全員にアンケートを行い、個別インタビューを実施しました。併せて、アンケート回答内容について外部コンサルタントによる第三者評価を実施しました。 3.第三者評価結果及び個別インタビュー結果に基づく分析・評価結果を取締役会で報告し、今後の取り組みを議論しました。 |
アンケート項目 | 1.取締役会の役割・責務 2.取締役会の構成 3.取締役会の運営 4.取締役会の意思決定プロセス 5.取締役会による監督 6.取締役会メンバーへのサポート体制 7.諮問機関である指名委員会・報酬委員会 8.社外取締役に関する事項 9.実効性向上への提言等 |
評価結果の概要 | アンケート回答を集計した結果、全体平均は基準点以上の評点であり、第三者評価においても下記の所見となっており、当社の取締役会は適切に機能し、実効性が確保されていることを確認しました。 |
第三者評価 における 所見の概要 | ・各取締役における責任の明確化、社外役員を交えた活発な審議、議長による適切な議事進行、事前の情報共有、新設の取締役会業務室によるサポート体制が窺え、取締役会の実効性は高い水準にあると思われる。 |
・社外取締役を増員し、社内取締役4名、社外取締役3名の合計7名の体制への移行を2020年6月の株主総会に付議予定の一方、総合商社の業務内容は多岐に亘ることから、社外取締役比率は1/3以上を維持しつつ、社内取締役の増員を求める声も見られた。グローバルに展開する企業として、取締役会メンバーのバックグラウンド、ジェンダー・国籍等の多様性が求められている。 | |
・社外役員に対するサポート体制は、IT活用等による主要会議資料等の情報共有の迅速化、社外役員による投融資審議会への陪席等により改善が見られる。 | |
・就任時の事業内容、事業戦略の説明の充実を望むコメントが見られ、今後就任予定の新任役員に対するトレーニング体制の強化が求められる。 | |
・中長期的な企業価値向上、経営戦略や経営計画についての議論を、より多様な角度からなされることを望む声が見られた。 | |
更なる実効性向上のための取り組み | 2020年3月期の取締役会実効性評価の結果を踏まえ、取締役会の更なる実効性向上のため、今後下記の取り組みを継続して行っていくことを確認しました。 ・中期経営計画の進捗状況、次期中期経営計画の策定状況等について、段階に応じ取締役会での議論を行う。 ・中期経営計画2020の振り返りを踏まえ、当年度予算における定量・定性目標、その達成への課題と具体的な対応策につき、各営業本部長より取締役会外での報告を行う。 ・社外役員のみで構成される独立社外役員会議を定期的に実施し、経営上の課題等につき社長および社内取締役との意見交換を行い、認識を共有する。 ・当社グループの幅広い事業への理解を深めるため、社外役員による現場視察・拠点訪問等を継続して実施する。 |
2) 監査役会
諸法令、定款、諸規程及び監査役会が定めた監査役監査基準に基づき、独立した立場で取締役の職務執行の監査を行っております。また、監査役は、取締役会に加えて、業務執行に関する重要な会議に出席するほか、取締役からの聴取、重要な決裁書類の閲覧などを通じて経営に対する監視・監査機能を果たしております。
● 監査役会の構成
2020年6月18日時点で、当社における豊富な業務経験を持つ社内監査役2名と、客観的かつ専門的な視点や多様な知見を持つ社外監査役3名の計5名(男性4名・女性1名)で構成されており、常勤監査役を2名としております。
● 監査役の支援体制
監査役を補佐する専属組織として監査役業務室を設置しており、社内外の監査役に対し、専任スタッフ3名(2020年6月18日時点)を中心に適時適切な情報提供、報告及び連絡などを行っております。
3) 取締役会の諮問機関(指名委員会、報酬委員会)
当社は、取締役会の諮問機関として以下を設置しております。
指名委員会 | 報酬委員会 | |
役割 | 取締役候補者・執行役員候補者の選任に関する基準・方法の審議及び提案、並びに候補者選任案の審議 | 取締役・執行役員の報酬水準、評価・報酬に関する諸制度の審議及び提案 |
委員 | 社外取締役3名、社内取締役1名 | 社外取締役3名、社内取締役1名 |
大塚紀男(委員長/社外取締役)内藤加代子(社外取締役)齋木尚子(社外取締役)藤本昌義(取締役社長) | 内藤加代子(委員長/社外取締役)大塚紀男(社外取締役)齋木尚子(社外取締役)藤本昌義(取締役社長) |
4) 取締役・監査役に対するトレーニングの方針
当社は、取締役や監査役がその機能や役割を適切に果たせるように、以下を実施しております。
・ 新任役員に対して、弁護士による役員の法的な義務・責任等に関するレクチャーのほか、第三者によるコンサルテーションなど経営者向けのプログラムを受ける機会を設定。
・ 社内外の取締役・監査役が、当社の広範な事業活動に関する理解を深めるため、各本部長による事業・取り組みの説明会を実施するほか、最新のマクロ経済情勢についての理解を深めるため、当社シンクタンク子会社による月例説明会を実施。加えて、その他の必要な情報についても、継続的に情報提供を実施。
・ 日本取締役協会や日本監査役協会等の外部機関において開催されるセミナー等への参加機会を提供。
5) 取締役・監査役の報酬の決定方針
● 取締役の報酬の決定方針等
同業他社の報酬水準、及び当社業績をベンチマークとして、取締役会の諮問機関であり社外取締役を委員長とする報酬委員会での審議を経て、取締役会の決議により決定されます。
取締役(社外取締役を除く)の報酬は、業績と連動しない基本報酬(金銭)及び株式報酬のうち固定部分(以下「基本報酬(株式)」という。)と、業績と連動する、業績連動に基づく金銭報酬(以下「業績連動報酬(金銭)」という。)及び株式報酬のうち業績連動部分(以下「業績連動報酬(株式)という。」から構成されております。基本報酬は取締役の役位に応じた金銭、及び一定数の株式交付ポイントの付与を行うものです。業績連動報酬は、取締役の役位に応じて対象期間における各事業年度の親会社の所有者に帰属する当期純利益(以下「連結当期純利益」という。)の額に連動した金銭、及び株式交付ポイントの付与を行うものです。なお、業績連動報酬に係る指標は、会社業績との連動性が高く、かつ透明性・客観性の高い役員報酬制度とするため、連結業績予想として公表している連結当期純利益としております。また、株式報酬については、取締役の退任後に、交付される株式総数(株式交付1ポイントにつき当社株式1株)が確定します。取締役(社外取締役を除く)の報酬の算定方法については、「(4) 役員の報酬等 ■2020年度における報酬等」をご参照ください。
社外取締役の報酬については、独立性の観点から業績連動報酬は導入せず、基本報酬(金銭)のみとし、報酬委員会での審議を経て、取締役会の決議により決定されます。
報酬委員会は、取締役、執行役員の報酬水準、並びに評価、報酬に関する諸制度の制定・改廃、その他の事項について審議し、取締役会へ提案します。また、取締役、執行役員の個人別報酬案に関して審議し、取締役会に意見を述べます。
2019年6月20日以降は委員長を内藤加代子氏とした、社外取締役2名(内藤加代子取締役、大塚紀男取締役)、社内取締役2名(原大取締役会長、藤本昌義代表取締役社長)で構成され、2020年6月18日以降は「3)取締役会の諮問機関(指名委員会、報酬委員会)」記載の通りの構成となります。
役員の報酬の決定等に関する、取締役会、報酬委員会の2019年度の活動内容は次の通りです。
2019年5月(報酬委員会)/2019年度 業績連動報酬算出に用いる業績目標額・係数の設定について
2019年5月(取締役会) /2019年度 業績連動報酬算出に用いる業績目標額・係数の設定について
2019年6月(報酬委員会)/2018年度 執行役員の業績連動報酬について
2019年6月(取締役会) /2018年度 執行役員の業績連動報酬について
2019年10月(報酬委員会)/今後、委員会で議論すべきことについて
2019年11月(報酬委員会)/他社事例のトレンドを参考とした現報酬体系の課題について
2019年12月(報酬委員会)/今後の役員報酬体系の見直しについて
2020年1月(報酬委員会)/今後の役員報酬体系の見直しについて
2020年2月(報酬委員会)/活動報告、委員会開催時期について
● 監査役の報酬の決定方針等
監査役の報酬については、取締役の監督にあたる役割に鑑みて、業績連動報酬は導入せず、基本報酬(金 銭)のみとし、原則、監査役会において協議、決定されます。
(業務執行機関)
当社は、最高経営責任者である社長管下の業務執行機関として以下を設置しております。
1) 経営会議
業務執行取締役及び営業本部やコーポレートの責任者などから構成され、当社グループの経営政策、経営戦略及び経営管理事項を全社的視野並びに中長期的な観点から審議・決裁を行います。
2) 投融資審議会
業務執行取締役やコーポレートの責任者などから構成され、重要な投融資案件(投融資保証案件、与信案件など)を全社的な視野に立って審議・決裁を行います。
3) 人事審議会
業務執行取締役やコーポレートの責任者などから構成され、重要な人事事項を全社的な視野に立って審議・決裁を行います。
4)社内委員会
企業価値向上のため、組織横断的に取り組むべき経営事項を推進する社長管下の業務執行機関として、以下の社内委員会を設置しており、各社内委員会は、取締役会や経営会議にその活動内容に基づく報告を定期的に行っております。
役割 | |
内部統制委員会 | 会社法、金融商品取引法に基づき、当社グループの内部統制体制の維持・高度化を図るための方針の策定、ならびに内部統制体制及び運用状況のモニタリングを行います。 |
コンプライアンス委員会 | コンプライアンスを徹底するための基本方針や施策などの検討・策定を行います。 |
サステナビリティ委員会 | サステナビリティ推進に関わる基本方針、施策の検討・策定を行います。 |
安全保障貿易管理委員会 | 当社グループを取り巻く安全保障貿易に関わる変化への迅速な対応、及び、適切な貿易管理体制の構築を行います。 |
事業継続マネジメント委員会 | 「双日グループ危機管理基本方針書」に基づき、当社グループの危機管理基本方針、施策の検討・策定を行います。 |
⦅その他の事項⦆
(多様なステークホルダーの立場の尊重について)
当社は、双日グループ企業理念に掲げるとおり、企業活動を通じ、世界中の多様なステークホルダーのニーズや期待に誠実に応え、新たな価値を提供し続けることを通じて、当社グループの事業基盤拡充や持続的成長などの「双日が得る価値」と、国、地域経済の発展や人権・環境配慮などの「社会が得る価値」の2つの価値の実現と最大化に取り組んでおります。
また、企業理念を実践し、ステークホルダーとの強固な信頼関係を築くために、グループ全役職員が実践すべきものとして、「双日グループ サプライチェーンCSR行動指針」や「双日グループ・コンプライアンス行動基準」などの行動指針・基準を定めるほか、国連グローバル・コンパクト10原則や、パリ協定、SDGs(持続可能な開発目標)などの国際規範にも沿ったサステナビリティに関する諸方針として、「双日グループ 環境方針」、「双日グループ 人権方針」などを整備し、グループ各社、役職員へこれらの指針・基準・方針の周知・徹底を図っております。
1) サステナビリティに関する取り組み
双日では、将来にわたり「2つの価値」を創造し続けるため、事業を通じて中長期的に取り組む6つの「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を設定すると共に、長期ビジョンとして「サステナビリティ チャレンジ」を設定し、グローバルな環境・社会課題の解決と企業活動との融合促進、及びその体制の構築に取り組んでいます。
<サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)>
<サステナビリティ チャレンジ>『事業を通じた脱炭素社会実現への挑戦と、サプライチェーンを含めた人権尊重への対応により、双日と社会の持続的な成長を目指します。』
「中期経営計画2020」の3ヶ年を長期ビジョン実現に向けた準備期間と位置づけ、経営が先頭に立ち、事業活動により生じるCO2排出量の把握・評価や、低炭素社会実現に貢献するビジネスの積み上げを加速し、今後10年で低炭素ビジネスの拡大を図ると共に、恒常的に人権尊重の取り組みを拡大していきます。
<低炭素・脱炭素に向けた取り組み>当社グループは、2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定の要請を踏まえ、「サステナビリティ チャレンジ」で掲げる「事業を通じた脱炭素社会の実現」に向けて、再生可能エネルギー事業など、気候変動対策に結びつく事業への取り組みを進めています。
また、2018年8月にTCFDの最終提言への賛同を表明し、幅広いステークホルダーとの協働、積極的な情報開示と透明性向上に努めています。
2) 人材の多様性に関する取り組み
当社は、グローバルに事業を展開する中で、長期的に競争力を発揮し続けるため、性別、国籍、年代などを問わず、多様な人材の採用や育成、活用を進めています。また、これらの人材が、個々の能力を最大限に発揮し、組織の成果に貢献できるよう、制度・環境の整備に取り組んでおります。
● 女性活躍推進
中長期的な視点から行動計画及び数値目標を定め、仕事と育児の両立支援などの制度を含む職場環境の整備、上司・本人を含めた社員の意識向上に取り組むなど、女性管理職をはじめとした女性社員の活躍に向けた諸施策に取り組んでいます。また、その進捗は定期的に経営会議、取締役会へ報告を行っております。経営からの社内外へのメッセージ発信も積極的に行っており、2018年10月には「双日のイクボス宣言」を表明、多様な人材を活躍させ組織の成果に繋げる管理職を増やし、柔軟で生産性の高い働き方を推進しています。また、2020年3月には、女性活躍推進に優れた上場企業を表彰する「なでしこ銘柄」(経済産業省、東京証券取引所主催)に4年連続で選定されました。
女性活躍推進法に基づく行動計画
URL:https://www.sojitz.com/jp/csr/employee/pdf/kodo2016_02.pdf
次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画
URL:https://www.sojitz.com/jp/csr/employee/pdf/plan2018.pdf
● グローバル人材の採用及び育成
本社における採用において、外国人の新卒及びキャリア採用を進めております。また、海外事業会社では現地の優秀な経営者を雇用し、グローバルでの成長戦略を推進すべく活用するほか、海外グループ社員に対しては、幹部候補者の育成の一環として、東京本社での研修を継続実施しております。このほか、本社においては、入社5年以内に全員を海外に派遣する海外トレーニー制度や海外語学研修制度、MBA・LLMプログラムへの留学制度などグローバルな視点をもった人材に育成するための施策も積極的に行っております。なお、2019年度から本部の垣根を越えたトレーニー派遣制度を開始、所属本部の経験を活かして他本部の管轄拠点で経験を積むことにより、事業経験の幅出しにつなげられるよう全社をあげて取り組んでいます。
● 年代を問わない人材の活用
年齢や勤続年数にとらわれず、役割に応じた処遇を徹底すると共に、早期登用も可能な人事制度を導入しており、個々人がモチベーション高く働くことの出来る環境整備を進めております。
また、シニア社員が自らの経験、知見及び人脈等を最大限活用し発揮できるよう、シニア社員の活躍を促す人事制度を導入しております。
● 障害者雇用
本社での採用に加え、法に則した「特例子会社」を設けており、個々の障害特性に合わせた業務の細分化及び生活面を含めたフォロー体制を整備することで、知的・精神障害者にも適した就労環境を構築し、雇用の促進を図っております。2020年3月末時点では、法定雇用率2.2%を達成し、引き続き特例子会社と連携して法定雇用比率の充足はもとより、障害者の雇用促進を進めてまいります。
● 場所や時間に捉われない柔軟な働き方を実現できる環境整備
働き方改革の一環として、2017年度よりコアタイムを設けないフレックス勤務制度(スーパーフレックス)を導入しています。続いて、2019年度においては、2018年度から行ってきた社内トライアルを経て2020年1月から正式にテレワーク勤務制度を導入し、自律的に働く多様な人材が柔軟に業務遂行できる環境を整えています。
3) 株主との対話
当社は、経営方針や持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた取り組みについて、適切な情報を適時に提供すると共に、分かり易い説明の継続的な実施、株主の意見の経営への報告・反映などを通じ、株主との間で建設的な対話を行うことを基本方針としております。
また、当社では株主・投資家をはじめとするステークホルダーへ公平かつ適切な情報開示を行うため、フェア・ディスクロージャー・ルールの趣旨を尊重し、社内規程として、インサイダー取引防止規程のほか、法令・規則の遵守、透明性、適時性、公平性、継続性、機密性を基本原則とする情報開示規程を定め、これらを遵守すると共に、各役職員への徹底を図っております。
● 株主への情報提供
全ての株主に対して公正かつ平等に情報発信を行うことを基本とし、中期経営計画や決算内容については、取締役会での決議後速やかにTDnetや当社ウェブサイトにて公表しております。また、当社の事業活動やビジネスモデルについて理解を深めていただくべく、統合報告書の発行や、個人株主説明会/懇談会・事業説明会の実施及び当社ウェブサイトでの動画配信など、積極的な情報開示を行っております。
● 株主総会における取り組み
定時株主総会開催日の約3週間前に招集通知などを発送することに加え、発送に先立ち、約4週間前に当社ウェブサイトにて英訳版と共に開示し、また、スマートフォン・タブレットに対応した形での開示も行っております。そのほかにも、集中日を回避した開催、インターネットを通じた議決権行使の仕組みの採用、国内外の機関投資家が活用できる「議決権電子行使プラットフォーム」への参加、株主総会の動画配信など、対話型株主総会を目指した積極的な取り組みを進めております。なお、2020年6月18日開催の株主総会については、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、株主の皆様の安全を第一とした株主総会といたしました。
● 株主との対話における体制及び取り組み
株主との対話は、取締役が主体となり専任組織であるIR室が補助する体制としております。
対象 | 取り組み | 当年度の活動内容 |
個人株主・個人投資家 | 各種説明会を開催し、経営戦略や業績動向などについて代表取締役である社長やCFOなどが説明 | 個人株主説明会/懇談会(大阪・名古屋・福岡)個人投資家説明会証券会社主催IRイベントへの参加 |
機関投資家(国内・海外) | 各種説明会や個別面談などを通じて直接対話を実施 | 決算説明会個別面談 社外取締役とのスモールミーティング 証券会社主催のカンファレンスへの参加 |
上記に加え、決算説明会には、証券アナリストにも参加いただいております。
(内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備・運用状況)
1) 基本的な考え方
当社は、グループ全体として内部統制システムの整備に努めており、会社法及び会社法施行規則を踏まえ、2015年4月24日の取締役会にて、「当社グループの業務の適正を確保するための体制の整備に関する基本方針」を決議しております。
1. 当社取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制 | • 当社の取締役会議事録及び稟議決裁書等、当社取締役の職務の執行に係る重要文書は、当社の取締役会規程及び文書管理・情報管理に関する社内規程に従い、法定の保存期間に対応した保存期間及び保存責任部署を定め、必要に応じて閲覧に供せる体制とする。 |
2. 当社及び子会社の取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制 | • 当社は、双日グループ・コンプライアンス行動基準及びそれを実施するためのマニュアル並びに双日グループコンプライアンス・プログラムを策定し、当社グループの役職員による法令及び定款並びに社内規程の遵守徹底を図る。 • 当社は、当社グループにおける関係諸法令の改正等の把握及びその遵守の徹底を図るために、コンプライアンス委員会を中心にコンプライアンス体制の整備を促進すると共に、当社内各部署の職務分掌及び当社グループ会社の主管者を明確にする。 • 当社は、反社会的勢力とは取引を含む一切の関係を持たず、不当な要求に対しては、法的対応を含め、毅然と対応するものとし、当社グループにおいて、その徹底を図る。 |
3. 当社及び子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制 | • 当社は、当社グループの損失に結びつく信用リスク、事業投資リスク、市場リスク、災害リスク等様々な社内外のリスクを識別・分類し、それぞれについての社内規程ないし対応手順と主管部署を定め、当社グループの損失発生を防ぐと共に発生時の損失極小化を図る。 • 定められた社内規程や対応手順については、不断にその実効性を確認・改善すると共に、事業環境の変化に伴って当社グループに新たなリスクが生じる場合には、速やかにこれに対応する責任者、主管部署、社内規程等を定める。 |
4. 当社及び子会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制 | • 当社は、当社の取締役及び執行役員の役割分担、社内各部署の職務分掌、指揮命令系統、権限及び意思決定のルールを明確に定める。 • 当社は、取締役会で決議すべき重要事項は取締役会規程に明定し、それに準ずる重要事項・分野の審議もしくは決定を行う機関として、経営会議のほか、それぞれに対応する審議会あるいは委員会を設置する。また、取締役会に報告すべき事項も取締役会規程に明定し報告せしめる。 • 当社は、当社グループ会社の管理運営体制を統轄する部署を設置し、当社グループ会社の経営の健全性確保に務める。 • 当社グループの経営方針は、当社の経営会議、経営企画部又は主管者により速やかにこれを当社グループ会社に知らしめると共に、他の口頭及び文書による方法も加えて、当社グループの役職員への浸透に努める。 • 当社は、連結ベースでの経営計画を策定し、経営目標及び経営指標を当社グループで共有し、グループ経営を推進する。 |
5. 子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制、並びに、当社及び子会社における業務の適正を確保するためのその他の体制 | • 当社は、グループ経営基本規程において、当社グループ会社を主管する主管者を必ず定めることとする。主管者は重要事項について、当社グループ会社に対し事前協議を求め、事業年度報告及び営業活動報告等について当社への定期的な報告を義務付ける。 • 当社は、連結財務報告に係る内部統制評価の観点からも、当社グループ会社の業務プロセスの検証・整備を図る。 • 当社監査部は、当社グループ会社の内部監査を実施し、業務の適正を検証する。 |
6. 当社監査役の職務を補助する使用人及び当該使用人の取締役からの独立性、並びに当社監査役から当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する体制 | • 当社監査役の職務を補助する部署として監査役業務室を設置し、所要の使用人を配置する。 • 同使用人は当社監査役の指示に従い職務を遂行するものとし、その評価、異動には当社監査役の同意を要するものとする。 |
7. 当社及び子会社における当社監査役への報告に関する体制 | • 当社取締役は、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見した場合は、直ちにこれを当社監査役に報告しなければならない旨、当社取締役会規程にて定める。 • 当社グループの内部通報制度の担当部署は、当社グループの役職員からの内部通報の状況について、コンプライアンス委員会等を通じて、定期的に当社監査役に対して報告する。 • 当社監査部は監査終了の都度、内部監査報告書の写しを当社監査役に配布することとする。 • 当社監査役会は、必要に応じて、会計監査人、当社取締役もしくはその他の者に対して報告を求めることができる体制とする。 |
8. 当社監査役へ報告した者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制 | • 当社は、内部通報制度等(当社監査役等への報告も含む)を通じて報告を行った当社グループの役職員に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行わない。 |
9. その他当社監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制 | • 当社は、監査役監査の効率性及び適正性に留意しながら、必要と認める費用を支出する。 • 当社監査役は当社取締役会に出席して、必要に応じて意見を述べ、当社経営会議その他の重要な会議にも出席して重要事項の審議ないし報告状況を直接認識できる体制とする。 • 当社代表取締役は当社監査役と定期的に会合を持ち、会社が対処すべき課題、監査役監査の環境整備状況、監査上の重要課題等について意見交換を行う。 |
2) 整備・運用状況
● 内部統制システム全般
社長管下の業務執行機関である内部統制委員会が、内部統制システムの整備及び運用状況のモニタリングを実施し、内部統制体制の維持・高度化を図っております。
(運用状況の概要)
内部統制委員会は、内部統制システム全般の整備・運用状況の全体俯瞰と定期的なモニタリングを実施し、社内制度・体制などに関する全社的な課題の抽出と対応策の検討、担当部署への指示、改善を行っております。また、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制評価の進捗を監督し、財務報告の信頼性の確保に取り組んでおります。なお、個々の分野での具体的な施策については、各委員会(コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会など)・分科会(開示分科会、情報セキュリティ分科会など)において取り組んでおります。
内部統制委員会は当年度に5回開催し、その内容を取締役会に報告しております。
また、当社グループ内のルール・ガイドラインの新設・変更、注意事項等に関する重要情報の一層の周知・共有を図るため、主要情報をまとめた「内部統制通信」を作成し、国内外の全グループ会社を対象に定期配信を開始しました。
● コンプライアンス
当社グループでは、「双日グループコンプライアンス・プログラム」にコンプライアンス徹底のための手順を定めると共に、「双日グループ・コンプライアンス行動基準」を策定し、当社グループ役職員の拠りどころとなる世界共通の判断基準を示しております。
また、チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心に、当社グループ会社及び海外拠点においても、それぞれコンプライアンス責任者やコンプライアンス委員会を設置するなど、グループ全体が連携して法令・企業倫理遵守を推進する体制を構築しております。
コンプライアンス違反の防止や早期発見に向けては、CCO及び社外弁護士へのホットライン(内部通報制度)、委員会事務局につながる相談窓口、及び24時間365日活用できる多言語対応の「双日エシックスホットライン」を当社グループ役職員に周知しております。また、当社ホームページ内にコンプライアンスに関する対外的なお問い合わせ窓口を設置して、社外からの通報を受ける体制としております。
加えて、腐敗行為を防止するために、「双日グループ腐敗行為防止規程」及び「双日グループ腐敗行為防止要領」を制定し、海外現地法人ならびに国内外の当社グループ会社においてもこれに準じた規程を導入しております。
2019年11月には、贈収賄防止マネジメントシステムの国際規格であるISO37001を日本企業として初めて取得しました。
2019年7月には「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」を制定し、国内外の制裁・輸出規制違反リスクへの対応体制を構築しております。
また、2019年4月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が一部施行され、当社全社員向け必修eラーニングの実施や当社及び国内グループ会社向けに社会保険労務士によるセミナーを開催するなど、趣旨の周知に努めました。2020年1月にはテレワーク勤務制度を開始し、既に導入済みのスーパーフレックス制度などの利用とともに個人の業務効率を向上させ、新たな時間を創出することによって新規取り組み、チームや組織の生産性と発想力向上を目指しています。
そのほか、法令遵守は元より、あらゆるハラスメントの存在しない、良好な就業環境を維持・継続するための体制整備として、ハラスメント相談窓口の周知やe-ラーニングを含む研修などの運用面での活動などを、継続して実施しております。
(運用状況の概要)
コンプライアンス委員会で策定した活動計画に基づき、コンプライアンス事案に関する再発防止策の協議や行動基準の実践に向けた当社グループ会社に対する支援・指導を継続的に行っております。
当年度における具体的な活動は以下のとおりです。
・CCOと当社グループ会社社長との面談
・当社グループ会社コンプライアンス担当者連絡会の定期開催
・海外拠点コンプライアンス担当者との定期連絡会議開催
・ハラスメント防止、下請法、腐敗行為防止等の重要課題に関するセミナー・説明会の実施や個人情報保護法(GDPRを含む)に関するeラーニングの実施
・新入社員向け、キャリア入社社員向け、海外赴任者向けなど、各種研修の実施
・国内グループ会社の新任コンプライアンス担当者への導入研修や実務担当者向けのスキル養成研修の実施。
なお、当年度においてコンプライアンス委員会は四半期毎に計4回開催いたしました。
安全保障貿易管理に関しては、コンプライアンス委員会傘下の分科会を独立させ安全保障貿易管理委員会を新たに設置、当委員会で策定した活動計画に基づき、委員会事務局が制裁・輸出規制違反防止のための活動及び当社グループ会社に対する支援・指導を行っております。
当年度における具体的な活動は以下のとおりです。
・「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」を制定
・新入社員向け、キャリア入社社員向け、海外赴任者向けなど、各種研修の実施
・海外拠点の現地安全保障貿易管理関連規程の改訂・制定を支援
・安全保障貿易管理委員会を1回開催
● リスク管理
当社グループでは、総合商社の事業運営において晒される様々なリスクに対処するため、「リスク管理基本規程」に則りリスクを分類・定義し、リスク項目ごとに管理責任者を特定し「リスク管理運営方針・運営計画」を策定しております。「リスク管理運営方針・運営計画」の策定、実行、モニタリング、総括のPDCAサイクルを実践することで、継続性を担保し、リスク管理体制の高度化を図っております。
(運用状況の概要)
「リスク管理運営方針・運営計画」の策定については、取締役会で決議し、その運営状況を内部統制委員会での討議を経て、四半期毎に取締役会に報告しております。また、事業環境の変化などに伴う対応策の全社周知や新たなリスク領域への対応が必要となった場合は、課題や対応状況について適宜、経営に報告のうえ対処しております。
なお、分類したリスクのうち、定量化が可能なリスク(市場リスク・信用リスク・事業投資リスク・カントリーリスク)に関しては、リスクを計測し、算出したリスクアセットの数値に基づいて管理しております。また、定量化が困難なリスク(法務リスク、コンプライアンスリスク、環境・社会(人権)リスク、資金調達リスク、災害等リスク、システムリスク)については、管理状況のモニタリングを行い経営に報告しております。加えて、Webサイト・SNSを介した企業情報発信に関するリスク(個人情報保護・危機管理など)、品質に関するリスク(事業領域多様化に伴う品質管理への対応など)などの新興リスクについても、PDCAサイクルでのモニタリングを継続して行っております。
引き続き、当社グループ役職員のリスク管理意識の浸透に向け、多種のリスク管理研修を通じた恒常的な教育・啓蒙活動を実施しております。
なお、災害等リスクの関連では、地震、風水害、感染症など災害等リスクの発生時における社員の業務遂行の確保に加え、働き方の改善にも資する施策として、前述のテレワーク勤務制度やスーパーフレックス制度の実施体制・環境の一層の整備を行いました。また、当社グループの危機管理基本方針の実効性の担保と、経営環境の変化に対応した継続的な見直し・改善・発展を目的とし、「事業継続マネジメント委員会」を、2020年4月から設置しております。
● グループ会社経営管理
グループ会社の経営管理については、「グループ経営基本規程」、「グループ経営運営規程」に定めた当社グループの経営管理体制に基づき、各グループ会社が体制の整備を行っております。また、各社の体制整備状況については、定期的にモニタリングを行っております。
加えて、当社取締役は、主管者又は、当社がグループ会社に派遣した取締役、監査役などを通じ、グループ会社の経営状況を把握するものとしております。
(運用状況の概要)
当社がグループ会社に派遣した取締役や監査役などを通じ、適正な経営基盤やガバナンスの整備、及び運営などに対する経営監督を行い、年度事業報告・月次営業活動報告などの定期的な報告を受けております。また、重要事項については当社への事前協議を求め、グループ会社の重要な業務執行について適切に管理しております。
このほか、グループ経営を推進するために、主管者を通じグループ経営方針の説明を行うほかに、当社グループ会社の役職員向け研修等においても当社グループの経営理念、方針について浸透に努めております。
さらに、グループ会社におけるガバナンス強化の一環として、経営会議、及び、取締役会に対し、グループ会社における取締役会運営状況の定期報告を行っております。
また、グループ会社取締役研修を毎年実施しているほか、新任の取締役・監査役向けには別途研修を実施しております。
● 情報の保存及び管理
取締役会議事録などの重要文書を始めとする職務執行に係る文書の取扱いについては、文書保存規程などに基づき責任部署が法定保存期間に応じて適切に管理すると共に、必要に応じて閲覧に供せる体制としております。また、職務執行に係る情報について、その重要性・秘匿性に応じた区分や管理方法を規程に定め、運用状況についてモニタリングを行うなど、情報セキュリティに係る体制を整備しております。
(運用状況の概要)
職務執行に関わる情報については、規程に定める情報の区分や管理方法、保存期間等について定期的に見直すと共に、適切な管理の徹底に努めております。なお、当社グループでは、特に厳格な管理が求められる情報を「特定の管理が必要な情報」として、具体的な管理・運用方法のガイドラインを策定しており、保有状況の調査や必要な改善指導を継続して行っております。また、不審メールに対する対応訓練や、パスワード管理の厳格化を主目的としたITセキュリティ規程の改定、メッセージングアプリの業務利用に関するルールの策定など、種々の施策を通じて、セキュリティ対策の更なる強化に努めております。
● 監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査役への報告体制については、取締役からの報告に加え、内部統制委員会、コンプライアンス委員会などの各種委員会や監査部などを通じた当社グループに関する事項、連結子会社からの事業報告など、監査に必要な報告が適宜行われる体制を整備しております。また、監査役への報告者が不利な取扱いを受けないよう、関連規程に規定しております。
会計監査については、監査役が会計監査人より監査計画の説明及び定期的な監査実施状況の報告を受け、相互に情報を共有し、効率的な監査が実施できる体制を構築すると共に、会計監査人の独立性についても監査可能な体制としております。
(運用状況の概要)
監査役への報告は適時に行われており、監査役と取締役との面談、監査役と会計監査人との面談も定期的に実施され、意見交換が行われております。
③ 責任限定契約の内容の概要
当社は、社外取締役及び監査役との間で責任限度額を10百万円又は会社法第425条第1項に定める最低責任限度額のいずれか高い額を限度とする責任限定契約を締結しております。
④ 取締役に関する事項
● 取締役の員数
当社は、当社の取締役は10名以内とする旨、定款に定めております。
● 取締役の選任決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行い、累積投票によらない旨、定款に定めております。
⑤ 株主総会決議に関する事項
1) 株主総会決議事項を取締役会で決議することができるとしている事項
● 自己の株式の取得
当社は、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨、定款に定めております。これは、財務政策等の経営諸施策を機動的に遂行することを目的とするものであります。
● 取締役及び監査役の責任免除
当社は、会社法第426条第1項の規定により、取締役(取締役であった者を含む)及び監査役(監査役であった者を含む)による会社法第423条第1項の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨、定款に定めております。これは、取締役及び監査役が善意にして、且つ重大な過失がないことを前提としたもので、職務の遂行にあたり期待される役割を効率的且つ有効に発揮できるようにするためであります。
● 中間配当
当社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当(中間配当)をすることができる旨、定款に定めております。これは、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものであります。
2) 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨、定款に定めております。これは、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。