有価証券報告書-第19期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/22 13:41
【資料】
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【項目】
144項目

対処すべき課題


(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「徳・体・智」という創業以来の経営理念のもと、「日本の農業の発展」、「国民の健康増進」への貢献を目的に事業を展開しております。
天の恵みである農産物の流通を通じ、農業の発展と人々の健康な生活づくりに貢献すべく、引き続き、「農」と「健康」を繋ぐ創造企業としてお客様、そして株主の皆様の信頼と期待にお応えするように努め、企業価値の一層の向上を目指してまいります。
(2) 当社グループを取り巻く経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、「就農人口の減少と高齢化」、「気候変動による食料調達難」、「食ビジネス環境の変容」、「デジタル技術の急速な発展と普及」等、大きく変化しております。
更に、一昨年春からの新型コロナウイルス感染症拡大は、当社グループの主要取引先である外食産業に大きな影響を及ぼし、当社の業績にも影響を与える事となりました。
外食店舗の時短・閉店、インバウンドの激減、大型イベントの自粛、ECビジネス・デリバリー需要の増大等の変化は、新たな生活様式を誕生させ、そうした変化に対応したビジネスモデルの変革も求められております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
足下では、新型コロナウイルス感染症拡大は減速傾向にあるものの予断を許さない状況である上に、世界的な原料価格上昇や円安等の影響による景気の下振れリスクもあり、引き続き不透明な状況が継続するものと予想されます。
このような経営環境の中、当社グループは2021年5月に公表した新中期経営計画である「Transformation 2024」を着実に遂行することで、事業環境の変容に対応し、更なる成長モデルを確立すると共に、SDGsの潮流に適応した真に社会に望まれる「農」と「健康」を繋ぐ創造企業へのトランスフォーメーションを果たしてまいります。
<事業ポートフォリオの変革>一昨年度より注力してきた新規・深耕の営業活動の成果により、テイクアウト、ドライブスルー、宅配・デリバリー、専門店等のコロナ禍に強い業態や、既存外食以外の中食、小売・量販、給食等への拡販が進展し、事業ポートフォリオの変革は計画を上回るスピードで進捗しております。今年度につきましても、引き続きアフターコロナを見据えたポートフォリオ戦略を強化し取引拡大を図ってまいります。
また、BtoC事業ではデリカフーズ長崎株式会社における宅配事業者向けミールキット事業を推し進めるとともに、連結子会社化した株式会社青果日和研究所の「青果日和」ブランドによる一般消費者向けEコマースビジネスを拡充してまいります。さらに、昨年8月に設立した楽彩株式会社では、「楽彩」ブランドによる一般消費者向けミールキット販売事業を今年4月より本格的に開始しました。
「楽彩」では、“楽して 楽しく 食卓を彩る”をコンセプトに、グループ企業のデリカフーズ株式会社が調達する「おいしくて新鮮な野菜」、R&D部門であるデザイナーフーズ株式会社と株式会社メディカル青果物研究所が保有する「メニュー提案力」や「野菜成分分析の研究開発力」、エフエスロジスティックス株式会社が保有する全国を網羅した「コールドチェーン物流」、これらを融合して創出した『ピックアップショッピングサービス』のビジネスモデルで、一般消費者の皆様に新たな食のライフスタイルを提供いたします。今後、販売代理店として提携する企業・業態を増やすことで事業の拡大を加速してまいります。



<青果物流通インフラの構築>当社グループは、現在、全国で直営17拠点とエリア企業とで、約3万店舗/日へのデリバリー体制を構築しておりますが、需給逼迫地区や新設地区対応として新中期経営計画においては、3拠点(関東地区、関西地区、中国地区)の増設を計画しております。候補用地も具体化しつつあり、今後計画を実行に移してまいります。
また、物流子会社であるエフエスロジスティックス株式会社においては、幹線便の定期運行と自社車両での配送比率引き上げにより一層の効率化を図ると同時に、他社の配送を請け負う物流事業も拡充してまいります。
さらに、AIやRPAによるイノベーションを導入したDXの推進も加速させてまいります。
<サスティナビリティ経営の推進>当社グループは、これまでカット野菜、真空加熱野菜、ミールキット等の商品ラインナップを拡充することで、規格外の野菜の利用を促すなどフードロス低減及び農業の支援に貢献してまいりました。2022年4月には愛知事業所内に冷凍野菜工場を新設し稼動開始しており、冷凍に適した品種の野菜を商品化し当該工場の生産を拡大させることで、サプライチェーンにおけるフードロス低減に、より一層貢献してまいります。
また、活力ある人材マネジメントの実践として、昨年度から『女性活躍推進プロジェクト』を立ち上げて多様な人材が活躍できる環境整備を推進すると同時に、「個人の幸福と会社の繁栄を繋ぐ人財育成環境の構築」を目的に2022年4月より『キャリア推進室』を新設。各階層の研修制度をより一層充実させることで、次世代リーダーを育成するとともに、若手・中途含めた全従業員を対象にした「人財」の育成を加速させてまいります。
さらに、2021年12月には取締役の指名及び報酬にかかる手続きについて客観性・透明性を確保するための仕組として、『指名報酬委員会』を新設してガバナンス体制を強化いたしました。
当社グループは、引き続きSDGsの精神とともに、持続可能な青果物流通ビジネスを創出することで、世界的目標達成に貢献してまいります。
先行き不透明な状況ではございますが、以上の取り組みを推し進めることにより、新中期経営計画の第2期目であります2023年3月期の業績につきましては、売上高40,500百万円、営業利益230百万円、経常利益300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益180百万円を予定しております。
なお、新中期経営計画最終年度の数値目標につきましては変わりなく、2024年3期に売上高45,000百万円、経常利益1,000百万円を計画しております。
(4) 対処すべき課題
依然として厳しい経営環境が継続するものと懸念される状況下、当社グループは、保有する経営資源を最大限に発揮し新たな成長を遂げるために、昨年5月に打ち出しました新中期経営計画「Transformation 2024」の各施策に取り組んでおります。本計画を着実に遂行すると同時に、グループの対処すべき喫緊の課題を以下の通りとし、更なる成長モデルを確立するとともに、SDGsの潮流に適応した真に社会に望まれる『農と健康を繋ぐ創造企業』 を目指し、果敢に取り組んでまいります。
① 事業ポートフォリオの変革 ~新中期経営計画基本方針
(上述の通り)
② 調達機能の強化
足下では、新型コロナウイルス拡大の影響による物流システムの混乱及びウクライナ情勢の変化などによる原材料価格の高騰や為替の影響による輸入物価の上昇などが顕在化しており、当社グループの属する食品関連業界におきましても、国際競争における調達機能の強化が喫緊の課題となっております。
このような情勢を踏まえ、当社グループは、国内産地である契約農家との関係強化及び新規開拓、輸入原料における臨機応変な調達ルートの確保、貯蔵システムの開発・拡充などの施策を推進すると同時に、愛知事業所内にて新設した冷凍野菜工場も活用していくことで、より安定的な供給体制の構築と青果物流通におけるインフラの役割強化を果してまいります。
③ 強固な財務基盤の構築
依然、終息時期の見えない新型コロナウイルス感染症に加え、ウクライナ情勢等に起因した原材料高騰や円安等、厳しさを増す環境の中、当社グループは、仕入・在庫の厳格管理、廃棄ロスの低減、物流ルート再編や時間外労務費の縮小等、徹底した効率化を推し進めると同時に、新規・深耕の営業活動強化にてコロナ禍に強い業態への拡販に注力。事業ポートフォリオの変革を計画より早く進捗させ、強固な収益基盤の構築に努めてまいりました。
引き続き収益基盤の強化にて、財務体質のより一層の強化を推し進めて参ります。
なお、財務面に関しましては、2022年3月期末時点で手元流動性としての現預金約45億円を確保していることに加えて、株式会社三菱UFJ銀行との間で締結しております総額10億円のコミットメントライン契約は、機動的な資金確保を目的に継続しております。引き続き安定した調達パイプを維持しつつ、強固な財務基盤の構築を図ってまいります。
④ サスティナビリティ経営の推進 ~新中期経営計画基本方針
(上述の通り)
⑤ コーポレートガバナンスの充実
当社グループは、コーポレートガバナンス・コードの精神を尊重し、各原則を実施するための各種施策を実行してまいりました。2021年12月に提出したコーポレートガバナンス報告書では、求められる83項目の原則のうち1項目(補充原則1-2④議決権行使プラットホーム利用、招集通知の英訳)を残し全て遵守(コンプライ)し、最後の1項目も今回の株主総会にて充足いたします。
足下では、多様性の観点から「女性活躍推進プロジェクト」や「国際人財室」を新設、審議プロセスでの透明性と客観性確保の観点では「指名報酬委員会」を設置、さらに、個人の幸福と会社の繁栄を繋ぐ人財育成環境の構築を目的とした「キャリア推進室」を設置する等、ガバナンス強化に必要な体制整備を進めており、より高度なコーポレートガバナンスの確立に努めてまいります。