有価証券報告書-第160期(2025/03/01-2026/02/28)

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2026/05/20 11:00
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202項目
② 戦略
当社のグループ経営戦略の中核には、「まちづくり」を通じた持続的な価値創造があります。これは、単なる施設開発や商業機能の提供にとどまらず、地域に根ざし、「人・モノ・コト」をつなぎながら、長期的な視点で価値を高めていく戦略です。こうした戦略を支えるのは、多様な人材がそれぞれの強みや専門性を発揮し、変化する環境に応じて価値創造に関わり続けることです。人口減少や価値観の多様化が進む中、画一的な人材活用では、当社グループが目指す持続的な成長や、顧客との長期的な関係構築を実現することは困難であると認識しています。
このような認識のもと、2025年度の経営議論において当社は、「多様な人材の活躍を通じて、価値創造を持続させること」を、人的資本経営の中核的な考え方として確認しました。これは、人材の確保・育成・活躍を、短期的な人事施策の集合ではなく、経営戦略を実現するための中長期的な基盤として捉えるという意思を明確にしたものです。
●価値創造の源泉としての人的資本(概念図)
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●人材に関する基本的な考え方
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0102010_020.png※本図は、当社グループが人的資本を価値創造の源泉として捉える基本的な考え方を示したものであり、「髙島屋グループ統合報告書2025」P56~58の記載内容を再掲しています。
当社は、「営業力強化」「組織力の向上」「働きがいの向上」に向け、人材育成の基本方針を定め、社会環境や時代の変化を見据えた人材育成に取り組んでいます。
a.人材育成方針
・社会環境が急激に変化する中、企業の持続的成長には、未来を見据えた事業のトランスフォームが不可欠となります。そのために、多様な人材が主体的に能力開発に取り組み、自律的にキャリアを形成していくことを大切にします。
・当社の人材育成の根幹は「OJT」です。「OJT」により、業務現場でしか得られない仕事の進め方や知識・技能を習得し、実務能力や問題解決力を高めます。また、多様な「Off・JT」により、業務現場以外の急変する環境に即した教育を有機的に組み合わせることで、クリエイティブ・イノベーティブな発想力・構想力を養っていきます。

●能力開発体系
OJTを基本としつつ、計画的に自らキャリアを開発できるよう、「社会人として必要となるビジネス基礎能力」を習得するプログラムや、専門性をより一層高めるための職務別·ジャンル別のプログラムなどの研修メニューを整備しています。また、一部の研修を除き雇用形態にかかわらず、すべての従業員が等しく受講できる環境を整えています。
研修メニューの中には、海外事業戦略や海外店舗の運営ノウハウを習得する「海外派遣研修制度」があり、2026年度はパリ・ミラノとサイアムに長期研修生を派遣し、多様な価値観・文化を受容しながら、グローバルに活躍する人材の育成につなげています。
また、従来から実施している通信教育や資格取得費用の補助に加えて、「資格取得お祝い金制度」を導入し、個人のキャリア自律、専門性強化を推進しています。更に、個人の「学び」を制度面で支援するために「学び勤務」制度も導入し、学びと仕事の両立を可能とする仕組みなども整備しています。
DX推進に向けた個々人のデジタルスキル向上に関しては、ITに関する基礎的知識として、全役員・経営層に国家資格である「ITパスポート」の受験を必須化、従業員にも取得を促進し、現在326名(国内百貨店計・2026年2月時点)が取得しています。
さらに、百貨店業におけるデジタルスキルの社内基準を整備し、半期ごとにスキルの向上・実践に関する行動目標を設定するなど、デジタル人材の育成による業務改善や働き方改革への取り組みを進めています。
OJTを基本としつつ、計画的に自らのキャリアを開発できるよう、多様なプログラムや研修メニューを整備しています。雇用形態にかかわらず、全ての従業員が等しく受講できる環境を整えています。
0102010_021.png●キャリアサポート(アセスメント制度、オープンエントリー・FA制度)
当社の人事に関する制度運営は、「個人の自主性の尊重」を基本的な考え方とし、一人ひとりの個性と意欲を尊重した人材育成をめざしています。キャリア実現に向けたサポートの仕組みを整備しています。
●アセスメント制度
年に一度、各職務に求められる「能力・スキル」と現在の自分との差異を明確化し、今後の能力開発計画に反映する「能力評価アセスメント」と、進路・キャリアプランなどの意思を表明する「自己申告」を実施しています。人材配置の最適化や効果的な人材育成につなげることで、個人の能力向上と組織全体のパフォーマンス向上につなげています。能力評価アセスメントにおいては、将来就きたい職務の実現(キャリア形成)に向けた羅針盤として、「職務基準書」を活用しています。職務基準書で定めた各項目に沿って、自身の能力を本人と上長が相互に評価します。職務に求められる能力ギャップを確認した上で、翌年期初にはその年度の能力開発目標とOJTを含めた 能力開発計画を決めていきます。また、半期ごとに行う人事考課目標やフィードバック面談と合わせて行うことで、組織目標の達成と個人の成長を連動させる仕組みとしています。
0102010_022.png●オープンエントリー/FA制度
本人が希望する職務や挑戦したいキャリアを、ジョブローテーションに活用する制度です。本制度は1991年からスタートし、自ら手を挙げ、その意欲を実現する仕組みにより、一人ひとりの高度な専門性と自律的なキャリア形成を実現してきました。直近5年間(2021年-2025年)では累計300名以上の従業員が本制度を活用しています。
●キャリア自律支援体制
一人ひとりが当事者意識をもってキャリアビジョンを描くことが、本人と企業双方の成長につながると考え、キャリア相談窓口を社内外に設置するほか、セルフ・キャリアドックの実施や社内の多様な仕事を動画で紹介するなど、総合的にキャリア自律を支援する仕組みを整備しています。
相談窓口では年代·雇用形態問わず、誰もが仕事を通じて成長し働きがいを高められるよう、有資格者が相談を受け付け、本人がキャリアについて考えるサポートをしています。
加えて、節目となる昇格と年齢のタイミングで、キャリア研修とキャリアサポート面談を実施するセルフ・キャリアドックを導入し、キャリア形成の促進と専門性を高め、個人と会社の双方の成長につなげています。
b.エンゲージメント向上
人的資本経営推進の重要な要素として、グループ会社を含む従業員エンゲージメントの可視化・向上の取り組みを推進しています。メンタルヘルス(ストレス)とエンゲージメントを同時に測定することで、組織の状態を細かく分析し、各種人事制度運営の見直しや、職場単位での改善につなげています。
加えて国内百貨店においては、店頭での販売最前線を担うお取引先従業員(百貨店におけるローズスタッフ)にとっての働く場としての魅力向上が欠かせません。ローズスタッフを対象とした総合満足度調査を通じて「当社で働く想い」をしっかりと把握し、継続的に改善策を講じることで、満足度の向上と営業力強化につなげています。
各種調査結果を踏まえ、店休日の設定、福利厚生施設の改善(社員食堂や休憩室など)、コミュニケーションのあり方に関する動画研修を通じた意識啓発など、さまざまな取り組みを進めています。
●従業員エンゲージメント調査結果(過去3年間)
2023年2024年2025年前年比
51.151.551.8+0.3

※当社グループの偏差値(調査会社による算出)
●ローズスタッフ満足度調査結果(過去3年間)
2023年2024年2025年前年比
6.256.466.67+0.21

※10段階評価(当社調査)
c.ダイバーシティ推進
当社では、2020年に「髙島屋グループ ダイバーシティ推進方針」を策定し、多様な価値観や生活背景を有する人材の能力が最大限に発揮できる環境を整備し、「人と企業の双方の成長」を実現するための取組を行っています。今後も当方針に基づき、多様な価値観や能力を尊重し、あらゆる人材が当社グループで働くことにやりがいを感じられるダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの実現をめざしていきます。
※なお、同方針は2026年4月に、公正性、包摂性に関する概念を明確化するために、「髙島屋グループ DE&I方針」へ改訂しています。同方針については、サステナビリティホームページよりご確認ください。
https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/contribution/diversity.html
当社は、女性の活躍推進・ジェンダー平等に向けて、男女を問わず、誰もが適材適所で一層活躍できる環境づくりを推進しています。本人の意欲・能力及び将来のキャリアビジョンを踏まえた配置・登用を行うとともに、多様な価値観や生活背景を有する一人ひとりが働きやすく、能力を最大限に発揮できる環境の整備に取り組んでいます。
こうした環境整備にあたっては、エクイティ(公平性)の考えに基づき、個々の状況に応じた支援が必要です。その一環として、アンコンシャス・バイアス研修や、育児・介護等のさまざまな事情を抱えるメンバーを含めた職場運営について学ぶ 「多様な部下の理解と育成研修」を、管理監督者を対象に毎年実施しています。
また、育児勤務者一人ひとりのキャリア形成支援及び不安・悩みの解消を目的として、毎年開催している「育児勤務者懇談会」や「育児勤務者メンター制度」等を通じたフォローを行っております。
今後も風通しのよい職場風土と円滑なコミュニケーションに向け、従業員の意識改革を継続的に取り組んでいきます。
また、LGBTQ+への取組についても、性的指向・性自認などの違いを越え、差別・ハラスメントがなく、誰もが活躍できる環境づくりに取り組むことを明記し、制度や環境整備・風土醸成を進めており、「PRIDE指標2025(work with PRIDEが策定)」において2年連続で「ゴールド」の認定を受けています。Ally活動の一環として東京・大阪での関連イベントへの参加や、社内の福利厚生制度の見直しを行うなど、安心して働ける環境整備や、職場内の正しい理解と風土醸成に取り組んでいます。
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d.健康経営
従業員の心身の健康を守ることは企業の責務であり、グループの成長には、従業員一人ひとりの活力が不可欠です。当社グループは、2017年に「健康経営宣言」を策定し、心身ともに充実した組織・従業員による上質なサービスの提供と、社会環境変化に対応し得る生産性の向上をめざし、健康経営を推進しています。
2024年度には、当社グループの特性を踏まえ、健康経営における目指す姿と6つの重点領域(=TakaWellness)を設定し、さらなる取組を進めています。「生活習慣病予防」においては、健康ポイントプログラムやウォーキングキャンペーンなどを実施し、また「女性の健康支援」にも注力しています。
さらには、疾病の早期発見・重症化予防に重点をおいた健診メニューの充実や、生活習慣病予防に向けた健康行動の促進、ワークライフバランスの実現に向けた働き方改革や安全衛生など、産業医・人事部・健康保険組合が連携し、従業員の健康保持・増進への取組を進めています。こうした取組により、2020年より7年連続、経済産業省の健康経営優良法人(大規模法人部門)に認定されています。
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e.働き方改革推進
多様な生活背景を持つ従業員が仕事と私生活を両立するため、人事諸制度を拡充し、働きやすい環境整備に取り組んでいます。出産・育児や看護・介護に加え、傷病や不妊治療など幅広い休暇制度を設け、ライフステージの変化や想定外の事態が生じた場合にも働き続けられる環境を整えています。
グループ会社やお取引先従業員を含む、従業員のワークライフバランスの充実のために営業時間の短縮や店休日の設定を推進しています。特に2025年度から、1月2日を店休日とし、働き方の満足度やモチベーションの向上につなげました。また、長時間労働の削減に向け、店・職場ごとの繁閑の特性に合わせ、年間の業務計画を踏まえた変形労働時間制の採用や、始終業時間のスライドや拡縮を柔軟に計画できるようにしています。
また、2024年度より、55歳から70歳までの従業員を対象として、仕事と生活のバランスを考えて働き方を変えることができる「ライフバランス勤務」を新設し、柔軟な働き方を可能とする人事制度を整備することで、ワークライフバランスのさらなる拡充を図っております。
③ リスク管理とリスクに対する取組
当社は百貨店、商業開発など運営しており、リテーラーとして、人的資本への依存度が高く、人材の確保・育成・活躍の状況は、経営戦略の遂行や中長期的な価値創造に直接影響を及ぼします。このため当社グループでは、人的資本に関する課題を、単なる人事上の問題ではなく、経営戦略の実行を左右する重要なリスク要因として認識しています。
具体的には、必要な人材の確保や育成が進まない場合、現場におけるサービス品質や専門性の低下を通じて競争力が損なわれ、成長機会の逸失につながる可能性があります。そのためベテラン人材の確保のために70歳まで働き続けることができる再雇用延長制度の導入や、新卒・経験者採用の拡大などに取り組んでいます。また、人材の定着やエンゲージメントが低下した場合には、生産性や創造性の低下を招き、企業価値に影響を及ぼすおそれがあります。
2025年度の経営議論においては、これらのリスクを踏まえ、人的資本の状況を継続的に把握・確認していくことの重要性を経営確認しました。当社では、グループ全体で、人的資本に関する状況を定量・定性の両面から把握し、経営としてモニタリングすることで、リスクの顕在化防止及び早期対応に努めています。

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