有価証券報告書-第160期(2025/03/01-2026/02/28)

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2026/05/20 11:00
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有報資料

髙島屋グループ(以下、当社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
2025年度は経営目標に「自立と共創のうねりによる成長加速」を掲げ、創業200年にあたる2031年に当社がめざす姿である「グランドデザイン」の実現に向けて重要な「グループのシームレス化」を本格的に始動いたしました。玉川髙島屋S.C.の食料品フロアでは、百貨店と専門店の垣根を越え、商品・サービスのシームレスな提供実現に向け、2026年1月より段階的に改装工事を開始しております。
2026年度の経営環境につきましては、物価上昇の継続による国内消費動向の不透明性に加え、為替動向や地政学的リスクを主要因としてインバウンド需要の変動性が高まるなど、百貨店事業を中心に不確実性がより増している状況であります。加えて、労働人口の減少や原油価格の高騰を背景に、人件費や物流費をはじめとする営業費の上昇が利益を下押ししております。持続的成長の実現に向けては、当社ならではの新しいコンテンツやサービスの導入・開発等を通じたお客様体験価値の向上、国内・海外双方での顧客基盤の強化・連携に加え、ROICを軸として資本コストを意識した経営をさらに進めていくことが重要であると認識しております。
2026年度は、2024年度に掲げた3か年の中期経営計画の最終年度であります。グランドデザインの実現に向けた基礎固めをやり抜き、上記の経営環境リスクを抑制しながら2027年度以降の成長・投資回収フェーズへと着実につなげていくことが重要と認識しております。これを受け、2026年度の経営目標・経営課題を次のとおり定めております。
[経営目標]
グループ総合力発揮による中期経営計画の必達
―グランドデザイン実現に向けて、基礎固めをやり抜く―
[主要な経営課題]
① グループのシームレス化によるまちづくり戦略の強靭化
② 仕事変革…組織風土改革とデジタル活用
③ 経営基盤強化(ESG経営・人的資本経営)
中期経営計画で定めた主要3課題(まちづくり・ESG経営・人的資本経営)につきましては、計画通りに推進できているかその進捗を精査し、必要な修正を適宜行ったうえで計画完遂をめざしてまいります。特に、当社ならではのまちづくりにつきましては、百貨店を核に専門店ともシームレスに掛け合わせるなどグループの総力を挙げて多様な来店動機を生み出す「次世代型SC」、重点的に投資を行っているベトナム開発をはじめとした「海外事業」、新たなお客様接点であり生涯価値(LTV)最大化の鍵となる「金融事業」、これら3領域を成長の柱として強力に推進してまいります。
(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
2026年度の連結経営目標は以下のとおりです。
なお、総額営業収益については、収益認識に関する会計基準等を適用前の従来基準で算出しております。
〇総額営業収益 10,550億円 ( 2025年度比 + 227億円)
〇総額営業収益販売管理費比率 23.8% ( 同 ± 0.0% )
〇営業利益 575億円 ( 同 + 39億円)
〇自己資本比率 33.9% ( 同 + 0.5% )
〇ROE(当期純利益/自己資本) 8.3% ( 同 +10.1% )
〇総資産対EBITDA比率 6.0% ( 同 + 0.3% )
〇純有利子負債EBITDA倍率 3.0倍 ( 同 + 0.3倍 )
〇ROIC(投下資本利益率) 5.5% ( 同 △ 0.2% )
(3)経営環境及び対処すべき課題
現中期経営計画(2024~2026年度)の最終年度である2026年度は、掲げた目標をやり抜く重要な1年として、経営課題を「グループのシームレス化によるまちづくり戦略の強靭化」「仕事変革(組織風土改革とデジタル活用)」「経営基盤強化(ESG経営・人的資本経営)」と定めております。
□グループのシームレス化によるまちづくり戦略の強靭化
現中期経営計画では、「次世代型SCへの転換」「海外事業(ベトナム)」「金融事業」を新たな成長の柱と位置付け、集中的な投資を進めております。2031年度に掲げる「各領域で事業利益100億円規模を創出する」という目標を確実なものとするためには、「グループのシームレス化」が不可欠です。次年度は、「シームレス化」で実現すべき内容のロードマップを具体的に策定し、取組のスピードアップを図ってまいります。
《次世代型SC》 ~各拠点での転換推進と、核となる百貨店の営業力強化~
グループ総合戦略である「まちづくり」を具現化する象徴的な取組が、グループ一体で創り上げる「次世代型SC」です。新たなコンテンツの導入や多様な来店動機の創出に加え、地域・お客様・お取引先の参画を得ながら、「百貨店核の強み」をいかして百貨店と専門店の価値を掛け合わせ、SC全体としての魅力向上を図ってまいります。次世代型SCへの転換を通じ、当社が目指す「こころ豊かな生活を実現する身近なプラットフォーム」への進化を加速してまいります。
次世代型SCにおいて中核となる百貨店は、「外部環境に左右されない営業力」の獲得に向けた取組を一段と強化してまいります。商品政策では、価値観や消費行動の変化を捉えた「ヒト軸」のマーケティングを推進し、お客様ニーズを起点とした新たなモノ・コトの創出を通じて、より高い体験価値を提供してまいります。顧客政策においては、デジタルを活用した商品提案や、グループの総合力をいかした金融サービスの提案など、顧客特性に応じたパーソナルな施策を推進し、お客様一人ひとりの当社に対するロイヤルティ向上を図ってまいります。
《海外事業》 ~市場環境に即した戦略の遂行と、人材育成強化~
海外事業においては、重点投資を進めるベトナム開発を中心に、各拠点の市場動向を踏まえた成長戦略を着実に遂行すると共に、海外統括機能や支援体制など、事業成長を支える基盤整備をグループ全体で強化してまいります。また、ローカル人材の登用や国を越えた人材交流を進め、将来を見据えた人材育成にも取り組んでまいります。
《金融事業》 ~グループ全体で推進する金融事業強化~
金融サービスを重要な品揃えの一つとして位置付け、金融事業を推進するための体制を整備してまいります。グループ全体で具体化を進めることで、お客様の豊かな暮らしに寄り添い、生涯価値(LTV)の最大化を図ると共に、新たなお客様との接点を広げてまいります。
□仕事変革 ~組織風土改革とデジタル活用~
不透明な経営環境の中では、個人と組織が能動的かつ迅速に行動しなければ、社会やお客様ニーズの変化に対応できません。当社で働くすべての人の働きがいやエンゲージメントを高めることが重要であり、そのために、誰もが働きやすい職場環境の整備と、新たなチャレンジを後押しする風土の醸成に取り組んでまいります。
また、労働人口が減少し、人手不足が深刻化する中、業務のDⅩ化は喫緊の課題となっています。DX・AI活用を通じて、定型業務の自動化による時間創出を図ると共に、デジタルを活用した高付加価値な商品・サービスを提供し、お客様満足度の向上を目指してまいります。
□経営基盤強化 ~ESG経営・人的資本経営~
ESG経営は、課題解決だけでなく、ESGリスクの低減を通じて企業の持続可能性を高める段階へ移行しています。経営戦略として、国際基準に沿ったグループサステナビリティ戦略を策定、推進すべく、ESG推進室の機能強化を目的とし、名称を「サステナビリティ推進室」に変更いたしました。環境・社会課題に伴うコスト上昇を吸収しつつ、収益力を高め、価値創造を継続するため、経営戦略と一体となった取組を加速してまいります。ESG営業政策については、「TSUNAGU ACTION」を軸に、社会的価値と経済的価値を同時に創造する経営戦略(CSV)に基づく取組を強化し、サステナブルな収益の増大を目指してまいります。また、本年2月には、国内中小企業が有する伝統や技術を守り、文化・歴史を未来へとつなぐことを目的として、「百年のれんプロジェクト」を発足いたしました。本プロジェクトでは、資金需要やブランド価値の維持・向上(販路拡大に向けた戦略策定、事業の継続性確保等)に関する支援ニーズを有する企業を対象として、協業先との連携のもと、「百年のれん投資戦略」の具体化に向けた検討を進めてまいります。これらの取組を通じ、日本の将来を支える持続的なプラットフォームの構築を図ると共に、地域社会及び地域経済の活性化に資するESG経営の推進に取り組んでまいります。
AI全盛期を迎えつつある現在においても、持続的成長の原動力は「人」の力であることは変わりません。人材の質がサービスやブランド価値に直結するため、高度なスキル・経験が求められます。
海外事業においても、多言語・多文化対応力やマーチャンダイジング力など、幅広い能力が求められます。これらを担う人材の確保・育成とエンゲージメント向上につなげる人的資本経営は、重要な課題です。一人当たりの生産性の向上を前提とした労働分配率の引き上げや職場環境の改善など、「人」への積極的な投資は、今後も継続的に実施してまいります。
事業のセグメント別の取組は、次のとおりであります。
<国内百貨店業>商品政策においては、引き続き、当社の強みの一つである東西大型5店を軸に、「魅力ある品揃え」の実現に向けた取組を推進してまいります。さらに、当社ならではの「アイテム平場」「自主編集売場」、「EC」の継続強化や、新たなモノ・コト開発を通じ、お客様満足度の向上を目指してまいります。また、商品利益率においても、重点お取引先との連携を通じ、利益率の高い衣料品・雑貨を中心としたファッション領域の強化を図ることにより、商品利益率の改善につなげてまいります。
顧客政策においては、外商顧客への営業体制の強化を通じて、金融などの新たなサービスを提供することにより、既存顧客の満足度向上と次世代顧客の獲得を図ってまいります。また、優良な海外店舗を有する強みをいかし、海外顧客の基盤確立とロイヤルカスタマー化に向けた取組を推進してまいります。さらに、着実に会員数が増加しているタカシマヤアプリについても、あらゆるお客様との重要な顧客接点ツールとしての魅力を高めてまいります。
なお、本年8月3日をもって現在の形での営業を終了する洛西店につきましては、これまでご利用いただいているお客様に、引き続き京都店を中心にご愛顧いただける体制を整えてまいります。
<海外百貨店業>シンガポール髙島屋におきましては、経営環境が不透明な中、ファッション関連商品や食料品など品揃えの再強化に加え、顧客政策を推進することで、国内顧客やツーリストの維持・拡大を図ってまいります。
上海高島屋におきましては、景気低迷による消費減速が長期化する状況の中、お客様ニーズに基づいたテナントの導入など、収益基盤の安定化に継続して取り組んでまいります。
開店10周年を迎えるホーチミン髙島屋におきましては、商品カテゴリー・ブランドの再編や催・イベントの強化により店舗の集客力を高め、更なる売上高の増大を目指してまいります。
サイアム髙島屋におきましては、化粧品売場のリニューアルに続き、ラグジュアリーゾーンの段階的な拡大を進めており、改装による集客力の向上及び売上高の増大など、効果の最大化を図ってまいります。
<国内商業開発業>東神開発株式会社におきましては、2027年度のグランドオープンを目指し、「玉川髙島屋S.C.」のリニューアルプロジェクトが始動しております。「京都髙島屋S.C.」「柏髙島屋ステーションモール」「流山おおたかの森S.C.」など、その他の施設においても、SC全体としての魅力向上を図ってまいります。
<海外商業開発業>成長ドライバーと位置付けるベトナム事業におきましては、ハノイでの住宅・オフィス・商業の複合開発事業に加え、今後、ホーチミンのサイゴンセンターにおける増床計画が本格化してまいります。2016年の開業以来、成長を続けているサイゴンセンターは更なる進化を遂げ、1993年に開業し国際的にも高く評価されている「シンガポール髙島屋S.C.」に並ぶASEAN第2の拠点へと成長させてまいります。また、資本効率向上の観点から、長期的に資産を保有し持続的な成長を実現する基幹事業と、短期回収型事業への参画を組み合わせ、資産規模も適切にコントロールしてまいります。
<金融業>持続的成長に向け、カード事業、ライフパートナー事業、投融資事業の3事業それぞれの施策を充実させることで、個人の資産管理から法人の資金需要までカバーする「髙島屋のステークホルダーにとっての総合金融プラットフォーム」の構築を目指してまいります。
<建装業>髙島屋スペースクリエイツ株式会社におきましては、主力であるホテル・ラグジュアリー市場が引き続き活況となる見込みの一方、内装業全体では人材不足が深刻化していることから、多様な人材を確保する「人的資本経営」を推進してまいります。また、昨年開設したベトナム子会社につきましては、本格的に営業を開始することで、日本クオリティーの内装需要を確実に捉え、持続的な成長につなげてまいります。
<その他の事業>飲食業の株式会社アール・ティー・コーポレーション、人材派遣業の株式会社センチュリーアンドカンパニー、広告宣伝業の株式会社エー・ティ・エーなど、その他の事業におきましても、各業界における競争力を高めることで、安定的な収益基盤の構築につなげてまいります。
当社は、資本コストを意識したROIC経営を推進しています。セグメント別及びグループ会社別、百貨店各店舗別のROICに加え、次世代型SCへの転換を進める中で、「拠点別」(百貨店・専門店)ROICも経営指標として採用しています。それぞれの事業特性や地域特性を踏まえた「ROICツリー」を策定し、現場の一人ひとりがROIC向上に向けた具体的な行動を実践できる仕組みの構築や、風土の醸成にも取り組んでいます。
現中期経営計画は、投資が先行するフェーズと位置付けており、2027年度以降は、これらの投資の成果を着実に収益として回収するフェーズへ移行する見通しです。ROIC経営の実効性を一層高めることで、持続的な利益成長及び資本効率の向上を図ってまいります。
また、市場との対話は引き続き強化してまいります。市場評価とのギャップの極小化に向け、持続的な利益成長への期待感を高めていくと共に、機動的な資本政策及び株主還元策を志向してまいります。
当社は、本年5月開催予定の第160回定時株主総会における承認を条件として、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行する予定です。グループ経営の多角化・高度化が進展する中、権限委任を通じた意思決定の更なる迅速化、取締役会における戦略的議論の充実及び監督機能の一層の強化を図ることで、グループ総合戦略である「まちづくり」の下、当社独自の価値提供に向けた取組を加速してまいります。
(4)資本政策の基本的な方針
<基本的な考え方>当社は、将来の事業リスクに備え、財務健全性を担保しつつ、適切な財務レバレッジの活用を進めています。
主要な経営指標(KPI)として、ROIC、EBITDA、自己資本比率、DOE(株主資本配当率)、TSR(株主総利回り)を設定しております。特に資本コストを意識した経営の実現に向けた取組として、ROIC経営を推進しております。2025年度のROICは5.7%とWACC4.8%を上回りました。今後も、百貨店各店を含む各事業体で特性を踏まえたROICツリーを活用、現場一人ひとりが意識し行動できる仕組みを構築してまいります。EBITDAについては、財務安定性の観点から、純有利子負債EBITDA倍率、現金創出力の観点から、総資産対EBITDA比率を設定しております。
各経営指標については、決算説明会資料(※)で開示しております。
※ https://www.takashimaya.co.jp/corp/ir/tanshin/
当社は、企業価値向上をめざし、一株当たり利益(EPS)の増加に加え、市場との対話の充実により株価収益率(PER)を高めてまいります。
また、EBITDAを意識した経営の推進により、国内外の各事業における現金創出力が高まっていることを踏まえ、資金配分の適正化など資金効率を向上させる取組を推進してまいります。
さらに、安定的、持続的な利益成長に資する資産は自ら保有する「持つ経営」を基本方針とする中、機動的な経営判断のもと、ROICや現金創出力を更に向上させるサイクルを構築することで、資産効率も高めていきます。
<株主還元>配当は、純資産増加をベースとした累進配当に加え、各種経営指標を考慮しています。業績が好調に推移し想定以上のフリーキャッシュフローが創出された場合には、人的資本・ESG投資を含む追加の成長投資、及び株主還元等、マルチステークホルダーへのバランスを重視した利益配分の観点から、資金使途を機動的かつ総合的に判断します。

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