有価証券報告書-第155期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当年度は新型コロナウイルスの感染拡大によって社会・経済全体が大きな影響を受けた年度でした。緊急事態宣言発出に伴う臨時休業、営業時間短縮や外出自粛要請に伴って需要が低下するとともに、消費行動は大きく変容しました。当社グループにおいては中核事業である百貨店業が深刻な影響を受け、連結営業損失を計上しましたが、これは、百貨店の収益構造がこのような災禍や社会の変化に対してぜい弱であることを改めて露呈した結果であると認識しております。
このことから、当社グループが今後も成長を続けていくためには、ブランド価値の源泉である百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化が必須であると考えております。この目標を達成するために、以下4つを経営課題として掲げ、グループ一丸となって取り組んでまいります。なお、これらの活動にあたり、「コンプライアンスの徹底」を何よりも優先すべく、経営トップが強い意志を持って取り組んでいきます。
[ 経営目標 ]
「百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化」
[ 経営課題 ]
① 魅力ある品揃えの実現 ~MD再構築~
② お客様との関係の再構築 ~魅力ある価値・機能・サービスの提供~
③ グループ事業展開力の強化 ~成長事業の拡大~
④ グループコスト構造改革の断行 ~働き方改革の推進~
(2)経営戦略等
当社グループは、経営課題を達成するための具体的行動計画として、2023年度の連結営業利益300億円達成を目標とする「髙島屋グループ3カ年計画」を新たに策定し、PDCAサイクルに基づいて着実に実行してまいります。2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で傷んだ経営を立て直し、将来の展望を拓くための土台作りの一年と位置付けております。その土台のうえで2022年度以降、グループの更なる成長を目指してまいります。
当社グループは引き続き、グループ総合戦略「まちづくり」を基本とし、国内百貨店、国内グループ、海外事業とのシナジー効果の発揮に努めます。まちづくり戦略には2つの考え方があります。一つは、拠点開発によるまち全体の流れを作るアンカーとしての役割発揮、もう一つは、事業開発による館の魅力の最大化です。
[ まちづくり戦略の概念図 ]
〇百貨店を中核とするまちづくりで成長領域を拡大

投資に関しては、百貨店各店は安心・安全のために必要不可欠なもの、確実に利益が見込めるものを除いて抑制する一方、グループ各社においては、主に東神開発による成長事業への投資を積極的に推進し、3カ年累計で約1,400億円の投資を見込んでおります。また有利子負債は2,400億円以下、現預金は800億円以上にコントロールし財務健全性を維持します。
事業別の基本戦略と主な取り組みは以下の通りです。
<百貨店業>魅力ある品揃えの実現に向けて、特に衣料品売場の再生、食料品売場の特徴化MDの運営体制見直しを進めるとともに、お客様へのサービスを維持しつつ徹底したコスト削減を進めてまいります。またECの売上高および営業利益増大に向けた各種対策を推進してまいります。
<商業開発業>国内拠点開発を進めると同時に、異業種や外部企業とのアライアンスにより非商業も含めた次世代SCの開発を進めてまいります。また海外においてはベトナムを戦略拠点として複合開発事業への投資、学校開発プロジェクトへの参画などを積極的に進め、グループ事業の成長につなげてまいります。
<金融業>百貨店業、商業開発業に次ぐ第3の柱と位置付け、次世代顧客づくりを見据えた新規融資事業への参入、百貨店と連携したファイナンシャルカウンター事業の成長に向けた基盤投資を行ない、事業の拡大を図ってまいります。
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
「髙島屋グループ3カ年計画」における2023年度の連結経営目標は以下の通りです。
〇営業収益 8,500億円 ( 2019年度比 △691億円 )
〇営業利益 300億円 ( 同 + 44億円 )
〇自己資本比率 37.5% ( 同 + 0.3% )
〇ROE(当期純利益/自己資本) 4.6% ( 同 + 1.0% )
〇ROA(経常利益/総資産) 2.5% ( 同 + 0.4% )
(4)経営環境及び対処すべき課題
当年度は新型コロナウイルスが世界的に流行し、人と物の移動は制限され、グローバル化した世界経済は深刻な影響を被りました。今後、ワクチン接種の広がりによる沈静化への期待はあるものの、国際的な人の往来が以前の状態を取り戻すのはしばらく難しいと想定されます。
国内においては、コロナウイルスの変異株による感染が拡大する中、4月25日に発令された3度目の緊急事態宣言の延長が余儀なくされ、また、まん延防止等重点措置の適用区域が順次拡大するなど、未だ予断を許さない状況が続いており、国内需要の回復は不透明な状況にあります。一方で、デジタルトランスフォーメーションによる人々の生活や働き方のスタイルの変容は日常的なものとなりつつあります。
当社グループにおいては、当年度、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、中核事業である国内百貨店を中心に収益は大きく低下しました。
こうしたなか、当社グループは、「百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化」を経営目標に掲げ、「魅力ある品揃えの実現」、「お客様との関係の再構築」、「グループ事業展開力の強化」、「グループコスト構造改革の断行」の4つを経営課題とし、百貨店業を中心に各事業の成長を目指してまいります。
企業活動にあたり、その根幹をなす「コンプライアンスの徹底」は何よりも優先すべきことです。グループ全体のリスクマネジメント体制の強化と、重要性が高まるグループガバナンス向上を図るための内部統制システムの充実、取締役会の更なる機能強化に取り組み、継続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
また、地球環境保全や気候変動への関心の高まりとともに、消費行動にもエシカルな視点が反映されつつあります。SDGsへの取組は企業の社会的責任であると同時に、経営戦略上重要な位置づけです。
当社グループにおいては、RE100の一環として100%再生可能エネルギー由来の電力を使用する「流山おおたかの森S・C FLAPS」、ZEB(Net Zero Energy Building)化したオフィスビル「日本橋三丁目スクエア」の開業など脱炭素化を推進するほか、再生ポリエステル使用の商品開発をはじめとする環境配慮型のオリジナル商品開発、プラスチック容器等の生分解材・非プラスチック材への置換による廃棄プラスチックの削減など、将来世代が安心して暮らすことができる地球環境の再生に向けた取組を推進してまいります。
<百貨店業>当社グループのブランド価値の源泉である百貨店業におきましては、抜本的な収益基盤の強化が急務であり、営業力強化とコスト構造改革の両輪で具体的施策を推進してまいります。
まず営業力強化に向けては、お客様の声に耳を傾け、魅力ある品揃えやサービスにつなげる必要があります。これまで長期にわたり協業してきた主要なお取引先と目標を共有し、それを達成するための具体策を共に立案し、推進してまいります。一方で、主要お取引先のみならず、新規お取引先や新たなデザイナー・クリエイターを開拓し、取り込むことも並行して進めてまいります。
館の集客の要である食料品については、味百選・銘菓百選売場を皮切りに、地域色豊かな魅力ある品揃えを実現すると同時に、業務内容の標準化、効率的な売場運営を推進することで、売場の販売員がより販売業務に専念できる体制を整えて営業力強化につなげてまいります。
成長領域であるECの分野においては、百貨店ならではの魅力ある商材や独自商材の提案に加え、顧客体験価値を高めるべく次年度中にECシステムを刷新し、パーソナライズされた商品提案や商品検索機能の充実を図ってまいります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により変容した消費行動や生活様式への対応も急務です。短時間でお買物をしたいというニーズがある一方で、心豊かにふれあいを求めるお客様ニーズが存在します。まずは、店頭での商品知識や接客技術を高め、より高品質な販売サービスに磨きをかけてまいります。同時に、デジタル技術を活用したリモート接客やオンライン予約システム等、安心してお買物やご注文ができるツールを最大限活用し、お客様との関係をより強固なものとしてまいります。
飲食の分野においては、株式会社アール・ティー・コーポレーションの核ブランドである「鼎泰豊」の新規出店(本年4月 越谷レイクタウン、同年6月 大阪ルクア)や、第2の核ブランドと位置づける「リナストアズ」の新規展開(同年夏 表参道エリア)を進めてまいります。
また、当社グループのブランド価値向上と顧客接点の拡大に向け、本年4月、玉川髙島屋S・Cの近くに、健康長寿を目指した介護施設「タカシマヤ ユアテラス 二子玉川」を開業いたしました。付加価値の高い機能訓練特化型デイサービスを提供し、ご利用者の身体機能の維持・改善を図り、豊かな老後をサポートしてまいります。
一方、コスト構造の改革に向けては、まず現状の業務の更なる合理化に取り組みます。お客様と向き合う時間の創出に向け、社内申請書類・手続きにおけるペーパーレス、ハンコレス等を進めてまいります。さらに、当社グループの従業員が業務領域の枠を取り払い、複数の多様な業務をこなすことでグループ全体の利益につなげるという考えのもと、マルチタスク化を強力に進めてまいります。一人ひとりが幅広い業務に対応していくことで、個々人の能力向上を図るとともに、生産性を大きく向上させてまいります。
海外店舗につきましては、各国ともに新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく、業績回復は不透明な状況にはありますが、国内グループ各社が海外各店舗、現地法人と協働することによりブランド価値を向上させ、アジアにおける成長基盤を築いてまいります。ASEAN戦略の中核的役割を担うシンガポール髙島屋を安定的な収益軌道に戻すとともに、ホーチミン髙島屋の黒字化を確かなものとしていきます。一方、早期黒字化が急がれるサイアム髙島屋は、現地に根ざし、ワンストップで安心・便利・満足いただける品揃え・サービスの実現に努めてまいります。また上海高島屋は、全館フロアにおけるMDの再構築とローコスト経営を推進し、一層の収益改善を進めてまいります。
<商業開発業>商業開発業におきましては、東神開発株式会社をけん引役に、「まちづくり戦略」を推進してまいります。まちづくり戦略の柱は拠点開発と事業開発であります。拠点開発はまち全体の流れをつくるアンカーとしての役割発揮につながり、事業開発は館の魅力最大化という側面へとつながります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により厳しい経営環境に置かれるSCの既存テナントを支え、商業開発業の収益性を回復するという足元の課題にも取り組んでまいります。国内では、本年3月に開業した「流山おおたかの森S・C FLAPS」や、同年12月末竣工予定の「日本橋三丁目スクエア」等の拠点開発を進めます。海外では、安定成長を続けるベトナム・ハノイを戦略拠点とし、スターレイクプロジェクトの着実な推進や、コロナ禍でも収益安定性が際立つ複合開発案件(ランカスター・ルミネール計画)への積極的な投資によって収益基盤の拡大を図ってまいります。
一方、事業開発では、次世代のSCに求められる新たなコンテンツ開拓に取り組むとともに、グループ各社が協業し、リアルな場でのFace to Faceの触れ合いとデジタルを活用した広範で緩やかなつながりを通じた髙島屋ファンのネットワーク化を進めます。先行モデルとして、日本橋髙島屋S.C.・玉川髙島屋S・Cにてコミュニティー機能の再構築に取り組みます。国内外においては、異業種や外部企業とのアライアンスを進め、非商業も含め間口を広げることで、新たな来店動機を創出してまいります。
<金融業>金融業におきましては、百貨店業、商業開発業に次ぐ、第3の柱と位置づけて、融資事業の推進、ファイナンシャルカウンター事業の着実な成長に向けた基盤投資を行います。融資事業としては、ソーシャルレンディング(貸付型)への参入、次世代顧客づくりを見据えた新たなサービスの開発を推進してまいります。また、ファイナンシャルカウンター事業に関しては、本年7月に大阪店、同年9月に横浜店でファイナンシャルカウンターを増設(予定)し、金融の専門知識を持つ相談員が中立的な立場で要望に応じた金融商品の仲介や信託サービスの取次ぎを行い、お客様に寄り添ったサービスの強化を図ってまいります。
<建装業>建装業では、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、新型コロナウイルス感染拡大の影響による内装工事需要の減少に対応すべく、さらなる受注拡大に向け、企画、デザイン等のソフト機能を高めます。具体的には、施設建築の企画・計画段階から当該プロジェクトに参画し、工事工程・コスト管理のノウハウ提供や、海外でデザインされた建築設計や建築材料等を日本の建築基準法をはじめとする各種法令に合致させるアレンジの提案などを実施してまいります。このように、単なる内装工事の受注だけに止まらない施設建築プロジェクト全体に対するソリューションを提供する先行提案型営業によって競争力・収益力向上を図ってまいります。
(1)経営方針
当年度は新型コロナウイルスの感染拡大によって社会・経済全体が大きな影響を受けた年度でした。緊急事態宣言発出に伴う臨時休業、営業時間短縮や外出自粛要請に伴って需要が低下するとともに、消費行動は大きく変容しました。当社グループにおいては中核事業である百貨店業が深刻な影響を受け、連結営業損失を計上しましたが、これは、百貨店の収益構造がこのような災禍や社会の変化に対してぜい弱であることを改めて露呈した結果であると認識しております。
このことから、当社グループが今後も成長を続けていくためには、ブランド価値の源泉である百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化が必須であると考えております。この目標を達成するために、以下4つを経営課題として掲げ、グループ一丸となって取り組んでまいります。なお、これらの活動にあたり、「コンプライアンスの徹底」を何よりも優先すべく、経営トップが強い意志を持って取り組んでいきます。
[ 経営目標 ]
「百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化」
[ 経営課題 ]
① 魅力ある品揃えの実現 ~MD再構築~
② お客様との関係の再構築 ~魅力ある価値・機能・サービスの提供~
③ グループ事業展開力の強化 ~成長事業の拡大~
④ グループコスト構造改革の断行 ~働き方改革の推進~
(2)経営戦略等
当社グループは、経営課題を達成するための具体的行動計画として、2023年度の連結営業利益300億円達成を目標とする「髙島屋グループ3カ年計画」を新たに策定し、PDCAサイクルに基づいて着実に実行してまいります。2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で傷んだ経営を立て直し、将来の展望を拓くための土台作りの一年と位置付けております。その土台のうえで2022年度以降、グループの更なる成長を目指してまいります。
当社グループは引き続き、グループ総合戦略「まちづくり」を基本とし、国内百貨店、国内グループ、海外事業とのシナジー効果の発揮に努めます。まちづくり戦略には2つの考え方があります。一つは、拠点開発によるまち全体の流れを作るアンカーとしての役割発揮、もう一つは、事業開発による館の魅力の最大化です。
[ まちづくり戦略の概念図 ]
〇百貨店を中核とするまちづくりで成長領域を拡大

投資に関しては、百貨店各店は安心・安全のために必要不可欠なもの、確実に利益が見込めるものを除いて抑制する一方、グループ各社においては、主に東神開発による成長事業への投資を積極的に推進し、3カ年累計で約1,400億円の投資を見込んでおります。また有利子負債は2,400億円以下、現預金は800億円以上にコントロールし財務健全性を維持します。
事業別の基本戦略と主な取り組みは以下の通りです。
<百貨店業>魅力ある品揃えの実現に向けて、特に衣料品売場の再生、食料品売場の特徴化MDの運営体制見直しを進めるとともに、お客様へのサービスを維持しつつ徹底したコスト削減を進めてまいります。またECの売上高および営業利益増大に向けた各種対策を推進してまいります。
<商業開発業>国内拠点開発を進めると同時に、異業種や外部企業とのアライアンスにより非商業も含めた次世代SCの開発を進めてまいります。また海外においてはベトナムを戦略拠点として複合開発事業への投資、学校開発プロジェクトへの参画などを積極的に進め、グループ事業の成長につなげてまいります。
<金融業>百貨店業、商業開発業に次ぐ第3の柱と位置付け、次世代顧客づくりを見据えた新規融資事業への参入、百貨店と連携したファイナンシャルカウンター事業の成長に向けた基盤投資を行ない、事業の拡大を図ってまいります。
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
「髙島屋グループ3カ年計画」における2023年度の連結経営目標は以下の通りです。
〇営業収益 8,500億円 ( 2019年度比 △691億円 )
〇営業利益 300億円 ( 同 + 44億円 )
〇自己資本比率 37.5% ( 同 + 0.3% )
〇ROE(当期純利益/自己資本) 4.6% ( 同 + 1.0% )
〇ROA(経常利益/総資産) 2.5% ( 同 + 0.4% )
(4)経営環境及び対処すべき課題
当年度は新型コロナウイルスが世界的に流行し、人と物の移動は制限され、グローバル化した世界経済は深刻な影響を被りました。今後、ワクチン接種の広がりによる沈静化への期待はあるものの、国際的な人の往来が以前の状態を取り戻すのはしばらく難しいと想定されます。
国内においては、コロナウイルスの変異株による感染が拡大する中、4月25日に発令された3度目の緊急事態宣言の延長が余儀なくされ、また、まん延防止等重点措置の適用区域が順次拡大するなど、未だ予断を許さない状況が続いており、国内需要の回復は不透明な状況にあります。一方で、デジタルトランスフォーメーションによる人々の生活や働き方のスタイルの変容は日常的なものとなりつつあります。
当社グループにおいては、当年度、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、中核事業である国内百貨店を中心に収益は大きく低下しました。
こうしたなか、当社グループは、「百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化」を経営目標に掲げ、「魅力ある品揃えの実現」、「お客様との関係の再構築」、「グループ事業展開力の強化」、「グループコスト構造改革の断行」の4つを経営課題とし、百貨店業を中心に各事業の成長を目指してまいります。
企業活動にあたり、その根幹をなす「コンプライアンスの徹底」は何よりも優先すべきことです。グループ全体のリスクマネジメント体制の強化と、重要性が高まるグループガバナンス向上を図るための内部統制システムの充実、取締役会の更なる機能強化に取り組み、継続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
また、地球環境保全や気候変動への関心の高まりとともに、消費行動にもエシカルな視点が反映されつつあります。SDGsへの取組は企業の社会的責任であると同時に、経営戦略上重要な位置づけです。
当社グループにおいては、RE100の一環として100%再生可能エネルギー由来の電力を使用する「流山おおたかの森S・C FLAPS」、ZEB(Net Zero Energy Building)化したオフィスビル「日本橋三丁目スクエア」の開業など脱炭素化を推進するほか、再生ポリエステル使用の商品開発をはじめとする環境配慮型のオリジナル商品開発、プラスチック容器等の生分解材・非プラスチック材への置換による廃棄プラスチックの削減など、将来世代が安心して暮らすことができる地球環境の再生に向けた取組を推進してまいります。
<百貨店業>当社グループのブランド価値の源泉である百貨店業におきましては、抜本的な収益基盤の強化が急務であり、営業力強化とコスト構造改革の両輪で具体的施策を推進してまいります。
まず営業力強化に向けては、お客様の声に耳を傾け、魅力ある品揃えやサービスにつなげる必要があります。これまで長期にわたり協業してきた主要なお取引先と目標を共有し、それを達成するための具体策を共に立案し、推進してまいります。一方で、主要お取引先のみならず、新規お取引先や新たなデザイナー・クリエイターを開拓し、取り込むことも並行して進めてまいります。
館の集客の要である食料品については、味百選・銘菓百選売場を皮切りに、地域色豊かな魅力ある品揃えを実現すると同時に、業務内容の標準化、効率的な売場運営を推進することで、売場の販売員がより販売業務に専念できる体制を整えて営業力強化につなげてまいります。
成長領域であるECの分野においては、百貨店ならではの魅力ある商材や独自商材の提案に加え、顧客体験価値を高めるべく次年度中にECシステムを刷新し、パーソナライズされた商品提案や商品検索機能の充実を図ってまいります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により変容した消費行動や生活様式への対応も急務です。短時間でお買物をしたいというニーズがある一方で、心豊かにふれあいを求めるお客様ニーズが存在します。まずは、店頭での商品知識や接客技術を高め、より高品質な販売サービスに磨きをかけてまいります。同時に、デジタル技術を活用したリモート接客やオンライン予約システム等、安心してお買物やご注文ができるツールを最大限活用し、お客様との関係をより強固なものとしてまいります。
飲食の分野においては、株式会社アール・ティー・コーポレーションの核ブランドである「鼎泰豊」の新規出店(本年4月 越谷レイクタウン、同年6月 大阪ルクア)や、第2の核ブランドと位置づける「リナストアズ」の新規展開(同年夏 表参道エリア)を進めてまいります。
また、当社グループのブランド価値向上と顧客接点の拡大に向け、本年4月、玉川髙島屋S・Cの近くに、健康長寿を目指した介護施設「タカシマヤ ユアテラス 二子玉川」を開業いたしました。付加価値の高い機能訓練特化型デイサービスを提供し、ご利用者の身体機能の維持・改善を図り、豊かな老後をサポートしてまいります。
一方、コスト構造の改革に向けては、まず現状の業務の更なる合理化に取り組みます。お客様と向き合う時間の創出に向け、社内申請書類・手続きにおけるペーパーレス、ハンコレス等を進めてまいります。さらに、当社グループの従業員が業務領域の枠を取り払い、複数の多様な業務をこなすことでグループ全体の利益につなげるという考えのもと、マルチタスク化を強力に進めてまいります。一人ひとりが幅広い業務に対応していくことで、個々人の能力向上を図るとともに、生産性を大きく向上させてまいります。
海外店舗につきましては、各国ともに新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく、業績回復は不透明な状況にはありますが、国内グループ各社が海外各店舗、現地法人と協働することによりブランド価値を向上させ、アジアにおける成長基盤を築いてまいります。ASEAN戦略の中核的役割を担うシンガポール髙島屋を安定的な収益軌道に戻すとともに、ホーチミン髙島屋の黒字化を確かなものとしていきます。一方、早期黒字化が急がれるサイアム髙島屋は、現地に根ざし、ワンストップで安心・便利・満足いただける品揃え・サービスの実現に努めてまいります。また上海高島屋は、全館フロアにおけるMDの再構築とローコスト経営を推進し、一層の収益改善を進めてまいります。
<商業開発業>商業開発業におきましては、東神開発株式会社をけん引役に、「まちづくり戦略」を推進してまいります。まちづくり戦略の柱は拠点開発と事業開発であります。拠点開発はまち全体の流れをつくるアンカーとしての役割発揮につながり、事業開発は館の魅力最大化という側面へとつながります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により厳しい経営環境に置かれるSCの既存テナントを支え、商業開発業の収益性を回復するという足元の課題にも取り組んでまいります。国内では、本年3月に開業した「流山おおたかの森S・C FLAPS」や、同年12月末竣工予定の「日本橋三丁目スクエア」等の拠点開発を進めます。海外では、安定成長を続けるベトナム・ハノイを戦略拠点とし、スターレイクプロジェクトの着実な推進や、コロナ禍でも収益安定性が際立つ複合開発案件(ランカスター・ルミネール計画)への積極的な投資によって収益基盤の拡大を図ってまいります。
一方、事業開発では、次世代のSCに求められる新たなコンテンツ開拓に取り組むとともに、グループ各社が協業し、リアルな場でのFace to Faceの触れ合いとデジタルを活用した広範で緩やかなつながりを通じた髙島屋ファンのネットワーク化を進めます。先行モデルとして、日本橋髙島屋S.C.・玉川髙島屋S・Cにてコミュニティー機能の再構築に取り組みます。国内外においては、異業種や外部企業とのアライアンスを進め、非商業も含め間口を広げることで、新たな来店動機を創出してまいります。
<金融業>金融業におきましては、百貨店業、商業開発業に次ぐ、第3の柱と位置づけて、融資事業の推進、ファイナンシャルカウンター事業の着実な成長に向けた基盤投資を行います。融資事業としては、ソーシャルレンディング(貸付型)への参入、次世代顧客づくりを見据えた新たなサービスの開発を推進してまいります。また、ファイナンシャルカウンター事業に関しては、本年7月に大阪店、同年9月に横浜店でファイナンシャルカウンターを増設(予定)し、金融の専門知識を持つ相談員が中立的な立場で要望に応じた金融商品の仲介や信託サービスの取次ぎを行い、お客様に寄り添ったサービスの強化を図ってまいります。
<建装業>建装業では、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、新型コロナウイルス感染拡大の影響による内装工事需要の減少に対応すべく、さらなる受注拡大に向け、企画、デザイン等のソフト機能を高めます。具体的には、施設建築の企画・計画段階から当該プロジェクトに参画し、工事工程・コスト管理のノウハウ提供や、海外でデザインされた建築設計や建築材料等を日本の建築基準法をはじめとする各種法令に合致させるアレンジの提案などを実施してまいります。このように、単なる内装工事の受注だけに止まらない施設建築プロジェクト全体に対するソリューションを提供する先行提案型営業によって競争力・収益力向上を図ってまいります。