有価証券報告書-第120期(平成25年3月1日-平成26年2月28日)

【提出】
2014/05/23 10:35
【資料】
PDFをみる
【項目】
130項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度のわが国経済は、政府・日銀による機動的な財政出動とかつてない金融緩和により円安・株高が進行し、企業収益が改善いたしました。また、個人消費や設備投資にも持ち直しの動きが見られ、景気は緩やかな回復過程をたどりました。
百貨店業界におきましては、株価上昇に伴う資産効果に加えて、本年4月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要等もあり、昨年4月、7月、10月を除く各月の売上高が前年実績を上回るなど、総じて堅調に推移いたしましたが、百貨店の出店・増床が相次いだ大阪地区では引き続き厳しい競合が続いております。
このような状況の下、当社グループでは、阿倍野店の増床及び改装工事を順次推し進め、本年3月7日「あべのハルカス近鉄本店」をグランドオープンするとともに、各事業にわたり収益力の向上に懸命の努力を払いました。
この結果、当連結会計年度の売上高は277,066百万円(前期比2.3%増)となりましたが、営業利益は3,088百万円(同11.7%減)、経常利益は2,493百万円(同7.7%減)となりました。これに、和歌山近鉄会館跡地の売却益などの特別利益1,684百万円と事業用資産に係る減損損失、桃山店の店舗閉鎖損失などの特別損失2,189百万円並びに法人税等を加減した当期純利益は969百万円(同62.3%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<百貨店業>百貨店業におきましては、昨年6月13日、超高層複合ビル「あべのハルカス」の地下2階から地上14階に、「モノ・コト・ヒトとの出会いが暮らしを彩る『街のような場』」をストアコンセプトとして「あべのハルカス近鉄本店タワー館」を先行開業し、阿倍野店の増床を果たしました。その後既存館に当たる「あべのハルカス近鉄本店ウイング館」の全館改装に着手し、10月10日、上層階に若い男性向けの専門店ゾーンや子育てファミリー向け専門店ゾーン等お客様の個々のニーズに即応した個性的なフロアを展開いたしました。また、本年2月22日にもウイング館の下層階にヤングレディス専門店街「solaha(ソラハ)」をオープンし、若い女性客への取組みを強化するなど各階の改装を推し進め、3月7日あべのハルカス近鉄本店をグランドオープンするに至りました。
地域中核店につきましては、奈良店で店舗効率の向上と婦人服・婦人洋品売場の再編集等を柱とする全館改装を行い、四日市店では店舗全体の回遊性を高めるため地階に三重県最大の書籍専門店を開設し、併せて婦人服売場等に新規ブランドを導入する売場改装を実施いたしました。一方、郊外店である桃山店につきましては、17年余りにわたり地域の皆様にご愛顧いただきましたが、業績の低迷が続き、今後消費環境が大きく変わる中で回復の見込みが立たないと判断し、本年9月末をもって営業を終了することといたしました。
当社事業の第二の柱と位置づける専門店ビル事業につきましては、あべのハルカス近鉄本店のグランドオープンに照準を定め平成24年から実施してきたHoopの改装を継続し、改めて「新・大人のための自分スタイル編集館」にふさわしい店舗構成を確立したほか、名古屋駅前の近鉄パッセにおいても人気ショップの導入に努め、ピュアヤングに特化したファッションビルとしての魅力向上を図りました。
このほか、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社との業務提携に基づき共同開発した新しいPOSシステム及び商品発注システムを昨年6月から順次各店に導入し、また、同月からロイヤリティの高い優良顧客に対するサービスの強化を図るべく、年間の買上額が大きい外商顧客に「プラチナカード」を発行するなど、商品力の強化や顧客サービスの充実に向けた新たな仕組みを確立いたしました。
これらの諸施策を鋭意実施したことにより、売上高は256,666百万円(前期比2.8%増)となりましたが、旗艦店であるあべのハルカス近鉄本店で全館開業に至るまで改装工事が続き、各階の閉鎖やエレベーター・エスカレーターの部分稼動等でお客様の買い回りに想定以上のご不便をおかけしたこともあり、売上高が目標に達しませんでした。このため、賃料・償却費等諸費用の増加や開業初期費用の負担を賄うことができず、営業利益は2,489百万円(同12.1%減)となりました。
<卸・小売業>卸・小売業におきましては、株式会社シュテルン近鉄の輸入新車の販売が好調に推移いたしましたため、売上高は10,891百万円(前期比14.8%増)となり、営業利益は188百万円(同39.1%増)となりました。
<その他事業>その他事業におきましては、第1四半期連結会計期間末でミディ総合管理株式会社及び株式会社くらし科学研究所を連結の範囲から除外したため、売上高は9,508百万円(前期比17.3%減)となりましたが、株式会社近創の大口工事の受注増により、営業利益は500百万円(同73.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より76百万円減少し2,837百万円となりました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却などにより、10,637百万円の収入(前年同期は2,973百万円の収入)となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、主にあべのハルカス近鉄本店に係る設備投資により、11,116百万円の支出(前年同期は2,560百万円の支出)となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、主に借入金の増加により402百万円の収入(前年同期は938百万円の支出)となりました。