有価証券報告書-第76期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/31 13:42
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【項目】
166項目
(重要な後発事象)
(譲渡制限付株式報酬制度の導入)
当社は、2021年2月19日開催の取締役会において、過半数の独立社外役員により構成される指名・報酬諮問委員会への諮問、同委員会からの答申を踏まえた新たな役員報酬方針の決定を行い、その一環として譲渡制限付株式報酬制度(以下「本制度」といいます。)の導入を決議し、本制度に関する議案は2021年3月30日開催の第76期定時株主総会にて承認可決されました。
1.本制度の導入の目的
当社は、社会貢献の結果としての会社の繁栄を社是として堅持しております。
そこで、企業理念(社是)や企業戦略に合致するよう策定した役員報酬方針、報酬哲学に従い、役員報酬のインセンティブを、単なる利益の獲得のみを目指すのでなく、社会貢献の実践の結果としての企業価値の向上に連動するように設計することといたしております。
本制度は、その一環として、当社の取締役(社外取締役及び資本業務提携先から派遣された取締役を除きます。以下「対象取締役」といいます。)の報酬と当社の中長期の企業価値を連動させるため、付与後3年間経過時又は退任時までの譲渡制限を付して当社の普通株式を付与する制度です。
本制度とは別に、同様の目的から、2021年度においては当社の従業員の一部、並びに、当社子会社(完全子会社)の取締役及び従業員の一部に対しても譲渡制限付株式を支給する予定です。
本制度の導入及び従業員への支給を行う目的は、第一に、取締役及び従業員が一丸となって企業価値向上に取り組む意欲を高める機能が発揮されることです。
第二に、譲渡制限期間を通じて対象取締役及び従業員が当社株式を保有するため、株主の皆様と価値の共有がなされることです。
第三に、当社の企業理念(社是)、企業戦略に合致した人材の慰留、招聘を図ることも可能となることです。
本制度の導入は「現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである」とするコーポレートガバナンス・コード補充原則4―2①にも合致します。
2.本制度の概要
指名・報酬諮問委員会への諮問を経て行われる取締役会決議に基づき、対象取締役は、本制度に基づき当社より支給された金銭報酬債権の全部を現物出資財産として払い込み、当社の普通株式の発行又は処分を受けることとなります。
対象取締役に対して支給される報酬総額は、現行の金銭報酬額の別枠で年額1億円以内とし、本制度により発行又は処分される当社の普通株式の総数は年250,000株以内といたします(なお、当社普通株式の株式分割又は株式併合が行われたときは、分割比率又は併合比率に応じて発行又は処分される株式数を調整することができるものとします。)。
譲渡制限期間は、(1)譲渡制限付株式の交付日から3年間又は(2)譲渡制限付株式の交付日から当該対象取締役が当社の取締役その他当社取締役会で定める地位を退任又は退職する日までの期間としております。各対象取締役への具体的な交付日、支給時期及び配分については、指名・報酬諮問委員会への諮問を経て、取締役会において決定いたします。
また、本制度により発行又は処分される当社の普通株式の1株当たりの払込金額は、発行又は処分に係る取締役会決議の日の前営業日における東京証券取引所における当社の普通株式の終値(同日に取引が成立していない場合は、それに先立つ直近取引日の終値)を基礎として、対象取締役に特に有利な金額とならない範囲において取締役会において決定いたします。
なお、本制度による当社の普通株式の発行又は処分に当たっては、当社と対象取締役との間で譲渡制限付株式割当契約(以下「本割当契約」といいます。)を締結するものとし、その内容として、次の事項が含まれることとします。
①対象取締役は、上記(1)又は(2)の期間、本割当契約により割当てを受けた当社の普通株式について、その全部及び一部の一切の処分を禁止すること(譲渡制限期間中、処分禁止を確保するため専用口座を開設し、管理します)
②一定の事由が生じた場合には当社が当該普通株式を無償で取得すること
(持分法適用関連会社の異動)
当社は、2021年3月19日開催の取締役会において、当社及び当社の連結子会社である株式会社ディアーズ・ブレイン(以下「DB社」といいます。)が所有する、当社の持分法適用関連会社であるワタベウェディング株式会社(以下、「W社」といいます。)の株式について、W社が興和株式会社(以下「興和」といいます。)を割当先とする第三者割当ての方法による普通株式の発行(以下「本件第三者割当」といいます。)及びその後の一連のスクイーズアウト手続による興和によるW社の完全子会社化(以下「本件取引」といいます。)の実現に向けて、W社が進める予定の産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(以下「本事業再生ADR手続」)において、W社の既存取引金融機関による相当額の債務免除を含む事業再生計画案が成立することを条件に、W社臨時株主総会において上程する本件取引を実現するために必要な議案への賛同等、合理的な範囲で興和及びW社に協力することに関する合意書(以下「本件取引に関する合意書」といいます。)を当社並びにDB社が、W社及び興和との間で締結することを決議し、同日付で合意書を締結いたしました。本件第三者割当が行われた場合、W社は当社の持分法適用関連会社から除外されます。
1.本件取引に関する合意書締結に至った背景及び理由
W社グループを取り巻く事業環境は、ブライダル市場における少子化に伴う婚姻組数の減少や、価値観の多様化による結婚式実施率の低下等により、近年厳しさを増しております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの婚礼が延期やキャンセルとなるなど、業界全体に深刻な影響を及ぼしており、大変厳しい状況となっております。
W社は、このような事業環境を踏まえ、役員報酬の減額や人員構成の最適化を目的とした希望退職募集等による人件費や広告宣伝費の抑制、及び賃料減額交渉を行うなど様々な費用削減対策の実施、及び金融機関からの借入や自社保有資産の売却により手元流動性資金の確保に努めるなど、経営安定化に資する財務政策を進めておりました。しかしながら、2020年12月期のW社グループの業績は売上高19,678百万円(前年同一期間比61.1%減)、営業損失10,983百万円(前年同一期間営業利益629百万円)、経常損失11,075百万円(前年同一期間経常利益886百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失11,738百万円(前年同一期間親会社株主に帰属する当期純利益208百万円)の大幅な減収・損失となり、連結純資産は863百万円の債務超過となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の収束時期は引き続き不透明であり、今後の営業収益及び財務に及ぼす影響の程度や期間について不確実性があることから、2020年12月末時点において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる状況にあります。また、W社は、2021年3月末日に弁済期限が到来する借入金合計11,300百万円について、約定通りに弁済することが困難になるとともに、金融機関からそれらの返済を猶予されることも困難になるおそれがあるとのことです。そのため、大規模な資本調達を早期に実現できない場合には、W社の足下の資金繰りは困窮し、株式価値が著しく毀損する事態となり得る状況にあるとのことです。
このような状況の中、W社は早急に資本増強を行う必要があると判断し、2020年11月頃から増資の引き受けに関するスポンサーの検討を開始し、複数社への打診と候補先によるデューディリジェンスの結果等を踏まえて、興和による提案がW社のとりうる唯一且つ最善の策であると判断し、興和との出資契約により概要以下の取引を行うこととしたとのことです。
・興和を割当先とする払込金額の総額20億円の第三者割当によるW社普通株式の発行(1株当たり40円)
・W社の株主を興和のみとするために、W社株式5,000,000株を1株に併合し、興和以外のW社株主に対し、それぞれの保有するW社株式1株当たり180円の金銭を交付することを目的とした株式併合を利用したスクイーズアウト
・当社、DB社及び株式会社寿泉(以下3社を総称して「W社大株主」といいます。)による、株式併合の効力発生日の5営業日前又は各W社大株主及びW社が別途合意する日に、本事業再生ADR手続において、事業再生計画案が本事業再生ADR手続の全対象債権者の同意により成立すること及び本件第三者割当に係るW社普通株式が全て発行されることを条件として行う、それぞれが保有する株式2,003,166株、616,311株及び1,926,866株のW社に対する無償譲渡(本件取引を通じてW社大株主が本件取引を通じて受領する対価が本件公表前のW社大株主が保有する株式に1株当たり40円(本件第三者割当に係る払込価額と同額)を乗じた金額となるよう調整することを目的として)
・本件取引を行う前提条件として、W社の既存の取引金融機関からの既存借入れについての債務免除、及び債務免除後の債務残高の長期借入れへの転換
・完全子会社化後の興和による債務免除後の債務残高に対する債務保証、及び追加運転資金の需要が生じた場合の資金繰り維持
また、W社は興和提案を受けて本事業再生ADR手続の申込みを行い、2021年3月19日付で受理されたとのことです。今後W社は興和提案に沿って事業再生計画案を成立させるべく、全取引金融機関に対して相当額の債務免除等にご同意いただくことを要請する予定とのことです。
W社が上記判断に至った経緯として、興和はホテル事業で培った経験を通じて、W社が営むホスピタリティ事業に対する深い理解を有しており、W社グループの早期の経営改善及び中長期的な視野に立った成長の実現に向けてW社グループと協力して取り組む強い意向を表明したこと、またW社にとりましても不透明な事業環境が続く中、抜本的な事業改革を行う上での様々な施策の実行のためには、W社が上場を維持した状態でW社グループの事業継続及び中長期的な成長の実現のために必要な資金を調達し、大規模な経営改善施策を迅速に実行することは困難との考えから、W社の少数株主の皆様に対して合理的な対価を支払うとともに、W社株式の上場を廃止した上で、抜本的な事業構造改革を行わざるを得ないとの結論に至ったとのことです。
一方、当社は、2021年2月中旬にW社より本件取引にかかる初期的な提案を受けた後、W社株主総会において上程する本件取引を実現するために合理的に必要な議案への賛同、及び当社及びDB社が保有するW社株式の一部(当社:2,003,166株、DB社:616,311株)を無償にて興和に譲渡すること(以下「本無償譲渡」といいます。)について合意を要望する旨の提案(以下「W社提案」といいます)を受領しました。なお、無償譲渡しないW社株式(当社:572,334株、DB社:176,089株)についてはW社が本件取引において想定する株式併合によるスクイーズアウト手続において1株当たり180円の金銭の交付が見込まれるため、上記のとおり当社及びDB社が本件取引を通じて受領する対価の額は1株当たり40円となります。
W社に関する詳細は、W社が本日付けで公表したプレスリリース「第三者割当による新株式発行及び定款の一部変更、株式併合及び単元株式数の定めの廃止並びに親会社、主要株主、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動についてのお知らせ」をご覧ください。なお、W社の取締役を兼任しております当社代表取締役梶原健司、取締役石田晃一及び取締役髙橋哲也、並びに、DB社代表取締役小岸弘和は、本日開催のW社取締役会においては特別利害関係取締役に該当するため、当該取締役会を欠席しております。
当社は、W社に対して詳細な情報提供を要請のうえ、W社提案についての質疑応答を経てW社との間で複数回にわたり協議を行うと同時に、当社において、W社の現在及び将来のキャッシュ・フロー及び足下の資金繰りの状況等の検証と併せて、W社グループで現在婚礼等を予約されているお客様に従来通りのサービス提供が継続できることや、これまでW社で婚礼を挙げられたお客様の大切な思い出を保つことができることについても留意しながら、慎重に検討を行いました。W社は2020年12月末時点において債務超過に陥っており、今般の新型コロナウイルス感染症に起因する不確実性を踏まえると、大規模な資金注入が早期に実行されなければ足下の資金繰りが極めて困窮することが予想されること、興和の提案内容以外に実現可能な支援策の提案は現時点において存在しないこと、W社からは債務免除等について既存取引金融機関からの同意を得るためには、株主責任を明確化するために少なくとも当社を含む大株主が一部無償譲渡に応じることが必要不可欠な状況にあるとの説明を受けており、そのような状況下にも関わらず当社が同意せずに本件取引が実行されなかった場合は当社が保有するW社株式の価値は本件取引により得られる対価を更に下回る可能性があること、W社の少数株主に対してもW社が合理的と考える対価の支払いが可能となること、また、当社及びDB社がW社提案に賛同することによりW社の事業継続が可能となり、W社のお客様や従業員の皆様への安心に繋がること等を総合的に勘案した結果、W社提案を受諾し、本件取引に関する合意書を締結することといたしました。
2.株式譲渡の相手先の名称
興和株式会社
3.当該持分法適用関連会社の名称及び事業内容
名称 ワタベウェディング株式会社
事業内容 リゾートウェディング事業、国内挙式事業、衣裳事業、映像・写真事業、アジア事業
4.日程
・合意書締結日 2021年3月19日
・W社臨時株主総会開催日 2021年5月28日(予定)
・本件第三者割当に係る新株発行日 2021年5月31日(予定)
・本無償譲渡の実行日 2021年6月23日(予定)
・株式併合効力発生日 2021年6月30日(予定)
5.当該事象の損益に与える影響
本件取引が実行された場合、2021年12月期の個別決算において、関係会社株式評価損623百万円を特別損失として計上する予定です。
また、連結決算においては、持分変動損失約2億円を計上する予定です。
(子会社株式の売却)
当社は、2021年3月23日開催の取締役会において、当社の100%子会社(連結子会社)である株式会社ディアーズ・ブレイン(以下「DB社」といいます。)及び株式会社プラネットワーク(以下「PW社」といい、DB社と総称して「当該会社ら」といいます。)の全株式を、CLSAキャピタルパートナーズがサービスを提供するSunrise Capital IV, L.P.、Sunrise Capital IV (Non-US), L.P.、Sunrise Capital IV (Non-US 2), L.P.、及びSunrise Capital IV (JPY), L.P.(以下総称して「投資家株主」といいます。)が出資する株式会社ディアーズ・ブレインホールディングス(以下、「DBHD」といいます。)へ譲渡すること(以下、「本株式譲渡」といいます。)を決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
また、当社は、DBHDに対する議決権比率5%相当の出資を行うこと、当該出資を前提として当社と投資家株主との間でDBHDの運営方針等の合意を目的とした株主間契約を締結すること、及び当社と当該会社らとの間で業務提携契約を締結すること(以下「本資本業務提携」といいます。)を併せて決議し、同日付で株主間契約及び業務提携契約を締結いたしました。
また、本株式譲渡及び本資本業務提携に伴い、当社はDB社の金融機関からの借入(契約締結日現在3,910百万円)に対し債務保証を行います。
1.株式譲渡の理由
当社は、2007年11月に、オリジナリティ溢れるギフト等ウエディング関連商品の共同開発や新郎新婦の新生活ニーズに応えるサービスの共同開発等を目的として、北関東及び九州を中心にハウスウエディング事業を運営していたDB社との資本業務提携を通じてブライダル事業に参入し、2008年5月に同社を子会社化いたしました。その後、2015年3月に、大阪府吹田市江坂の「Mia Via(ミア ヴィア)」及び同万博記念公園内の「迎賓館」の二つの施設において、ゲストハウスウエディング事業を運営していたPW社を子会社化し、この2社を当社ブライダル事業の中心としてまいりました。当該会社らの株式を取得して以降、当社の当初目的である、当該会社らが運営するゲストハウス(結婚式場)における引き出物として当社ギフトカタログ等のご紹介が順調に進捗した一方で、世の中の結婚観が変化してきたこともあり、結婚式と新生活スタートのタイミングが必ずしも一致しない傾向が強まり、当社の通信販売事業への送客は限定的となっております。
このような中、2020年度において新型コロナウイルス感染症拡大により経済環境が不安定となったことも契機となり、当社はグループ全体の事業構造の在り方について検討を重ねてまいりました。その結果、当社グループの再成長に向けて、創業以来大切にしてきた、お客様に寄り添いライフスタイルを提案し続けることを軸として、お客様との「つながり方」や「提案方法」を時代にあった形に進化させ、お客様・取引先様をパートナーとする「共創」をベースとした「生活総合提案型企業」として独自のビジネスモデルを構築する方針を定めました。その方針のもと、通信販売事業を「生活総合提案型企業」のコア事業と位置づけ、経営資源を集中的に投下するとともに、「結婚」というライフイベントに特化したブライダル事業については、自力運営にこだわらないノンコア事業とするとの判断に至りました。加えて、当該会社らのハウスウェディングを主体とするブライダル事業については、ウィズコロナ・ポストコロナ社会に向け消費者の生活様式の変化やニーズの変化に対応して事業再構築を行う必要があること、また今後の発展に向けて新規出店等の投資も必要となること、緊急事態宣言の解除やワクチン接種の開始等のプラス材料はあるものの未だ予断を許さない状況であることから、今回の本株式譲渡及び本資本業務提携を通じて当該会社らが財務基盤をより強固なものとすることが双方の企業価値の向上につながり、より多くのお客様に笑顔をお届けできることになると判断し、本株式譲渡により当該会社らの経営権を投資家株主に譲り渡すことといたしました。
2.株式譲渡の相手先の名称
株式会社ディアーズ・ブレインホールディングス
3.株式譲渡の時期
2021年3月31日
4.当該子会社の名称及び事業内容
名称 株式会社ディアーズ・ブレイン
事業内容 ハウスウエディング事業、ドレス事業、レストラン事業及びコンサルティング事業
名称 株式会社プラネットワーク
事業内容 ブライダル事業及びレストラン事業
名称 株式会社ワンダーステージ
事業内容 結婚式費用の立替払い(クレジット)業
5.譲渡株式数及び譲渡後の持分
株式会社ディアーズ・ブレイン
譲渡株式数 31,290株
譲渡後の持分 -%
株式会社プラネットワーク
譲渡株式数 800株
譲渡後の持分 -%
譲渡価額につきましては、株式譲渡契約書における守秘義務により、開示を控えさせていただきます。
6.当該事象の損益に与える影響
本株式譲渡の実行により、2021年12月期の個別決算において特別損失として約36億円、連結決算においては特別利益約2億円を計上する予定です。