有価証券報告書-第58期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/21 14:27
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、「企業とは人々の幸せのために存在すべきものであり、それでこそ社会から支持され、存続することができる」という考えに根ざしており、これは創業以来不変のものであります。
上記経営理念に基づき、当社グループは、建築資材、金物、農業資材といったホームセンターが本来担うべき分野を強みとし、この分野の遅れた流通の近代化に取り組んでまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、「労働分配率33.3%、ROA10%、ROE10%」を目指し、“人”及び“資本”の生産性の向上に努めてまいります。
なお、当連結会計年度におけるROAは5.6%、ROEは6.5%であります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
2020年3月期から2022年3月期の中期経営計画につきましては、2019年4月25日に公表しております。
2022年3月期の目標は、営業収益3,820億円、営業利益250億円、ROA7.1%、ROE7.5%となっております。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、変化のスピードが非常に速く、人口減少による市場規模の縮小や業種業態の垣根を越えた販売競争の激化等、ますます厳しい状況になるものと予想されます。
このような状況の中、当社グループは「住まい」と「農業」に重点をおき、お客様のライフスタイルに合わせた商品及びサービスの提供を通じ、地域になくてはならないホームインプルーブメント企業を目指してまいります。
① 出店戦略
人口減少による市場規模の縮小の中、出店地域の与件に合致した品揃え・サービスを提供できるPW、H&G、PRO、AT等の各種フォーマットによる船団方式の出店により、密度の高いドミナントエリアを形成し、販売効率を高めてまいります。
② 商品・営業戦略
EDLPの更なる推進と商品開発力の強化を行い、核カテゴリーである工具・資材・リフォーム・園芸・農業関連商品の自社開発比率を高めてまいります。消費者のニーズが「モノ」から「コト」へと移り変わる中、お客様目線での商品提案を進めるとともに、住まいに関する「お困りごと」を解決すべくリフォーム需要の獲得にも努めてまいります。また、Eコマースでの注文商品の店頭引き渡しや店舗毎のリアル在庫の確認等、店舗とインターネットの融合を強化することで全国に展開しているコメリ店舗の強みを活かしてまいります。
カード事業につきましては、キャッシュレス化に伴う決済手段の多様化に対応してまいります。また、カード会員の更なる獲得を推進し、顧客基盤をより強固なものにすることで、お客様の利便性の向上にも努めてまいります。
③ 農業分野の取り組み
「ローコストな生産資材の供給」「農業アドバイザーによる営農指導」「農産物流通支援」「金融支援」「IT支援」を通じ、農業振興及び地域振興に寄与し、日本の農業の産業化を支援してまいります。それらを実施することにより、農産物の生産から販売までをトータルコーディネートできる体制の構築を行ってまいります。
④ 働き方改革と生産性向上への取り組み
当社グループは、店舗作業の「楽・良・早・安」化を実施することにより、多様な人材がより能力を発揮し活躍できる環境を整備するとともに、コンパクトなストアサポートセンター(本社)を構築し、生産性の向上を行ってまいります。また、効率的に従業員教育を行い、各種ノウハウの蓄積や成功事例の水平展開等を行い、多様性・専門性のある人材育成をしてまいります。さらに、人口減少や少子高齢化が進む中、家庭を持つ女性やシニア層、地元で働きたい人等の多様化するライフスタイルに対応できる体制を整備してまいります。これらの取り組みを行うことにより、人材の定着化を図り、離職の防止に努めてまいります。
なお、当事業年度末の当社の女性社員に占める役職比率は34%(127人)となっております。
⑤ コーポレートガバナンスへの取り組み
当社は、独立社外役員4名(社外取締役2名、社外監査役2名)を選任しており、独立社外役員は、取締役会出席者11名の3分の1以上を占めております。また、当社は、「執行役員制度」「取締役の任期1年」「取締役及び執行役員の担当制」を採用しており、その結果、取締役会は経営の意思決定・監督機能と執行機能が分離され、戦略的意思決定とコンプライアンスの強化が図れる体制となっております。
今後も、迅速な経営判断ができる体制を継続し、より実効性の高いガバナンス機能を発揮できる体制を構築してまいります。
⑥ 環境及び社会への取り組み
ⅰ 環境
当社グループは、ホームセンター事業自体が地球温暖化対策等の環境対策につながることであると考え、その課題に取り組んでおります。
・商品
一例として、二酸化炭素が固定化される国産材を原料とする針葉樹合板や、パウチタイプのウインドウォッシャー液、蛍光塗料等不使用のリサイクル紙の容器等、環境保全に寄与する自社商品の開発を行っております。今後も、地球温暖化対策及び国内の環境保全に寄与できる自社商品の開発を進めてまいります。
・エネルギー使用量・温室効果ガス排出量の削減
ホームセンター開業当初から流通センター(以下、センター)を開設し、取引先から納品される商品をセンターへ集約、店舗へ一括配送し、配送車両台数の削減や配送効率を上げることで、二酸化炭素の排出削減や燃料使用量の削減を行っております。
店舗におきましては、省エネ型の照明器具や空調設備を積極的に導入することで、エネルギー使用量の削減に努めております。
・廃棄物の削減
新潟、花巻、高崎、茨城、三重、岡山の6センターに環境ステーションを設置し、店舗やセンターで発生する段ボールやビニール等の廃棄物の減量化及びリサイクルを推進しております。
・太陽光発電
当社グループでは、現在、PW13店舗及び4ヵ所のセンターで、建物の屋上空間を利用した太陽光発電事業を行っております。なお、当連結会計年度の発電量は、13,970Mwh(前連結会計年度比102.1%)となりました。
ⅱ 社会
当社グループは、ホームセンター事業を通じて地域社会への貢献に取り組んでおります。
1990年にコメリ緑資金を設立し、以来29年間にわたり、毎年利益の1%相当額を原資として、地域の緑化活動や農業振興及び災害時における物資の安定供給の基盤整備、文化・社会貢献への還元事業を継続しております。その結果、これまでの累計拠出額は、20億97百万円に達しております。
・公益財団法人コメリ緑育成財団
公益財団法人コメリ緑育成財団は、農業・園芸分野における生産技術・生産性向上に資する事業、地域の緑化活動への助成及びコメリ緑資金ボランティア等の活動を行っております。2018年度のコメリ緑資金ボランティア活動件数は387件となっております。
・NPO法人コメリ災害対策センター
NPO法人コメリ災害対策センターは、全国の各自治体、当社グループ及び協力企業が一体となるネットワークを構築し、災害発生時に必要な物資供給を迅速かつ円滑に行っております。2019年3月31日時点での全国の自治体との災害時支援協定の締結件数は、858件となっております。
・公益財団法人雪梁舎美術館
公益財団法人雪梁舎美術館は、1994年の開館以来、若手芸術家の育成・支援等を行っております。その中でも「フィレンツェ賞展」は、若い精鋭作家の発掘を目的として、1999年に開始してから現在まで20年間、継続して行っております。