有価証券報告書-第60期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 15:10
【資料】
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【項目】
138項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、「企業とは人々の幸せのために存在すべきものであり、それでこそ社会から支持され、存続することができる」という考えに根ざしており、これは創業以来不変のものであります。
上記経営理念に基づき、当社グループは、「遅れた分野の流通近代化」の実現のために、金物・工具、資材・建材、(ハード)と園芸、家庭菜園、農業資材(グリーン)を核カテゴリーとしてとらえ、流通改革に取り組んでまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略等
① 経営環境
ⅰ 外部環境
・新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が始まっておりますが、変異ウイルスの感染拡大等、感染症の脅威は継続しており、景気の下振れ、個人所得や雇用の悪化リスクなど、先行き不透明な状況が続くと予想されます。
・お客様の住まいへのニーズは、コロナ禍で住まいの改良・庭造り・家庭菜園などが顕在化し、住まいや生活に関する新たな需要が生まれると考えられます。
・天候不順や自然災害等の気候変動の影響による消費行動の変化や、農作物の生産状況の変化の影響があります。
・人口減少や少子高齢化の影響による世帯年齢構成の変化、これから始まる世帯数の減少による社会・地域経済に与える影響は、常に大きなものとなると考えられます。
ⅱ 小売業界
・業種・業態の垣根を越えた販売競争の激化による店舗の営業環境の変化により、商圏内の販売シェアの低下が発生することが考えられます。
・ホームセンター業界では、大手企業同士のM&Aによる業界再編の動きが顕在化し、他業種・他業態を含
む競争も激化することも予想されます。
② 経営戦略等
「2019年-2021年 中期経営計画」の2022年3月期の目標につきましては、2021年4月27日に修正を公表し、2022年3月期の目標は、営業収益3,820億円(修正前3,820億円)、営業利益を275億円(同250億円)、ROAを7.8%(同7.1%)、ROEを8.3%(同7.5%)にそれぞれ修正いたしました。
商品企画、原材料調達、製造生産、流通、販売に至る国内外の流通のトータルプロデュースを行い、より良い商品をより安く、お客様には無駄なコストは1円たりとも負担させないという考えのもと、ローコストオペレーションを維持する取り組みを行い損益分岐点を下げるとともに、商品力・販売力の強化を行い、お客様の利便性の向上の実現と更なる高収益体制の構築を行ってまいります。これにより、業種・業態の垣根を越えた大競争時代において、持続可能な成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
③ 目標とする経営指標
当社グループは、「労働分配率33.3%、ROA10%、ROE10%」を目指し、“人”及び“資本”の生産性の向上に努めてまいります。
なお、当連結会計年度におけるROAは8.9%、ROEは10.7%であります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、住関連分野を中心とする流通の更なる近代化をもってお客様や世の中に貢献するために、資材・建材、金物・工具(ハード)と園芸、家庭菜園、農業資材(グリーン)を核カテゴリーとして捉え、流通イノベーションに取り組んでおります。「ハード」と「グリーン」の分野における社会のインフラとして、お客様の豊かな暮らしの実現をするとともに、地域のお客様に必要とされる企業を目指し、次の取り組みを行ってまいります。
① 事業戦略
(出店)
業種・業態の垣根を越えた販売競争の激化や人口減少による市場規模の縮小の中、出店地域の与件に合致した品揃え・サービスを提供できるパワー、ハード&グリーン、プロ、アテーナ等の各種フォーマットによる船団方式の出店により、密度の高いドミナントエリアを形成し、販売効率を高めてまいります。長期的には、現在11か所ある物流センターを将来的には倍以上にし、3,000店舗体制を目指してまいります。
(商品)
商品調達のグローバル化と物流網及び情報システムの進化により、商品調達の効率化と気候変動等のリスクヘッジを図り社会的コスト及びCO2の排出削減を行ってまいります。また、生産から販売までのプロデュースによるEDLP(エブリデイ・ロープライス)の更なる推進と商品開発力の強化を行い、核カテゴリーである資材・建材、金物・工具(ハード)と園芸、家庭菜園、農業資材(グリーン)の関連商品の自社開発商品比率を高めてまいります。
(サービス)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による在宅時間の増加で顕在化した住環境改善に関するニーズに対応するため、住まいに関する「お困りごと」の課題を解決する住急番やリフォーム等のサービスの拡充を図ってまいります。
(農業分野)
「ローコストな生産資材の供給」「農業アドバイザーによる営農指導」「農産物の流通支援」「金融支援」「IT支援」を通じ、農業振興及び地域振興に寄与し、日本の農業の産業化を支援してまいります。これらを実施することにより、農産物の生産から販売までをトータルコーディネートできる体制の構築を行ってまいります。
② DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
お客様の「利便性の向上」と全社従業員の作業を「楽・良・早・安」化し、店舗およびストアサポートセンター(本社)の生産性の向上とお客様への提案力を高め、更なる既存店舗の売上向上と高収益体制の確立を目指してまいります。また、商品の受け取り先としての店舗(BOPIS)の取り組みや店舗ごとのリアル在庫の確認等、店舗とインターネットの融合を強化することで全国に展開している当社グループの強みを活かしてまいります。さらに、連結子会社の(株)コメリキャピタルとともに、店舗におけるキャッシュレス化に伴う決済手段の多様化への対応も進めてまいります。加えて、カード会員の更なる獲得を推進し、顧客基盤をより強固なものにし固定客化を推進することで、更なるお客様の利便性の向上にも努めてまいります。
③ SDGsへの取り組み
当社グループの事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指し、商品や店舗運営、物流等、商品の調達から販売に至るすべての過程において、省力化、効率化を行い環境及び社会課題の解決に取り組んでまいります。具体的には、以下の内容に取り組んでまいります。
(環境)
・環境に配慮した商品・サービスの提供
・生産から流通・販売に至る過程で排出されるCO2の削減
・レジ袋を含めたプラスチック包装容器の削減
・設備機器の更なる省エネ化
・運送用梱包資材の削減及び廃棄物の排出削減
(社会)
・住まいに関するローコストな金物・工具、資材・建材等の商品の供給
・プライベートブランド商品の開発推進と品質改良
・農産物等の食料生産に必要なローコストな生産資材の供給
・災害時等における生活必需物資の供給体制の構築及び店舗の営業の実施
・事業活動における人権の尊重
・多様な人材がより能力を発揮できる働きがいのある環境づくり及び教育体制の確立
・公正な取引の推進
④ コーポレート・ガバナンス強化への取り組み
当社は、2020年6月25日開催の第59回定時株主総会終結の時をもって監査等委員会設置会社に移行いたしました。また、前連結会計年度末時点で独立社外取締役4名を選任し、取締役会出席者11名の3分の1以上を独立社外取締役が占めることとなりました。さらに、取締役会の任意の諮問機関として、独立社外取締役を過半数とする「指名・報酬委員会」を設置いたしました。
事業環境が不連続に変化する中、これまで以上に意思決定の迅速化が求められるため、取締役を含めた経営陣幹部の多様性の確保を図ってまいります。また、取締役及び執行役員の指名及び報酬の決定の手続きの公平性・透明性・客観性を確保してまいります。
引き続き、取締役会の監査・監督機能を強化するとともに、更なる意思決定の迅速化を図ってまいります。