有価証券報告書-第59期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 15:24
【資料】
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【項目】
154項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、「企業とは人々の幸せのために存在すべきものであり、それでこそ社会から支持され、存続することができる」という考えに根ざしており、これは創業以来不変のものであります。
上記経営理念に基づき、当社グループは、「遅れた分野の流通近代化」の実現のために、金物・工具、資材・建材、(ハード)と園芸、家庭菜園、農業資材(グリーン)を核カテゴリーとしてとらえ、流通改革に取り組んでまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略等
① 経営環境
ⅰ 外部環境
・消費税増税による消費マインドの低下や新型コロナウイルス感染症拡大の影響による外出自粛要請等により、中長期的に個人消費の下振れが避けられない状況となっております。
・新型コロナウイルス感染症の影響は、移動制限による各種需要の喪失や雇用不安、所得の減少、サプライチェーンの分断等、事業活動や生活等のすべての面において影響が出ており、今後もその影響は、継続するものと予想されます。
・新しい生活様式が求められ、お客様の住まいへのニーズは、これまで以上に急速に変化することが予想され、住まいや生活に関する新たな需要が生まれると考えられます。
・天候不順や自然災害等の気候変動の影響による消費行動の変化や、農作物の生産状況の変化の影響があります。
・人口減少や少子高齢化の影響による世帯年齢構成の変化、これから始まる世帯数の減少による社会・地域経済に与える影響は、常に大きなものとなると考えられます。
・5G、AI、IoT、ブロックチェーン等のデジタル技術の深化への対応が必要であると考えられます。
ⅱ 小売業界
・ 業種・業態の垣根を越えた販売競争の激化による店舗の営業環境の変化により、商圏内の販売シェアの低下が発生することが考えられます。
・ 店舗建設費の高騰や人件費や運送費等の各種費用の上昇傾向は、今後も続くと考えられます。
② 経営戦略等
2020年3月期から2022年3月期の中期経営計画につきましては、2019年4月25日に公表し、2022年3月期の目標は、営業収益3,820億円、営業利益250億円、ROA7.1%、ROE7.5%であります。
商品企画、原材料調達、製造生産、流通、販売に至る国内外の流通のトータルプロデュースを行い、より良い商品をより安く、お客様には無駄なコストは1円たりとも負担させないという考えのもと、ローコストオペレーションを維持する取り組みを行い、損益分岐点を下げる仕組みづくりを行ってまいります。これにより、業種・業態の垣根を越えた大競争時代において、持続可能な成長を目指してまいります。
③ 目標とする経営指標
当社グループは、「労働分配率33.3%、ROA10%、ROE10%」を目指し、“人”及び“資本”の生産性の向上に努めてまいります。
なお、当連結会計年度におけるROAは5.7%、ROEは6.7%であります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「ハード」と「グリーン」の分野における社会のインフラとして、お客様の豊かな暮らしの実現と、お客様に必要とされる企業を目指し、次の取り組みを行ってまいります。
① 出店戦略
業種業態の垣根を超えた販売競争の激化や人口減少による市場規模の縮小の中、出店地域の与件に合致した品揃え・サービスを提供できるPW、H&G、PRO、AT等の各種フォーマットによる船団方式の出店により、密度の高いドミナントエリアを形成し、販売効率を高めてまいります。
② 商品・営業戦略
商品調達のグローバル化と物流網及び情報システムの進化により、商品調達の効率化とリスクヘッジを図るとともに、EDLP(エブリデイ・ロープライス)の更なる推進と商品開発力の強化を行い、核カテゴリーである金物・工具、資材・建材(ハード)と園芸、家庭菜園、農業資材(グリーン)の関連商品の自社開発商品比率を高めてまいります。
また、新しい生活様式が求められ、お客様の住まいへのニーズが急激に変化することが予想されます。お客様のニーズが「モノ」から「コト」へと移り変わる中、お客様目線での商品提案を進めるとともに、住まいに関する「お困りごと」を解決すべく、リフォーム等の住まいへのニーズの変化に伴う新たな需要の獲得にも努めてまいります。
③ 情報化・デジタル化
Eコマースでの注文商品の店頭引き渡しや店舗ごとのリアル在庫の確認等、店舗とインターネットの融合を強化することで全国に展開している当社グループの強みを活かしてまいります。
また、店舗における新たな接客のあり方にも取り組み、デジタルツールを活かした店舗従業員の接客能力を引き出す仕組みの構築も目指してまいります。さらに、連結子会社の(株)コメリキャピタルとともに、店舗におけるキャッシュレス化に伴う決済手段の多様化への対応も進めてまいります。加えて、カード会員の更なる獲得を推進し、顧客基盤をより強固なものにすることで、お客様の利便性の向上にも努めてまいります。
④ 農業分野の取り組み
「ローコストな生産資材の供給」「農業アドバイザーによる営農指導」「農産物の流通支援」「金融支援」「IT支援」を通じ、農業振興及び地域振興に寄与し、日本の農業の産業化を支援してまいります。これらを実施することにより、農産物の生産から販売までをトータルコーディネートできる体制の構築を行ってまいります。JAとの取り組みにつきましては、JA上伊那での実績を踏まえ、持続可能な新たな農業支援モデルの構築を進めてまいります。
⑤ 働き方改革と生産性向上への取り組み
当社グループは、店舗作業の「楽・良・早・安」化を実施することにより、多様な人材がより能力を発揮し活躍できる環境を整備するとともに、コンパクトなストアサポートセンター(本社)を構築し、生産性の向上を行ってまいります。
また、効率的に従業員教育を行い、各種ノウハウの蓄積や成功事例の水平展開等を行い、多様性・専門性のある人材育成を行ってまいります。さらに、人口減少や少子高齢化が進む中、家庭を持つ女性やシニア層、地元で働きたい人等の多様化するライフスタイルに対応できる体制を整備してまいります。これらの取り組みを行うことにより、人材の定着化を図り、離職の防止に努めてまいります。
⑥ コーポレートガバナンスへの取り組み
当社は、独立社外取締役5名を選任しており、その割合は取締役会出席者12名の3分の1以上を占めております。また、当社は、「執行役員制度」「取締役(監査等委員であるものを除く)の任期1年」「取締役及び執行役員の担当制」を採用しており、その結果、取締役会は経営の意思決定・監督機能と執行機能が分離され、戦略的意思決定とコンプライアンスの強化が図れる体制となっております。
また、監査等委員会設置会社に移行することを決定し、これまで以上に取締役会の監査・監督機能を強化するとともに、業務執行については取締役会の監督のもと更なる意思決定の迅速化を図ってまいります。さらに、監査等委員会設置会社への移行に伴い、独立社外取締役を委員の過半数とする指名・報酬委員会を設置することといたしました。
今後も、迅速な経営判断ができる体制を継続し、より実効性の高いガバナンス機能を発揮できる体制を構築してまいります。
⑦ 環境及び社会への取り組み
当社グループは、ホームセンター事業自体が地球温暖化対策等の環境対策につながるものであると考え、商品や店舗運営、物流等、商品の調達から販売に至るすべての過程において、省力化、効率化を行い環境及び社会課題の解決に取り組んでおります。当社グループ役員・従業員全員がその目的や内容を理解し、その役割と責任を果たすことで、持続可能な成長の実現を目指してまいります。