有価証券報告書-第40期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 14:46
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは『人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる。』の企業理念を掲げ、次の通り取り組んでおります。
『がんばらない経営』
無理をして自分の力以上の力を出すことは短期的には可能であっても、終わりのない会社経営には適切ではありません。無理をすれば必ずその反動があります。
お客様にご満足いただくためにあるべき姿に向かって、正しいことを無理をせず、確実に実行していく経営方針を『がんばらない経営』と表現しております。
『1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主』
お客様を大切にするためには、まず従業員を大切にしなければ「本当の親切」は実現しないと考え、1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主の順で大切にしようと考えております。
0102010_001.png(2) 目標とする経営指標
当社は、2019年5月に発表した「5ヶ年中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)」において、2024年3月期に売上高8,000億円、営業利益450億円、経常利益500億円、当期純利益320億円、ROE10%、配当性向30%を目指すことを掲げ、下記を重点取組事項としております。
(売上高)
既存店前年比100%をベースとし、年間20店舗を出店することで年平均成長率3%を目指す。
(営業利益)
高付加価値商品の販売強化と、商品開発で利益を確保すると同時に経費をコントロールすることで年平均成長率6.6%を目指す。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
現在新型コロナウイルス感染症の拡大により、将来に対する先行き不安や景気の悪化により消費者心理が冷え込む可能性もありますが、当社グループの取り扱う家電品は、衣食住に関わる安定的な生活を確保するために必要な生活必需品であり、底堅い買い替え需要に支えられております。依然として根強い節約傾向は続いておりますが、付加価値を得られる商品への買い替え需要は高い状況です。2020年3月期末に504店舗を有する当社グループには、全国に4,100万人を超える「ケーズデンキあんしんパスポート」会員がおり、おかげさまでお客様より高い顧客満足度評価をいただいております。
一方で、日本全体の人口は減少しており、家電需要全体は縮小傾向にあります。また、ECでの買い物が主流になり、リアル店舗の価値が低下するのではないかと懸念する見方もあります。そのような中、当社では次の通り取り組んでおります。
① 家庭用電化製品に特化
当社グループが運営する「ケーズデンキ」は、大型の家電専門店として、家電品を専門に取り扱っております。家電品に絞ることによって、ローコスト経営と従業員の専門性の高さを保持しております。また、家電品を試用・体験できる売り場づくりなど、家電専門店ならではの特徴ある店舗作りに取り組んでおります。当社は、IoT、AI家電など最先端家電を実際に家庭で使用するイメージ空間に集合展示した「つながる家電」体験コーナーの開設に注力しており、今後も順次設置店舗を拡大してまいります。
② 付加価値商品の販売、プラスワン販売の強化
当社グループは一人当たり単価を伸ばすことに注力しております。お客様のご要望を伺い、お客様に合ったよりよい商品のご提案をすることで高付加価値商品の販売構成比を上げることに取り組んでおります。また、関連品のお勧めをすることで、お買い上げ点数のアップを図っております。人口減少によって来店客数が減少傾向にある地域もありますが、これらの取り組みにより客単価を上げることでシェアの拡大を図り、着実に成長していくことを目指してまいります。
③ 『ケーズデンキあんしんパスポート』アプリ会員の獲得推進
当社グループの『ケーズデンキあんしんパスポート』会員は4,100万人を超えておりますが、更なる新規会員の獲得及び紙カードからスマートフォンアプリへの移行に力を入れております。アプリでは、会員様へ会員限定クーポンの配信や、WEBチラシの閲覧を容易にすることなどが可能であり、折込チラシに代わる販売促進策の1つになります。現在アプリ会員数はおよそ340万人となっており、今後とも会員数の増加を図ってまいります。
④ 都市部、空白地帯への出店
当社グループの出店強化エリアは、人口が多い都市部と未出店地域です。これらの地域に積極的に出店し未完成の国内店舗網を構築することにより、ドミナント戦略の効果をより発揮することが可能になります。同時に既存店はスクラップ&ビルドを行い、常に周辺環境に合致した新しい店舗作りを目指してまいります。
2021年3月期は27店舗の出店と4店舗の閉鎖を計画し、業容の拡大を図ってまいります。
⑤ ECへの取り組み
当社グループには自社ECサイト(ケーズデンキオンラインショップ)があり、PayPayモールにも出店しておりますが、2020年3月に楽天市場へも出店いたしました。当社グループは、ECはお買い物の手段の一つとして位置づけ、店舗へ来店するのが困難な方へも間口を広げております。
当社グループでは、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン等の配達設置を伴う商品はECには適しにくく、小物商品や消耗品がECでの購買に適していると分析しております。それらの商品群に対してはオリジナル商品を投入し、訴求力のある価格でなおかつ利益を確保できる体制を整えてまいります。
⑥ 人材の確保
少子高齢化により労働人口も減少傾向にありますが、2018年11月に子会社のケーズキャリアスタッフにて、人材派遣事業を開始いたしました。当社グループは能力のあるシニアの再雇用を促進し、安定した労働力を確保してまいります。