有価証券報告書-第55期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 16:32
【資料】
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【項目】
113項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「我々はメモリアル事業を通じ、常に顧客のニーズに基づく良い商品とサービスをより安く提供することによって社会に貢献し、業界一の企業とならむことを期す。」を社是に、継続して成長し続けるため、消費者に寄り添ったサービスの向上に取り組んでおります。
法令遵守、経営効率性の向上、顧客対応の向上等による事業活動を通じた企業価値の最大化を目指し、健全な倫理観に基づくコンプライアンス体制を徹底し、株主、顧客をはじめとするステークホルダーから信頼されると共に、長期的且つ積極的な利益還元を継続するため、業務の適正性を確保する体制の構築並びに維持を主な課題として事業活動を展開していく方針であります。
(2)経営戦略等
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)及び変異株(N501Y)の世界的感染拡大を受け、消費者の価値観や行動様式は多様に変化しております。
ワクチンが開発され接種も行われていることから完全収束は必ず訪れると考えらるものの、当面は見通せない状況にあり、共存していかなければならないものと認識しております。
これに伴う外出自粛要請や緊急事態宣言の発出等により、人の往来は著しく制限され、特に葬祭事業においての会葬者減少による施行単価の下落は避けられず、葬儀専門のポータルサイト等との連携による受注件数の拡大を目的とした取組みを積極的に行って参ります。
また、メモリアル市場において当社は、火葬場以外の全てを網羅しており、消費者に対し総合的なサービスを提供出来る体制を整えている希少な企業であります。
愛彩花倶楽部会員は4万人を突破しており、これを梃に様々な事業展開が可能となる優位性を保持しております。
コロナ禍や同業他社との競争が激化する中、適正利益率を維持しながらシェアの拡大を図って参ります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、株主利益重視の観点から、売上高と利益の拡大に伴ったEPS(1株当たり当期純利益)であります。
しかしながら、コロナ禍の収束が未だ見通せないことから、第56期につきましては、EPSの確保を目標に取り組んで参ります。
(4)経営環境
当社が属するメモリアル市場は、高齢者が増加傾向にあるにもかかわらず、お墓事業における屋外墓地については、埋葬の選択肢の多様化に伴い、高価格となる旧来の墓地墓石の購入層は年々減少する傾向にあり、受注件数は順調に増加しているものの、施工単価は下落傾向にあります。
一方、首都圏に永住される消費者が所有する故郷のお墓を引っ越しする需要は、緩やかに増加しております。
この流れに対応すべく当社は、消費者に寄り添った様々なお墓の形態を兼ね備えた霊園を開発すると共に、供養の全てを網羅し、価格においてもご満足いただける堂内陵墓への拡充を図っております。
これまでに培ったノウハウや実績の分析を踏まえ、より効率性を重視した集客媒体の選定が肝要であると認識しております。
葬祭事業においては、葬儀の小規模、地味化傾向がより顕著となっております。
また、コロナ禍における会葬者の減少やインターネット媒体の普及による同業者間の価格競争は激化しており、施行単価が一層下落するという厳しい環境下にあります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、当事業年度より営業戦略をより効率的且つ流動的に行うことを目的として、霊園事業と堂内陵墓事業を統合し「お墓事業」といたしました。
屋外墓地につきましては、好立地、好ロケーションを重視した新規霊園の開発及び募集販売実績のある霊園の増設、改造を中心に行うと共に、関係寺院及び墓地候補地の見極めを一層強化し適宜対処する所存であります。
堂内陵墓につきましては、埋葬の選択肢が多様化しており、劇的な売上高の回復には一定期間かかることを想定しております。
消費者のニーズを見極め、抜本的な広告及び販売戦略を見直し、収益を追求する体制を構築して参ります。
葬祭事業につきましては、受注拡大のため生前予約をいただくことは不可欠であります。
その会員組織である「愛彩花倶楽部」の新規会員獲得と共に、会員に向けた春夏秋冬に発行する会報の充実やコロナ禍を踏まえ少人数に限定した終活セミナーの開催等、潜在顧客を受注に繋げる施策を行って参ります。
また、より魅力的な葬儀プランの提供、葬儀専門のポータルサイト等と連携し、愛彩花倶楽部会員以外の一般顧客からの受注拡大を図り、当社の中核をなす事業となるよう進めて参ります。
財務につきましては、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済等に備えるため、資本の増強をはじめ、営業活動により得られたキャッシュ・フロー、金融機関からの借入や社債の発行等を基本としております。
これら営業及び財務活動により調達した資金は、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的且つ効率的に使用することに加え、有形固定資産や投資その他の資産の流動化を推し進め、財務体質の改善に繋げて参ります。
また、世界的大流行となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)及び変異株(N501Y)につきましては、収束が未だ見通せない状況下にあり、消費者の外出自粛傾向が今後も継続しますと、お墓事業は来園者(見学者)数の減少、葬祭事業では会葬者の減少等の顕著化が想定されます。
石材の仕入れについても、ほぼ100%中国より輸入しており、当国においてはコロナ禍が収束に向かっているとの報道があるものの、第2波、第3波が襲う可能性もゼロではなく、国内で調達することになれば、原価率の高騰が懸念されます。
一方、消費者の価値観や行動様式の変化、死生観を醸成しており、ワクチン接種が行き渡れば、こうした懸念も徐々に解消され、メモリアル市場は活発化する可能性があります。