有価証券報告書-第42期(令和2年5月1日-令和3年4月30日)

【提出】
2021/07/28 10:41
【資料】
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【項目】
150項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、全国4ヶ所にあるセントラルキッチンを基盤とし、外食、テイクアウト及び外販の3つの事業を通して、お客様に「美味しい料理・最高の笑顔・親切で心温まるサービス」を提供することを基本理念としております。歳時や旬の食材に合わせた料理や商品により、お客様に季節や日本古来の文化を魅了していただくこと、食品添加物や化学調味料の使用制限等、安全で健康的な安らぎを提供することを基本方針としております。
また、お客様のご意見やご要望を基に、セントラルキッチンの製品供給力と外食事業、テイクアウト事業の店舗運営力及び外販事業の提案力を活用した成長戦略により、企業価値向上を目指してまいります。
(2)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
少子高齢化や人口減少時代の到来により日本国内の食のマーケットの縮小に加え、当社グループ店舗の多くが出店する県庁所在地等の中心市街地の衰退等、社会環境の変化が事業運営に影響を及ぼしております。
さらに新型コロナウイルス感染拡大により、外食業界においては政府及び各自治体による休業や時短営業の要請への対応、テイクアウト事業においてはテレワークの推進や外出自粛に伴う都心の昼間人口の減少、百貨店の食品フロア以外の休業やインバウンドの大幅な減少等による客数の大幅減等、非常に厳しい事業環境にあります。
そのような中、当社グループは、既存事業における収益構造の見直しによる損益分岐点売上高の低減、外販事業強化による販売チャネル拡大、セントラルキッチンの製造機能と製造品目の拡大、収益力向上を目的とした出店・改装及び設備の増強等、収益力の強化による財務の健全化を図ってまいります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束時期が不透明であり、一部の業種を除き企業収益の悪化や個人消費の急速な減少が続いており、先行きについては極めて厳しい状況が続くものと見込んでおります。
当面はグループ全体で「密閉・密集・密接」の回避及びマスクの着用・消毒・換気等の徹底した衛生管理、お客様や従業員の新型コロナウイルスの感染防止策の実行に積極的に取り組むとともに徹底したコスト削減、状況に応じた施策の変更と綿密な投資のコントロールにより、収益の確保及び支出の抑制並びに手元資金の拡充に注力いたします。さらに、コロナ収束後の顧客の意識及び行動の変容に順応できるよう社会環境の変化を注視してまいります。
① 新型コロナウイルス感染症対策
当社グループは、お客様及び従業員の安全を最優先に考え、以下のとおり取り組みを行っております。
・店舗におけるソーシャルディスタンスの確保、お客様が接触される箇所の除菌、ウイルスを除去する紫外線除菌装置の導入等、お客様が安心してご来店いただける、また、従業員が安心して働けるための対策の実施。
・従業員の安全の確保と雇用継続による生活の維持に配慮した休業手当を支給。
・新型コロナウイルス感染防止対策の実行及び収益補填のための政府等による助成金・補助金等の支援策の活用。
② 事業展開
(外食事業)
「湯葉と豆腐の店 梅の花」につきましては、ポイントカード会員様の来店履歴やご注文されたメニュー等のデータに基づいた効率の良いダイレクトメール発送による既存顧客の来店頻度の向上に引き続き取り組むとともに、梅の花公式アプリやSNSの活用等による新規顧客の獲得にも努めてまいります。
また、店舗人員配置の見直しによるシフトの最適化を図り、新型コロナウイルスの感染防止対応の中でのお客様へのおもてなしの充実、それに伴う再来店客数の増加に取り組んでまいります。ソーシャルディスタンスの確保に伴う座席数の減少を踏まえ、弁当や惣菜等の宅配や持ち帰り商品販売の強化にも引き続き取り組んでまいります。
「和食鍋処 すし半」につきましては、当社グループが保有するインフラの活用による弁当宅配の強化、持ち帰り商品の拡充に加え、既存業態のメニュー構成等の見直しに着手してまいります。
「海産物居酒屋 さくら水産」につきましては、引き続きテイクアウト販売を強化するとともに、居酒屋業態からの脱却に向けファミリーで天ぷらや寿司を楽しめる新業態「天ぷらと寿司sakura」等への転換を図ってまいります。
新業態開発といたしましては、中華業態及び焼肉やホルモン等の肉を主体とする業態の開発、出店に取り組んでまいります。
(テイクアウト事業)
「古市庵テイクアウト店」につきましては、巻寿司及びいなり寿司等の定番商品の見直し、季節商品の開発や商品ラインアップの拡充による新しい顧客層の取り込みに注力いたします。
「梅の花テイクアウト店」につきましては、コロナ禍で需要が拡大した冷凍惣菜の開発のほか、お客様の目に留まる商品陳列や食材や味付け等のこだわりに関する商品説明に取り組んでまいります。
「古市庵」「梅の花」の共通事項としまして、「仕事や家事等で時間が足りない」30~50代の女性とそのご家族を意識した商品開発と見やすく買いやすい売場づくりを強化してまいります。さらに、人手不足、最低賃金の上昇及び原材料価格の高騰への対応に向け、古市庵と梅の花の共同運営を一層推進するとともに、海洋プラスチックごみ、CO2排出、食品ロス等環境問題の対応に向け、包装材料等の見直しや商品の作りすぎの排除等に着手しております。
また、通販「梅あそび」の商品内容の拡充と機能強化、京都セントラルキッチンの直売所開設準備及び既存直売所の新規商材の導入等の取り組みに着手してまいります。
(外販事業)
前期に引き続き、セントラルキッチンの製造能力の活用、ブランド価値及び認知度の向上を目的とした梅の花及び古市庵ブランドの商品の販売、丸平商店製造の牡蠣フライ等の水産加工品の販売を強化してまいります。
また、パートナー企業との協業による生牡蠣の流通過程における品質の向上とコスト低減、製造工場と保管倉庫及び市場間の自社物流の導入による収益力強化に取り組んでまいります。
(海外展開)
新規展開につきましては、現地の経済状況、インフラ等の環境整備等総合的に勘案し、慎重に取り組んでまいります。また、コロナ収束後は現地の状況に応じた業態やブランドの選択、フランチャイズ運営等柔軟な対応による拡大を進めてまいります。
(設備投資等)
既存業態からの転換も含めた新業態開発、セントラルキッチンの生産設備等の事業基盤の拡充及び長期安定収益の確保を目的とした、土地や既存の保有資産の有効活用に取り組むことを想定しておりますが、コロナ禍の状況を鑑み、投資抑制に努めてまいります。
③ 収益改善策
製造部門におきましては、店舗調理作業の効率化や味・品質の安定を図るため、セントラルキッチンによる内製化の効果を再検証した商品開発を継続してまいります。また、機械化・自動化、類似商品の集約や不採算商品の削減等、生産性向上に加えて、外部企業に製造を委託しておりました食材の内製化、商品の保存期間の延長のための急速冷凍機の導入やレトルト食品等の強化に取り組んでまいります。
物流部門におきましては、店舗の配送回数や梱包資材の見直し、航空輸送から陸上輸送への切り替え、業務委託先の変更等による物流コストの削減に努めてまいります。
(3)経営上の目標を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営指標として売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率、ROEを重視しております。ROEにつきましては、5%を目標としております。なお、2022年4月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により先行きを見通すことが困難であることから未定としております。