有価証券報告書-第44期(平成27年3月1日-平成28年2月29日)

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2016/05/25 11:18
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業績等の概要

(1)業績全般の状況
当期における国内経済は、政府の景気対策や日銀の金融緩和を背景に、緩やかな回復基調で推移したものの、中国をはじめとする海外経済の減速懸念等から先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社が経営基盤とする九州におきましても、雇用や所得環境が改善するなど、緩やかな回復基調が続いておりますが、個人消費については、消費者マインドの持ち直しに若干足踏みが見られるなど、弱さが残りました。
このような環境の下、当社は「九州でNo.1の信頼される企業」の実現を加速させるべく、活性化や販促施策の変更等により、地域ごとのお客さまのニーズに合わせた品揃えや売場展開、サービスの提供に注力し、お客さまの満足度を高めてまいりました。
また、平成27年9月1日から株式会社ダイエーの九州地区24店舗を承継したイオンストア九州株式会社の店舗運営業務を受託いたしました。これにより、当社の総合小売事業の当期末時点における運営店舗数は75店舗となり、「地元にいちばんうれしいお店へ」をコンセプトに、一体運営によるシナジー効果を早期に最大化するべく、新生イオン九州として取り組んでおります。
当期における経営成績につきましては、売上高とその他営業収入を加えた営業収益は、2,403億14百万円(前期比99.2%)となりました。営業損失は、1億86百万円(前期は16億93百万円の損失)、経常損失は、29百万円(前期は11億6百万円の損失)、当期純損失は、20億47百万円(前期は36億8百万円の損失)といずれも前期より損失幅を大幅に改善いたしました。
売上高につきましては、2,233億17百万円(前期比98.6%)となりました。これは、天候不順への対応ができなかった衣料品や季節実需商品の売上が伸び悩んだことによるものです。しかしながら、食料品では地域や店舗特性に合わせた品揃えを拡大する等の取り組みにより、食料品の既存店売上高は前期比102.3%となりました。
また、会社合計の既存店売上高につきましても、上半期(平成27年3月~8月)の前期比98.0%から下半期(平成27年9月~平成28年2月)は前期比100.0%と回復基調にあります。
収入面につきましては、靴売場の運営をイオングループの靴専門店「グリーンボックス」へ移管したこと等によりコンセッショナリー収入が前期比119.2%と増加いたしました。
利益面では、食料品では地域に根差した商品構成への見直し、利益率の高い生鮮食料品の売上構成比を高める等の取り組みを行うとともに、商品在庫を前期比92.1%と計画的に削減した結果、会社合計の下半期の売上総利益率は前期より0.5ポイント改善、通期でも0.1ポイント改善いたしました。
これらの取り組みにより、営業総利益は、773億87百万円(前期比100.9%)となりました。
経費面では、従来のポイント中心の販促施策から、九州大感謝祭など地域密着の商品企画を中心とした販促に変更する等、より効率的な施策を実施した結果、販促費は前期比94.8%となり、販売費及び一般管理費合計におきましては前期比99.0%となりました。
以上の取り組みの結果、前述の通り、営業損益は、前期より15億7百万円の改善となりました。
<セグメント別の状況>[総合小売事業]
・総合スーパー(GMS)イオンでは、地域、店舗特性に合わせた品揃えの実現に向けて、ショッピングセンター全体の活性化や食料品売場を中心にした活性化を行うとともに、店舗運営業務を受託しているイオンストア九州店舗の強みを積極的に取り入れ、またイオン九州店舗の強みをイオンストア九州店舗に取り入れることで相互に売場改善の取り組みを進めております。
・天候の影響を受けた衣料品や季節実需商品につきましては、売上が伸び悩みましたが、学校行事・社会行事の取り組みを強化したことにより、ランドセルや浴衣等の売上は前年を上回りました。また靴売場の運営をイオングループの靴専門店「グリーンボックス」へ移管し、高度な専門知識を持った販売員が接客することにより、お客さまのライフスタイルに合った靴をご提案できるよう営業体制を見直しました。
・食料品では地域ごとのお客さまニーズに合わせた品揃えの再強化、産地や素材にこだわった商品の販売を強化する等の取り組みにより、前年を超過いたしました。また住居余暇商品では、健康志向の高まりにより医薬品・健康食品等が好調に推移いたしました。
・販促面ではお客さまへ感謝の気持ちをこめた九州独自の新たな企画として「九州大感謝祭」を、平成27年4月、7月、10月、12月に実施いたしました。「わくわく・ドキドキ・楽しさ・サプライズ」な商品展開を実施したほか、九州地場のお取引先さまとタイアップしたオリジナル商品の販売や催事を実施し、九州の魅力満載の売場を演出いたしました。また、それぞれの店舗が、地元の行政や自治会・老人会・郷土芸能保存会などの団体と協力し企画した催事は、ご来店頂いただいた多くの地域のお客さまに大変好評でございました。
・店舗面においては、地域のお客さまに新たな価値をご提供するための活性化に取り組みました。イオン香椎浜店(福岡県福岡市)では、地元福岡で人気の大型雑貨専門店や、憩いの空間を提供するブック&カフェの導入などお客さまのライフスタイルをサポートするショッピングセンターへと生まれ変わる取り組みを進めてまいりました。そのほか「イオン時津店(長崎県西彼杵郡)」「イオン三光店(大分県中津市)」「イオン隼人国分店(鹿児島県霧島市)」などの活性化にも取り組み、食料品売場では増加する共働き世帯や単身世帯、シニア層ニーズへの対応として、惣菜の量り売りバイキングの導入や冷凍食品売場の拡大など、グループの経営資源を活かした取り組みも進めて参りました。
・「イオン筑紫野店(福岡県筑紫野市)」では、ショッピングセンターの増床による商圏拡大に合わせ、自然の力で美しくなる食事や美容法をご提案する「ナチュラル&オーガニックコーナー」や「ウェルネスフーズコーナー」を展開、また、メンズの大きいサイズ「greatess」については、ビジネス衣料からカジュアル衣料、服飾雑貨、紳士肌着、紳士靴など一同に集約した新たなショップとして、イオン九州で初めて展開いたしました。
・商品面では、九州の旬のおいしい商品の開発・品揃え強化に取り組みました。宮崎県では「都農ワイナリー」「綾ワイナリー」「都城ワイナリー」「五ヶ瀬ワイナリー」のご協力のもと、ワイナリーの解禁日を毎年10月の第3土曜日(平成27年は10月17日に実施)に設定し、九州の「イオン」「イオンスーパーセンター」74店舗において“みやざき地ワイン”を味わっていただくとともにワインに合う様々な食材を一堂に会して「“みやざき地ワイン” ヌーヴォーフェア2015」を開催いたしました。
・その他、県産フェアの新たな企画として、福岡・佐賀の県産フェアでは、ご当地の高校生がプロデュースしたレシピによるお弁当を販売するなど、GMSだからできる新商品の企画・販売を通じ、九州の魅力を広く伝える取り組みを進めてまいりました。
・これらの取り組みを更に加速させるべく、平成28年1月、イオン九州株式会社・マックスバリュ九州株式会社・株式会社レッドキャベツの3社は、九州独自の商品開発を行う新組織「九州商品開発部」を設立いたしました。今後もイオングループ企業が一体となりシナジーを最大限に活かし、地元商材の活用・発掘に継続的に取り組み、九州にしかない価値ある商品を創造してお客さまにお届けしてまいります。
・当期末の総合小売事業の店舗数は、GMS1店舗、スーパーセンター1店舗の閉店を含め、合計51店舗となりました。GMSの閉店については、スクラップ&ビルドによる閉店となります。
・以上の結果、売上高は、1,986億91百万円(前期比98.8%)となりました。
[ホームセンター(HC)事業]
・HC事業では、鮮度の良い花苗・野菜苗を店舗へお届けすることを目的に、生産地や市場から店舗へ直送する取り組みを拡大するとともに、園芸シーズン期にはガーデニングニーズの高い店舗にて、希少性の高い花苗・野菜苗や陶器鉢を品揃えし、多様化するお客さまのニーズにお応えできるよう努めてまいりました。
・また、お客さまのより良い暮らしをサポートするため、DIYやガーデニングに関して適切なアドバイスが行える専門スタッフの育成に努め、初めてのお客さまでも簡単に行えるDIYや寄せ植え教室など、専門スタッフを講師にした様々な教室・実演販売を各店舗で実施いたしました。庭園デザイナー石原和幸氏ほか有名ガーデナー講師による寄せ植えイベントも各地で開催し、多くのお客さまにご参加いただきました。
・そのほか、レディース作業衣料・有名ブランドの安全靴導入やシニアグラスの品揃えを充実させるなど、女性向け、シニア向けの品揃えを拡大してまいりました。
・今後も引き続き、地域のお客さまの暮らしに密着した商品・サービスをタイムリーにご提供することができるよう努めてまいります。
・当期末のHC事業の店舗数は、2店舗を閉店し38店舗となりました。
・以上の結果、売上高は、205億4百万円(前期比95.8%)となりました。
[その他の事業]
・ワイドマート ドラッグ&フード(D&F)では、地域特性に合わせて即食、簡便性の高い商品の品揃えを拡大するなど、よりお客さまに便利な店舗を追求しており、客数既存比は104.7%と伸長しております。
・サイクル事業においては、ファミリー対応から専門性の高いスポーツバイク等、地域特性に合わせた品揃えに努めると共に、リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ株式会社他2社と福岡市との共同事業である「シーサイドバイク」の取り組みを開始いたしました(平成27年8月)。同事業のコミュニティサイクル拠点としてイオンバイク吉塚店・那の川店・笹丘店の3店舗にレンタサイクルを設置し、自転車の貸出・返却ステーションのサービスを実施しております。また「交通事故をなくす福岡県県民運動本部(福岡県、福岡県警察、関係団体など)中央警察署」が主催する「ハートフルサイクルフェスタ2015 in 警固公園」で自転車の模範走行を実演し、自転車マナーの向上に努めました。
・当期末のその他事業の店舗数は、ワイドマート10店舗、イオンバイク16店舗、合計26店舗となりました。
・以上の結果、売上高は、41億20百万円(前期比107.5%)となりました。
<ダイバーシティ経営推進の取り組み>・当社は、平成28年2月17日、特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパンの主宰する「イクボス企業同盟」に加盟いたしました。 「イクボス」とは特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパンが提唱・推進している人物像のことで、職場でともに働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(男女の経営者や管理職)を指します。「イクボス企業方針」に基づき、多様性を認め経営に活かす「イクボス」の育成を通じて、ワークライフバランスのとれた働きやすい企業となることを目指してまいります。
(2)環境保全・社会貢献活動の取り組み
[環境保全活動]
・当社は、株式会社日本政策投資銀行の「DBJ環境格付」において、小売業としては初めて3年連続で「環境への配慮に対する取り組みが特に先進的」という最高ランクの評価をいただきました。これは、九州地域全体にて環境配慮型商品の販売や廃棄物削減および再資源化、CO2削減に向けた植樹活動やレジ袋無料配布中止、環境取り組みを通じた地域社会貢献活動を積極的に行っていることが評価されたものです。
・平成28年2月期「かごしま温室効果ガス排出抑制事業者表彰」において、優秀賞を受賞しました。同賞は温室効果ガスの排出抑制などにおいて、模範的な取り組みを進める事業者を顕彰するもので、鹿児島県内のイオン3店舗では、環境に配慮した店舗づくりやエネルギー管理システムの導入、従業員の環境意識向上などの取り組みにより、平成23年2月期に比べCO2排出量を24%削減いたしました。
・店舗の従業員がコーディネーターとなり、店舗近隣の子ども達の環境活動を支援するイオンチアーズクラブ活動においては、平成28年2月期は「植物」をテーマに植物園の見学や植物の生育観察等、様々な環境学習を実施しました。平成28年2月期のチアーズクラブ活動実施店舗はGMS42店舗、会員数は約590名(平成28年2月現在)となりました。
・平成28年2月20日、イオンタウン姶良(鹿児島県姶良市)おいて「イオン ふるさとの森づくり」植樹祭を実施し、地域のお客さま約800名にご参加いただき、約6,000本の樹木の苗木を植樹いたしました。また、平成27年11月21日には、公益財団法人イオン環境財団と宮崎県綾町との協働により、3ヶ年計画の最終年となる「綾町イオンの森」植樹を実施し、地域のお客さま約700名にご参加いただき約5,000本の植樹活動を実施しました。
[社会貢献活動]
・毎月11日を「イオン・デー」とし、地域のボランティア団体等への支援として、各団体のボックスへ投函していただいたレシート金額の1%を還元する「イオン 幸せの黄色いレシートキャンペーン」や、店舗及び本社周辺の清掃活動を継続実施しております。「イオン 幸せの黄色いレシートキャンペーン」においては、平成28年2月期に投函していただいたレシート合計金額は約25億57百万円となり、その1%に当たる物品を1,067団体に還元させていただきます。
・東日本大震災からの復興への想いを込め、被災地の方々とイオンピープルの心と心をつなぐ取り組み「イオン心をつなぐプロジェクト」のボランティア活動(岩手県陸前高田市、福島県南相馬市)に当社からも従業員49名が参加いたしました。また当社の労使協働の活動として「まごころサンタ ボランティア企画」を実施し、従業員による復興支援グッズ購入の収益金を平成27年12月に認定NPO法人遠野まごころネットに贈呈するともに、従業員20名がボランティアサンタとして釜石市を訪問し、子どもたちにプレゼントを届けました。
・地域の環境保全活動や文化振興に役立てていただくため、ご利用金額の一部を寄付する機能が付加された「ご当地WAON」を発行しており、平成28年2月期の寄付金額は35百万円、平成24年2月期からの累計では1億円を超える規模となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ2億21百万円(6.6%)増加し、当事業年度末には35億98百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>当事業年度における営業活動による資金の増加は6億45百万円であり、前事業年度に比べ61億66百万円(△90.5%)減少しました。これは主に、預り金等が減少したことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>当事業年度における投資活動による資金の減少は67億59百万円であり、前事業年度に比べ2億21百万円(3.4%)増加しました。これは主に、新店及び既存店の活性化への投資によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>当事業年度における財務活動による資金の増加は63億35百万円であり、前事業年度に比べ74億10百万円増加しました。これは主に、短期借入金の増加によるものです。