有価証券報告書-第56期(平成30年9月1日-令和1年8月31日)

【提出】
2019/11/28 16:21
【資料】
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【項目】
137項目

対処すべき課題

次期(2020年8月期)の見通しにつきましては、国内では消費税増税による個人消費への悪影響懸念や人材不足問題の深刻化に加え、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動によるリスク要因もあり、景気動向の先行きは依然として不透明な状況が続くと思われます。また、AI、IoT化といったテクノロジーの進展が加速するなか、人口動態や雇用環境の変化に伴う地域や所得の二極化に加え、ライフスタイルの変化等を背景に価値観や消費動向の多様化が一層進行するものと思われます。
このような中、当社は、2020年に創業100周年を迎えることから、「想いをつないで100年 ジュエリーだからできること」をテーマにステークホルダーの皆様に対して日頃の感謝をお伝えするとともに、記念イベントや消費者キャンペーン等を実施するなど、様々な周年事業を実施する予定です。
また、次の100年への歩みに繋げる1年と位置づけ、これまで培ってきた強みをベースに、次の100年においても世界の人々の願いを共に叶える象徴となることを目指し、新たな価値創造に取り組んでまいります。具体的には、「モノ」から「コト」へと価値が移り変わり、マーケティング3.0(※1)に基づく「共感」が重視される時代へと消費トレンドが進化するなか、当社のミッション(ジュエリーに愛と夢を込めて「ビジュー・ド・ファミーユ」)の象徴としてジュエリーの持つ精神価値を訴求することで、消費者の「共感」を生起し、需要の創造に繋げてまいります。
一方で、2019年8月期は、主力商品の“Wish upon a star”において、販売数は前期比108.6%となったものの、高額品の不振により単価が前期比89.9%と低下したことから、売上高が前期比2.3%減と落ち込むなど、成長に鈍化がみられました。その要因として、ブライダル市場を中心にダイヤモンドマーケットの主流であるラウンドブリリアントカットに対する競争優位性の訴求が不十分だったことに加え、当社のミッションを体現したUSP(※2)商品としての商販宣一体となった活動にブレが生じたことが挙げられます。その反省を踏まえ、次期は「強みの復元と進化」を基本戦略として全社員がミッションに向き合いながら、商販宣一体となり“Wish upon a star”の価値訴求を実行し、業績の拡大に反映してまいります。
これらの取り組みを強力に推し進め、当社の強みを進化させる基幹部門としてダイヤモンドの権威である外部有識者の参画も含め「ダイヤモンド研究所」を設立し、日本国内における最もダイヤモンドの造詣が深い会社となることによって、全社員の自信と誇りを醸成するとともに、100年後も価値のある最高品質のダイヤモンドを提供するための責任と信頼を確立してまいります。
その他、基幹ブランド「フェスタリア ビジュソフィア」のブランド育成にも注力し、今後の海外展開に向けたインターナショナルブランドの確立を目指します。具体的には、グローバル旗艦店である「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」を通じたプロモーション活動を展開し、銀座中央通りに旗艦店が存在する強みを活かすことで、ブランドエクイティ向上による効果を国内外の店舗に波及させてまいります。さらに、EC事業の立て直しに加え、O2Oビジネスやオムニチャネル化の推進による消費者ニーズへの対応強化、ウエディング関連事業者との提携やWEBマーケティング強化によるブライダル需要の獲得強化、独自性追求によるインバウンド事業の強化等、成長戦略に基づく新たな分野で確実な成果の創出を目指します。
継続施策としては、人口の地域間格差や人口減少に伴う総需要の縮小など中長期的な外部環境の変化を踏まえ、選択と集中を高度化し、発展性や改善見込みがない店舗や事業からの撤退を徹底して実行してまいります。その上で、本来注力すべき事業や店舗、人材に対して経営資源を集中して投入・再配分し、収益の底上げを図ってまいります。
また、人材力の強化にも注力し、優秀な人材の定着率向上を図るとともに、引き続き店舗・本社による業務標準化に向けた取り組みを進め、各業務でのさらなる生産性の向上に繋げてまいります。さらに、本社マネジメント機能を強化することで、既存ドメインの底上げやIT経営の活性化を目指すとともに、フランチャイズ事業やホールセール事業など新規チャネル・新規ドメインに対応したチェーンオペレーションの再構築にスピードを上げて取り組んでまいります。
海外事業については、グループ成長戦略の推進により拡大・多様化する事業領域や役割の重要性に対応すべく、フェスタリアホールディングスによるマネジメント体制を強化し、引き続きグループ内での人材交流を進めるなど、グループシナジーの最大化を目指してまいります。
台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)では、「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」を基軸としたリブランディングにより、インターナショナルブランドへの転換を進め、引き続きアジアマーケットの重要拠点として、認知度の向上を図るとともに、収益力の向上を目指してまいります。
ベトナム子会社D&Q JEWELLERY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)については、製造体制の見直しや受託生産等を検討し、生産合理化によるコスト競争力の強化を進めてまいります。加えて、更なる品質向上や工程安定化を確保することでSPA企業として最適な製造体制の確立を目指してまいります。