訂正有価証券報告書-第24期(2024/04/01-2025/03/31)
②戦略
ⅰ)シナリオ分析
当企業グループは、台風・豪雨の激甚化等の気候災害の拡大及び脱炭素化等の気候変動緩和に向けた全世界的な取り組みが経営とビジネス全体に重大な影響を与える重要課題であると認識しております。気候変動が当企業グループに与えるリスク及び機会とそのインパクトの把握、2030年時点の世界を想定した当企業グループの戦略のレジリエンスと追加施策の必要性を検討するため、シナリオ分析を実施いたしました。
その結果、消費者のライフスタイルの変化への追随、気候変動への緩和や適応への対応、炭素税や省エネルギーに関する法規制の強化への対応が焦点となる課題であることが判明いたしました。
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照のうえ、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した「1.5℃/2℃シナリオ」及び現在のペースで温室効果ガスが排出されることを想定した「4℃シナリオ」の2つの世界を想定しております。
気候変動関連の規制の強化や市場の変化・消費者の嗜好等の移行リスクが顕在化する「1.5℃/2℃シナリオ」にはIEA NZE 2050を、自然災害等の物理リスクが顕在化する「4℃シナリオ」にはIPCCによるSSP5-8.5とRCP8.5を選定いたしました。なお、1.5℃と2℃のシナリオにおいては、リスク及び機会の傾向は同じですが、1.5℃の方が2℃よりも気候変動への対応スピード及び活動レベルを強化していく必要性があると認識しております。
シナリオ分析の対象範囲は、2030年の世界を想定して、特に気候変動の影響を受ける可能性のある家電、リフォーム、物流事業に関連するグループ会社8社のサプライチェーン全体といたしました。
また、気候変動の影響は長い時間をかけて顕在化していく可能性があることを踏まえ、短期、中期、長期の時間軸を定義しております。
この2つのシナリオを踏まえ、TCFD提言に沿って、気候関連リスク及び機会を抽出いたしました。そのうえで、気候変動がもたらす移行リスク(政策・法規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、機会(製品及びサービス)を特定いたしました。
ⅱ)シナリオ分析結果
シナリオ分析の結果、1.5℃/2℃シナリオ、4℃シナリオいずれのケースにおいても、消費者のライフスタイルの変化への追随に失敗すること、気候変動への緩和や適応への対応の遅れによる評判の低下が当企業グループにとって重大なリスクであることがわかりました。一方で継続的なシナリオ分析を通して他社に先んじて1.5℃/2℃シナリオ及び4℃シナリオの世界のいずれにも迅速に対応できる事業戦略を構築し実行することにより、リスクを機会に転じさせることもできると考えております。
例えば、1.5℃/2℃シナリオにおいては、炭素税や省エネルギー化に関連する規制強化が想定されているため、当企業グループにとってはコスト増加につながります。2030年時点において、最も財務に影響を与えるリスクは炭素税の導入によるコスト増加であり、その影響金額は約17億円と予測しております。
しかしながら、脱炭素化に向けて省エネや建築物ZEB化の規制が進行し、温室効果ガス排出量の規制が強化され、それらに伴う社会意識の変化への対応を進めていくなか、エネルギー効率が高く温室効果ガス排出量の低い製品への需要が拡大することは、家電やリフォーム事業を展開する当企業グループにとっては機会でもあると考えております。
また、4℃シナリオにおいては、自然災害が激甚化した結果、被災による被害が発生するとともに、サプライチェーンの分断によって納品が遅延することに伴う販売機会の損失が見込まれます。しかしながら、平均気温が上昇する中で自社の室温や湿度を一定に保つために空調機器のエネルギー消費量が増加し、空調コストの増加が見込まれるなか、エネルギー効率の高い空調機器への需要が拡大することは当企業グループにとっては機会でもあると考えております。
このシナリオ分析を通じて気候関連リスクの影響を認識し対応策を検討することにより、当企業グループの事業上のリスクの低減と価値創出の機会を実現し、持続可能かつ安定的な収益を長期的に確保することを目指してまいります。
〈気候変動によるリスク及び機会〉
気候変動によるリスク及び機会の分析内容の詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.edion.co.jp/sustainability/environment/tcfd
ⅲ)リスクと機会を踏まえた取り組み・対応
当企業グループでは、シナリオ分析の結果を踏まえて、店舗設備や事業活動において脱炭素化の取り組みを強化しております。店舗等ではCO2排出量を削減する運営を目指し、太陽光発電設備の設置による再生可能エネルギーの活用や、LED照明などの省エネ設備の導入をすすめ、エネルギー管理システム(EMS)の設置、空調機器の省エネ部品の導入などによるエネルギー制御にも取り組んでおります。また、事業活動においても省エネ製品・サービスの提供を通じて、脱炭素化の重要性をお客様に理解していただく活動をはじめ、敷地内駐車場での電気自動車充電スタンドの設置や、敷地・屋上・壁面の緑化など、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に行っております。今後も継続して店舗等での省エネ効率などを研究しながら、環境に配慮した効率的な店舗体制の強化を図ってまいります。
1.5℃シナリオで想定される各法令の規制強化に伴う対応コストを低減することを目的の一つとして、設備の更新時期やテナントの入れ替え、店舗の新設に合わせて、自家消費型太陽光発電設備の導入、省エネ型照明・空調機器への切り替え、デマンドレスポンス(DR)契約などを進めております。なお、2023年に新設した岐阜正木店と交野星田店においては、持続可能な店舗運営の実現に向けて徹底的な省エネと創エネに取り組み、省エネ+創エネで年間の一次エネルギー消費量を正味25%以下まで抑えることに成功し、「Nearly ZEB(ニアリーゼブ)」の認証を取得しております。
また、家電直営店舗における省エネ・節電の取り組みとして、塔屋・外壁サインの照明消灯、店内空調機器の温度設定、空調フィルターの適切な清掃、店内照明の速やかな消灯、展示品の一部電源オフなどを実施し、電力やガス使用の削減によるCO2排出量の削減を進めており、Scope1及びScope2のCO2排出量の総量削減に寄与しております。
当企業グループは、売上高の8割以上を占める家電及びリフォーム事業において、省エネ性能の高い家電製品や家庭用太陽光発電設備、高断熱リフォームなどの販売を積極的に進めることを機会と捉えております。全国各店舗での家電製品アドバイザーやスマートマスター等の資格取得や研修等を通じて、省エネ分野に関する幅広い専門知識を有する従業員を増やすことを推進しております。この取り組みにより、Scope3カテゴリ11(販売した製品の使用)や、サプライチェーンを通じたScope3カテゴリ1(購入した製品・サービス)のCO2排出量削減に寄与いたします。このほか、物流サービス拠点の一部では、商品配達時に排出される発泡スチロールの減容と再資源化を行い、これにより運搬車両は通常の1/20の台数となり、Scope3カテゴリ4(輸送・配送)のCO2排出量を抑制しております。
4℃シナリオで想定される自然災害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減では、洪水や氾濫のリスクと集中豪雨による洪水の被害を想定し、いち早く対応できるように防災訓練を実施するなどリスクに対応できる体制を整えております。また、記録的な豪雨や集中豪雨における事業所及び店舗内の浸水や、浸水による家電製品等への被害が極力発生しないように、一部店舗においては排水ポンプの設置や屋上・駐車場等の防水工事を実施しております。今後も適切な計画を立て、修繕、操業、訓練、外部情報活用等による自然災害への備えを行ってまいります。
当企業グループでは、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の対象である使用済み家電製品の適正な処理をはじめ、発泡スチロールなどの廃棄物の分別や再資源化に取り組んでおります。子会社の㈱イー・アール・ジャパンでは、グループ各社で回収した使用済み小型家電のリサイクルやパソコンなどのリユースを事業としており、持続可能な循環型社会の実現に貢献することは企業の社会的責任であると認識しております。また、当企業グループでは、15年以上前から植樹などの森林整備活動に参加し、自然環境の保全にも積極的に取り組んでおります。
ⅰ)シナリオ分析
当企業グループは、台風・豪雨の激甚化等の気候災害の拡大及び脱炭素化等の気候変動緩和に向けた全世界的な取り組みが経営とビジネス全体に重大な影響を与える重要課題であると認識しております。気候変動が当企業グループに与えるリスク及び機会とそのインパクトの把握、2030年時点の世界を想定した当企業グループの戦略のレジリエンスと追加施策の必要性を検討するため、シナリオ分析を実施いたしました。
その結果、消費者のライフスタイルの変化への追随、気候変動への緩和や適応への対応、炭素税や省エネルギーに関する法規制の強化への対応が焦点となる課題であることが判明いたしました。
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照のうえ、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した「1.5℃/2℃シナリオ」及び現在のペースで温室効果ガスが排出されることを想定した「4℃シナリオ」の2つの世界を想定しております。
気候変動関連の規制の強化や市場の変化・消費者の嗜好等の移行リスクが顕在化する「1.5℃/2℃シナリオ」にはIEA NZE 2050を、自然災害等の物理リスクが顕在化する「4℃シナリオ」にはIPCCによるSSP5-8.5とRCP8.5を選定いたしました。なお、1.5℃と2℃のシナリオにおいては、リスク及び機会の傾向は同じですが、1.5℃の方が2℃よりも気候変動への対応スピード及び活動レベルを強化していく必要性があると認識しております。
シナリオ分析の対象範囲は、2030年の世界を想定して、特に気候変動の影響を受ける可能性のある家電、リフォーム、物流事業に関連するグループ会社8社のサプライチェーン全体といたしました。
また、気候変動の影響は長い時間をかけて顕在化していく可能性があることを踏まえ、短期、中期、長期の時間軸を定義しております。
この2つのシナリオを踏まえ、TCFD提言に沿って、気候関連リスク及び機会を抽出いたしました。そのうえで、気候変動がもたらす移行リスク(政策・法規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、機会(製品及びサービス)を特定いたしました。
ⅱ)シナリオ分析結果
シナリオ分析の結果、1.5℃/2℃シナリオ、4℃シナリオいずれのケースにおいても、消費者のライフスタイルの変化への追随に失敗すること、気候変動への緩和や適応への対応の遅れによる評判の低下が当企業グループにとって重大なリスクであることがわかりました。一方で継続的なシナリオ分析を通して他社に先んじて1.5℃/2℃シナリオ及び4℃シナリオの世界のいずれにも迅速に対応できる事業戦略を構築し実行することにより、リスクを機会に転じさせることもできると考えております。
例えば、1.5℃/2℃シナリオにおいては、炭素税や省エネルギー化に関連する規制強化が想定されているため、当企業グループにとってはコスト増加につながります。2030年時点において、最も財務に影響を与えるリスクは炭素税の導入によるコスト増加であり、その影響金額は約17億円と予測しております。
しかしながら、脱炭素化に向けて省エネや建築物ZEB化の規制が進行し、温室効果ガス排出量の規制が強化され、それらに伴う社会意識の変化への対応を進めていくなか、エネルギー効率が高く温室効果ガス排出量の低い製品への需要が拡大することは、家電やリフォーム事業を展開する当企業グループにとっては機会でもあると考えております。
また、4℃シナリオにおいては、自然災害が激甚化した結果、被災による被害が発生するとともに、サプライチェーンの分断によって納品が遅延することに伴う販売機会の損失が見込まれます。しかしながら、平均気温が上昇する中で自社の室温や湿度を一定に保つために空調機器のエネルギー消費量が増加し、空調コストの増加が見込まれるなか、エネルギー効率の高い空調機器への需要が拡大することは当企業グループにとっては機会でもあると考えております。
このシナリオ分析を通じて気候関連リスクの影響を認識し対応策を検討することにより、当企業グループの事業上のリスクの低減と価値創出の機会を実現し、持続可能かつ安定的な収益を長期的に確保することを目指してまいります。
〈気候変動によるリスク及び機会〉
| 分類 | リスク及び機会の内容と当企業グループへの影響(一例) | ||
| リスク | 移行リスク (主に1.5/2℃シナリオ) | ・炭素税導入によるコスト増加 ・各法令の規制強化による対応コスト増加 ・市場ニーズの変化対応遅れ・失敗による売上減少 ・対応不十分による評判低下 | |
| 物理リスク (主に4℃シナリオ) | 急性 | ・台風や洪水などの異常気象の増加による営業休止・配達不能による売上減少 | |
| 慢性 | ・降水パターンの変化や平均気温の上昇による設備の入れ替え、電力コストの増加 | ||
| 機会 | 製品及びサービス (主に1.5℃/2℃シナリオ) | ・各法令の規制強化による低炭素製品・サービスの需要増加 | |
| 製品及びサービス (主に4℃シナリオ) | ・平均気温上昇に伴う空調コスト増加による高効率空調機器の需要拡大 | ||
気候変動によるリスク及び機会の分析内容の詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.edion.co.jp/sustainability/environment/tcfd
ⅲ)リスクと機会を踏まえた取り組み・対応
当企業グループでは、シナリオ分析の結果を踏まえて、店舗設備や事業活動において脱炭素化の取り組みを強化しております。店舗等ではCO2排出量を削減する運営を目指し、太陽光発電設備の設置による再生可能エネルギーの活用や、LED照明などの省エネ設備の導入をすすめ、エネルギー管理システム(EMS)の設置、空調機器の省エネ部品の導入などによるエネルギー制御にも取り組んでおります。また、事業活動においても省エネ製品・サービスの提供を通じて、脱炭素化の重要性をお客様に理解していただく活動をはじめ、敷地内駐車場での電気自動車充電スタンドの設置や、敷地・屋上・壁面の緑化など、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に行っております。今後も継続して店舗等での省エネ効率などを研究しながら、環境に配慮した効率的な店舗体制の強化を図ってまいります。
1.5℃シナリオで想定される各法令の規制強化に伴う対応コストを低減することを目的の一つとして、設備の更新時期やテナントの入れ替え、店舗の新設に合わせて、自家消費型太陽光発電設備の導入、省エネ型照明・空調機器への切り替え、デマンドレスポンス(DR)契約などを進めております。なお、2023年に新設した岐阜正木店と交野星田店においては、持続可能な店舗運営の実現に向けて徹底的な省エネと創エネに取り組み、省エネ+創エネで年間の一次エネルギー消費量を正味25%以下まで抑えることに成功し、「Nearly ZEB(ニアリーゼブ)」の認証を取得しております。
また、家電直営店舗における省エネ・節電の取り組みとして、塔屋・外壁サインの照明消灯、店内空調機器の温度設定、空調フィルターの適切な清掃、店内照明の速やかな消灯、展示品の一部電源オフなどを実施し、電力やガス使用の削減によるCO2排出量の削減を進めており、Scope1及びScope2のCO2排出量の総量削減に寄与しております。
当企業グループは、売上高の8割以上を占める家電及びリフォーム事業において、省エネ性能の高い家電製品や家庭用太陽光発電設備、高断熱リフォームなどの販売を積極的に進めることを機会と捉えております。全国各店舗での家電製品アドバイザーやスマートマスター等の資格取得や研修等を通じて、省エネ分野に関する幅広い専門知識を有する従業員を増やすことを推進しております。この取り組みにより、Scope3カテゴリ11(販売した製品の使用)や、サプライチェーンを通じたScope3カテゴリ1(購入した製品・サービス)のCO2排出量削減に寄与いたします。このほか、物流サービス拠点の一部では、商品配達時に排出される発泡スチロールの減容と再資源化を行い、これにより運搬車両は通常の1/20の台数となり、Scope3カテゴリ4(輸送・配送)のCO2排出量を抑制しております。
4℃シナリオで想定される自然災害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減では、洪水や氾濫のリスクと集中豪雨による洪水の被害を想定し、いち早く対応できるように防災訓練を実施するなどリスクに対応できる体制を整えております。また、記録的な豪雨や集中豪雨における事業所及び店舗内の浸水や、浸水による家電製品等への被害が極力発生しないように、一部店舗においては排水ポンプの設置や屋上・駐車場等の防水工事を実施しております。今後も適切な計画を立て、修繕、操業、訓練、外部情報活用等による自然災害への備えを行ってまいります。
当企業グループでは、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の対象である使用済み家電製品の適正な処理をはじめ、発泡スチロールなどの廃棄物の分別や再資源化に取り組んでおります。子会社の㈱イー・アール・ジャパンでは、グループ各社で回収した使用済み小型家電のリサイクルやパソコンなどのリユースを事業としており、持続可能な循環型社会の実現に貢献することは企業の社会的責任であると認識しております。また、当企業グループでは、15年以上前から植樹などの森林整備活動に参加し、自然環境の保全にも積極的に取り組んでおります。