有価証券報告書-第108期(2023/04/01-2024/03/31)
②戦略
(ア)サステナビリティへの取り組み
琉球銀行は、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」の経営理念のもと、地域社会の皆さまとともに、地元発展のため企業活動を行っています。
当行の営業基盤である沖縄県は、四方を海に囲まれ、また豊かな森林やそこで生息する動植物など、多種多様な自然環境に恵まれ、観光業を中心に第三次産業を基盤とする経済圏を形成しています。
一方近年は、気候変動の影響を受け、沖縄県においても少なからず自然環境が破壊されています。
2021年、IPCCにおける気候変動の自然科学的根拠を担当する第1作業部会(WG1)が公表した第6次評価報告書では「人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させたことは疑う余地がない」と記載され、この気候変動は人為的な影響に基づくものだと断言されています。
また2023年3月にはIPCCによる第6次評価報告書統合報告書の政策決定者向け要約が公表され、「人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がない」、「継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、短期のうちに1.5℃に達する」との厳しい見通しが示されました。
私たち金融機関は、投融資を通じ様々な企業および個人の活動の原動力となっています。そこで、金融機関が温暖化抑制・廃棄物削減など環境に配慮した健全な投融資活動を行えば、環境保全に大きく貢献できる一方、配慮しなければ環境破壊を助長することになってしまうと考えます。
環境破壊は、観光業やサービス業などはもちろん、建設業、不動産業、製造業、農業、金融業などにも波及し様々な企業や人々に多大な影響を及ぼします。これは、貧困など沖縄県が抱える社会的な問題の悪化を助長する可能性があります。つまり、当地沖縄県においては、環境破壊は環境問題だけでなく社会的な問題に深刻に繋がっていくということです。
そこで私たち琉球銀行は、“地球環境の負荷軽減・再生”、“地域社会の発展、県民のより豊かな生活への貢献”を目標とし、地元の様々な企業や人々と協力しながら、環境と社会という密接に関連する2つの課題解決に果敢に挑戦してまいります。
(イ)重要課題(マテリアリティ)と関係整理
“地球環境の負荷軽減・再生”と“地域社会の発展、県民のより豊かな生活”は相互に依存するものと想定しています。自然環境の破壊は沖縄県の主力産業に多大な影響を及ぼし、結果として貧困・低賃金などを助長する可能性があります。一方、生産性が低ければ十分な環境保全は望めないと考えられます。
琉球銀行は、環境・社会への影響を十分踏まえた投融資活動を行います。また、これまでにない金融サービスを提供し、地域社会の仕事をこなす力を底上げし、様々な社会的課題の解決を目指します。
実現に向けての要は、人材であり、高度なガバナンス機能です。誰もが平等に安心して働くことができる環境、持続可能な資源利用、積極的な地域社会との関わり、安全な金融商品の提供やリスクマネジメントの徹底が不可欠と考えます。

(ウ)気候変動に関する当行の重要な移行リスク、物理的リスク、機会の認識
(エ)TCFD提言の定義を踏まえた貸出金ポートフォリオに占める炭素関連資産の割合
(オ)移行リスクの重要セクター選定
脱炭素社会への移行により、お客さまのビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
当行では移行リスクを対象としたシナリオ分析を実施し、2050年までの影響を評価しました。沖縄県は亜熱帯海洋性気候の下、美しいサンゴ礁が発達した青い海と多様な野生生物が生息・生育する緑豊かな160の島々から構成され、国内有数の観光リゾート地であり観光産業を基幹産業としていることも考慮しました。
上記内容を踏まえ定性的な分析を行った結果、最も移行リスクの高いセクターとして「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクターを特定しました。
(カ)重要セクターごとのシナリオ策定、気候変動リスク推移の定量評価
移行リスク
a. 「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」
(a)4つのシナリオを複合的に考慮した観光客減少シナリオ
Ⅰ.原油価格高騰による航空運賃の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅱ.航空運賃以外の飲食・宿泊代金等の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅲ.海外政府による渡航規制や海外旅行に対する世界的なマインドの低下。
Ⅳ.サンゴの白化現象の発生頻度の増加に伴うダイビング等を目的とした観光客の減少。
(b)突発的に発生する与信関係費用
Ⅰ.地球温暖化に伴い、新型コロナウィルスのような、疫病・感染症等の発生頻度が増加。
b. 「電気・ガス・水道」
・炭素税導入によるコスト増、エネルギー転換による大幅なビジネスモデルの転換や設備投資が急務であり、移行リスクが大きいと考えられます。
(キ)気候変動リスクの定量評価
物理的リスク
気候変動に伴う異常気象の増加により、当行のお客さまのビジネスにおよぶリスクや当行所有の各営業店設備に対するリスクが想定されます。
沖縄県は北西太平洋や南シナ海で発生した台風が接近するため風水被害が多い土地です。また、河川は他都道府県と比較し、流路延長が短く降雨は海へ直接流出するという特徴があるほか、流域面積が小さく、貯水能力が小さいことから洪水リスクが存在します。
よって、台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行各営業店設備等への被害額を分析の対象としました。
ハザードマップ情報、治水経済調査マニュアルのデータや2℃シナリオ・4℃シナリオに基づく将来的な台風による被災状況に関する試算等を踏まえ、2050年までの物理的リスクの分析を行いました。
(ク)気候変動リスクの定性評価
物理的リスク
沖縄県は、美しいサンゴ礁に囲まれた160の島々から構成されており、ダイビング等を目的とした観光客も多く来県します。
地球温暖化に伴う海水温の上昇によりサンゴの白化現象の発生頻度が増加した場合、それに伴う観光客の減少が懸念され、投融資先のビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
2023年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.24℃/100年となっており、サンゴの白化が起こった年には平年以上に海水温が高くなっております。
サンゴの白化現象の発生頻度が増加することによる当行への影響額は、移行リスクに伴う与信関係費用の増加分:最大約117億円のうち約19億と試算しました。
(ア)サステナビリティへの取り組み
琉球銀行は、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」の経営理念のもと、地域社会の皆さまとともに、地元発展のため企業活動を行っています。
当行の営業基盤である沖縄県は、四方を海に囲まれ、また豊かな森林やそこで生息する動植物など、多種多様な自然環境に恵まれ、観光業を中心に第三次産業を基盤とする経済圏を形成しています。
一方近年は、気候変動の影響を受け、沖縄県においても少なからず自然環境が破壊されています。
2021年、IPCCにおける気候変動の自然科学的根拠を担当する第1作業部会(WG1)が公表した第6次評価報告書では「人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させたことは疑う余地がない」と記載され、この気候変動は人為的な影響に基づくものだと断言されています。
また2023年3月にはIPCCによる第6次評価報告書統合報告書の政策決定者向け要約が公表され、「人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がない」、「継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、短期のうちに1.5℃に達する」との厳しい見通しが示されました。
私たち金融機関は、投融資を通じ様々な企業および個人の活動の原動力となっています。そこで、金融機関が温暖化抑制・廃棄物削減など環境に配慮した健全な投融資活動を行えば、環境保全に大きく貢献できる一方、配慮しなければ環境破壊を助長することになってしまうと考えます。
環境破壊は、観光業やサービス業などはもちろん、建設業、不動産業、製造業、農業、金融業などにも波及し様々な企業や人々に多大な影響を及ぼします。これは、貧困など沖縄県が抱える社会的な問題の悪化を助長する可能性があります。つまり、当地沖縄県においては、環境破壊は環境問題だけでなく社会的な問題に深刻に繋がっていくということです。
そこで私たち琉球銀行は、“地球環境の負荷軽減・再生”、“地域社会の発展、県民のより豊かな生活への貢献”を目標とし、地元の様々な企業や人々と協力しながら、環境と社会という密接に関連する2つの課題解決に果敢に挑戦してまいります。
(イ)重要課題(マテリアリティ)と関係整理
“地球環境の負荷軽減・再生”と“地域社会の発展、県民のより豊かな生活”は相互に依存するものと想定しています。自然環境の破壊は沖縄県の主力産業に多大な影響を及ぼし、結果として貧困・低賃金などを助長する可能性があります。一方、生産性が低ければ十分な環境保全は望めないと考えられます。
琉球銀行は、環境・社会への影響を十分踏まえた投融資活動を行います。また、これまでにない金融サービスを提供し、地域社会の仕事をこなす力を底上げし、様々な社会的課題の解決を目指します。
実現に向けての要は、人材であり、高度なガバナンス機能です。誰もが平等に安心して働くことができる環境、持続可能な資源利用、積極的な地域社会との関わり、安全な金融商品の提供やリスクマネジメントの徹底が不可欠と考えます。

(ウ)気候変動に関する当行の重要な移行リスク、物理的リスク、機会の認識
| リスク・機会の種類 | 対応方針 | ||
| 移行リスク | 政策・法律 | ●GHG排出規制の強化等による、建築基準等に変更が生じるリスク。(投融資先の既存資産減損による、当行担保物件の毀損) ●炭素税導入のリスク。(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) | ●沖縄県の二酸化炭素は民生部門(民生家庭部門、民生業務部門)が47%と最大の排出セクターであり、家庭から排出される二酸化炭素を抑制することで、ある一定の排出量抑制が期待できる。また当行の融資ポートフォリオは住宅ローンおよびアパートローン等のレジデンス関連融資が6割を占めているため、レジデンス関連融資先のGHG排出量を削減することで社会全体にインパクトが与えられると認識している。 ●県内のGHG排出量削減の取り組みとして県内でのZEH住宅等の普及を目的としたZEH住宅等建築に携わる事業者の連携体制(ZEP Ryukyu)を構築。ZEH・省エネ住宅建築に係るノウハウの向上を図るとともに、その他各種支援をおこなっている。(エンゲージメントの強化) |
| 市場 | ●観光客の環境意識の高まりにより、環境に配慮しない観光地や宿泊施設への需要低下のリスク。(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) ●原油価格高騰、感染症等の発生頻度増加による観光客が減少するリスク。(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) | ||
| 評判 | ●沖縄の自然環境を保護するための取り組みが不十分な場合、地域のブランドイメージが低下し観光客が減少するリスク。(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) | ||
| 技術 | ●脱炭素化に向けた技術開発の遅れによる、既存技術陳腐化のリスク。(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) | ||
| 物理的リスク | 急性 | ●台風の大型化による投融資先および当行の営業拠点の毀損による事業継続に支障をきたすリスク。 | ●投融資先および当行に及ぼす影響額の算定。 ●投融資先へ物理的リスクの共有および啓発。 |
| 慢性 | ●海面上昇による海岸付近の設備や工場等の水没リスク。(投融資先の既存資産減損による、当行担保物件の毀損) | ●投融資先へ物理的リスクの共有および啓発。 | |
| 機会 | 資源効率 | ●省エネ設備の導入によるエネルギー使用の高効率化。 | ●新店舗のZEB化。 |
| エネルギー源 | ●エネルギー源のシフトによる調達コストの低下。 | ●営業車両のEV化の検討。 ●営業店および社員寮への太陽光設備導入。 | |
| 製品・サービス | ●環境に配慮した金融商品・サービス開発による投融資先支援・新市場の創出。 | ●SDGs応援サービスの展開。 ●ESG関連融資制度、利子補給制度の展開。 | |
| 市場 | ●環境に配慮した金融商品・サービス開発による投融資先支援・新市場の創出。 ●環境保全プロジェクトへの投資などの機会の拡大。 | ●SDGs応援サービスの展開。 ●ESG関連融資制度、利子補給制度の展開。 ●BORファンドによる出資。 | |
| 強靭性 | ●台風等の風災対策のためのインフラ投資等によるファイナンス機会の拡大。 | ●ESG関連融資制度、利子補給制度の展開。 | |
(エ)TCFD提言の定義を踏まえた貸出金ポートフォリオに占める炭素関連資産の割合
| 対象セクター | 2024年3月期 |
| エネルギー、運輸、素材・建築物、農業・食料・林産物 | 15.1% |
(オ)移行リスクの重要セクター選定
脱炭素社会への移行により、お客さまのビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
当行では移行リスクを対象としたシナリオ分析を実施し、2050年までの影響を評価しました。沖縄県は亜熱帯海洋性気候の下、美しいサンゴ礁が発達した青い海と多様な野生生物が生息・生育する緑豊かな160の島々から構成され、国内有数の観光リゾート地であり観光産業を基幹産業としていることも考慮しました。
上記内容を踏まえ定性的な分析を行った結果、最も移行リスクの高いセクターとして「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクターを特定しました。
(カ)重要セクターごとのシナリオ策定、気候変動リスク推移の定量評価
移行リスク
a. 「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」
(a)4つのシナリオを複合的に考慮した観光客減少シナリオ
Ⅰ.原油価格高騰による航空運賃の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅱ.航空運賃以外の飲食・宿泊代金等の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅲ.海外政府による渡航規制や海外旅行に対する世界的なマインドの低下。
Ⅳ.サンゴの白化現象の発生頻度の増加に伴うダイビング等を目的とした観光客の減少。
(b)突発的に発生する与信関係費用
Ⅰ.地球温暖化に伴い、新型コロナウィルスのような、疫病・感染症等の発生頻度が増加。
b. 「電気・ガス・水道」
・炭素税導入によるコスト増、エネルギー転換による大幅なビジネスモデルの転換や設備投資が急務であり、移行リスクが大きいと考えられます。
| シナリオ | IEAのネットゼロ排出シナリオ |
| データ | 当行の与信コストデータ、マクロ経済指標、IEAの「ネットゼロ排出シナリオ」情報 |
| 分析対象 | 「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクター |
| 分析期間 | 2050年まで |
| 分析結果 | 与信関係費用の増加分:最大で約117 億円 また、新型コロナウィルスのような感染症が発生・拡大した場合には、突発的な与信関係費用として、約 8 億円増加する見通しです。 |
(キ)気候変動リスクの定量評価
物理的リスク
気候変動に伴う異常気象の増加により、当行のお客さまのビジネスにおよぶリスクや当行所有の各営業店設備に対するリスクが想定されます。
沖縄県は北西太平洋や南シナ海で発生した台風が接近するため風水被害が多い土地です。また、河川は他都道府県と比較し、流路延長が短く降雨は海へ直接流出するという特徴があるほか、流域面積が小さく、貯水能力が小さいことから洪水リスクが存在します。
よって、台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行各営業店設備等への被害額を分析の対象としました。
ハザードマップ情報、治水経済調査マニュアルのデータや2℃シナリオ・4℃シナリオに基づく将来的な台風による被災状況に関する試算等を踏まえ、2050年までの物理的リスクの分析を行いました。
| シナリオ | IPCCのRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)およびRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ) |
| データ | 当行担保物件および台風被害情報、ハザードマップ、治水経済調査マニュアル 他 |
| 分析対象 | 台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行営業店設備等への被害額 |
| 分析期間 | 2050年まで |
| 分析結果 | 与信関係費用の増加分:約5億円 支店における設備等への被害額:約7億円~約18億円 |
(ク)気候変動リスクの定性評価
物理的リスク
沖縄県は、美しいサンゴ礁に囲まれた160の島々から構成されており、ダイビング等を目的とした観光客も多く来県します。
地球温暖化に伴う海水温の上昇によりサンゴの白化現象の発生頻度が増加した場合、それに伴う観光客の減少が懸念され、投融資先のビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
2023年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.24℃/100年となっており、サンゴの白化が起こった年には平年以上に海水温が高くなっております。
サンゴの白化現象の発生頻度が増加することによる当行への影響額は、移行リスクに伴う与信関係費用の増加分:最大約117億円のうち約19億と試算しました。