訂正有価証券報告書-第109期(2024/04/01-2025/03/31)
②戦略
(ア)重要課題(マテリアリティ)と関係整理
“地球環境の負荷軽減・再生”と“地域社会の発展、県民のより豊かな生活”は相互に依存するものと想定しています。自然環境の破壊は沖縄県の主力産業に多大な影響を及ぼし、結果として貧困・低賃金などを助長する可能性があります。一方、生産性が低ければ十分な環境保全は望めないと考えられます。
琉球銀行は、環境・社会への影響を十分踏まえ投融資活動を行います。また、これまでにない金融サービスを提供し、地域社会の仕事をこなす力を底上げし、様々な社会的課題の解決を目指します。
実現に向けての要は、人材であり、高度なガバナンス機能です。誰もが平等に安心して働くことができる環境、持続可能な資源利用、積極的な地域社会との関わり、安全な金融商品の提供やリスクマネジメントの徹底が不可欠と考えます。

(イ)気候変動に関する当行の重要な移行リスク、物理的リスク、機会の認識
(ウ)TCFD提言の定義を踏まえた貸出金ポートフォリオに占める炭素関連資産の割合
(エ)移行リスクの重要セクター選定
脱炭素社会への移行により、当行のお客さまのビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
当行では移行リスクを対象としたシナリオ分析を実施し、2050年までの影響を評価しました。沖縄県は亜熱帯海洋性気候の下、美しいサンゴ礁が発達した青い海と多様な野生生物が生息・生育する緑豊かな160の島々から構成され、国内有数の観光リゾート地であり観光産業を基幹産業としていることも考慮しました。
上記内容を踏まえ定性的な分析を行った結果、最も移行リスクの高いセクターとして「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクターを特定しました。
(オ)重要セクターごとのシナリオ策定、気候変動リスク推移の定量評価
移行リスク
a.「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターについて以下のシナリオを想定して評価しました。
(a)4つのシナリオを複合的に考慮した観光客減少シナリオ
Ⅰ.原油価格高騰による航空運賃の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅱ. 航空運賃以外の飲食・宿泊代金等の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅲ. 海外政府による渡航規制や海外旅行に対する世界的なマインドの低下。
Ⅳ. サンゴの白化現象の発生頻度の増加に伴うダイビング等を目的とした観光客の減少。
(b)突発的に発生する与信関係費用
Ⅰ.地球温暖化に伴い、新型コロナウィルスのような、疫病・感染症等の発生頻度が増加。
b. 「電気・ガス・水道」セクターについては以下のシナリオを想定しました。
・炭素税導入によるコスト増、エネルギー転換による大幅なビジネスモデルの転換や設備投資が急務であり、移行リスクが大きいと考えられます。
(カ)気候変動リスクの定量評価
物理的リスク
気候変動に伴う異常気象の増加により、当行のお客さまのビジネスにおよぶリスクや当行所有の各営業店設備に対するリスクが想定されます。
沖縄県は北西太平洋や南シナ海で発生した台風が接近するため風水被害が多い土地です。また、河川は他都道府県と比較し、流路延長が短く降雨は海へ直接流出するという特徴があるほか、流域面積が小さく、貯水能力が小さいことから洪水リスクが存在します。
よって、台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行各営業店における設備等への被害額を分析の対象としました。
ハザードマップ情報、治水経済調査マニュアルのデータや2℃シナリオ・4℃シナリオに基づく将来的な台風による被災状況に関する試算等を踏まえ、2050年までの物理的リスクの分析を行いました。
(キ)気候変動リスクの定性評価
参考:移行リスク
サンゴの白化減少の発生頻度の増加に伴う影響の定量評価
沖縄県は、美しいサンゴ礁に囲まれた160の島々から構成されており、ダイビング等を目的とした観光客も多く来県します。
地球温暖化に伴う海水温の上昇によりサンゴの白化現象の発生頻度が増加した場合、それに伴う観光客の減少が懸念され、投融資先のビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
下図の通り、2024年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.33℃/100年となっており、サンゴの白化が起こった年には平年以上に海水温が高くなっております。
サンゴの白化現象の発生頻度が増加することによる当行への影響額は、移行リスクに伴う与信関係費用の増加分:最大約110億円のうち約12億円と試算しました。

(ア)重要課題(マテリアリティ)と関係整理
“地球環境の負荷軽減・再生”と“地域社会の発展、県民のより豊かな生活”は相互に依存するものと想定しています。自然環境の破壊は沖縄県の主力産業に多大な影響を及ぼし、結果として貧困・低賃金などを助長する可能性があります。一方、生産性が低ければ十分な環境保全は望めないと考えられます。
琉球銀行は、環境・社会への影響を十分踏まえ投融資活動を行います。また、これまでにない金融サービスを提供し、地域社会の仕事をこなす力を底上げし、様々な社会的課題の解決を目指します。
実現に向けての要は、人材であり、高度なガバナンス機能です。誰もが平等に安心して働くことができる環境、持続可能な資源利用、積極的な地域社会との関わり、安全な金融商品の提供やリスクマネジメントの徹底が不可欠と考えます。

(イ)気候変動に関する当行の重要な移行リスク、物理的リスク、機会の認識
| リスク・機会の種類 | 対応方針 | ||
| 移行リスク | 政策・法律 | ・GHG排出規制の強化等による、建築基準等に変更が生じるリスク(投融資先の既存資産減損による、当行担保物件の毀損) ・炭素税導入等のリスク(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) | ・沖縄県の二酸化炭素は民生部門(民生家庭部門、民生業務部門)が52%と最大の排出セクターであり、家庭から排出される二酸化炭素を抑制することで、一定の排出量の抑制が期待できる ・また当行の融資ポートフォリオは住宅ローンおよびアパートローン等のレジデンス関連融資が約6割を占めているため、レジデンス関連融資先のGHG排出量を削減することで社会全体に一定のインパクトが与えられると認識している ・県内のGHG排出量削減の取り組みとして県内でのZEH住宅等の普及を目的としたZEH住宅等建築に携わる事業者の連携体制(ZEP Ryukyu)を構築。ZEH・省エネ住宅建築に係るノウハウの向上を図るとともに、その他各種支援をおこなっている(エンゲージメントの強化) |
| 市場 | ・観光客の環境意識の高まりにより、環境に配慮しない観光地や宿泊施設への需要低下のリスク(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) ・原油価格高騰、感染症等の発生頻度増加による観光客が減少するリスク(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) | ||
| 評判 | ・沖縄の自然環境を保護するための取り組みが不十分な場合、地域のブランドイメージが低下し観光客が減少するリスク(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) | ||
| 技術 | ・脱炭素化に向けた技術開発の遅れによる、既存技術陳腐化のリスク(投融資先の収益減少による、当行与信関連費用の増加) | ||
| 物理的リスク | 急性 | ・台風の大型化による投融資先および当行の営業拠点の毀損による事業継続に支障をきたすリスク | ・投融資先および当行に及ぼす影響額の算定 ・投融資先へ物理的リスクの共有および啓発 |
| 慢性 | ・海面上昇による海岸付近の設備や工場等の水没リスク(投融資先の既存資産減損による、当行担保物件の毀損) | ・投融資先へ物理的リスクの共有および啓発 | |
| 機会 | 資源効率 | ・省エネ設備の導入によるエネルギー使用の高効率化 | ・新店舗のZEB化 |
| エネルギー源 | ・エネルギー源のシフトによる調達コストの低下 | ・営業車両のEV車拡充の検討 ・営業店および社員寮への太陽光設備導入 | |
| 製品・サービス | ・環境に配慮した金融商品 ・サービス開発による投融資先支援・新市場の創出 | ・SDGs応援サービスの展開 ・ESG関連融資制度、利子補給制度の展開 | |
| 市場 | ・環境に配慮した金融商品 ・サービス開発による投融資先支援・新市場の創出 ・環境保全プロジェクトへの投資などの機会の拡大 | ・SDGs応援サービスの展開 ・ESG関連融資制度、利子補給制度の展開 ・BORベンチャーファンドによる出資 | |
| 強靭性 | ・台風等の風災対策のためのインフラ投資等によるファイナンス機会の拡大 | ・ESG関連融資制度、利子補給制度の展開 | |
(ウ)TCFD提言の定義を踏まえた貸出金ポートフォリオに占める炭素関連資産の割合
| 対象セクター | 2025年3月期 |
| エネルギー、運輸、素材・建築物、農業・食料・林産物 | 15.0% |
(エ)移行リスクの重要セクター選定
脱炭素社会への移行により、当行のお客さまのビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
当行では移行リスクを対象としたシナリオ分析を実施し、2050年までの影響を評価しました。沖縄県は亜熱帯海洋性気候の下、美しいサンゴ礁が発達した青い海と多様な野生生物が生息・生育する緑豊かな160の島々から構成され、国内有数の観光リゾート地であり観光産業を基幹産業としていることも考慮しました。
上記内容を踏まえ定性的な分析を行った結果、最も移行リスクの高いセクターとして「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクターを特定しました。
(オ)重要セクターごとのシナリオ策定、気候変動リスク推移の定量評価
移行リスク
a.「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターについて以下のシナリオを想定して評価しました。
(a)4つのシナリオを複合的に考慮した観光客減少シナリオ
Ⅰ.原油価格高騰による航空運賃の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅱ. 航空運賃以外の飲食・宿泊代金等の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅲ. 海外政府による渡航規制や海外旅行に対する世界的なマインドの低下。
Ⅳ. サンゴの白化現象の発生頻度の増加に伴うダイビング等を目的とした観光客の減少。
(b)突発的に発生する与信関係費用
Ⅰ.地球温暖化に伴い、新型コロナウィルスのような、疫病・感染症等の発生頻度が増加。
b. 「電気・ガス・水道」セクターについては以下のシナリオを想定しました。
・炭素税導入によるコスト増、エネルギー転換による大幅なビジネスモデルの転換や設備投資が急務であり、移行リスクが大きいと考えられます。
| シナリオ | IEAのネットゼロ排出シナリオ |
| データ | 当行の与信コストデータ、マクロ経済指標、IEAの「ネットゼロ排出シナリオ」情報 |
| 分析対象 | 「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクター |
| 分析期間 | 2050年まで |
| 分析結果 | 与信関係費用の増加分:最大で約110億円 また、新型コロナウィルスのような感染症が発生・拡大した場合には、突発的な与信関係費用として、約7億円増加する見通しです。 |
(カ)気候変動リスクの定量評価
物理的リスク
気候変動に伴う異常気象の増加により、当行のお客さまのビジネスにおよぶリスクや当行所有の各営業店設備に対するリスクが想定されます。
沖縄県は北西太平洋や南シナ海で発生した台風が接近するため風水被害が多い土地です。また、河川は他都道府県と比較し、流路延長が短く降雨は海へ直接流出するという特徴があるほか、流域面積が小さく、貯水能力が小さいことから洪水リスクが存在します。
よって、台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行各営業店における設備等への被害額を分析の対象としました。
ハザードマップ情報、治水経済調査マニュアルのデータや2℃シナリオ・4℃シナリオに基づく将来的な台風による被災状況に関する試算等を踏まえ、2050年までの物理的リスクの分析を行いました。
| シナリオ | IPCCのRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)およびRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ) |
| データ | 当行担保物件および台風被害情報、ハザードマップ、治水経済調査マニュアル 他 |
| 分析対象 | 台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行支店における設備等への被害額 |
| 分析期間 | 2050年まで |
| 分析結果 | 与信関係費用の増加分:約8億円 支店における設備等への被害額:約4億円~約10億円 |
(キ)気候変動リスクの定性評価
参考:移行リスク
サンゴの白化減少の発生頻度の増加に伴う影響の定量評価
沖縄県は、美しいサンゴ礁に囲まれた160の島々から構成されており、ダイビング等を目的とした観光客も多く来県します。
地球温暖化に伴う海水温の上昇によりサンゴの白化現象の発生頻度が増加した場合、それに伴う観光客の減少が懸念され、投融資先のビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
下図の通り、2024年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.33℃/100年となっており、サンゴの白化が起こった年には平年以上に海水温が高くなっております。
サンゴの白化現象の発生頻度が増加することによる当行への影響額は、移行リスクに伴う与信関係費用の増加分:最大約110億円のうち約12億円と試算しました。
