有価証券報告書-第17期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 15:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
153項目
(3)戦略
①気候変動に関する事項
<リスクと機会>当社グループはグループの資産構成、ビジネスモデル、及び今後想定される外部環境等の変化を踏まえ、気候関連の「リスク」と「機会」を以下の通り認識しております。
(リスク)
区分内容リスク区分時間軸(※)
物理的
リスク
当社グループの営業基盤である九州における豪雨・台風等の増加による、取引先被害深刻化信用リスク短期~長期
当社グループの営業基盤である九州における豪雨・台風等の増加による、子銀行店舗やデータセンター等の被害深刻化有形資産
リスク
短期~長期
移行
リスク
脱炭素社会への移行に伴い、対応リソースが限られる中小企業取引先を中心に財務や事業継続への悪影響が顕在化信用リスク中期~長期
石炭火力発電事業等、環境・社会に負の影響を及ぼす可能性がある事業への規制強化に伴う、同事業向け融資の価値毀損中期~長期
当社グループの気候変動への取組みがステークホルダーの期待と乖離することによる企業価値減少風評リスク短期~長期

※短期(0~3年)、中期(3~10年)、長期(10年超)
(機会)
区分内容
商品・
サービス
風水災等の増加に備え、取引先への保険等を活用したリスク低減スキーム、BCP策定・診断支援等のサービスの提供
環境課題解決に向けた取引先の事業を支援するサステナブルファイナンスの増加
GHG排出量測定・削減計画実行支援等のコンサルティングサービスの増加
Sustainable Scale Index(※)を起点とした対話により取引先のサステナビリティ経営を支援するサステナブルビジネスの実現

※当社子会社サステナブルスケールと九州大学が協業で開発した独自のSDGsスコアリングモデルサービス
<シナリオ分析・炭素関連資産>当社グループでは、気候関連リスクが当社グループに及ぼす影響を把握し、戦略のレジリエンスを確立するため、シナリオ分析を活用しております。
シナリオ分析結果を踏まえ、今後は取引先企業による気候変動への適応や脱炭素社会への移行に向け、対話(エンゲージメント)を強化することで事業機会の創出やリスクの低減に繋げてまいります。また、TCFD提言の改定を踏まえた新たな炭素関連資産の割合も算出しております。
シナリオ分析・炭素関連資産の詳細な情報については、当社ウェブサイト(https://www.fukuoka-fg.com/)に公表されている統合報告書2023年度版をご参照ください。
②人的資本に関する事項
当社グループでは、積極的な人的投資こそが企業価値向上の源泉との考えのもとで、事業戦略とリンクした人財戦略を展開しています。
人財戦略の柱は「事業戦略を実現する人財ポートフォリオの構築」と「従業員エンゲージメントの向上」です。そして、これらの土台となるのが、一人ひとりが最大限に能力を発揮するための「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」と心理的安全性が確保された「組織風土」です。
これらの好循環を創出し、当社グループが多様な個人が自律・自走する活力ある組織となることで、パフォーマンスを最大化させ、事業戦略を実現します。
事業戦略の実現、お客さまの満足により得られた収益は、更なる成長投資、人的投資へとつなげ、当社グループの持続的な成長を目指します。
「さまざまな経験・バックグラウンドを持つ人財の“知・経験”の多様性を尊重し融合させるとともに、組織の成長につなげていく」、これが当社グループのDE&I推進の取組方針です。
地域金融機関として、多様化・高度化するお客さまのニーズに応え、地域社会とともに持続的に成長していくために、DE&Iを全ての経営戦略の根幹をなす考え方と捉え、当社グループの人財一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境整備を一層進めてまいります。
また、企業が持続的に成長を続けていくためには、多様なバックグラウンドを有する個々人が、自由闊達に意見が言える「心理的安全性」が確保された組織風土の醸成が必要です。
良好なコミュニケーションを積み重ね、多様な視点を持つ従業員が上司・部下、部署などの立場に関係なく、率直に意見を言うことができれば、リスク管理の強化や不祥事等の予防・早期発見による「信頼」の確保に加え、新たなビジネスの創出や働きがいの向上が期待できると考えています。
DE&Iの実現、組織風土醸成に向けた主な取組は以下の通りです。
・女性の意識向上、マネジメントスキルの習得を目的として、女性役職者向けキャリア研修や外部研修への派遣等を継続実施するとともに、女性役職者に対する「メンター制度」を実施
・女性の業務領域を拡げるために、法人融資未経験者を対象とした自主参加の勉強会を企画・実施するとともに、法人融資担当者として営業店に配置
・女性従業員によるプロジェクトチーム「ふわり」において、意識面・環境面の改革について、現場の女性の意見やアイディアを反映した施策提言や、各種イベントの企画・運営を実施
・DE&I推進に関する理解促進を図るための各種セミナー・研修等の開催
・育児休業取得者に対し、定期的な面談や復職前研修等を行う「復職支援プログラム」を実施
・配偶者の転勤に合わせて同居可能な地域に転勤できる 「パートナー帯同制度」を実施
・ベビーシッター等の利用料の一部を補助する「育児サービス利用料補助制度」を実施
・両立中の行員やその上司等の相談に対応する「両立支援相談窓口」を設置
・ロールモデルやマネジメント好事例等を紹介する「両立支援ハンドブック」を発刊
・業務において旧姓の使用を認める「旧姓使用制度」を実施
・育児休業取得者の早期職場復帰を支援するため企業内保育所「ふくぎんきっずらんど petit petit」を設置
・認可外保育料の一部を補助する「認可外保育料補助制度」を実施
・誰もが自分の生活と仕事を大切にしながら両立できる職場の実現に全員で取り組むため、男性の育児休業を一部有給化するとともに、男性の育児休業の10営業日取得を義務化
・社内SNS、職場内コミュニケーションイベントに対する費用補助、家族参観日などコミュニケーション活性化施策を実施
<事業戦略を実現する人財ポートフォリオの構築>当社グループでは、長期ビジョンの実現を目指す経営戦略として「人財力の最大化」に取り組んでおり、多様な個人がその力を最大限発揮して、自律・自走する活力ある組織を構築し、組織の持続的成長を実現したいと考えています。
(人財育成方針)
事業戦略をスピード感を持って実現するためには、急速な事業環境の変化に対応できる多様な人財・スキルを獲得・育成する必要があります。そのために、従来型の採用・人財育成のみならず、採用の多様化、研修や自己啓発メニューの拡充、自律的なキャリア開発に向けた体制整備、専門人財の育成などを実施しながら、戦略的人財ポートフォリオを構築します。
人財育成方針に基づく主な取組は以下の通りです。
・事業戦略の早期実現に向け、スキル・業務ごとの体系的な育成プログラムや、専門人財育成のためのオーダーメイド型プログラム等、育成メニューを拡充
・新卒採用において、銀行本部の専門セクションのプロフェッショナルとして成長していく人財の部門別採用を実施
・銀行業務の即戦力となる人財やデジタル・ITの領域で高い専門性を有する人財のキャリア採用を強化
・営業体制の見直しにより、本部に在籍する専門人財と営業店の担当者をエリアごとに集約し、OJTを実施
・技術革新やビジネスの範囲拡大に対応するため、デジタル人財の育成を強化
<従業員エンゲージメントの向上>当社グループの従業員一人ひとりが、事業戦略の実現に向けて自発的に行動し、最大限のパフォーマンスを発揮するためには、エンゲージメントの向上が不可欠です。
エンゲージメントを向上させる要因は主に、「FFGへの共感」「処遇・仕事内容への満足」「働き方の多様化」だと考えています。各種人事施策と適切な運用によってこれらに対する納得感や満足感を高め、エンゲージメントの向上につなげていきます。
(社内環境整備方針)
様々なバックグラウンドを有する個々人の事情に応じた柔軟な働き方の選択肢を増やし、公私共に充実できる環境を整えることで、単純な働き易さでは無く、生産性ややりがいを高め、エンゲージメントの向上につながるような仕組みづくりを進めてまいります。
社内環境整備方針に基づく主な取組は以下の通りです。
・経営方針に対する理解促進を図るため、毎期初、各拠点・地域ごとに当社グループが目指す姿、注力する取組等について経営陣から従業員に向け直接メッセージを伝える営業店フォーラム/本部フォーラムを実施
・所属長による1on1ミーティングを通じて、従業員一人ひとりのキャリア観を尊重しつつ、個々の状況に応じたキャリア支援を実施
・能動的なキャリア形成を支援するため、社員自ら仕事を選択できるキャリアチャレンジ募集を実施
・専門業務の経験を積んだ社員が自らキャリアを選択できるスペシャリストコースや、事務業務のスペシャリストとしてスキルを蓄積し多様化するお客さまのニーズに応えるカスタマーサービスコースなど、キャリアパスの多様化を実施
・自らの成長・キャリア開発のためや、プライベートな事情に専念し、復職後のキャリアを充実させるための多目的型の休職制度「フレキシブル休職制度」を導入
・配偶者の転勤・結婚・出産・育児・介護等により退職した従業員に対し、再就業の機会を提供する「ジョブリターン(再雇用)制度」を実施
(Financial Wellness)
当社グループでは従業員の資産形成を後押しするため、各種資産形成制度を従業員向けに提供しております。特に従業員持株会は、金融機関の従業員として金融リテラシー向上のためにも加入を推進し、より多くの従業員が加入できるよう規定の改定を実施しています。
Financial Wellnessに向けた主な取組は以下の通りです。
・従業員持株会
(加入率:福岡銀行 31.7%、熊本銀行 50.9%、十八親和銀行 44.2%、福岡中央銀行 81.6%)
・財形制度(一般財形/財形住宅/財形年金)
・貸付制度(住宅貸付/福利厚生貸付)
・(従業員向け)団体保険
・企業年金制度(確定給付年金制度/確定拠出年金制度)
・福利厚生メニュー「ベネフィット・ステーション」による各種メニュー/補助