有価証券報告書-第40期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/28 15:30
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138項目

有報資料

文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断、予測したものであります。
1 経営方針
当社グループは、「日本とアジアをつなぐ投資会社として少子高齢化が進む社会に安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります」を経営理念として掲げ、全てのステークホルダーへの利益還元を果たして参ります。
2 経営環境と対処すべき課題
(1)外部環境の認識
当社はこれまで、経営理念のもと、少子高齢化問題及び地球温暖化問題、特に原発問題を抱えた日本固有のエネルギー問題を重要なテーマとして位置付けて事業を行ってまいりました。これらの問題は、社会の在り方、個人生活、企業行動に変化を与え、技術革新をもたらしています。加えて、今般の新型コロナウィルス感染症の災禍により、これらの変化が加速しました。
そこで当社は、従前の課題に加えて新型コロナウィルス感染症が今後引き起こすであろう変化も踏まえ、投資分野別の外部環境を次のように認識し、これに対応した事業活動を行う計画です。
①再生可能エネルギー
脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーによる発電が加速し、全世界で域内のCO2排出実質ゼロに向けた取り組みが進むと認識しています。
②スマートアグリ(植物工場)
温暖化による天候不順、自然災害の影響や農業人口の高齢化の影響から、露地野菜の供給の量・質・価格が不安定となり、工場野菜の市場規模は拡大していくと認識しています。
③ディストリビューションセンター(物流施設)
東京圏は、物流拠点の集約とEC市場の拡大により空室率が過去最低水準であり、賃料相場は2009年以来の高水準となっています。コロナ禍による巣ごもり需要も加わり、物流施設に対する需要は非常に高いと認識しています。
④ヘルスケア(障がい者グループホーム)
2013年に障碍者総合支援法が施行され、グループホームの利用者が増加しています。多様性を尊重し包摂的な社会を築く上で、今後さらに需要が高まると認識しています。
⑤ヘルスケア(高齢者施設)
国内総人口が減少する一方で高齢者人口は増加し、65歳以上の比率は2025年には30%に達する見込みであり、今後も高い需要が続くと認識しています。
⑥M&A仲介
後継者問題や企業の海外進出の活発化によりM&Aの件数は増加傾向にあり、特に中小の件数は大幅に増加しています。今後も高い需要が続くと認識しています。
(2)当社の投資事業の特徴
当社のプライベートエクイティ投資の特徴は、長年の投資活動を通じて蓄積されたノウハウに基づく上場支援に加え、広いネットワークを活用した海外展開支援や営業支援を行う点です。そのために、中国の政府系機関やアジア諸国のパートナー企業と業務提携などを行い、アジアのネットワークを構築しています。加えて、プライベートエクイティ投資とプロジェクト投資を組み合わせた「戦略投資」を行うことも特徴です。「戦略投資」を行った企業には、株主としての支援だけではなく、パートナーとして共にプロジェクト(事業)を運営し、その成長を支援します。
プロジェクト投資の特徴は、プロジェクト総額の多くを金融機関からの負債性資金で調達することでレバレッジを効かせ、少額の投資資金で高い採算性を追求している点です。加えて、多様な分野のプロジェクトに機動的に投資を行うことができるように、プロジェクトの企画や開発に精通したベンチャー企業とパートナーシップを組んでいる点も特徴です。
プロジェクトの開発や運営には、業界知識、ノウハウ、技術力、交渉力など高度なスキルが求められます。当社単独ではカバーできないこれらの経営資源をパートナーのベンチャー企業が提供し、当社は、主に投資資金の提供や金融機関からの資金調達を含めたファイナンススキームの構築を担います。
当社は、社内の経営資源のみならず外部の優れた経営資源も積極的に活用して、成長性が高く将来有望な投資分野を創出し投資を行うことで、社会に貢献して参ります。そのために、今後も継続的に外部とのネットワークを強化し、パートナー企業の発掘を行います。これにより、新たな投資分野の創出に常時取り組み、次の注力投資テーマとしていく方針です。
(3)当社の競争優位性
当社は、当社の競争優位性を、アジアでの歴史、最先端の業界情報収集力、ベンチャー企業とのネットワーク、ファイナンススキーム構築力の4つだと認識しています。より具体的には、投資分野別に次のように考えています。
①再生可能エネルギー
当社には「パートナー戦略による豊富なネットワークから得られる多様な案件へのアプローチ力」があります。その結果、メガソーラー、ソーラーシェアリング、風力、バイオマス、バイオガスへと投資対象を多様化しながら、電力の固定価格買取制度(FIT)の変容の中でも一定の収益性を確保できます。
②スマートアグリ(植物工場)
当社のパートナーである株式会社森久エンジニアリングには「品質に厳しい大手企業に評価される高品質野菜の生産を可能とする技術力」があります。具体的には、生菌数が極めて低く高品質かつ無農薬の野菜の量産を実現し、大手コンビニエンスストアのコンペティションで勝ち抜き、他社工場からの乗り換えにより取引を開始した実績があります。
③ディストリビューションセンター(物流施設)
当社のパートナーであるKICホールディングス株式会社には「大手デベロッパーが敬遠する土地を安く買い、安く作って、安く貸す開発力」があります。道路付けの悪い土地、市街化調整区域など、そのままでは開発が困難な土地を安く仕入れ、手間を掛けて事業化することで大手との競争を回避しています。
④ヘルスケア(障がい者グループホーム)
当社のパートナーであるソーシャルインクルー株式会社は「大手が未だ参入していないマーケットで先行する地位」にあります。市場が拡大している中でも競争環境は未だ平穏であり、既に国内最大級の運営棟数を有し、業界をリードする立ち位置を確立しています。
⑤ヘルスケア(高齢者施設)
当社のパートナーであるAIPヘルスケアジャパン合同会社は、「日本初のヘルスケア特化型上場REITの運営に関与し、介護業界に広いネットワーク」を有しています。日本ヘルスケア投資法人の設立や運営アドバイザーを手掛け、業界の先駆者としての知名度があります。
⑥M&A仲介業務
当社は「国内外での投資活動、ファンド運営を通じてニーズを発掘する機会」を有しています。取引候補先となる300社以上のIPO実績を有し、また、長くアジアで投資活動を行ってきた知名度があります。
(4)中期経営計画(2019年3月期から2020年3月期)の振り返りと残る課題
①計画の概要
当社は、2019年3月期から2021年3月期までの中期経営計画において、①収益構造の安定化、②財務健全性の向上、③充分な投資資金の確保、の3つの課題を解決するため、資産の入れ替えを進める方針でした。具体的には、既存のプライベートエクイティ投資資産の大半を3年間で売却し、売却によって得た資金で、より流動性の高い再生可能エネルギー等のプロジェクト投資や、「企業への投資」と「プロジェクト(事業)への投資」を組み合わせる「戦略投資」を行い、その投資残高を積上げて将来の安定収益を拡大する計画でした。その際、当社の強みや外部環境を考慮した結果、再生可能エネルギー、スマートアグリ(植物工場等)、ヘルスケア(介護・医療)の3つを事業テーマに選定しました。
②計画の達成状況
プライベートエクイティ投資では、戦略投資以外の投資(以下「フィナンシャル投資」)の資産の売却は、投資先企業の新規上場(IPO)や売却交渉が計画どおりに進まず大幅な未達となり、その残高を計画どおりに圧縮できませんでした。戦略投資については、投資対象の発掘が計画以上に順調に進み、6社に合計で11億円を投資しました。
プロジェクト投資では、再生可能エネルギープロジェクトの投資実行は順調に進みましたが、プライベートエクイティ投資の売却下振れを補うためにメガソーラープロジェクトを売却しました。その結果、黒字化を実現した一方で、プロジェクト投資資産の残高は計画未達となりました。スマートアグリプロジェクトでは、植物工場の第1号案件が2019年3月に操業を開始し、黒字化への道筋がついたため第2号案件に投資をしました。ヘルスケアプロジェクトでは、高齢者向け施設2件へ投資を行ったほか、新たに、障がい者グループホームへの融資を開始しました。加えて、新規事業として、ディストリビューションセンター(物流施設)プロジェクトへの投資を開始しました。
数値計画は、2021年3月期の従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益を7億円、ROEを9%と計画していましたが、実績はそれぞれ1.4億円、2.0%となり計画に達しませんでした。また、主要な業績評価指標(KPI)の達成状況は次のとおりです。プロジェクト資産の残高は、目標の90億円に対し実績は53億円となり目標に達しませんでした。現預金とプロジェクト投資資産の合計額と借入金のバランスは、56億円超過の目標に対し実績は21億円超過に留まりました。プライベートエクイティ投資のうちフィナンシャル投資資産の引当後残高は、10億円まで圧縮するという目標に対し実績は30億円に留まりました。新しい投資方針に基づく新規ファンドの設立や戦略投資の実行によるプライベートエクイティ投資資産の残高を10億円まで増加させる目標に対しては、目標を上回り12億円まで増加させることができました。
③残る課題と新中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の策定
当社は、現時点で残る対処すべき課題は、フィナンシャル投資から戦略投資・プロジェクト投資への、資産の入替が遅れている点だと考えています。フィナンシャル投資資産の流動化・収益化が遅れたため、メガソーラープロジェクトを売却したことにより、その投資資産の残高は減少しています。また、再生可能エネルギー以外のプロジェクト投資の資産残高は、未だ十分に増加していません。その結果、総資産の残高が減少し、安定収益も十分に増加していません。この課題を解決するために、2020年12月に、2022年3月期から2024年3月期までの3年間の新中期経営計画を策定しました。この計画では、旧投資方針により積み上げた資産を一掃して、新たな投資方針に基づく資産への入替を進めます。
新たな投資方針とは、プロジェクト投資においては、短期(投資後2~3年)での売却を前提としたプロジェクトへの投資実行を拡大し、その残高や売却益を増加させることです。プロジェクト投資の売却益はプライベートエクイティ投資の売却益に比べると確実性が高いため、安定的な収益源となります。また、プライベートエクイティ投資においては、プロジェクト投資を組み合わせた戦略投資を厳選集中して行うことです。投資先企業に対しては、当社の保有するネットワークや経営リソースを全て活用して、全面的な支援を行います。また、投資の回収を行う際は、新規上場のみに依存せず、M&Aによる売却など多様な売却機会を追求します。その結果、投資資産の滞留(リビングデッド化)を回避し、期間損益をコントロール可能な状態にすることを目指します。これにより、ベンチャー企業と共同して負債性資金が調達可能(bankable)なプロジェクト投資を推進し、持続可能性(サステナビリティ)のある収益構造の構築への道筋を付けます。
また、国内とアジアでパートナー戦略を強化し、投資先企業の支援体制を構築します。当社のアジアでのネットワークを活用して、当社の投資実行能力と投資回収能力を高めます。近年、海外に事業拡大機会を求める日本企業が増える中で、国内の地域金融機関等では、顧客である地域企業のニーズに応えるため、アジアでのネットワークやM&Aなどの投資のノウハウへの関心が高まっています。そこで当社は、当社の経営資源をプラットフォームとして国内の地域金融機関等に提供し、国内の地域金融機関等と連携して、その顧客企業に対する新たな事業機会と当社の収益機会を創出することができると考えています。
(5)新中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の事業方針
①総括
a)経営理念
現行を堅持します。「少子高齢化が進む社会で安心安全で質と生産性の高い社会実現の為に貢献する」投資会社を標榜し、投資活動及びその関連ビジネスを行います。
b)基本的な投資戦略
経営理念に基づく戦略投資とプロジェクト投資により、棄損したバランスシートの早期修復と安定した収益基盤の構築を目指します。同時に、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指します。コアとすべき有望な投資先企業及びプロジェクトを開拓し、投資機会を深掘りします。また、プロジェクト投資において投資対象を多様化し、投資機会を追求すると同時に、投資資産のリスク分散を図ります。
c)具体的な投資活動の目標
プライベートエクイティ投資では、投資先企業に対する当社の持株比率を、これまでよりも高めます。同時に、当社のリソースを全て投入したハンズオンの支援を通して、投資先企業の企業価値の向上や当社の回収力の強化を図ります。この投資手法を徹底する事で、投資会社としての知見と総合力を高めます。
d)SDGsへの取り組み
当社の投資活動のコアバリューを「ベンチャー投資と特色有るアジアのネットワークを活用した日本とアジアの未来に貢献するSDGs投資」と位置づけます。今後、少子高齢化とポストコロナの日本の未来社会で、安心安全で質と生産性の高い社会実現へのソリューション提供に貢献するベンチャー企業を発掘し、投資を通じて応援します。これにより、SDGs関連事業の育成に貢献するとともに、当社の収益力の向上を目指します。
e)アジアへの取り組み
当社のベンチャー投資のスキル、アジアでのネットワーク、及び国内の地域金融機関との連携を活用して、投資と投資関連ビジネスを展開します。これによって、アジアの成長に貢献すると同時にアジアの成長を日本に取り込み、少子高齢化等の要因で足踏みする日本経済や衰退する地方の成長維持に、投資関連事業で貢献します。
②パートナー戦略
当社の強みは、プロジェクト投資を行う際に、当社独自で投資をするのではなく、その分野で競争優位性の高いベンチャー企業をパートナーとしている点です。今後もパートナーとなる新たなベンチャー企業を発掘し、その企業が行う事業に投資を行い育成し、当社の事業ポートフォリオを拡大します。
③プライベートエクイティ投資の事業戦略
フィナンシャル投資では、戦略投資以外の既存資産を流動化し、資産の入替を完了します。他方で、新たな投資方針に基づく3本のファンドを組成します。戦略投資では、既存の投資先を成長させ売却益を得るとともに、新規分野でのパートナー企業に戦略投資を行います。
④プロジェクト投資の事業戦略
ディストリビューションセンタープロジェクトは、重点分野として投資残高を増やします。また、プロジェクトの初期段階に投資し、その後にミドル・リスク、ミドル・リターン志向のレイターステージの投資家を呼び込むことで、当社の採算性を向上させます。
ヘルスケアプロジェクトのうち高齢者施設への投資は、立地環境と採算性を重視し、案件を厳選して行います。
再生可能エネルギープロジェクトでは、ベトナムの屋根置きソーラーと、国内のバイオガスプロジェクトへの投資を拡大します。国内のメガソーラープロジェクトは、順次売却して利益を計上する計画です。
スマートアグリプロジェクトでは、大手コンビニエンスストアを軸に販売先を開拓し、先ずは第4号工場まで事業規模を拡大します。
ヘルスケアプロジェクトのうち障がい者グループホームでは、銀行やリース会社とファンドを組成し、50棟に投資を実行します。
⑤コンサルティングビジネスの事業戦略
投資活動の過程で得られる情報を基に、国内外のパートナーと連携し、M&Aの仲介を含むコンサルティング業務を行い、安定収益を拡大します。
⑥主要な業績評価指標(KPI)
コンサルティング業務や短期売却を前提としたプロジェクトへの投資を拡大することで、プライベートエクイティ投資に比べて比較的確実性の高いフィー収益やプロジェクトの収益を拡大し、サステイナブルな収益構造を目指します。計画期間中は未だプライベートエクイティ投資の収益が中心となるものの、計画期間最終年度となる2024年3月期には、フィー収益とプロジェクトの収益の営業総利益で管理コストを賄い、変動の大きなプライベートエクイティ投資の収益は超過利益とすることを目指します。具体的には、従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益を、2022年3月期は340百万円、2023年3月期は550百万円、2024年3月期は850百万円とすることを計画しています
(注)従来連結基準
当社グループでは、2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 2006年9月8日 実務対応報告第20号)を適用し、当社グループで運営している投資事業組合等の一部を連結の範囲に加えて連結財務諸表等を作成しております。しかしながら、投資家及び株主の皆さまに、当社グループの経営成績及び財務状況を正しくご認識いただくためには、従来からの会計基準による財務諸表等の開示も必要と考えております。
以上のことから、従来の会計基準に従って、投資事業組合については、資産、負債及び収益、費用を外部出資者の持分を含まない当社及び関係会社の出資持分に応じて計上し、また、会社型ファンドについては連結の範囲から除いた連結財務諸表等を「従来連結基準」として、決算短信等において継続的に開示しております。

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