訂正有価証券報告書-第35期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2017/06/26 15:17
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対処すべき課題

当社の中長期的な経営戦略、及び、今後当社グループが対処すべき課題は以下のとおりと考えております。
①プライベートエクイティ投資事業
a)外部環境の認識
昨今では事業会社系のベンチャーキャピタル(CVC)が続々と設立され、当社のような独立系のベンチャーキャピタルにとっては大きな脅威となっています。CVCは、一般に事業会社が本業との事業シナジーを求めて設立及び運営することが多く、大きな資金力と投資後の強固な事業支援体制を武器に大きな広がりを見せています。このようなCVCとの差別化を図るため、当社としては、永年の経験により蓄積された投資先への上場支援に加え、広いネットワークを活用した海外展開支援や営業支援が重要であると考えています。
b) First Eastern (Holdings) Limited(FE社)との資本業務提携
上記a)の課題を解決すべく、当社は、平成27年12月にFE社との資本業務提携を行いました。今後は、業務提携の具体的な成果を示すべく鋭意努力してまいります。その一つとして、FE社の持つ投資実行・ファンド設立実績や、高い知名度・信用力、グローバルなネットワークを活用し、投資先の支援体制の強化や当社単独では難しい大型ファンドの設立を目指します。
中華圏での新規のファンド設立についても、FE社との共同事業を中心に行ってまいります。FE社が中国内で保有する政府や大手企業とのネットワークを活用し、中国内の投資家からファンドを募集する方針です。
c)国内ベンチャーキャピタル投資
国内のベンチャーキャピタル投資においても、ファンドのパートナーなど社外のリソースを有効活用しながら、海外展開支援や営業支援を行ってまいります。特に、リードインベスターとして積極的に成長支援をサポートすべき投資先を厳選するとともに、そのような企業に対しては一定のまとまった金額の投資を行うことに加え、追加の成長資金の投資についても積極的に行うことで、その企業価値を増大させてまいります。
今後は、そのような厳選集中投資のための投資資金を確保するため、新規ファンドを設立することが喫緊の課題であると認識しております。そこで、厳選した有望な企業への投資実績をもって、当社の投資開拓能力をファンドの投資家にアピールし、新規ファンドの組成に繋げてまいります。また、投資対象については、企業ステージや業種を特化せず、ファンド毎に出資者のニーズに合わせて設定します。また、投資領域についてもベンチャーキャピタルだけに限定せず、新興市場の上場企業に対するグロース投資や小型のバイアウト投資へと投資領域を拡大することも検討してまいります。
このように新規ファンドを設立することで、中長期で支援する有望企業への投資を行うほか、平成28年2月に設立した「JAIC企業育成投資事業有限責任組合」では、投資後3年程度と比較的短期間での売却益を獲得すべく、満期が近い同業他社の運営するファンドのポートフォリオを買い取ることも行ってまいります。また、グロース投資や小型のバイアウト投資については、個別投資案件単位でターゲットファンドを設立するなどにより、他の投資家の資金を活用した投資を目指していまいります。
②再生可能エネルギー投資事業
a)外部環境の認識
メガソーラープロジェクトについては、買い取り価格の引き下げが続く中で業者間の競争が進んでおり、当社のようにプロジェクトを進めるための資金調達力があり、発電所の完成・運営実績がある企業の競争優位性が高まっています。その結果、当社にとって、相対的に高い買い取り価格(32円/kWh以上)の高採算プロジェクトへの投資機会が継続しているものと考えています。他方で、メガソーラープロジェクトを投資対象とする上場REITが設立されるなど、投資したプロジェクトを継続的に保有するだけでなく途中で売買するための制度基盤が整備されつつあります。
また、再生可能エネルギー全般については、政府の政策による望ましい電源構成として再生可能エネルギーの規模拡大が指示されており、引き続き市場の拡大が見込まれます。
b)メガソーラープロジェクト
上記a)の様な外部環境の変化を受けて、当社は、メガソーラープロジェクトへの投資の位置付けを見直しました。従来は中長期的な安定収益を補うための施策という位置付けでしたが、今後は中長期的な安定収益に加え、短期的な収益への貢献を期待し、さらに事業規模を拡大してまいります。
具体的には、売電収入を基にした中長期的な安定収益を獲得するために一定規模の投資を継続すると同時に、一部のプロジェクトについてはREITなどへの売却によって売却益を獲得することを目指します。そのためには、高採算プロジェクトへの投資機会の発掘と売却益獲得のための売却交渉が、今後の課題と認識しております。
c)その他の再生可能エネルギープロジェクト
その他(風力、バイオマス、水力、地熱等)のプロジェクトについては、試験的な投資を行い、中長期的な事業化を目指してまいります。