有価証券報告書-第113期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/26 15:28
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連結財務諸表注記事項(US GAAP)

[連結財務諸表注記]
1 会計処理の原則および会計方針の要旨:
2001年12月、野村ホールディングス株式会社(以下「当社」)はニューヨーク証券取引所に米国預託証券を上場するため、1934年証券取引所法に基づき登録届出書を米国証券取引委員会(以下「米国SEC」)に提出しました。以後当社は、年次報告書である「様式20-F」を1934年証券取引所法に基づき米国SECに年1回提出することを義務付けられております。
上記の理由により、当社および当社が財務上の支配を保持する事業体(合わせて以下「野村」)の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第95条の規定に従い、米国預託証券の発行に関して要請されている会計処理の原則および手続ならびに表示方法、すなわち、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則(以下「米国会計原則」)に基づき作成されております。なお、2017年3月期において野村が採用しております米国会計原則とわが国における会計処理の原則および手続ならびに連結財務諸表の表示方法(以下「日本会計原則」)との主要な相違点は次のとおりであります。金額的に重要性のある項目については日本会計原則に基づいた場合の連結税引前当期純利益と比較した影響額をあわせて開示しており、米国会計原則に基づいた場合の税引前当期純利益が上回る場合には当該影響額の後に「(利益)」と記載し、下回る場合には「(損失)」と記載しております。
・連結の範囲
米国会計原則では、主に、議決権持分事業体の議決権所有割合または主たる受益者を特定することにより連結の範囲が決定されます。日本会計原則では、主に、議決権所有割合および議決権所有割合以外の要素を加味した「支配力基準」により、連結の範囲が決定されます。
また、米国会計原則では特定の会計指針が適用される投資会社が定義されており、当該指針の対象となる投資会社におけるすべての投資は公正価値で評価され、公正価値の変動は連結損益計算書に計上されます。日本会計原則では、財務諸表提出会社であるベンチャーキャピタルが営業取引としての投資育成目的で他の会社の株式を所有しているなどの場合においては、当該他の会社を支配していることに該当する要件を満たす場合であっても子会社に該当しないものとして取り扱うことができます。
・投資持分証券の評価差額
証券会社に適用される米国会計原則では、投資持分証券は公正価値で評価され、評価差額は連結損益計算書に計上されます。日本会計原則では、投資持分証券は公正価値で評価され、評価差額は適用される法人税等を控除しその他の包括利益に計上されます。2016年3月期および2017年3月期の日本会計原則に基づいた場合の連結税引前当期純利益と比較した影響額は、20,691百万円(損失)および6,628百万円(利益)であります。
・営業目的以外の投資持分証券の評価差額
証券会社に適用される米国会計原則では、営業目的以外の投資持分証券は公正価値で評価され、評価差額は連結損益計算書に計上されます。日本会計原則では、営業目的以外の投資持分証券は公正価値で評価され、評価差額は適用される法人税等を控除しその他の包括利益に計上されます。日本会計原則に基づいた場合の2016年3月期および2017年3月期の日本会計原則に基づいた場合の連結税引前当期純利益と比較した影響額は、696百万円(利益)および2,719百万円(損失)であります。営業目的以外の投資持分証券は連結貸借対照表上、その他の資産-その他に含まれております。
・トレーディング目的以外の負債証券への投資の評価差額
証券会社に適用される米国会計原則では、トレーディング目的以外の負債証券への投資は公正価値で評価され、評価差額は連結損益計算書に計上されます。日本会計原則では、トレーディング目的以外の負債証券への投資は公正価値で評価され、評価差額は適用される法人税等を控除しその他の包括利益に計上されます。2016年3月期および2017年3月期の日本会計原則に基づいた場合の連結税引前当期純利益と比較した影響額は、1,866百万円(利益)および3,767百万円(損失)であります。
・退職金および年金給付
米国会計原則では、年金数理上の仮定の変更や仮定と異なる実績から生じた損益は、当該損益の期首時点の残高が回廊額(予測給付債務と年金資産の公正価値のうち大きい額の10%と定義される)を超過している場合に、当該超過部分が従業員の平均残存勤務期間にわたって償却されます。日本会計原則では、年金数理差異等は回廊額とは無関係に一定期間にわたり償却されます。
・のれんの償却
米国会計原則では、のれんに対しては定期的に減損判定を実施することが規定されております。日本会計原則では、のれんは20年以内の一定期間において均等償却されます。2016年3月期および2017年3月期の日本会計原則に基づいた場合の連結税引前当期純利益と比較した影響額は、それぞれ7,180百万円(利益)および6,836百万円(利益)であります。
・デリバティブ金融商品の評価差額
米国会計原則では、ヘッジ手段として保有するデリバティブ金融商品を含めすべてのデリバティブ金融商品は公正価値で評価され、評価差額は、損益またはその他の包括利益に計上されます。日本会計原則では、ヘッジ手段として保有するデリバティブ金融商品は公正価値で評価され、評価差額は適用される法人税等を控除しその他の包括利益に計上されます。
・金融資産および金融負債の公正価値
米国会計原則では、通常は公正価値で測定されない一定の資産と負債を公正価値で測定する選択権(公正価値オプション)が容認されております。公正価値オプションが選択された場合、該当商品の公正価値の変動は、損益として認識されます。日本会計原則では、このような公正価値オプションは容認されておりません。2016年3月期および2017年3月期の日本会計原則に基づいた場合の連結税引前当期純利益と比較した影響額は、それぞれ29,473百万円(損失)および7,629百万円(利益)であります。なお、連結財務諸表上公正価値により計上されている市場価格のない株式については、日本会計原則では、減損処理の場合を除き、取得原価で計上されます。
・特定の契約に関連した相殺処理
米国会計原則では、マスター・ネッティング契約に基づき資産と負債が純額処理されたデリバティブ商品については、関連する現金担保の請求権または返還義務も併せて相殺することとなっております。日本会計原則においては、このような相殺処理は容認されておりません。
・新株発行費用
米国会計原則では、新株発行費用を控除した純額で払込金額を資本として計上することとされております。日本会計原則では、払込金額を新株発行費用を控除する前の金額で資本として計上する一方で、新株発行費用を支出時に全額費用化するか、または繰延資産に計上して新株発行後3年以内の一定期間において均等償却を行うこととされています。
・子会社に対する支配の喪失時の会計処理
米国会計原則では、子会社に対する支配を喪失し、持分法適用の投資先になる場合、従前の子会社に対する残余の投資は、支配喪失日における公正価値で評価され、評価差損益が認識されます。日本会計原則においては、従前の子会社に対する残余の投資は、連結貸借対照表上、親会社の個別貸借対照表上に計上している当該関連会社株式の帳簿価額に、当該会社に対する支配を喪失する日まで連結財務諸表に計上した投資の修正額のうち売却後持分額を加減した、持分法による投資評価額により評価されます。
事業の概況
当社ならびに証券業務、銀行業務およびその他の金融サービス業を行う子会社は、個人や法人、政府などの顧客向けに世界の主要な金融市場において、投資、金融およびこれらに関連するサービスを提供しております。
野村の事業は、主要な商品・サービスの性格、顧客基盤および経営管理上区分された部門に基づいて行われております。野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、アセット・マネジメント部門およびホールセール部門の区分で行われております。
営業部門は、主に日本国内の個人投資家等に対し資産管理型営業によるサービスを提供しております。アセット・マネジメント部門は、主に投資信託の開発および運用管理ならびに投資顧問サービスを提供しております。ホールセール部門は、全世界的な規模で債券、株式、デリバティブや為替のセールスおよびトレーディング業務を行うとともに、債券および株式の引受業務、M&Aの仲介、財務アドバイザリー業務などの多様な投資銀行サービスを提供しております。
連結財務諸表作成上の基礎
連結財務諸表作成にあたっては、当社および当社が財務上の支配を保持している事業体を連結の範囲に含めております。野村はまず事業体の財務上の支配を保持しているかどうかを決定するため、米国財務会計基準審議会編纂書(以下「編纂書」)810「連結」(以下「編纂書810」)の規定に従い、事業体が「変動持分事業体」であるかを判定しております。変動持分事業体とは、株主が財務上の支配を保持しているとは言えない事業体、あるいは追加の劣後的財務支援がない場合には業務を遂行するための充分なリスク資本を確保していない事業体であります。野村は変動持分を保有することにより変動持分事業体の最も重要な活動を支配するパワーを有し、かつ、利益を享受する権利または損失を負担する義務が重要と判定される持分を有し、かつ受託者として他の受益者のために行動していない場合には当該変動持分事業体を連結しております。編纂書946「金融サービス-投資会社」(以下「編纂書946」)において投資会社と判定される一定の変動持分事業体、あるいは業界の慣行として編纂書946と同様の判定基準のガイダンスが適用される変動持分事業体については、野村が期待損失の過半を負担、あるいは期待残存利益の過半を享受、またはそのいずれにも該当する場合には、野村が主たる受益者となります。
野村は、変動持分事業体に該当しない事業体については野村が議決権の過半を所有する場合には通常野村が財務上の支配を保持しているものと判定しております。
野村が営業上および財務上の意思決定に対し重要な影響力を保持している(通常、会社の議決権の20%から50%またはリミテッド・パートナーシップ等の3%以上を保有する場合)事業体へのエクイティ投資については持分法会計を適用し(以下「持分法適用投資」)、その他の資産-関連会社に対する投資および貸付金の勘定に計上するか、または編纂書825「金融商品」(以下「編纂書825」)で許容される公正価値オプションを選択し公正価値で計上され、トレーディング資産、プライベート・エクイティ投資またはその他の資産-その他の勘定に計上しております。それ以外の金融投資は主にトレーディング資産に計上されております。野村が財務上の支配も重要な影響力も保持していない事業体へのエクイティ投資は公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書または連結包括利益計算書で認識されます。
野村の投資先には編纂書946に基づく投資会社がいくつかあります。これら投資会社におけるすべての投資には連結や持分法は適用されず全て公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書で認識されます。
当社の主要な子会社には野村證券株式会社、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル Inc.、ノムラ・インターナショナル PLCおよび野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ株式会社があります。
重要な連結会社間取引および残高は、連結の過程ですべて相殺消去しております。当期の開示様式と整合させるために、過年度の報告数値の組替えを行っております。
連結財務諸表作成上の見積もり
連結財務諸表の作成に際し、経営者は、特定の金融商品と投資の評価、訴訟および税務調査の結果、のれんの帳簿価額の回収可能性、貸倒引当金、繰延税金資産の回収可能性および資産負債の報告数値ならびに連結財務諸表の開示内容に影響を与えるその他の事項について見積もりを行っております。これらの見積もりは、その性質上、判断および入手し得る情報に基づいて行われることになります。従いまして、実際の結果がこれらの見積額と異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合や、近い将来調整が生じる可能性があります。
金融商品の公正価値
野村の金融資産および金融負債の大半は経常的に公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書または連結包括利益計算書を通じて認識されます。公正価値評価は米国会計原則により明確に適用が要求される場合と、野村が公正価値オプションを選択できる対象に公正価値オプションを選択して適用する場合があります。
その他の一義的な評価基準が公正価値に基づかない金融資産や金融負債は非経常的に公正価値評価されます。その場合、公正価値は減損の測定など当初認識以降の限定的な状況で使用されます。
ほとんどの場合、公正価値は編纂書820「公正価値評価と開示」(以下「編纂書820」)に基づき、測定日において市場参加者の間で行われる通常の取引において金融資産の譲渡の対価として得られると想定される金額または金融負債を移転するのに必要と想定される金額と定義され、野村が各金融資産または金融負債を取引する場合において主に利用すると想定される市場(当該主要な市場がないときは最も有利な市場)における取引を想定しております。野村が通常扱っている金融商品のタイプ毎の公正価値評価方法の詳細については、「注記2 公正価値測定」をご参照ください。
連結債務担保金融事業体に該当する変動持分事業体が保有する金融資産および金融負債は、いずれかの公正価値のうち、より観察可能な方で測定する代替法を使用しております。
金融資産の譲渡
野村は金融資産の譲渡について、次の条件を全て満たすことにより野村がその資産に対する支配を喪失する場合には、売却取引として会計処理いたします:(a)譲渡資産が譲渡人から隔離されていること(譲渡人が倒産した場合または財産管理下に置かれた場合においても)。(b)譲受人が譲り受けた資産を担保として差し入れる、もしくは譲渡する権利を有していること、または譲受人の唯一の目的が証券化やアセットバックファイナンスの場合において、受益持分の保有者が受益持分を差し入れる、もしくは譲渡する権利を有していること。(c)譲渡人が譲渡資産に対する実質的な支配を維持していないこと。
証券化活動に関連して、野村は、商業用および居住用モーゲージ、政府債および事業会社の負債証券ならびにその他の形態の金融商品を証券化するために特別目的事業体を利用しております。野村の特別目的事業体への関与としましては、特別目的事業体を組成すること、特別目的事業体が発行する負債証券および受益権を投資家のために引受け、売出し、販売することが含まれております。野村は証券化により譲渡した金融資産に対する支配を喪失したときにオフ・バランス処理し、当該特別目的事業体は連結対象としておりません。野村が金融資産に対する持分を保有することもあり、証券化を実施するために設立された特別目的事業体の残存持分を一般的な市場条件により保有することもあります。野村の連結貸借対照表では、当該持分は公正価値により評価し、トレーディング資産として計上され、公正価値の変動はすべて連結損益計算書上、収益-トレーディング損益として認識しております。
外貨換算
当社の子会社は、それぞれの事業体における主たる経済環境の機能通貨により財務諸表を作成しております。連結財務諸表の作成に際し、日本円以外の機能通貨を持つ子会社の資産および負債は各期末日における為替相場により円貨換算し、収益および費用は期中平均為替相場により円貨換算しております。この結果生じた換算差額は、当社株主資本に累積的その他の包括利益として表示しております。
外貨建資産および負債は、期末日における為替相場により換算しており、その結果生じた為替差損益は、各期の連結損益計算書に計上されています。
顧客へのサービス提供から生じる収益
野村は全ての部門において、顧客への金融サービス提供から生じる報酬および手数料により、収益を獲得しております。これらのサービスのうち主要なものとは、取引執行・清算サービス、財務アドバイザリーサービス、アセットマネジメント業務サービス、引受サービス、シンジケーションサービス、および投信募集サービスが該当します。
収益は、報酬及び手数料が稼得され実現可能となったとき、すなわち、野村が顧客にサービスを提供する義務を履行した一時点、または野村が継続的にサービスを提供する場合はその義務を履行する期間のいずれかで認識されます。報酬および手数料は、固定金額の場合もあれば、受取金額が不確定な変動金額の場合もあります。このような不確実性は、偶発イベントの発生有無や顧客への返金により、野村が受領する金額が変動する場合に生じます。
収益-委託・投信募集手数料は、約定日基準で未収計上された委託取引の執行手数料を含み、当期の収益に含まれています。収益-投資銀行業務手数料は引受手数料、シンジケーション手数料、およびその他の財務アドバイザリー手数料を含んでいます。引受手数料およびシンジケーション手数料については、対象となる引受、またはシンジケーション取引が完了したときに計上されます。財務アドバイザリー手数料は基礎となる取引が完了したとき、または関連するサービスが行われたときに認識されます。収益-アセットマネジメント業務手数料は、関連するサービスが提供される期間にわたって、または特定の業績条件が満たされたときに認識されます。
トレーディング資産およびトレーディング負債
トレーディング資産およびトレーディング負債は、主に連結貸借対照表上約定日基準で認識される負債証券、持分証券およびデリバティブならびに決済日基準で認識される貸付金から構成されます。トレーディング資産およびトレーディング負債は公正価値で評価され、その変動は連結損益計算書上、原則として収益-トレーディング損益に計上されております。
特定のトレーディング負債は、営業目的で保有する投資持分証券の価格変動リスクを経済的にヘッジするため保有されます。このようなトレーディング負債の公正価値の変動は、連結損益計算書上、投資持分証券関連損益に計上されております。
担保付契約および担保付調達
担保付契約は、売戻条件付買入有価証券に計上される売戻条件付有価証券買入取引および借入有価証券担保金に計上される有価証券借入取引から構成されます。担保付調達は、買戻条件付売却有価証券に計上される買戻条件付有価証券売却取引、貸付有価証券担保金に計上される有価証券貸付取引およびその他の一定の担保付借入から構成されます。
売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引(以下「レポ取引」)は、主に有価証券を顧客との間において売戻条件付で購入する、または買戻条件付で売却する取引であります。当該取引は概ね担保付契約または担保付調達として会計処理されており、買受金額または売渡金額で連結貸借対照表に計上しております。一部のレポ取引は公正価値オプションの適用により公正価値で計上されます。担保請求が厳密に行われているため、売戻条件付有価証券買入取引については、通常、貸倒引当金は計上されません。
担保として差し入れた有価証券の満期がレポ取引の満期と一致する取引(以下「満期レポ取引」)は、編纂書860「譲渡とサービシング」(以下「編纂書860」)に基づき、担保付借入取引として会計処理されております。
野村は日本の金融市場において一般的な、日本版のレポ取引(以下「現先レポ取引」)を行っております。現先レポ取引では、値洗いが要求され、有価証券の差換権があり、また一定の場合に顧客が譲り受けた有価証券を売却または再担保に提供する権利が制限されております。現先レポ取引は担保付契約あるいは担保付調達として会計処理されており、買受金額または売渡金額で連結貸借対照表に計上されております。
担保付契約および担保付調達として会計処理される売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引のうち、同一の取引相手とマスター・ネッティング契約を締結しているものは、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」(以下「編纂書210-20」)に定義された特定の条件に合致する場合は、連結貸借対照表上相殺して表示しております。特定の条件には、取引の満期、担保が決済される振替機関、関連する銀行取決めおよびマスター・ネッティング契約における一括清算および相殺の法的有効性などに関する要件が含まれます。
有価証券借入取引および有価証券貸付取引は、それぞれ概ね担保付契約および担保付調達として会計処理されております。当該取引は通常、現金担保付の取引であり、差入担保または受入担保の金額は、連結貸借対照表上、それぞれ借入有価証券担保金または貸付有価証券担保金として計上されております。担保請求が厳密に行われているため、有価証券借入取引については、通常、貸倒引当金は計上されません。
担保付契約および担保付調達として会計処理される有価証券借入取引および有価証券貸付取引のうち、同一の取引相手とマスター・ネッティング契約を締結しているものも、編纂書210-20に定義された特定の条件に合致する場合は、連結貸借対照表上相殺して表示しております。
その他の担保付借入は主にインターバンク短期金融市場における金融機関および中央銀行からの借入であり、契約金額で計上されております。
譲渡取消による担保付借入は編纂書860において売却取引ではなく金融取引として会計処理された金融資産の譲渡に関連する負債であり、連結貸借対照表上、長期借入に含まれております。これらには通常、公正価値オプションを適用し、経常的に公正価値で計上しております。詳細については、「注記6 証券化および変動持分事業体」および「注記10 借入」をご参照ください。
野村の自己所有の有価証券のうち、取引相手に担保として差し入れ、かつ取引相手が当該有価証券に対し売却や再担保差入れの権利を有するもの(現先レポ取引にかかる差入担保を含む)は、連結貸借対照表上、トレーディング資産に担保差入有価証券として括弧書きで記載しております。
詳細については「注記4 担保付取引」をご参照ください。
デリバティブ取引
野村はトレーディング目的およびトレーディング目的以外で、先物取引、先渡契約、スワップ、オプションなどのデリバティブ取引を行っております。デリバティブ取引はそれぞれ、その貸借対照表日の公正価値が正の価値か負の価値かにより、連結貸借対照表上トレーディング資産またはトレーディング負債として計上されています。仕組債や仕組預金などの複合金融商品に組み込まれた一定のデリバティブは、主契約から区分され公正価値で評価され、主契約の満期日に応じて短期借入または長期借入に計上されております。
公正価値の変動はデリバティブの使用目的により連結損益計算書または連結包括利益計算書に計上されます。
マスター・ネッティング契約を締結している同一の取引相手とのデリバティブ資産および負債は、編纂書210-20および編纂書815「デリバティブとヘッジ」(以下「編纂書815」)に定義された特定の条件に合致する場合は、連結貸借対照表上相殺して表示しております。これらの条件には、マスター・ネッティング契約による取引の一括清算および相殺の法的有効性などに関する要件が含まれております。さらに、現金担保の請求権(債権)および現金担保の返済義務(債務)の公正価値も、一定の追加要件を満たした場合、純額処理されたデリバティブ負債および資産と各々相殺しております。
取引所で取引されるデリバティブと清算機関で清算されるOTCデリバティブは、公正価値の変動を反映する変動証拠金が日々収受されています。このような変動証拠金は契約内容によって、デリバティブの部分決済または現金担保の未収もしくは未払として会計処理されます。
トレーディング目的のデリバティブ取引
区分処理された組込デリバティブを含むトレーディング目的のデリバティブ取引は、公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書上、収益-トレーディング損益に計上されております。
トレーディング目的以外のデリバティブ取引
野村は、トレーディング目的のほかに、認識された資産・負債、予定取引や確定したコミットメントから生じるリスクを管理するためにデリバティブ取引を利用しております。一部のトレーディング目的以外のデリバティブ取引については編纂書815における公正価値ヘッジや純投資ヘッジとしてヘッジ指定しております。
野村は一定のデリバティブ金融商品を、特定の金融負債から生じる金利リスク管理および保険子会社が保有するトレーディング目的以外の特定の外貨建負債証券の為替リスク管理のため、公正価値ヘッジに指定しております。これらのデリバティブ取引は、当該ヘッジ対象のリスク低減に有効であり、ヘッジ契約の開始時から終了時までを通じてヘッジ対象負債の公正価値の変動と高い相関性を有しております。関連する評価損益はヘッジ対象の金融負債およびトレーディング目的以外の負債証券にかかる損益とともに、連結損益計算書上、それぞれ金融費用および収益-その他に計上されております。
海外事業への純投資についてヘッジ指定されたデリバティブは、日本円以外が機能通貨である特定の子会社に関連付けられています。純投資ヘッジの有効性は、スポット・レートの変動によるデリバティブの公正価値の変動部分で判定されます。有効と判定された部分は当社株主資本に累積的その他の包括利益として計上されております。ヘッジ手段のデリバティブの公正価値の変動のうちフォワード・レートとスポット・レートの変動の差による差額は有効性の判定から除かれ、連結損益計算書上、収益-その他に計上されております。
詳細については「注記3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。
貸付金
予見し得る将来にわたって保有することを意図している貸付は貸付金に区分されております。貸付金は公正価値または償却原価により計上されております。貸付金の利息収入は原則として連結損益計算書上、収益-金融収益に計上されております。
公正価値により計上される貸付金
公正価値ベースでリスク管理している貸付金は、公正価値による測定が選択されております。この公正価値オプションの選択は、貸付金と当該貸付金のリスク低減目的で使用しているデリバティブの測定方法の違いによって生じる連結損益計算書上の変動軽減を目的としております。公正価値オプションを選択した貸付金の公正価値の変動は、連結損益計算書上、収益-トレーディング損益に計上されております。
償却原価により計上されている貸付金
公正価値オプションを選択していない貸付金は、償却原価で計上されております。償却原価は、繰延収益および直接費用ならびに購入した貸付金に関しては未償却プレミアムまたはディスカウントを調整した原価から、クレジット損失の引当てを控除した価額であります。
ローン貸出手数料収入は貸出に関連する費用を控除後、金利の調整としてローン期間にわたり償却され収益-金融収益に計上されております。繰延貸出手数料の純額は2016年3月31日および2017年3月31日において、これらの金額は重要ではありませんでした。
詳細については「注記7 金融債権」をご参照ください。
その他の債権
顧客に対する受取債権には、顧客との有価証券取引に関する債権の金額が含まれており、顧客以外に対する受取債権には、有価証券の引渡未了(フェイル)にかかる受取債権、信用預託金、デリバティブ取引にかかる現金担保の受取債権、手数料、未決済有価証券取引の純受取額の金額が含まれております。純額表示される約定見返勘定資産残高は2016年3月31日においては161,651百万円、2017年3月31日においては82,672百万円が顧客以外に対する受取債権に含まれております。
これらの受取債権のうち、個別に減損が認識されている受取債権については、経営者の最善の見積もりに基づく損失発生額を反映したクレジット損失の引当てを差し引いた金額で計上されております。クレジット損失の引当ては連結貸借対照表上、貸倒引当金に計上されております。
貸出コミットメント
野村が提供する未実行貸出コミットメントは、簿外債務として処理されるか、またはトレーディング商品への分類もしくは公正価値オプションの選択により公正価値で会計処理されております。
貸出コミットメントは通常貸出が実行された際の貸付金と同様に会計処理されています。貸付金がトレーディング資産への分類または公正価値オプションの選択により公正価値評価される場合には、貸出コミットメントも通常同様に公正価値評価され、公正価値の変動は連結損益計算書上、収益-トレーディング損益として認識しております。貸出コミットメント手数料はコミットメントの公正価値の一部として収益認識されます。
貸付金が予見できる将来にわたって保有される場合の貸出コミットメントについて、野村はクレジット損失の引当てを連結貸借対照表上その他の負債-その他に計上しており、引当ては経営者の最善の見積もりにより減損していると認められた貸出コミットメントから発生すると見込まれる損失を反映しております。貸出コミットメント手数料は通常繰り延べられ、金利の調整として貸出日から契約期間にわたり認識されます。貸出コミットメントから貸出が実行される可能性がほとんどないと考えられる場合には、貸出コミットメント手数料はコミットメント期間にわたって役務収益として認識されます。
支払債務および受入預金
顧客に対する支払債務は、顧客との有価証券取引に関する債務の金額が含まれており、通常契約金額で測定されております。
顧客以外に対する支払債務は、有価証券の受入未了(フェイル)にかかる支払債務、デリバティブ取引や一定の担保付調達および資金調達取引にかかる現金担保の支払債務、未決済有価証券取引の純支払額の金額が含まれており、契約金額で測定されております。
受入銀行預金は、銀行子会社が受け入れた銀行預金の金額を示しており、契約金額で測定されております。
建物、土地、器具備品および設備
野村が自己使用のために所有する建物、土地、器具備品および設備は、取得価額から減価償却累計額を控除した金額で計上しております。ただし、土地は取得価額で計上しております。多額の改良および追加投資は、資産計上しております。維持、修繕および少額の改良は、連結損益計算書上、当期の費用に計上しております。
2016年3月31日および2017年3月31日の建物、土地、器具備品および設備の内訳は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
土地80,03178,365
建物99,40094,626
器具備品および設備27,38039,062
ソフトウエア147,235137,537
建設仮勘定1,461106
合計355,507349,696

野村が所有する資産の減価償却費は、原則として定額法により計算され、各資産の見積耐用年数に基づき認識されます。野村がリースする資産のうち、編纂書840「リース」(以下「編纂書840」)によりキャピタル・リースに分類されるものの減価償却費は、原則としてリース期間にわたり認識されます。資産の見積耐用年数は、技術革新、経年劣化および物理的費消を考慮して決定します。リース物件の改良費は、それ自体の耐用年数またはリース期間のいずれか短い期間にわたり減価償却されます。
主要な資産の種別の見積耐用年数は以下のとおりです。
建物5年から50年
器具備品および設備2年から20年
ソフトウエア5年以内

自己所有資産およびキャピタル・リース資産にかかる減価償却費は、金融費用以外の費用-情報・通信関連費用に2016年3月期は61,906百万円、2017年3月期は56,186百万円がそれぞれ含まれており、また、金融費用以外の費用-不動産関係費に2016年3月期は17,488百万円、2017年3月期は14,742百万円がそれぞれ含まれております。
不動産にかかるリース契約は編纂書840によりオペレーティング・リースまたはキャピタル・リースに分類されます。オペレーティング・リースの賃料はリース期間にわたり定額法で認識されます。キャピタル・リースの場合には、野村はリース物件を認識するとともにリース負債を認識します。リース物件は公正価値または最低支払リース料の現在価値のいずれか低い額をもって認識され、その後定額法により見積耐用年数にわたり減価償却されます。リース対象物件の建設に野村が一定の関与をする場合には、野村が建設工事の所有者であるとみなされ、建設が完了するまでの間、連結貸借対照表上リース物件を認識します。建設完了時にリース物件は、編纂書840により野村の当該物件への継続的関与の度合いにより、売却処理または連結貸借対照表で引き続き認識されます。
のれんおよび非償却性無形資産を除く長期性資産は、帳簿価額が回収可能でない兆候を示す事象や環境変化が生じた場合には、減損テストの対象となります。将来の資産からの割引前の期待キャッシュ・フローの合計が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額と公正価値の差額を損失計上しております。
投資持分証券
野村は、既存および潜在的な取引関係をより強化することを目的とし、非関連会社である日本の金融機関や企業のエクイティ証券を一部保有しており、同様に、これらの企業が野村のエクイティ証券を一部保有していることがあります。こうした株式の持合は日本の商慣行に基づいており、株主との関係を管理する方法のひとつとして用いられております。
野村が営業目的で保有するこれらの投資は公正価値で評価され、連結貸借対照表上、その他の資産-投資持分証券に分類され、公正価値変動は、連結損益計算書上、収益-投資持分証券関連損益に計上されます。これらの投資は、上場および非上場の投資持分証券によって構成され、2016年3月期には、それぞれ99,203百万円および38,767百万円、2017年3月期には、それぞれ107,800百万円および38,930百万円が計上されております。
その他のトレーディング目的以外の負債証券および営業目的以外の投資持分証券
一部のトレーディング活動を行っていない子会社(保険子会社を含む)はトレーディング目的以外の負債証券および営業目的以外の投資持分証券を保有しております。トレーディング活動を行っていない子会社によって保有されるトレーディング目的以外の有価証券は連結貸借対照表上その他の資産-トレーディング目的以外の負債証券およびその他の資産-その他に計上され、公正価値の変動は連結損益計算書上、収益-その他で認識されております。野村の保険子会社の保有するトレーディング目的以外の有価証券は同様に連結貸借対照表上その他の資産-トレーディング目的以外の負債証券およびその他の資産-その他に計上され、未実現の公正価値変動は概ね連結包括利益計算書上、法人税控除後の金額でその他の包括利益に計上されております。外国為替の公正価値ヘッジに指定されたトレーディング目的以外の負債証券の公正価値変動のうち、ヘッジされたリスクに対応する部分は収益-その他に、それ以外は法人税控除後の金額でその他の包括利益に計上されております。トレーディング目的以外の有価証券に関する実現損益は連結損益計算書上、収益-その他に計上されております。
野村の保険子会社が保有するトレーディング目的以外の有価証券の公正価値が償却原価を下回った場合、当該有価証券の公正価値の下落が一時的か否かの判定を行っております。野村は、定量的および定性的な要素として、公正価値が帳簿価額を下回る期間や程度、発行体の財政状態や短期将来見通し、予測される公正価値の回復期間にわたり野村が当該有価証券を保有する意思と能力などを考慮します。投資持分証券について一時的ではない公正価値の下落があると判定された場合、当該有価証券は公正価値まで切り下げられ、公正価値と償却原価の差額は連結損益計算書上、収益-その他に計上されます。負債証券については、野村に当該負債証券売却の意思がある場合、または償却原価の回復前に売却を余儀なくされる可能性が高い場合は、一時的ではない減損損失は連結損益計算書上、収益-その他に計上されます。野村に負債証券の売却の意思がなく、かつ売却を余儀なくされる状況可能性が低い場合は、一時的でない減損損失のうち信用リスク低下に起因する部分は損益に、それ以外は連結包括利益計算書上、その他の包括利益に計上されます。
詳細については「注記5 トレーディング目的以外の有価証券」をご参照ください。
短期および長期借入
短期借入は、借入金のうち要求払のもの、借入実行日において契約満期が1年以下のもの、または契約満期は1年超であるが借入実行日より1年以内に野村のコントロールが及ばない条件により貸付人が返済を請求できるものと定義しております。短期および長期借入は、主にコマーシャル・ペーパー、銀行借入、野村および野村により連結される特別目的事業体により発行された仕組債、編纂書860に基づき売却ではなく金融取引として会計処理された取引から生じた金融負債(以下「譲渡取消による担保付借入」)により構成されます。これら金融負債のうち、一部の仕組債および譲渡取消による担保付借入は、公正価値オプションを適用し経常的に公正価値で会計処理されております。それ以外の短期および長期借入は償却原価で計上されております。
仕組債とは、投資家への単純な固定または変動金利のリターンを、株価もしくは株価指数、商品相場、為替レート、第三者の信用格付、またはより複雑な金利等の変数に応じたリターンに変換する特徴(多くの場合、会計上のデリバティブの定義に該当する)が組み込まれた負債証券です。
2008年4月1日以降に野村が発行したすべての仕組債は、公正価値オプションの適用により経常的に公正価値で計上されております。この仕組債への包括的な公正価値オプション適用の主な目的は、仕組債と当該仕組債のリスク管理に使用するデリバティブの測定基準の違いから生じる連結損益計算書上の変動軽減と、これら金融商品に適用される会計処理の全般的な簡素化にあります。
2008年4月1日よりも前に発行された仕組債の一部は既に公正価値で計上されていましたが、それ以外は、現在も引き続き組込デリバティブを関連する負債主契約から区分処理して計上しております。区分処理されたデリバティブは公正価値で、負債主契約は償却原価で会計処理されております。
公正価値オプションが選択された仕組債および区分処理された組込デリバティブの公正価値の変動は、連結損益計算書上、収益-トレーディング損益で計上されております。
詳細については「注記10 借入」をご参照ください。
法人所得税等
資産および負債について会計上と税務上の帳簿価額の差額から生じる一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除の将来の税金への影響額は、各期に適用される税法と税率に基づき繰延税金資産または負債として計上されております。繰延税金資産は、将来において実現すると予想される範囲内で認識されております。なお、将来において実現が見込まれない場合には、繰延税金資産に対し評価性引当金を設定しております。
繰延税金資産および繰延税金負債のうち、特定の課税管轄区域内における同一納税主体に関連するものは、連結貸借対照表上相殺表示されております。繰延税金資産および繰延税金負債の純額は、連結貸借対照表上、その他の資産-その他およびその他の負債にそれぞれ計上されております。
野村は、税務ポジションが将来の税務調査で是認される確率を、専門的な観点から事実および状況ならびに期末日時点に入手可能な情報に基づき見積もり、未認識の税金費用減少効果(以下「未認識税務ベネフィット」)を認識および測定しております。野村は、追加情報を入手した、または変更を要する事象が発生した場合、未認識税務ベネフィットの水準を調整しております。未認識税務ベネフィットの再測定は、発生期における実効税率に重要な影響を及ぼす可能性があります。
野村は、法人所得税に関する利息および加算税を、連結損益計算書上、法人所得税等に計上しております。
詳細については「注記15 法人所得税等」をご参照ください。
株式報酬制度
野村により役員または従業員に付与される株式報酬は付与の条件により資本型または負債型として処理されます。
ストック・オプションのように当社株式の交付により決済される予定のある株式報酬は資本型に分類されます。資本型報酬の総報酬費用は通常付与日に固定され、付与日の公正価値に従業員が支払義務を負う金額および見積権利喪失額を差し引いて評価されます。
ファントム・ストックやカラー付ファントム・ストックプランのように現金で決済される株式報酬は負債型に分類されます。株式報酬以外の報酬制度としてファントム・インデックスプランがあります。これは、Morgan Stanley Capital International社が公表している株価指数の1つに連動し、現金で決済されるため負債型の報酬に分類されます。負債型報酬は貸借対照表日ごとに見積権利喪失額を差し引いた公正価値で再評価され、最終的な報酬費用の合計は決済額と一致します。
資本型および負債型の報酬の双方について、その公正価値は、オプション価格決定モデル、当社株式の市場価額または第三者機関の株価指数に基づいて適切に測定されます。報酬費用は、必要とされる勤務期間(契約上の受給権確定までの期間と通常一致する)にわたって連結損益計算書に認識されております。報酬が段階的に確定する場合には、段階ごとに費用計算が行われます。
2013年5月以降に付与された特定の繰延報酬には、野村での職位と勤務期間にかかる一定の条件を満たした場合、自己都合退職時点または事前に決定された期間内におけるフル・キャリア・リタイアメントの申請時点で受給権の確定を認める「フル・キャリア・リタイアメント」条項を含んでおります。これら報酬にかかる必要勤務期間は、契約上の受給権確定日または対象者がフル・キャリア・リタイアメントの条件を満たした日もしくはフル・キャリア・リタイアメントの申請をした日のいずれか早い日に終了します。
詳細については「注記13 繰延報酬制度」をご参照ください。
1株当たり当期純利益
1株当たり当期純利益は期中加重平均株式数に基づいて計算しております。希薄化後1株当たり当期純利益は、希薄化効果のあるすべての有価証券が投資家にとって最も有利な転換価格または行使価格に基づき転換され、かつ転換負債は転換仮定方式に基づき転換されると仮定して計算しております。
詳細については「注記11 1株当たり当期純利益」をご参照ください。
現金および現金同等物
現金および現金同等物には手許現金と要求払銀行預金が含まれております。
のれんおよび無形資産
企業結合の完了時に買収価額と純資産の公正価値との差額がのれんとして認識されます。当初認識以降、のれんは償却されず、減損の判定がレポーティング・ユニットのレベルで毎年第4四半期に、あるいは減損の兆候の可能性を示す事象がある場合にはそれ以上の頻度で第4四半期を待たずして行われます。野村のレポーティング・ユニットは事業別セグメントのひとつ下のレベルになります。
野村は、それぞれのレポーティング・ユニットにつき、まず定性的に事象を検証し、レポーティング・ユニットの公正価値が簿価を下回っている可能性が高い(50%超)か否かを判断します。公正価値が簿価を下回っていないと判断された場合には、それ以上の分析は必要とされません。公正価値が簿価を下回る可能性が高いと判断された場合には、定量的な2段階のテストを行います。
まず第1段階ではのれんを含めたレポーティング・ユニットの簿価を現時点での見積公正価値と比較します。ここでもし公正価値が簿価を下回る場合には、第2段階に進みます。第2段階では、レポーティング・ユニットののれんの暗示的な現時点での公正価値を、あたかもレポーティング・ユニットを企業結合により買収したかのように、レポーティング・ユニットの純資産の公正価値とレポーティング・ユニットの公正価値を比較して決定します。のれんの簿価が暗示的な現時点での公正価値を上回る場合、減損損失が認識されます。
償却されない無形資産(以下「非償却性無形資産」)は、毎年第4四半期に、または減損の兆候の可能性を示す事象または状況がある場合にはそれ以上の頻度で第4四半期を待たずして、減損の判定が行われます。のれんと同様に、野村は非償却性無形資産について、まず当該無形資産の公正価値が簿価を下回っている可能性が高い(50%超)か否かを定性的に判断します。この定性的テストで公正価値が簿価を下回っていないと判断された場合、それ以上の分析は不要となります。もし公正価値が簿価を下回る可能性が高いと判断された場合、無形資産の簿価は現時点での公正価値と比較されます。簿価が現時点の公正価値を上回る場合には減損損失が認識されます。
耐用年数に限りのある無形資産(以下「償却性無形資産」)は見積耐用年数にわたって償却され、個別単位または他の資産と合わせた単位(以下「資産グループ」)で当該無形資産(または資産グループ)の簿価が回収できない可能性を示す事象または状況がある場合に減損テストが行われます。
償却性無形資産は、その簿価または資産グループの簿価が公正価値を上回る場合に減損されます。減損損失は、無形資産(または資産グループ)の簿価が回収不可能で、かつ公正価値を上回る場合にのみ計上されます。
のれんと無形資産の両方について、減損損失が計上された場合は新たな取得原価が構築されるため、その後における当該損失の戻入れは認められません。
詳細については「注記9 その他の資産-その他およびその他の負債」をご参照ください。
野村の持分法適用投資について減損の兆候がある場合には、投資総額について一時的な減損か否かが判定されます。のれんを含む持分法適用投資先の資産に対する個別の減損判定は行われません。
リストラクチャリング費用
事業の撤収活動に関する費用は負債が発生した期に公正価値で認識されます。そのような費用には従業員に提供される一時的な退職手当、一定の契約を終了させるための費用および従業員の移転費用などが含まれます。従業員に対して継続給付制度の一部として提供される退職給付は、地域の経営陣がある程度詳細なリストラクチャリングのプランを採用することを決定した日、または退職勧告の条件が影響する従業員に提示された日のいずれか早い日に負債として認識されます。従業員との雇用契約に記載されている契約上の退職給付のうち特定の事象の発生により給付されるものについては、負債が発生した可能性が高く、かつその金額を合理的に見積もることが可能となった期に負債として認識されます。特定の事象に関する退職一時金は、地域の経営陣がある程度詳細なリストラクチャリングのプランを採用することを決定し、かつ退職勧告の条件が影響する従業員に提示された場合に認識されます。
詳細については「注記14 構造改革費用」をご参照ください。
従業員給付制度
野村は、特定の従業員に対して、年金およびその他の退職後給付を含むさまざまな退職給付制度を提供しております。これらの退職給付制度は、確定給付型制度または確定拠出型制度のいずれかに分類されます。
確定給付型の年金制度またはその他の退職後給付制度にかかる年金資産および予測給付債務ならびに退職給付費用は、貸借対照表日における、割引率、年金資産の期待運用収益率、将来の給与水準といったさまざまな数理上の見積もりに基づき認識されます。年金数理上の損益のうち予測給付債務または年金資産の公正価値のいずれか大きい額の10%を超える部分および未認識の過去勤務費用は、給付を受ける在籍従業員の平均残存勤務期間にわたって定額法で償却され、退職給付費用に計上されます。年金資産の積立超過または積立不足の状況は、連結貸借対照表上、その他の資産-その他およびその他の負債にそれぞれ計上され、積立状況の変化は、退職給付費用および法人税控除後の金額で連結包括利益計算書上、その他の包括利益に計上されます。
確定給付型制度にかかる退職給付費用およびその他の給付費用は、従業員が野村へサービスを提供したとき(通常は制度への掛金拠出時と一致)に、連結損益計算書上、人件費に計上されます。
詳細については「注記12 従業員給付制度」をご参照ください。
会計方針の変更および新しい会計基準の公表
野村が2017年3月期から適用した新しい会計基準の要約は下表のとおりです。
新会計基準概要適用日および
適用方法
連結財務諸表
への影響
ASU第2015-02号
「連結分析の変更」
・一定の投資会社、マネーマーケットファンド、適格不動産ファンドおよび類似の事業体に適用される旧変動持分事業体連結モデルを廃止することで編纂書810「連結」の複雑な連結指針を簡素化する
・一定の登録マネーマーケットファンドおよび類似の事業体に連結除外規定を設ける
・編纂書810におけるリミテッド・パートナーシップおよび類似の事業体が、変動持分事業体または議決権持分事業体のいずれに該当するかの評価方法を変更する
・変動持分事業体の連結判定に関して、報酬取決めや関連当事者関係の評価方法を変更する
・連結除外規定の対象となる一定の登録マネーマーケットファンドおよび類似の事業体への財務支援に関する新たな開示を要請する
2016年4月1日から修正遡及法により適用一定の投資ファンドの連結により、適用日の2016年4月1日において資産合計および資本合計が11,330百万円増加
経営成績への影響はなかった
ASU第2014-13号
「連結された債務担保金融事業体の金融資産および金融負債の測定」
・連結債務担保金融事業体の金融資産および金融負債を、いずれかの公正価値のうち、より観察可能な方で測定する代替法を規定する
・代替法が適用された場合、一定の定性情報の開示を要請する
2016年4月1日から修正遡及法により適用重要な影響なし
ASU第2015-07号
「1株当たり純資産価額(または同等の価額)を計算する特定の投資に関する開示」
・実務上の簡便法として純資産価額を用いて公正価値を測定している投資について、公正価値の階層別の開示を不要とする
・その他一定の開示要請を修正する
2016年4月1日から完全遡及法により適用重要な影響なし


新会計基準概要適用日および
適用方法
連結財務諸表
への影響
ASU第2016-01号
「金融資産および金融負債の認識と測定」
-自己クレジット調整の表示
・公正価値オプションを適用した金融負債にかかる未実現の公正価値の変動のうち、当該負債に特有の信用リスクに起因するもの(自己クレジット調整)を、損益ではなく、その他の包括利益として別表示することを要請する2016年4月1日から修正遡及法により適用適用日において、利益剰余金から累積的その他の包括利益に重要な金額の移動があり、また2017年3月期末において、重要な自己クレジットの調整が損益ではなく、その他包括利益として認識 (1)
ASU第2015-03号
「負債発行費用の表示の簡素化」
・借入負債に関連する負債発行費用を、個別の資産としてではなく、当該借入負債の帳簿価額から直接減額して表示することを要請する2016年4月1日から完全遡及法により適用重要な影響なし
ASU第2015-15号
「クレジットライン契約に関連する負債発行費用の表示と事後測定」
・クレジットライン契約に関連する負債発行費用を資産として繰り延べ計上し、クレジットライン契約の期間にわたって償却する会計処理を許容するSECスタッフの見解を明確化する2016年4月1日から将来に向かって適用重要な影響なし
ASU第2014-12号
「必要勤務期間後に達成される可能性のある業績目標を含む株式報酬の会計処理」
・受給権確定に影響し必要勤務期間後に達成される可能性のある業績目標は、業績条件として会計処理することを明確化する2016年4月1日から将来に向かって適用重要な影響なし
ASU第2015-05号
「クラウドコンピューティング契約の支払料金に関する顧客の会計処理」
・クラウドコンピューティング契約の支払料金にかかる会計処理を明確化する2016年4月1日から将来に向かって適用重要な影響なし
ASU第2015-16号
「測定期間中の修正に関する会計処理の簡素化」
・企業結合の取得企業による暫定的な会計処理の修正を遡及的に会計処理する要請を廃止する
・報告期間中に識別された暫定的な会計処理の修正について新たな開示を要請する
2016年4月1日から将来に向かって適用重要な影響なし

(1)自己クレジット調整から生じた累積的未実現利益の調整により、2016年4月1日において、税引後で19,294百万円が利益剰余金から累積的その他の包括利益に移動しております。2017年3月期において、税引後で△12,147百万円が損益ではなく、その他の包括利益として認識されております。自己クレジット調整の変動の詳細については「注記16 その他の
包括利益」をご参照ください。
新しい会計基準の進展
野村が2018年3月期において適用を予定する、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある新しい会計基準の要約は下表のとおりです。
新会計基準概要適用日および
適用方法
連結財務諸表
への影響
ASU第2016-05号
「デリバティブ契約の更改が既存のヘッジ会計関係に与える影響」
・編纂書815「デリバティブとヘッジ」のもと、既存のヘッジ会計関係におけるヘッジ手段に指定されたデリバティブの取引相手の変更が、当該ヘッジ関係に与える影響を明確化する2017年4月1日から修正遡及法または将来に向かって適用重要な影響は予想されない
ASU第2016-07号
「持分法会計への移行方法の簡素化」
・所有持分の増加または影響力の向上により、投資先に対して持分法会計を適用する投資会社の会計処理を簡素化する
・持分法会計は、持分投資に持分法が適用される日から将来に向かって適用することを要請する
2017年4月1日から将来に向かって適用重要な影響は予想されない
ASU第2016-09号
「従業員に対する株式報酬の会計処理の改善」
・失効について、実際に失効が生じた際に会計処理するか、失効率を報酬費用の見積もりに含めて各期の費用に配分するかを、会計方針として選択可能とする
・株式報酬にかかる税務上の超過利益は、その他資本剰余金ではなく法人税等として利益計上し、超過欠損金は税務上の超過利益(該当ある場合)との相殺ではなく法人税等として費用計上する
・税務上の超過利益が当期の未払法人税等を減少させるかにかかわらず、税務上の超過利益の認識を要請する
会計上の変更の種類に応じ、2017年4月1日から修正遡及法または将来に向かって適用重要な影響は予想されない

野村が2018年3月期後において適用を予定する、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある新しい会計基準の要約は下表のとおりです。
新会計基準概要適用日および
適用方法
連結財務諸表
への影響
ASU第2016-01号
「金融資産および金融負債の認識と測定」
-その他の変更
・すべての持分投資(一定のものを除く)を公正価値で測定し、公正価値の変動を損益に計上することを要請する
・組込デリバティブを含む、新たな金融商品の開示を要請する
・金融商品の公正価値の評価方法や仮定に関する一定の開示要請を廃止する
2018年4月1日から修正遡及法により適用重要な影響は予想されない
ASU第2014-09号
「顧客との契約から生じる収益」(2)
・編纂書605「収益認識」に規定される既存の収益認識基準およびその他の業種特有の収益認識基準を置き換える
・企業に対し、顧客への財貨またはサービスの提供により、企業が権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識することを要請する
・顧客との契約の獲得または履行のためのコストにかかる会計処理を規定する
・本人か代理人かを判別する現行指針を変更する
・顧客に提供されたサービスから生じた収益の性質、分類に関する新たな開示を要請する
2018年4月1日から修正遡及法により適用 (3)一部の収益の認識のタイミングと表示と連結損益計算書上の費用に影響がある見込み (4)
ASU第2016-02号
「リース」
・現行のリース会計基準である編纂書840「リース」を置き換え、リースの定義を変更する
・借手に対して、すべてのリースを使用権資産と対応するリース債務の認識によりオン・バランスすることを要請する
・貸手の会計処理は、現行指針から大きく変わらない
・セール・アンド・リースバック取引と借手の仕様に合わせた「ビルド・トゥ・スーツ」取引の会計処理を簡素化する
・リース取引に関する新たな定性的および定量的な開示を要請する
2019年4月1日から修正遡及法により適用 (1)潜在的な影響を現在調査中だが、連結貸借対照表上の資産と負債の両建てが見込まれる


新会計基準概要適用日および
適用方法
連結財務諸表
への影響
ASU第2016-13号
「金融商品の信用損失の測定」
・貸付金、負債証券や受取債権といった金融商品のうち、公正価値の評価差額が損益認識されないものについて、信用損失の認識と測定に関する新たなモデルを導入する。このモデルは、公正価値の評価差額が損益認識されないローン・コミットメント、スタンドバイ信用状および保険として会計処理されない金融保証など、貸借対照表に認識されない信用エクスポージャーにも適用される
・新たなモデルでは、対象となる金融商品が組成、取得または発行された際に全期間にわたる現在予想信用損失が認識される
・現行基準における発生信用損失モデルを置き換える
・信用リスクの内容、予想信用損失の見積もりや監視に用いる手法、予想信用損失に関する見積もりの変更等について、定性的および定量的な開示を要請する
2020年4月1日から修正遡及法により適用 (1)潜在的な影響を現在調査中
ASU第2016-15号
「特定の現金収入及び現金支出の分類」およびASU第2016-18号
「制限付き現金」
・特定の現金収入および現金支出についてキャッシュ・フロー計算書上の分類を変更する
・キャッシュ・フロー計算書上の制限付き現金および制限付き現金同等物の変動をキャッシュ・フロー計算書上の現金および現金同等物の変動として表示することを要請する
・制限付き現金及び制限付き現金同等物の内容及び金額に関して新しい開示を要請する
2018年4月1日から完全遡及法により適用 (1)潜在的な影響を現在調査中

(1)早期適用した場合を除きます。
(2)ASU第2015-14号「顧客との契約から生じる収益―適用日の延期」、ASU第2016-08号「顧客との契約から生じる収益―本人か代理人かの検討」、ASU第2016-10号「顧客との契約から生じる収益―履行義務の識別およびライセンス」、ASU第2016-12号「顧客との契約から生じる収益―限定的な改善及び実務上の簡便法」、ASU第2016-20号「顧客との契約から生じる収益(トピック606)に対するテクニカルな修正および改善」、およびASU第2017-05号「資産の認識中止ガイダンスの適用範囲及び非金融資産の部分的な売却の会計処理の明確化」により更に修正された。
(3)野村はASU第2014-09号と関連するガイダンスを修正遡及法により2018年4月1日より適用する予定です。
(4)現時点でのASU第2014-09号と関連するガイダンスの分析の結果、野村は連結財務諸表に以下の影響があると予想しています:
・収益として認識されている一部の財務アドバイザリー手数料の認識の遅延と、一部のアセットマネジメント販売手数料
の認識早期化
・新しいガイダンスで資産化が要求される契約獲得および履行コストの費用認識時期の変更
・修正された本人か代理人かのガイダンスの結果、一定の取引執行にかかる収益と関連費用を総額表示から純額表示にす
る連結損益計算書の表示の変更
・修正された本人か代理人かのガイダンスの結果、一定の投資銀行業務収益と関連費用を純額表示から総額表示にする連
結損益計算書の表示の変更
・サービスの提供による収益と関連費用にかかる野村の会計方針について、財務諸表注記に含まれる定性的開示の大幅な
増加
野村はこの新しいガイダンスについて、引き続き影響を調査します。その結果、適用を予定する2018年4月1日までの間に追加の影響が判明する可能性があります。野村の影響分析はまだ完了しておりませんが、収益および費用の認識タイミングの変更は、連結財務諸表には重要な影響を及ぼさないと見込んでおります。
2 公正価値測定:
金融商品の公正価値
野村が保有する金融商品の多くは公正価値で計上されております。経常的に公正価値で計上される金融資産は、連結貸借対照表上トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資、貸付金および受取債権、担保付契約、その他の資産に計上されており、金融負債は、トレーディング負債、短期借入、支払債務および受入預金、担保付調達、長期借入、その他の負債に計上されております。
その他の一義的な評価基準が公正価値に基づかない金融資産や負債は非経常的に公正価値評価されます。その場合、公正価値は当初認識以降の減損の測定など限定的な状況で使用されます。
すべての公正価値は、編纂書820の規定に従い、測定日において市場参加者の間で行われる通常の取引において、金融資産の譲渡の対価として得られるであろう金額または金融負債を移転するのに必要とされるであろう金額と定義されます。ここでいう取引は、野村が各金融資産または金融負債を取引する場合、主に利用すると想定される市場(当該主要市場がないときは最も有利な市場)における取引を想定しております。
金融商品の公正価値は原則、金融商品の会計単位と整合したうえで、個別商品ごとに決定されております。ただし、ポートフォリオ単位で管理される特定の金融商品は、ポートフォリオ単位で公正価値が測定されております。この場合、公正価値は、ネット・ロング・ポジション(純額での金融資産)の譲渡の対価として得られるであろう金額、あるいはネット・ショート・ポジション(純額での金融負債)を移転するのに必要とされるであろう金額に基づいており、測定日において市場参加者がネット・エクスポージャーに対して行う評価と整合しております。
公正価値で測定される金融資産には、特定のファンドへの投資も含まれております。こうしたファンドへの投資は、1株当たり純資産価額が公正価値算定の方法として業界で一般的に使用されている場合には、実務上の簡便的な方法として1株当たり純資産価額で公正価値を測定しております。
資産負債の公正価値の増減は、野村のポジション、パフォーマンス、流動性および資本調達に大きな影響を与えます。後述のとおり、採用している評価手法は元来不確実性を内包しているため、将来の市場動向の正確な影響を予測することはできません。野村は、市場リスクを軽減するために可能な場合には経済的なヘッジ戦略をとっております。ただし、それらのヘッジ戦略も予測することのできない市場の動向の影響を受けます。
毎期経常的に公正価値評価される金融商品の評価手法
金融商品の公正価値は、市場指数を含む取引所価格、ブローカーやディーラー気配、その時点における市場環境下で当社が出口価格と推測する見積もり価格に基づいております。現物取引と店頭取引を含めたさまざまな金融商品は、市場で観察可能なビッド価格とオファー価格を有しています。こうした商品は、ビッド価格とオファー価格の間の野村の見積公正価値をもっとも良く表している価格で公正価値評価されます。取引所価格もしくはブローカーやディーラー気配が取得できない場合は、類似する商品の価格や時価評価モデルが公正価値を決定するにあたって考慮されます。
活発な市場の取引価格が取得できる場合、それらの価格で評価された資産もしくは負債の公正価値に調整を加えることはありません。その他の商品については、観察可能な指標、観察不能な指標、またはその両方を含んだ時価評価モデルなどの評価手法が用いられます。時価評価モデルは市場参加者が類似する金融商品を評価する際に考慮するであろう指標を用いています。
時価評価モデルおよび当該モデルの基礎となる仮定は、未実現および実現損益の金額および計上時期に影響を与えます。異なる時価評価モデルや基礎となる仮定の使用は、異なる財務上の損益に結びつくことがあります。評価の不確実性は、評価手法やモデルの選定、評価モデルに用いられる数量的な仮定、モデルに用いられるデータや他の要素などといったさまざまな要素に起因します。これらの不確実性を考慮したうえで、評価は調整されます。通常用いられる調整としてはモデル・リザーブ、クレジット・アジャストメント、クローズアウト・アジャストメント、譲渡や売却の制限といった個別の商品特有の調整が含まれます。
評価の調整の程度は概して主観的なものであり、市場参加者が類似する金融商品の公正価値を決定する際に用いるであろうと当社が推測する要素に基づくものです。行われる調整のタイプ、それらの調整の計算方法、計算に用いられるデータなどは、その時々の市場慣行や新たな情報の利用可能状況を反映するように定期的に見直されます。
例えば、ある金融商品の公正価値には、野村の資産に関する取引先の信用リスクと負債に関する自社クレジットの両方に関連した信用リスクの調整を含んでおります。金融資産の信用リスクは、担保やネッティング契約などの信用補完により、大幅に軽減されています。相殺後の信用リスクは、実際の取引先の入手可能で適用可能なデータを用いて測定されます。野村の資産に対する取引先の信用リスクを測定するのと同様の手法が、野村の金融負債に対する信用リスクを測定するために用いられています。
こうした時価評価モデルは定期的に市場動向に合うよう見直され、用いられるデータは最新の市場環境とリスクに応じて調整されます。リスク・マネジメント部門内のグローバル・モデル・バリデーション・グループ(以下「MVG」)が、収益責任を負う部門から独立した立場で評価モデルをレビューし、モデルの妥当性や一貫性を評価しております。モデル・レビューにあたっては、評価の適切性や特定の商品の感応度など多くの要素を考慮しております。評価モデルは定期的に観察可能な市場価格との比較、代替可能なモデルとの比較、リスク・プロファイルの分析により市場に合うよう見直されます。
上述のとおり、債券、株式、為替、コモディティ市場において変化があれば、野村の将来の公正価値の見積もりに影響を与え、トレーディング損益に影響を与える可能性があります。また、金融商品の満期日までの期間が長ければ長いほど、客観的な市場データが得にくくなることから、野村の公正価値の見積もりはより主観的になる可能性があります。
公正価値の階層
公正価値で測定されたすべての金融商品(公正価値オプションの適用により公正価値で測定された金融商品を含む)はその測定に使用された基礎データの透明度によって3段階のレベルに分類されます。金融商品は、公正価値算定に当たり有意なデータのうち最も低いレベルによって分類されます。以下のように3段階のレベルに公正価値評価の階層は規定されており、レベル1は最も透明性の高いデータを有し、レベル3は最も透明性の低いデータを有しております。
レベル1
測定日現在の、同一の金融商品の(未調整の)取引価格を反映した観察可能な評価インプット
レベル2
レベル1に含まれる取引価格以外の、直接的に、または、間接的に観察可能な評価インプット
レベル3
野村の仮定や特定のデータを反映する観察不能な評価インプット
市場で観察可能なデータの利用可能性は商品によって異なり、種々の要素の影響を受ける可能性があります。以下に限りませんが、有意な要素には、特に商品がカスタマイズされたものである場合、市場における類似する商品の普及度、例えば新商品であるかまたは比較的成熟しているかどうかというような市場での商品の様態、現在のデータが取得できる頻度および量などの市場から得られる情報の信頼性などが含まれます。市場が著しく変動している期間は、利用可能で観察可能なデータが減少する場合があります。そのような環境の下では、金融商品は公正価値評価の階層の下位レベルに再分類される可能性があります。
金融商品の分類を決定する際の重要な判断には、商品が取引される市場の性質、商品が内包するリスク、市場データの種類と流動性、および類似した商品から観察された取引の性質が含まれます。
評価モデルに市場においてあまり観察可能ではないデータあるいは観察不能なデータを使用する場合には、公正価値の決定過程には当社の重要な判断が含まれます。そのため、レベル1やレベル2の金融商品に比べて、レベル3の金融商品の評価にはより多くの判断が含まれます。
市場が活発であるかどうかを判断するために当社が用いる重要な基準は、取引数、市場参加者による価格更新の頻度、市場参加者による取引価格の多様性および公表された情報の量などです。
次の表は、野村が保有する毎期経常的に公正価値評価される金融商品の2016年3月31日および2017年3月31日現在のレベル別の金額を示しています。
(単位:十億円)
2016年3月31日
レベル1レベル2レベル3取引相手毎および現金担保との相殺(1)2016年
3月31日
残高
資産:
トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資(2)
エクイティ(3)1,03274234-1,808
プライベート・エクイティ投資(3)--20-20
日本国債2,973---2,973
日本地方債・政府系機関債-215--215
外国国債・地方債・政府系機関債3,6731,3834-5,060
銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金-1,061107-1,168
商業用不動産ローン担保証券(CMBS)-4417-61
住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)-3,0659-3,074
不動産担保証券--38-38
債務担保証券(CDO)等(4)-8010-90
受益証券等356952-453
トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資合計8,0346,685241-14,960
デリバティブ資産(5)
エクイティ・デリバティブ51,22951-1,285
金利デリバティブ1128,688126-28,825
信用デリバティブ164929-679
為替取引06,88621-6,907
商品デリバティブ10--1
取引相手毎および現金担保との相殺---△36,325△36,325
デリバティブ資産合計1837,452227△36,3251,372
小計8,05244,137468△36,32516,332
貸付金および受取債権(6)-27726-303
担保付契約(7)-1,099--1,099
その他の資産
トレーディング目的以外の負債証券3375340-871
その他(2)(3)42612257-605
合計8,81546,169551△36,32519,210
負債:
トレーディング負債
エクイティ1,108290-1,137
日本国債1,746---1,746
日本地方債・政府系機関債-9--9
外国国債・地方債・政府系機関債2,203747--2,950
銀行および事業会社の負債証券-5193-522
商業用不動産ローン担保証券(CMBS)-0--0
住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)-3--3
債務担保証券(CDO)等(4)-2--2
受益証券等7820-80
トレーディング負債合計5,1351,3113-6,449

(単位:十億円)
2016年3月31日
レベル1レベル2レベル3取引相手毎および現金担保との相殺(1)2016年
3月31日
残高
デリバティブ負債(5)
エクイティ・デリバティブ51,49145-1,541
金利デリバティブ828,380109-28,497
信用デリバティブ177629-806
為替取引06,62430-6,654
商品デリバティブ80--8
取引相手毎および現金担保との相殺---△36,456△36,456
デリバティブ負債合計2237,271213△36,4561,050
小計5,15738,582216△36,4567,499
短期借入(8)130921-331
支払債務および受入預金(9)-00-0
担保付調達(7)-571--571
長期借入(8)(10)(11)1052,265331-2,701
その他の負債(12)1501112-263
合計5,41341,838570△36,45611,365

(単位:十億円)
2017年3月31日
レベル1レベル2レベル3取引相手毎および現金担保との相殺(1)2017年
3月31日
残高
資産:
トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資(2)
エクイティ(3)1,19998434-2,217
プライベート・エクイティ投資(3)--13-13
日本国債2,319---2,319
日本地方債・政府系機関債-1741-175
外国国債・地方債・政府系機関債2,7041,1343-3,841
銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金-1,178108-1,286
商業用不動産ローン担保証券(CMBS)-101-11
住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)-3,7870-3,787
不動産担保証券--41-41
債務担保証券(CDO)等(4)-6427-91
受益証券等256560-312
トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資合計6,4787,387228-14,093
デリバティブ資産(5)
エクイティ・デリバティブ698640-1,032
金利デリバティブ1015,29388-15,391
信用デリバティブ148511-497
為替取引06,39939-6,438
商品デリバティブ10--1
取引相手毎および現金担保との相殺---△22,322△22,322
デリバティブ資産合計1823,163178△22,3221,037
小計6,49630,550406△22,32215,130
貸付金および受取債権(6)047366-539
担保付契約(7)-1,0845-1,089
その他の資産
トレーディング目的以外の負債証券212563--775
その他(2)(3)571109163-843
合計7,27932,779640△22,32218,376
負債:
トレーディング負債
エクイティ1,0002731-1,274
日本国債2,182---2,182
日本地方債・政府系機関債-4--4
外国国債・地方債・政府系機関債2,634627--3,261
銀行および事業会社の負債証券-503--503
住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)-0--0
債務担保証券(CDO)等(4)-21-3
受益証券等423--45
トレーディング負債合計5,8581,4122-7,272

(単位:十億円)
2017年3月31日
レベル1レベル2レベル3取引相手毎および現金担保との相殺(1)2017年
3月31日
残高
デリバティブ負債(5)
エクイティ・デリバティブ51,19946-1,250
金利デリバティブ515,084110-15,199
信用デリバティブ161921-641
為替取引06,08016-6,096
商品デリバティブ40--4
取引相手毎および現金担保との相殺---△22,270△22,270
デリバティブ負債合計1522,982193△22,270920
小計5,87324,394195△22,2708,192
短期借入(8)-33170-401
支払債務および受入預金(9)-00-0
担保付調達(7)-5373-540
長期借入(8)(10)(11)1092,036410-2,555
その他の負債(12)3511051-457
合計6,33327,403679△22,27012,145

(1)デリバティブ資産および負債の取引相手毎の相殺額およびデリバティブ取引純額に対する現金担保の相殺額であります。
(2)ASU第2015-07号「1株当たり純資産価額(または同等の価額)を計算する特定の投資に関する開示」(以下ASU2015-07)の適用により、実務上の簡便法として純資産価額を用いて公正価値を測定している投資は公正価値の階層から除いております。過年度の数値は組み替えて表示しております。前連結会計年度末および当連結会計年度末において、これらの投資はトレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資にそれぞれ78十億円および62十億円、その他の資産-その他にそれぞれ4十億円および8十億円含まれています。
(3)公正価値オプションを選択していなければ持分法を適用していたエクイティ投資を含んでおります。
(4)ローン担保証券(CLO)、資産担保証券(ABS)(クレジットカード・ローン、自動車ローン、学生ローン等)を含みます。
(5)デリバティブ資産および負債の各区分には、複数のリスク区分を複合的に参照するデリバティブも含まれております。例えば金利デリバティブには、金利リスクや為替リスクの複合的なデリバティブや、期中償還率のようなその他のリスクも同時に参照するデリバティブが含まれております。信用デリバティブには、クレジット・デフォルト・スワップの他、債券を参照するデリバティブも含まれております。
(6)貸付金のうち公正価値オプションを選択したものを含んでおります。
(7)担保付契約および担保付調達のうち公正価値オプションを選択したものを含んでおります。
(8)公正価値オプションを選択した仕組債等を含んでおります。
(9)区分処理されている受入預金の組込デリバティブ部分を含んでいるため、野村にとって評価益が評価損を上回る場合は当該部分が受入預金から控除されております。
(10)区分処理されている発行済み仕組債の組込デリバティブ部分を含んでいるため、野村にとって評価益が評価損を上回る場合は当該部分が借入から控除されております。
(11)売却取引ではなく金融取引として会計処理された担保付金融取引によって認識される負債を含んでおり、当該負債について公正価値オプションを選択しております。
(12)公正価値オプションを選択した貸付金の貸出コミットメントを含んでおります。
主要な金融商品の評価手法
金融商品の公正価値評価額の推定にあたり、野村が用いた主要な金融商品種別毎の評価手法、および公正価値階層帰属先決定にあたって有意となったデータは、以下のとおりです。
エクイティおよびその他の資産に含まれる投資持分証券:エクイティおよびその他の資産に含まれる投資持分証券は、上場・非上場のエクイティ証券およびファンド投資を含みます。上場エクイティ証券の公正価値は、取引の活発な市場における同一証券の取引価格が利用可能であれば、それを用いて決定されております。そのような評価は市場慣行に即していなければならず、そのためビッド価格もしくは仲値に基づきます。野村は、証券取引の数量および取引頻度によって、取引の活発な市場であるかどうかを判断しております。これら証券がレベル1の階層に分類される場合、公正価値の調整は行われません。取引の活発ではない市場で取引されている上場エクイティ証券も同様に通常は取引所価格を用いて評価され、レベル2に分類されます。非常に稀ながら、実務上、取引の活発ではない市場で取引されている取引所価格が適切な公正価値を示していないと考えられる場合、取引所価格にディスカウントや流動性アジャストメントを反映させることがあります。こうした調整の有無は個別銘柄毎に判断されており、野村の当該銘柄の保有数量は判断の材料とはなっておりません。取引が活発ではない市場で取引される上場エクイティ証券に対するこうした調整について、2016年3月31日現在および2017年3月31日現在に認識している金額はありません。非上場エクイティ証券の公正価値は後述のプライベート・エクイティ投資と同様の評価手法を用いて決定され、流動性ディスカウントやクレジット・スプレッドのような有意な評価データが観察不能であるため、通常レベル3に分類されます。実務上の簡便法として、容易に決定されうる公正価値を持たないファンド投資については、1株当たり純資産価額が取得可能な場合は通常それを用いて評価されます。日々公表される1株当たり純資産価額を用いて評価されている上場投資信託はレベル1に分類されます。野村が運用会社に対し貸借対照表日当日あるいは相当の期間内で1株当たり純資産価額にて解約可能なファンド投資はレベル2に分類されます。野村が相当の期間内で解約することができない場合、あるいはいつ解約が可能か不明なファンド投資はレベル3に分類されます。不動産ファンドへのエクイティ投資の評価手法には財務成績を計るために純営業収益を使用する直接還元法(Direct Capitalization Method(以下「DCM」))を用いており、参照する不動産の属性に応じた還元利回りを適用いたします。DCMを評価に用いるエクイティ投資は、評価する不動産ファンドが保有する不動産ないしは類似した不動産に対する観察可能な還元利回りが通常入手できないため、一般的にレベル3に分類されます。
プライベート・エクイティ投資:非上場プライベート・エクイティ投資は元来価格の透明性がない、ないしは低いため、公正価値の決定に際しては当社独自の重要な判断が求められます。プライベート・エクイティ投資は当初は公正価値であると見積もられた取得価額で計上されます。第三者取引事例などで価格の変動が明らかな場合には、帳簿価額は調整されます。第三者取引が存在しない場合でも、予想される出口価格が帳簿価額と異なると判断された場合は、帳簿価額を調整することがあります。こうした決定に際しては主に、割引現在価値法(Discounted Cash Flow(以下「DCF」))またはマルチプル法を使用します。DCF法とは適切な成長率に基づいて調整した投資先から生じる予測将来キャッシュ・フローを、加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital(以下「WACC」))により割り引く内部評価モデルです。マルチプル法とはEV/EBITDA、株価収益率、株価純資産倍率、株価潜在価値比率、投資先の財務諸表数値と比較対象となる他社の株価の関係から導かれるその他の評価倍率などの比較数値を用いた評価手法です。また、投資先特有の属性を反映させるためDCF法ないしはマルチプル法に対して流動性ディスカウントを考慮することがあります。可能な場合にはこうした評価は、投資先の営業キャッシュ・フローおよび財務業績ないしは予算または見積もりに関連する資産、類似の公開企業の株価や利益数値、業種または地域内の傾向およびその投資に関連する特定の権利または条件(例えば転換条項や残余財産分配優先権)と比較されます。プライベート・エクイティ投資は、前述した評価データの多くが観察不能あるいは不確実性が高いため、通常レベル3に分類されます。
国債、地方債ならびに政府系機関債:日本を含むG7の政府が発行する国債の公正価値は、主に取引所価格、執行可能なブローカーやディーラー気配、あるいはこれらに代替し得る価格情報を用いて決定されております。これらの証券は活発な取引のある市場にて取引されており、したがって公正価値階層においてはレベル1に分類されております。G7以外の政府が発行する国債、政府系機関債および地方債についてはG7国債同様の価格情報を用いて評価されておりますが、これらの債券は取引の活発ではない市場で取引されているため、通常レベル2に分類されております。一部のG7以外の政府が発行する証券については、活発な取引のある市場にて取引されているため、レベル1に分類されることもあります。一部の証券については、取引が頻繁に行われず、比較可能な証券からレベル2に分類するために必要な価格情報が得られないため、レベル3に分類されることがあります。これらの証券は発行体のクレジット・スプレッドなどの有意な観察不能データを含むDCF法によって評価されます。
銀行および事業会社の負債証券:銀行および事業会社の負債証券の公正価値は、主としてDCF法だけではなく、可能な場合には当該証券あるいは類似証券のブローカーやディーラー気配、直近の取引事例を用いて決定されております。ブローカーやディーラーの気配については、価格が単なる気配か執行可能かという点、気配を取得できるブローカーやディーラーの社数、直近の市場動向や代替の価格情報と比較した気配の水準などの特性も考慮されております。DCF法に用いられる有意な評価データは、利回り曲線、アセット・スワップ・スプレッド、回収率、発行体のクレジット・スプレッドなどであります。銀行および事業会社の負債証券は通常こうした評価データが観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。しかし、一部の銀行および事業会社の負債証券については、取引が散発的であり、かつ比較可能な証券からレベル2に分類するために必要な情報が得られないこと、ないしはDCF法に使用される発行体のクレジット・スプレッドまたは回収率が観察不能であることから、レベル3に分類されることがあります。
商業不動産ローン担保証券(CMBS)および住宅不動産ローン担保証券(RMBS):CMBSおよびRMBSの公正価値は、主としてDCF法だけではなく、可能な場合には当該証券あるいは類似証券のブローカーやディーラー気配、直近の取引事例を用いて決定されております。ブローカーやディーラーの気配については、価格が単なる気配か執行可能かという点、気配を取得できるブローカーやディーラーの社数、直近の市場動向や代替の価格情報と比較した気配の水準などの特性も考慮されております。DCF法に用いられる有意な評価データは、利回り、期中償還率、デフォルト確率および損失率などであります。CMBSおよびRMBSは通常こうした評価データが観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。しかし、一部のCMBSおよびRMBSについては取引が散発的であり、かつ比較可能な証券からレベル2に分類するために必要な情報が得られないこと、ないしはDCF法に使用される1つ以上の評価データが観察不能であることから、レベル3に分類されることがあります。
不動産担保証券:不動産担保証券の公正価値はブローカーやディーラー気配、直近の市場取引または比較可能な市場指数を参照して決定されております。ブローカーやディーラーの気配については、価格が単なる気配か執行可能かという点、気配を取得できるブローカーやディーラーの社数、直近の市場動向や代替の価格情報と比較した気配の水準などの特性も考慮されております。有意なデータがすべて観察可能である場合、当該証券はレベル2に分類されます。一部の証券は直接的な価格のソースや比較可能な証券や指標が利用できません。そのような証券はDCF法やDCMを用いて評価されており、利回りまたは損失率などの有意な観察不能な評価データが含まれるため、レベル3に分類されます。
債務担保証券(CDO)等:CDO等は、主としてDCF法だけではなく、可能な場合には当該証券あるいは類似証券のブローカーやディーラーの気配、直近の取引事例を用いて決定されております。ブローカーやディーラーの気配については、価格が単なる気配か執行可能かという点、気配を取得できるブローカーやディーラーの社数、直近の市場動向や代替の価格情報と比較した気配の水準などの特性も考慮されております。DCF法に用いられる有意な評価データは、信用格付毎の市場スプレッド、利回り、期中償還率、デフォルト確率および損失率などであります。CDO等はこうした評価データが観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。しかし、一部のCDO等についてはDCF法に使用される1つ以上の有意な評価データが観察不能であるため、レベル3に分類されることがあります。
受益証券等:受益証券の公正価値は、主に1株当たり純資産価額を用いて決定されております。日々公表されている1株当たり純資産価額で評価されている上場投資信託は、公正価値階層のレベル1に分類されております。非上場投資信託について、野村が投信運用会社に対し、貸借対照表日現在の1株当たり純資産価額で当日あるいは相当の期間内に解約し得る場合はレベル2に分類されます。野村が相当の期間内に解約できないあるいはいつ解約が可能か不明な場合は、レベル3に分類されます。受益証券等に計上される特定の投資の公正価値はDCF法を用いて決定されております。こうした投資は、発行体のクレジット・スプレッドや相関係数のような有意な観察不能データで評価されているため、レベル3に分類されます。
デリバティブ(エクイティ・デリバティブ):野村はインデックス・オプション、エクイティ・オプション、エクイティ・バスケット・オプション、インデックス・スワップ、エクイティ・スワップ等の上場デリバティブおよび店頭デリバティブを取引しております。上場エクイティ・デリバティブの公正価値は、活発な市場で取引され、取引所価格が公正価値を表している場合は未調整の取引所価格を用いて決定され、公正価値階層のレベル1に分類されております。取引が活発でない市場で取引される場合、ないしは取引所価格が公正価値を表していない場合の上場エクイティ・デリバティブの公正価値はモデル価格を用いて決定され、レベル2に分類されます。店頭デリバティブの公正価値はブラック・ショールズ・モデル、モンテカルロ・シミュレーション等のオプションモデルにより決定されております。使用される有意な評価データにはエクイティ価格、配当利回り、ボラティリティおよび相関係数が含まれております。加えて、モデル評価に際してはデリバティブ資産にかかる取引相手のクレジット・リスクならびにデリバティブ負債にかかる野村の信用リスクを反映させるために調整を行っております。店頭デリバティブはすべての有意な評価データおよび調整が観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。一部の流動性の低いバニラ型、ないしはエキゾチック型のエクイティ・デリバティブについて配当利回り、ボラティリティ、相関係数などの評価データが有意かつ観察不能である場合は、レベル3に分類されます。
デリバティブ(金利デリバティブ):野村は金利スワップ、為替スワップ、金利オプション、金利先渡契約、スワップション、キャップ取引、フロア取引等の上場デリバティブおよび店頭デリバティブを取引しております。上場金利デリバティブの公正価値は、活発な市場で取引され、取引所価格が公正価値を表している場合は未調整の取引所価格を用いて決定され、公正価値階層のレベル1に分類されております。取引が活発でない市場で取引される場合、ないしは取引所価格が公正価値を表していない場合の上場金利デリバティブの公正価値はモデル価格を用いて決定され、レベル2に分類されます。店頭デリバティブの公正価値は、DCF法や、ブラック・ショールズ・モデル、モンテカルロ・シミュレーション等のオプションモデルにより評価されております。使用される有意な評価データには金利、先物為替、ボラティリティおよび相関係数が含まれております。加えて、モデル評価に際してはデリバティブ資産にかかる取引相手のクレジット・リスクならびにデリバティブ負債にかかる野村の信用リスクを反映させるために調整を行っております。店頭デリバティブはすべての有意な評価データおよび調整が観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。一部の流動性の低いバニラ型、ないしはエキゾチック型の店頭金利デリバティブについて金利、ボラティリティ、相関係数などの評価データが有意かつ観察不能である場合は、レベル3に分類されます。
デリバティブ(信用デリバティブ):野村は特定の相手先、指数、複数の相手先を参照するクレジット・デフォルト・スワップ、クレジット・オプション等の店頭デリバティブを取引しております。店頭デリバティブの公正価値は、DCF法や、ブラック・ショールズ・モデル、モンテカルロ・シミュレーション等のオプションモデルにより評価されております。使用される有意な評価データには金利、クレジット・スプレッド、回収率、デフォルト確率、ボラティリティおよび相関係数が含まれております。加えて、モデル評価に際してはデリバティブ資産にかかる取引相手のクレジット・リスクならびにデリバティブ負債にかかる野村の信用リスクを反映させるために調整を行っております。店頭デリバティブはすべての有意な評価データおよび調整が観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。一部の流動性の低いバニラ型、ないしはエキゾチック型の店頭信用デリバティブについてクレジット・スプレッド、回収率、ボラティリティ、相関係数などの評価データが有意かつ観察不能である場合は、レベル3に分類されます。
デリバティブ(為替取引):野村は為替先物、通貨オプション等の上場デリバティブおよび店頭デリバティブを取引しております。取引が活発でない市場で取引される場合、ないしは取引所価格が公正価値を表していない場合の上場デリバティブの公正価値はモデル価格を用いて決定され、レベル2に分類されます。店頭デリバティブの公正価値は、DCF法や、ブラック・ショールズ・モデル、モンテカルロ・シミュレーション等のオプションモデルにより評価されております。使用される有意な評価データには金利、先物為替、直物為替、ボラティリティが含まれております。加えて、モデル評価に際してはデリバティブ資産にかかる取引相手のクレジット・リスクならびにデリバティブ負債にかかる野村の信用リスクを反映させるために調整を行っております。店頭デリバティブはすべての有意な評価データおよび調整が観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。一部のデリバティブについて金利、ボラティリティ、相関関係などの評価データが有意かつ観察不能である場合は、レベル3に分類されます。
野村は、主要な市場における市場参加者が公正価値を算定するために使用するであろう手法に合致させるため、特定の店頭デリバティブ取引の公正価値を見積もる際にファンディングコストに基づく評価の調整を行っております。
貸付金:トレーディング資産として、あるいは公正価値オプションの適用により公正価値で計上されている貸付金の公正価値は通常は取引価格が利用できないため、主にDCF法により決定されております。評価データには銀行および事業会社の負債証券と同様のデータが用いられております。貸付金は通常こうした評価データが観察可能であるため、一般的にはレベル2に分類されます。しかし、一部の貸付金については取引が散発的であり、当該貸付金と比較可能な負債証券からレベル2に分類するために必要な情報が得られないため、もしくはDCF法に使用する発行体のクレジット・スプレッドが有意かつ観察不能であるため、レベル3に分類されます。
担保付契約および担保付調達:公正価値で計上されている売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券は公正価値オプションを適用しており、公正価値は主にDCF法により決定されております。評価データには金利、GC取引やSC取引の貸借料を含みます。売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券は通常こうした評価データが観察可能であるため、一般的にはレベル2に分類されます。
トレーディング目的以外の負債証券:トレーディング業務を行わない当社の子会社が保有する負債証券は、前述した国債、地方債ならびに政府系機関債および銀行および事業会社の負債証券と同様の評価手法により公正価値が決定され、公正価値階層に分類されております。
短期および長期借入(仕組債):仕組債とは野村および連結変動持分事業体によって発行された負債証券で、投資家に対し単純な固定あるいは変動金利に代えて、株価または株価指数、商品相場、為替レート、第三者の信用格付、またはより複雑な金利等の変数によって決定されるリターンが支払われるという特徴が組み込まれたものを指します。仕組債の公正価値は、活発な取引のある市場における当該債務の取引価格があればそれを用いて評価され、それがない場合は同等債務が資産として取引された場合における取引価格、類似債務の取引価格、類似債務が資産として取引された場合における取引価格、仕組債に組み込まれた特徴に応じたDCF法とオプションモデルによる内部評価モデル等を組み合わせた評価手法により評価されております。内部評価モデルを使用する場合、野村は負債証券部分と組込デリバティブ部分の両方の公正価値を評価しております。仕組債のうち、負債証券部分の公正価値を評価するための有意な評価データには利回り、期中償還率、デフォルト確率、損失率が含まれます。組込デリバティブ部分の公正価値を評価するための評価データには前述した店頭デリバティブと同様のデータが用いられております。仕組債の公正価値には野村の信用リスクを反映するための調整が含まれており、調整の結果、2016年3月31日現在の公正価値は23十億円減少、2017年3月31日現在の公正価値は10十億円減少いたしました。2016年3月期より、この調整額を算出するための評価方法を、主要な評価データである野村のクレジット・スプレッドの期間構造をより精緻に反映するよう変更しています。この調整は直近の観察可能な流通市場における売買や野村の負債証券を含む執行可能な水準のブローカー気配に基づいて行われており、一般的にはレベル2として分類されております。仕組債は通常評価データと調整が観察可能であるため、一般的にはレベル2に分類されます。組込デリバティブの公正価値を評価する際に用いられる利回り、期中償還率、デフォルト確率、損失率、ボラティリティおよび相関係数といった観察不能なデータが有意な場合は、レベル3に分類されます。
長期借入(担保付金融取引):担保付金融取引は、金融資産移転取引が編纂書860に基づく売却会計処理の要件を満たさず、当該取引が担保付資金調達として会計処理される場合に認識される負債であります。これらの債務は、連結貸借対照表上に残存する移転された金融資産に適用された評価手法と同様の手法を用いて評価されます。したがって、公正価値評価階層も当該資産と同じレベルに分類されます。野村はこれらの債務に対して一般的な遡及義務を負わないことから、評価にあたっては野村の信用リスクを反映する調整は行いません。
評価プロセス
野村では、公正価値の階層内でレベル3に分類される金融商品を含む、連結財務諸表上に計上される金融商品のあらゆる公正価値測定の適正性を確保するため、金融商品のリスクを負うトレーディング部門から独立した組織として、公正価値測定の裁定または検証を行うための管理機能および支援機能を有するガバナンス・フレームワークを運営しております。評価方針および手続の定義、実行、管理に対して直接責任を有する野村内の部署は、以下のとおりです。
・財務部門内のプロダクト・コントロール・バリュエーション・グループ(以下「PCVG」)が、一義的には公正価値測定の決定に関して、評価方針および手続の決定、履行について責任を有しております。特に当該グループが、米国会計原則に基づき、各タイプ別の金融商品に対する評価方針の文書化を担当しております。トレーディング業務の中でマーケットメーカーやディーラー等のトレーディング部門が当社の金融商品の価格を付ける責任を負う一方で、PCVGは独立した立場でその価格の検証および認証を行う責任を負います。意見の相違が生じた場合や公正価値の見積もりに判断が必要な場合には、連結財務諸表に計上される公正価値は、トレーディング部門から独立したシニア・マネジメントによって評価されます。PCVGはプロダクト・コントロールのグローバルヘッド、そして最終的に財務統括責任者(以下「CFO」)に報告を行います。
・財務部門内のアカウンティング・ポリシー・グループ(以下「APG」)は、公正価値の決定に関連した編纂書820およびその他の関連する意見書を含めた米国会計原則に基づいて、野村の会計方針および手続を定めております。APGはアカウンティング・ポリシーのグローバルヘッド、そして最終的にCFOに報告を行います。
・リスク・マネジメント部門内のMVGは、公正価値測定を行うモデルの設計や開発を行う部署とは独立した立場で、当該モデルの適正性および一貫性を確認しております。MVGはチーフ・リスク・オフィサーに報告を行います。
特にレベル3を中心にした金融商品に対する野村の評価プロセスにおいては、独立した価格評価の検証、プライシング・モデルの認証および収益の検証における手続が基本的なガバナンス・フレームワークの構成要素となります。
独立した価格評価の検証プロセス
独立した価格評価の検証プロセス(Independent Price Verification Processes(以下「IPVプロセス」))における主要な目的は、野村のすべての金融商品に適用されている公正価値測定の適正性を検証することです。このプロセスでは、可能な限り観察可能なデータを用いており、観察不能なデータを必要とする場合には、適用する評価手法およびデータの適正性、合理性、整合性の確保を行っております。
IPVプロセスは、定期的に外部の水準に対するすべてのポジションの公正価値を検証しようとするものです。このプロセスには、取引状況、指標、価格などのデータを内部および外部のデータソースから取得し、ポジションを外部価格に置き換えた場合の影響を調査することを含みます。また、担保の受渡しプロセスにおいて、取引の評価に差異があり、担保金額の公正価値評価に差異がある場合、適正な公正価値を確定するためにその差異を調査いたします。
ブローカー、ディーラーあるいはコンセンサス・プライシング・サービスに基づいた外部の価格情報をIPVプロセスの一部として使用する場合、その情報が直近の市場の実勢取引を反映しているか、またはその価格で商品自体ないし類似の金融商品の取引の執行が現在可能かについて検討を行います。そのような取引や価格の情報がない場合、当該金融商品は通常レベル3に分類されます。
観察可能な市場情報が公正価値測定のためのデータの中に欠如している場合、PCVGおよびMVGは比較可能な商品、サーフェス、カーブおよび過去の取引を含めた利用可能な情報を考慮し、データの妥当性を評価します。追加調整は、相関係数等のデータが不確実な場合、もしくはトレーディング・デスクが市場水準の確認のため取引を行った場合などに行われます。
評価モデルのレビューおよび検証
複雑な金融商品に対しては、公正価値評価上プライシング・モデルが使用されます。MVGによる独立モデル承認手続きでは、モデルの仮定の妥当性がさまざまなパラメーターに対して検討されます。当該プロセスにおける検討事項は次のとおりです。
・モデルの対象(異なる金融商品にも一貫した評価方法が適用されます)
・数学的あるいは経済的な仮定
・境界条件や安定性のテスト、シミュレーションの収束性やカリブレーションの質と安定性のテストに加え、独立ベンチマーク・モデルとの比較
・野村のトレーディングおよびリスクシステム内の評価モデルの整合性
・リスク値の計算およびリスクレポーティング
・ヘッジ戦略/モデルの用途
新しい評価モデルはMVGによってレビューおよび承認されます。その後は最低年1回の頻度でMVGによりレビュー(モデルの再承認)が行われます。
収益の検証
プロダクト・コントロール機能は、純収益の日次および定期的な分析・レビューを通じて、野村の評価方針の堅持を行っております。このプロセスには金利、クレジット・スプレッド、ボラティリティ、為替レートなど参照商品を踏まえた要因分析を通じて、収益金額の検証を行うことを含んでおります。IPVプロセスとあわせて行われる日次、週次、月次および四半期毎に実行される収益検証のためのレビューは、記帳、価値評価もしくはリスク計測の潜在的な問題の特定と解決に結びついております。
レベル3金融商品
前述のとおり、レベル3金融商品の評価は、市場で観察できない特定の有意なデータに基づいております。活発でない市場は、金融商品の取引量が少ない、価格の見積もりが最新ではない、価格の見積もりが時間の経過やマーケットメーカーにより大幅に変わる、執行可能ではないブローカー気配もしくは情報の公共性がほとんどないという共通する特性を持ちます。
仮にレベル3金融商品の評価に確定的な根拠が利用できない場合は、公正価値は市場にある他の同等の商品を参考として計算されます。特定のレベル3金融商品とベンチマークに適用される金融商品の相関の度合いは、観察不能なデータとしてみなされます。市場で観察不能なデータを適切に評価するために使用されるその他の手法では、特定の市場参加者間のコンセンサス・プライス・データ、過去のトレンド、観察可能な市場データからの推定、市場参加者が類似する商品の評価に使用すると野村が想定するその他の情報を考慮します。
レベル3金融商品の評価のために適当かつ代替可能なデータの仮定を使用した場合、公正価値の決定に重要な影響を与えます。最終的には、前述のデータの仮定に関する不確実性は、レベル3金融商品の公正価値が主観的な見積もりであることを示します。それぞれの金融商品における特定の評価は、野村の定めている評価方針および手続に沿った、一般的な市場環境下の経営判断に基づきます。
有意な観察不能なデータに関する定量的および定性的な情報
次の表は、2016年3月31日および2017年3月31日現在のレベル3金融商品の公正価値を決定するのに使用される有意な観察不能なデータに関する定量的および定性的な情報を示しております。レベル3金融商品は、一般的に公正価値階層のレベル1ないしはレベル2に使用される観察可能な評価データも含んでおりますが、これらの評価データは表に含まれておりません。また、レベル3金融商品は多くの場合、レベル1ないしはレベル2に分類される金融商品によってヘッジされております。
野村が使用する有意な観察不能のデータの変動は、金融商品に対する公正価値測定に影響を与えます。以下の表には、有意な観察不能なデータが増加した場合の各分類の金融商品の公正価値測定の感応度、および公正価値を決定するのに2つ以上の有意な観察不能なデータが使用されている場合には、そのデータ間の相関についての定性的な情報も記載しております。
2016年3月31日
金融商品公正価値
(十億円)
評価手法有意な
観察不能データ
データの範囲
(1)
加重平均
(2)
観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(3)(4)観察不能な
データ同士の相関
(5)
資産:
トレーディング資産および
プライベート・エクイティ投資
エクイティ34DCF流動性
ディスカウント
30.0-45.0%41.7%公正価値の
減少
-
プライベート・
エクイティ投資
20マルチプルEV/EBITDA7.8倍7.8倍公正価値の
増加
収益水準が一定と仮定した場合、一般的にマルチプル法に対する仮定の変動は、公正価値の変動に対して同方向の影響を与えます
株価潜在価値比率1.1倍1.1倍公正価値の
増加
流動性
ディスカウント
0.0-30.0%22.9%公正価値の
減少
外国国債・地方債・
政府系機関債
4DCFクレジット・
スプレッド
0.0-5.9%1.3%公正価値の
減少
-
銀行および事業会社の
負債証券・売買目的の
貸付金
107DCFクレジット・
スプレッド
0.0-40.7%5.3%公正価値の
減少
予測可能な
相関はありません
回収率0.0-97.0%68.6%公正価値の
増加
商業用不動産ローン
担保証券(CMBS)
17DCF利回り0.0-183.1%7.7%公正価値の
減少
予測可能な
相関はありません
損失率0.0-20.0%10.0%公正価値の
減少
住宅用不動産ローン
担保証券(RMBS)
9DCF利回り0.0-17.4%4.1%公正価値の
減少
予測可能な
相関はありません
期中償還率2.7-12.0%9.0%公正価値の
減少
損失率4.5-60.6%30.1%公正価値の
減少
不動産担保証券38DCF利回り4.0-165.1%25.3%公正価値の
減少
予測可能な
相関はありません
損失率0.0-100.0%21.4%公正価値の
減少
債務担保証券(CDO)等10DCF利回り10.8-25.0%21.1%公正価値の
減少
一般的に、デフォルト確率は損失率とは同じ方向に、期中償還率とは反対の方向に変動します
期中償還率4.0-20.0%19.6%公正価値の
減少
デフォルト確率2.0-5.5%2.6%公正価値の
減少
損失率30.0-88.0%31.8%公正価値の
減少

2016年3月31日
金融商品公正価値
(十億円)
評価手法有意な
観察不能データ
データの範囲
(1)
加重平均
(2)
観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(3)(4)観察不能な
データ同士の相関
(5)
デリバティブ(純額):
エクイティ・
デリバティブ
6オプション・
モデル
配当利回り0.0-13.7%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
ボラティリティ0.0-125.2%-公正価値の
増加
相関係数△0.74-0.99-公正価値の
増加
金利デリバティブ17DCF/金利0.1-3.3%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
オプション・
モデル
ボラティリティ13.8-17.4%-公正価値の
増加
ボラティリティ31.9-83.0bp-公正価値の
増加
相関係数△0.65-1.00-公正価値の
増加
信用デリバティブ0DCF/クレジット・
スプレッド
0.0-45.9%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
オプション・
モデル
回収率0.0-90.0%-公正価値の
増加
ボラティリティ30.0-58.1%-公正価値の
増加
相関係数0.26-0.87-公正価値の
増加
為替取引△9オプション・
モデル
ボラティリティ1.0-31.6%-公正価値の
増加
-
貸付金および受取債権26DCFクレジット・
スプレッド
0.0-16.8%4.9%公正価値の
減少
-
その他の資産
その他(6)57DCFWACC5.5%5.5%公正価値の
減少
予測可能な
相関はありません
成長率1.0%1.0%公正価値の
増加
クレジット・
スプレッド
0.6-0.7%0.7%公正価値の
減少
流動性
ディスカウント
30.0%30.0%公正価値の
減少
マルチプルEV/EBITDA4.0-13.5倍8.0倍公正価値の
増加
収益水準が一定と仮定した場合、一般的にマルチプル法に対する仮定の変動は、公正価値の変動に対して同方向の影響を与えます
株価収益率3.7-31.5倍19.6倍公正価値の
増加
株価純資産倍率0.0-5.6倍1.1倍公正価値の
増加
流動性
ディスカウント
20.0-30.0%27.7%公正価値の
減少
負債:
トレーディング負債
銀行および事業会社の
負債証券
3DCFクレジット・
スプレッド
0.9-10.3%2.9%公正価値の
減少
-
短期借入21DCF/ボラティリティ34.6%-公正価値の
増加
-
オプション・
モデル
長期借入331DCF/ボラティリティ13.8-34.6%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
オプション・
モデル
ボラティリティ44.7-71.2bp-公正価値の
増加
相関係数△0.57-0.99-公正価値の
増加

2017年3月31日
金融商品公正価値
(十億円)
評価手法有意な
観察不能データ
データの範囲
(1)
加重平均
(2)
観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(3)(4)観察不能な
データ同士の相関
(5)
資産:
トレーディング資産および
プライベート・エクイティ投資
エクイティ34DCF流動性
ディスカウント
45.0-65.0%57.7%公正価値の
減少
-
プライベート・
エクイティ投資
13マルチプルEV/EBITDA7.4倍7.4倍公正価値の
増加
収益水準が一定と仮定した場合、一般的にマルチプル法に対する仮定の変動は、公正価値の変動に対して同方向の影響を与えます
流動性
ディスカウント
30.0%30.0%公正価値の
減少
外国国債・地方債・
政府系機関債
3DCFクレジット・
スプレッド
0.0-1.3%0.9%公正価値の
減少
-
銀行および事業会社の
負債証券・売買目的の
貸付金
108DCFクレジット・
スプレッド
0.0-16.9%4.4%公正価値の
減少
予測可能な
相関はありません
回収率0.0-97.0%38.0%公正価値の
増加
不動産担保証券41DCF利回り7.0-77.8%20.7%公正価値の
減少
予測可能な
相関はありません
損失率0.0-35.2%15.8%公正価値の
減少
債務担保証券(CDO)等27DCF利回り5.0-18.0%11.9%公正価値の
減少
一般的に、デフォルト確率は損失率とは同じ方向に、期中償還率とは反対の方向に変動します
期中償還率20.0%20.0%公正価値の
減少
デフォルト確率1.0-2.0%2.0%公正価値の
減少
損失率44.0-100.0%90.3%公正価値の
減少
デリバティブ(純額):
エクイティ・
デリバティブ
△6オプション・
モデル
配当利回り0.0-10.0%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
ボラティリティ3.0-70.0%-公正価値の
増加
相関係数△0.80-0.96-公正価値の
増加
金利デリバティブ△22DCF/金利0.1-3.7%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
オプション・
モデル
ボラティリティ12.4-15.7%-公正価値の
増加
ボラティリティ30.2-79.0bp-公正価値の
増加
相関係数△0.55-0.99-公正価値の
増加
信用デリバティブ△10DCF/クレジット・
スプレッド
0.0-17.0%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
オプション・
モデル
回収率20.0-90.0%-公正価値の
増加
ボラティリティ16.2-83.0%-公正価値の
増加
相関係数0.35-0.93-公正価値の
増加
為替取引23DCF/金利0.1-3.0%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
オプション・
モデル
ボラティリティ1.0-27.5%-公正価値の
増加
相関係数0.35-0.80-公正価値の
増加

2017年3月31日
金融商品公正価値
(十億円)
評価手法有意な
観察不能データ
データの範囲
(1)
加重平均
(2)
観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(3)(4)観察不能な
データ同士の相関
(5)
貸付金および受取債権66DCFクレジット・
スプレッド
0.0-20.0%2.1%公正価値の
減少
-
担保付契約5DCFレポレート3.5%3.5%公正価値の
減少
-
その他の資産
その他(6)163DCFWACC5.2-10.5%10.0%公正価値の
減少
予測可能な
相関はありません
成長率1.0-2.5%2.4%公正価値の
増加
クレジット・
スプレッド
0.6-0.7%0.7%公正価値の
減少
流動性
ディスカウント
0.0-30.0%2.7%公正価値の
減少
マルチプルEV/EBITDA3.3-8.8倍7.0倍公正価値の
増加
収益水準が一定と仮定した場合、一般的にマルチプル法に対する仮定の変動は、公正価値の変動に対して同方向の影響を与えます
株価収益率6.7-59.2倍15.1倍公正価値の
増加
株価純資産倍率0.0-3.8倍1.1倍公正価値の
増加
EV/運用資産残高1.5倍1.5倍公正価値の
増加
流動性
ディスカウント
12.9-30.0%27.3%公正価値の
減少
負債:
短期借入70DCF/ボラティリティ3.9-60.1%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
オプション・
モデル
相関係数△0.80-0.96-公正価値の
増加
担保付契約3DCFレポレート2.2%2.2%公正価値の
減少
-
長期借入410DCF利回り9.2-13.0%11.3%公正価値の
減少
一般的に、デフォルト確率は損失率とは同じ方向に、期中償還率とは反対の方向に変動します
期中償還率20.0%20.0%公正価値の
減少
デフォルト確率2.0%2.0%公正価値の
減少
損失率30.0%30.0%公正価値の
減少
DCF/ボラティリティ3.9-60.1%-公正価値の
増加
予測可能な
相関はありません
オプション・
モデル
ボラティリティ38.4-61.6bp-公正価値の
増加
相関係数△0.80-0.99-公正価値の
増加

(1)データ範囲はパーセント、係数、倍の単位で示しており、各金融商品を公正価値評価する有意な観察不能の評価データの最大値および最小値を表しております。データ範囲が広範であることは必ずしも評価データの不確実性や主観性を示すものではなく、性質の異なる金融商品を含んでいることによるものであります。
(2)現物取引の金融商品の加重平均数値は、各金融商品の公正価値毎に各評価データを加重平均したものであります。
(3)観察不能なデータの増加が公正価値に与える影響のみを記載しています。観察不能なデータの減少は上記の記載と反対方向の影響を与えます。例えば、ある観察不能なデータの増加が公正価値を減少させる場合、当該観察不能なデータの減少は、公正価値を増加させます。
(4)デリバティブに対する観察不能なデータの増加による影響は、野村が例えばボラティリティなどのリスクに対しロング・ポジションであることを仮定しています。野村がショート・ポジションを取っている場合、観察不能なデータの増加は上記と反対方向の影響を与えます。
(5)観察不能なデータの相関は、公正価値を決定するのに2つ以上の観察不能なデータを使用している場合にのみ適用されます。
(6)連結貸借対照表上、その他の資産に含まれる投資持分証券の評価手法および観察不能データを表しております。
(7)当期の開示様式と整合させるため、過年度数値の表記方法を変更しております。
有意な観察不能のデータ範囲に関する定性的情報
レベル3金融商品に使用される有意な観察不能のデータ範囲に関する定性的情報は以下のとおりです。
デリバティブ(エクイティ・デリバティブ):有意な観察不能のデータは配当利回り、ボラティリティおよび相関係数です。配当利回りは、収益が欠如している、または会社が成長ステージにある間は配当を行わない方針などの理由により、配当を行わず配当利回りがゼロとなる企業を含む一方で、投資家に資金を還元するために多額の配当を支払う企業を含むためにデータの範囲は変動します。ボラティリティは、満期までの期日が短いあるいは単一のエクイティ証券を参照するエクイティ・デリバティブの方が、満期までの期日が長いあるいは指数を参照するものよりもボラティリテイが高くなる傾向にあるため、データの範囲は広範になります。相関係数はあるデータと他のデータの関連性(以下「ペア」)を表しており、正の値にも負の値にもなり得ます。相関係数は、ペアによって異なる関係性を有しており、同一方向に非常に密接に関連して動くペアが高い正の相関となる一方で、逆方向に非常に密接に関連して動くペアが高い負の相関となるため、データの範囲は正の値から負の値の間で変動します。
デリバティブ(金利デリバティブ):有意な観察不能のデータは金利、ボラティリティおよび相関係数です。金利は国や通貨により金利水準は異なっており、絶対的水準が極めて低い国がある一方で、水準が相対的に低くなっている国があるためにデータ範囲に幅が生じます。ボラティリティは、金利が極めて低い水準にある場合高くなることがあり、一般的に満期までの期日が長いものよりも短い金利デリバティブの方が高いために、データの範囲は広範になります。相関係数は、ペアによって異なる関係性を有しており、同一方向に非常に密接に関連して動くペアが高い正の相関となる一方で、逆方向に非常に密接に関連して動くペアが高い負の相関となるため、データの範囲は正の値から負の値の間で動きます。すべての有意な観察不能のデータは、当該範囲の中に偏りなく分布しています。
デリバティブ(信用デリバティブ):有意な観察不能のデータはクレジット・スプレッド、回収率、ボラティリティおよび相関係数です。クレジット・スプレッドのデータの範囲は、ポートフォリオに内在する異なるデフォルトの危険性を反映します。デフォルトの危険性がほとんどない参照資産の場合はデータの範囲の下限になり、デフォルトの危険性がより高い参照資産の場合はデータの範囲の上限になります。回収率は、シニアのエクスポージャーの方が劣後エクスポージャーよりも回収率が高くなるため、主に参照資産の優先順位によってデータの範囲は変動します。ボラティリティは、一般的に満期までの期日が長いものよりも短い信用デリバティブの方が高いために、データの範囲は広範になります。相関係数は、一般的にクレジット・スプレッドは同一方向に動くため、データの範囲は正の値となります。強い正の相関係数にある場合、密接に関係して同一方向に動きますが、相関係数が下がると関係は弱くなります。
デリバティブ(為替取引):有意な観察不能のデータは金利、ボラティリティおよび相関係数です。金利は国や通貨により金利水準は異なっており、絶対的水準が極めて低い国がある一方で、水準が相対的に低くなっている国があるためにデータ範囲に幅が生じます。ボラティリティは、米ドルに対し狭い範囲で取引される通貨の場合はデータの範囲の下限に近くなり、相対的に低くなります。相関係数は、ペアによって異なる関係性を有しており、同一方向に非常に密接に関連して動くペアが高い正の相関となる一方で、逆方向に非常に密接に関連して動くペアが高い負の相関となるため、データの範囲は正の値から負の値の間で動きます。
短期借入および長期借入:有意な観察不能のデータは、利回り、期中償還率、デフォルト確率、損失率、ボラティリティおよび相関係数です。ボラティリティは、一般的に満期までの期日が長い金融商品よりも短いものの方が高くなるため、データの範囲は広範になります。相関係数は、同一方向に非常に密接に関連して動くペアが高い正の相関となる一方で、逆方向に非常に密接に関連して動くペアが高い負の相関となるため、データの範囲は正の値から負の値の間で変動します。
レベル3金融商品の推移
次の表は、毎期経常的に公正価値評価されるレベル3金融商品の2016年3月期および2017年3月期の損益と推移を示しております。レベル3金融商品は多くの場合、レベル1または2の金融商品によってリスクヘッジされております。以下の表の損益はこうしたヘッジ資産負債の損益を含んでいません。また、レベル3金融商品の公正価値は、市場で観察不能なデータと観察可能なデータの両方を使用して算定されます。したがって、以下の表は観察不能なデータの変動による実現および未実現損益と観察可能なデータの変動による実現および未実現損益の両方が反映されております。
2016年3月期および2017年3月期において、レベル3金融商品の損益は、野村の流動性と資金調達の管理に重要な影響を及ぼしませんでした。
(単位:十億円)
2016年3月期
2016年
3月期
期首残高
当期純利益に含まれる額(1)その他の包括利益に含まれる額購入/
発行
(2)
売却/
償還
(2)
現金の授受為替の
変動に
よる
影響
レベル3への移動(3)レベル3からの移動(3)2016年
3月期
期末残高
資産:
トレーディング資産および
プライベート・エクイティ
投資
エクイティ25--17△7-△12△234
プライベート・
エクイティ投資
3914--△25-△2-△620
日本地方債・
政府系機関債
-0-11△11---0-
外国国債・地方債・
政府系機関債
30-21△22-03△14
銀行および事業会社の
負債証券・売買目的の
貸付金
167△9-164△243-△960△23107
商業用不動産ローン
担保証券(CMBS)
22-15△3-01-17
住宅用不動産ローン
担保証券(RMBS)
10-1△1-08-9
不動産担保証券130-35△20-△313-38
債務担保証券(CDO)等15△8-9△14-△116△710
受益証券等40-2△1-00△32
トレーディング資産および
プライベート・エクイティ
投資合計
269△1-275△347-△16103△42241
デリバティブ取引(純額)(4)
エクイティ・デリバティブ△611---△40146
金利デリバティブ△22△17---61△3△1△117
信用デリバティブ4△1---△40△670
為替取引△5△14---181△3△6△9
商品デリバティブ00---00---
デリバティブ取引(純額)合計△29△21---71△2△9414
小計240△22-275△34771△1894△38255
貸付金および受取債権15△1-7△1-△28-26
その他の資産
トレーディング目的以外の
負債証券
0-----0--0
その他53603△4-△10057
合計308△170285△35271△21102△38338

(単位:十億円)
2016年3月期
2016年
3月期
期首残高
当期純利益に含まれる額(1)その他の包括利益に含まれる額購入/
発行
(2)
売却/
償還
(2)
現金の授受為替の
変動に
よる
影響
レベル3への移動(3)レベル3からの移動(3)2016年
3月期
期末残高
負債:
トレーディング負債
エクイティ3△1-1△4-01△20
銀行および事業会社の
負債証券
0△2-10-01△13
受益証券等-0----00-0
トレーディング負債合計3△3-2△4-02△33
短期借入1△2-27△1-09△1721
支払債務および受入預金00-00-0--0
長期借入52530-232△412-△7114△91331
その他の負債-△2-00-0002
合計52923-261△417-△7125△111357

(単位:十億円)
2017年3月期
2017年
3月期
期首残高
当期純利益に含まれる額(1)その他の包括利益に含まれる額購入/
発行
(2)
売却/
償還
(2)
現金の授受為替の
変動に
よる
影響
レベル3への移動(3)レベル3からの移動(3)2017年
3月期
期末残高
資産:
トレーディング資産および
プライベート・エクイティ
投資
エクイティ34△2-11△10-△19△734
プライベート・
エクイティ投資
201-0△5-△2-△113
日本地方債・
政府系機関債
-0-10--0-1
外国国債・地方債・
政府系機関債
40-5△7-05△43
銀行および事業会社の
負債証券・売買目的の
貸付金
1072-97△131-△262△27108
商業用不動産ローン
担保証券(CMBS)
170--△16-0001
住宅用不動産ローン
担保証券(RMBS)
90-14△20-△20△10
不動産担保証券38△4-41△34-0--41
債務担保証券(CDO)等10△11-76△58-116△727
受益証券等21-0△3-0000
トレーディング資産および
プライベート・エクイティ
投資合計
241△13-245△284-△692△47228
デリバティブ取引(純額)(4)
エクイティ・デリバティブ6△16---△7022△11△6
金利デリバティブ1724---△390△15△9△22
信用デリバティブ00---△5△1△40△10
為替取引△99---1414423
商品デリバティブ-0---00---
デリバティブ取引(純額)合計1417---△3707△16△15
小計2554-245△284△37△699△63213
貸付金および受取債権26△1-47△16-114△566
担保付契約-0----05-5
その他の資産
トレーディング目的以外の負債証券00--0-0---
その他57△50108△4-107△10163
合計338△20400△304△375125△78447

(単位:十億円)
2017年3月期
2017年
3月期
期首残高
当期純利益に含まれる額(1)その他の包括利益に含まれる額購入/
発行
(2)
売却/
償還
(2)
現金の授受為替の
変動に
よる
影響
レベル3への移動(3)レベル3からの移動(3)2017年
3月期
期末残高
負債:
トレーディング負債
エクイティ00-4△3-03△31
銀行および事業会社の
負債証券
30-0△1-00△20
債務担保証券(CDO)等-0-4△3-0-01
受益証券等00-00-0-00
トレーディング負債合計30-8△7003△52
短期借入210087△38-△37△470
支払債務および受入預金00-00---00
担保付調達---3-----3
長期借入3319△4190△113-0132△125410
その他の負債20-1△1△20101
合計3579△4289△159△2△3143△134486

(1)主に連結損益計算書のトレーディング損益、プライベート・エクイティ投資関連損益に計上されており、投資持分証券関連損益、収益-その他および金融費用以外の費用-その他、金融収益および金融費用に計上されているものも含みます。
(2)「購入/発行」にはトレーディング負債の増加、「売却/償還」にはトレーディング負債の減少を含みます。
(3)「レベル3への移動」および「レベル3からの移動」は、金融商品がレベル3から他のレベルに移動した四半期および他のレベルからレベル3に移動した四半期の期首現在の公正価値で記載されております。したがって金融商品が他のレベルからレベル3に移動した場合、表に当該四半期の損益は含まれ、金融商品がレベル3から他のレベルに移動した場合、表に当該四半期の損益は含まれません。
(4)デリバティブ取引の各区分には、複数のリスク区分を複合的に参照するデリバティブも含まれております。例えば金利デリバティブには、金利リスクや為替リスクの複合的なデリバティブや、期中償還率のようなその他のリスクも同時に参照するデリバティブが含まれております。信用デリバティブには、クレジット・デフォルト・スワップのほか債券を参照するデリバティブも含まれております。
(5)ASU2015-07の適用により、実務上の簡便法として純資産価額を用いて公正価値を測定している投資は公正価値の階層から除いております。過年度の数値は組み替えて表示しております。
レベル3金融商品に含まれる未実現損益
次の表は、野村が公正価値階層の中でレベル3として分類し、貸借対照表日現在で保有している金融商品に関連する2016年3月期および2017年3月期の未実現損益を示しております。
(単位:十億円)
2016年3月期2017年3月期
未実現損益(1)
資産:
トレーディング資産およびプライベート・
エクイティ投資
エクイティ0△1
プライベート・エクイティ投資61
日本地方債・政府系機関債00
外国国債・地方債・政府系機関債00
銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金△80
商業用不動産ローン担保証券(CMBS)40
住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)00
不動産担保証券0△1
債務担保証券(CDO)等△4△3
受益証券等00
トレーディング資産およびプライベート・
エクイティ投資合計
△2△4
デリバティブ取引(純額)(2)
エクイティ・デリバティブ4△8
金利デリバティブ14△12
信用デリバティブ△40
為替取引△96
商品デリバティブ-0
デリバティブ取引(純額)合計5△14
小計3△18
貸付金および受取債権△11
担保付調達-0
その他の資産
トレーディング目的以外の負債証券00
その他4△4
合計6△21
負債:
トレーディング負債
エクイティ0△1
銀行および事業会社の負債証券△21
債務担保証券(CDO)等-0
受益証券等0-
トレーディング負債合計△20
短期借入△20
支払債務および受入預金10
長期借入33△4
その他の負債△20
合計28△4

(1)連結損益計算書のトレーディング損益、プライベート・エクイティ投資関連損益、投資持分証券関連損益、収益-その他および金融費用以外の費用-その他、金融収益および金融費用に計上されている損益を含みます。
(2)デリバティブ取引の各区分には、複数のリスク区分を複合的に参照するデリバティブも含まれております。例えば金利デリバティブには、金利リスクや為替リスクの複合的なデリバティブや、期中償還率のようなその他のリスクも同時に参照するデリバティブが含まれております。信用デリバティブには、クレジット・デフォルト・スワップのほか債券を参照するデリバティブも含まれております。
(3)ASU2015-07の適用により、実務上の簡便法として純資産価額を用いて公正価値を測定している投資は公正価値の階層から除いております。過年度の数値は組み替えて表示しております。
階層間の移動について
野村では金融商品があるレベルから他のレベルに移動した場合、移動した四半期の期首に移動が生じたものと仮定しております。したがって、下記で述べている金額は、移動が生じた四半期の期首の金融商品の公正価値となります。
レベル1とレベル2間の移動
2016年3月期において、合計85十億円の金融資産(デリバティブ資産を除く)がレベル1からレベル2へ移動いたしました。このうち65十億円はトレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資のうち主にエクイティによるもの、20十億円は受益証券等によるものであり、いずれも観察可能な市場における取引が活発ではなくなったためです。一方で、同期間において、合計28十億円の金融負債(デリバティブ負債を除く)がレベル1からレベル2へ移動いたしました。このうち27十億円はトレーディング負債のうちエクイティのショート・ポジションによるものであり、これは観察可能な市場における取引が活発ではなくなったためです。
2017年3月期において、合計464十億円の金融資産(デリバティブ資産を除く)がレベル1からレベル2へ移動いたしました。このうち423十億円はトレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資のうち主にエクイティによるもの、40十億円は受益証券等によるものであり、いずれも観察可能な市場における取引が活発ではなくなったためです。一方で、同期間において、合計466十億円の金融負債(デリバティブ負債を除く)がレベル1からレベル2へ移動いたしました。このうち452十億円はトレーディング負債のうち主にエクイティのショート・ポジションによるもの、14十億円は受益証券等のショート・ポジションによるものであり、いずれも観察可能な市場における取引が活発ではなくなったためです。
2016年3月期において、合計87十億円の金融資産(デリバティブ資産を除く)がレベル2からレベル1へ移動いたしました。このうち60十億円はトレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資のうち主にエクイティによるもの、21十億円は受益証券等によるものであり、いずれも観察可能な市場における取引が活発になったためです。一方で、同期間において、合計25十億円の金融負債(デリバティブ負債を除く)がレベル2からレベル1へ移動いたしました。このうち24十億円はトレーディング負債のうちエクイティのショート・ポジションによるものであり、これは観察可能な市場における取引が活発になったためです。
2017年3月期において、合計550十億円の金融資産(デリバティブ資産を除く)がレベル2からレベル1へ移動いたしました。このうち387十億円はトレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資のうち主にエクイティによるもの、13十億円は受益証券等によるもの、143十億円はその他の資産-その他によるものであり、いずれも観察可能な市場における取引が活発になったためです。一方で、同期間において、合計483十億円の金融負債(デリバティブ負債を除く)がレベル2からレベル1へ移動いたしました。このうち341十億円はトレーディング負債のうち主にエクイティのショート・ポジションによるもの、141十億円はその他負債によるものであり、いずれも観察可能な市場における取引が活発になったためです。
レベル3からの移動
2016年3月期において、合計42十億円の金融資産(デリバティブ資産を除く)がレベル3から移動いたしました。このうち23十億円は銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金によるものであり、関連するクレジット・スプレッドおよび回収率が観察可能になったためです。一方で同期間において、合計111十億円の金融負債(デリバティブ負債を除く)がレベル3から移動いたしました。このうち17十億円は短期借入によるものであり、関連するボラティリティが観察可能になったためです。また、91十億円は長期借入のうち、主に仕組債によるものであり、関連するボラティリティおよび相関係数の評価データが観察可能になったか、もしくは重要ではなくなっためです。
2016年3月期において、レベル3から移動したデリバティブ負債(純額)は重要な金額ではありませんでした。
2017年3月期において、合計62十億円の金融資産(デリバティブ資産を除く)がレベル3から移動いたしました。このうち27十億円は銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金によるものであり、関連するクレジット・スプレッドおよび回収率の評価データが観察可能になったか、もしくは重要ではなくなったためです。同期間において、合計134十億円の金融負債(デリバティブ負債を除く)がレベル3から移動いたしました。このうち125十億円は長期借入のうち、主に仕組債によるものであり、関連するボラティリティおよび相関係数の評価データが観察可能になったか、もしくは重要ではなくなったためです。
2017年3月期において、合計16十億円のデリバティブ資産(純額)がレベル3から移動いたしました。このうち11十億円はエクイティ・デリバティブによるものであり、関連する配当利回り、ボラティリティおよび相関係数の評価データが観察可能になったか、もしくは重要ではなくなったためです。
レベル3への移動
2016年3月期において、合計111十億円の金融資産(デリバティブ資産を除く)がレベル3へ移動いたしました。このうち60十億円は銀行および事業会社の負債証券・売買目的によるものであり、関連するクレジット・スプレッドおよび回収率の評価データが観察不能になったためです。また、13十億円は不動産担保証券が関連する利回りおよび損失率が観察不能になったため、16十億円は債務担保証券(CDO)等が関連する利回り、期中償還率、デフォルト確率および損失率の評価データが観察不能になったためです。移動が生じた四半期で認識した損益は、銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金、不動産担保証券および債務担保証券(CDO)等のいずれも重要な金額ではありませんでした。一方で、同期間において、合計125十億円の金融負債(デリバティブ負債を除く)がレベル3へ移動いたしました。このうち114十億円は長期借入のうち主に仕組債によるものであり、関連するボラティリティおよび相関係数の評価データが観察不能になったか、もしくは重要になったためです。移動が生じた四半期で認識した損益は重要な金額ではありませんでした。
2016年3月期において、レベル3へ移動したデリバティブ負債(純額)の金額および移動が生じた四半期で認識した損益は重要な金額ではありませんでした。
2017年3月期において、合計118十億円の金融資産(デリバティブ資産を除く)がレベル3へ移動いたしました。このうち62十億円は銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金によるものであり、関連するクレジット・スプレッドおよび回収率の評価データが観察不能になったか、もしくは重要になったためです。また、16十億円は債務担保証券(CDO)等によるもので、関連する利回り、期中償還率、デフォルト確率および損失率の評価データが観察不能になったか、もしくは重要になったためです。さらに、14十億円は貸付金および受取債権によるもので、関連するクレジット・スプレッドの評価データが観察不能になったか、もしくは重要になったためです。移動が生じた四半期で認識した損益は、銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金、債務担保証券(CDO)等および貸付金および受取債権のいずれも重要な金額ではありませんでした。一方で、同期間において、合計143十億円の金融負債(デリバティブ負債を除く)がレベル3へ移動いたしました。このうち132十億円は長期借入のうち、主に仕組債によるものであり、関連するボラティリティおよび相関係数の評価データが観察不能になったか、もしくは重要になったためです。移動が生じた四半期で認識した損益は重要な金額ではありませんでした。
2017年3月期において、レベル3へ移動したデリバティブ資産(純額)の金額および移動が生じた四半期で認識した損益は重要な金額ではありませんでした。
1株当たりの純資産価額を計算する事業体への投資
通常の営業活動で野村は、公正価値を測定するのが難しい投資会社の定義に該当するもしくは類似する性質を有する
非連結の事業体に投資しております。それらの投資の一部は実務上の簡便法として公正価値を1株当たり純資産価額で
算定しております。それらの投資のいくつかは1株当たり純資産価額とは異なる価格で償還されます。
次の表は、2016年3月31日および2017年3月31日現在の1株当たり純資産価額で計算または注記されている投資についての情報を記載しております。ビジネスの性質やリスクに関連させた主要なカテゴリー別に記載しております。
(単位:十億円)
2016年3月31日
公正価値コミットメント残高(1)償還頻度(2)(現在償還可能なもののみ)償還通知時期(3)
ヘッジファンド560月次当日-90日
ベンチャー・キャピタル・ファンド21--
プライベート・エクイティ・ファンド2318--
リアル・エステート・ファンド1---
合計8219

(単位:十億円)
2017年3月31日
公正価値コミットメント残高(1)償還頻度(2)(現在償還可能なもののみ)償還通知時期(3)
ヘッジファンド370月次当日-90日
ベンチャー・キャピタル・ファンド31--
プライベート・エクイティ・ファンド2614--
リアル・エステート・ファンド4---
合計7015

(1)投資先に野村が支払わなくてはならない契約上のコミットメント残高を示しております。
(2)野村が投資の繰上償還等を受けられる頻度を示しております。
(3)償還が可能になる前に義務付けられている通知の時期を示しております。
(4)ASU2015-07の適用により、過年度の数値は組み替えて表示しております。
ヘッジファンド:
これらのファンドには、さまざまな資産クラスに投資するファンド・オブ・ファンズへの投資が含まれております。これらの投資の公正価値は1株当たり純資産価額を用いて決定されております。大部分のファンドは6ヶ月以内に償還することができますが、契約上の理由、流動性および償還制限などのため6ヶ月以内に償還することができないファンドもあります。なお、償還停止中あるいは清算中のファンドについて償還時期を判断することはできません。これらのファンドには、第三者への譲渡制限が設けられているものがあります。
ベンチャー・キャピタル・ファンド:
これらのファンドには、主にスタートアップのファンドが含まれております。これらの投資の公正価値は1株当たり純資産価額を用いて決定されております。大部分のファンドは6ヶ月以内に償還することができません。償還停止中あるいは清算中のファンドについて償還時期を判断することはできません。これらのファンドは、第三者への譲渡に制限が設けられております。
プライベート・エクイティ・ファンド:
これらのファンドは、主に欧州、米国、日本のさまざまな業界に投資をしております。これらの投資の公正価値は1株当たり純資産価額を用いて決定されております。これらのファンドの多くは中途償還に制限が課されています。これらのファンドには第三者への譲渡に制限が設けられているものがあります。
リアル・エステート・ファンド:
これらのファンドには、商業用不動産やその他の不動産への投資が含まれております。これらの投資の公正価値は1株当たり純資産価額を用いて決定されております。これらのファンドの多くは中途償還に制限が課されています。これらのファンドは第三者への譲渡に制限が設けられております。
金融商品の公正価値オプション
野村は編纂書815および編纂書825で容認された公正価値オプションを選択することにより公正価値で測定された特定の適格の金融資産と金融負債を有しております。野村が適格項目について公正価値オプションを選択した場合、当該項目の公正価値の変動は、損益において認識されます。公正価値オプションの選択は通常、その商品に対する会計上の取り扱いを改定させる事象が生じた場合を除いて、変更することはできません。
野村が公正価値オプションを適用している主な金融資産と金融負債および適用趣旨は以下のとおりであります。
・トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資およびその他の資産に計上されている、公正価値オプションを選択していなければ持分法を適用していた投資で、恒久的に保有する目的ではなく、値上がり益や配当収入を得る目的で保有され、出口戦略を有する投資。野村はこれらの投資目的をより忠実に連結財務諸表に反映させるために公正価値オプションを選択しております。
・貸付金および受取債権に計上されている、公正価値ベースでリスク管理をしている貸付金および貸出が実行された際に公正価値オプションが選択される貸出コミットメント。野村は、貸付金とリスク管理目的で取引しているデリバティブの価格変動によって生じうる損益の変動を軽減するため、公正価値オプションを選択しております。
・担保付契約および担保付調達に計上されている、公正価値ベースでリスク管理をしている売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券。野村は、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券とリスク管理目的で取引しているデリバティブの価格変動によって生じうる損益の変動を軽減するため、公正価値オプションを選択しております。
・短期借入および長期借入に計上されている、2008年4月1日以後に発行されたすべての仕組債。仕組債および仕組債のリスク軽減目的で取引しているデリバティブの価格変動によって生じる損益の変動を軽減することを主に目的として公正価値オプションを選択しております。また、同様の目的により連結変動持分事業体が発行した社債や2008年4月1日より前に発行された一部の仕組債に対しても、公正価値オプションを選択しております。
・長期借入に計上されている、編纂書860の規定上、金融資産の譲渡が担保付金融取引として処理される金融負債。野村は、公正価値オプションを選択しない場合に生じる損益の変動を軽減する目的で、公正価値オプションを選択しております。当該取引に伴う金融資産については、野村のエクスポージャーが通常ない、もしくはほとんどないものの、連結貸借対照表に公正価値で計上され、公正価値の変動は損益で認識されます。
公正価値オプションを適用した金融商品から生じる利息および配当金は、金融収益、金融費用またはトレーディング損益に計上されます。
次の表は、2016年3月期および2017年3月期において、公正価値オプションを使って公正価値で測定されている金融商品の公正価値変動による損益を表示しております。
(単位:十億円)
2016年3月期2017年3月期
損益(1)
資産:
トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資(2)
トレーディング資産11
プライベート・エクイティ投資10
貸付金および受取債権51
担保付契約(3)26
その他の資産(2)△2210
合計△1318
負債:
短期借入(4)14△42
担保付調達(3)6△1
長期借入(4)(5)797
その他の負債(6)△20
合計97△36

(1)主に連結損益計算書のトレーディング損益、プライベート・エクイティ投資関連損益および収益-その他に計上されております。
(2)公正価値オプションを選択していなければ持分法を適用していたエクイティ投資を含んでおります。
(3)売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券を含んでおります。
(4)仕組債とその他の金融負債等を含んでおります。
(5)金融資産の移転が譲渡に該当しないため、担保付金融取引として取り扱われることに伴い認識される負債を含んでおります。
(6)貸付金の貸出コミットメントを含んでおります。
野村は2016年3月31日現在、普通株式への出資比率が36.9%である株式会社足利ホールディングス(以下「足利ホールディングス」)への投資に対して公正価値オプションを適用しており、連結貸借対照表上、その他の資産-その他に含めております。
足利ホールディングスは、2016年10月1日に株式会社常陽銀行と株式交換により経営統合し、株式会社めぶきフィナンシャルグループとなりました。その結果、株式会社めぶきフィナンシャルグループに対する重要な影響力はなくなりました。株式会社めぶきフィナンシャルグループへの投資は株式交換後も引き続き公正価値で評価されております。
2016年5月、野村はアメリカン・センチュリー・カンパニーズInc.の非支配持分の取得を完了しました。野村は2017年3月31日現在、アメリカン・センチュリー・カンパニーズInc.への39.70%の経済的持分に対して公正価値オプションを適用しており、連結貸借対照表上、その他の資産-その他に含めております。
重要な関連会社(公正価値オプションを適用している関連会社を含む)の詳細につきましては、「注記19 関連会社およびその他の持分法投資先」をご参照ください。
野村は公正価値オプションを適用した一部の金融負債に対する自社クレジットの変化による影響額を、観察可能な自社クレジット・スプレッドの変動を反映したレートを用いたDCF法により計算しております。2016年3月期において、自社クレジットの変化に起因する公正価値の変動は、主にクレジット・スプレッドの拡大により23十億円の減少となりました。2017年3月期において、自社クレジットの変化に起因する公正価値の変動は、主にクレジット・スプレッドの縮小により15十億円の増加となりました。2017年3月期よりこれらの公正価値の変動は、その他の包括利益に計上されています。
また、公正価値オプションを適用した金融資産の商品固有の信用リスクに関しては、重要な影響はありませんでした。
2016年3月31日において、公正価値オプションを選択した貸付金および受取債権のうち、契約上元本が保証されている未回収元本総額の公正価値は、その未回収元本総額に対して1十億円上回っております。また、公正価値オプションを選択した長期借入のうち、契約上元本を保証している未償還元本総額の公正価値は、その未償還元本総額を2十億円下回っております。公正価値オプションを選択した貸付金および受取債権に関して、90日以上の延滞が生じたものはありませんでした。
2017年3月31日において、公正価値オプションを選択した貸付金および受取債権のうち、契約上元本が保証されている未回収元本総額の公正価値は、その未回収元本総額に対して0十億円上回っております。また、公正価値オプションを選択した長期借入のうち、契約上元本を保証している未償還元本総額の公正価値は、その未償還元本総額を41十億円下回っております。公正価値オプションを選択した貸付金および受取債権に関して、90日以上の延滞が生じたものはありませんでした。
信用リスクの集中
信用リスクの集中は、トレーディング業務、証券金融取引および引受業務から生じる場合があり、また政治的・経済的な要因の変化によって影響を受けることがあります。野村は、日本国政府、米国政府、欧州連合(以下「EU」)加盟各国政府およびその地方自治体、政府系機関が発行した債券に対して、信用リスクが集中しております。こうした信用リスクの集中は一般的に、トレーディング目的有価証券の保有により発生しており、連結貸借対照表上トレーディング資産に計上されています。担保差入有価証券を含む政府、地方自治体および政府系機関の債券が当社の総資産に占める割合は、2016年3月期末に20%、2017年3月期末に15%となっております。
次の表は、野村が保有する政府、地方自治体および政府系機関債関連のトレーディング資産の地域別残高内訳を示しております。デリバティブ取引の信用リスクの集中については、「注記3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。
(単位:十億円)
2016年3月31日
日本米国EUその他合計(1)
政府債・地方債および政府系機関債3,1882,4452,1974188,248

(単位:十億円)
2017年3月31日
日本米国EUその他合計(1)
政府債・地方債および政府系機関債2,4942,0471,3154796,335

(1)上記金額のほかに、連結貸借対照表上その他の資産-トレーディング目的以外の負債証券に国債・地方債および政府系機関債が2016年3月期末に577十億円、2017年3月期末に544十億円含まれております。これらの大部分は日本における国債・地方債・政府系機関債で構成されております。
公正価値評価されない金融商品の見積公正価値
一部の金融商品はトレーディング目的として保有されず、公正価値オプションが選択されないため、連結貸借対照表上毎期経常的には公正価値評価されておりません。こうした金融商品は一般的に契約上の満期金額、ないしは償却原価で計上されております。
下記に詳述する大部分の金融商品の帳簿価額は、本来短期であり、ごくわずかな信用リスクしか含まないため、公正価値に近似しております。これらの金融商品は連結貸借対照表上、現金および現金同等物、定期預金、取引所預託金およびその他の顧客分別金、顧客に対する受取債権、顧客以外に対する受取債権、売戻条件付買入有価証券ならびに借入有価証券担保金として計上される金融資産と短期借入、顧客に対する支払債務、顧客以外に対する支払債務、受入銀行預金、買戻条件付売却有価証券、貸付有価証券担保金およびその他の担保付借入として計上される金融負債を含んでおります。こうした金融商品は、公正価値の階層において一般的にレベル1もしくはレベル2のどちらかに分類されます。
本来長期または少なからず信用リスクを含む可能性があるその他の金融商品の公正価値は、帳簿価額と異なることがあります。このような金融資産は連結貸借対照表上、貸付金に計上され、また金融負債は連結貸借対照表上、長期借入に計上されております。公正価値オプションを選択しない貸付金の公正価値は、一般的に毎期経常的に公正価値評価される貸付金と同様の手法により推計されています。取引所価格が取得可能な場合には当該市場価格を見積公正価値としております。公正価値オプションを選択しない長期借入の公正価値は、利用可能な取引所価格を用いることにより、またはDCF法により、毎期経常的に公正価値評価される長期借入と同様の手法で推計しております。金融資産と金融負債は、公正価値オプションを選択した場合に適用されるものと同様の手法に基づいて、公正価値階層において一般的にレベル2またはレベル3に分類されております。
次の表は、2016年3月31日および2017年3月31日現在における、帳簿価額と公正価値、および特定の金融商品の区分ごとの公正価値階層内の分類を示しております。
(単位:十億円)
2016年3月31日(1)
帳簿価額公正価値レベル別公正価値
レベル1レベル2レベル3
資産:
現金および現金同等物3,4763,4763,476--
定期預金197197-197-
取引所預託金およびその他の顧客分別金226226-226-
貸付金(2)1,6051,605-1,180425
売戻条件付買入有価証券9,2059,205-9,205-
借入有価証券担保金5,8725,872-5,872-
合計20,58120,5813,47616,680425
負債:
短期借入663663164121
受入銀行預金2,2232,223-2,2230
買戻条件付売却有価証券14,19214,192-14,192-
貸付有価証券担保金1,9371,936-1,936-
長期借入8,1308,1281047,692332
合計27,14527,14210526,684353

(単位:十億円)
2017年3月31日(1)
帳簿価額公正価値レベル別公正価値
レベル1レベル2レベル3
資産:
現金および現金同等物2,5372,5372,537--
定期預金208208-208-
取引所預託金およびその他の顧客分別金227227-227-
貸付金(2)1,8741,875-1,405470
売戻条件付買入有価証券11,45711,457-11,4525
借入有価証券担保金7,2737,272-7,272-
合計23,57623,5762,53720,564475
負債:
短期借入543543-47370
受入銀行預金1,1331,133-1,1321
買戻条件付売却有価証券17,09617,096-17,0933
貸付有価証券担保金1,6271,626-1,626-
長期借入7,1957,2181096,697412
合計27,59427,61610927,021486

(1)経常的に公正価値評価される金融商品を含みます。
(2)帳簿価額は貸倒引当金を控除した後の金額です。
野村の保険子会社の引き受けた保険契約のうち、投資契約に該当する負債の見積公正価値につきましては、「注記9 その他の資産-その他およびその他の負債」をご参照ください。
非経常的に公正価値評価される資産および負債
野村は毎期経常的に公正価値評価される金融商品に加えて、一義的には公正価値以外の方法で計測され、毎期経常的には公正価値評価されない資産および負債を有しております。公正価値は当初取得時認識の後、減損を認識するなど特定の場合にのみ用いられます。
2016年3月31日において、一時的にはとどまらない価値の下落のため、上場持分法適用会社に対する投資に対して2十
億円の減損額が認識されており、これは連結損益計算書の金融費用以外の費用-その他に含まれております。当該減損が認識された投資は連結貸借対照表のその他の資産-関連会社に対する投資および貸付金に計上されており、公正価値評価後の簿価は3十億円となります。公正価値は編纂書820に従い取引所価格に調整を加えず評価されています。結果として、毎期経常的には公正価値評価をされないこれらの投資に関して、レベル1に区分されるデータによって公正価値評価がなされています。
2017年3月31日現在、非経常的に公正価値評価される資産および負債は、重要な金額ではありませんでした。
3 デリバティブ商品およびヘッジ活動:
野村は、トレーディング目的およびトレーディング目的以外として先物、先渡、オプションおよびスワップを含む多様なデリバティブ金融商品取引を行っています。
トレーディング目的のデリバティブ
通常の営業活動の中で野村は、顧客ニーズの充足のため、もしくは野村のトレーディング目的のためまたは金利・為替相場・有価証券の市場価格等の不利な変動により野村に生じる損失発生リスクの低減のため、デリバティブ金融商品の取引を行っております。当該デリバティブ金融商品には、金利支払の交換、通貨の交換、または将来の特定日に特定条件で行う有価証券およびその他金融商品の売買等の契約が含まれております。
野村は、多様なデリバティブ取引において積極的にトレーディング業務を行っております。野村のトレーディングは、大部分が顧客ニーズに応えるものであります。野村は、証券市場において顧客の特定の金融ニーズと投資家の需要を結びつける手段として多様なデリバティブ取引を活用しております。また野村は、顧客が市場変化に合わせてそのリスク特性を調整することが可能となるよう、有価証券およびさまざまなデリバティブのトレーディングを積極的に行っております。こうした活動を行うにあたり野村は、資本市場商品の在庫を保有するとともに、他のマーケットメーカーへの売買価格の提示および他のマーケットメーカーとのトレーディングにより、市場において流動性を継続的に確保しております。こうした活動は、顧客に有価証券およびその他の資本市場商品を競争力のある価格で提供するために不可欠なものであります。
先物および先渡取引は、有価証券、外貨またはその他資本市場商品を将来の特定の日に特定の価格で購入または売却する契約であり、差金授受または現物受渡により決済が行われるものであります。外国為替取引は、直物、先渡取引を含み、契約当事者が合意した為替レートでの2つの通貨の交換を伴うものであります。取引相手が取引契約上の義務を履行できない可能性および市場価格の変動からリスクが発生します。先物取引は規制された取引所を通じて行われ、当該取引所が取引の決済および取引相手の契約履行の保証を行うことになります。したがって、先物取引にかかる信用リスクはごくわずかであると考えられます。対照的に先渡取引は、一般的に当事者間で相対で取り決めるものであるため、該当する取引相手の契約履行の有無に影響されることになります。
オプション取引は、オプション料の支払を対価として、買い手に対し特定の期間または特定の日に特定の価格で金融商品をオプションの売り手から購入するかまたは当該売り手に売却する権利を付与する契約であります。オプションの売り手は、オプション料を受領し、当該オプションの原商品である金融商品の市場価格が不利な変動をするリスクを引き受けることになります。
スワップ取引は、合意内容に基づいて当事者が将来の特定の日に一定のキャッシュ・フローを交換することに同意する契約であります。契約によっては、金利と外貨とが組み合わされたスワップ取引になる場合もあります。スワップ取引には、取引相手が債務不履行の場合に損失を被るという信用リスクが伴っております。
こうしたデリバティブ金融商品により、野村が保有する金融商品または有価証券ポジションが経済的にヘッジされている場合には、総合的にみた野村の損失リスクは全面的にまたは部分的に軽減されることとなります。
野村は、デリバティブ金融商品の利用から生じる市場リスクを、ポジション制限、監視手続、多様な金融商品において相殺的なもしくは新たなポジションを保有する等のヘッジ戦略を含むさまざまな管理方針および手続により最小限にするよう努めております。
トレーディング目的以外のデリバティブ
野村がトレーディング目的以外でデリバティブを利用する主な目的は、金利リスクを管理し、特定の金融負債にかかる金利の性質を変換し、特定の外貨建負債証券の外国為替リスクを管理し、特定の在外事業体から発生する為替の変動による純投資分の変動を管理し、従業員等に対して付与される株価連動型報酬にかかる株価変動リスクを削減することであります。こうしたトレーディング目的以外で行うデリバティブ取引に伴う信用リスクについては、トレーディング目的で行うデリバティブ取引に伴う信用リスクと同様の手法により管理統制しております。
野村はデリバティブ金融商品を、特定の金融負債から生じる金利リスク管理および特定の外貨建負債証券から生じる外国為替リスク管理のため、公正価値ヘッジとして指定しております。これらのデリバティブ取引は、当該ヘッジ対象のリスクを減少させる面で有効であり、ヘッジ契約の開始時から終了時までを通じてヘッジ対象資産負債の公正価値の変動または為替変動と高い相関性を有しております。関連する評価損益はヘッジ対象資産負債にかかる損益と共に連結損益計算書上、金融費用または収益-その他として認識しております。
海外事業への純投資についてヘッジ指定されたデリバティブは、日本円以外が機能通貨である特定の子会社に関連付けられています。純投資ヘッジの有効性判定では、スポット・レートの変動により、デリバティブの公正価値の変動のうちの有効部分が判定されます。有効と判定された損益は当社株主資本の累積的その他の包括利益に計上されております。ヘッジ手段のデリバティブの公正価値の変動のうちフォワード・レートとスポット・レートの変動の差による差額は有効性の判定から除かれ、連結損益計算書上、収益-その他に計上されております。
デリバティブの信用リスクの集中
次の表は、野村の店頭デリバティブ取引における、清算機関で清算される取引を含めた金融機関への重要なエクスポージャーの集中について示したものであります。デリバティブ資産の公正価値の総額は、取引相手が契約条件に従った債務を履行できず、かつ受け入れている担保やその他の有価証券が無価値であったと仮定した場合に野村が被る最大限の損失を示しております。
(単位:十億円)
2016年3月31日
デリバティブ資産の
公正価値の総額
マスター・ネッティング契約に基づく取引相手毎の相殺額デリバティブ取引純額に対する担保の相殺額信用リスクに対する
エクスポージャー純額
金融機関35,166△33,104△1,560502

(単位:十億円)
2017年3月31日
デリバティブ資産の
公正価値の総額
マスター・ネッティング契約に基づく取引相手毎の相殺額デリバティブ取引純額に対する担保の相殺額信用リスクに対する
エクスポージャー純額
金融機関21,829△19,905△1,590334

デリバティブ活動
次の表は、デリバティブの想定元本と公正価値により、野村のデリバティブ活動の規模を示しております。それぞれの金額は、取引相手毎のデリバティブ資産およびデリバティブ負債の相殺前、およびデリバティブ取引純額に対する現金担保の相殺前の金額となっております。
(単位:十億円)
2016年3月31日
デリバティブ資産デリバティブ負債
想定元本(1)公正価値公正価値(1)
トレーディング目的およびトレーディング目的以外のデリバティブ取引(2)(3)
エクイティ・デリバティブ34,4791,2851,541
金利デリバティブ2,256,40128,76528,494
信用デリバティブ47,262679806
為替取引343,5656,9006,650
商品デリバティブ10,42118
合計2,692,12837,63037,499
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ取引
金利デリバティブ1,50660-
為替取引39374
合計1,899674
デリバティブ取引合計2,694,02737,69737,503

(単位:十億円)
2017年3月31日
デリバティブ資産デリバティブ負債
想定元本(1)公正価値公正価値(1)
トレーディング目的およびトレーディング目的以外のデリバティブ取引(2)(3)
エクイティ・デリバティブ35,7321,0321,250
金利デリバティブ2,656,68115,35515,193
信用デリバティブ38,735497641
為替取引369,4216,4376,093
商品デリバティブ2,22914
合計3,102,79823,32223,181
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ取引
金利デリバティブ1,33836-
為替取引41713
合計1,755373
デリバティブ取引合計3,104,55323,35923,184

(1)編纂書815に基づき区分処理された組込デリバティブの金額を含んでおります。
(2)デリバティブ取引の各区分には、複数のリスク区分を複合的に参照するデリバティブも含まれております。例えば金利デリバティブには、金利リスクや為替リスクの複合的なデリバティブや、期中償還率のようなその他のリスクも同時に参照するデリバティブが含まれております。信用デリバティブには、クレジット・デフォルト・スワップのほか債券を参照するデリバティブも含まれております。
(3)トレーディング目的以外のデリバティブで、公正価値ヘッジないし純投資ヘッジを適用していないものの金額を含んでおります。2016年3月31日および2017年3月31日現在において、これらの金額は重要ではありませんでした。
デリバティブ関連の公正価値の変動はデリバティブの使用目的に応じて、損益もしくはその他の包括利益に計上されております。
デリバティブ取引の相殺
野村は、デリバティブ金融商品から生じる取引相手のクレジットリスクを与信審査、リスク上限の設定およびモニタリングによって管理しております。また、債務不履行時のリスクを低減させる目的で、一定のデリバティブ取引について主に現金や国債等の担保を徴求しております。場合により、野村は、取引相手の債務不履行時に野村による担保管理を可能とする契約のもと、当該担保の外部カストディアンへの差入れに同意することがあります。野村は、経済的観点から関連する担保を考慮した上で債務不履行時のリスクの評価を行っております。さらに店頭デリバティブについては通常、業界標準のマスター・ネッティング契約を交しており、取引相手がデフォルトした場合は取引金額および担保金額の一括清算および相殺が認められるため、クレジット・エクスポージャーは軽減されております。特定の清算機関で清算される店頭デリバティブ取引および取引所で取引されるデリバティブ取引についても、清算機関または取引所がデフォルトした場合に同様の権利が認められる清算契約または参加者契約を結んでおります。野村では通常、前述した契約に含まれている取引の一括清算および相殺の法的有効性を裏付けるための法律意見書を外部より取得しております。
特定の取引相手および特定の地域において、野村は、マスター・ネッティング契約を交わさずにデリバティブ取引を行うことがあります。また、マスター・ネッティング契約を交わしている場合でも、野村は、一括清算および相殺の法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手または入手できないことがあります。このような状況は、各国の法律が一括清算および相殺を明確に禁止している場合や、相殺の法的有効性に関する法律が複雑、不明確または存在しない場合に起こり得ます。また、当該状況は、特定の政府、政府系機関、地方自治体、清算機関、取引所または年金ファンドとのデリバティブ取引について生じる可能性があります。
野村は、マスター・ネッティング契約の法的有効性を考慮して、特定の取引相手との取引から生じる信用リスクのヘッジ方法、取引相手のクレジット・エクスポージャーの算定方法およびリスク上限の設定方法、ならびに取引相手に徴求する担保の量および質を決定しております。
連結貸借対照表上では、マスター・ネッティング契約を締結している同一の取引相手とのデリバティブ資産および負債は、編纂書210-20および編纂書815に定義された特定の条件に合致する場合は相殺して表示しております。これらの条件には、マスター・ネッティング契約による取引の一括清算および相殺の法的有効性などに関する要件が含まれております。さらに、現金担保の請求権(債権)および現金担保の返還義務(債務)も、一定の追加要件を満たした場合、純額処理されたデリバティブ負債および資産と各々相殺しております。
次の表は連結貸借対照表に計上されるリスク区分ごとのデリバティブ商品の相殺および関連する担保に関する情報を表しております。取引相手がデフォルトした場合に追加的にデリバティブと担保の相殺が認められるマスター・ネッティング契約を締結している取引先、清算機関および取引所とのデリバティブ取引に関する情報も含んでおります。なお、マスター・ネッティング契約下にない、または一括清算および相殺の法的有効性を裏付ける十分な証拠がないマスター・ネッティング契約下にあるデリバティブ取引は、下表の中で相殺されておりません。
(単位:十億円)
2016年3月31日2017年3月31日(6)
デリバティブ
資産
デリバティブ
負債(1)
デリバティブ
資産
デリバティブ
負債(1)
エクイティ・デリバティブ
相対で決済される店頭デリバティブ取引9451,126808916
取引所で取引されるデリバティブ取引340415224334
金利デリバティブ
相対で決済される店頭デリバティブ取引11,37211,1027,7777,381
清算機関で清算される店頭デリバティブ取引17,44217,3877,6037,807
取引所で取引されるデリバティブ取引115115
信用デリバティブ
相対で決済される店頭デリバティブ取引577709376512
清算機関で清算される店頭デリバティブ取引10196120128
取引所で取引されるデリバティブ取引1111
為替取引
相対で決済される店頭デリバティブ取引6,8886,6396,3545,992
清算機関で清算される店頭デリバティブ取引191584104
取引所で取引されるデリバティブ取引----
商品デリバティブ
相対で決済される店頭デリバティブ取引-6-3
取引所で取引されるデリバティブ取引1211
デリバティブ取引総額合計(2)37,69737,50323,35923,184
(控除)連結貸借対照表上相殺されている金額(3)△36,325△36,456△22,322△22,270
連結貸借対照表上に表示されている取引純額(4)1,3721,0471,037914
(控除)連結貸借対照表上相殺されていない金額(5)
非現金担保△457△59△187△110
現金担保-△7--
純額合計915981850804

(1)編纂書815に基づき区分処理された組込デリバティブの金額を含んでおります。
(2)マスター・ネッティング契約締結の有無、または当該契約の法的有効性を裏付ける十分な証拠の入手の有無に関わらず、すべてのデリバティブ資産総額およびデリバティブ負債総額を含んでおります。2016年3月31日において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にあるデリバティブ資産総額およびデリバティブ負債総額はそれぞれ203十億円および326十億円です。2017年3月31日において、同様のデリバティブ資産総額およびデリバティブ負債総額はそれぞれ136十億円および267十億円です。
(3)編纂書815に基づき、野村が法的有効性について十分な証拠を入手しているマスター・ネッティング契約あるいは同等の内容の契約により、同一の取引相手とのデリバティブ資産と負債の相殺および相殺されたデリバティブ取引純額と現金担保との相殺を表します。2016年3月31日において、野村はデリバティブ負債に対する差入現金担保を1,885十億円相殺し、デリバティブ資産に対する受入現金担保を1,754十億円相殺いたしました。また2017年3月31日において、野村はデリバティブ負債に対する差入現金担保を1,642十億円相殺し、デリバティブ資産に対する受入現金担保を1,694十億円相殺いたしました。
(4)相殺されたデリバティブ資産および負債は連結貸借対照表上それぞれ、トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資-トレーディング資産とトレーディング負債に計上されております。区分処理された組込デリバティブは参照している原契約の満期に応じて、短期借入ないしは長期借入に計上されております。
(5)編纂書210-20および編纂書815に基づいた連結貸借対照表上の相殺表示が認められていないものの、取引相手がデフォルトした場合は法的に有効性のある相殺権を有する金額を表しております。相殺の法的有効性について十分な証拠を未入手のデリバティブおよび担保契約にかかる金額は含まれておりません。なお、2016年3月31日において、デリバティブ取引純額と相殺されなかった差入現金担保および受入現金担保はそれぞれ298十億円および466十億円です。2017年3月31日において、デリバティブ取引純額と相殺されなかった差入現金担保および受入現金担保はそれぞれ197十億円および484十億円です。
(6)2017年3月期において、特定の中央清算機関のルール変更が行われ、特定のデリバティブに対する日々の変動証拠金の受取および支払の扱いが、法的に担保ではなく決済として扱われることとなりました。これらの受取および支払は、現金担保ではなくデリバティブの部分的な決済として会計処理されております。2017年3月31日における連結貸借対照表の計上額に影響はありませんが、上表のデリバティブ取引残高および連結貸借対照表上相殺されている金額が減少しております。
トレーディング目的のデリバティブ取引
区分処理された組込デリバティブを含むトレーディング目的のデリバティブ金融商品は公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書の収益-トレーディング損益に計上されます。
次の表は、連結損益計算書に含まれるトレーディング目的およびトレーディング目的以外のデリバティブ関連の損益を、元となるデリバティブ取引の種類に応じて表しております。
(単位:十億円)
2016年3月期2017年3月期
トレーディング目的およびトレーディング目的以外のデリバティブ取引(1)(2)
エクイティ・デリバティブ37265
金利デリバティブ△142180
信用デリバティブ92△45
為替取引134△284
商品デリバティブ△7336
合計383△48

(1)デリバティブ取引の各区分には、複数のリスク区分を複合的に参照するデリバティブも含まれております。例えば金利デリバティブには、金利リスクや為替リスクの複合的なデリバティブや、期中償還率のようなその他のリスクも同時に参照するデリバティブが含まれております。信用デリバティブには、クレジット・デフォルト・スワップのほか債券を参照するデリバティブも含まれております。
(2)トレーディング目的以外のデリバティブで、公正価値ヘッジないし純投資ヘッジを適用していないものの損益を含んでおります。2016年3月期および2017年3月期のこれらの損益は重要な金額ではありませんでした。
公正価値ヘッジ
野村は日本円もしくは外国通貨建ての固定ならびに変動金利債を発行しており、通常、発行社債にかかる固定金利の支払義務についてスワップ契約を締結することにより変動金利の支払義務に変換しております。また、保険子会社の保有するトレーディング目的以外の外貨建負債証券に対して、為替先物取引を利用した為替ヘッジを行っております。野村はこれらの取引に対しヘッジ会計を適用しており、公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブ取引は公正価値で計上され、その公正価値の変動は、ヘッジ対象の資産負債にかかる損益と共に連結損益計算書の金融費用または収益-その他に計上されています。
次の表は、連結損益計算書に含まれる公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブ関連の損益を、元となるデリバティブ取引の種類とヘッジ対象の性質に応じて表しております。
(単位:十億円)
2016年3月期2017年3月期
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ取引
金利デリバティブ26△8
為替取引82
合計34△6
ヘッジ対象の損益
長期借入△268
トレーディング目的以外の負債証券△8△2
合計△346

純投資ヘッジ
野村は一部の重要な為替リスクをもつ在外事業体に対して、為替先物取引を利用した為替ヘッジを行っており、これにヘッジ会計を適用しております。ヘッジ手段として指定されたデリバティブ取引およびデリバティブ取引以外の金融商品から発生する為替換算差額については、ヘッジが有効である部分につき、連結包括利益計算書のその他の包括利益-為替換算調整額(税引後)に計上されています。これは当該在外事業体を連結する際に発生する為替換算差額と相殺されております。
次の表は、連結包括利益計算書に含まれる純投資ヘッジとして指定されたデリバティブ取引およびデリバティブ取引以外の損益を表しております。
(単位:十億円)
2016年3月期2017年3月期
ヘッジ手段
為替取引76
合計76

(1)ヘッジの非有効部分の損益およびヘッジの有効性評価から除外した部分は、連結損益計算書の収益-その他に含まれております。2016年3月期および2017年3月期の損益は重要な金額ではありませんでした。
信用リスクに関する偶発事象に関する要項を含んだデリバティブ
野村は信用リスクに関する偶発事象についての要項を含んだ店頭デリバティブやその他の契約を結んでいます。これらの契約は、最も一般的には当社の長期信用格付けの引き下げといった信用リスクに関わる事象が発生した場合に追加担保やポジションの決済を求めることがあります。
2016年3月31日現在の負債側に計上されている信用リスクに関する偶発事象要項を含んだデリバティブ商品の公正価値の総計は719十億円となり、587十億円の担保を差し入れております。2016年3月31日時点における長期格付けが1ノッチ引き下げられた場合、追加担保の差入もしくは取引を決済するために求められる金額は15十億円です。
2017年3月31日現在の負債側に計上されている信用リスクに関する偶発事象要項を含んだデリバティブ商品の公正価値の総計は474十億円となり、387十億円の担保を差し入れております。2017年3月31日時点における長期格付けが1ノッチ引き下げられた場合、追加担保の差入もしくは取引を決済するために求められる金額は7十億円です。
クレジット・デリバティブ
クレジット・デリバティブとは、その原商品の1つあるいは複数が、ある特定(もしくは複数)の参照企業の信用リスク、もしくは企業群の信用リスクに基づく指数に関連するデリバティブ商品であり、契約に特定されている信用事由が発生するとクレジット・プロテクションの売り手は損失を被るリスクがあります。
野村が売り手となるクレジット・デリバティブは野村が保証型の契約の保証者として、あるいはオプション型の契約やクレジット・デフォルト・スワップ、あるいはその他のクレジット・デリバティブ契約の形態においてクレジット・プロテクションを提供するものとして、第三者の信用リスクを引き受ける契約やそうした契約を内包するものであります。
野村は通常のトレーディング業務の一環として、信用リスク回避目的、自己勘定取引および顧客ニーズに対応する取引目的でクレジット・デリバティブを取引しており、クレジット・プロテクションの買い手もしくは売り手となっております。
野村が主として使用するクレジット・デリバティブの種類は特定の第三者の信用リスクに基づき決済が行われる個別クレジット・デフォルト・スワップです。また、野村はクレジット・デフォルト指数に連動するものの販売やその他の信用リスク関連ポートフォリオ商品の発行を行っております。
契約で特定された信用事由が発生した場合、野村はクレジット・デリバティブ契約の履行をしなければなりません。信用事由の典型的な例には、参照企業の破産、債務不履行や参照資産の条件変更などがあります。
野村が売り手となるクレジット・デリバティブ契約は現金決済あるいは現物決済の契約になっております。現金決済の契約では、参照債務の不履行など信用事由の発生により支払いがなされた後は契約終了となり、野村による更なる支払い義務はなくなります。この場合、野村は通常支払いの対価としてカウンターパーティーの参照資産を受け取る権利は有しておりませんし、参照資産の実際の発行体に対して直接支払い金額を請求する権利も有しません。現物決済の契約では、信用事由発生により契約額全額が支払われた場合に対価として参照資産を受け取ります。
野村は継続的にクレジット・デリバティブのエクスポージャーをモニターし管理しています。野村がプロテクションの売り手となった場合、プロテクションの対象と同一の参照資産、あるいはプロテクションの対象となる参照資産と発行体が同一であり、かつ当該資産と高い相関を有する価値変動を示すだろうと予想される資産を対象としたクレジット・プロテクションを第三者から購入することでリスクを軽減することができます。したがって、野村が売り手となったクレジット・デリバティブの支払い額を第三者からの支払いによって補填するために用いられるリコース条項としては、当該デリバティブ契約によってというよりむしろ、同一あるいは高い相関を有する参照資産を対象としたクレジット・プロテクションを別途購入することによる場合が最も一般的です。
野村は、購入したクレジット・デリバティブの想定元本を、次の表中に「クレジット・プロテクション買付額」として表示しています。これらの数値は売建クレジット・デリバティブの参照資産と同一の資産に対し、第三者から購入したクレジット・プロテクションの購入額であり、野村のエクスポージャーをヘッジするものです。野村が売り手であるクレジット・デリバティブに基づいて支払いを履行しなければならなくなる場合には、通常、その金額に近い金額を購入したクレジット・プロテクションから受け取る権利が発生します。
クレジット・デリバティブで明記される想定元本額は、契約に基づき野村が支払いをしなければならない場合の最大限の金額となります。しかしながら、クレジット・プロテクションの購入に加えて、支払いが起きる可能性や支払額を減らす下記のリスク軽減要素があるため、想定元本額は通常野村が実際に支払う金額を正確に表すものではありません。
信用事由の発生可能性:野村はクレジット・デリバティブの公正価値評価をする際に、参照資産に信用事由が発生し、野村が支払いをしなければならなくなる可能性を考慮しています。野村のこれまでの経験と野村によるマーケットの現状分析に基づきますと、野村がプロテクションを提供している参照資産のすべてについて1つの会計期間において同時に信用事由が発生する可能性はほとんど無いと考えています。したがって、開示されている想定元本額は、こうしたデリバティブ契約にかかる野村の実質的なエクスポージャーとしては、相当に過大な表示となっています。
参照資産からの回収価額:ある信用事由が発生した場合に、野村の契約に基づく債務額は、想定元本額と参照資産からの回収価額の差額に限定されます。信用事由が発生した参照資産からの回収価額がわずかであるにしても、回収価額はこれらの契約に基づいて支払う金額を減少させます。
野村は、野村が売り手となっているクレジット・デリバティブに関連して資産を担保として受け入れています。しかしながら、それらはクレジット・デリバティブに基づいて野村が支払う金額の回収に充てられるものではなく、相手方の信用事由の発生により、契約に基づいた野村への支払いに対して生じる経済的な損失リスクを軽減するためのものです。担保提供義務は個別契約ごとではなくカウンターパーティーごとで決定され、また通常クレジット・デリバティブだけではなくすべての種類のデリバティブ契約を対象としております。
2016年3月31日および2017年3月31日現在の野村が売り手となるクレジット・デリバティブの残高および同一参照資産のクレジット・プロテクションの買付金額の残高は次のとおりであります。
(単位:十億円)
2016年3月31日
帳簿価額(1)(△資産)/
負債
潜在的な最大支払額または想定元本額想定元本額
満期年限クレジット・プロテクション買付額
1年以内1~3年3~5年5年超
クレジット・デフォルト・
スワップ(個別)
13115,6093,6585,2925,2521,40712,796
クレジット・デフォルト・
スワップ(指数)
525,7979181,6232,5057514,295
その他のクレジット・リスク関連ポートフォリオ商品12355712482412209
クレジット・リスク関連オプションおよびスワップション067--67-67
合計19521,8284,6477,1637,8482,17017,367

(単位:十億円)
2017年3月31日
帳簿価額(1)(△資産)/
負債
潜在的な最大支払額または想定元本額想定元本額
満期年限クレジット・プロテクション買付額
1年以内1~3年3~5年5年超
クレジット・デフォルト・
スワップ(個別)
△1712,0292,9084,4973,4141,2109,536
クレジット・デフォルト・
スワップ(指数)
△265,1306971,5582,1886873,265
その他のクレジット・リスク関連ポートフォリオ商品5445166253197312
クレジット・リスク関連オプションおよびスワップション-------
合計△3817,6043,7716,3085,6211,90413,113

(1)帳簿価額は、取引相手毎または現金担保との相殺前のデリバティブ取引の公正価値であります。なお、資産残高は参照資産のクレジット・スプレッドが取引開始時よりタイトニングしたことによるものです。
次の表は、野村が売り手となるクレジット・デリバティブの参照資産の外部格付ごとの情報を表しております。格付は、Standard & Poor'sによる格付、同社による格付がない場合はMoody's Investors Serviceによる格付、両社による格付がない場合にはFitch Ratings Ltd.または株式会社日本格付研究所による格付を使用しております。クレジット・デフォルト・スワップ(指数)についてはポートフォリオまたは指数に含まれる参照企業の外部格付の加重平均を使用しております。
(単位:十億円)
2016年3月31日
潜在的な最大支払額または想定元本額
AAAAAABBBBBその他(1)合計
クレジット・デフォルト・
スワップ(個別)
1,2301,3054,4075,4282,24399615,609
クレジット・デフォルト・
スワップ(指数)
178154,2499392241925,797
その他のクレジット・リスク関連
ポートフォリオ商品
19-131331355
クレジット・リスク関連オプションおよびスワップション---67--67
合計1,4271,3208,6576,4372,4681,51921,828

(単位:十億円)
2017年3月31日
潜在的な最大支払額または想定元本額
AAAAAABBBBBその他(1)合計
クレジット・デフォルト・
スワップ(個別)
8431,1863,6584,2111,48664512,029
クレジット・デフォルト・
スワップ(指数)
171273,2841,0174741575,130
その他のクレジット・リスク関連
ポートフォリオ商品
19-13119303445
クレジット・リスク関連オプションおよびスワップション-------
合計1,0331,2136,9435,2312,0791,10517,604

(1)その他には、参照資産の外部格付が投資不適格であるものおよび参照資産の外部格付がないものが含まれております。
金融資産の売却に伴い取引されるデリバティブ
野村は第三者への金融資産の譲渡に伴い別個の契約を同一相手先と結ぶことで、取引期間中における当該金融資産の実質的にすべての経済的リターンに対するエクスポージャーを野村が保持する取引を行うことがあります。これらの取引は主として相対のトータルリターンスワップまたは実質的なトータルリターンスワップであるデリバティブを伴う有価証券の売却取引により行われます。
これらの取引は、編纂書860における金融資産の消滅の要件を満たした場合には有価証券の売却およびデリバティブとして別々に会計処理されます。金融資産の消滅の要件を満たさない場合、金融資産の譲渡とデリバティブは単一の担保付資金調達取引として会計処理され、連結貸借対照表上、長期借入-譲渡取消による担保付借入として計上されます。
2017年3月31日現在、担保付資金調達取引ではなく売却として会計処理されているトータルリターンスワップまたは実質的なトータルリターンスワップを伴う売却取引は該当ありませんでした。
4 担保付取引:
野村は、主に顧客のニーズを満たす、トレーディング商品在庫を利用して資金調達を行う、および決済のために有価証券を調達するという目的で、売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引ならびにその他の担保付借入を含む担保付取引を行っております。
売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引は通常、業界標準のマスター・ネッティング契約を交わしており、取引相手がデフォルトした場合は取引および担保の一括清算および相殺が認められるため、クレジット・エクスポージャーは軽減されております。特定の清算機関で清算される売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引についても、清算機関がデフォルトした場合に同様の権利を認める清算契約または参加者契約を結んでおります。野村では通常、前述した契約に含まれている取引の一括清算および相殺の法的有効性を裏付けるための法律意見書を外部より取得しております。
特定の取引相手および特定の地域において、野村は、マスター・ネッティング契約を交わさずに売戻条件付有価証券買入取引、買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引を行うことがあります。また、マスター・ネッティング契約を交わしている場合でも、野村は、一括清算および相殺の法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手または入手できないことがあります。このような状況は、各国の法律が一括清算および相殺を明確に禁止している場合や、相殺の法的有効性に関する法律が複雑、不明確または存在しない場合に起こり得ます。また、当該状況は、特定の政府、政府系機関、地方自治体、清算機関、取引所または年金ファンドとの売戻条件付有価証券買入取引、買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引について生じる可能性があります。
野村は、マスター・ネッティング契約の法的有効性を考慮して、特定の取引相手との取引から生じる信用リスクのヘッジ方法、取引相手のクレジット・エクスポージャーの算定方法およびリスク上限の設定方法、ならびに取引相手に徴求する担保の量および質を決定しております。
こうした取引において野村は、日本および海外の国債、地方債および政府系機関債、不動産ローン担保証券、銀行および事業会社の負債証券ならびに投資持分証券を含む担保の受入れまたは差入れを行っております。ほとんどの場合野村は、受け入れた有価証券について、買戻契約の担保として提供すること、有価証券貸付契約を締結することまたは売建有価証券の精算のために取引相手へ引渡しを行うことが認められております。売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引では、一般的に受け渡される担保は有価証券であり、担保価値は受け渡される現金の金額よりも通常大きくなります。野村が有価証券を借り入れる場合、通常担保金もしくは代用有価証券を差し入れる必要があります。また逆に野村が有価証券を貸し付ける場合、通常野村は担保金もしくは代用有価証券を受け入れます。野村は取引期間を通じて受け入れまたは差し入れている有価証券の市場価額を把握し、必要な場合には取引が十分に保全されるよう追加の担保金もしくは代用有価証券を徴求しております。
担保付取引の相殺
連結貸借対照表上では、マスター・ネッティング契約を締結している同一の取引相手との売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引は、編纂書210-20に定義された特定の条件に合致する場合は相殺して表示しております。特定の条件には、取引の満期、担保が決済される振替機関、関連する銀行取決め、マスター・ネッティング契約における一括清算および相殺の法的有効性などに関する要件が含まれます。
次の表は、連結貸借対照表上のこうした担保付取引の相殺に関する情報を表しております。取引相手がデフォルトした場合に追加的に相殺が認められるマスター・ネッティング契約を締結している取引に関する情報も含んでおります。なお、マスター・ネッティング契約下にない、または一括清算および相殺の法的有効性を裏付ける十分な証拠がないマスター・ネッティング契約下にある取引は、下表の中で相殺されておりません。
(単位:十億円)
2016年3月31日
売戻条件付
有価証券買入
取引
担保付
有価証券借入
取引
買戻条件付
有価証券売却
取引
担保付
有価証券貸付
取引
取引総額(1)25,8345,86830,8212,260
(控除)連結貸借対照表上相殺されている金額(2)△16,629△5△16,629△5
連結貸借対照表上に表示されている取引純額(3)9,2055,86314,1922,255
(控除)連結貸借対照表上相殺されていない額(4)
非現金担保△7,052△4,553△11,503△1,713
現金担保0-0-
純額合計2,1531,3102,689542

(単位:十億円)
2017年3月31日
売戻条件付
有価証券買入
取引
担保付
有価証券借入
取引
買戻条件付
有価証券売却
取引
担保付
有価証券貸付
取引
取引総額(1)30,1167,42235,7552,248
(控除)連結貸借対照表上相殺されている金額(2)△18,659△173△18,659△173
連結貸借対照表上に表示されている取引純額(3)11,4577,24917,0962,075
(控除)連結貸借対照表上相殺されていない額(4)
非現金担保△9,251△5,499△13,328△1,666
現金担保△73-△18-
純額合計2,1331,7503,750409

(1)マスター・ネッティング契約締結の有無、または当該契約の法的有効性を裏付ける十分な証拠の入手の有無に関わらず、すべての取引残高を含んでおります。公正価値オプションの選択により公正価値で計上されている取引を含んでおります。2016年3月31日において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にある売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引の総額はそれぞれ940十億円および2,176十億円です。2016年3月31日において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にある担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引の総額はそれぞれ1,162十億円および186十億円です。2017年3月31日において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にある売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引の総額はそれぞれ881十億円および2,596十億円です。2017年3月31日において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にある担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引の総額はそれぞれ1,494十億円および205十億円です。
(2)編纂書210-20に基づき、野村が法的有効性について十分な証拠を入手しているマスター・ネッティング契約あるいは同等の契約により、取引相手ごとに相殺した金額を表します。相殺した金額には、公正価値オプションの選択により公正価値で計上されている取引を含みます。
(3)売戻条件付有価証券買入取引および担保付有価証券借入取引は、連結貸借対照表上それぞれ担保付契約-売戻条件付買入有価証券と担保付契約-借入有価証券担保金に計上されております。買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引は、連結貸借対照表上それぞれ担保付調達-買戻条件付売却有価証券と担保付調達-貸付有価証券担保金に計上されております。また、担保付有価証券貸付取引には、野村が貸し出した有価証券の担保として、売却または担保差入可能な有価証券を受け入れる取引を含んでおります。野村は受入れた有価証券を公正価値で認識しており、同額を返還義務のある有価証券として負債に計上しております。当該負債は連結貸借対照表上、その他の負債に計上されております。
(4)編纂書210-20に基づいた連結貸借対照表上の相殺表示が認められていないものの、取引相手のデフォルト発生時には法的に有効性のある相殺権を有する金額を表しております。相殺の法的有効性について十分な証拠を未入手取引にかかる金額は含まれておりません。
買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の残存契約期間別内訳
次の表は、2017年3月31日現在において、連結貸借対照表上、負債として計上されている買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の編纂書210-20に基づく相殺表示前の残存契約期間別の内訳を示しております。
(単位:十億円)
残存契約期間
オーバーナ
イトまたは
オープン・
エンド(1)
30日以内30~90日90日~1年1年以上合計
買戻条件付有価証券売却取引15,22517,2571,5501,22849535,755
担保付有価証券貸付取引1,399463206168122,248
取引総額(2)16,62417,7201,7561,39650738,003

(1)オープン・エンド取引とは、取引の明確な契約満期日を定めずに、野村または取引相手の要求に基づいて取引を終了する取引であります。
(2)買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引は、連結貸借対照表上それぞれ担保付調達―買戻条件付売却有価証券と担保付調達―貸付有価証券担保金に計上されております。また、担保付有価証券貸付取引には、野村が貸し出した有価証券の担保として、売却または担保差入可能な有価証券を受け入れる取引を含んでおります。野村は受入れた有価証券を公正価値で認識しており、同額を返還義務のある有価証券として負債に計上しております。当該負債は連結貸借対照表上、その他の負債に計上されております。買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の取引総額は、上述の担保付取引の相殺にかかる開示の取引総額と一致いたします。
買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引における担保提供資産
次の表は、2017年3月31日現在において、連結貸借対照表上、買戻条件付売却有価証券および貸付有価証券担保金として計上されている買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の編纂書210-20に基づく相殺表示前の担保提供資産別の内訳を示しております。
(単位:十億円)
買戻条件付
有価証券売却取引
担保付有価証券
貸付取引
合計
エクイティおよび転換社債1081,9352,043
日本国債・地方債・政府系機関債9871731,160
外国国債・地方債・政府系機関債28,1975428,251
銀行および事業会社の負債証券1,717161,733
商業用不動産ローン担保証券(CMBS)1-1
住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)(1)4,666-4,666
債務担保証券(CDO)等70-70
受益証券等97079
取引総額(2)35,7552,24838,003

(1)RMBSにはパス・スルー証券および米国政府保証が付されたCMO(Collateralized Mortgage Obligations)を4,548十億円含んでおります。
(2)買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引は、連結貸借対照表上それぞれ担保付調達―買戻条件付売却有価証券と担保付調達―貸付有価証券担保金に計上されております。また、担保付有価証券貸付取引には、野村が貸し出した有価証券の担保として、売却または担保差入可能な有価証券を受け入れる取引を含んでおります。野村は受入れた有価証券を公正価値で認識しており、同額を返還義務のある有価証券として負債に計上しております。当該負債は連結貸借対照表上、その他の負債に計上されております。買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の取引総額は、上述の担保付取引の相殺にかかる開示の取引総額と一致いたします。
担保として受け入れた資産
野村が担保として受け入れた有価証券および有担保・無担保の貸借契約に基づき受け入れた有価証券のうち野村が売却または再担保の権利を有しているものの公正価値、ならびにそのうちすでに売却されもしくは再担保に提供されている額はそれぞれ以下のとおりであります。
(単位:十億円)
2016年3月31日2017年3月31日
野村が担保として受け入れた有価証券および有担保・無担保の貸借契約に基づき受け入れた有価証券のうち野村が売却または再担保の権利を有しているものの公正価値40,71445,821
上記のうちすでに売却され(連結貸借対照表上ではトレーディング負債に含まれる)もしくは再担保に提供されている額34,17239,119

担保として差し入れた資産
野村は、買戻契約およびその他の担保付資金調達取引の担保として、自己所有の有価証券を差し入れております。担保受入者が売却または再担保に差し入れることのできる担保差入有価証券(現先レポ取引分を含む)は、連結貸借対照表上、トレーディング資産に担保差入有価証券として括弧書きで記載されております。野村が所有する資産であって、売却または再担保に差し入れる権利を担保受入者に認めることなく証券取引所および決済機関などに対して担保として差し入れられているものの概要は、それぞれ以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
トレーディング資産:
エクイティおよび転換社債104,642206,640
政府および政府系機関債731,4301,062,008
銀行および事業会社の負債証券68,029137,328
商業用不動産ローン担保証券(CMBS)6,031-
住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)2,684,1863,426,205
債務担保証券(CDO)等(1)32,34818,676
受益証券等78,1588,976
合計3,704,8244,859,833
取引所預託金およびその他の顧客分別金2,000-
トレーディング目的以外の負債証券24,05723,744
関連会社に対する投資および貸付金32,90729,336

(1)ローン担保証券(CLO)、資産担保証券(ABS)(クレジットカード・ローン、自動車ローン、学生ローン等)を含みます。
上記で開示されているものを除く担保提供資産は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
貸付金および受取債権2494,268
トレーディング資産1,755,2601,580,765
建物、土地、器具備品および設備5,35512,635
トレーディング目的以外の負債証券191,545222,970
その他3025
合計1,952,4391,820,663

上記の資産は主にその他の担保付借入および連結変動持分事業体の担保付社債、トレーディング目的担保付借入を含む担保付借入ならびにデリバティブ取引に関して差し入れられているものであります。トレーディング目的担保付借入については「注記10 借入」の記述をご参照ください。
5 トレーディング目的以外の有価証券:
2016年3月31日および2017年3月31日現在における、保険子会社が保有するトレーディング目的以外の有価証券の原価または償却原価、公正価値、未実現利益および未実現損失は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月31日
原価または
償却原価
未実現損益公正価値
未実現利益未実現損失
日本国債、政府系機関債および地方債93,9825,70844099,250
外国国債、政府系機関債および地方債32,9013,39426136,034
社債119,7289,022712128,038
投資持分証券42,13224,10123366,000
合計288,74342,2251,646329,322

(単位:百万円)
2017年3月31日
原価または
償却原価
未実現損益公正価値
未実現利益未実現損失
日本国債、政府系機関債および地方債89,8513,95358593,219
外国国債、政府系機関債および地方債25,3262,43419827,562
社債117,1406,942930123,152
投資持分証券42,94721,8262264,751
合計275,26435,1551,735308,684

2016年3月期においてトレーディング目的以外の有価証券を63,752百万円売却しており、実現利益は3,841百万円、実現損失は631百万円であり、売却にかかる収入額は66,962百万円であります。2017年3月期においてトレーディング目的以外の有価証券を63,100百万円売却しており、実現利益は4,696百万円、実現損失は1,304百万円であり、売却にかかる収入額は66,492百万円であります。なお、実現損益は移動平均法を用いて計算されております。
2016年3月期および2017年3月期において、トレーディング目的以外の有価証券からトレーディング資産への振替はありませんでした。
下記の表は、2017年3月31日現在におけるトレーディング目的以外の負債証券の公正価値を満期年限別に表しております。実際の満期は、一部の負債証券が早期償還条項を有するため、契約上の満期と異なることがあります。
(単位:百万円)
2017年3月31日
合計満期年限
1年以内1~5年5~10年10年超
トレーディング目的以外の負債証券243,93343,950120,05959,02020,904

下記の表は、2016年3月31日および2017年3月31日現在で未実現損失を有するトレーディング目的以外の有価証券について、その未実現損失の状況が継続している期間別に公正価値および未実現損失の金額を表しております。
(単位:百万円)
2016年3月31日
12ヵ月未満12ヵ月以上合計
公正価値未実現損失公正価値未実現損失公正価値未実現損失
日本国債、政府系機関債および地方債12,83543713,673326,508440
外国国債、政府系機関債および地方債6,911261--6,911261
社債20,471712--20,471712
投資持分証券4,113233--4,113233
合計44,3301,64313,673358,0031,646

(単位:百万円)
2017年3月31日
12ヵ月未満12ヵ月以上合計
公正価値未実現損失公正価値未実現損失公正価値未実現損失
日本国債、政府系機関債および地方債27,3185850027,318585
外国国債、政府系機関債および地方債3,366198--3,366198
社債28,398930--28,398930
投資持分証券1,39422--1,39422
合計60,4761,7350060,4761,735

2016年3月31日現在において、未実現損失を有するトレーディング目的以外の有価証券の銘柄数は52銘柄であります。2017年3月31日現在において、未実現損失を有するトレーディング目的以外の有価証券の銘柄数は41銘柄であります。
2016年3月期において、一時的ではないと判断される価値の下落により特定のトレーディング目的以外の投資持分証券に対して認識した減損は486百万円であり、収益-その他として認識されております。2016年3月期において、信用リスクの増大による一時的ではないと判断される価値の下落により特定のトレーディング目的以外の負債証券に対して認識した減損は重要な金額ではありません。
2016年3月期において、信用リスクの増大には起因しないものの一時的ではないと判断される価値の下落により特定のトレーディング目的以外の負債証券に対してその他の包括利益で認識した減損およびその後の公正価値の変動は△28百万円であります。その他のトレーディング目的以外の有価証券の未実現損失については、価値の下落は一時的と考えております。
2017年3月期において、一時的ではないと判断される価値の下落により特定のトレーディング目的以外の投資持分証券に対して認識した減損は1,080百万円であり、収益-その他として認識されております。2017年3月期において、信用リスクの増大による一時的ではないと判断される価値の下落により特定のトレーディング目的以外の負債証券に対して認識した減損は226百万円であります。
2017年3月期において、信用リスクの増大には起因しないものの一時的ではないと判断される価値の下落により特定のトレーディング目的以外の負債証券に対してその他の包括利益で認識した減損およびその後の公正価値の変動は重要な金額ではありません。その他のトレーディング目的以外の有価証券の未実現損失については、価値の下落は一時的と考えております。
6 証券化および変動持分事業体:
証券化業務
野村は、商業用および居住用モーゲージ、政府系機関債および社債、ならびにその他の形態の金融商品を証券化するために特別目的事業体を利用しております。これらは、株式会社、匿名組合、ケイマン諸島で設立された特別目的会社、信託勘定などの形態をとっております。野村の特別目的事業体への関与としましては、特別目的事業体を組成すること、特別目的事業体が発行する負債証券および受益権を投資家のために引受け、売出し、販売することが含まれております。野村は金融資産の譲渡について、編纂書860の規定に基づき処理しております。編纂書860は、野村の金融資産の譲渡について、野村がその資産に対する支配を喪失する場合には、売却取引として会計処理することを義務付けております。編纂書860は、(a)譲渡資産が譲渡人から隔離されていること(譲渡人が倒産した場合もしくは財産管理下に置かれた場合においても)、(b)譲受人が譲り受けた資産を担保として差し入れるまたは譲渡する権利を有していること、もしくは譲受人が証券化または担保付資金調達の目的のためだけに設立された特別目的事業体の場合において、受益持分の保有者が受益持分を差し入れるまたは譲渡する権利を有していること、(c)譲渡人が譲渡資産に対する実質的な支配を維持していないことという条件を満たす場合には支配を喪失すると規定しております。野村は特別目的事業体を使った証券化の際の留保持分など、こうした事業体に対する持分を保有することがあります。野村の連結貸借対照表では、当該持分は、公正価値により評価し、トレーディング資産として計上され、公正価値の変動はすべて収益-トレーディング損益として認識しております。証券化した金融資産に対して当初から継続して保有する持分の公正価値は観察可能な価格、もしくはそれが入手不可である持分については野村は、最善の見積もりに基づく重要な仮定を用いて、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことによって計算される価格を公正価値としております。その仮定には、見積もり信用損失、期限前償還率、フォワード・イールド・カーブ、それに含まれるリスクに応じた割引率が含まれます。これ以外に特別目的事業体に対して譲渡した金融資産に関連するデリバティブ取引を行うことがあります。
以上のように、野村は特別目的事業体へ譲渡した金融資産に対し、継続的関与を持つ場合があります。野村が2016年3月期および2017年3月期において、新たな証券化により特別目的事業体から譲渡対価として得たキャッシュ・インフローは382十億円、187十億円であり、野村からの資産の譲渡により認識した利益は重要な金額ではありませんでした。さらに2016年3月期および2017年3月期において、譲渡対価として受け取った特別目的事業体が発行する負債証券の当初の公正価値は1,867十億円、2,574十億円であり、当該負債証券の第三者への売却により得たキャッシュ・インフローは1,412十億円、1,833十億円となっております。2016年3月31日現在および2017年3月31日現在において、継続的関与を持つ特別目的事業体に、野村が売却処理した譲渡金融資産の累計残高はそれぞれ6,533十億円、5,364十億円となっております。また、2016年3月31日現在および2017年3月31日現在において、野村はこれらの特別目的事業体に対してそれぞれ200十億円、308十億円の持分を当初から継続的に保有しております。2016年3月期および2017年3月期において、これらの継続して保有している持分に関連して特別目的事業体から受け取った金額はそれぞれ51十億円、94十億円となっております。
野村は2016年3月31日現在および2017年3月31日現在において、これらの特別目的事業体との間に、毀損した担保資産を入れ替える契約およびクレジット・デフォルト・スワップ契約をそれぞれ2十億円、2十億円結んでおりますが、その他契約外の財務支援は行っておりません。
次の表は、野村が継続的関与を持つ特別目的事業体に対する持分を保有するものの公正価値、およびその公正価値のレベル別の内訳を当該特別目的事業体に譲渡した資産の種類別に表しております。
(単位:十億円)
2016年3月31日
レベル1レベル2レベル3合計うち、
投資格付が
適格なもの
それ以外
国債・地方債、および政府系機関債-197-197197-
事業債--00-0
モーゲージ関連商品-30303
合計-20002001973

(単位:十億円)
2017年3月31日
レベル1レベル2レベル3合計うち、
投資格付が
適格なもの
それ以外
国債・地方債、および政府系機関債-308-308308-
事業債------
モーゲージ関連商品--00-0
合計-30803083080

次の表は、公正価値の測定に用いている主要な経済的仮定、およびそれら経済的仮定が10%および20%不利な方向に変動した場合における、継続して保有している持分の公正価値に与える影響を表しております。
(単位:十億円)
重要な継続して保有している持分(1)
2016年3月31日2017年3月31日
継続して保有している持分の公正価値(1)171285
加重平均残存期間(年数)5.47.3
期限前償還率5.4%2.8%
10%不利な方向に変動した場合の影響額△1.4△1.5
20%不利な方向に変動した場合の影響額△2.4△3.0
割引率2.4%3.4%
10%不利な方向に変動した場合の影響額△0.9△1.7
20%不利な方向に変動した場合の影響額△1.6△3.3

(1)2016年3月31日現在において、継続して保有している持分200十億円のうち、重要な継続して保有している持分171十億円のみ感応度分析を行っております。2017年3月31日現在において、継続して保有している持分308十億円のうち、重要な継続して保有している持分285十億円のみ感応度分析を行っております。
野村は譲渡資産の性質上、上記の継続して保有している持分に対して予測される信用損失の発生確率およびその金額は軽微であると考えております。
表上では経済的仮定が10%および20%不利な方向に変動した場合を想定していますが、公正価値の変動と仮定の変動は線型な関係に必ずしもないことから、一般的に正確な数値を推定することはできません。特定の経済的仮定に対する影響額は、他のすべての経済的仮定が一定であると想定し、算出しております。この理由から、経済的仮定が同時に変動した場合において、その影響額の計算が過大または過少になる場合があります。感応度分析はあくまでも仮説的条件に基づいたものであり、野村のリスク・マネジメントにおけるストレス・シナリオ分析を反映しているものではありません。
次の表は、金融資産を特別目的事業体に譲渡したが、編纂書860上は譲渡の要件を満たさずトレーディング資産となったもの、また、それにより担保付金融取引として会計処理されたために長期借入とされたものの金額およびその区分を表しています。なお、表上の資産はすべて同負債の担保となるもので、野村が資産を自由に処分することも、遡及されることもありません。
(単位:十億円)
2016年3月31日2017年3月31日
資産
トレーディング資産
株式関連商品226
債券関連商品2420
モーゲージ関連商品207
貸付金-3
合計6636
負債
長期借入12736

変動持分事業体
野村は通常の証券化およびエクイティ・デリバティブ業務の中で、変動持分事業体に対して金融資産の譲渡、変動持分事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。野村はマーケット・メーク業務、投資業務および組成業務に関連し、変動持分事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。
野村が変動持分事業体の持分を保有し、その事業体にとって最も重要な活動に支配力を持ち、その事業体にとって重要な便益を享受する権利または損失を被る義務が生じる場合、且つ野村が他の投資家の受託者たる要件を満たせない場合、野村は主たる受益者でありその事業体を連結しなければなりません。野村の連結変動持分事業体には、事業会社の発行する転換社債型新株予約権付社債やモーゲージおよびモーゲージ担保証券をリパッケージした仕組債を、投資家に販売するために組成されたものが含まれます。航空機のリース事業や、その他のビジネスに関連する変動持分事業体も連結しております。野村はまた、投資ファンド等、野村が主たる受益者となる場合は連結しております。
最も重要な決断を下すパワーには、変動持分事業体のタイプによりさまざまな形態があります。証券化、投資ファンド、CDO等の取引においては、担保資産の管理やサービシングが最も重要な決断を下すパワーであると野村は考えます。したがって、野村が担保資産の管理者やサービサーではなく、担保資産管理者やサービサーを交替させる権利や事業体を清算する権利を持たない限り、そのような変動持分事業体を連結いたしません。
変動持分事業体が利用される住宅不動産ローン担保証券の再証券化等の多くの取引において、取引期間中に重要な経済的意思決定が行われず、どの投資家も変動持分事業体を清算する一方的な力を持たない場合があります。そのような場合、野村は取引開始前になされた意思決定を分析し、変動持分事業体が保有する原資産の性質、変動持分事業体の仕組みへの第三者投資家の関与、第三者投資家の当初投資額、野村や第三者投資家が保有する変動持分事業体が発行した受益持分の金額と劣後構造といったさまざまな要素を考慮します。野村はこれまで、数多くの再証券化に出資しており、そのうちの多くの場合、事業体にとって最も重要な意思決定への支配力を第三者の投資家と共有していることから、野村は主たる受益者ではないと判断してきました。しかしながら、第三者投資家の当初投資額が重要ではない等、投資家が変動持分事業体の仕組みに関与していないと判断される場合は、野村はそのような変動持分事業体を連結しております。
2016年4月1日にASU2015-02を適用した結果、一定の投資ファンドが連結され、2017年3月31日の残高に含められております。ASU2015-02の適用に関する詳細は「注記1 会計処理の原則および会計方針の要旨」をご参照ください。
次の表は、連結財務諸表上の連結変動持分事業体の資産および負債の金額、その区分を表しております。これらの資産および負債の大部分は事業会社の発行する転換社債型新株予約権付社債やモーゲージ、モーゲージ担保証券を証券化するための特別目的事業体に関するものであります。なお、連結変動持分事業体の資産はその債権者に対する支払義務の履行にのみ使用され、連結変動持分事業体の債権者は、通常、野村に対して変動持分事業体の所有する資産を超過する遡及権を有しておりません。
(単位:十億円)
2016年3月31日2017年3月31日
連結貸借対照表上の変動持分事業体の資産
現金および現金同等物34
トレーディング資産
株式関連商品530679
債券関連商品756682
モーゲージ関連商品2211
受益証券等-11
デリバティブ取引115
プライベート・エクイティ投資12
建物、土地、器具備品および設備315
その他744
合計1,3231,463
連結貸借対照表上の変動持分事業体の負債
トレーディング負債
デリバティブ取引318
借入
短期借入65103
長期借入744851
その他22
合計814974

野村は変動持分事業体と継続的な関与がある限り、最新の事実と状況を基に、野村が主たる受益者であるかどうか当初の判定を継続的に見直しております。この判断は、変動持分事業体の構造や活動を含む仕組みの分析、野村や他者が保有する重要な経済的決定を下すパワーや変動持分の分析に基づいております。
野村が主たる受益者ではない場合でも変動持分事業体に対し変動持分を保有することがあります。そのような変動持分事業体に対し、野村が保有する変動持分には、商業用および居住用不動産を担保とした証券化やストラクチャード・ファイナンスに関連した優先債、劣後債、残余持分、エクイティ持分、主に高利回りのレバレッジド・ローンや格付けの低いローン等を購入するために設立された変動持分事業体に対するエクイティ持分、変動持分事業体を利用した航空機のオペレーティング・リースの取引に関する残余受益権、また事業会社の取得に関わる変動持分事業体への貸付や投資が含まれます。
次の表は非連結の変動持分事業体に対する変動持分の金額と区分、および最大損失のエクスポージャーを表しております。なお、最大損失のエクスポージャーは、不利な環境変化から実際に発生すると見積もられる損失額を表したものでも、その損失額を減少させる効果のある経済的ヘッジ取引を反映したものでもありません。変動持分事業体に対する野村の関与にかかわるリスクは帳簿価額、以下に記載されておりますコミットメントおよび債務保証の金額、およびデリバティブの想定元本に限定されます。しかしながら、野村は、デリバティブの想定元本額は一般的にリスク額を過大表示していると考えております。
(単位:十億円)
2016年3月31日2017年3月31日
連結貸借対照表上
の変動持分
最大損失のエクスポージャー連結貸借対照表上
の変動持分
最大損失のエクスポージャー
資産負債資産負債
トレーディング資産および負債
株式関連商品87-8765-65
債券関連商品118-118109-109
モーゲージ関連商品3,067-3,0673,754-3,754
受益証券等413-413146-146
デリバティブ取引0-20-2
プライベート・エクイティ投資14-1424-24
貸付金423-423388-388
その他4-410-10
貸出コミットメント、その他債務保証--42--59
合計4,126-4,1704,496-4,557

7 金融債権:
通常の営業活動の中で野村は、顧客に対して主に貸付契約および売戻条件付買入有価証券取引や有価証券借入取引といった担保付契約の形で融資を行っております。これらの金融債権は野村の連結貸借対照表上、資産として認識されており、要求払いまたは将来の確定日もしくは特定できる決済日に資金を受け取る契約上の権利をもたらすものです。
担保付契約
担保付契約は、連結貸借対照表上、売戻条件付買入有価証券に計上される売戻条件付買入有価証券取引および借入有価証券担保金に計上される有価証券借入取引から構成されており、この中には現先レポ取引が含まれております。売戻条件付買入有価証券取引および有価証券貸借取引は、主に国債あるいは政府系機関債を顧客との間において売戻条件付で購入する、または現金担保付で借り入れる取引です。野村は、原資産である有価証券の価値を関連する受取債権(未収利息を含みます)とともに日々把握し、適宜追加担保の徴求または返還を行っております。売戻条件付買入有価証券取引は通常買受金額に未収利息を加味した金額で連結貸借対照表に計上されております。有価証券借入取引は、通常現金担保付の取引であり、差入担保の金額が連結貸借対照表に計上されております。担保請求が厳密に行われていることから、これらの取引については通常貸倒引当金の計上は行われておりません。
貸付金
野村が有する貸付金は、主に銀行業務貸付金、有担保短期顧客貸付金、インターバンク短期金融市場貸付金、および企業向貸付金から構成されております。
銀行業務貸付金は、野村信託銀行株式会社やノムラ・バンク・インターナショナル PLCといった野村の銀行子会社によって実行された、個人向けおよび商業向けの有担保および無担保の貸付金です。不動産ないしは有価証券により担保されている個人向けおよび商業向けの貸付金に対して、野村は担保価値が下落するリスクを負うことになります。銀行業務貸付金には、関係を維持する目的で投資銀行業務の取引先に対して提供する無担保の商業向け貸付金も含まれます。通常、投資銀行業務の一環として提供している貸付金については相手先の信用力が高いことがほとんどですが、野村は相手先の債務不履行リスクを負うことになります。保証付き貸付金については、保証人により保証が履行されないリスクを負うことになります。
有担保短期顧客貸付金は、野村の証券仲介業務に関連した顧客に対する貸付金です。このような貸付金は顧客が有価証券を購入するための資金を提供しております。取引の開始にあたっては一定の委託保証金(担保適格有価証券または現金)の差し入れが必要であり、また購入有価証券を取引期間中担保として預かっております。さらに当該有価証券の一定以上の公正価値の下落にあたっては、貸付金に対して担保価値が特定の割合を維持するように適宜委託保証金の追加差し入れを徴求することができるため、野村が負うリスクは限定されております。
インターバンク短期金融市場貸付金は、短資会社を経由する短期(翌日および日中決済)取引が行われるコール市場において実行される、金融機関に対する貸付金です。コール市場の参加者は特定の金融機関に限定されており、かつこれらの貸付金は翌日決済またはきわめて期間が短いものであるため、野村が負うリスクは軽微と考えております。
企業向貸付金は、野村の銀行子会社以外によって実行される、主に法人顧客に対する商業向け貸付金です。企業向貸付金には、不動産または有価証券により担保されている有担保貸付金と、関係を維持する目的で投資銀行業務の取引先に対して提供する無担保の商業向け貸付金が含まれます。これらの貸付金に対して、野村は上記の銀行業務貸付金に含まれる、商業向け貸付金によって生じるリスクと同様のリスクを負うことになります。
上記の貸付金に加え、野村は関連会社に対する貸付金を有しております。これらの貸付金は原則無担保であるため、野村は相手先の債務不履行リスクを負うことになります。
連結貸借対照表上、貸付金または関連会社に対する投資および貸付金に計上されている貸付金の種類別残高は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月31日
償却原価公正価値(1)合計
貸付金
銀行業務貸付金364,976-364,976
有担保短期顧客貸付金377,437-377,437
インターバンク短期金融市場貸付金9,751-9,751
企業向貸付金551,673301,766853,439
貸付金合計1,303,837301,7661,605,603
関連会社に対する貸付金300-300
合計1,304,137301,7661,605,903

(単位:百万円)
2017年3月31日
償却原価公正価値(1)合計
貸付金
銀行業務貸付金386,127-386,127
有担保短期顧客貸付金358,572-358,572
インターバンク短期金融市場貸付金1,040-1,040
企業向貸付金592,425537,6641,130,089
貸付金合計1,338,164537,6641,875,828
関連会社に対する貸付金300-300
合計1,338,464537,6641,876,128

(1)公正価値オプションを選択した貸付金および貸出コミットメントであります。
2016年3月期において、企業向貸付金の重要な購入金額は124,161百万円でした。企業向貸付金の重要な売却金額はありません。また、同期間において、貸付金のトレーディング資産への重要な組替はありません。
2017年3月期において、企業向貸付金の購入金額および売却金額は重要な金額ではありません。また、同期間において、貸付金のトレーディング資産への重要な組替はありません。
貸倒引当金
野村は、償却原価で計上されている貸付金に対して、発生の可能性が高い損失につき最善の見積もりを行い貸倒引当金を計上しております。貸付金に対する貸倒引当金は下記の2つから構成されており、連結貸借対照表上の貸倒引当金に含めて計上しております。
・個別に減損を判定している貸付金に対する個別引当金
・個別に減損を判定していない貸付金に対し、過去の貸倒実績に基づき総合的に見積もられる一般引当金
個別引当金は、個別に減損を判定している貸付金から発生すると見積もられる損失を反映しております。貸付金は、現在の情報と事象に基づき、貸付契約の契約期間において貸付金の全額を回収できない可能性が高い場合、減損が認識されます。減損を決定するにあたっての当社の最善の見積もりには、債務者の支払能力の評価が含まれ、評価にあたっては貸付金の特性、過年度の貸倒実績、現在の経済状況、債務者の現在の財政状態、担保の公正価値等のさまざまな要素が考慮されております。重要でない返済遅延や返済不足が生じたのみでは、減損を認識する貸付金には分類されておりません。減損は個々の貸付金ごとに、貸付金の帳簿価額を、期待将来キャッシュ・フローを実効利子率で割り引いた現在価値、貸付金の市場価格、または担保で保全されている貸付金の場合は担保の公正価値のいずれかに調整することによって測定されております。
一般引当金は、個別に減損を判定している貸付金以外の貸付金に対する引当金であり、期末日における入手可能な情報に基づく回収可能性の判断および基礎的前提に内在する不確実性を含んでおります。また、一般引当金は過去の貸倒実績を基に、現在の経済環境などの定性的要素を調整して測定されております。
貸倒引当金の見積もりは、測定時点における入手可能な最善の情報に基づいていますが、経済環境の変化、当初の予測と実績との乖離等により、将来の修正が必要となる可能性があります。
野村は、貸付金が回収不能と判断した時点で、当該貸付金を償却しております。このような判断は、債務者の財政状態に重大な変更が生じたため債務を履行することができない、あるいは担保処分により回収できる金額が貸付金の返済に不十分である等の要素に基づきなされております。
次の表は、2016年3月期および2017年3月期における、貸倒引当金の推移を示しております。
(単位:百万円)
2016年3月期
貸付金に対する引当金貸付金以外の債権に対する引当金合計
銀行業務貸付金有担保
短期顧客貸付金
インターバンク短期金融市場貸付金企業向
貸付金
関連会社に対する貸付金小計
期首残高739142-7919612,2923,253
繰入173△757△71△133287320
貸倒償却--------
その他(1)-△1-0-△1△95△96
期末残高912667809932,4843,477

(単位:百万円)
2017年3月期
貸付金に対する引当金貸付金以外の債権に対する引当金合計
銀行業務貸付金有担保
短期顧客貸付金
インターバンク短期金融市場貸付金企業向
貸付金
関連会社に対する貸付金小計
期首残高912667809932,4843,477
繰入725△7465-535△12523
貸倒償却△16△5--0△21-△21
その他(1)-△66-0-△66△362△428
期末残高968--47301,4412,1103,551

(1)外国為替の変動による影響を含んでおります。
次の表は、2016年3月31日および2017年3月31日現在における引当方法別の貸倒引当金残高および貸付金残高を、貸付金の種類別に表示しております。
(単位:百万円)
2016年3月31日
銀行業務
貸付金
有担保
短期顧客
貸付金
インターバンク短期金融市場貸付金企業向
貸付金
関連会社
に対する
貸付金
合計
貸倒引当金残高:
個別引当---7-7
一般引当91266710986
合計91266780993
貸付金残高:
個別引当4,513139,1831,371543,050-688,117
一般引当360,463238,2548,3808,623300616,020
合計364,976377,4379,751551,6733001,304,137

(単位:百万円)
2017年3月31日
銀行業務
貸付金
有担保
短期顧客
貸付金
インターバンク短期金融市場貸付金企業向
貸付金
関連会社
に対する
貸付金
合計
貸倒引当金残高:
個別引当1--446-447
一般引当967--270994
合計968--47301,441
貸付金残高:
個別引当4,722164,0841,040579,290-749,136
一般引当381,405194,488-13,135300589,328
合計386,127358,5721,040592,4253001,338,464

利息計上中止および延滞貸付金
個別に減損を認識している貸付金については、野村所定の方針に従い、利息の計上中止に関する判定を行っております。判定の結果として利息計上を中止した場合、既に計上されている未収利息は、その時点で振戻しを行います。利息の計上の再開は、原則、貸付金が契約条件に則って履行されるようになったと認められる場合、すなわち延滞した元利金が全額返済された場合に限り行われます。貸付金の支払いが契約条件に則って履行されていない場合でも、元利金を合理的な期間内に全額回収できると合理的に見込める場合、または債務者が一定の期間継続して返済を行っている場合など特別な状況下においては利息の計上を再開する場合があります。
2016年3月31日現在、利息計上を中止している貸付金の残高は重要な金額ではありません。未収利息の計上が継続しており、90日以上の延滞が発生している貸付金の残高は重要な金額ではありません。
2017年3月31日現在、利息計上を中止している貸付金の残高は重要な金額ではありません。未収利息の計上が継続しており、90日以上の延滞が発生している貸付金の残高は重要な金額ではありません。
貸付金の減損が認識され利息の計上が中止された時点から、その後の利息収益は現金主義により認識されます。
貸付金の減損および不良債権のリストラクチャリング
通常の営業活動の中で野村は、トレーディング目的以外で保有する貸付金を減損することがあり、また、これらについて債務者の財政難、市場環境の変化ないしは取引維持などの理由により、リストラクチャリングを行う場合があります。不良債権のリストラクチャリング(Troubled Debt Restructuring (以下「TDR」))とは、債務者の財政難に関連して、債権者である野村が、経済的または法的な理由により譲歩を与えるものであります。
TDRに該当する貸付金は、通常すでに減損が認識され、貸倒引当金が計上されております。他の貸付金と合算して減損判定を行う場合などで減損が認識されていない貸付金が、TDRに該当する貸付金となった場合は、速やかに減損貸付金に分類されます。資産による貸付金の全額または一部の弁済ではなく、単なる条件変更によってTDRに該当することとなった貸付金に対する減損金額は、他の減損貸付金と同様の方法で測定されます。TDRに際し、貸付金の全額または一部の弁済として受け取った資産は公正価値で認識されます。
2016年3月31日現在、貸倒引当金を計上していない減損貸付金の残高は重要ではありません。貸倒引当金を計上している減損貸付金の帳簿価額、未回収元本およびこれにかかる貸倒引当金は重要ではありません。
2017年3月31日現在、貸倒引当金を計上していない減損貸付金の残高は重要ではありません。貸倒引当金を計上している減損貸付金の帳簿価額、未回収元本およびこれにかかる貸倒引当金は重要ではありません。
2016年3月期および2017年3月期において発生したTDRの金額は重要ではありません。
信用の質の指標
野村は、債務者の信用力の低下または破綻等による債権の価値の下落や債務不履行といった信用リスクに晒されておりますが、貸付等に関する信用リスク管理は、内部格付に基づく与信管理を基礎として、融資実行時の個別案件毎の綿密な審査と融資実行後の債務者の信用力の継続的なモニタリングを通じて行われております。
次の表は、公正価値で評価されたものを除く貸付金について、野村の内部格付またはそれに類する子会社の審査基準の区分により貸付金を種類別に表示しております。
(単位:百万円)
2016年3月31日
AAA-BBBBB-CCCCC-Dその他(1)合計
有担保銀行業務貸付金125,37175,853039,281240,505
無担保銀行業務貸付金122,4112,0591-124,471
有担保短期顧客貸付金---377,437377,437
有担保インターバンク
短期金融市場貸付金
-----
無担保インターバンク
短期金融市場貸付金
9,751---9,751
有担保企業向貸付金268,206264,3233,9744,119540,622
無担保企業向貸付金2,9571,123-6,97111,051
関連会社に対する貸付金300---300
合計528,996343,3583,975427,8081,304,137

(単位:百万円)
2017年3月31日
AAA-BBBBB-CCCCC-Dその他(1)合計
有担保銀行業務貸付金124,99789,022-36,406250,425
無担保銀行業務貸付金134,1411,55911135,702
有担保短期顧客貸付金---358,574358,574
有担保インターバンク
短期金融市場貸付金
-----
無担保インターバンク
短期金融市場貸付金
1,040---1,040
有担保企業向貸付金286,384287,469-5,702579,555
無担保企業向貸付金1,859284-10,72712,870
関連会社に対する貸付金300---300
合計548,721378,3341411,4101,338,466

(1) 主に所定の担保率が維持されている貸付金であります。
野村グループで使用する内部格付の定義は以下の表に記載のとおりです。
格付
レンジ
定 義
AAA最上位の信用力。債務者または案件の債務を履行する能力は極めて高い。「AAA」はクレジット部署が付与する最上位の格付である。デフォルト確率は極めて低い。
AA非常に高い信用力。債務者または案件の債務を履行する能力は非常に高い。デフォルト確率は非常に低いが、「AAA」のデフォルト確率を上回る。
A高い信用力。債務者または案件の債務を履行する能力は高いが、上位の格付に比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい。デフォルト確率は低いが、「AA格」のデフォルト確率を上回る。
BBB良好な信用力。債務者または案件の債務を履行する能力は適切であるが、上位の格付に比べ、事業環境や経済状況の悪化によって、債務履行能力が低下する可能性がより高い。デフォルト確率は中位にあるが、「A格」のデフォルト確率を上回る。
BB投機的な信用力。債務者または案件は、より低い格付ほど短期的には脆弱ではないが、事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。デフォルト確率は中位から高目で、「BBB格」のデフォルト確率を上回る。
B極めて投機的な信用力。債務者または案件は、「BB格」が付与される場合よりも脆弱である。現時点では債務を履行する能力を有しているが、事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれ易い。デフォルト確率は高く、「BB格」のデフォルト確率を上回る。
CCC相当程度の信用リスク。債務者または案件は、現時点で脆弱であり、その債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、および経済状況に依存している。デフォルト確率は非常に高く、「B格」のデフォルト確率を上回る。
CC債務者または案件は、現時点で非常に脆弱であり、債務の履行についても不確実性が非常に高い(デフォルト等級)。
C債務者または案件は、現時点で極めて脆弱であり、債務の履行についても不確実性が極めて高い(デフォルト等級)。
D債務者または案件は、契約通り債務の全部または一部の履行を適時に行うことができないこと、当初の条件から信用供与者にとって著しく不利益となる契約条件に変更されること、破産・会社更生・民事再生等の手続きの開始、管財人の選任、その他清算、事業停止に相当する事実の発生、またはこれらに類似した状態。

野村は、債務者および債権に関する財務情報ならびにその他の情報に基づき、最低年1回、内部格付の見直しを行っております。また、リスクが高いまたは問題がある債務者については、より頻繁に内部格付の見直しを行うとともに、債務者の信用力に関する重大な事実が明らかになった際には、すみやかに内部格付の見直しを行うこととしております。
8 リース:
貸主側
野村は、オペレーティング・リースにより、国内外で不動産および航空機の賃貸を行っております。賃貸にかかる資産については、土地を除き取得価額から減価償却累計額を控除した金額で、また、土地については取得価額で、連結貸借対照表上のその他の資産-建物、土地、器具備品および設備に計上しております。
次の表は、オペレーティング・リースにより賃貸している資産を種類別に表示しております。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
取得価額減価償却
累計額
帳簿価額
(純額)
取得価額減価償却
累計額
帳簿価額
(純額)
不動産(注)3,093△1,5021,5913,090△1,6121,478
航空機4,655△1,1773,47815,110△5615,054
合計7,748△2,6795,06918,200△1,66816,532

(注)不動産の取得価額、減価償却累計額、帳簿価額(純額)の金額は、自社利用分を含んでおります。
野村は、オペレーティング・リースにかかる資産の受取リース料として2016年3月期および2017年3月期にそれぞれ1,229百万円、717百万円を計上しており、これらは、連結損益計算書の収益-その他に含まれております。
2017年3月31日現在における解約不能オペレーティング・リースにかかる将来受け取る最低受取リース料の金額は15,502百万円となっております。受取年限別に集計すると、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
合計受取年限
1年以内1~2年2~3年3~4年4~5年5年超
最低受取リース料15,5021,4831,4801,4801,4801,4808,099

借主側
野村は、国内外でオフィスおよび特定の従業員用住宅、施設等を解約可能オペレーティング・リースにより賃借しており、当該契約は契約期間満了時に更新されるのが慣行になっております。また野村は、国内外で特定の器具備品および施設を解約不能オペレーティング・リースにより賃借しております。これらにかかる支払リース料は、転貸収入を控除し、2016年3月期が49,000百万円、2017年3月期が42,919百万円となっております。
次の表は、2017年3月31日現在における残存契約期間が1年超の解約不能オペレーティング・リース契約に基づき将来支払われる最低支払リース料の金額を示しております。
(単位:百万円)
2017年3月31日
最低支払リース料127,818
控除:転貸収入△13,046
最低支払リース料純額114,772

2017年3月31日現在の上記最低支払リース料の金額を支払年限別に集計すると、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
合計支払年限
1年以内1~2年2~3年3~4年4~5年5年超
最低支払リース料127,81817,07515,10211,85210,0587,87765,854

また、野村は国内外で特定の器具備品および施設をキャピタル・リースにより賃借しております。キャピタル・リースの場合には、リース物件の公正価値または最低支払リース料の現在価値のいずれか低い価額をもってリース資産を認識します。野村のキャピタル・リース資産総額は、2016年3月31日および2017年3月31日時点で31,030百万円、27,067百万円であり、減価償却累計額はそれぞれ6,784百万円、7,225百万円であり、連結貸借対照表上のその他の資産-建物、土地、器具備品および設備に計上しております。
次の表は、2017年3月31日現在におけるキャピタル・リース契約に基づき将来支払われる最低支払リース料の金額を示しております。
(単位:百万円)
2017年3月31日
最低支払リース料46,579
控除:利息相当額△26,890
最低支払リース料純額の現在価値19,689

2017年3月31日現在の上記最低支払リース料の金額を支払年限別に集計すると、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
合計支払年限
1年以内1~2年2~3年3~4年4~5年5年超
最低支払リース料46,5793,6663,5023,5833,6383,64128,549

なお、特定のリース契約には、更新選択権条項または維持費用、公共料金および税金の増加に基づく支払リース料の引上げを定める段階的引上条項が規定されております。
9 その他の資産-その他およびその他の負債:
連結貸借対照表上のその他の資産-その他、およびその他の負債には、以下のものが含まれております。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
連結貸借対照表上のその他の資産-その他:
受入担保有価証券318,112447,272
のれんおよびその他の無形資産110,532104,821
繰延税金資産36,13021,825
営業目的以外の投資持分証券(1)130,357245,600
前払費用30,99710,699
その他348,383338,589
合計974,5111,168,806
連結貸借対照表上のその他の負債:
受入担保有価証券返還義務318,112447,272
未払法人所得税32,94724,213
その他の未払費用389,338397,605
その他(2)460,250439,420
合計1,200,6471,308,510

(1)その他の資産-その他には、トレーディングおよび営業目的以外の市場性・非市場性の投資持分証券が含まれております。これらの投資は、上場および非上場の投資持分証券で構成され、2016年3月期にはそれぞれ109,887百万円および20,470百万円、2017年3月期にはそれぞれ117,476百万円および128,124百万円が含まれております。これらの証券は、連結貸借対照表上、公正価値で評価しており、公正価値の変動は、連結損益計算書上、収益-その他で認識しております。
(2)野村の保険子会社の引き受けた保険契約のうち、投資契約に該当するものを含んでおります。投資契約に該当する保険負債の帳簿価額および見積公正価値はそれぞれ、2016年3月31日現在242,496百万円および244,246百万円、2017年3月31日現在224,418百万円および225,563百万円となります。見積公正価値は将来のキャッシュ・フローを割り引くことにより推計しており、一般的に公正価値階層のレベル3に分類される評価データを用いております。
のれんは、企業結合に伴い、被取得企業の買収価額と買収時の被取得企業の識別可能な純資産の公正価値の差額として認識されます。のれんは償却せず、各事業年度の第4四半期または特定の状況がある場合、例えば不利な方向に経営環境が変動した場合等にはより高い頻度で減損判定を行います。
連結貸借対照表上のその他の資産-その他に含まれるのれんの変動は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月期
期首残高期中増減期末残高
取得価額減損累計額帳簿価額
(純額)
減損その他(1)取得価額減損累計額帳簿価額
(純額)
ホールセール97,529△11,81785,712-△5,41992,110△11,81780,293
その他6,612△6,134478-△8470-470
合計104,141△17,95186,190-△5,42792,580△11,81780,763

(単位:百万円)
2017年3月期
期首残高期中増減期末残高
取得価額減損累計額帳簿価額
(純額)
減損その他(1)取得価額減損累計額帳簿価額
(純額)
ホールセール92,110△11,81780,293-△35791,753△11,81779,936
その他470-470-1471-471
合計92,580△11,81780,763-△35692,224△11,81780,407

(1)為替換算による増減であります。
2016年3月31日および2017年3月31日現在の償却性無形資産の内訳は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
取得価額償却累計額帳簿価額
(純額)
取得価額償却累計額帳簿価額
(純額)
顧客関連無形資産68,239△47,65520,58467,942△52,62815,314
その他503△315188493△360133
合計68,742△47,97020,77268,435△52,98815,447

2016年3月期および2017年3月期の償却性無形資産の償却額はそれぞれ5,181百万円、4,535百万円です。また翌連結会計年度以降5年間の見積償却額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
連結会計年度
2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期
見積償却額5,1233,5182,4022,4022,002

のれんを除く非償却性無形資産の金額は、2016年3月31日現在8,997百万円、2017年3月31日現在8,967百万円であります。のれんを除く非償却性無形資産には主に商標権が含まれております。
10 借入:
野村の2016年3月31日現在および2017年3月31日現在の借入は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
短期借入(1):
コマーシャル・ペーパー177,9062,562
銀行借入金149,775130,676
その他335,221409,811
662,902543,049
長期借入:
銀行およびその他の金融機関からの長期借入金(2)3,197,3032,868,591
社債発行残高(3)
固定金利債務:
日本円建1,300,8721,099,278
日本円建以外876,088782,315
変動金利債務:
日本円建726,568825,038
日本円建以外293,207164,397
インデックス/エクイティ・リンク債務:
日本円建802,849822,746
日本円建以外805,217592,831
4,804,8014,286,605
小計8,002,1047,155,196
譲渡取消による担保付借入127,45540,212
8,129,5597,195,408

(1)担保付借入(2016年3月31日現在82,861百万円、2017年3月31日現在158,156百万円)を含んでおります。
(2)担保付借入(2016年3月31日現在226,704百万円、2017年3月31日現在120,322百万円)を含んでおります。
(3)担保付借入(2016年3月31日現在744,945百万円、2017年3月31日現在851,239百万円)を含んでおります。
譲渡取消による担保付借入
譲渡取消による担保付借入は、金融資産移転取引が編纂書860に基づく売却会計処理の要件を満たさず、当該取引が担保付資金調達として会計処理される場合に認識される負債であります。当該借入は、野村の資金調達を目的としたものではなく、金融資産により担保された金融商品を販売し利益を得るために行うトレーディングに関連したものであります。
長期借入は、以下の内訳からなっております。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
当社の借入債務残高3,624,8363,006,669
子会社の借入債務残高(当社が保証するもの)1,973,2131,846,119
子会社の借入債務残高(当社が保証しないもの)(1)2,531,5102,342,620
8,129,5597,195,408

(1)譲渡取消による担保付借入を含んでおります。
2016年3月31日現在、長期借入の固定金利債務の満期の範囲は2016年~2046年、利率の範囲は0.00%~14.53%となっております。変動金利債務は一般にLIBORを基準としており、返済期限の定めのない永久劣後特約付社債を除いた債務の満期の範囲は2016年~2047年、利率の範囲は0.00%~9.01%となっております。インデックス/エクイティ・リンク債務の満期の範囲は2016年~2046年、利率の範囲は0.00%~31.00%となっております。
2017年3月31日現在、長期借入の固定金利債務の満期の範囲は2017年~2047年、利率の範囲は0.00%~14.53%となっております。変動金利債務は一般にLIBORを基準としており、返済期限の定めのない永久劣後特約付社債を除いた債務の満期の範囲は2017年~2047年、利率の範囲は0.00%~4.50%となっております。インデックス/エクイティ・リンク債務の満期の範囲は2017年~2047年、利率の範囲は0.00%~33.20%となっております。
特定の借入契約には、当該借入が借入人の選択により満期前の特定期日に償還可能である旨の条項が含まれており、また、エクイティあるいはその他の指数に連動する商品を含んでおります。
野村は、金利および通貨リスクを管理するためにスワップ契約を締結しております。基本的にそうしたスワップ契約により、野村の発行社債は実質的にLIBORベースの変動金利債務に変換されております。長期借入の帳簿価額は公正価値ヘッジを反映するための調整を含んでおります。
借入の実効加重平均金利(一部のものについてはヘッジ効果考慮後)は、以下のとおりであります。
2016年3月31日2017年3月31日
短期借入0.77%1.20%
長期借入0.88%0.90%
固定金利債務1.45%1.03%
変動金利債務0.89%1.26%
インデックス/エクイティ・リンク債務0.36%0.37%

長期借入の満期年限別金額
2017年3月31日現在の公正価値ヘッジに関連する調整および公正価値測定の対象となっている負債を含む長期借入の満期年限別金額は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2018年3月期478,658
2019年3月期1,164,050
2020年3月期1,173,632
2021年3月期876,145
2022年3月期660,015
2023年3月期以降2,802,696
小計7,155,196
譲渡取消による担保付借入40,212
合計7,195,408

借入ファシリティ
野村の未使用借入枠は、2016年3月31日現在27,458百万円、2017年3月31日現在はありません。
なお、この未使用借入枠については現状の借入金と比較して条件は大きく異なりません。
野村は年度毎に過度な満期日の集中を防ぐため、満期日が年間を通じて均一に分散されるように計画された、借入ファシリティを保有しております。これらのファシリティは、慣例的な貸付条件、条項にしたがっております。
劣後借入
劣後借入は、2016年3月31日現在657,463百万円、2017年3月31日現在484,854百万円であります。
11 1株当たり当期純利益:
基本および希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、連結損益計算書に記載されております。基本1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は当社株主に帰属する当期純利益を期中加重平均株式数で割ることで求められます。希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、希薄化効果を有するすべての有価証券等につき、潜在的な普通株式が期中に割り当てられると仮定した調整が加えられた加重平均株式数を用いて、基本1株当たり当社株主に帰属する当期純利益と同様に求められます。加えて、当社株主に帰属する当期純利益について連結子会社および関連会社が発行する希薄化効果のある有価証券等を転換させたと仮定した場合の損益への影響を反映しております。
基本および希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益の計算に用いられた金額および株式数の調整計算は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(1株当たり情報単位:円)
2016年3月期2017年3月期
基本-
当社株主に帰属する当期純利益131,550239,617
加重平均株式数3,600,701,4993,560,775,652
1株当たり当社株主に帰属する当期純利益36.5367.29
希薄化後-
当社株主に帰属する当期純利益131,426239,475
加重平均株式数3,700,388,0503,647,729,909
1株当たり当社株主に帰属する当期純利益35.5265.65

2016年3月期および2017年3月期の当社株主に帰属する当期純利益に対する希薄化は、連結子会社および関連会社が発行するストック・オプションの行使を仮定した場合の利益の減少により生じます。
2016年3月期および2017年3月期の希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益の計算に用いられる加重平均株式数は、新株予約権を発行する株式報酬制度により潜在株式数が増加しましたが、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益に与える影響は僅少です。
2016年3月31日および2017年3月31日現在で、それぞれ10,029,500株および7,927,900株の普通株式を購入する権利を有する新株予約権において逆希薄化効果を有しているため、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益の計算から除いております。
決算日後に生じた事象
当社は、2017年4月27日、自己株式の取得にかかる事項を決議いたしました。詳細は、「注記17 株主資本」をご参照ください。
当社は、2017年4月27日、ストック・オプションの目的で新株予約権を発行することを決議いたしました。詳細は、「注記13 繰延報酬制度」をご参照ください。
12 従業員給付制度:
野村は、世界各地でさまざまな退職給付制度を提供しております。加えて、野村證券健康保険組合(以下「健保組合」)を通じて、特定の在籍する従業員および退職した従業員に対し医療給付を行っております。
確定給付型年金制度
当社および国内会社の一部は、一定の受給資格を満たす従業員について、外部積立型の退職給付制度である退職年金制度を設けております。この制度からの給付は、勤続期間、退職時の年齢、従業員の選択等に基づき、年金あるいは一時金として行われております。給付額は就業規則に定められた役職、勤続期間、退職事由等に基づいて計算されております。上記年金制度に加えて、一部の国内会社は、非積立型の退職一時金制度を設けております。この制度のもとでは、原則として、勤続期間が2年以上の従業員に対し、退職時に一時金が支給されます。給付額は就業規則に定められた役職、勤続期間、退職事由等に基づいて計算されております。また退職年金制度の年金資産への拠出は、国内での基準を満たす額を毎年拠出していくという方針で行われております。2008年12月、国内会社の一部は、外部積立型の退職年金制度と非積立型の退職一時金制度につき変更を行い、キャッシュ・バランス・プランを採用いたしました。キャッシュ・バランス・プランにおきましては、参加者はおのおの口座を与えられ、最新の給与と実勢利率により再評価された率に基づいて毎年計算された金額が、その口座に加算されます。
一部の海外子会社は、確定給付型制度を、一定の従業員に対し提供しております。2016年3月31日および2017年3月31日現在で、退職給付にかかる資産をそれぞれ9,019百万円、9,338百万円計上しております。
期間退職・年金費用
国内会社における確定給付型の退職給付制度にかかる期間退職・年金費用(純額)の主な内訳は以下のとおりであります。なお野村は、国内会社の確定給付型年金制度においては3月31日を測定日としております。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
勤務費用8,2538,909
利息費用2,0921,444
年金資産の期待収益△6,064△6,004
年金数理上の損失の償却1,4562,867
過去勤務費用の償却△1,148△1,090
期間退職・年金費用(純額)4,5896,126

過去勤務費用の償却は、在籍する従業員の平均残存勤務期間にわたって定額法で行っております。また、予測給付債務と年金資産の公正価値のうちいずれか大きい金額の10%を超える年金数理上の損益は、在籍する従業員の平均残存勤務期間(11年)にわたって償却しております。
給付債務および制度の財政状況
次の表は、国内会社の制度における予測給付債務および年金資産の公正価値の変動状況および財政状況の概要を示したものであります。
(単位:百万円)
2016年3月期
および
2016年3月31日
2017年3月期
および
2017年3月31日
予測給付債務の変動:
予測給付債務期首残高240,858253,292
勤務費用8,2538,909
利息費用2,0921,444
年金数理上の損益13,12116,367
支払給付△10,528△10,285
連結範囲の異動等△5049
予測給付債務期末残高253,292269,736
年金資産の変動:
年金資産の公正価値期首残高233,837232,027
年金資産運用収益2,5406,754
事業主拠出4,5594,124
支払給付△8,909△8,960
年金資産の公正価値期末残高232,027233,945
制度の財政状況△21,265△35,791
連結貸借対照表で認識された金額△21,265△35,791

国内会社の制度における累積給付債務は、2016年3月31日現在253,292百万円および2017年3月31日現在269,736百万円であります。
国内会社の制度における予測給付債務および累積給付債務が年金資産の公正価値を上回っている年金制度について、予測給付債務、累積給付債務および年金資産の公正価値は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
累積給付債務が年金資産の公正価値を上回っている制度
予測給付債務31,78836,587
累積給付債務31,78836,587
年金資産の公正価値--
予測給付債務が年金資産の公正価値を上回っている制度
予測給付債務31,78836,587
累積給付債務31,78836,587
年金資産の公正価値--

国内会社の制度における期間退職・年金費用(純額)の構成要素として認識されていない累積的その他の包括利益(税引前)の金額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2017年3月期
未認識年金数理上の損失69,940
未認識過去勤務費用△7,710
合計62,230

2018年3月期において、国内会社の制度における期間退職・年金費用(純額)の構成要素として認識されると予想される累積的その他の包括利益(税引前)の金額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2018年3月期
未認識年金数理上の損失3,950
未認識過去勤務費用△1,148
合計2,802

見積もり
次の表は、国内会社の制度における期末日の予測給付債務の現在価値を決定する際に用いられた見積もり数値の加重平均を示しております。
2016年3月31日2017年3月31日
割引率0.6%0.9%
昇給率2.5%2.5%

次の表は、国内会社の制度における各年度の期間退職・年金費用を決定する際に用いられた見積もり数値の加重平均を示しております。
2016年3月31日2017年3月31日
割引率0.9%0.6%
昇給率2.5%2.5%
年金資産の長期期待運用収益率2.6%2.6%

通常、野村は確定給付制度における割引率の決定に関して長期の高格付債券の指標を参考にしており、決定された割引率が、確定給付制度の債務の期間に応じて調整された後の指標を上回っていないことを確認しております。
野村は、年金資産の期待運用収益を計算するために、長期期待運用収益率を使用しております。そして、長期期待運用収益率を決定する際は、過去の金融市場の傾向が将来にわたって継続するという仮定のもと、過去の長期運用収益率の実績に基づくことを基本方針としております。
年金資産
野村は、年金給付等の支払を将来にわたり確実に行えるよう、長期的に必要となる年金資産の確保を目的として運用しております。長期的な目標収益率を達成することを前提としつつも、リスクが分散されたポートフォリオを構築することにより、短期的変動を抑えた運用を目指しております。年金資産は、このポートフォリオの方針に基づいて、分散投資しております。
野村の国内会社のポートフォリオは、エクイティ(プライベート・エクイティ含む)17%、負債証券45%、生保一般勘定20%、その他18%に投資することを基本的目標としております。基本ポートフォリオは、原則として5年毎の財政再計算およびポートフォリオ策定時に設定した前提条件等に大きな変化があった時に見直しを行います。
公正価値の測定に使用されるデータの3つのレベルの区分については、「注記2 公正価値測定」に記載しております。
次の表は国内会社の制度の年金資産の公正価値について、2016年3月31日および2017年3月31日のレベル別の金額を資産のカテゴリー別に示しております。
年金資産:
(単位:百万円)
2016年3月31日
レベル1レベル2レベル3期末残高
エクイティ21,283--21,283
プライベート・エクイティ--7,5107,510
日本国債61,803--61,803
銀行および事業会社の負債証券2,3802,163-4,543
受益証券等(1)-12,93447,69960,633
生保一般勘定-52,109-52,109
その他-24,146-24,146
合計85,46691,35255,209232,027

年金資産:
(単位:百万円)
2017年3月31日
レベル1レベル2レベル3期末残高
エクイティ24,375--24,375
プライベート・エクイティ--6,7856,785
日本国債53,270--53,270
銀行および事業会社の負債証券2,3891,932-4,321
受益証券等(1)-9,81650,42460,240
生保一般勘定-53,098-53,098
その他-31,856-31,856
合計80,03496,70257,209233,945

(1)主に、ヘッジファンドおよび不動産ファンドが含まれております。
海外制度における年金資産の2016年3月31日現在の公正価値は、レベル1が3,954百万円、レベル2が192百万円、レベル3が35,610百万円、2017年3月31日現在の公正価値は、レベル1が3,239百万円、レベル2が140百万円、レベル3が37,021百万円であります。
レベル1に該当する資産は、主に株式や国債で、測定日において取引可能な活発な市場における同一の資産に対する未調整の取引価格で評価しております。レベル2に該当する資産は、主に受益証券、社債および生保一般勘定であります。受益証券は、運用機関により計算された純資産価値により評価しております。生保一般勘定は、転換価格で評価しております。
次の表は、国内会社の制度におけるレベル3に該当する年金資産の2016年3月期および2017年3月期の損益と推移を示しております。
(単位:百万円)
2016年3月期
2016年3月期
期首残高
実現および
未実現損益
購入/売却2016年3月期
期末残高
プライベート・エクイティ6,793△2,0342,7517,510
受益証券等48,545△2,0181,17247,699
合計55,338△4,0523,92355,209

(単位:百万円)
2017年3月期
2017年3月期
期首残高
実現および
未実現損益
購入/売却2017年3月期
期末残高
プライベート・エクイティ7,510353△1,0786,785
受益証券等47,6991,1551,57050,424
合計55,2091,50849257,209

海外制度における年金資産でレベル3に該当するものは主に年金保険投資であり、2016年3月31日現在の残高は35,610百万円、2017年3月31日現在の残高は37,021百万円であります。2016年3月期および2017年3月期においてレベル3に該当する資産にかかる未実現利益(△損失)は△8,241百万円および5,836百万円であります。2016年3月期および2017年3月期における当該資産にかかる上記以外の実現および未実現損益、購入・売却、レベル1、2からレベル3間の移動で重要なものはありません。
キャッシュ・フロー
国内会社の制度において、退職年金制度の年金資産への拠出は、国内での基準を満たす額を毎年拠出していくという方針に基づき、2018年3月期において4,124百万円を年金資産に対して拠出する予定であります。
国内会社の制度における今後5年間の予測給付額および6年後から10年後までの合計予測給付額は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2018年3月期12,232
2019年3月期12,199
2020年3月期11,806
2021年3月期11,489
2022年3月期11,708
2023年3月期~2027年3月期64,993

確定拠出年金制度
確定給付型年金制度に加えて、当社、野村證券株式会社および他の国内子会社、海外子会社は確定拠出年金制度を採用しております。
国内会社の確定拠出年金制度に対する拠出費用は、2016年3月期が3,582百万円、2017年3月期が3,636百万円であります。
海外子会社の確定拠出年金制度に対する拠出費用は、2016年3月期が10,777百万円、2017年3月期が8,650百万円であります。
医療給付制度
当社および特定の子会社は、健保組合を通じ在籍する従業員および退職従業員に対し一定の医療給付も行っております。また当社および特定の子会社は、退職従業員に対する一定の医療給付の提供を支援しており(以下「特別制度」)、こうした退職者は全額負担条件で、すなわち1人当たり見積給付費用に基づく負担に応じることにより特別制度への加入を継続することができます。特別制度の管理が健保組合および国との共同で行われており、また特別制度の財政状況は別個に計算されていないため、特別制度は複数事業主退職後給付制度に該当します。このため、当社および特定の子会社は、退職者医療給付の費用のうち退職者負担により賄われない額の一部を負担しておりますが、将来の費用の引当てを行っておりません。医療給付費用は要拠出額と等しくなり、2016年3月期が7,147百万円、2017年3月期が8,138百万円であります。
13 繰延報酬制度:
野村は役員もしくは従業員に対し、株式報酬を付与しております。これらの株式報酬の一部は、優秀な人材を確保し、業績向上へのインセンティブを高めるため、株価と連動しております。
株式報酬制度には、ストック・オプションAプラン、Bプラン、ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランがあります。ストック・オプションAプランは実質的にストック・オプションですが、ストック・オプションBプラン、ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランは、リストリクテッド・ストック(譲渡制限期間付きの株式)に類似する報酬制度です。また、その他の報酬制度として、Morgan Stanley Capital International社が公表している株価指数の1つに連動するファントム・インデックスプランがあります。
2013年5月以降に付与された特定の繰延報酬には、野村での職位と勤務期間にかかる一定の条件を満たした場合、自己都合退職時点または事前に決定された期間内におけるフル・キャリア・リタイアメントの申請時点で受給権の確定を認める「フル・キャリア・リタイアメント」条項を含んでおります。これら報酬にかかる必要勤務期間は、契約上の受給権確定日または対象者がフル・キャリア・リタイアメントの条件を満たした日もしくはフル・キャリア・リタイアメントの申請をした日のいずれか早い日に終了します。
ストック・オプションAプラン
当社は、実質的にストック・オプションといえる普通株式の新株予約権を発行しております。このストック・オプションは、付与日の約2年後に受給権が確定し行使可能となり、一定事由による退職等もしくは付与日の約7年後に失効します。行使価額は、基本的に付与日における当社の普通株式の公正価値以上の価格となっております。
付与日のストック・オプションの公正価値は、ブラック=ショールズのオプション価格決定モデルを用い、以下の仮定に基づき算定されております。
・予想ボラティリティは、当社の普通株式の過去のボラティリティに基づいております。
・予想配当利回りは、付与時の配当利回りに基づいております。
・付与されたオプションの予想残存期間は、過去の実績を基に決定しております。
・安全利子率の見積もりは、オプションの予想残存期間と等しい満期の円スワップレートに基づいております。
2016年3月期、2017年3月期の付与日におけるオプションの加重平均公正価値は1株あたりそれぞれ176円、126円でした。各期における加重平均価格の見積もりに使用した仮定は、以下のとおりです。
2016年3月期2017年3月期
予想ボラティリティ40.87%40.95%
予想配当利回り2.99%2.30%
予想残存期間7年4.5年
安全利子率0.27%0.03%

次の表は、2017年3月期におけるストック・オプションAプランの実施状況を示しております。
発行済
(株式数)
加重平均
行使価格
(円)
加重平均
契約残存年数
(年)
2016年3月31日14,991,1006403.6
付与2,561,000593
行使△975,400370
失効△55,200707
行使期限満了△2,050,500728
2017年3月31日14,471,0006344.2
うち、行使可能なストック・オプション9,340,6005993.1

2016年3月期および2017年3月期において行使されたストック・オプションAプランの本源的価値の総額は、それぞれ435百万円および330百万円でした。
2017年3月期の期末におけるストック・オプションAプランの本源的価値および行使可能なストックオプションの本源的価値は、それぞれ1,608百万円および1,355百万円でした。
2017年3月期においてストック・オプションAプランに関連する未認識報酬費用の合計額は405百万円でした。当該費用は1.3年の加重平均期間にわたって認識される予定です。期中に受給権が確定したストック・オプションAプランの確定日時点の公正価値の総額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれゼロおよびゼロとなっております。
ストック・オプションBプラン
当社は、実質的に株式報酬といえる新株予約権を発行しております。この株式報酬は、付与日の約6ヶ月後から約5年後に受給権が確定し行使可能となり、一定事由による退職等もしくは付与日の約5年6ヶ月から約10年後に失効します。行使価格は、1株当たり1円となっております。
付与日のストック・オプションBプランの公正価値は、当社の普通株式の公正価値に基づき決定されます。
次の表は、2017年3月期におけるストック・オプションBプランの実施状況を示しております。
発行済
(株式数)
付与日における
1株当たりの
加重平均公正価値
(円)
加重平均
契約残存年数
(年)
2016年3月31日91,976,2005455.1
付与23,870,500375
行使△39,702,000554
失効△1,794,400514
行使期限満了△18,700816
2017年3月31日74,331,6004864.8
うち、行使可能なストック・オプション20,666,0005123.1

2016年3月期、2017年3月期の付与日における1株あたりの加重平均公正価値はそれぞれ759円、375円でした。
2016年3月期、2017年3月期において行使されたストック・オプションBプランの本源的価値の総額は、それぞれ25,059百万円、21,014百万円でした。
2017年3月期の期末におけるストック・オプションBプランの本源的価値および行使可能なストックオプションの本源的価値は、それぞれ51,356百万円および14,278百万円でした。
2017年3月期においてストック・オプションBプランに関連する未認識報酬費用の合計額は1,873百万円でした。当該費用は1.4年の加重平均期間にわたって認識される予定です。期中に受給権が確定したストック・オプションBプランの確定日時点の公正価値の総額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ20,880百万円および23,310百万円となっております。
連結損益計算書上、金融費用以外の費用-人件費に含まれるストック・オプションAプランおよびBプランにかかる費用の総額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ16,890百万円および8,960百万円となっております。
2017年3月期において、ストック・オプションAプランおよびBプランの行使によって受け取った現金は400百万円であり、ストック・オプションの行使から実現した税効果は857百万円でした。
ストック・オプションAプラン、Bプランにかかる費用に対して認識した税務ベネフィットの金額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ806百万円および453百万円でした。発行した株式報酬制度の希薄化についての影響は、希薄化後1株当たり当期純利益の計算に用いる加重平均発行済株式数に含まれております。
ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプラン
ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランは株価に連動する現金決済型の報酬制度です。ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランは、付与日から約5年にわたり受給権が確定し、一定事由による退職等により失効します。ファントム・ストックプランは新株予約権で決済されるストック・オプションBプランと同じ特徴を持つ報酬制度です。カラー付ファントム・ストックプランはファントム・ストックプランと同様に株価に連動しますが、連動幅が一定の範囲に制限されます。
ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランの公正価値は当社の普通株式の市場価格に基づき決定されます。
次の表は、2017年3月期におけるファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランの実施状況を示しております。
ファントム・ストックプランカラー付ファントム・ストックプラン
残高
(単位数)
株価
(円)
残高
(単位数)
株価
(円)
2016年3月31日38,582,02249829,510,658586
付与21,048,181463(1)19,275,538475(1)
確定△26,622,239536(2)△28,894,163526(2)
失効△1,035,157△859,970
2017年3月31日31,972,807679(3)19,032,063603(3)

(1)付与数量を決定するために使用された当社普通株式の加重平均市場価格となっております。
(2)現金決済金額を決定するために使用された当社普通株式の加重平均市場価格となっております。
(3)2017年3月31日現在において、権利未確定の報酬を公正価値で再評価するために使用された当社普通株式の市場価格となっております。
連結損益計算書上、金融費用以外の費用-人件費に含まれる各ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランにかかる費用の総額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ23,480百万円および23,127百万円となっております。
2017年3月31日におけるファントム・ストックプランの公正価値に基づく未認識報酬費用の合計額は2,317百万円でした。当該費用は0.8年の加重平均期間にわたって認識される予定です。期中に受給権が確定したファントム・ストックプランの確定日時点の公正価値の総額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ19,860百万円および14,267百万円となっております。
2017年3月31日におけるカラー付ファントム・ストックプランの公正価値に基づく未認識報酬費用の合計額は2,009百万円でした。当該費用は1.0年の加重平均期間にわたって認識される予定です。期中に受給権が確定したカラー付ファントム・ストックプランの確定日時点の公正価値の総額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ18,366百万円および15,186百万円となっております。
ファントム・インデックスプラン
上述の繰延報酬に加え、野村は一定以上の職責につく役職員に対し、ファントム・インデックスプランを導入しております。Morgan Stanley Capital International社が公表している株価指数の1つに連動する現金決済型の報酬制度となります。ファントム・インデックスプランは、付与日から約3年にわたり受給権が確定し、一定事由による退職等により失効します。
ファントム・インデックスプランの公正価値は参照株価指数に基づき決定されます。
次の表は、2017年3月期におけるファントム・インデックスプランの実施状況を示しております。
残高(単位数)インデックス価格
(米ドル)(1)
2016年3月31日22,916,9894,439
付与11,034,1134,583(2)
確定△20,822,9174,789(3)
失効△846,847
2017年3月31日12,281,3385,123(4)

(1)単位価額はインデックス価格の1,000分の1を用いて決定しております。
(2)付与数量を決定するために使用された加重平均インデックス価格となっております。
(3)現金決済金額を決定するために使用された加重平均インデックス価格となっております。
(4)2017年3月31日現在において、権利未確定の報酬を公正価値で再評価するために使用されたインデックス価格となっております。
連結損益計算書上、金融費用以外の費用-人件費に含まれるファントム・インデックスプランにかかる費用の総額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ9,463百万円、6,107百万円となっております。
2017年3月31日におけるファントム・インデックスプランの公正価値に基づく未認識報酬費用の合計額は1,127百万円でした。当該費用は0.9年の加重平均期間にわたって認識される予定です。期中に受給権が確定したファントム・インデックスプランの確定日時点の公正価値の総額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ13,725百万円および10,802百万円となっております。
ファントム・ストックプラン、カラー付ファントム・ストックプラン、ファントム・インデックスプランにかかる費用に対して認識した税務ベネフィットの金額は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ672百万円および720百万円でした。
決算日後に生じた事象
2017年5月12日、当社はストック・オプションの目的で2017年6月9日を割当日として、第75回から第83回新株予約権を当社および当社の子会社の取締役、執行役および使用人等に対して発行することを決議いたしました。当決議に基づき発行された新株予約権の総数は178,407個で、その目的である普通株式は17,840,700株です。行使価額は1株当たり1円となっております。新株予約権は発行決議日の約6ヶ月後から約7年後に受給権が確定し行使可能となる繰延報酬です。なお、権利行使期間は、権利行使開始より5年間です。
2017年5月、野村は役員および従業員に対し、ファントム・ストックプラン、カラー付ファントム・ストックプラン、ファントム・インデックスプラン(総額40十億円、支給までの期間は最長で約7年間)を将来支給することを決定いたしました。
14 構造改革費用:
2016年3月期は世界経済の先行きに対する不透明感が強まり、世界の金融市場の低迷とボラティリティの高まりから、欧州地域および米州地域におけるホールセール・ビジネスに関し、戦略的に見直しを行うこととしました。欧州地域においては、一部のビジネスを閉鎖し、高いノウハウや優位性を持つ分野に注力します。また米州地域では、一部のビジネスで合理化を進め、コア・ビジネスに集中する体制を整えます。海外ビジネスのパフォーマンスを高め、厳しい環境下でも持続的に利益をあげることができる体制作りを行います。当該費用構造の見直しは2017年3月期にほぼ終了しております。
当該費用構造の見直しにより、2016年3月期に15,603百万円の退職関連費用を計上し、主に連結損益計算書の金融費用以外の費用―人件費、セグメント別ではホールセール部門に含まれております。これらの費用は、2016年3月期末において主に連結財務諸表のその他の負債に含まれております。2017年3月期に発生した当該費用構造の見直しによる費用は重要ではありませんでした。
15 法人所得税等:
2016年3月期および2017年3月期における連結損益計算書に記載されている法人所得税等の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
当年度分
国 内72,27252,004
海 外9,1835,697
当年度分計81,45557,701
繰延分
国 内△66,17620,239
海 外7,3172,289
繰延分計△58,85922,528
法人所得税等計22,59680,229

2016年3月期および2017年3月期の法人所得税等(繰延分)のうち、税務上の繰越欠損金にかかる税務ベネフィットの認識額は、それぞれ5,451百万円および868百万円となりました。
当社および日本の100%子会社は、日本における連結納税制度を導入しております。この連結納税制度は、国税だけを対象としています。
2015年および2016年の税制改正により当社の法定実効税率は、2016年3月期は33%、2017年3月期は31%となっております。
「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」(平成28年法律第86号)が2016年11月18日に成立し、2017年4月1日以降に開始する事業年度に予定されていた国税および地方税の税率改正の実施時期が2019年10月1日以降に開始する事業年度に延期されました。繰延税金資産および繰延税金負債を計算する法定実効税率は変更ありませんが、国税と地方税の間で税率の組替えが発生する影響により、繰延税金負債の純額は3,366百万円増加し、法人税等調整額は同額増加しております。
海外子会社は、各会社が事業を行う国の法人税率の適用を受けております。法人所得税等と会計上の税引前当期純利益(損失)との関係は、さまざまな税額控除、課税所得に影響しない特定の収益、税務上控除されない特定の費用、評価性引当金の増減、および海外子会社に適用される税率の相違等、多様な要因の影響を受けております。
2016年3月期および2017年3月期における連結損益計算書に記載されている法人所得税等の負担税率と当社の法定実効税率との差異の内訳は、以下のとおりであります。
2016年3月期2017年3月期
当社の法定実効税率33.0%31.0%
影響要因:
評価性引当金の増減36.1△10.8
益金に加算される項目0.30.1
損金に算入されない費用項目7.82.9
益金に算入されない収益項目△7.2△2.6
海外子会社からの配当0.00.0
海外子会社の未分配所得の影響0.10.0
海外子会社の所得(欠損金)に適用される税率差異1.10.3
国内の税制改正の影響△0.91.0
子会社・関連会社株式等の評価減の税務上の認容見込み(1)△54.81.7
その他△1.81.3
実効税率13.7%24.9%

(1)2016年3月期の子会社・関連会社株式等の評価減の税務上の認容見込み90十億円(野村の実効税率への影響は△54.8%)は、当社の100%子会社の清算決定に伴って繰延税金資産を計上したことによるものです。なお、合計24十億円の評価性引当金がこれらの繰延税金資産に対して計上されており、同期間の評価性引当金の増減に含まれております。
2016年3月31日および2017年3月31日現在の特定の税務管轄地域内における同一納税主体に関連するものを相殺する前の繰延税金資産および負債の内訳は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
繰延税金資産
減価償却、その他の償却、および固定資産の評価16,86217,988
子会社・関連会社株式投資112,030100,100
金融商品の評価差額60,77665,158
未払退職・年金費用16,19021,854
未払費用および引当金96,20284,268
繰越欠損金435,122406,440
その他5,6448,408
繰延税金資産小計742,826704,216
控除:評価性引当金△543,489△519,492
繰延税金資産合計199,337184,724
繰延税金負債
子会社・関連会社株式投資121,874125,752
金融商品の評価差額49,87346,684
海外子会社の未分配所得711947
固定資産の評価19,16518,042
その他6,8225,840
繰延税金負債合計198,445197,265
繰延税金資産(負債)の純額892△12,541

連結貸借対照表のその他の資産-その他として記載されている特定の税務管轄地域内における同一納税主体に関連するものを相殺した後の繰延税金資産の純額は、それぞれ2016年3月31日現在36,130百万円、2017年3月31日現在21,825百万円となりました。また、連結貸借対照表のその他の負債として記載されている特定の税務管轄地域内における同一納税主体に関連するものを相殺した後の繰延税金負債の純額は、それぞれ2016年3月31日現在35,238百万円、2017年3月31日現在34,366百万円となりました。
2017年3月31日現在、予見可能な将来に配当支払が予想されていない海外子会社の未分配所得の合計額3,927百万円に対して繰延税金負債の計上は行われておりません。これらすべての海外子会社の所得が配当される際の税額を見積もることは現実的ではありません。
2016年3月期および2017年3月期における繰延税金資産にかかる評価性引当金の推移は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
期首残高565,103543,489
期中の純増減額△21,614(1)△23,997(2)
期末残高543,489519,492

(1)海外子会社では、主に繰越欠損金の増加による評価性引当金の計上により7,003百万円の増加となり、将来の実現可能性の見直しおよび海外子会社の影響により、評価性引当金が27,757百万円減少しました。また、当社および国内子会社では、主に国内の税制改正の影響により繰越欠損金にかかる評価性引当金が減少した結果、評価性引当金が860百万円減少したため、全体で21,614百万円の減少となりました。
(2)海外子会社では、将来の実現可能性の見直しおよび海外子会社の影響により、評価性引当金が2,040百万円の増加となり、主に繰越欠損金の使用によって評価性引当金が35,214百万円減少しました。また、当社および国内子会社では、主に将来の実現可能性の見直しにより評価性引当金が5,811百万円増加、国内の税制改正の影響により繰越欠損金にかかる評価性引当金が3,366百万円増加した結果、全体で23,997百万円の減少となりました。
2017年3月31日現在、野村は、1,985,408百万円の税務上の繰越欠損金を有しております。このうち、当社および国内子会社に関連するものが585,026百万円、英国に所在する海外子会社に関連するものが717,812百万円、米国に所在する海外子会社に関連するものが411,370百万円、香港に所在する海外子会社に関連するものが200,857百万円、その他の地域に所在する海外子会社に関連するものが70,343百万円であります。当該欠損金については、無期限に繰越が可能な983,470百万円を除き、2017年から2026年までに656,168百万円、2027年以降345,770百万円が税務上の効果を失うことになります。
野村は、2017年3月31日現在の評価性引当金の計上にあたり、当社および当社の国内子会社および海外子会社の税務管轄地域内における繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能なあらゆる肯定的および否定的証拠を適切に検討しております。
日本およびその他の税務管轄地において、近年、野村の国内子会社および海外子会社は累積的な繰越欠損金を計上しております。これは繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能な最も否定的な証拠が入手可能な肯定的な証拠を上回っているためであります。
一方、野村は、特定の税務戦略は将来繰越欠損金を使用するために充分な課税所得を生み出すための潜在的な資源と考えております。しかし、この税務戦略は、2016年3月期および2017年3月期において、野村が業務を行っているすべての主要な税務管轄地において、評価性引当金の減少をもたらす肯定的な証拠ではありません。加えて、これらの税務管轄地において、2016年3月期および2017年3月期において、肯定的および否定的証拠の適用度合の変更による評価性引当金の減少はありませんでした。
2016年3月31日および2017年3月31日現在、重要な未認識税務ベネフィットはありません。また、2016年3月期および2017年3月期において、重要な未認識税務ベネフィットの変動および未認識税務ベネフィットにかかる利息および加算税はありません。野村は、日本の国税庁ならびに主要な業務を行っている税務管轄地におけるその他の税務当局より、継続的に税務調査を受けております。野村はそれぞれの税務管轄地において追加的に徴収される可能性と連結財務諸表における影響額を定期的に評価しております。期末日以降12ヶ月の間に、未認識の税務ベネフィットが著しく増加する可能性はありますが、現時点では潜在的な結果が不確実なため、定量的に見積もることは出来ません。しかしながら、未認識税務ベネフィットの変動が当社の連結財政状態に重要な影響を与えるとは考えておりません。
野村は複数の税務管轄地において業務を行っており、移転価格税制、費用の控除可能性、外国税額控除、その他多くの問題について、それぞれの税務当局からの調査に応じなければなりません。
次の表は、2017年3月31日現在、野村が業務を行っている主要な税務管轄地において、税務調査が未了となっている最も古い年度を表しています。なお香港の税制上、繰越欠損金がある場合、当局による更正の期間制限がないため、記載しておりません。
税務管轄地年度
日本2012年(1)
英国2016年
米国2014年

(1)移転価格税制にかかる最も古い調査未了年度は、2011年となります。
16 その他の包括利益:
累積的その他の包括利益の変動は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月期
期首残高組替調整前その他の包括利益累積的その他の包括利益からの組替調整額当期純変動額期末残高
為替換算調整額133,371△79,108△845△79,95353,418
年金債務調整額△15,404△18,097176△17,921△33,325
トレーディング目的以外の
有価証券の未実現損益
25,772363△1,248△88524,887
累積的その他の包括利益143,739△96,842△1,917△98,75944,980

(単位:百万円)
2017年3月期
期首残高会計原則の変更による
累積的影響額
組替調整前
その他の
包括利益
累積的
その他の
包括利益
からの組替
調整額
当期
純変動額
期末残高
為替換算調整額53,418-△4,005△1,646△5,65147,767
年金債務調整額△33,325-△9,1471,452△7,695△41,020
トレーディング目的以外の
有価証券の未実現損益
24,887-△3,948△595△4,54320,344
自己クレジット調整額-19,294△12,147△5866,5616,561
累積的その他の包括利益44,98019,294△29,247△1,375△11,32833,652

2016年4月1日にASU2016-01を早期適用した結果、公正価値オプションを適用した金融負債にかかる未実現の公正価値の変動のうち、当該負債に特有の信用リスクに起因するもの(自己クレジット調整)はその他の包括利益で表示しております。ASU2016-01の早期適用に関する詳細は「注記1 会計処理の原則および会計方針の要旨」をご参照ください。
重要な累積的その他の包括利益からの組替調整額は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
累積的その他の包括利益からの組替調整額累積的その他の包括利益からの組替調整額連結損益計算書に影響する項目
為替換算調整額:
8451,646収益-その他
--法人所得税等
8451,646当期純利益
--非支配持分に帰属する当期純利益
8451,646当社株主に帰属する当期純利益

(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
累積的その他の包括利益からの組替調整額累積的その他の包括利益からの組替調整額連結損益計算書に影響する項目
年金債務調整額:
△255△2,118金融費用以外の費用-人件費
79666法人所得税等
△176△1,452当期純利益
--非支配持分に帰属する当期純利益
△176△1,452当社株主に帰属する当期純利益
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
累積的その他の包括利益からの組替調整額累積的その他の包括利益からの組替調整額連結損益計算書に影響する項目
トレーディング目的以外の
有価証券の未実現損益:
2,7242,086収益-その他
△1,081△1,306法人所得税等
1,643780当期純利益
△395△185非支配持分に帰属する当期純利益
1,248595当社株主に帰属する当期純利益

詳細は「注記5 トレーディング目的以外の有価証券」をご参照ください。
17 株主資本:
発行済株式数(自己株式控除後)の変動は以下のとおりであります。
(単位:株)
2016年3月期2017年3月期
発行済株式数(自己株式控除後)期首残高3,598,865,2133,608,391,999
自己株式:
取得△24,364,753△121,010,524
売却686468
従業員等に対する発行株式33,879,00040,677,400
その他の増減(純額)11,853370,108
発行済株式数(自己株式控除後)期末残高3,608,391,9993,528,429,451

日本の会社法において、配当および自己株式取得は分配可能額の範囲で行うことができます。資本剰余金および利益剰余金には日本の会社法に基づく準備金が含まれ、当該準備金の金額は分配可能額には含まれません。分配可能額は日本で一般的な会計原則および慣行にしたがって作成されている当社の個別財務諸表に基づいており、2016年3月31日現在1,069,296百万円、2017年3月31日現在1,193,497百万円であります。連結財務諸表には記載しているものの個別財務諸表には計上されていない米国会計原則上の調整額は、当該分配可能額に影響を与えておりません。
1株当たり普通株式の配当金は、2016年3月期は13.0円、2017年3月期は20.0円であります。
自己株式の変動には、株式報酬制度に基づき従業員等に自己株式を付与することによるもの、単元未満株式を有する株主からの買増請求により自己株式を売却することによるもの、および単元未満株主から株式を買い取ることによるものが含まれております。また、自己株式に含まれている関連会社が保有する株式は、2016年3月31日現在1,129,833株、2,024百万円であり、2017年3月31日現在759,725株、758百万円であります。
決算日後に生じた事象
2017年4月27日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づき、自己株式の取得にかかる事項を決議しました。その内容は、(a)取得する株式の総数の上限は100,000,000株、(b)株式の取得価額の総額は上限80,000百万円、(c)期間は2017年5月17日から2018年3月30日(ただし、当社の各四半期決算発表日の翌営業日より10営業日の間は取得を行わない。)というものであります。
18 法的規制:
2011年4月から、当社は、金融商品取引業者の親会社に対する連結自己資本規制の適用を受ける最終指定親会社の指定を受け、川上連結告示に基づき、連結自己資本規制比率を計測しております。なお、川上連結告示はバーゼル2.5およびバーゼルⅢに対応した改定を行っており、2013年3月末以降、当社はバーゼルⅢに基づく連結自己資本規制比率を算出しております。
当社は、川上連結告示第2条の算式に従い、普通株式等Tier1資本の額、Tier1資本の額、総自己資本の額、信用リスク・アセットの額、マーケット・リスク相当額およびオペレーショナル・リスク相当額をもとに連結自己資本規制比率を測定しております。2016年3月31日および2017年3月31日現在の野村の連結普通株式等Tier1比率、連結Tier1比率、連結総自己資本規制比率は、川上連結告示等の定める要件をそれぞれ満たしました。なお、2017年3月31日現在、告示等の定める要件は適用される最低連結資本バッファーを含み、連結普通株式等Tier1比率について6.00%、連結Tier1比率について7.50%、連結総自己資本規制比率について9.50%となっております。
金融商品取引法に基づき、野村證券株式会社および野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ株式会社は金融庁による自己資本規制の適用を受けております。この規制により自己資本規制比率、即ち数量化した事業リスク合計に対する控除後自己資本の比率が120%を下回らない状態を維持するよう求められております。控除後自己資本は、純資産(資本金、投資有価証券の評価差額、準備金および劣後債務を含む)から控除資産を控除したものと定義されております。事業リスクは、(1)市場リスク、(2)取引先リスクおよび(3)基礎的リスクという三つのカテゴリーに区分されております。この規制においては、自己資本規制比率が120%を超えている限り当該会社の行う業務への制約はありません。野村證券株式会社の自己資本規制比率は、2016年3月31日現在および2017年3月31日現在ともに120%を超えております。また、野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ株式会社の自己資本規制比率は、2016年3月31日現在および2017年3月31日現在ともに120%を超えております。
顧客に対して仲介、精算および資産管理サービスを提供する際に、野村は顧客から預かった現金や債券といった金融資産を管理するための分別口座を保有しております。損失から顧客を守るため、法令または規制により、これら口座の保有が義務付けられております。
2016年3月31日および2017年3月31日において、連結貸借対照表の取引所預託金およびその他の顧客分別金として計上されている分別金の合計金額は、それぞれ96,887百万円および94,483百万円です。
2016年3月31日および2017年3月31日において、連結貸借対照表のトレーディング資産および担保付契約に計上される分別債券の合計金額は、それぞれ526,979百万円および768,616百万円です。
米国において、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル Inc.(以下「NSI」)は、1934年証券取引所法下の証券会社として、また米国先物取引委員会(以下「CFTC」)における先物取引業者として登録されております。NSIは、自主規制組織として指定された金融取引業規制機構(以下「FINRA」)およびシカゴ・マーカンタイル取引所(以下「CME Group」)の規制も受けております。NSIは、米国SECの統一自己資本規制(ユニフォーム・ネット・キャピタル・ルール、規制15c3-1)および関連するその他規制の適用を受けております。当該規制は、代替方法により定義される自己資本が、1,000,000米ドルもしくは顧客取引から発生する負債項目の総額の2%のいずれか大きいほうの金額を維持することを要求しております。また、NSIはCFTC規則1.17号の適用を受けております。当該規制は、自己資本を定義上の顧客口座および非顧客口座に存在するすべてのポジションの8%を超過するトータル・リスク・マージン規制、もしくは現金1,000,000米ドルのうちいずれか大きいほうの金額を維持することを要求しております。NSIは米国SEC、CFTCあるいはさまざまな他の取引所の規制のうち、最も大きい金額を満たす自己資本を維持することを求められております。また、ノムラ・グローバル・ファイナンシャル・プロダクツ Inc.(以下「NGFP」)は、1934年証券取引所法下のOTCデリバティブ・ディーラーとして登録されております。NGFPは、規制15c3-1のAppndixFの適用を受けております。NGFPは、SECより20,000,000米ドルの自己資本を維持することを求められております。その他の米国子会社として、インスティネット,LLC(以下「ILLC」)は、米国SECから証券会社として登録されており、FINRAの会員となっております。さらに、ILLCは、CFTCにおける仲介ブローカーとして登録されており、米国先物機構や、その他のさまざまな取引所の会員となっております。ILLCは、米国SECの規制15c3-1の適用を受けております。当該規制は、代替方法により定義される自己資本が、1,000,000米ドル、顧客取引から発生する負債項目の総額の2%もしくはCFTC最低要件のいずれか大きいほうの金額を維持することを要求しております。ILLCはCFTCの要求する、最低自己資本額の要求を受けております。CFTCが認定する仲介ブローカーとして、最低45,000米ドルの純資産の維持が求められており、調整後純資産額と純資産額は、規制15c3-1(a)が要求する水準が求められております。2016年3月31日および2017年3月31日現在、NSI、NGFP、ILLCは適用されるすべての自己資本規制要件を充足しております。
欧州において、ノムラ・ヨーロッパ・ホールディングズ PLC(以下「NEHS」)は、連結ベースで、英国プルーデンス規制機構による法的監督下にあります。その連結は、2014年1月1日施行の自己資本規制指令および自己資本規則下の要件に従って作成されております。NEHSの最も重要な連結子会社でありますノムラ・インターナショナル PLC(以下「NIP」)は、証券仲介・売買業務を行っております。NIPは、英国プルーデンス規制機構による規制を受けており、最低資本要件の充足が義務付けられております。また、NEHSの別の連結子会社でありますノムラ・バンク・インターナショナル PLC(以下「NBI」)も同様に英国プルーデンス規制機構による規制を単体で受けております。2016年3月31日および2017年3月31日現在、NEHSは連結上、NIPおよびNBIは単体上、それぞれ適用されるすべての自己資本規制に関する要件を充足しております。
アジアにおいて、ノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITED(以下「NIHK」)およびノムラ・シンガポール LIMITED(以下「NSL」)は、それぞれの当局により規制を受けております。NIHKは香港証券先物委員会の監督下で、証券取引、先物取引、証券・先物取引に関する助言業務、コーポレートファイナンス、およびウェルスマネジメントに関する認可を取得しております。台湾支店を含むNIHKの活動は、証券先物(ファイナンシャル・リソーシズ)規制(以下「FRR規制」)により、常時、定められた流動資本要求額を下回ることのない流動資本を維持した上でなされること、とされております。流動資本とは、流動資産額が認定負債額を超える部分を指します。流動資本要求額はFRR規制によりあらかじめ決められた条件により計算されます。NSLはシンガポール通貨監督庁(以下「MAS」)の監督下にあるアジア通貨単位の認可を受けた投資銀行として、主に有価証券売買の仲介および証券取引等を行っております。NSLはシンガポールにおいてMASにより規制されているため、単体として最低自己資本比率を課されております。2016年3月31日および2017年3月31日現在、NIHKおよびNSLは適用されるすべての資本規制に関する要件を充足しております。
19 関連会社およびその他の持分法投資先:
野村の重要な関連会社およびその他の持分法投資先には、株式会社ジャフコ(以下「ジャフコ」)、株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)、野村不動産ホールディングス株式会社(以下「野村不動産ホールディングス」)があります。
ジャフコ
ジャフコは、日本の上場企業であり、さまざまなベンチャー・キャピタル・ファンドの運用および投資先会社へのプライベート・エクイティ関連投資サービスの提供を行っております。
2017年3月31日現在、野村のジャフコに対する持分は19.5%であり、ジャフコから発生する持分法によるのれんの未償却残高はありません。野村はジャフコの営業上および財務上の意思決定に対し重要な影響力を保持しているため、ジャフコを持分法にて会計処理しております。
NRI
NRIは、情報システムの開発・運用処理業務および調査研究・経営コンサルティング業務を行っております。野村は、NRIの主要顧客のひとつであります。
2017年3月31日現在、野村のNRIに対する持分は37.2%であり、NRIから発生する持分法によるのれんの未償却残高は57,115百万円であります。
野村不動産ホールディングス
野村不動産ホールディングスは、野村不動産グループの持株会社であり、主な事業内容は、住宅事業、賃貸事業、資産運用事業、その他不動産に関連する業務となっております。
2017年3月31日現在、野村の野村不動産ホールディングスに対する持分は34.1%であり、野村不動産ホールディングスから発生する持分法によるのれんの未償却残高は11,012百万円であります。
要約財務情報
重要な関連会社(公正価値オプションを適用している関連会社を含む)を合計した要約財務諸表は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月31日(1)2017年3月31日
資産合計8,484,2222,609,327
負債合計7,143,9401,449,961

(単位:百万円)
2016年3月期(1)2017年3月期
収益831,774873,423
金融費用以外の費用673,014694,089
当該会社に帰属する当期純利益114,770122,123

(1) 当期の開示様式と整合させるために、過年度の数値の組替えを行っております。
関連会社およびその他の持分法投資先との債権債務および取引の概要は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
関連会社に対する投資394,984419,816
関連会社に対する貸付金300300
関連会社に対するその他の債権1,3721,577
関連会社に対するその他の債務7,60612,284

(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
収益1,1241,205
金融費用以外の費用42,85238,271
ソフトウエア、有価証券および有形固定資産の購入20,67923,285

関連会社およびその他の持分法投資先に対する投資のうち取引所価格のあるものの帳簿価額および公正価値の総計は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
帳簿価額387,825414,563
公正価値487,656533,213

上記に記載の会社を含む持分法投資先からの投資利益は、2016年3月期が33,917百万円の利益、2017年3月期が33,000百万円の利益となっております。持分法投資利益は連結損益計算書上、収益-その他に計上されております。持分法投資先からの配当額は、2016年3月期が11,031百万円、2017年3月期が11,941百万円となっております。
20 コミットメント、偶発事象および債務保証:
コミットメント
信用および投資関連コミットメント
野村は、銀行もしくは金融業務の一環として、貸出コミットメントを行っており、この契約義務には一般に固定満期日が設定されております。投資銀行業務に関連して、野村は顧客により発行されうる債券を引き受けることを保証する契約を結んでおります。この契約のもとでのコミットメント残高は貸出コミットメントに含まれております。
また野村は、パートナーシップ等に投資するコミットメントを行っております。また当該投資に関連しパートナーシップ等に資金提供するコミットメントを行っております。この契約のもとでのコミットメント残高は投資コミットメントに含まれております。
2016年3月31日および2017年3月31日において、上記の各コミットメントの残高は、それぞれ以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
貸出コミットメント782,5251,010,257
投資コミットメント (1)136,20415,194

(1) 2016年3月31日の投資コミットメントは、主にアメリカン・センチュリー・カンパニーズ Inc.への出資であり、2016年5月19日に出資を完了しております。
2017年3月31日現在の上記コミットメントの満期年限別の情報は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
契約金額満期年限
1年以内1~3年3~5年5年超
貸出コミットメント1,010,257388,275123,303157,510341,169
投資コミットメント15,194465-38314,346

貸出コミットメントにかかる契約金額は、契約がすべて実行され、取引相手先が債務不履行の状態となり、既存担保が無価値になったと仮定した場合に想定される、野村の信用関連損失の最大値を表しております。締結された契約が実行されることなく契約義務が満期を迎える場合もあるため、こうした信用関連コミットメントの契約金額は将来の現金所要額を必ずしも表しているわけではありません。こうした契約義務にかかる信用リスクは、顧客の信用力および受入担保の価値によって異なるものになります。野村は、各顧客の信用力を個別に評価しております。信用供与に際して必要と考えられる場合に野村が取引相手から受け入れる担保の金額は、取引相手の信用力評価に基づいております。
その他のコミットメント
建物設備等の工事、広告宣伝、コンピュータ・IT関連の維持管理などに関する契約を含む物品およびサービスを購入する義務は、2016年3月31日現在33,230百万円、2017年3月31日現在27,313百万円となっております。
野村は担保付契約および担保付調達に関連する金額を含む売戻契約および買戻契約を結ぶ義務を負っております。これらのコミットメントは2016年3月31日現在、売戻契約に対して1,813十億円および買戻契約に対して535十億円、2017年3月31日現在、売戻契約に対して1,830十億円および買戻契約に対して968十億円となっております。
日本では、参加者が金融機関との間で債券・株式の貸借取引を無担保で行う市場があります。この取引に基づき、野村は無担保で借入れた債券・株式を返済する義務を2016年3月31日現在486十億円、2017年3月31日現在477十億円負っております。
証券決済機関および取引所の会員として、野村は当該決済機関および取引所に対して債務不履行となった他の会員の財務上の義務の一部を支払うことを要求される可能性があります。これらの保証は一般的に会員契約の下で求められます。これらのリスクを軽減するために取引所および決済機関はしばしば会員に担保を差し入れることを求めます。このような保証の下で野村が支払いを行う可能性は低いと考えられます。
偶発事象
訴訟およびその他の法的手続き
野村は、グローバルな金融機関として通常の業務を行う過程で訴訟およびその他の法的手続きに関係せざるを得ません。その結果として、野村は罰金、違約金、賠償金または和解金および訴訟費用または弁護士費用等の負担を強いられることがあります。
これらの訴訟や法的手続きの結果を予想することは難しく、とりわけ、巨額の賠償請求または金額未定の賠償請求の場合、法的手続きが初期段階にある場合、新たな法的論点が争われている場合、多数の当事者が手続きに関与している場合、複雑または不明確な法律が適用されている国外の法域で手続きが進められる場合等には特に困難であるといえます。
当社は外部弁護士と協議の上で個々の法的手続きおよび請求について定期的に評価を行い、これらの損失額の水準や範囲を見積もることが可能かどうか査定しております。当社は、編纂書450「偶発事象」(以下「編纂書450」)に従い、個々の事案について損失が生じる蓋然性が高く、かつそのような損失の金額を見積もることが合理的に可能な場合にはこれら個々の事案について損失リスクに関する負債を計上します。負債計上される金額は少なくとも四半期ごとに見直され、新たな情報をもとに修正されます。個別の事案についてこれらの基準が満たされない場合、例えば、損失が生じる可能性はあるものの、その蓋然性が高いとまではいえないような場合、負債は計上されません。しかし、重大な損失が発生する合理的な可能性がある場合、当社はその法的手続きまたは請求の詳細を以下において開示します。編纂書450において合理的な可能性がある場合とは当社に対する損失の発生の蓋然性は高くはないが、その可能性が低いとまではいえない場合であると定義されております。
野村に対する主な訴訟および法的手続きの概要は以下のとおりです。連結財務諸表の作成基準日時点の情報に基づき、当社は、これらの法的手続きの解決が当社の財務状況に重大な影響を与えるものではないと考えています。しかしながら、これらの事案の結果が、特定の四半期または事業年度の連結損益計算書やキャッシュ・フローに重大な悪影響を及ぼす可能性もあります。
以下の野村に対する主な訴訟および法的手続きの一部について、当社は、負債計上されている額がある場合にはその額を超えて合理的に発生する可能性のある損失額または合理的に発生する可能性のある損失の範囲を見積もることができます。これらの見積もりは、各事案において野村に対して主張されている特定の損害額や請求等の連結財務諸表の作成基準日時点の情報に基づき算出されています。2017年6月26日現在、当社は、合理的に発生する可能性のある損失の範囲を見積もることができるこれらの事案において、負債計上されている額がある場合にはその額を超えて合理的に発生する可能性のある最大損失額の合計は、約470億円であると見積もっています。
その他の主要な訴訟および法的手続きについて、当社は合理的に発生する可能性のある損失額やその範囲を見積もることができません。その理由としては、とりわけ①法的手続きが初期段階にあり、主張されている請求に根拠があるかどうかを判断する情報が十分にないこと、②相手方が損害を明らかにしていないこと、③損害に根拠がないこと、または損害が誇張されていること、④係属中の控訴または申立ての結果が不確かであること、⑤時効の適用等を含め、請求の却下にもつながる重要な法律問題が解決されていないこと、または⑥請求に関連してこれまでに議論されなかったまたは未解決の法的な論点が争われていること等が挙げられます。
2008年1月、ノムラ・インターナショナル PLC(以下「NIP」)は、イタリア共和国ペスカーラ県の租税局から、二重課税にかかる英伊租税条約(1998年)に反した行為があったとする通知を受領しました。その通知の内容は、イタリア株式の配当金に関して、NIPが既に還付金として受領した約33.8百万ユーロおよび金利の返還を求めるものでした。NIPは同県租税裁判所の租税局の主張を認める決定を不服とし、その取消しを求めております。
2010年10月および2012年6月に、Fairfield Sentry およびFairfield Sigmaの2つのファンド(共に清算手続き中。以下総称して「Fairfield」)が過去にNIPに支払った償還金の返還を求めて、2件の訴訟がNIPに対して提起されています。Fairfieldは、米国のBernard L. Madoff Investment Securities LLC(米国証券投資者保護法に基づき2008年12月より清算手続き中。以下「BLMIS」)を主たる運用先としていました。1件目の訴訟は2010年10月5日にFairfieldの清算人が米国の州裁判所に提起したもので、その後、米国の連邦破産裁判所に移送されました。2件目の訴訟はBLMISの破産管財人(以下「Madoff管財人」)が米国の連邦破産裁判所に提起した訴訟で、2012年6月に、NIPが被告として追加されたものです。2016年11月、連邦破産裁判所はMadoff管財人が提起した訴訟について請求却下の申立てを認めました。この決定に対し、Madoff管財人は第2巡回区控訴裁判所に控訴しました。これら2件の訴訟は、同じ約35百万米ドルの償還金の返還を請求するものです。
2011年4月、ボストン連邦住宅貸付銀行は住宅用不動産ローン担保証券(以下「RMBS」)の発行体、スポンサー、引受人およびそれらの親会社等多数の者に対してマサチューセッツ州裁判所に訴訟を提起しました。その中にはノムラ・アセット・アクセプタンス・コーポレーション(以下「NAAC」)、ノムラ・クレジット&キャピタルInc.(以下「NCCI」)、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル Inc.(以下「NSI」)およびノムラ・ホールディング・アメリカInc.(以下「NHA」)が含まれております。ボストン連邦住宅貸付銀行はNAACが発行したRMBSを購入したが、募集資料の中に、証券の裏付けとされているそれぞれのローンを最初に貸し付けた業者の貸付基準およびそれらローンの特性に関連して不実記載があった、または重要事実が記載されていなかったと主張しています。ボストン連邦住宅貸付銀行は州法に基づき購入の取消しまたは損害賠償を請求しています。ボストン連邦住宅貸付銀行はNAACが発行した約406百万米ドルの証券を4回にわたる募集において購入したと主張しています。現在、証拠開示手続きが行われております。
2011年7月、ウエスタン・コーポレート連邦信用組合(Western Corporate Federal Credit Union(以下「WesCorp」))の清算人である米国信用組合管理機構(National Credit Union Administration Board(以下「NCUA」))はRMBSの発行体、スポンサー、引受人等に対してカリフォルニア中部地区連邦地方裁判所に訴訟を提起しました。その中にはNAACおよびノムラ・ホーム・エクイティ・ローンInc.(以下「NHEL」)が含まれております。WesCorpは募集資料の中に、証券の裏付けとされているそれぞれのローンを最初に貸し付けた業者の貸付基準に関連して不実記載があった、または重要事実が記載されていなかったと主張していました。WesCorpは2回にわたる募集において約83百万米ドルの証券を購入したと主張し、購入の取消しまたは損害賠償を請求していました。2016年10月28日に当事者らは和解し、当該訴訟は取り下げられました。
2011年9月、連邦住宅抵当公庫(Federal National Mortgage Association)および連邦住宅金融抵当金庫(Federal Home Loan Mortgage Corporation)(以下総称して「政府系機関」)の財産管理人である米連邦住宅金融局(Federal Housing Finance Agency)は、RMBSの発行体、スポンサー、引受人およびこれらの親会社等に対してニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に訴訟を提起しました。その中には当社の米国子会社であるNAAC、NHEL、NCCI、NSIおよびNHAが含まれております。政府系機関はNAACおよびNHELが発行したRMBSを購入したが、募集資料の中に、証券の裏付けとされているそれぞれのローンを最初に貸し付けた業者の貸付基準およびそれらローンの特性に関連して不実記載があった、または重要事実が記載されていなかったと主張していました。政府系機関は7回にわたる募集において約20億46百万米ドルの証券を購入したと主張し、購入の取消しを請求していました。2015年3月16日から審理が行われ、2015年4月9日に最終弁論が終了しました。2015年5月15日、裁判所の判決が言い渡され、裁判所は政府系機関が被告らに対し訴訟の対象となっているRMBSを引き渡す代わりに、被告らが政府系機関に対し 806百万米ドルを支払うよう命じました。当社米国子会社らは第2巡回区控訴裁判所に控訴しました。被告らは、州証券法に基づき回収可能な訴訟費用および弁護士費用を、控訴審の判決に応じて最大33百万米ドル支払うことに合意しました。
2011年10月、米国中央連邦信用組合(U.S. Central Federal Credit Union(以下「U.S. Central」))の清算人であるNCUAはRMBSの発行体、スポンサー、引受人等に対してカンザス地区連邦地方裁判所に訴訟を提起しました。その中にはNHELが含まれております。U.S. CentralはNHELが発行したRMBSを購入したが、募集資料の中に、証券の裏付けとされているそれぞれのローンを最初に貸し付けた業者の貸付基準に関連して不実記載があった、または重要事実が記載されていなかったと主張していました。U.S. Centralは1回の募集において約50百万米ドルの証券を購入したと主張し、購入の取消しまたは損害賠償を請求していました。2016年10月28日に当事者らは和解し、当該訴訟は取り下げられました。
2011年11月、NIPはBLMISの破産手続きのために、ニューヨーク南部地区米国破産裁判所によって任命されたMadoff管財人からの訴状の送達を受けました。Madoff管財人は同様の訴訟を多数の法人に対して提起しています。Madoff管財人は、NIPがBLMISに投資を行うフィーダー・ファンドであったHarley International (Cayman) Limitedから償還金を2008年12月11日(BLMISに対して破産手続きが開始された日)以前の6年間に受け取ったと主張し、これを返還するよう、連邦破産法およびニューヨーク州法に基づき求めています。2016年11月、連邦破産裁判所はMadoff管財人が提起した訴訟について請求却下の申立てを認めました。この決定に対し、Madoff管財人は第2巡回区控訴裁判所に控訴しました。Madoff管財人によるNIPに対する返還請求の金額は、約21百万米ドルです。
2013年3月、モンテパスキ銀行(以下「MPS」)は、①MPSの元役員2名および②NIPに対してイタリアの裁判所に訴えを提起しました(以下「MPS訴訟」)。この訴えにおいてMPSは、当該銀行の元役員が2009年に不正にNIPとのデリバティブ取引を締結したと主張し、NIPは、MPS元役員の違法行為につき不正に加担したとして、連帯して責任を負うと主張しました。また、その損害額は少なくとも11.42億ユーロであると主張しました。
2013年3月、NIPは、MPSとの取引が有効であり法的拘束力がある旨を確認するため、MPSに対して英国の裁判所に訴えを提起しました。2014年3月、MPSは反論書を提出し、取引が違法であり無効であると主張するとともに、NIPは当該取引の下で受け取った約15億ユーロを返還するべきと主張しました。
2015年9月23日、NIPおよびMPSは、当該デリバティブ取引を終了する旨の和解契約を締結しました。NIPは、当該デリバティブ取引は適法・適正に行われたものと考えており、今般の和解はNIPの法的責任を認めるものではありません。しかしながらNIPとしては、欧州関係当局や外部の専門家の意見、助言にも鑑み、和解を選択することが最善であると判断しました。和解契約に基づき、当該デリバティブ取引はMPSからNIPに支払われるべき額を440百万ユーロ減額し清算されました。本和解に基づき、MPSおよびNIPは、イタリアの裁判所にMPSのNIPに対する訴訟を取り下げるための申し立てを行いました。2015年12月、イタリアの裁判所は、MPSの元役員が提起している訴訟を除き、NIPに対するすべての訴訟を取り下げる旨の判断をしました。これにより、イタリアおよび英国におけるMPSとNIP間の民事訴訟は終了しました。本和解により前連結会計年度に与えた連結税引前当期純利益への影響額は約340億円の損失であり、その全額をトレーディング損益として計上しました。
2013年7月、MPSの大株主(Fondazione Monte dei Paschi di Siena(以下「FMPS」))は、MPSの元役員およびNIPに対してMPS訴訟と同様の訴えを提起しました(以下「FMPS訴訟」)。この訴えについて、FMPSは、その損害額は少なくとも315.2百万ユーロであると主張しています。NIPは、MPS訴訟およびFMPS訴訟について反論書を提出しました。
なお、2013年4月、イタリアのシエナ地方検察当局は、MPSおよびMPSの元役員らが当該デリバティブ取引において果たした役割等の解明のため捜査を開始し、その後ミラノ地方検察当局に引き渡されました。2015年4月3日、ミラノ地方検察当局は、予備捜査を終了する通知を発出し過去のMPSの決算に関して不正会計および相場操縦等があったとして、MPS、MPSの元役員3名、NIPならびにNIPの元役員および職員2名の起訴に向けて手続きを進めていました。2016年10月1日、起訴の是非を判断する裁判所の予備審問が終了し、裁判官は、検察官との間で司法取引を行ったMPSを除く関係者について、審理を開始することを決定し、2016年12月に審理が開始されました。
また、NIPはイタリア金融規制当局(CONSOB)より、当該デリバティブ取引に関する虚偽情報の市場への流布について課徴金調査手続きを開始する旨の送達を受けました。受領した通知では、当該デリバティブ取引に関連して、MPS、MPSの元役員3名、NIPの元役員および職員2名が被審人として挙げられており、NIPは当該元役員および職員に課せられる罰金の支払いに対して雇用者として連帯責任を負う者として挙げられております。NIPは本手続きについて反論書を提出しています。
NIPは、係属中の法的手続きにおけるNIPの正当性を主張してまいります。
2016年1月、イタリアのチビタベッキア自治体(以下「自治体」)はNIPに対してチビタベッキア地方裁判所に訴訟を提起しました。当該訴訟は、2003年から2005年にかけて自治体が行ったデリバティブ取引に関連するものであり、自治体は、NIPがアドバイザリー契約に基づく義務を遵守しなかったとして約35百万ユーロの損害賠償を求めています。NIPは、NIPの正当性を主張してまいります。
2016年6月、ノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITED(以下「NIHK」)は、台北地方裁判所において、Cathay United Bank, Co., Ltd.、Taiwan Cooperative Bank Ltd.、Chang Hwa Commercial Bank Ltd.、Taiwan Business Bank Ltd.、KGI Bank およびHwatai Bank Ltd.(以下総称して「シンジケート団銀行」)からNIHKおよびその関係会社に対して提起された訴訟について送達を受けました。当該訴訟は、NIHKがアレンジャーを務めたUltrasonic AGの子会社に対する60百万米ドルのシンジケートローンに関連するものです。シンジケート団銀行は、NIHKのアレンジャーとしての信任義務違反等を根拠として約48百万米ドルの損害賠償を求めています。NIHKは、NIHKの正当性を主張してまいります。
2017年3月、American International Group, Inc.の子会社数社(以下「AIG」)は、NSIを含む数社および数人の個人に対し、テキサス州ハリス郡州地方裁判所に訴訟を提起しました。当該訴訟は、2012年に募集が行われた総額750百万米ドルのプロジェクト・ファイナンス社債のうちAIGが購入したと主張している92百万米ドル分に関連するものです。AIGは当該社債の勧誘、募集、発行および販売に関連する重要な不実記載によるテキサス州証券法違反を根拠とし購入の取消しまたは損害賠償を求めています。
国債、国際機関債および政府関連機関債に関連するNIP、その他野村グループ内の該当会社およびその他当事者の活動に対し規制当局による競争法関連の調査が行われております。また、NIPおよびその他野村グループ内の該当会社は、国際機関債および政府関連機関債の流通市場における価格操作により米国独占禁止法等の違反があったとして、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提起された集団訴訟の被告となっております。
野村證券株式会社(以下「野村證券」)は日本を代表する証券会社であり、同社の顧客口座数は約536万口座に及びます。同社の顧客との多くの取引において、顧客の投資損失等をめぐっての係争が、場合によっては訴訟になることがあります。その中には、2013年4月に法人顧客より提起された2005年から2011年にかけて行われた為替デリバティブ取引およびエクイティ関連の仕組債11銘柄の売却や償還により発生した損失額等の10,247百万円の損害賠償を求めるもの、2014年10月に法人顧客より提起された2006年から2012年にかけて行われた為替デリバティブ取引により発生した損失額等の2,143百万円の損害賠償を求めるものが含まれます。これらの訴訟の顧客は、取引契約時点における、野村證券による説明義務違反等を主張していますが、同社はこれらの顧客の主張には理由がないと考えております。
上記に記載したいずれの訴訟においても、当社は、当社子会社による主張が正当に認められるものと確信しております。
当社の米国子会社であるNHA、NAAC、NCCI、NHEL、NSI、ノムラ・アメリカ・モーゲッジ・ファイナンスLLCおよびノムラ・アセット・キャピタル・コーポレーションは、米国司法省およびニューヨーク東地区連邦検事局より、2006年および2007年に当社米国子会社がスポンサー、発行、引受け、または勧誘したRMBSに関連して、金融機関改革救済執行法に基づき当社米国子会社に対して民事制裁金等を課すことができるかを調査中であるとする通知を受領しております。当社米国子会社は調査に対して全面的に協力してまいります。
米国証券取引委員会および米国司法省は、商業用および住宅用不動産ローン担保証券取引におけるNSIの元職員数名の行為に対する調査を行っています。NSIはこれらの調査に対し全面的に協力しております。NSIは、米国証券取引委員会が、当該元職員に対するNSIの当時の監督状況についての行政手続きを開始すると考えており、問題となっている取引に関連した不当利得の返還等を行う必要が出てくると想定しております。
上記以外の米国における不動産証券化商品に関する偶発債務
当社の米国子会社では、住宅用不動産担保ローンをRMBSとする証券化を行っておりました。これらの子会社では、原則として、不動産を担保に自ら貸付を行うのではなく、第三者であるローン組成業者(以下「オリジネーター」)から不動産担保付ローンを購入しておりました。ローンの購入に際しては、オリジネーターからローン債権の内容に関する表明保証(representations)を受け入れておりました。証券化にあたって子会社が行った表明保証は、オリジネーターから受け入れた表明保証の内容をそのまま反映させたもので、その内容は概ね以下のとおりです。
不動産担保ローンの証券化のためのローン債権に関して提供される表明保証とは、個々のローン債権に関する詳細なもので、ローンの借り手および当該不動産の特性に応じたものです。これらの表明保証には、借り手の信用状態、対象不動産価値のローン債権額に対する比率、対象不動産の所有者による当該不動産の居住利用状況、抵当権の順位等の情報、オリジネーターのガイドラインに従ってローンが組成された事実、およびローンが関連法令に従い適法に組成された旨の事実等が含まれます。子会社組成のRMBSの中には、いわゆるモノラインの保険会社が保険を付与して信用が補完されたものもありました。
子会社の中には、証券の信託受託者から、ローンを買戻すように請求を受けているものがあります。これらの請求は保険提供者であるモノラインや、投資家の要請によるものがあると思われます。各証券化から6年以内に当社子会社らが買戻請求を受けたローンの元本合計金額は3,203百万米ドルです。表明保証違反に基づく請求に適用される時効成立後に買戻請求を受けたものについては、当社子会社らは買戻しに応じていません。6年以内に買戻請求を受けたものについては、当社子会社らは個々の請求を精査し、請求の根拠がないと考えられるものについては異議を唱え、一定の意義を見出せる請求についてはローンの買戻しに応じています。当社子会社らが買戻しに応じなかった請求の一部については、契約違反として証券の信託受託者から訴訟が提起されているものもあります。契約違反に関する請求に適用される6年の時効成立前に提起された訴訟については、却下されることなく初期段階にあります。これらの訴訟は事実に基づく情報が欠如し法的に不確定な部分が多く存在するため、当社は負債計上されている額を超えて合理的に発生する可能性のある損失額を見積もることはできません。
債務保証
野村は、通常の業務の一環として、スタンドバイ信用状およびその他の債務保証の方法で取引相手とさまざまな債務保証を行っており、こうした債務保証には一般に固定満期日が設定されております。
加えて、野村は債務保証の定義に該当する一定のデリバティブ取引を行っております。こうしたデリバティブ取引は被債務保証者の資産、負債または持分証券に関連する原証券の変動に伴って債務保証者が被債務保証者に支払いを行うことが偶発的に求められるようなデリバティブ取引であります。野村は顧客がこれらのデリバティブ取引を投機目的で行っているのかまたはヘッジ目的で行っているかを把握していないため、債務保証の定義に該当すると考えられるデリバティブ取引に関して情報を開示しております。
一定のデリバティブ取引によって、野村が将来支払わなければならない潜在的な最大金額の情報として契約の想定元本額を開示しております。しかしながら、金利キャップ売建取引および通貨オプション売建取引のような一定のデリバティブ取引に対する潜在的な最大支払額は、将来の金利または為替レートにおける上昇が理論的には無制限であるため、見積もることができません。
野村はすべてのデリバティブ取引を連結貸借対照表に公正価値で認識しております。また、想定元本額は一般的にリスク額を過大表示していると考えております。デリバティブ取引は公正価値で認識されているため、帳簿価額は個々の取引に対する支払、履行リスクを最も適切に表すものと考えております。
債務保証の定義に該当すると考えられる野村のデリバティブ取引およびスタンドバイ信用状およびその他の債務保証は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
帳簿価額潜在的な最大支払額または契約額帳簿価額潜在的な最大支払額または契約額
デリバティブ取引(1)(2)5,710,433204,781,5874,501,962209,982,338
スタンドバイ信用状および
その他の債務保証(3)
2428,4229008,604

(1)クレジット・デリバティブは「注記3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」で開示されており、上記デリバティ
ブ取引には含まれておりません。
(2)主にエクイティ・デリバティブ、金利デリバティブおよび為替取引で構成されております。
(3)スタンドバイ信用状およびその他の債務保証に関連して保有される担保は2016年3月31日においては6,115百万
円でした。2017年3月31日現在においては5,656百万円となっております。
2017年3月31日現在の債務保証の定義に該当すると考えられる野村のデリバティブ取引およびスタンドバイ信用状およびその他の債務保証にかかる満期年限別の情報は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
帳簿価額潜在的な最大支払額または契約額
満期年限
1年以内1~3年3~5年5年超
デリバティブ取引4,501,962209,982,33868,194,14155,660,06025,428,58860,699,549
スタンドバイ信用状およびその他の債務保証9008,6041536887,898

21 セグメントおよび地域別情報:
[事業別セグメント]
野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、アセット・マネジメント部門、ホールセール部門の区分で行われております。野村の事業別セグメントの構成は、主要な商品・サービスの性格および顧客基盤ならびに経営管理上の組織に基づいております。
セグメント情報の会計方針は、以下の処理を除き、実質的に米国会計原則に従っております。米国会計原則では税引前当期純利益(△損失)に含まれる営業目的で保有する投資持分証券の評価損益の影響は、セグメント情報に含まれておりません。
各事業セグメントに直接関わる収益および費用は、それぞれのセグメントの業績数値に含め表示されております。特定のセグメントに直接帰属しない収益および費用は、経営者がセグメントの業績の評価に用いる野村の配分方法に基づき、各事業セグメントに配分されるかあるいはその他の欄に含め表示されております。
次の表は、2016年3月期および2017年3月期における事業別セグメントの業績を示したものであります。経営者は経営の意思決定上、金融費用控除後の金融収益を利用しているため、純金融収益が開示されております。総資産についての事業別セグメント情報は、経営者が経営の意思決定上当該情報を利用していないため経営者に報告されていないことから、開示されておりません。
(単位:百万円)
営業部門アセット・マネジメント部門ホールセール部門その他(消去分を含む)
2016年3月期
金融収益以外の収益429,94891,014571,322211,4531,303,737
純金融収益5,6864,395148,955△46,401112,635
収益合計(金融費用控除後)435,63495,409720,277165,0521,416,372
金融費用以外の費用308,00358,743704,872158,9051,230,523
税引前当期純利益127,63136,66615,4056,147185,849
2017年3月期
金融収益以外の収益369,50390,025564,877243,4591,267,864
純金融収益4,9319,402174,379△59,995128,717
収益合計(金融費用控除後)374,43499,427739,256183,4641,396,581
金融費用以外の費用299,64257,094577,809145,8571,080,402
税引前当期純利益74,79242,333161,44737,607316,179

事業セグメント間の取引は、通常の商取引条件によりそれぞれのセグメント業績に計上されており、消去はその他の欄において行われております。
次の表は、その他の欄の税引前当期純利益の主要構成要素を示したものであります。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
経済的ヘッジ取引に関連する損益6,370△7,279
営業目的で保有する投資持分証券の実現損益1871,092
関連会社損益の持分額32,72732,342
本社勘定△52,314△6,439
その他(1)19,17717,891
6,14737,607

(1)その他には自社の信用リスクによる影響額等が含まれております。
次の表は、前出の表に含まれる合算セグメント情報の、野村の連結損益計算書上の収益合計(金融費用控除後)、金融費用以外の費用計ならびに税引前当期純利益に対する調整計算を示したものであります。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
収益合計(金融費用控除後)1,416,3721,396,581
営業目的で保有する投資持分証券の評価損益△20,6916,616
連結収益合計(金融費用控除後)1,395,6811,403,197
金融費用以外の費用計1,230,5231,080,402
営業目的で保有する投資持分証券の評価損益--
連結金融費用以外の費用計1,230,5231,080,402
税引前当期純利益185,849316,179
営業目的で保有する投資持分証券の評価損益△20,6916,616
連結税引前当期純利益165,158322,795

[地域別情報]
野村の識別可能な資産、収益および費用の配分は、一般にサービスを提供している法的主体の所在国に基づき行われております。ただし、世界の資本市場が統合され、それに合わせて野村の営業活動およびサービスがグローバル化しているため、地域による厳密な区分は不可能な場合があります。こうしたことから、以下の地域別情報の作成に際しては複数年度にわたり一貫性のあるさまざまな仮定をおいております。
次の表は、2016年3月期および2017年3月期における地域別業務ごとの収益合計(金融費用控除後)および税引前当期純利益(△損失)ならびに2016年3月末および2017年3月末時点での野村の業務にかかる長期性資産の地域別配分を示したものであります。米州および欧州の収益合計(金融費用控除後)は、主にそれぞれ米国および英国における事業から構成されております。なお、地域別配分方法において、収益合計(金融費用控除後)および長期性資産については外部顧客との取引高を基準とし、税引前当期純利益(△損失)においては、地域間の内部取引を含む取引高を基準としております。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期
収益合計(金融費用控除後)(1):
米 州219,857263,587
欧 州145,808159,474
アジア・オセアニア78,70067,278
小計444,365490,339
日 本951,316912,858
連 結1,395,6811,403,197
税引前当期純利益(△損失):
米 州△32,04249,962
欧 州△67,38414,401
アジア・オセアニア19,80623,746
小計△79,62088,109
日 本244,778234,686
連 結165,158322,795

(1)単独で重要とみなされる外部の顧客との取引から生ずる収益はありません。
(単位:百万円)
2016年3月31日2017年3月31日
長期性資産:
米 州129,308125,222
欧 州76,58966,167
アジア・オセアニア13,48513,043
小 計219,382204,432
日 本247,425251,242
連 結466,807455,674