有価証券報告書-第119期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「社会からの信頼および株主、お客様をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高める」という経営目標を達成するうえで、コーポレート・ガバナンスの強化を最重要課題の1つと認識し、経営監督の実効性と経営の透明性を確保しつつ、持続的な成長と機動的なグループ経営を追求した体制の強化・充実に取り組んでおります。
当社は、株主、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーの立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みとしての実効性のあるコーポレート・ガバナンスの枠組みを示し、その実現に資することを目的として、「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」を定めております。
「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」は当社ホームページからご覧いただけます。
(https://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/data/cg_guideline.pdf)
また、当社は、野村グループの役員・社員一人ひとりが遵守すべき行動規範として、「野村グループ行動規範」を策定しております。これは、野村グループの役職員が、野村グループ企業理念を具体的な行動に移すための指針となるものであり、あらゆる企業活動を野村グループ行動規範に基づいて実行、その遵守を徹底し、株主のみならず、あらゆるステークホルダーに対する責任を果たすべく努めております。
「野村グループ行動規範」は当社ホームページからご覧いただけます。
(https://www.nomuraholdings.com/jp/company/basic/coc.pdf)
企業統治の体制の概要および当該企業統治の体制を採用する理由
当社は指名委員会等設置会社であり、以下の理由からこれが当社にとって現時点における最適な機関設計であると判断しております。
指名委員会等設置会社は、社外取締役を過半数とする指名・監査・報酬の三委員会を設置し、経営の監督と業務執行の分離による監督機能の強化および透明性の向上を図るとともに、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委任することで意思決定の迅速化が図られる体制です。また、指名委員会等設置会社は、当社が上場するNYSEの上場会社マニュアルに規定されるコーポレート・ガバナンスに関する基準に最も近いものであると考えております。
当社の企業統治の体制の概要は以下のとおりです。
<取締役会および委員会について>経営の監督と業務執行が制度的に分離された指名委員会等設置会社である当社では、取締役会および法定の指名・監査・報酬の三委員会に加え、リスク管理に関して取締役会による監督の深化を目的とする委員会である「リスク委員会」、ならびに社外取締役が当社の事業およびコーポレート・ガバナンスに関する事項について定期的に議論するための「社外取締役会議」を設置しております。
当社の取締役会は、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ることを目的とし、その主たる役割を経営の監督としております。取締役会は、経営の公正性・透明性を確保するとともに、「経営の基本方針」を決定し、当該方針を踏まえたグループCEOその他の会社を経営する執行役の選任および当社の重要な業務執行の決定を行っております。
当社の取締役会は、多角的な視点から活発な議論を行うことができるよう、性別、国際性および職歴等の多様性と、財務、企業経営、法律等の専門性を備えた人員で構成することを原則としております。また、その監督機能を適切に発揮するため、社外取締役を過半とすることを原則としております。
当社の現在の取締役は、全13名のうち9名が社外取締役であり、そのうち外国人取締役が4名、女性取締役が3名という多様な人員構成となっております。また、企業経営、国際ビジネス、金融業、会計・財務、法制度・規制、リスク管理を含む内部統制、デジタル(IT)・DXおよびサステナビリティなどの専門性や経験を備えた人員構成となっております。特に、米国ビジネスの拡大を受けて、米国の金融業界、マクロ経済、規制環境に精通する取締役を選任しております。さらに、取締役の地理的分散を考慮し、アジアから金融に精通する取締役を選任するとともに、グローバルな経営的知見の重要性に鑑みて、グローバルに事業展開する日本企業の経営者である取締役を選任しております。
当社の取締役会については、執行役を兼務しない取締役を議長とすることで、執行役の業務執行に対する監督に専念できる体制の強化を図っております。また、指名・監査・報酬・リスクの各委員会については、社外取締役を委員長とすることで、業務執行からの独立性を一層明確にしております。
現在の当社の取締役会および委員会の構成
(提出日現在)
当社の取締役会は、3か月に1回以上の頻度で2023年月3月期には合計11回開催されております。
2023年3月期における各取締役の取締役会への出席状況
(2023年3月31日現在)
(※)取締役 代表執行役副社長 寺口智之および社外取締役 園マリは、2023年6月27日開催の当社定時株主総会の終結の時をもって取締役を退任しております。また、寺口智之は2023年3月31日付けで代表執行役副社長を退任し、同年4月1日付けで当社副会長に就任しております。
2023年3月期における当社の取締役会の具体的な検討内容
取締役会では、業務執行全般に加えて、サステナビリティ、リスク・マネジメント等の特定の領域についての定期的な報告を実施しました。また、中長期経営戦略、各部門・カンパニーごとの戦略、情報開示、IT戦略等の重要課題についても議論を実施しました。その概要は以下のとおりです。
(※)取締役会評価については社外取締役会議においても議論を行いました。なお、最新の取締役会評価の結果については、当社「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」で開示しております。
(URL)https://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/data/cg_report.pdf
当社の各委員会の役割および活動状況は以下のとおりです。
① 指名委員会
株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。指名委員会においては、グループCEOの後継者計画について、今後の経営環境を踏まえて求められる資質や候補者案について議論を行うなどガバナンスの更なる発展に取り組んでおります。
当社の指名委員会は、1年に1回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2023年3月期には合計8回開催されております。
2023年3月期における各取締役の指名委員会への出席状況
(2023年3月31日現在)
2023年3月期における当社の指名委員会の具体的な検討内容
② 監査委員会
取締役および執行役の職務の執行の監査ならびに監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行う法定の機関であり、取締役会で4名の委員を選定しております。すべての委員は、米国企業改革法に基づく独立性の要件を満たしております。また、島崎憲明および石塚雅博は同法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有するものであります。
2023年3月期における各取締役の監査委員会への出席状況
(2023年3月31日現在)
(※)社外取締役 園マリは、2023年6月27日開催の当社定時株主総会の終結の時をもって退任しております。
同定時株主総会において、石塚雅博が社外取締役に就任し、監査委員を務めております。
当社の監査委員会の活動状況については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](3)[監査の状況]」に記載のとおりです。
③ 報酬委員会
取締役および執行役の報酬等の内容にかかる決定に関する方針ならびに個人別の報酬等の内容を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。
当社の報酬委員会は、1年に1回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2023年3月期には合計7回開催されております。
2023年3月期における各取締役の報酬委員会への出席状況
(2023年3月31日現在)
当社の報酬委員会の具体的な検討内容については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](4)[役員の報酬等]」に記載のとおりです。
④ リスク委員会
取締役会による野村グループのリスク管理の監督を補助し、リスク管理の高度化に資することを目的とする任意の機関であり、取締役会で7名の委員を選定しております。
当社のリスク委員会は、1年に4回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2023年3月期には合計5回開催されております。
2023年3月期における各取締役のリスク委員会への出席状況
(2023年3月31日現在)
(※)2023年6月27日開催の当社定時株主総会において、石黒美幸が社外取締役に就任し、リスク委員を務めております。
2023年3月期における当社のリスク委員会の具体的な検討内容
(※)上記検討内容を踏まえた当社のリスク管理の詳細については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](1)[コーポレート・ガバナンスの概要]リスク管理体制の整備」をご参照ください。
<業務執行の仕組み>当社は指名委員会等設置会社であることから、取締役会は業務執行の決定の権限を法律で認められる限りにおいて執行役に対して原則として委任し、執行役が当社の業務を機動的に執行する体制をとっております。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、特に重要な業務執行については「経営会議」、「グループ・リスク管理委員会」、「野村グループ・コンダクト委員会」、「サステナビリティ委員会」、「内部統制委員会」といった会議体における審議を経て決定することとしております。また、経営会議等での審議状況について、取締役会は各会議体から3か月に1回以上の報告を受けることとしております。
各会議体の役割および構成については以下のとおりです。
① 経営会議
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、執行役および代表執行役社長 グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループの経営戦略、事業計画および予算ならびに経営資源の配分をはじめとする、野村グループの経営にかかる重要事項について審議・決定しております。
② グループ・リスク管理委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEO以外の代表執行役のうち議長が指名する者、コンプライアンス統括責任者(CCO)、リスク管理統括責任者(CRO)、財務統括責任者(CFO)、部門長(ビジネスを行う部門の責任者)、その他議長が指名する者から構成される会議体であり、経営会議からの委任を受けて、野村グループの統合リスク管理に関する重要事項について審議・決定しております。
③ 野村グループ・コンダクト委員会
執行役副社長 飯山俊康を委員長とし、コンプライアンス統括責任者(CCO)ならびに各地域および主要部門の執行役員から構成される会議体であり、野村グループ行動規範の浸透ならびに野村グループにおけるコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理について審議しております。
④ サステナビリティ委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、その他代表執行役社長 グループCEOが指名する経営会議の構成員を含む会議体であり、野村グループにおけるサステナビリティ推進にかかる戦略等について審議・決定しております。
⑤ 内部統制委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEOが指名する者、監査委員会が選定する監査委員である島崎憲明、および取締役会が選定する取締役であり常勤監査委員である小川祥司から構成される会議体であり、野村グループの業務にかかる内部統制、監査活動およびリスク管理等に関する重要事項について審議しております。
また、高度化・専門化する金融業務における業務執行体制の一層の強化を図るため、執行役から業務執行権限の一部の委任を受け、個々の担当分野のビジネス、オペレーションに専念する役割を担う「執行役員」を設置しております。
コーポレート・ガバナンス体制
(提出日現在)

内部統制システム整備の状況および提出会社の子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況
当社は、経営の透明性・効率性の確保、法令・諸規則の遵守、リスク管理、事業・財務報告の信頼性の確保、適時・適切な情報開示の促進といった観点から、グループ全体にわたる企業行動の適正化を推進するための内部統制システムの強化・充実に努めております。
当社における内部統制システムは、取締役会において、「野村ホールディングスにおける業務の適正を確保するための体制」として決議しており、当該体制にはグループとしての内部統制システムの整備に関する事項も含まれております。また、野村グループ各社においても、当社の決議内容を踏まえ、それぞれ自社の実情に合った内部統制システムの整備を行っております。
■内部統制システムの構造

取締役の定数
当社の取締役は20名以内とする旨を定款に定めております。
取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う旨を定款に定めております。
剰余金の配当等の決定機関
当社は、経営環境の変化に機動的に対応した株主への利益還元や資本政策を遂行できるよう、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。
取締役および執行役の責任免除
当社は、取締役および執行役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮することができるよう、会社法第426条第1項の規定により、会社法第423条第1項に定める取締役(取締役であった者を含む。)および執行役(執行役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。
責任限定契約
当社は、取締役 小川祥司および社外取締役全員と会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく責任の限度額は、2,000万円または法令が規定する額のいずれか高い額となります。
役員等賠償責任保険契約
当社は、当社およびその子会社等の取締役、執行役、執行役員、監査役および幹部社員等を被保険者として、会社法第430条の3第1項に定める役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しております。当該保険契約では、被保険者が会社の役員等の地位に基づき行った行為(不作為を含む。)に起因して損害賠償請求がなされたことにより被保険者が被る損害賠償金や訴訟費用等が塡補されることとなり、被保険者のすべての保険料を当社が全額負担しております。ただし、役員等個人の故意かつ詐欺的もしくは不誠実な行為に起因するもの等一定の免責事由があります。
種類株式について
資金調達の選択肢を可能な限り広く確保し、将来にわたり経済やビジネスの環境変化に迅速に対応していくことが可能となるよう、当社は、普通株式のほか、無議決権優先株式を発行できる旨を定款に定めております。優先株式の単元株式数は普通株式と同数の100株であり、優先株主は、普通株主に先立ち優先配当金を受けている限り、すべての事項につき株主総会において議決権を行使することができません。
なお、提出日現在、現に発行している株式は普通株式のみであります。
リスク管理体制の整備
リスク・マネジメント
野村の事業活動は、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、その他外生的事象に起因するリスクなどのさまざまなリスクに晒されております。野村では、財務の健全性を確保し、企業価値を維持・向上するために、これらのリスクを総合的にコントロールし、モニタリングし、報告するためのリスク管理体制を構築しております。
グローバル・リスク管理体制
リスク管理
野村では、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、モデル・リスクなど業務運営によって生じる不測の損失により当グループの資本が毀損する可能性、および自社の信用力の低下または市場環境の悪化により円滑な資金調達ができなくなるという資金流動性リスク、さらに収益環境の悪化または業務運営の効率性もしくは有効性の低下により収益がコストをカバーできなくなるという戦略リスクなどを管理しております。
そのうえで、野村では全社員が自らリスク管理を行う主体であると認識し、能動的にリスク管理に取り組むことを基本方針としております。野村では、組織内の全階層において積極的なリスク管理がなされるよう推進し、かつリスクをリスク・アペタイトの範囲内に抑制するよう努めております。野村のリスク管理の枠組みはリスク・アペタイト、リスク管理のガバナンスおよび監督、財務的経営資源の管理、すべてのリスク・カテゴリーの管理、およびリスクの計測および管理プロセスで構成されています。加えて、米国顧客との取引に関する事案を受けて、野村は、リスク・マネジメント・フレームワークの改善に向けた見直しを行っています。これら主要な項目については次に詳述いたします。
リスク・マネジメントを強化する施策の一部として、執行から独立して重要なリスクについて議論するためのリスク委員会を2021年10月29日に正式に設立しております。リスク委員会は、(1)リスク・アペタイト・ステートメントに対する同意の付与、(2)リスク・マネジメント・フレームワークの主要設計に対する同意の付与、(3)リスク環境の分析・検証結果および今後の予測、(4)リスク管理全般の執行状況および中長期的なリスク戦略を審議することにより、取締役会による監督を補助することになります。
野村は、三つの防衛線による管理体制により、リスク管理を行うこととしております。
・ 第一の防衛線: 財務リスクについてはフロント部署の役職員、非財務リスクについては全ての役職員が、リスク管理に一義的な責任を負い、業務遂行から生じるリスクに伴う結果のみならず、そのリスクを許容することがリスク・アペタイトに沿っていることの説明責任を負います。
・ 第二の防衛線: リスク管理を行う部署は、第一の防衛線での管理活動をサポート・監視し、取締役および経営陣等へ報告します。また、第一線が自ら策定したリスク管理体制を、独立した立場から評価します。
・ 第三の防衛線: 内部監査部署は、独立した立場からリスク管理に対する検証・評価を行い、改善のための助言を行うと共に、検証・評価結果を監査委員会に報告します。
リスク・アペタイト
野村は、規制上の資本、流動性、業務環境によって決定される制約条件を勘案のうえ、戦略的な目標と事業計画の達成のために許容するリスクの種類および水準を、リスク・アペタイト・ステートメントとして定めています。リスク・アペタイト・ステートメントは、リスク管理統括責任者(CRO)および財務統括責任者(CFO)により提案され、経営会議の承認により決定されます。リスク・アペタイト・ステートメントはその後、執行側からの提案に対して同意を与える権限を有するリスク委員会でさらに審議されます。
リスク・アペタイト・ステートメントには、自己資本充実度と手元流動性、財務リスク、および非財務リスクを含め、当グループの事業遂行により生じうるリスクが記載されています。またリスク・アペタイトの各項目の主管部署は、定期的にモニタリングを行い、違反が発生することがないよう、適切に管理を行うこととしています。
野村のリスク・アペタイト・ステートメントは、経営会議において、少なくとも年一回見直しを実施しております。また、見直しは必要に応じて随時、特に当社の戦略に重大な変更があった場合には必ず実施しております。リスク・アペタイトは、野村のリスク管理体制の基礎をなすものです。
リスク管理の組織体制
野村では、効果的な事業運営とリスク管理のための会議体を設置しています。リスク管理体制は以下の通りです。

取締役会
取締役会は、野村グループの経営の基本方針、その他法令に定められた事項について決定し、取締役および執行役の職務執行状況を監督します。また取締役会は、経営会議規程の制定、改廃について決定する権限を有しております。
リスク委員会
リスク委員会は、取締役会の監督機能を更に強化するための専門監督機関です。執行からの独立性を確保するため、社外取締役を委員長としています。主として下記の事項に関し、取締役会による監督の深化に努め、 グループのリスク管理の高度化に資することを目的とします。
・ リスク・アぺタイト・ステートメントの改廃
・ リスク管理フレームワークの変更
・ リスク環境の分析・検証結果および今後の予測
・ リスク管理全般の執行状況および中長期的なリスク戦略の監督
経営会議
経営資源の有効活用と業務執行の意思統一を図ることにより、野村における経営戦略および経営資源の配分ならびに経営に係る重要事項を審議し、株主価値の増大に努めます。またリスク管理に関する審議事項の決定権限をグループ・リスク管理委員会に委譲しています。経営会議の主要な役割は以下の通りです。
・ 経営資源の配賦-各年度の開始にあたり、経営会議はリスク・ウェイティド・アセットや無担保調達資金等の各種経営資源の配賦や経営資源のリミットの設定を行います。
・ 事業計画-各年度の開始にあたり、経営会議は野村の事業計画や予算を承認します。また、期中における、重要な新規ビジネス、事業計画の変更、予算や経営資源の配賦を承認します。
・ レポーティング-経営会議は経営会議の内容等を取締役会へ報告します。
グループ・リスク管理委員会
業務の健全かつ円滑な運営に資することを目的として、経営会議の委任を受け、野村の統合リスク管理に係る重要事項を審議、決定します。グループ・リスク管理委員会は、野村のリスク・アペタイトに整合した統合リスク管理の枠組みの整備を行います。また、リスク管理の枠組みを整備することを通じて野村のリスク管理を監督します。リスク管理に関する重要な事項その他議長が必要と認める事項について、取締役会および経営会議に報告します。加えて、グループ・リスク管理委員会は、経営会議の委譲を受け、リスク管理規程を策定し、リスク管理の基本方針を含む野村のリスク管理の枠組みを整備しています。
グループ・リスク審査委員会
グループ・リスク審査委員会は、グループ・リスク管理委員会の委任を受け、野村グループの統合リスク管理に係る事項を実務的な観点から審議・決定し、業務の健全かつ円滑な運営に努めております。
トランザクション・プロファイル審査委員会
トランザクション・プロファイル審査委員会は、グループ・リスク管理委員会の委任を受け、野村グループの企業理念、行動規範、リスク・アペタイト・ステートメント、サステナビリティ・ステートメントに照らし、野村グループ全体のレピュテーションの観点から検討が必要な野村グループ各社の取引および顧客等に関する事項を審議し、必要な決定を行います。
アセット・ライアビリティ・コミッティー
アセット・ライアビリティ・コミッティーは、経営会議およびグループ・リスク管理委員会の委任を受け、経営会議が定める野村のリスク・アペタイトに基づきバランス・シート管理体制、財務的経営資源の配賦、流動性管理などを審議します。審議内容や議長が必要と認める事項について、グループ・リスク管理委員会に報告します。
グローバル案件会議
グローバル案件会議は、グループ・リスク審査委員会の委任を受け、経営会議が定める野村のリスク・アペタイトに沿って、個別取引の審議・承認を行い、業務の健全かつ円滑な運営に努めております。
電子取引及びアルゴリズム取引リスク監督委員会
電子取引及びアルゴリズム取引リスク監督委員会は、グループ・リスク審査委員会の委任を受け、当社のホールセール部門における電子取引及びアルゴリズム取引に関するガバナンス、リスク管理及び業務管理の枠組みの開発及び実施に関するすべての事項に責任を負っております。
その他の会議体
グローバル・リスク分析委員会およびモデル・リスク分析委員会は、CROの委任を受け、野村におけるモデルの開発、および管理に関する重要事項の審議・決定を行います。これらの委員会は、新規モデルや既存モデルの大幅な変更の承認など、モデルを管理する上での統制および監督について責任を有し、重要事項の審議や決定について、定期的にCROに報告します。一方、グローバル担保管理運営委員会は、CROの委任を受け、担保集中、流動性、担保再利用、リミットおよびストレス・テストを通じた担保リスク管理について審議または決定を行うほか、野村の担保戦略の方向性を示し、担保の規制要件を確実に遵守します。
リスク管理統括責任者
CROは、リスク・マネジメント部門における全般的な戦略および方針を構築する責任を有します。また、野村のリスク・マネジメント部門を統括し、収益責任を負う部門等から独立した立場で、リスク管理の枠組みの有効性を維持する責任を負います。また、リスク管理の状況について、定期的にグループ・リスク管理委員会へ報告するほか、リスク管理上必要な対応策の実施についてグループ・リスク管理委員会への付議または報告を行います。
財務統括責任者
CFOは、野村の財務戦略を統括します。また、経営会議の委任を受け、流動性管理について執行権限および責任を負います。
その他の責任者
3つの防衛線によるリスク管理に関する基本方針に基づき、オペレーショナル・リスクに責任を負う部署の責任者は、担当するオペレーショナル・リスクについて、適切な管理の枠組みを設置するほか、主導的にリスク・アペタイトを策定する責任を負います。
コンプライアンス統括責任者(CCO)は、CROと協同し、レピュテーショナル・リスクについて、適切な管理の枠組みを設置するほか、主導的にリスク・アペタイトを策定する責任を負います。
リスク・ポリシー管理の枠組み
ガバナンス上必要不可欠なツールの規程や実施手続には、野村のリスク管理を円滑に行うための基本方針、規則、基準や特定のプロセスが定義されております。リスク管理の実務は、これらの規程および実施手続に基づいて運営されています。
モニタリング、報告およびデータ管理
リスクに関する経営情報(マネジメント・インフォメーション)の算出と集計、報告およびモニタリングは、適切なリスク管理体制に不可欠です。マネジメント・インフォメーションの目的は、適切な上申と意思決定、および対応策の策定に資する情報を提供することです。リスク・マネジメント部門およびファイナンス部門は、リスク・アペタイトに対応するポジションの状況に関するマネジメント・インフォメーションを定期的に取りまとめる責任を有します。マネジメント・インフォメーションは、リスク・カテゴリー全般にわたる情報を含み、また各リスクの特定および評価のためのさまざまなリスク管理手法を使用して作成されます。上記両部門は、マネジメント・インフォメーションに関するデータを適切に管理する責任を有します。
リスク管理高度化プログラム
米国プライム・ブローカレッジ顧客との取引に起因した多額損失の件(以下「米国顧客取引に関する損失」)
2021年3月、米国顧客とのプライム・ブローカレッジ取引において顧客に追加証拠金を要請するも当該顧客から入金されないという事象が発生しました。事象を受け、当社米国子会社(以下、本項目において、単に「当社」ということがあります)としては当該顧客に対して債務不履行を通知し、契約解消を行い、当該顧客との取引のヘッジとして当社が保有していたポジションの処理を開始しました。当該ポジションの処理に際して時価が変動し、顧客から損失を回収できないと見込まれたため、2021年3月期第4四半期および通期において巨額の損失を計上し、2022年3月期第1四半期および通期において追加の損失を計上することになりました。本有価証券報告書においてこの事象を「米国顧客取引に関する損失」との名称で各項目にて参照しておりますが、詳細は下記になります。
当社と当該顧客との取引は、(1) 顧客が原資産である個別の株式や指数を保有することなく、それらに対するロングまたはショートのエクスポージャーを保有することができるトータル・リターン・スワップ取引(以下「TRS取引」)と呼ばれるデリバティブ取引(以下「シンセティック・プライム・ブローカレッジ」)、および(2) 顧客の口座にある株式ポートフォリオに対する貸付(以下「キャッシュ・プライム・ブローカレッジ」)から構成されていました。一般に、当社はプライム・ブローカレッジ顧客の信用リスク水準を管理するために、同顧客に適用される証拠金比率および保有ポジションに応じた担保(以下「証拠金」)を当社に預託することを求めています。その証拠金比率は、取引先および取引先のポジション構成に関する内部リスク評価の結果に基づいて決定され、その比率に応じた市場動向の影響に基づいて追加証拠金の差入れを要求する場合があります。顧客とTRS取引を行った場合、当社はそのポジションに応じて個別の株式や指数のロング・ポジションやショート・ポジションの保有により市場リスクの観点からのヘッジを行います。具体的には、顧客がTRS取引で株式のロング・ポジションを保有する場合、当社には反対のショート・ポジションが生じるため別途、現物株のロング・ポジションを構築することでヘッジを行います。したがって、顧客が債務不履行になりTRS取引が解消されると、当社には株式のロング・ポジションが残ることになります。また、キャッシュ・プライム・ブローカレッジのポジションに対する貸付は、一般的に余分に担保が設定されているため、個別にヘッジされることはありませんが、当該担保の価値が下落した場合には個別にヘッジを行うこともあります。
2021年1月から3月にかけて、市場価格の変動や当該顧客の新規ポジション取得により、当該顧客との取引額・取引量が大幅に増加しました。2021年3月にはシンセティック・プライム・ブローカレッジにおいて大口ポジションを保有している一部銘柄の時価が大幅に下落したため、当該顧客との契約に基づき追加証拠金の差入れを要請しましたが、当該顧客による債務不履行となり、当社から契約解消を通知しました。当該顧客が他の金融機関とも同様に大口のポジションを保有しており、また、それらの金融機関とも債務不履行を起こしていたことも次第に明らかになりました。当社は市場への影響と当社の損失の最小化を図りながら当該TRS取引に紐づくヘッジおよびポジションの巻き戻しを進めましたが、当社と他の金融機関による大量のポジション処理およびそれにともなう市場価格の変動により、当社は2021年3月期第4四半期および通期のトレーディング損益において2,042億円の損失を計上するに至りました。また、有価証券を担保とした顧客への貸付については、当該貸付分を回収できる可能性が低下したことから、2021年3月期第4四半期および通期のその他の費用に貸倒引当金繰入額として416億円を計上しました。2021年5月17日までに当該顧客との取引をすべて解消し、ヘッジ取引を解消した結果、2022年3月期第1四半期および通期において654億円の追加損失を計上しました。そのうち、561億円はトレーディング損失としてエクイティ収益に計上、93億円は貸倒引当金として費用認識しました。
リスク管理高度化プログラムの概要
当社は、事象の発生直後から内部調査を実施するとともに、リスク管理フレームワークの総合的な検証を行い、リスク管理のさらなる高度化に向けた包括的な諸施策を検討しました。
その上で、リスク管理高度化の重要施策として、取締役会の監督機能をさらに強化すべく専門監督機関であるリスク委員会を新たに設置しました。また同時に、監督側のリスク委員会との連携を効果的に行うべく、執行側でリスク管理を従来審議してきた統合リスク管理会議を発展的に改組し、「グループ・リスク管理委員会」を設置しました。リスク委員会およびグループ・リスク管理委員会の詳細については、「リスク管理の組織体制」をご参照ください。
さらに、リスク管理のさらなる高度化に向けた包括的な諸施策の検討・実行をグループ全体で推進するため、2021年にグループCEOが委員長を務める「リスク管理高度化推進委員会」を設置しました。リスク管理高度化推進委員会では、諸施策の策定・執行の監督、関連するリソースの確保、施策達成に向けたグローバルな協力体制の整備等について審議しております。またチーフ・トランスフォーメーション・オフィサーが、グループ全体の諸施策を推進し、地域間の連携と一貫性を担保しております。また、高度化施策に対する監督体制を確保すべく、リスク管理高度化推進委員会は、取締役会および経営会議に対して定期的に報告を行っています。
リスク管理高度化推進委員会のもと、具体的な高度化施策が検討され、リスク管理高度化プログラムとして、実装に向けた取組みが実施されています。具体的な高度化施策の実施にあたっては、「ビジネス戦略」、「業務執行管理」、「リスク管理」および「リスク・カルチャー」の4つに分類し、それぞれに執行役または執行役員を責任者として任命し、必要な経営資源を優先して投入しています。
リスク管理高度化プログラムにおける主な成果は以下のとおりです。
ビジネス戦略
グローバル・マーケッツのビジネス戦略を明確化し、ビジネスポートフォリオをさまざまな形式で定期的にレビューする体制を整備するとともに、リスク・プロファイルが当社の戦略的方向性やリスク・アぺタイト、リソース配分等に整合的であるように保つための施策を実施・完了しました。
業務執行管理
クロスボーダー・ブッキングモデルおよび現地エンティティにおける統制について、より堅牢なグローバル・クロスボーダー・ガバナンス・フレームワークの構築を進めています。また、ホールセール・フロント・オフィスにおいて財務・非財務のリスク管理を統括する組織の設置を通じて、多国間で複合的に展開されるビジネスに対し、第1線で効果的かつグローバルに統一された執行管理を行うための体制を構築しました。加えて、ホールセール部門のシニア・マネジメント等に対しては、グローバルに統一されたパフォーマンス管理を導入し、各個人の報酬に当社の中長期的な戦略的に沿った取り組みや、リスクおよびコンダクトに関連するパフォーマンスをより反映させることとしました。
リスク管理
当社の経営戦略の目的と事業計画を達成するために許容するリスクの種類および水準をより明示的に表現するため、財務リスク・アペタイトの設計を見直し、より具体的な定量指標でアペタイトを定めることとしました。さらに、委員会等の見直しを通じたポートフォリオ・リスク管理及び取引承認に関するガバナンス強化を図りました。加えて、三つの防衛線に基づくリスク管理に関する役割と責任の更なる理解と浸透のため、三つの防衛線の役割と責任についてグループ・レベルで明文化し、関連研修を実施しています。
また、各種リスク・エクスポージャー計測手法の高度化も進め、新たに開発した指標を含めた複数のリスク指標に基づき、リスクを包括的に確認しています。さらに、ビジネスの規模と複雑さに応じてリスク管理を適切に実践するべく、第1線の中のリスク・コントロール機能、第2線におけるリスク管理機能、および第3線であるインターナル・オーディットにおいて、人員増強も実施しました。
リスク・カルチャー
リスク・カルチャーを含む企業文化の醸成を重視する会社としての姿勢を、各種企画や発行物に定期的に組み込み、社内外への発信を継続しております。その一例として、2022年3月、野村グループ行動規範に、新たな項目として「リスクと正しく向き合う」を追加する改訂を行いました。ディスカッション型のワークショップ等を通じて、リスク・カルチャーの一層の理解と浸透を図るとともに、野村グループ従業員サーベイにおいて、リスク・カルチャーに関連する設問を追加する等、経年で浸透度を測定するための枠組みの整備も行っています。加えて、採用や業績評定等の既存の枠組みにもリスク・カルチャーの要素を組み込み、継続的なリスク・カルチャーの醸成に取り組んでおります。
財務的経営資源の管理
野村は、財務的経営資源を適切に使用するため、財務的経営資源の管理体制を構築しております。経営会議は、期初に、各部門に財務的経営資源の配賦を行います。各部門では、財務的経営資源の配賦により収益予算の策定を行います。財務的経営資源の主要な構成要素は以下のとおりです。
リスク・ウェイティド・アセット
経営会議は毎年、連結自己資本比率(連結Tier1比率)の最低基準値を決定します。自己資本比率を算出する際の重要な構成要素はリスク・ウェイティド・アセットとなり、このリスク・ウェイティド・アセットは経営会議により、各部門やそれ以下の階層に配賦されております。また、リスク・ウェイティド・アセットを補完する、非リスク・ベースの指標であるレバレッジ比率の枠組みにおいて、エクスポージャー水準に関するリスク・アペタイトを経営会議にて決定しております。詳しくは第2「事業の状況」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。
社内資金
財務統括責任者は、野村グループ内に無担保で提供される資金の上限額を決定し、経営会議は各部門へ配分を行います。グローバル・トレジャリーは部門毎の資金使用量をモニタリングし、経営会議に報告します。
リスク・カテゴリーと定義
野村では、リスクを以下のとおり分類、定義したうえで、各リスクを管理する部署または組織を設置しております。
市場リスク管理
市場リスクは、市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失を被るリスクです。
市場リスク管理プロセス
市場リスクを適切に管理するためには、複雑かつ不断に変動する市場環境をグローバルに分析し、損失に繋がる可能性のある傾向を把握したうえで、適時に適切な対応を取る能力が必要となります。
野村では継続して市場リスクを統計的に計測・モニタリングする主要な手段として、バリュー・アット・リスク(VaR)、ストレスVaR(SVaR)および追加的リスクを利用しております。また、感応度分析やストレス・テストも市場リスクを評価・分析する手段として利用しております。感応度は、市場リスク・ファクターの単位当たりの変動によるポートフォリオ価値変化を示す尺度として利用されます。感応度は、資産種別によって異なり、通常、異なるリスク・ファクターに関する感応度を合算することはできません。ストレス・テストにおいては、ポートフォリオ・リスクやテイル・リスクをその非線形な性質を含めて分析し、グループ全体から各部門、個々のトレーディング・デスクに到るあらゆる階層で、市場リスク・ファクターを横断した合算が可能となります。市場リスクは、ビジネス部門やシニア・マネジメントに報告される日次レポートその他の経営情報により、社内手続きに基づいて承認されたリミット内であるかどうかモニタリングされます。
VaR
VaRは、株価、金利、クレジット・スプレッド、為替レート、コモディティ価格とこれらのボラティリティや相関を含む市場要因の不利な動きにより発生しうる損失額を計測するものです。
VaRメソドロジーの前提
野村は、グループ全体のトレーディングに関するVaRの計測にあたり、グローバルに実装された単一のVaRモデルを利用しています。野村は、このVaRモデルにおいてヒストリカル・シミュレーション法を採用しており、過去2年間のヒストリカルな市場の動きを、野村の現在のエクスポージャーに適用することにより収益分布を構成します。この分布を利用して、将来発生しうる損失を必要な信頼水準(確率)において推定することができます。市場変動性の変化を反映するようシナリオの重みを付ける手法を採用した、保有期間1日のVaR(以下に掲載)は、リスク管理やリスク・リミットに対するモニタリングに利用されます。市場変動性の変化を過度に反映しないようシナリオの重みを均等にする方法の保有期間10日のVaRは、規制資本の計算に利用されます。保有期間10日のVaRは、実際の10日間における市場変動のヒストリカル・データを利用して計算されます。野村は、これらのVaRの計算に加え、バーゼル2.5規制のもとでVaRを補完するためにSVaRの計算を行っています。SVaRはストレス下にある金融市場のある1年間のデータを利用して計測されます。このSVaRの対象期間は、定期的に調整されますが、SVaRに利用されるヒストリカル・データは、重みを付けていません。
野村のVaRモデルは、個々のヒストリカル・データを利用します。しかし、高品質な個別データが存在しない場合、代理変数ロジックにしたがって当該エクスポージャーに適切なヒストリカル・データを割り当てます。代理変数の妥当性は、内部のリスク管理プロセスを通じて慎重にモニタリングされると共に、VaR計算に利用されるヒストリカル・データの拡大にも継続的に取り組んでおります。
VaRバックテスティング
野村のVaRモデルのパフォーマンスが、目的に合致しているかは、注意深くモニタリングされております。VaR検証の主な方法は、1日分の損失とそれに対応するVaR値の比較(バックテスティング)です。野村は、VaRモデルのバックテスティングを、さまざまな異なるレベルで行っており、バックテスティングの結果はリスク・マネジメント部門が月次でレビューしております。2023年3月31日以前の12か月においては、野村グループの1日分の損失が、(現在の規制資本計算の要件である)信頼水準99%VaRを超過した日が1日ございました。
VaRの限界と利点
VaRの主な利点は、さまざまな資産区分のリスクの合算が可能であることです。しかしながら、リスク計測方法としてのVaRには、リスク計測に利用する際に留意すべき点としてよく知られている限界があります。主な限界のひとつは、過去データに基づいたリスク計測であることです。つまり、目先の市場変動を推測する場合、直近の変動要因に基づく分布および相関から推測することが適していることを暗黙のうちに仮定しております。また、VaRは流動性のある市場におけるリスクの把握に適しておりますが、急に不連続に変動する市場要因の把握には適しておりません。それゆえに、VaRは厳しい事象の影響について、すべてを表しているとは言えません。野村はVaRモデルが有する限界を認識しており、VaRを多様なリスク管理プロセスのひとつの要素としてのみ利用しております。
ストレス・テスト
野村は、VaRや感応度分析がすべてのポートフォリオ・リスクやテイル・リスクを捕捉できないという限界を有することから、市場リスクのストレス・テストを行っております。このストレス・テストは定期的に行われ、ストレス・シナリオはトレーディング・ストラテジーの特性に応じて柔軟に設定されます。野村では、デスク・レベルのみならず、市場変動が野村全体に与える影響を反映するためにグローバルに統一されたシナリオによるグループ・レベルでのストレス・テストも行っております。
ノン・トレーディング・リスク
野村におけるノン・トレーディング・ポートフォリオの主な市場リスクは、取引関係維持やビジネス推進を目的として長期的に保有している投資有価証券にかかるもので、主に日本の株式市場の変動の影響を受けます。このポートフォリオの市場リスクを推定する手法のひとつに、東京証券取引所上場銘柄に対する主要インデックスであるTOPIXの変化に対する市場感応度分析があります。
野村では、TOPIXとビジネス推進を目的として保有する株式の直近90日間の市場価格の変動に基づく回帰分析を行います。野村の試算では、取引関係維持やビジネス推進を目的として保有する株式は、TOPIXが10%変動すると、2022年3月末で約109億円、2023年3月末で約69億円の損失が予想されました。TOPIXは2022年3月末は1,946.40ポイント、2023年3月末は2,003.50ポイントで引けております。このシミュレーションは、TOPIXとの回帰分析により算出された結果です。したがって、投資有価証券の個々の株式の価格変動により、実際の結果はこの試算とは異なる点にご留意ください。
信用リスク管理
信用リスクとは、債務者が、債務不履行、破産、または法的手続き等の結果として、予め合意した条件どおりに契約上の義務を履行できないことにより、損失を被るリスクをいい、オフ・バランス資産にかかる損失を含みます。当該リスクはまた、カウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメント(CVA)により損失を被るリスクを含みます。なお、野村では、グローバルおよびリーガル・エンティティ単位で信用リスクを管理しています。
信用リスク管理体制
野村における信用リスクの計測、モニタリングおよび管理に関する事項は、グローバル・ポリシー、プロシージャーで規定しています。クレジット・リスク・マネジメント(CRM)は、リスク・マネジメント部門内のグローバルな組織として、これらのポリシーやプロシージャーの実装、および維持、管理に責任を負います。これらのポリシーは、グループ・リスク管理委員会、グローバル・リスク・ストラテジック・コミッティの承認を受けて制定され、信用リスク管理の基本方針のほか、クレジット・リミット設定にかかる承認権限を定めています。
信用リスクは、CRMならびに、グローバルおよび地域の各種リスク・コミッティにより管理されており、重大な信用リスクの把握やクレジット・リミットの遵守の徹底のほか、多額の与信の提供に関する承認や、シニア・マネジメントがリスクの集中に関する承認を行う態勢を確保しています。
信用リスク管理プロセス
CRMは、リスク・マネジメント部門内の信用リスクを管理するための組織であり、CROに報告します。野村における信用リスク管理プロセスには、以下を含みます。
・ カウンターパーティの債務不履行の可能性の評価
・ すべてのアクティブなカウンターパーティに対する内部格付の付与
・ 与信の供与およびクレジット・リミットの設定に関する承認
・ 時価および将来のポテンシャル・エクスポージャーの計測、モニタリングおよび管理
・ 契約書における信用リスクに関する条件の設定
・ 一括清算、担保徴求およびヘッジを含む適切な信用リスク削減手法の活用
信用リスク管理の対象には、カウンターパーティとの取引に加えて、ローン、プライベート・エクイティ投資、ファンド投資、投資有価証券のほか、信用リスク管理が必要と考えられる各種の債券や株式商品を含みます。
カウンターパーティの信用力の評価は、対象先の事業環境、競争力、経営陣や財務面での強みや柔軟性に関する詳細なデュー・ディリジェンスや分析に基づき行います。また、クレジット・アナリストは、対象先の組織体制や、明示的なまたは暗黙の信用補完も考慮します。なお、CRMは、カウンターパーティのみでなく、カウンターパーティ・グループ単位でも信用リスクを評価します。
CRMは、信用分析の結果に基づき、カウンターパーティまたは債務者のデフォルト確率を評価し、格付機関と同様のアルファベット記号や所定の番号を付与します。クレジット・アナリストは、内部格付を付与するとともに、年1回以上、見直しを行う責任を負います。
野村の内部格付制度では、さまざまな格付モデルを使用して、グローバルに一貫性と正確性を確保しています。これらのモデルは、リスク・メソドロジー・グループにより開発され、見直しが行われています。内部格付は、野村におけるカウンターパーティの信用リスク管理における重要な構成要素として、以下のプロセスで幅広く活用されています。
・ 個々のカウンターパーティまたはカウンターパーティ・グループに対して野村が許容するカウンターパー ティ・クレジット・リスクの上限額の設定(クレジット・リミットの設定)
・ クレジット・リミット設定の承認権限の委譲に係る基準額の決定(テナーを含む)
・ クレジット・レビュー(クレジット・リミットの見直し)の頻度の決定
・ カウンターパーティ・クレジット・リスクに関する野村のシニア・マネジメント向けの報告
・ カウンターパーティ・クレジット・リスクに関する社外ステークホルダー向けの報告
信用リスク管理部署(CRCU)はリスク・モデル・バリデーション・グループ内に設置されており、CRMから独立した立場で、野村の内部格付制度に関する検証が適切に実施される体制を確保し、制度に問題があればその速やかな解決のために、シニア・マネジメントに報告します。CRCUは、内部格付制度が正確、かつリスクを予知できるものであることを確認し、シニア・マネジメントに対して定期的に制度に関する報告を行います。
野村は、規制自己資本を算出するための信用リスク・アセットの計算において、2011年3月より基礎的内部格付手法を採用しています。なお、信用リスク・アセットの計算において、重要性の低い一部のビジネスまたは資産については、標準的手法を採用しています。
内部格付はデフォルト確率(PD)と紐付けされ、信用リスク・アセット額算出に使用されています。PDは毎年リスク・メソドロジー・グループによって推計され、CRCUによるその保守性のチェックと使用されたPDのバックテストを通じ検証されています。
クレジット・リミット/リスク計測
内部格付は、カウンターパーティに対してクレジット・リミットを設定するために必要不可欠なものです。また、野村のクレジット・リミットの枠組みは、リスク・アペタイトに沿って、適切に信用リスクを取ることができるように設計されています。グローバルのクレジット・ポリシーでは、内部格付に基づき、個々のカウンターパーティ・グループに対して設定できるクレジット・リミットおよびテナーの上限を定めた承認権限の表を定めています。
野村では、カウンターパーティ・エクスポージャーは、主にデリバティブ取引、証券貸借取引(総称して「デリバティブ等取引」)により発生しています。カウンターパーティに対して発生するクレジット・エクスポージャーは、個々のカウンターパーティの信用力の分析に基づき設定するクレジット・リミットにより管理しています。信用リスクは、設定したクレジット・リミットによるクレジット・エクスポージャーのモニタリングや、カウンターパーティの信用力に関する継続的なモニタリングを通して、日次で管理しています。特定のカウンターパーティ、セクター、産業または国に対する野村のリスク・アペタイトを変更させるような状況下では、その内容、程度に応じて、内部格付やクレジット・リミットの変更を行います。
野村のグローバル・クレジット・マネジメント・システムには、カウンターパーティに対するクレジット・リミットおよびクレジット・エクスポージャーが記録されています。これにより、CRMは、クレジット・リミットの使用状況を把握、監視、管理し、リミット超過が発生した場合、適切に報告を行う態勢を確保しています。
野村では、デリバティブ等取引については、主に所定の信頼水準でのポテンシャル・エクスポージャーを計測するモンテ・カルロ・シミュレーション・モデルで信用リスクを計算しています。信用リスク管理に使用されるエクスポージャー計測モデルは、2012年12月末より、期待エクスポージャー方式による連結自己資本規制比率の算出にも利用されています。なお、ローンおよびローン・コミットメントは、使用分および未使用分の双方について、計測およびモニタリングを行っています。
ロング・ウェイ・リスク
ロング・ウェイ・リスクは、カウンターパーティに対するエクスポージャーが、当該カウンターパーティの信用力の悪化と高い相関関係にある場合に発生するリスクをいいます。野村は、ロング・ウェイ・リスクを管理するためのグローバルのポリシーを設置しています。また、ポートフォリオのロング・ウェイ・リスクの評価ではストレス・テストも活用し、クレジット・エクスポージャーや規制自己資本について必要に応じて調整を行っています。
ストレス・テスト
ストレス・テストは、野村の信用リスク管理において必要不可欠であり、定期的に実施するストレス・テストにより、カウンターパーティ、セクター、および地域ごとの信用リスクの評価を行っています。なお、ストレス・テストには、リスク・ファクター、デフォルト確率または格付遷移に一定のストレスを与えることでリスクの集中度合いを確認するテストも含まれます。
リスク削減手法
野村では、信用リスク管理において、金融商品、契約書、さらに一般的な取引慣行を活用しています。野村は、多くのカウンターパーティとの間で、国際スワップデリバティブ協会の基本契約書、またはそれに準ずる契約書(総称して「マスター・ネッティング契約」)を締結しています。マスター・ネッティング契約を締結することで、債権、債務を相殺し、カウンターパーティのデフォルトにより発生する潜在的な損失額を減少させています。また、信用リスクをさらに削減するため、担保契約も活用し、取引開始時、またはエクスポージャーの水準、格付の変更、もしくはその他の事由が発生した際に、カウンターパーティから担保を受領できるようにしています。
デリバティブ等取引における与信相当額
以下は、2023年3月末における野村のトレーディング目的のデリバティブ等取引における与信相当額になります。カウンターパーティの信用格付と満期までの年限ごとに公正価値で表示しており、これらの信用格付は野村のCRMが付与した内部格付です。
(1)同一のカウンターパーティとのデリバティブ等取引の異なる満期の債権、債務の相殺額を表示しています。また、同一のカウンターパーティとの同一の満期の取引については、債権、債務の相殺後の金額を各年限の欄に表示しています。なお、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」および編纂書815に基づき、デリバティブ等取引にかかる現金担保による相殺効果も勘案されています。
(2)「その他」は、無格付のカウンターパーティおよび特定のカウンターパーティを対象としない、ポートフォリオ・レベルでの評価調整を含んでいます。
(3)受入担保額がデリバティブ等取引の公正価値の合計を上回っている場合、野村の与信相当額を適切に表示しないためゼロと表記しております。
カントリー・リスク
野村では、カントリー・リスクを、カウンターパーティや発行体に影響を及ぼし、金融債務の履行を不可能にさせるような、ある国特有のカントリー・イベント(政治、経済、法制度にかかるイベント等)に起因した損失発生の可能性と定義しています。野村において、カントリー・リスク管理の枠組みは、その他のリスク管理の枠組みを補完する役割を果たしていますが、この枠組みは、特定国に対するクレジット・エクスポージャーの集中を制限するためのカントリー・リミット、カントリー・レーティング、さらに役割分担や承認権限およびその委任等について定めたカントリー・リスク管理のポリシーやプロシージャーなど多数の管理ツールで構成されています。
野村のクレジット・ポートフォリオは、国別に十分に分散されており、集中がみられるのは、高格付の国のみとなっています。エクスポージャー残高の上位10か国の内訳は、以下のとおりです。
(1) 上表には、2023年3月末時点のカントリー・エクスポージャーの上位10か国を記載しています。カントリー・エクスポージャーは、カウンターパーティ・エクスポージャーとインベントリー・エクスポージャーを合算して算出します。
- カウンターパーティ・エクスポージャーには、現金・現金同等物、清算参加者として当社から中央清算機関に預託される清算基金・当初証拠金の残高、デリバティブ取引および有価証券貸借取引の公正価値(法的に有効な担保契約に基づく担保考慮後)、引当金考慮後のコミットメント総額の公正価値が含まれます。
- インベントリー・エクスポージャーには、債券、株式、エクイティ・デリバティブ、クレジット・デリバティブの公正価値が含まれ、ロング・ポジションとショート・ポジションをネットしたものとなっています。
ロシア・ウクライナ紛争
野村は2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナやロシア経済、その他の金融市場への影響をモニタリングしてきました。2023年3月末時点における、ウクライナとロシアに対する野村の直接的なエクスポージャーは限定的です。
オペレーショナル・リスク管理
野村はオペレーショナル・リスクを、内部プロセス・システム・役職員の行動が不適切であること、機能しないこと、もしくは外生的事象から生じる財務上の損失、または法令諸規則の違反や野村グループの評判の悪化といった非財務的影響を被るリスクと定義しています。オペレーショナル・リスクには、野村グループの非財務リスク分類に定義されているコンプライアンス、リーガル、IT およびサイバーセキュリティ、不正、外部委託先に関わるリスクその他の非財務リスクが含まれます。この定義は、戦略リスク(経営陣の不適切な意思決定により損失を被るリスク)およびレピュテーショナル・リスクを含みませんが、上記オペレーショナル・リスクの顕在化の結果として野村グループ各社の評判の悪化に至ることもあるため、オペレーショナル・リスクとレピュテーショナル・リスクは密接に関連します。
野村におけるオペレーショナル・リスク管理の枠組み
野村は、オペレーショナル・リスクの特定、評価、管理、モニタリング、報告が可能となるオペレーショナル・リスク管理の枠組みを整備しております。経営会議より委任を受けたグループ・リスク管理委員会がこの枠組みに基づくオペレーショナル・リスク管理全般を監督しています。オペレーショナル・リスク管理の枠組みは、以下のように構成されております。
管理の枠組みの基盤
・ ポリシー・フレームワークの構築と維持:オペレーショナル・リスク管理に関して定められた各種基本的事項をポリシー等として明文化します。
・ 研修および理解の促進:オペレーショナル・リスク管理について、野村内の認識を高めるための取組みです。
主要な管理活動
・ オペレーショナル・リスク事象等の報告:オペレーショナル・リスクに起因して損失または利益、もしくはその他の影響が発生した、あるいは発生する可能性があった事件および事故、あるいは他社事例についての情報を収集・報告するプロセスです。
・ RCSA(Risk & Control Self Assessment、リスクとコントロールの自己評価):自らの業務におけるオペレーショナル・リスクや、リスク削減のために導入されているコントロールを特定、評価し、更なるリスク削減に向けた対応策を策定するために、ビジネス・ユニットが用いるプロセスです。オペレーショナル・リスク管理部署は、RCSAプロセスを構築し、ビジネス・ユニットへの導入を支援します。
・ KRI(Key Risk Indicator、リスク指標):オペレーショナル・リスクにかかる主要な計数の収集と監視を行い、予め定めた水準を超えた場合には必要な対応を行うプロセスです。
・ シナリオ分析 :テール・リスク(低頻度大規模損失が発生する可能性)を評価し、必要に応じて統制の改善を行うプロセスです。
管理活動結果の活用
・ 分析および報告:オペレーショナル・リスク管理部署の主要な役割として、ビジネス・ユニットからもたらされるオペレーショナル・リスク情報について事実確認や原因分析を行ったうえで経営陣等へ報告を行います。
・ 所要資本の計算と配賦:バーゼル規制および地域規制当局の要件に基づき、オペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本を計算しております。
オペレーショナル・リスクの所要自己資本額計算
野村は、金融庁告示に定められた粗利益配分手法によりオペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本額を算出しております。粗利益配分手法では、業務区分に配分した粗利益に金融庁に定められた一定の掛目を乗じたものの過去3年間の平均値を計算し、オペレーショナル・リスク相当額としております。
野村では、所要自己資本額を算出する際に用いる粗利益として、連結ベースの金融費用控除後の収益を用います。ただし、一部の子会社については、売上総利益を粗利益として用いております。これら粗利益を、管理会計上のセグメント情報を用いて、下表の業務区分に配分します。
・ 各業務区分に配分された金融費用控除後の収益額と、上表のとおり各区分に設定された掛目をそれぞれ乗じることにより「業務区分配分値」を算出します。いずれの業務区分にも配分されない収益額については18%を乗じ、「配分不能値」を算出します。
・ これらの業務区分配分値と配分不能値をすべての業務区分について合計することにより、「年間合計値」を算出します。この年間合計値を直近3年間について計算し、それらの平均値がオペレーショナル・リスクに相当する所要自己資本の額となります。年間合計値が負の場合にはゼロとして平均値を算出します。業務区分配分値を合計する際、ある業務区分配分値が負であった場合には、他の区分における正の業務区分配分値と相殺します。ただし、配分不能値が負の場合には、相殺は行わず、ゼロとして取り扱います。
・ オペレーショナル・リスク所要自己資本額の計算基準時点は3月末と9月末であり、年2回計算されます。
モデル・リスク管理
モデル・リスクとは、モデルの誤謬、又はモデルの不正確もしくは不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定を誤るリスク、又は顧客からの信頼低下を引き起こすリスクをいいます。
野村では、モデル・リスクを効果的に管理するため、モデルの開発、管理、検証、承認、使用、継続的モニタリング、定期レビューを監督するモデル・リスク管理の枠組みを整備しています。また、規程および実施手続において、当社のリスク・アペタイトに照らしたモデル・リスクのモニタリングをはじめとする、モデルの開発、検証、使用、および維持管理に至るまでの各段階における各種手続きの要件を定めています。
新規モデルの導入および承認済みモデルの重要な変更にあたっては、正式使用の前に、モデル開発チームから独立したチームによる検証を受ける必要があります。モデル変更の重要度の判定基準は、モデル・リスク管理の実施手続に定めています。独立検証において、モデル検証チームは、複数の分析を通しモデルの適切性を評価、モデルの限界を特定し、モデル・リスクの定量化を図ります。モデル・リスクは、モデルの承認時にモデルの使用制限、モデル・リザーブ、資本調整等の条件を適用することにより低減されます。モデルが適切であることを継続的に評価するため、承認されたモデルに対して定期検証手続き、およびモデルのパフォーマンスのモニタリングを実施しています。モデル・リスク管理を担う委員会において、全体の監督、精査、ガバナンス、検証済みモデルの最終承認を行います。
リスク計測と管理手法
リミット管理の枠組み
堅牢なリミット・モニタリングおよび管理を構築することは、リスクの適切なモニタリングおよび管理の要となります。リミット管理の枠組みにおいては、適正な水準の権限を有する組織階層においてリミットの承認が行われるように、エスカレーションの方針が策定されます。リスク・マネジメント部門およびファイナンス部門は、リミットの承認、モニタリング、必要に応じて実施する報告を含む、日々のリミット管理の運用に責任を有します。ビジネス部門は、当該リミットを遵守する責任を有します。リミットは、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスクなどの定量的指標に適用されます。
ニュー・ビジネス・リスク管理
ニュー・ビジネス承認プロセスは、野村にとっての新規ビジネスに取り組む際の最初の手続きであり、経営陣の意思決定を支援し、新商品および案件に関連して確実にリスクを認識し適切な管理を行うためのものです。ニュー・ビジネス承認プロセスは以下のとおり2つのプロセスで構成されます。
(1)案件の承認プロセス:案件のレビューを実施し、意思決定をするプロセスであり、権限を有する各種の案件会議が設置されます。遵守されない場合の責任についても文書として明確に定められています。
(2)新商品承認プロセス:ビジネス部門のスポンサーが新商品の取扱を申請し、関連部署からさまざまな意見を得ることができるプロセスです。新商品の組成および取引を実施した結果生じるあらゆるリスクを横断的に把握し、分析することを目的とします。
野村は、市場環境におけるさまざまな変化に適切に対応するため、今後もニュー・ビジネス承認プロセスを通じて、健全かつ実効性のある管理を継続して参ります。
ストレス・テスト
野村グループでは、さまざまな階層におけるリスクを網羅し、さまざまなストレス期間、ショック水準、蓋然性、およびメソドロジーを使ったストレス・テストを実施しております。ストレス・テストの結果は、資本計画、資本の十分性評価、流動性の十分性評価、再建・破綻処理計画の策定、リスク・アペタイトの適切性の評価、および通常のリスク管理において利用します。
ストレス・テストは定期的に実施する他、外部環境、または野村のリスク・プロファイルに大きな変化が生じた場合には必要に応じ行います。ストレス・テストの結果は、ストレス・テストの種類に応じて、詳細な分析と共にシニア・マネジメントおよび他のステークホルダーへ適切に報告します。
ストレス・テストの手法は、大きく以下に分類されます。
・ 感応度分析は、他のリスク・モデルでは計測が容易でないリスクを補足するために、1種類、ないしは関連する2種類のリスク・ファクター(株価、または株価とそのボラティリティ等)における市場変動の影響を計測する目的で行われます。
・ シナリオ分析は、複数の資産区分およびリスク区分にわたり定義されたイベントによる影響を計量化する目的で利用されます。また野村のさまざまな階層に対してストレス・テストを行う際の主たる方法として利用されます。
シナリオ分析の実施例としては、以下のものがあります。
・ 事業環境とビジネスのリスク・プロファイルや、国内外の経済環境とその見通しを勘案したストレス・シナリオを複数策定し、資本充実度と手許流動性に関するリスク・アペタイトの妥当性の検証。
・ 少なくとも四半期に一度実施する、野村グループの資本充実を評価するための、蓋然性が一定程度ある厳しいシナリオを採用したストレス・テスト。
・ 少なくとも年に一度実施する、リバース・ストレス・テスト(当社の事業継続が困難となる状況を引き起こす可能性のある脆弱性がどこにあり、そのような状況でいかに対応するかを分析し、当該分析の結果を検証するプロセス)。
野村グループでは、ストレス・テストを、グループ全体のガバナンスの重要な機能と位置付け、コーポレート機能、ビジネス部門、および経営陣の間の意思疎通をもとに実施し、将来を見据えたリスク管理や、意思決定のプロセスにおいて活用しています。
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「社会からの信頼および株主、お客様をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高める」という経営目標を達成するうえで、コーポレート・ガバナンスの強化を最重要課題の1つと認識し、経営監督の実効性と経営の透明性を確保しつつ、持続的な成長と機動的なグループ経営を追求した体制の強化・充実に取り組んでおります。
当社は、株主、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーの立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みとしての実効性のあるコーポレート・ガバナンスの枠組みを示し、その実現に資することを目的として、「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」を定めております。
「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」は当社ホームページからご覧いただけます。
(https://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/data/cg_guideline.pdf)
また、当社は、野村グループの役員・社員一人ひとりが遵守すべき行動規範として、「野村グループ行動規範」を策定しております。これは、野村グループの役職員が、野村グループ企業理念を具体的な行動に移すための指針となるものであり、あらゆる企業活動を野村グループ行動規範に基づいて実行、その遵守を徹底し、株主のみならず、あらゆるステークホルダーに対する責任を果たすべく努めております。
「野村グループ行動規範」は当社ホームページからご覧いただけます。
(https://www.nomuraholdings.com/jp/company/basic/coc.pdf)
企業統治の体制の概要および当該企業統治の体制を採用する理由
当社は指名委員会等設置会社であり、以下の理由からこれが当社にとって現時点における最適な機関設計であると判断しております。
指名委員会等設置会社は、社外取締役を過半数とする指名・監査・報酬の三委員会を設置し、経営の監督と業務執行の分離による監督機能の強化および透明性の向上を図るとともに、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委任することで意思決定の迅速化が図られる体制です。また、指名委員会等設置会社は、当社が上場するNYSEの上場会社マニュアルに規定されるコーポレート・ガバナンスに関する基準に最も近いものであると考えております。
当社の企業統治の体制の概要は以下のとおりです。
<取締役会および委員会について>経営の監督と業務執行が制度的に分離された指名委員会等設置会社である当社では、取締役会および法定の指名・監査・報酬の三委員会に加え、リスク管理に関して取締役会による監督の深化を目的とする委員会である「リスク委員会」、ならびに社外取締役が当社の事業およびコーポレート・ガバナンスに関する事項について定期的に議論するための「社外取締役会議」を設置しております。
当社の取締役会は、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ることを目的とし、その主たる役割を経営の監督としております。取締役会は、経営の公正性・透明性を確保するとともに、「経営の基本方針」を決定し、当該方針を踏まえたグループCEOその他の会社を経営する執行役の選任および当社の重要な業務執行の決定を行っております。
当社の取締役会は、多角的な視点から活発な議論を行うことができるよう、性別、国際性および職歴等の多様性と、財務、企業経営、法律等の専門性を備えた人員で構成することを原則としております。また、その監督機能を適切に発揮するため、社外取締役を過半とすることを原則としております。
当社の現在の取締役は、全13名のうち9名が社外取締役であり、そのうち外国人取締役が4名、女性取締役が3名という多様な人員構成となっております。また、企業経営、国際ビジネス、金融業、会計・財務、法制度・規制、リスク管理を含む内部統制、デジタル(IT)・DXおよびサステナビリティなどの専門性や経験を備えた人員構成となっております。特に、米国ビジネスの拡大を受けて、米国の金融業界、マクロ経済、規制環境に精通する取締役を選任しております。さらに、取締役の地理的分散を考慮し、アジアから金融に精通する取締役を選任するとともに、グローバルな経営的知見の重要性に鑑みて、グローバルに事業展開する日本企業の経営者である取締役を選任しております。
当社の取締役会については、執行役を兼務しない取締役を議長とすることで、執行役の業務執行に対する監督に専念できる体制の強化を図っております。また、指名・監査・報酬・リスクの各委員会については、社外取締役を委員長とすることで、業務執行からの独立性を一層明確にしております。
現在の当社の取締役会および委員会の構成
(提出日現在)
| 役職および氏名 | 委員会 |
| 取締役会長 永井浩二 | 指名委員、報酬委員 |
| 取締役 代表執行役社長グループCEO 奥田健太郎 | - |
| 取締役 代表執行役副社長 中島豊 | - |
| 取締役 小川祥司 | 監査委員(常勤)、リスク委員 |
| 社外取締役 島崎憲明 | 監査委員(委員長)、リスク委員 |
| 社外取締役 石村和彦 | 指名委員(委員長)、報酬委員(委員長) |
| 社外取締役 Laura Simone Unger(ローラ・アンガー) | リスク委員(委員長) |
| 社外取締役 Victor Chu(ビクター・チュー) | 監査委員、リスク委員 |
| 社外取締役 J. Christopher Giancarlo (クリストファー・ジャンカルロ) | リスク委員 |
| 社外取締役 Patricia Mosser(パトリシア・モッサー) | リスク委員 |
| 社外取締役 高原豪久 | 指名委員、報酬委員 |
| 社外取締役 石黒美幸 | リスク委員 |
| 社外取締役 石塚雅博 | 監査委員 |
当社の取締役会は、3か月に1回以上の頻度で2023年月3月期には合計11回開催されております。
2023年3月期における各取締役の取締役会への出席状況
(2023年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2023年3月期) |
| 取締役会長 永井浩二 | 11回/11回 |
| 取締役 代表執行役社長グループCEO 奥田健太郎 | 11回/11回 |
| 取締役 代表執行役副社長 寺口智之(※) | 11回/11回 |
| 取締役 小川祥司 | 11回/11回 |
| 社外取締役 島崎憲明 | 11回/11回 |
| 社外取締役 園マリ(※) | 11回/11回 |
| 社外取締役 石村和彦 | 11回/11回 |
| 社外取締役 Laura Simone Unger (ローラ・アンガー) | 11回/11回 |
| 社外取締役 Victor Chu(ビクター・チュー) | 10回/11回 |
| 社外取締役 J. Christopher Giancarlo (クリストファー・ジャンカルロ) | 11回/11回 |
| 社外取締役 Patricia Mosser(パトリシア・モッサー) | 10回/11回 |
| 社外取締役 高原豪久 | 11回/11回 |
(※)取締役 代表執行役副社長 寺口智之および社外取締役 園マリは、2023年6月27日開催の当社定時株主総会の終結の時をもって取締役を退任しております。また、寺口智之は2023年3月31日付けで代表執行役副社長を退任し、同年4月1日付けで当社副会長に就任しております。
2023年3月期における当社の取締役会の具体的な検討内容
取締役会では、業務執行全般に加えて、サステナビリティ、リスク・マネジメント等の特定の領域についての定期的な報告を実施しました。また、中長期経営戦略、各部門・カンパニーごとの戦略、情報開示、IT戦略等の重要課題についても議論を実施しました。その概要は以下のとおりです。
| マクロ経済変動に対する影響分析 | マクロ経済変動に対する影響分析、外部環境を踏まえたビジネスの事業戦略面での対応、当社にとってのビジネスチャンス、パラダイムシフトにおけるビジネスの課題・機会等 |
| 株主との対話実施 | リスク管理高度化に関する機関投資家との対話状況、今期の機関投資家株主および議決権行使助言会社との対話 |
| 中長期的な経営戦略 | インベスター・デー、経営目標作成にあたってのポイント、営業部門の戦略・KPI、グループ会社におけるリスクカルチャーの浸透のための取組み等 |
| カルチャー醸成を促進するための施策 | カルチャー醸成を促進するための施策、グループとして求める人材・組織像の特定と当社のビジョン等との関連性の強化、求める人材・組織づくりへの取組みを促す仕組み等 |
| 情報開示の高度化 | 非財務情報を中心とした情報開示の拡充を企図した情報開示委員会の開催頻度の見直しや、法定開示・任意開示における主な取組み |
| インベストメント・マネジメント部門の足元の状況および戦略 | インベストメント・マネジメント部門の足元の状況・戦略、パーパスの明確化、カルチャーやオペレーションの標準化、プロダクトガバナンスの取組み等 |
| デジタル・カンパニーの足元の状況および戦略 | デジタル・カンパニーの足元の状況・戦略、顧客/社員のITリテラシー向上について、デジタルサービスにおける差別化ポイント、AIの活用等 |
| 政策保有株式検討委員会報告 | 政策保有株式検討委員会の審議状況、政策保有株式の保有方針等 |
| 健康経営およびNomura Ways of Working(新しい働き方) | 健康経営およびNomura Ways of Working(新しい働き方)、パーパシズムとエンゲージメントの考え方、社員のキャリアパス支援、メンタルヘルス対策の現状と今後の進め方、変革の遂行を担うチェンジネットワーク等 |
| 2022年株主総会の議決権行使状況分析 | 2022年総会の議決権行使状況分析 |
| IT戦略 | IT戦略・課題、コスト管理、クラウドの活用、サイバーセキュリティ対策、DX戦略のタイムライン等 |
| サステナビリティ関連報告 | サステナビリティ関連報告、サステナビリティに関する理念・戦略、気候変動関連の開示、ビジネスへの影響等 |
| コンテンツ・カンパニー関連報告 | コンテンツ・カンパニー関連報告、予算等 |
| インベストメント・バンキングにおけるサステナビリティ関連ビジネス | インベストメント・バンキングにおけるサステナビリティ関連ビジネス、ESG投資の規制、ビジネスの競争環境、足元の環境等 |
| 営業部門の生産性 | 営業部門の生産性、本社からのサポート体制と今後の対策、コスト削減、収益変化要因の評価方策、顧客との接触頻度・方法、業務プロセスの分析等 |
| 来期グループ予算 | 来期グループ予算、予算策定のプロセス、ビジネスへの投資、経営目標、各ビジネスラインのROE目標、ビジネスの現状、コスト・インカム・レシオ等 |
| 行動規範の改定 | 行動規範の改定 |
| 取締役会評価に関する報告 | 取締役会評価(※) |
(※)取締役会評価については社外取締役会議においても議論を行いました。なお、最新の取締役会評価の結果については、当社「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」で開示しております。
(URL)https://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/data/cg_report.pdf
当社の各委員会の役割および活動状況は以下のとおりです。
① 指名委員会
株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。指名委員会においては、グループCEOの後継者計画について、今後の経営環境を踏まえて求められる資質や候補者案について議論を行うなどガバナンスの更なる発展に取り組んでおります。
当社の指名委員会は、1年に1回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2023年3月期には合計8回開催されております。
2023年3月期における各取締役の指名委員会への出席状況
(2023年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2023年3月期) | |
| 指名委員(委員長) | 社外取締役 石村和彦 | 8回/8回 |
| 指名委員 | 社外取締役 高原豪久 | 8回/8回 |
| 指名委員 | 取締役会長(非業務執行) 永井浩二 | 8回/8回 |
2023年3月期における当社の指名委員会の具体的な検討内容
| 主たる検討内容 | |
| グループCEOの後継者計画 | ・グループCEOの後継者計画について議論 ・経営環境等を踏まえたグループCEOに求められる資質や後継者計画の主要なプロセスについて執行側より委員会に報告し、議論 |
| 社外取締役候補者の選定 | ・社外取締役候補者の選定について議論 ・選定にあたって、以下の観点を考慮 ・性別、国際性および職歴等の観点を踏まえて多様性を備えた構成となること ・経営監督機能を適切に発揮すべく、社外取締役が過半数となること ・社外取締役の独立性基準を原則として満たす者であること ・財務、企業経営、法律等の専門家を含むこと ・兼任数の基準(社外取締役は当社の他に原則3社まで)を満たすこと ・2023年3月期において複数回議論を重ねた結果、新任の社外取締役候補者として石黒美幸氏および石塚雅博氏を選定することを決定 |
| 社内取締役候補者の選定 | ・社内取締役候補者の選定について議論 ・選定にあたって、以下の観点を考慮 ・取締役会が会社の業務執行の状況を把握することを容易にし、もって取締役会の経営監督の実効性確保に資するため、グループCEOを含む執行役複数名が取締役を兼ねることを原則とすること ・監査委員会による監査の実効性を高めるため、取締役会が、野村グループの業務に精通した社内出身の執行役を兼務しない取締役を常勤監査委員または監査特命取締役として選定することとしていること ・2023年3月期において、執行役を兼ねる新任の社内取締役候補者として代表執行役副社長 中島豊を選定することを決定 |
② 監査委員会
取締役および執行役の職務の執行の監査ならびに監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行う法定の機関であり、取締役会で4名の委員を選定しております。すべての委員は、米国企業改革法に基づく独立性の要件を満たしております。また、島崎憲明および石塚雅博は同法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有するものであります。
2023年3月期における各取締役の監査委員会への出席状況
(2023年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2023年3月期) | |
| 監査委員(委員長) | 社外取締役 島崎憲明 | 15回/15回 |
| 監査委員 | 社外取締役 園マリ(※) | 15回/15回 |
| 監査委員 | 社外取締役 Victor Chu(ビクター・チュー) | 10回/10回 (就任後の開催回数) |
| 監査委員(常勤) | 取締役(非業務執行) 小川祥司 | 15回/15回 |
(※)社外取締役 園マリは、2023年6月27日開催の当社定時株主総会の終結の時をもって退任しております。
同定時株主総会において、石塚雅博が社外取締役に就任し、監査委員を務めております。
当社の監査委員会の活動状況については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](3)[監査の状況]」に記載のとおりです。
③ 報酬委員会
取締役および執行役の報酬等の内容にかかる決定に関する方針ならびに個人別の報酬等の内容を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。
当社の報酬委員会は、1年に1回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2023年3月期には合計7回開催されております。
2023年3月期における各取締役の報酬委員会への出席状況
(2023年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2023年3月期) | |
| 報酬委員(委員長) | 社外取締役 石村和彦 | 7回/7回 |
| 報酬委員 | 社外取締役 高原豪久 | 7回/7回 |
| 報酬委員 | 取締役会長(非業務執行) 永井浩二 | 7回/7回 |
当社の報酬委員会の具体的な検討内容については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](4)[役員の報酬等]」に記載のとおりです。
④ リスク委員会
取締役会による野村グループのリスク管理の監督を補助し、リスク管理の高度化に資することを目的とする任意の機関であり、取締役会で7名の委員を選定しております。
当社のリスク委員会は、1年に4回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2023年3月期には合計5回開催されております。
2023年3月期における各取締役のリスク委員会への出席状況
(2023年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2023年3月期) | |
| リスク委員(委員長) | 社外取締役 Laura Simone Unger (ローラ・アンガー) | 5回/5回 |
| リスク委員 | 社外取締役 島崎憲明 | 5回/5回 |
| リスク委員 | 社外取締役 Victor Chu (ビクター・チュー) | 4回/5回 |
| リスク委員 | 社外取締役 J. Christopher Giancarlo (クリストファー・ジャンカルロ) | 5回/5回 |
| リスク委員 | 社外取締役 Patricia Mosser (パトリシア・モッサー) | 4回/5回 |
| リスク委員 | 取締役(非業務執行) 小川祥司 | 5回/5回 |
(※)2023年6月27日開催の当社定時株主総会において、石黒美幸が社外取締役に就任し、リスク委員を務めております。
2023年3月期における当社のリスク委員会の具体的な検討内容
| 主たる検討内容 | |
| リスク・アペタイト | リスク・アペタイトの定期的な見直し、リスク・アペタイトに関する規程の制定・改定 |
| リスク管理の高度化・強化 | 資金流動性リスク、オペレーショナル・リスク等のリスク管理の高度化や強化に向けた取組み |
| トップリスク/エマージングリスク | 当社の経営戦略や財務面に重大な影響を及ぼす可能性の高いリスクテーマに関するアップデート |
| マクロ経済およびマーケット動向 | インフレ、金利上昇および円安の影響、大手金融機関の破綻等による影響 |
| ストレス・テスト | 地政学リスクの高まり等を想定したストレス・シナリオの検証 |
(※)上記検討内容を踏まえた当社のリスク管理の詳細については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](1)[コーポレート・ガバナンスの概要]リスク管理体制の整備」をご参照ください。
<業務執行の仕組み>当社は指名委員会等設置会社であることから、取締役会は業務執行の決定の権限を法律で認められる限りにおいて執行役に対して原則として委任し、執行役が当社の業務を機動的に執行する体制をとっております。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、特に重要な業務執行については「経営会議」、「グループ・リスク管理委員会」、「野村グループ・コンダクト委員会」、「サステナビリティ委員会」、「内部統制委員会」といった会議体における審議を経て決定することとしております。また、経営会議等での審議状況について、取締役会は各会議体から3か月に1回以上の報告を受けることとしております。
各会議体の役割および構成については以下のとおりです。
① 経営会議
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、執行役および代表執行役社長 グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループの経営戦略、事業計画および予算ならびに経営資源の配分をはじめとする、野村グループの経営にかかる重要事項について審議・決定しております。
② グループ・リスク管理委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEO以外の代表執行役のうち議長が指名する者、コンプライアンス統括責任者(CCO)、リスク管理統括責任者(CRO)、財務統括責任者(CFO)、部門長(ビジネスを行う部門の責任者)、その他議長が指名する者から構成される会議体であり、経営会議からの委任を受けて、野村グループの統合リスク管理に関する重要事項について審議・決定しております。
③ 野村グループ・コンダクト委員会
執行役副社長 飯山俊康を委員長とし、コンプライアンス統括責任者(CCO)ならびに各地域および主要部門の執行役員から構成される会議体であり、野村グループ行動規範の浸透ならびに野村グループにおけるコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理について審議しております。
④ サステナビリティ委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、その他代表執行役社長 グループCEOが指名する経営会議の構成員を含む会議体であり、野村グループにおけるサステナビリティ推進にかかる戦略等について審議・決定しております。
⑤ 内部統制委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEOが指名する者、監査委員会が選定する監査委員である島崎憲明、および取締役会が選定する取締役であり常勤監査委員である小川祥司から構成される会議体であり、野村グループの業務にかかる内部統制、監査活動およびリスク管理等に関する重要事項について審議しております。
また、高度化・専門化する金融業務における業務執行体制の一層の強化を図るため、執行役から業務執行権限の一部の委任を受け、個々の担当分野のビジネス、オペレーションに専念する役割を担う「執行役員」を設置しております。
コーポレート・ガバナンス体制
(提出日現在)

内部統制システム整備の状況および提出会社の子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況
当社は、経営の透明性・効率性の確保、法令・諸規則の遵守、リスク管理、事業・財務報告の信頼性の確保、適時・適切な情報開示の促進といった観点から、グループ全体にわたる企業行動の適正化を推進するための内部統制システムの強化・充実に努めております。
当社における内部統制システムは、取締役会において、「野村ホールディングスにおける業務の適正を確保するための体制」として決議しており、当該体制にはグループとしての内部統制システムの整備に関する事項も含まれております。また、野村グループ各社においても、当社の決議内容を踏まえ、それぞれ自社の実情に合った内部統制システムの整備を行っております。
■内部統制システムの構造

取締役の定数
当社の取締役は20名以内とする旨を定款に定めております。
取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う旨を定款に定めております。
剰余金の配当等の決定機関
当社は、経営環境の変化に機動的に対応した株主への利益還元や資本政策を遂行できるよう、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。
取締役および執行役の責任免除
当社は、取締役および執行役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮することができるよう、会社法第426条第1項の規定により、会社法第423条第1項に定める取締役(取締役であった者を含む。)および執行役(執行役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。
責任限定契約
当社は、取締役 小川祥司および社外取締役全員と会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく責任の限度額は、2,000万円または法令が規定する額のいずれか高い額となります。
役員等賠償責任保険契約
当社は、当社およびその子会社等の取締役、執行役、執行役員、監査役および幹部社員等を被保険者として、会社法第430条の3第1項に定める役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しております。当該保険契約では、被保険者が会社の役員等の地位に基づき行った行為(不作為を含む。)に起因して損害賠償請求がなされたことにより被保険者が被る損害賠償金や訴訟費用等が塡補されることとなり、被保険者のすべての保険料を当社が全額負担しております。ただし、役員等個人の故意かつ詐欺的もしくは不誠実な行為に起因するもの等一定の免責事由があります。
種類株式について
資金調達の選択肢を可能な限り広く確保し、将来にわたり経済やビジネスの環境変化に迅速に対応していくことが可能となるよう、当社は、普通株式のほか、無議決権優先株式を発行できる旨を定款に定めております。優先株式の単元株式数は普通株式と同数の100株であり、優先株主は、普通株主に先立ち優先配当金を受けている限り、すべての事項につき株主総会において議決権を行使することができません。
なお、提出日現在、現に発行している株式は普通株式のみであります。
リスク管理体制の整備
リスク・マネジメント
野村の事業活動は、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、その他外生的事象に起因するリスクなどのさまざまなリスクに晒されております。野村では、財務の健全性を確保し、企業価値を維持・向上するために、これらのリスクを総合的にコントロールし、モニタリングし、報告するためのリスク管理体制を構築しております。
グローバル・リスク管理体制
リスク管理
野村では、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、モデル・リスクなど業務運営によって生じる不測の損失により当グループの資本が毀損する可能性、および自社の信用力の低下または市場環境の悪化により円滑な資金調達ができなくなるという資金流動性リスク、さらに収益環境の悪化または業務運営の効率性もしくは有効性の低下により収益がコストをカバーできなくなるという戦略リスクなどを管理しております。
そのうえで、野村では全社員が自らリスク管理を行う主体であると認識し、能動的にリスク管理に取り組むことを基本方針としております。野村では、組織内の全階層において積極的なリスク管理がなされるよう推進し、かつリスクをリスク・アペタイトの範囲内に抑制するよう努めております。野村のリスク管理の枠組みはリスク・アペタイト、リスク管理のガバナンスおよび監督、財務的経営資源の管理、すべてのリスク・カテゴリーの管理、およびリスクの計測および管理プロセスで構成されています。加えて、米国顧客との取引に関する事案を受けて、野村は、リスク・マネジメント・フレームワークの改善に向けた見直しを行っています。これら主要な項目については次に詳述いたします。
リスク・マネジメントを強化する施策の一部として、執行から独立して重要なリスクについて議論するためのリスク委員会を2021年10月29日に正式に設立しております。リスク委員会は、(1)リスク・アペタイト・ステートメントに対する同意の付与、(2)リスク・マネジメント・フレームワークの主要設計に対する同意の付与、(3)リスク環境の分析・検証結果および今後の予測、(4)リスク管理全般の執行状況および中長期的なリスク戦略を審議することにより、取締役会による監督を補助することになります。
野村は、三つの防衛線による管理体制により、リスク管理を行うこととしております。
・ 第一の防衛線: 財務リスクについてはフロント部署の役職員、非財務リスクについては全ての役職員が、リスク管理に一義的な責任を負い、業務遂行から生じるリスクに伴う結果のみならず、そのリスクを許容することがリスク・アペタイトに沿っていることの説明責任を負います。
・ 第二の防衛線: リスク管理を行う部署は、第一の防衛線での管理活動をサポート・監視し、取締役および経営陣等へ報告します。また、第一線が自ら策定したリスク管理体制を、独立した立場から評価します。
・ 第三の防衛線: 内部監査部署は、独立した立場からリスク管理に対する検証・評価を行い、改善のための助言を行うと共に、検証・評価結果を監査委員会に報告します。
リスク・アペタイト
野村は、規制上の資本、流動性、業務環境によって決定される制約条件を勘案のうえ、戦略的な目標と事業計画の達成のために許容するリスクの種類および水準を、リスク・アペタイト・ステートメントとして定めています。リスク・アペタイト・ステートメントは、リスク管理統括責任者(CRO)および財務統括責任者(CFO)により提案され、経営会議の承認により決定されます。リスク・アペタイト・ステートメントはその後、執行側からの提案に対して同意を与える権限を有するリスク委員会でさらに審議されます。
リスク・アペタイト・ステートメントには、自己資本充実度と手元流動性、財務リスク、および非財務リスクを含め、当グループの事業遂行により生じうるリスクが記載されています。またリスク・アペタイトの各項目の主管部署は、定期的にモニタリングを行い、違反が発生することがないよう、適切に管理を行うこととしています。
野村のリスク・アペタイト・ステートメントは、経営会議において、少なくとも年一回見直しを実施しております。また、見直しは必要に応じて随時、特に当社の戦略に重大な変更があった場合には必ず実施しております。リスク・アペタイトは、野村のリスク管理体制の基礎をなすものです。
リスク管理の組織体制
野村では、効果的な事業運営とリスク管理のための会議体を設置しています。リスク管理体制は以下の通りです。

取締役会
取締役会は、野村グループの経営の基本方針、その他法令に定められた事項について決定し、取締役および執行役の職務執行状況を監督します。また取締役会は、経営会議規程の制定、改廃について決定する権限を有しております。
リスク委員会
リスク委員会は、取締役会の監督機能を更に強化するための専門監督機関です。執行からの独立性を確保するため、社外取締役を委員長としています。主として下記の事項に関し、取締役会による監督の深化に努め、 グループのリスク管理の高度化に資することを目的とします。
・ リスク・アぺタイト・ステートメントの改廃
・ リスク管理フレームワークの変更
・ リスク環境の分析・検証結果および今後の予測
・ リスク管理全般の執行状況および中長期的なリスク戦略の監督
経営会議
経営資源の有効活用と業務執行の意思統一を図ることにより、野村における経営戦略および経営資源の配分ならびに経営に係る重要事項を審議し、株主価値の増大に努めます。またリスク管理に関する審議事項の決定権限をグループ・リスク管理委員会に委譲しています。経営会議の主要な役割は以下の通りです。
・ 経営資源の配賦-各年度の開始にあたり、経営会議はリスク・ウェイティド・アセットや無担保調達資金等の各種経営資源の配賦や経営資源のリミットの設定を行います。
・ 事業計画-各年度の開始にあたり、経営会議は野村の事業計画や予算を承認します。また、期中における、重要な新規ビジネス、事業計画の変更、予算や経営資源の配賦を承認します。
・ レポーティング-経営会議は経営会議の内容等を取締役会へ報告します。
グループ・リスク管理委員会
業務の健全かつ円滑な運営に資することを目的として、経営会議の委任を受け、野村の統合リスク管理に係る重要事項を審議、決定します。グループ・リスク管理委員会は、野村のリスク・アペタイトに整合した統合リスク管理の枠組みの整備を行います。また、リスク管理の枠組みを整備することを通じて野村のリスク管理を監督します。リスク管理に関する重要な事項その他議長が必要と認める事項について、取締役会および経営会議に報告します。加えて、グループ・リスク管理委員会は、経営会議の委譲を受け、リスク管理規程を策定し、リスク管理の基本方針を含む野村のリスク管理の枠組みを整備しています。
グループ・リスク審査委員会
グループ・リスク審査委員会は、グループ・リスク管理委員会の委任を受け、野村グループの統合リスク管理に係る事項を実務的な観点から審議・決定し、業務の健全かつ円滑な運営に努めております。
トランザクション・プロファイル審査委員会
トランザクション・プロファイル審査委員会は、グループ・リスク管理委員会の委任を受け、野村グループの企業理念、行動規範、リスク・アペタイト・ステートメント、サステナビリティ・ステートメントに照らし、野村グループ全体のレピュテーションの観点から検討が必要な野村グループ各社の取引および顧客等に関する事項を審議し、必要な決定を行います。
アセット・ライアビリティ・コミッティー
アセット・ライアビリティ・コミッティーは、経営会議およびグループ・リスク管理委員会の委任を受け、経営会議が定める野村のリスク・アペタイトに基づきバランス・シート管理体制、財務的経営資源の配賦、流動性管理などを審議します。審議内容や議長が必要と認める事項について、グループ・リスク管理委員会に報告します。
グローバル案件会議
グローバル案件会議は、グループ・リスク審査委員会の委任を受け、経営会議が定める野村のリスク・アペタイトに沿って、個別取引の審議・承認を行い、業務の健全かつ円滑な運営に努めております。
電子取引及びアルゴリズム取引リスク監督委員会
電子取引及びアルゴリズム取引リスク監督委員会は、グループ・リスク審査委員会の委任を受け、当社のホールセール部門における電子取引及びアルゴリズム取引に関するガバナンス、リスク管理及び業務管理の枠組みの開発及び実施に関するすべての事項に責任を負っております。
その他の会議体
グローバル・リスク分析委員会およびモデル・リスク分析委員会は、CROの委任を受け、野村におけるモデルの開発、および管理に関する重要事項の審議・決定を行います。これらの委員会は、新規モデルや既存モデルの大幅な変更の承認など、モデルを管理する上での統制および監督について責任を有し、重要事項の審議や決定について、定期的にCROに報告します。一方、グローバル担保管理運営委員会は、CROの委任を受け、担保集中、流動性、担保再利用、リミットおよびストレス・テストを通じた担保リスク管理について審議または決定を行うほか、野村の担保戦略の方向性を示し、担保の規制要件を確実に遵守します。
リスク管理統括責任者
CROは、リスク・マネジメント部門における全般的な戦略および方針を構築する責任を有します。また、野村のリスク・マネジメント部門を統括し、収益責任を負う部門等から独立した立場で、リスク管理の枠組みの有効性を維持する責任を負います。また、リスク管理の状況について、定期的にグループ・リスク管理委員会へ報告するほか、リスク管理上必要な対応策の実施についてグループ・リスク管理委員会への付議または報告を行います。
財務統括責任者
CFOは、野村の財務戦略を統括します。また、経営会議の委任を受け、流動性管理について執行権限および責任を負います。
その他の責任者
3つの防衛線によるリスク管理に関する基本方針に基づき、オペレーショナル・リスクに責任を負う部署の責任者は、担当するオペレーショナル・リスクについて、適切な管理の枠組みを設置するほか、主導的にリスク・アペタイトを策定する責任を負います。
コンプライアンス統括責任者(CCO)は、CROと協同し、レピュテーショナル・リスクについて、適切な管理の枠組みを設置するほか、主導的にリスク・アペタイトを策定する責任を負います。
リスク・ポリシー管理の枠組み
ガバナンス上必要不可欠なツールの規程や実施手続には、野村のリスク管理を円滑に行うための基本方針、規則、基準や特定のプロセスが定義されております。リスク管理の実務は、これらの規程および実施手続に基づいて運営されています。
モニタリング、報告およびデータ管理
リスクに関する経営情報(マネジメント・インフォメーション)の算出と集計、報告およびモニタリングは、適切なリスク管理体制に不可欠です。マネジメント・インフォメーションの目的は、適切な上申と意思決定、および対応策の策定に資する情報を提供することです。リスク・マネジメント部門およびファイナンス部門は、リスク・アペタイトに対応するポジションの状況に関するマネジメント・インフォメーションを定期的に取りまとめる責任を有します。マネジメント・インフォメーションは、リスク・カテゴリー全般にわたる情報を含み、また各リスクの特定および評価のためのさまざまなリスク管理手法を使用して作成されます。上記両部門は、マネジメント・インフォメーションに関するデータを適切に管理する責任を有します。
リスク管理高度化プログラム
米国プライム・ブローカレッジ顧客との取引に起因した多額損失の件(以下「米国顧客取引に関する損失」)
2021年3月、米国顧客とのプライム・ブローカレッジ取引において顧客に追加証拠金を要請するも当該顧客から入金されないという事象が発生しました。事象を受け、当社米国子会社(以下、本項目において、単に「当社」ということがあります)としては当該顧客に対して債務不履行を通知し、契約解消を行い、当該顧客との取引のヘッジとして当社が保有していたポジションの処理を開始しました。当該ポジションの処理に際して時価が変動し、顧客から損失を回収できないと見込まれたため、2021年3月期第4四半期および通期において巨額の損失を計上し、2022年3月期第1四半期および通期において追加の損失を計上することになりました。本有価証券報告書においてこの事象を「米国顧客取引に関する損失」との名称で各項目にて参照しておりますが、詳細は下記になります。
当社と当該顧客との取引は、(1) 顧客が原資産である個別の株式や指数を保有することなく、それらに対するロングまたはショートのエクスポージャーを保有することができるトータル・リターン・スワップ取引(以下「TRS取引」)と呼ばれるデリバティブ取引(以下「シンセティック・プライム・ブローカレッジ」)、および(2) 顧客の口座にある株式ポートフォリオに対する貸付(以下「キャッシュ・プライム・ブローカレッジ」)から構成されていました。一般に、当社はプライム・ブローカレッジ顧客の信用リスク水準を管理するために、同顧客に適用される証拠金比率および保有ポジションに応じた担保(以下「証拠金」)を当社に預託することを求めています。その証拠金比率は、取引先および取引先のポジション構成に関する内部リスク評価の結果に基づいて決定され、その比率に応じた市場動向の影響に基づいて追加証拠金の差入れを要求する場合があります。顧客とTRS取引を行った場合、当社はそのポジションに応じて個別の株式や指数のロング・ポジションやショート・ポジションの保有により市場リスクの観点からのヘッジを行います。具体的には、顧客がTRS取引で株式のロング・ポジションを保有する場合、当社には反対のショート・ポジションが生じるため別途、現物株のロング・ポジションを構築することでヘッジを行います。したがって、顧客が債務不履行になりTRS取引が解消されると、当社には株式のロング・ポジションが残ることになります。また、キャッシュ・プライム・ブローカレッジのポジションに対する貸付は、一般的に余分に担保が設定されているため、個別にヘッジされることはありませんが、当該担保の価値が下落した場合には個別にヘッジを行うこともあります。
2021年1月から3月にかけて、市場価格の変動や当該顧客の新規ポジション取得により、当該顧客との取引額・取引量が大幅に増加しました。2021年3月にはシンセティック・プライム・ブローカレッジにおいて大口ポジションを保有している一部銘柄の時価が大幅に下落したため、当該顧客との契約に基づき追加証拠金の差入れを要請しましたが、当該顧客による債務不履行となり、当社から契約解消を通知しました。当該顧客が他の金融機関とも同様に大口のポジションを保有しており、また、それらの金融機関とも債務不履行を起こしていたことも次第に明らかになりました。当社は市場への影響と当社の損失の最小化を図りながら当該TRS取引に紐づくヘッジおよびポジションの巻き戻しを進めましたが、当社と他の金融機関による大量のポジション処理およびそれにともなう市場価格の変動により、当社は2021年3月期第4四半期および通期のトレーディング損益において2,042億円の損失を計上するに至りました。また、有価証券を担保とした顧客への貸付については、当該貸付分を回収できる可能性が低下したことから、2021年3月期第4四半期および通期のその他の費用に貸倒引当金繰入額として416億円を計上しました。2021年5月17日までに当該顧客との取引をすべて解消し、ヘッジ取引を解消した結果、2022年3月期第1四半期および通期において654億円の追加損失を計上しました。そのうち、561億円はトレーディング損失としてエクイティ収益に計上、93億円は貸倒引当金として費用認識しました。
リスク管理高度化プログラムの概要
当社は、事象の発生直後から内部調査を実施するとともに、リスク管理フレームワークの総合的な検証を行い、リスク管理のさらなる高度化に向けた包括的な諸施策を検討しました。
その上で、リスク管理高度化の重要施策として、取締役会の監督機能をさらに強化すべく専門監督機関であるリスク委員会を新たに設置しました。また同時に、監督側のリスク委員会との連携を効果的に行うべく、執行側でリスク管理を従来審議してきた統合リスク管理会議を発展的に改組し、「グループ・リスク管理委員会」を設置しました。リスク委員会およびグループ・リスク管理委員会の詳細については、「リスク管理の組織体制」をご参照ください。
さらに、リスク管理のさらなる高度化に向けた包括的な諸施策の検討・実行をグループ全体で推進するため、2021年にグループCEOが委員長を務める「リスク管理高度化推進委員会」を設置しました。リスク管理高度化推進委員会では、諸施策の策定・執行の監督、関連するリソースの確保、施策達成に向けたグローバルな協力体制の整備等について審議しております。またチーフ・トランスフォーメーション・オフィサーが、グループ全体の諸施策を推進し、地域間の連携と一貫性を担保しております。また、高度化施策に対する監督体制を確保すべく、リスク管理高度化推進委員会は、取締役会および経営会議に対して定期的に報告を行っています。
リスク管理高度化推進委員会のもと、具体的な高度化施策が検討され、リスク管理高度化プログラムとして、実装に向けた取組みが実施されています。具体的な高度化施策の実施にあたっては、「ビジネス戦略」、「業務執行管理」、「リスク管理」および「リスク・カルチャー」の4つに分類し、それぞれに執行役または執行役員を責任者として任命し、必要な経営資源を優先して投入しています。
リスク管理高度化プログラムにおける主な成果は以下のとおりです。
ビジネス戦略
グローバル・マーケッツのビジネス戦略を明確化し、ビジネスポートフォリオをさまざまな形式で定期的にレビューする体制を整備するとともに、リスク・プロファイルが当社の戦略的方向性やリスク・アぺタイト、リソース配分等に整合的であるように保つための施策を実施・完了しました。
業務執行管理
クロスボーダー・ブッキングモデルおよび現地エンティティにおける統制について、より堅牢なグローバル・クロスボーダー・ガバナンス・フレームワークの構築を進めています。また、ホールセール・フロント・オフィスにおいて財務・非財務のリスク管理を統括する組織の設置を通じて、多国間で複合的に展開されるビジネスに対し、第1線で効果的かつグローバルに統一された執行管理を行うための体制を構築しました。加えて、ホールセール部門のシニア・マネジメント等に対しては、グローバルに統一されたパフォーマンス管理を導入し、各個人の報酬に当社の中長期的な戦略的に沿った取り組みや、リスクおよびコンダクトに関連するパフォーマンスをより反映させることとしました。
リスク管理
当社の経営戦略の目的と事業計画を達成するために許容するリスクの種類および水準をより明示的に表現するため、財務リスク・アペタイトの設計を見直し、より具体的な定量指標でアペタイトを定めることとしました。さらに、委員会等の見直しを通じたポートフォリオ・リスク管理及び取引承認に関するガバナンス強化を図りました。加えて、三つの防衛線に基づくリスク管理に関する役割と責任の更なる理解と浸透のため、三つの防衛線の役割と責任についてグループ・レベルで明文化し、関連研修を実施しています。
また、各種リスク・エクスポージャー計測手法の高度化も進め、新たに開発した指標を含めた複数のリスク指標に基づき、リスクを包括的に確認しています。さらに、ビジネスの規模と複雑さに応じてリスク管理を適切に実践するべく、第1線の中のリスク・コントロール機能、第2線におけるリスク管理機能、および第3線であるインターナル・オーディットにおいて、人員増強も実施しました。
リスク・カルチャー
リスク・カルチャーを含む企業文化の醸成を重視する会社としての姿勢を、各種企画や発行物に定期的に組み込み、社内外への発信を継続しております。その一例として、2022年3月、野村グループ行動規範に、新たな項目として「リスクと正しく向き合う」を追加する改訂を行いました。ディスカッション型のワークショップ等を通じて、リスク・カルチャーの一層の理解と浸透を図るとともに、野村グループ従業員サーベイにおいて、リスク・カルチャーに関連する設問を追加する等、経年で浸透度を測定するための枠組みの整備も行っています。加えて、採用や業績評定等の既存の枠組みにもリスク・カルチャーの要素を組み込み、継続的なリスク・カルチャーの醸成に取り組んでおります。
財務的経営資源の管理
野村は、財務的経営資源を適切に使用するため、財務的経営資源の管理体制を構築しております。経営会議は、期初に、各部門に財務的経営資源の配賦を行います。各部門では、財務的経営資源の配賦により収益予算の策定を行います。財務的経営資源の主要な構成要素は以下のとおりです。
リスク・ウェイティド・アセット
経営会議は毎年、連結自己資本比率(連結Tier1比率)の最低基準値を決定します。自己資本比率を算出する際の重要な構成要素はリスク・ウェイティド・アセットとなり、このリスク・ウェイティド・アセットは経営会議により、各部門やそれ以下の階層に配賦されております。また、リスク・ウェイティド・アセットを補完する、非リスク・ベースの指標であるレバレッジ比率の枠組みにおいて、エクスポージャー水準に関するリスク・アペタイトを経営会議にて決定しております。詳しくは第2「事業の状況」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。
社内資金
財務統括責任者は、野村グループ内に無担保で提供される資金の上限額を決定し、経営会議は各部門へ配分を行います。グローバル・トレジャリーは部門毎の資金使用量をモニタリングし、経営会議に報告します。
リスク・カテゴリーと定義
野村では、リスクを以下のとおり分類、定義したうえで、各リスクを管理する部署または組織を設置しております。
| リスク・カテゴリー | 定義 |
| 財務リスク | |
| 市場リスク | 市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失を被るリスクをいいます。 |
| 信用リスク | 債務者が、債務不履行、破産、または法的手続き等の結果として、予め合意した条件通りに契約上の義務を履行できないことにより、損失を被るリスクをいいます。信用リスクは、カウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメント(CVA)により損失を被るリスクを含みます。 |
| モデル・リスク | モデルの誤謬、またはモデルの不正確もしくは不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定を誤るリスク、または顧客からの信頼低下を引き起こすリスクをいいます。 |
| 非財務リスク | |
| オペレーショナル・リスク | 内部プロセス・システム・役職員の行動が不適切であること、機能しないこと、もしくは外生的事象から生じる財務上の損失、または法令諸規則の違反や野村グループの評判の悪化といった非財務的影響を被るリスクをいいます。オペレーショナル・リスクには、野村グループの非財務リスク分類に定義されているコンプライアンス、リーガル、ITおよびサイバーセキュリティ、不正、外部委託先に関わるリスクその他の非財務リスクが含まれます。 |
| レピュテーショナル・リスク | 野村グループのステークホルダーから見た場合に、不適切、非倫理的、または野村の価値観や企業理念と矛盾していると判断される行為等が行われた結果、野村グループの評判を損なうリスク、またそれにともない当社の利益、資本、流動性が影響を受けるリスクをいいます。 |
| 資金流動性リスク | |
| 資金流動性リスク | 野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。 |
| その他のリスク | |
| ESG: 環境、社会、ガバナンス | ESGとは、環境(E)、社会(S)、およびガバナンス(G)の総称であり、「環境」とは気候変動を含む自然環境に関する課題、「社会」とは人権、労働環境に関する課題への対応、その他のステークホルダーおよび地域社会との関係、そして「ガバナンス」とは企業統治、企業行動、および開示の透明性確保への取組みなどに関する課題を指します。 |
| 戦略リスク | 誤った経営判断、拙速な事業の推進、又は業界や外部環境の変化に対する不作為により、現在および将来の収益、自己資本、資金流動性、企業価値、または野村グループのレピュテーションが被るリスクをいいます。 |
市場リスク管理
市場リスクは、市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失を被るリスクです。
市場リスク管理プロセス
市場リスクを適切に管理するためには、複雑かつ不断に変動する市場環境をグローバルに分析し、損失に繋がる可能性のある傾向を把握したうえで、適時に適切な対応を取る能力が必要となります。
野村では継続して市場リスクを統計的に計測・モニタリングする主要な手段として、バリュー・アット・リスク(VaR)、ストレスVaR(SVaR)および追加的リスクを利用しております。また、感応度分析やストレス・テストも市場リスクを評価・分析する手段として利用しております。感応度は、市場リスク・ファクターの単位当たりの変動によるポートフォリオ価値変化を示す尺度として利用されます。感応度は、資産種別によって異なり、通常、異なるリスク・ファクターに関する感応度を合算することはできません。ストレス・テストにおいては、ポートフォリオ・リスクやテイル・リスクをその非線形な性質を含めて分析し、グループ全体から各部門、個々のトレーディング・デスクに到るあらゆる階層で、市場リスク・ファクターを横断した合算が可能となります。市場リスクは、ビジネス部門やシニア・マネジメントに報告される日次レポートその他の経営情報により、社内手続きに基づいて承認されたリミット内であるかどうかモニタリングされます。
VaR
VaRは、株価、金利、クレジット・スプレッド、為替レート、コモディティ価格とこれらのボラティリティや相関を含む市場要因の不利な動きにより発生しうる損失額を計測するものです。
VaRメソドロジーの前提
野村は、グループ全体のトレーディングに関するVaRの計測にあたり、グローバルに実装された単一のVaRモデルを利用しています。野村は、このVaRモデルにおいてヒストリカル・シミュレーション法を採用しており、過去2年間のヒストリカルな市場の動きを、野村の現在のエクスポージャーに適用することにより収益分布を構成します。この分布を利用して、将来発生しうる損失を必要な信頼水準(確率)において推定することができます。市場変動性の変化を反映するようシナリオの重みを付ける手法を採用した、保有期間1日のVaR(以下に掲載)は、リスク管理やリスク・リミットに対するモニタリングに利用されます。市場変動性の変化を過度に反映しないようシナリオの重みを均等にする方法の保有期間10日のVaRは、規制資本の計算に利用されます。保有期間10日のVaRは、実際の10日間における市場変動のヒストリカル・データを利用して計算されます。野村は、これらのVaRの計算に加え、バーゼル2.5規制のもとでVaRを補完するためにSVaRの計算を行っています。SVaRはストレス下にある金融市場のある1年間のデータを利用して計測されます。このSVaRの対象期間は、定期的に調整されますが、SVaRに利用されるヒストリカル・データは、重みを付けていません。
野村のVaRモデルは、個々のヒストリカル・データを利用します。しかし、高品質な個別データが存在しない場合、代理変数ロジックにしたがって当該エクスポージャーに適切なヒストリカル・データを割り当てます。代理変数の妥当性は、内部のリスク管理プロセスを通じて慎重にモニタリングされると共に、VaR計算に利用されるヒストリカル・データの拡大にも継続的に取り組んでおります。
VaRバックテスティング
野村のVaRモデルのパフォーマンスが、目的に合致しているかは、注意深くモニタリングされております。VaR検証の主な方法は、1日分の損失とそれに対応するVaR値の比較(バックテスティング)です。野村は、VaRモデルのバックテスティングを、さまざまな異なるレベルで行っており、バックテスティングの結果はリスク・マネジメント部門が月次でレビューしております。2023年3月31日以前の12か月においては、野村グループの1日分の損失が、(現在の規制資本計算の要件である)信頼水準99%VaRを超過した日が1日ございました。
VaRの限界と利点
VaRの主な利点は、さまざまな資産区分のリスクの合算が可能であることです。しかしながら、リスク計測方法としてのVaRには、リスク計測に利用する際に留意すべき点としてよく知られている限界があります。主な限界のひとつは、過去データに基づいたリスク計測であることです。つまり、目先の市場変動を推測する場合、直近の変動要因に基づく分布および相関から推測することが適していることを暗黙のうちに仮定しております。また、VaRは流動性のある市場におけるリスクの把握に適しておりますが、急に不連続に変動する市場要因の把握には適しておりません。それゆえに、VaRは厳しい事象の影響について、すべてを表しているとは言えません。野村はVaRモデルが有する限界を認識しており、VaRを多様なリスク管理プロセスのひとつの要素としてのみ利用しております。
ストレス・テスト
野村は、VaRや感応度分析がすべてのポートフォリオ・リスクやテイル・リスクを捕捉できないという限界を有することから、市場リスクのストレス・テストを行っております。このストレス・テストは定期的に行われ、ストレス・シナリオはトレーディング・ストラテジーの特性に応じて柔軟に設定されます。野村では、デスク・レベルのみならず、市場変動が野村全体に与える影響を反映するためにグローバルに統一されたシナリオによるグループ・レベルでのストレス・テストも行っております。
ノン・トレーディング・リスク
野村におけるノン・トレーディング・ポートフォリオの主な市場リスクは、取引関係維持やビジネス推進を目的として長期的に保有している投資有価証券にかかるもので、主に日本の株式市場の変動の影響を受けます。このポートフォリオの市場リスクを推定する手法のひとつに、東京証券取引所上場銘柄に対する主要インデックスであるTOPIXの変化に対する市場感応度分析があります。
野村では、TOPIXとビジネス推進を目的として保有する株式の直近90日間の市場価格の変動に基づく回帰分析を行います。野村の試算では、取引関係維持やビジネス推進を目的として保有する株式は、TOPIXが10%変動すると、2022年3月末で約109億円、2023年3月末で約69億円の損失が予想されました。TOPIXは2022年3月末は1,946.40ポイント、2023年3月末は2,003.50ポイントで引けております。このシミュレーションは、TOPIXとの回帰分析により算出された結果です。したがって、投資有価証券の個々の株式の価格変動により、実際の結果はこの試算とは異なる点にご留意ください。
信用リスク管理
信用リスクとは、債務者が、債務不履行、破産、または法的手続き等の結果として、予め合意した条件どおりに契約上の義務を履行できないことにより、損失を被るリスクをいい、オフ・バランス資産にかかる損失を含みます。当該リスクはまた、カウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメント(CVA)により損失を被るリスクを含みます。なお、野村では、グローバルおよびリーガル・エンティティ単位で信用リスクを管理しています。
信用リスク管理体制
野村における信用リスクの計測、モニタリングおよび管理に関する事項は、グローバル・ポリシー、プロシージャーで規定しています。クレジット・リスク・マネジメント(CRM)は、リスク・マネジメント部門内のグローバルな組織として、これらのポリシーやプロシージャーの実装、および維持、管理に責任を負います。これらのポリシーは、グループ・リスク管理委員会、グローバル・リスク・ストラテジック・コミッティの承認を受けて制定され、信用リスク管理の基本方針のほか、クレジット・リミット設定にかかる承認権限を定めています。
信用リスクは、CRMならびに、グローバルおよび地域の各種リスク・コミッティにより管理されており、重大な信用リスクの把握やクレジット・リミットの遵守の徹底のほか、多額の与信の提供に関する承認や、シニア・マネジメントがリスクの集中に関する承認を行う態勢を確保しています。
信用リスク管理プロセス
CRMは、リスク・マネジメント部門内の信用リスクを管理するための組織であり、CROに報告します。野村における信用リスク管理プロセスには、以下を含みます。
・ カウンターパーティの債務不履行の可能性の評価
・ すべてのアクティブなカウンターパーティに対する内部格付の付与
・ 与信の供与およびクレジット・リミットの設定に関する承認
・ 時価および将来のポテンシャル・エクスポージャーの計測、モニタリングおよび管理
・ 契約書における信用リスクに関する条件の設定
・ 一括清算、担保徴求およびヘッジを含む適切な信用リスク削減手法の活用
信用リスク管理の対象には、カウンターパーティとの取引に加えて、ローン、プライベート・エクイティ投資、ファンド投資、投資有価証券のほか、信用リスク管理が必要と考えられる各種の債券や株式商品を含みます。
カウンターパーティの信用力の評価は、対象先の事業環境、競争力、経営陣や財務面での強みや柔軟性に関する詳細なデュー・ディリジェンスや分析に基づき行います。また、クレジット・アナリストは、対象先の組織体制や、明示的なまたは暗黙の信用補完も考慮します。なお、CRMは、カウンターパーティのみでなく、カウンターパーティ・グループ単位でも信用リスクを評価します。
CRMは、信用分析の結果に基づき、カウンターパーティまたは債務者のデフォルト確率を評価し、格付機関と同様のアルファベット記号や所定の番号を付与します。クレジット・アナリストは、内部格付を付与するとともに、年1回以上、見直しを行う責任を負います。
野村の内部格付制度では、さまざまな格付モデルを使用して、グローバルに一貫性と正確性を確保しています。これらのモデルは、リスク・メソドロジー・グループにより開発され、見直しが行われています。内部格付は、野村におけるカウンターパーティの信用リスク管理における重要な構成要素として、以下のプロセスで幅広く活用されています。
・ 個々のカウンターパーティまたはカウンターパーティ・グループに対して野村が許容するカウンターパー ティ・クレジット・リスクの上限額の設定(クレジット・リミットの設定)
・ クレジット・リミット設定の承認権限の委譲に係る基準額の決定(テナーを含む)
・ クレジット・レビュー(クレジット・リミットの見直し)の頻度の決定
・ カウンターパーティ・クレジット・リスクに関する野村のシニア・マネジメント向けの報告
・ カウンターパーティ・クレジット・リスクに関する社外ステークホルダー向けの報告
信用リスク管理部署(CRCU)はリスク・モデル・バリデーション・グループ内に設置されており、CRMから独立した立場で、野村の内部格付制度に関する検証が適切に実施される体制を確保し、制度に問題があればその速やかな解決のために、シニア・マネジメントに報告します。CRCUは、内部格付制度が正確、かつリスクを予知できるものであることを確認し、シニア・マネジメントに対して定期的に制度に関する報告を行います。
野村は、規制自己資本を算出するための信用リスク・アセットの計算において、2011年3月より基礎的内部格付手法を採用しています。なお、信用リスク・アセットの計算において、重要性の低い一部のビジネスまたは資産については、標準的手法を採用しています。
内部格付はデフォルト確率(PD)と紐付けされ、信用リスク・アセット額算出に使用されています。PDは毎年リスク・メソドロジー・グループによって推計され、CRCUによるその保守性のチェックと使用されたPDのバックテストを通じ検証されています。
クレジット・リミット/リスク計測
内部格付は、カウンターパーティに対してクレジット・リミットを設定するために必要不可欠なものです。また、野村のクレジット・リミットの枠組みは、リスク・アペタイトに沿って、適切に信用リスクを取ることができるように設計されています。グローバルのクレジット・ポリシーでは、内部格付に基づき、個々のカウンターパーティ・グループに対して設定できるクレジット・リミットおよびテナーの上限を定めた承認権限の表を定めています。
野村では、カウンターパーティ・エクスポージャーは、主にデリバティブ取引、証券貸借取引(総称して「デリバティブ等取引」)により発生しています。カウンターパーティに対して発生するクレジット・エクスポージャーは、個々のカウンターパーティの信用力の分析に基づき設定するクレジット・リミットにより管理しています。信用リスクは、設定したクレジット・リミットによるクレジット・エクスポージャーのモニタリングや、カウンターパーティの信用力に関する継続的なモニタリングを通して、日次で管理しています。特定のカウンターパーティ、セクター、産業または国に対する野村のリスク・アペタイトを変更させるような状況下では、その内容、程度に応じて、内部格付やクレジット・リミットの変更を行います。
野村のグローバル・クレジット・マネジメント・システムには、カウンターパーティに対するクレジット・リミットおよびクレジット・エクスポージャーが記録されています。これにより、CRMは、クレジット・リミットの使用状況を把握、監視、管理し、リミット超過が発生した場合、適切に報告を行う態勢を確保しています。
野村では、デリバティブ等取引については、主に所定の信頼水準でのポテンシャル・エクスポージャーを計測するモンテ・カルロ・シミュレーション・モデルで信用リスクを計算しています。信用リスク管理に使用されるエクスポージャー計測モデルは、2012年12月末より、期待エクスポージャー方式による連結自己資本規制比率の算出にも利用されています。なお、ローンおよびローン・コミットメントは、使用分および未使用分の双方について、計測およびモニタリングを行っています。
ロング・ウェイ・リスク
ロング・ウェイ・リスクは、カウンターパーティに対するエクスポージャーが、当該カウンターパーティの信用力の悪化と高い相関関係にある場合に発生するリスクをいいます。野村は、ロング・ウェイ・リスクを管理するためのグローバルのポリシーを設置しています。また、ポートフォリオのロング・ウェイ・リスクの評価ではストレス・テストも活用し、クレジット・エクスポージャーや規制自己資本について必要に応じて調整を行っています。
ストレス・テスト
ストレス・テストは、野村の信用リスク管理において必要不可欠であり、定期的に実施するストレス・テストにより、カウンターパーティ、セクター、および地域ごとの信用リスクの評価を行っています。なお、ストレス・テストには、リスク・ファクター、デフォルト確率または格付遷移に一定のストレスを与えることでリスクの集中度合いを確認するテストも含まれます。
リスク削減手法
野村では、信用リスク管理において、金融商品、契約書、さらに一般的な取引慣行を活用しています。野村は、多くのカウンターパーティとの間で、国際スワップデリバティブ協会の基本契約書、またはそれに準ずる契約書(総称して「マスター・ネッティング契約」)を締結しています。マスター・ネッティング契約を締結することで、債権、債務を相殺し、カウンターパーティのデフォルトにより発生する潜在的な損失額を減少させています。また、信用リスクをさらに削減するため、担保契約も活用し、取引開始時、またはエクスポージャーの水準、格付の変更、もしくはその他の事由が発生した際に、カウンターパーティから担保を受領できるようにしています。
デリバティブ等取引における与信相当額
以下は、2023年3月末における野村のトレーディング目的のデリバティブ等取引における与信相当額になります。カウンターパーティの信用格付と満期までの年限ごとに公正価値で表示しており、これらの信用格付は野村のCRMが付与した内部格付です。
| (単位:十億円) | ||||||||||||||||||
| 信用格付 | 満期までの年限 | 異なる満期間の相殺(1) | 公正価値の合計 (a) | 受入担保額(b) | 再構築コスト(3) (a)-(b) | |||||||||||||
| 1年未満 | 1年から3年 | 3年から5年 | 5年から7年 | 7年超 | ||||||||||||||
| AAA | 41 | 38 | 3 | 4 | 50 | △107 | 29 | 2 | 27 | |||||||||
| AA | 260 | 362 | 224 | 55 | 626 | △1,212 | 315 | 47 | 268 | |||||||||
| A | 425 | 437 | 233 | 149 | 808 | △1,678 | 374 | 101 | 273 | |||||||||
| BBB | 193 | 123 | 79 | 51 | 342 | △395 | 393 | 134 | 259 | |||||||||
| BB以下 | 68 | 135 | 26 | 24 | 41 | △217 | 77 | 384 | - | |||||||||
| その他(2) | 37 | 103 | 82 | 101 | 723 | △1,121 | △75 | 103 | - | |||||||||
| 小計(店頭取引デリバティブ) | 1,024 | 1,198 | 647 | 384 | 2,590 | △4,730 | 1,113 | 771 | 827 | |||||||||
| 上場デリバティブ | 435 | 63 | 1 | - | - | △192 | 307 | 230 | 77 | |||||||||
| 合計 | 1,459 | 1,261 | 648 | 384 | 2,590 | △4,922 | 1,420 | 1,001 | 904 | |||||||||
(1)同一のカウンターパーティとのデリバティブ等取引の異なる満期の債権、債務の相殺額を表示しています。また、同一のカウンターパーティとの同一の満期の取引については、債権、債務の相殺後の金額を各年限の欄に表示しています。なお、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」および編纂書815に基づき、デリバティブ等取引にかかる現金担保による相殺効果も勘案されています。
(2)「その他」は、無格付のカウンターパーティおよび特定のカウンターパーティを対象としない、ポートフォリオ・レベルでの評価調整を含んでいます。
(3)受入担保額がデリバティブ等取引の公正価値の合計を上回っている場合、野村の与信相当額を適切に表示しないためゼロと表記しております。
カントリー・リスク
野村では、カントリー・リスクを、カウンターパーティや発行体に影響を及ぼし、金融債務の履行を不可能にさせるような、ある国特有のカントリー・イベント(政治、経済、法制度にかかるイベント等)に起因した損失発生の可能性と定義しています。野村において、カントリー・リスク管理の枠組みは、その他のリスク管理の枠組みを補完する役割を果たしていますが、この枠組みは、特定国に対するクレジット・エクスポージャーの集中を制限するためのカントリー・リミット、カントリー・レーティング、さらに役割分担や承認権限およびその委任等について定めたカントリー・リスク管理のポリシーやプロシージャーなど多数の管理ツールで構成されています。
野村のクレジット・ポートフォリオは、国別に十分に分散されており、集中がみられるのは、高格付の国のみとなっています。エクスポージャー残高の上位10か国の内訳は、以下のとおりです。
| カントリー・エクスポージャー上位10か国(1) | ( 単位 : 十億円 ) |
| (2023年3月31日) | |
| 米国…………………………………………………………………………………… | 4,876 |
| 日本…………………………………………………………………………………… | 2,610 |
| 英国…………………………………………………………………………………… | 1,158 |
| シンガポール………………………………………………………………………… | 277 |
| スイス………………………………………………………………………………… | 235 |
| ルクセンブルク……………………………………………………………………… | 220 |
| カナダ………………………………………………………………………………… | 204 |
| インド………………………………………………………………………………… | 200 |
| 香港…………………………………………………………………………………… | 139 |
| フランス……………………………………………………………………………… | 137 |
(1) 上表には、2023年3月末時点のカントリー・エクスポージャーの上位10か国を記載しています。カントリー・エクスポージャーは、カウンターパーティ・エクスポージャーとインベントリー・エクスポージャーを合算して算出します。
- カウンターパーティ・エクスポージャーには、現金・現金同等物、清算参加者として当社から中央清算機関に預託される清算基金・当初証拠金の残高、デリバティブ取引および有価証券貸借取引の公正価値(法的に有効な担保契約に基づく担保考慮後)、引当金考慮後のコミットメント総額の公正価値が含まれます。
- インベントリー・エクスポージャーには、債券、株式、エクイティ・デリバティブ、クレジット・デリバティブの公正価値が含まれ、ロング・ポジションとショート・ポジションをネットしたものとなっています。
ロシア・ウクライナ紛争
野村は2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナやロシア経済、その他の金融市場への影響をモニタリングしてきました。2023年3月末時点における、ウクライナとロシアに対する野村の直接的なエクスポージャーは限定的です。
オペレーショナル・リスク管理
野村はオペレーショナル・リスクを、内部プロセス・システム・役職員の行動が不適切であること、機能しないこと、もしくは外生的事象から生じる財務上の損失、または法令諸規則の違反や野村グループの評判の悪化といった非財務的影響を被るリスクと定義しています。オペレーショナル・リスクには、野村グループの非財務リスク分類に定義されているコンプライアンス、リーガル、IT およびサイバーセキュリティ、不正、外部委託先に関わるリスクその他の非財務リスクが含まれます。この定義は、戦略リスク(経営陣の不適切な意思決定により損失を被るリスク)およびレピュテーショナル・リスクを含みませんが、上記オペレーショナル・リスクの顕在化の結果として野村グループ各社の評判の悪化に至ることもあるため、オペレーショナル・リスクとレピュテーショナル・リスクは密接に関連します。
野村におけるオペレーショナル・リスク管理の枠組み
野村は、オペレーショナル・リスクの特定、評価、管理、モニタリング、報告が可能となるオペレーショナル・リスク管理の枠組みを整備しております。経営会議より委任を受けたグループ・リスク管理委員会がこの枠組みに基づくオペレーショナル・リスク管理全般を監督しています。オペレーショナル・リスク管理の枠組みは、以下のように構成されております。
管理の枠組みの基盤
・ ポリシー・フレームワークの構築と維持:オペレーショナル・リスク管理に関して定められた各種基本的事項をポリシー等として明文化します。
・ 研修および理解の促進:オペレーショナル・リスク管理について、野村内の認識を高めるための取組みです。
主要な管理活動
・ オペレーショナル・リスク事象等の報告:オペレーショナル・リスクに起因して損失または利益、もしくはその他の影響が発生した、あるいは発生する可能性があった事件および事故、あるいは他社事例についての情報を収集・報告するプロセスです。
・ RCSA(Risk & Control Self Assessment、リスクとコントロールの自己評価):自らの業務におけるオペレーショナル・リスクや、リスク削減のために導入されているコントロールを特定、評価し、更なるリスク削減に向けた対応策を策定するために、ビジネス・ユニットが用いるプロセスです。オペレーショナル・リスク管理部署は、RCSAプロセスを構築し、ビジネス・ユニットへの導入を支援します。
・ KRI(Key Risk Indicator、リスク指標):オペレーショナル・リスクにかかる主要な計数の収集と監視を行い、予め定めた水準を超えた場合には必要な対応を行うプロセスです。
・ シナリオ分析 :テール・リスク(低頻度大規模損失が発生する可能性)を評価し、必要に応じて統制の改善を行うプロセスです。
管理活動結果の活用
・ 分析および報告:オペレーショナル・リスク管理部署の主要な役割として、ビジネス・ユニットからもたらされるオペレーショナル・リスク情報について事実確認や原因分析を行ったうえで経営陣等へ報告を行います。
・ 所要資本の計算と配賦:バーゼル規制および地域規制当局の要件に基づき、オペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本を計算しております。
オペレーショナル・リスクの所要自己資本額計算
野村は、金融庁告示に定められた粗利益配分手法によりオペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本額を算出しております。粗利益配分手法では、業務区分に配分した粗利益に金融庁に定められた一定の掛目を乗じたものの過去3年間の平均値を計算し、オペレーショナル・リスク相当額としております。
野村では、所要自己資本額を算出する際に用いる粗利益として、連結ベースの金融費用控除後の収益を用います。ただし、一部の子会社については、売上総利益を粗利益として用いております。これら粗利益を、管理会計上のセグメント情報を用いて、下表の業務区分に配分します。
| 業務区分 | 内容 | 掛目 |
| リテール・バンキング | リテール向け預貸関連業務等 | 12% |
| コマーシャル・バンキング | リテール向け以外の預貸関連業務等 | 15% |
| 決済業務 | 顧客の決済にかかる業務 | 18% |
| リテール・ブローカレッジ | 主として小口の顧客を対象とする証券関連業務 | 12% |
| トレーディングおよびセールス | 特定取引にかかる業務および主として大口の顧客を対象とする証券・為替・金利関連業務等 | 18% |
| コーポレート・ファイナンス | 企業の合併・買収の仲介、有価証券の引受け・売出し・募集の取扱い、その他顧客の資金調達関連業務等 | 18% |
| 代理業務 | 顧客の代理として行う業務 | 15% |
| 資産運用 | 顧客のために資産の運用を行う業務 | 12% |
・ 各業務区分に配分された金融費用控除後の収益額と、上表のとおり各区分に設定された掛目をそれぞれ乗じることにより「業務区分配分値」を算出します。いずれの業務区分にも配分されない収益額については18%を乗じ、「配分不能値」を算出します。
・ これらの業務区分配分値と配分不能値をすべての業務区分について合計することにより、「年間合計値」を算出します。この年間合計値を直近3年間について計算し、それらの平均値がオペレーショナル・リスクに相当する所要自己資本の額となります。年間合計値が負の場合にはゼロとして平均値を算出します。業務区分配分値を合計する際、ある業務区分配分値が負であった場合には、他の区分における正の業務区分配分値と相殺します。ただし、配分不能値が負の場合には、相殺は行わず、ゼロとして取り扱います。
・ オペレーショナル・リスク所要自己資本額の計算基準時点は3月末と9月末であり、年2回計算されます。
モデル・リスク管理
モデル・リスクとは、モデルの誤謬、又はモデルの不正確もしくは不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定を誤るリスク、又は顧客からの信頼低下を引き起こすリスクをいいます。
野村では、モデル・リスクを効果的に管理するため、モデルの開発、管理、検証、承認、使用、継続的モニタリング、定期レビューを監督するモデル・リスク管理の枠組みを整備しています。また、規程および実施手続において、当社のリスク・アペタイトに照らしたモデル・リスクのモニタリングをはじめとする、モデルの開発、検証、使用、および維持管理に至るまでの各段階における各種手続きの要件を定めています。
新規モデルの導入および承認済みモデルの重要な変更にあたっては、正式使用の前に、モデル開発チームから独立したチームによる検証を受ける必要があります。モデル変更の重要度の判定基準は、モデル・リスク管理の実施手続に定めています。独立検証において、モデル検証チームは、複数の分析を通しモデルの適切性を評価、モデルの限界を特定し、モデル・リスクの定量化を図ります。モデル・リスクは、モデルの承認時にモデルの使用制限、モデル・リザーブ、資本調整等の条件を適用することにより低減されます。モデルが適切であることを継続的に評価するため、承認されたモデルに対して定期検証手続き、およびモデルのパフォーマンスのモニタリングを実施しています。モデル・リスク管理を担う委員会において、全体の監督、精査、ガバナンス、検証済みモデルの最終承認を行います。
リスク計測と管理手法
リミット管理の枠組み
堅牢なリミット・モニタリングおよび管理を構築することは、リスクの適切なモニタリングおよび管理の要となります。リミット管理の枠組みにおいては、適正な水準の権限を有する組織階層においてリミットの承認が行われるように、エスカレーションの方針が策定されます。リスク・マネジメント部門およびファイナンス部門は、リミットの承認、モニタリング、必要に応じて実施する報告を含む、日々のリミット管理の運用に責任を有します。ビジネス部門は、当該リミットを遵守する責任を有します。リミットは、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスクなどの定量的指標に適用されます。
ニュー・ビジネス・リスク管理
ニュー・ビジネス承認プロセスは、野村にとっての新規ビジネスに取り組む際の最初の手続きであり、経営陣の意思決定を支援し、新商品および案件に関連して確実にリスクを認識し適切な管理を行うためのものです。ニュー・ビジネス承認プロセスは以下のとおり2つのプロセスで構成されます。
(1)案件の承認プロセス:案件のレビューを実施し、意思決定をするプロセスであり、権限を有する各種の案件会議が設置されます。遵守されない場合の責任についても文書として明確に定められています。
(2)新商品承認プロセス:ビジネス部門のスポンサーが新商品の取扱を申請し、関連部署からさまざまな意見を得ることができるプロセスです。新商品の組成および取引を実施した結果生じるあらゆるリスクを横断的に把握し、分析することを目的とします。
野村は、市場環境におけるさまざまな変化に適切に対応するため、今後もニュー・ビジネス承認プロセスを通じて、健全かつ実効性のある管理を継続して参ります。
ストレス・テスト
野村グループでは、さまざまな階層におけるリスクを網羅し、さまざまなストレス期間、ショック水準、蓋然性、およびメソドロジーを使ったストレス・テストを実施しております。ストレス・テストの結果は、資本計画、資本の十分性評価、流動性の十分性評価、再建・破綻処理計画の策定、リスク・アペタイトの適切性の評価、および通常のリスク管理において利用します。
ストレス・テストは定期的に実施する他、外部環境、または野村のリスク・プロファイルに大きな変化が生じた場合には必要に応じ行います。ストレス・テストの結果は、ストレス・テストの種類に応じて、詳細な分析と共にシニア・マネジメントおよび他のステークホルダーへ適切に報告します。
ストレス・テストの手法は、大きく以下に分類されます。
・ 感応度分析は、他のリスク・モデルでは計測が容易でないリスクを補足するために、1種類、ないしは関連する2種類のリスク・ファクター(株価、または株価とそのボラティリティ等)における市場変動の影響を計測する目的で行われます。
・ シナリオ分析は、複数の資産区分およびリスク区分にわたり定義されたイベントによる影響を計量化する目的で利用されます。また野村のさまざまな階層に対してストレス・テストを行う際の主たる方法として利用されます。
シナリオ分析の実施例としては、以下のものがあります。
・ 事業環境とビジネスのリスク・プロファイルや、国内外の経済環境とその見通しを勘案したストレス・シナリオを複数策定し、資本充実度と手許流動性に関するリスク・アペタイトの妥当性の検証。
・ 少なくとも四半期に一度実施する、野村グループの資本充実を評価するための、蓋然性が一定程度ある厳しいシナリオを採用したストレス・テスト。
・ 少なくとも年に一度実施する、リバース・ストレス・テスト(当社の事業継続が困難となる状況を引き起こす可能性のある脆弱性がどこにあり、そのような状況でいかに対応するかを分析し、当該分析の結果を検証するプロセス)。
野村グループでは、ストレス・テストを、グループ全体のガバナンスの重要な機能と位置付け、コーポレート機能、ビジネス部門、および経営陣の間の意思疎通をもとに実施し、将来を見据えたリスク管理や、意思決定のプロセスにおいて活用しています。