有価証券報告書-第122期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「社会からの信頼および株主、お客様をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高める」という経営目標を達成するうえで、コーポレート・ガバナンスの強化を最重要課題の1つと認識し、経営監督の実効性と経営の透明性を確保しつつ、持続的な成長と機動的なグループ経営を追求した体制の強化・充実に取り組んでおります。
当社は、株主、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーの立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みとしての実効性のあるコーポレート・ガバナンスの枠組みを示し、その実現に資することを目的として、「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」を定めております。
「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」は当社ホームページからご覧いただけます。
(https://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/main/04/teaserItems1/0/linkList/00/link/cg_guideline.pdf)
また、当社は、野村グループの役員・社員一人ひとりが遵守すべき行動規範として、「野村グループ行動規範」を策定しております。これは、野村グループの役職員が、野村グループ企業理念を具体的な行動に移すための指針となるものであり、あらゆる企業活動を野村グループ行動規範に基づいて実行、その遵守を徹底し、株主のみならず、あらゆるステークホルダーに対する責任を果たすべく努めております。
「野村グループ行動規範」は当社ホームページからご覧いただけます。
(https://www.nomuraholdings.com/jp/company/basic/main/04/teaserItems2/00/linkList/0/link/coc.pdf)
企業統治の体制の概要および当該企業統治の体制を採用する理由
当社は指名委員会等設置会社であり、以下の理由からこれが当社にとって現時点における最適な機関設計であると判断しております。
指名委員会等設置会社は、社外取締役を過半数とする指名・監査・報酬の三委員会を設置し、経営の監督と業務執行の分離による監督機能の強化および透明性の向上を図るとともに、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委任することで意思決定の迅速化が図られる体制です。また、指名委員会等設置会社は、当社が上場するNYSEの上場会社マニュアルに規定されるコーポレート・ガバナンスに関する基準に最も近いものであると考えております。
当社の企業統治の体制の概要は以下のとおりです。
<取締役会および委員会について>経営の監督と業務執行が制度的に分離された指名委員会等設置会社である当社では、取締役会および法定の指名・監査・報酬の三委員会に加え、リスク管理に関して取締役会による監督の深化を目的とする委員会である「リスク委員会」、ならびに社外取締役が当社の事業およびコーポレート・ガバナンスに関する事項について定期的に議論するための「社外取締役会議」を設置しております。
当社の取締役会は、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ることを目的とし、その主たる役割を経営の監督としております。取締役会は、経営の公正性・透明性を確保するとともに、「経営の基本方針」を決定し、当該方針を踏まえたグループCEOその他の会社を経営する執行役の選任および当社の重要な業務執行の決定を行っております。
当社の取締役会は、多角的な視点から活発な議論を行うことができるよう、性別、国際性および職歴等の多様性と、財務、企業経営、法律等の専門性を備えた人員で構成することを原則としております。また、その監督機能を適切に発揮するため、社外取締役を過半とすることを原則としております。
当社の現在の取締役会は、全12名のうち8名が社外取締役であり、そのうち外国人取締役が4名、女性取締役が3名という多様な人員構成となっております。また、経営、グローバル、金融業、会計財務、法制度・規制、内部統制(リスク管理含む)、デジタル・IT・DXおよびサステナビリティなどの専門性や経験を備えた人員構成となっております。特に、米国ビジネスの拡大を受けて、米国の金融業界、マクロ経済、規制環境に精通する取締役を選任しております。さらに、取締役の地理的分散を考慮し、アジアから金融に精通する取締役を選任するとともに、グローバルな経営的知見の重要性に鑑みて、グローバルに事業展開する日本企業の経営者である取締役を選任しております。
当社の取締役会については、執行役を兼務しない取締役を議長とすることで、執行役の業務執行に対する監督に専念できる体制の強化を図っております。また、指名・監査・報酬・リスクの各委員会については、社外取締役を委員長とすることで、業務執行からの独立性を一層明確にしております。
現在の当社の取締役会および委員会の構成
(提出日現在)
当社は、2026年6月23日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として「取締役11名選任の件」を提案しております。当該議案が承認可決されますと、当社の取締役会および委員会の構成は以下のとおりとなる予定です。
なお、当該定時株主総会の直後に開催予定の取締役会において決議事項として予定している内容も含めて記載しております。
当社の取締役会は、3か月に1回以上の頻度で2026年3月期には合計11回開催されております。
2026年3月期における各取締役の取締役会への出席状況
(2026年3月31日現在)
2026年3月期における当社の取締役会の具体的な検討内容
取締役会では、業務執行全般に加えて、サステナビリティ等の特定の領域について、執行側からの定期的な報告を実施しました。また、経営戦略、各部門の戦略、情報開示等の重要課題についても審議を実施しました。その概要は以下のとおりです。
(※)取締役会評価については、社外取締役会議においても議論を行いました。なお、最新の取締役会評価の結果については、当社「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」で開示しております。
(URL)https://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/main/04/teaserItems1/01/linkList/0/link/cg_report.pdf
当社の各委員会の役割および活動状況は以下のとおりです。
① 指名委員会
株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。指名委員会においては、グループCEOの後継者計画について、今後の経営環境を踏まえて求められる資質や候補者案について議論を行うなどガバナンスの更なる発展に取り組んでおります。
当社の指名委員会は、1年に1回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2026年3月期には合計6回開催されております。
2026年3月期における各取締役の指名委員会への出席状況
(2026年3月31日現在)
2026年3月期における当社の指名委員会の具体的な検討内容
② 監査委員会
取締役および執行役の職務の執行の監査ならびに監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行う法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。すべての委員は、米国企業改革法に基づく独立性の要件を満たしております。また、石塚雅博は同法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有するものであります。
2026年3月期における各取締役の監査委員会への出席状況
(2026年3月31日現在)
当社の監査委員会の活動状況については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](3)[監査の状況]」に記載のとおりです。
③ 報酬委員会
取締役および執行役の報酬等の内容にかかる決定に関する方針ならびに個人別の報酬等の内容を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。
当社の報酬委員会は、1年に1回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2026年3月期には合計5回開催されております。
2026年3月期における各取締役の報酬委員会への出席状況
(2026年3月31日現在)
当社の報酬委員会の具体的な検討内容については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](4)[役員の報酬等]」に記載のとおりです。
④ リスク委員会
取締役会による野村グループのリスク管理の監督を補助し、リスク管理の高度化に資することを目的とする任意の機関であり、取締役会で5名の委員を選定しております。
当社のリスク委員会は、1年に4回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2026年3月期には合計5回開催されております。
2026年3月期における各取締役のリスク委員会への出席状況
(2026年3月31日現在)
2026年3月期における当社のリスク委員会の具体的な検討内容
(※)上記検討内容を踏まえた当社のリスク管理の詳細については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](1)[コーポレート・ガバナンスの概要]リスク管理体制の概要」に記載のとおりです。
<業務執行の仕組み>当社は指名委員会等設置会社であることから、取締役会は業務執行の決定の権限を法律で認められる限りにおいて執行役に対して原則として委任し、執行役が当社の業務を機動的に執行する体制をとっております。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、特に重要な業務執行については「経営会議」、「グループ・リスク管理委員会」、「野村グループ・コンダクト委員会」、「サステナビリティ委員会」といった会議体における審議を経て決定することとしております。また、経営会議等での審議状況について、取締役会は各会議体から適宜報告を受けることとしております。
各会議体の役割および構成については以下のとおりです。
① 経営会議
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、執行役および代表執行役社長 グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループの経営戦略、事業計画および予算ならびに経営資源の配分をはじめとする、野村グループの経営にかかる重要事項について審議・決定しております。
② グループ・リスク管理委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEO以外の代表執行役のうち議長が指名する者、コンプライアンス統括責任者(CCO)、リスク管理統括責任者(CRO)、財務統括責任者(CFO)、部門長(ビジネスを行う部門の責任者)および議長が指名する者から構成される会議体であり、経営会議からの委任を受けて、野村グループの統合リスク管理に関する重要事項について審議・決定しております。
③ 野村グループ・コンダクト委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループにおけるコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理上必要な事項の審議、ならびに「野村グループ行動規範」の定着のために必要な事項について審議・決定しております。
④ サステナビリティ委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループにおけるサステナビリティ推進にかかる戦略等について審議・決定しております。
また、高度化・専門化する金融業務における業務執行体制の一層の強化を図るため、執行役から業務執行権限の一部の委任を受け、個々の担当分野のビジネス、オペレーションに専念する役割を担う「執行役員」を設置しております。
コーポレート・ガバナンス体制
(提出日現在)

(2026年6月23日開催予定の定時株主総会終了後の取締役会決議後)

内部統制システム整備の状況および提出会社の子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況
当社は、経営の透明性・効率性の確保、法令・諸規則の遵守、リスク管理、事業・財務報告の信頼性の確保、適時・適切な情報開示の促進といった観点から、グループ全体にわたる企業行動の適正化を推進するための内部統制システムの強化・充実に努めております。
当社における内部統制システムは、取締役会において、「野村ホールディングスにおける業務の適正を確保するための体制」として決議しており、当該体制にはグループとしての内部統制システムの整備に関する事項も含まれております。また、野村グループ各社においても、当社の決議内容を踏まえ、それぞれ自社の実情に合った内部統制システムの整備を行っております。
■内部統制システムの構造

取締役の定数
当社の取締役は20名以内とする旨を定款に定めております。
取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う旨を定款に定めております。
剰余金の配当等の決定機関
当社は、経営環境の変化に機動的に対応した株主への利益還元や資本政策を遂行できるよう、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。
取締役および執行役の責任免除
当社は、取締役および執行役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮することができるよう、会社法第426条第1項の規定により、会社法第423条第1項に定める取締役(取締役であった者を含む。)および執行役(執行役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。
責任限定契約
当社は、取締役 小川祥司および社外取締役全員と会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく責任の限度額は、2,000万円または法令が規定する額のいずれか高い額となります。
役員等賠償責任保険契約
当社は、当社およびその子会社等の取締役、執行役、執行役員、監査役および幹部社員等を被保険者として、会社法第430条の3第1項に定める役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しております。当該保険契約では、被保険者が会社の役員等の地位に基づき行った行為(不作為を含む。)に起因して損害賠償請求がなされたことにより被保険者が被る損害賠償金や訴訟費用等が塡補されることとなり、被保険者のすべての保険料を当社が全額負担しております。ただし、役員等個人の故意かつ詐欺的もしくは不誠実な行為に起因するもの等一定の免責事由があります。
種類株式について
資金調達の選択肢を可能な限り広く確保し、将来にわたり経済やビジネスの環境変化に迅速に対応していくことが可能となるよう、当社は、普通株式のほか、無議決権優先株式を発行できる旨を定款に定めております。優先株式の単元株式数は普通株式と同数の100株であり、優先株主は、普通株主に先立ち優先配当金を受けている限り、すべての事項につき株主総会において議決権を行使することができません。
なお、提出日現在、現に発行している株式は普通株式のみであります。
リスク管理概要
当社の事業活動は、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、その他外生的事象に起因する多様なリスクに晒されています。以下にリスク管理の概要を示します。
リスクの特性
野村では、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、モデル・リスクなど業務運営によって生じる不測の損失により当社グループの資本が毀損する可能性、および当社グループの信用力の低下または市場環境の悪化により、必要な資金の確保が困難になる資金流動性リスク、さらに誤った経営判断、拙速なまたは誤った事業の推進、または業界や外部環境の変化に対する不作為により、現在および将来の収益、自己資本、資金流動性、企業価値、または野村のレピュテーションが被る戦略リスクなどを管理しています。野村に影響を与える可能性のある追加のリスクについては、「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」に記載されています。
リスク管理の方針
当社は全社員がリスク管理を行う主体であるとの認識のもと、能動的にリスク管理に取り組むことを基本方針とし、組織内の全階層で積極的なリスク管理を推進しています。リスクはリスク・アペタイトの範囲内に抑制することを目指しています。
リスク管理手続き
・ リスクに関する経営情報の算出、集計、報告およびモニタリングを行い、意思決定に貢献する情報を提供します。
・ リスク・マネジメント部門とファイナンス部門は、リスク・アペタイトに対応するポジションの状況を定期的に取りまとめ、データの適切な管理を実施します。
・ 経営情報はリスク・カテゴリー全般にわたり、さまざまなリスク管理手法を用いて作成されます。
・ 当社のリスク管理の枠組みは、リスク・アペタイト、ガバナンスおよび監督、財務的資源の管理、すべてのリスク・カテゴリーの管理、管理プロセスで構成されています。
リスク管理体制の概要
野村は、財務の健全性を維持し、企業価値を高めることを目的としたリスク管理のための枠組みを確立しています。
三つの防衛線による管理体制:
・ 第一の防衛線: フロント部署および全役職員がリスク管理に責任を負います。
・ 第二の防衛線: リスク管理部署が第一の防衛線をサポート・監視し、経営陣に報告します。
・ 第三の防衛線: 独立した内部監査部署がリスク管理の検証・評価を行い、監査委員会に報告します。
リスク・アペタイトの設定:
野村は経営戦略に基づき、許容するリスクの種類および水準を定め、定期的に見直しを行います。野村のリスク・アペタイトは、リスク管理統括責任者(CRO)および財務統括責任者(CFO)により提案され、経営会議の承認により決定されます。リスク・アペタイトはその後、執行側からの提案に対して同意を与える権限を有するリスク委員会でさらに審議されます。
リミット管理の枠組み
堅牢なリミット・モニタリングおよび管理を構築することは、リスクの適切なモニタリングおよび管理の要となります。リミット管理の枠組みにおいては、適正な水準の権限を有する組織階層においてリミットの承認が行われるように、エスカレーションの方針が策定されます。リスク・マネジメント部門およびファイナンス部門は、リミットの承認、モニタリング、必要に応じて実施する報告を含む、日々のリミット管理の運用に責任を有します。ビジネス部門は、当該リミットを遵守する責任を負います。リミットは、市場リスク、信用リスク、モデル・リスクなどの定量的指標に適用されます。
リスク管理の組織体制
野村は、経営戦略および経営資源の配分ならびに経営に係る重要事項を審議あるいは決定する機関として経営会議を設置しています。経営会議の委任を受け、グループ・リスク管理委員会は、野村の統合リスク管理に係る重要事項を審議または決定します。同委員会は、業務の健全かつ円滑な運営に資することを目的として運営され、グループCEO、グループCEO以外の代表執行役のうち議長が指名する1名、コンプライアンス統括責任者、リスク管理統括責任者(CRO)、財務統括責任者(CFO)、部門長および議長が指名する者から構成されます。野村は、適切な組織機構及び会議体を設置し、効果的にビジネスを推進しつつ、実効性のあるリスク管理を行います。
なお、リスク管理における取締役会とリスク委員会の各役割については、「(1)[コーポレート・ガバナンスの概要]<取締役会および委員会について>」をご参照ください。
リスク・カテゴリーと定義
野村は、リスクを以下のように分類し、それぞれを管理する部署を設置しています。
・ 財務リスク: 信用リスク、市場リスク、モデル・リスク
・ 非財務リスク: オペレーショナル・リスク、レピュテーショナル・リスク
・ 資金流動性リスク: 資金流動性リスク
・ その他のリスク: ESG(環境、社会、ガバナンス)、戦略リスク等
財務リスクと非財務リスクの詳細については後記をご参照ください。資金流動性リスクについては、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (5)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。
信用リスク
リスクの特性
信用リスクとは、債務者が債務不履行、破産、または法的手続き等により、合意された条件とおりに契約上の義務を履行できないことで生じる損失リスクを指し、オフ・バランス資産にかかる損失を含みます。当該リスクはまた、カウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメントにより損失を被るリスクを含みます。
リスク管理の方針
野村は、リスク・アペタイトに沿って、適切に信用リスクを取ることを可能にするリスク管理の枠組みを設計しています。
・ クレジット・リスク・マネジメント(CRM)は、個々のカウンターパーティの信用分析の結果に基づき、カウンターパーティまたは債務者の信用力を、内部格付を付すことにより表します。内部格付はデフォルト確率と紐付けされ、信用リスク・アセット額算出に使用されています。
・ カウンターパーティに対して発生するクレジット・エクスポージャーは、内部格付に基づき設定するクレジット・リミットにより管理されます。
信用リスク管理の対象には、カウンターパーティとの取引に加えて、ローン、プライベート・エクイティ投資、ファンド投資、投資有価証券のほか、信用リスク管理が必要と考えられる各種の債券や株式商品が含まれます。野村の信用リスクは、主にデリバティブ取引、証券貸借取引から発生しています。
手続き
野村における信用リスク管理は、以下のような手続きで行われています。
・ 内部格付の付与・更新:
CRMは、カウンターパーティの信用力評価を、対象先の事業環境、競争力、経営陣や財務面での強みや柔軟性に関する詳細なデュー・ディリジェンスや分析に基づき行います。また、クレジット・アナリストは、対象先の組織体制や、明示的なまたは暗黙の信用補完も考慮します。クレジット・アナリストは、内部格付を付与するとともに、年1回以上、見直しを行う責任を負います。
・ クレジット・リミットの設定:
CRMは、内部格付に基づき、カウンターパーティにクレジット・リミットを設定します。
・ エクスポージャーおよびリミット管理:
野村のクレジット・リスク・マネジメント・システムは、カウンターパーティレベルおよびグループ・レベルで、クレジット・エクスポージャーを計算・集計しています。これにより、日次でリミットの使用状況やエクスポージャーの集中リスクを把握・管理し、リミット超過が発生した場合には、適切に報告を行う体制を確立しています。
体制の概要
野村は、グローバルおよびリーガル・エンティティ単位で信用リスクを管理しており、以下の体制を構築しています。
ポリシー等:
・ リスク・アペタイトに基づくリスク管理体制の下、信用リスク管理の基本方針、リスク計測方法、クレジット・リミット設定にかかる承認権限、モニタリングなどに関する事項は、グローバル・ポリシー、スタンダード、プロシージャーで規定されています。
・ ポリシー等は、グループ・リスク管理委員会等による適正な承認手続きを経て制定され、信用リスク管理の基本方針のほか、クレジット・リミット設定にかかる承認権限を定めています。
クレジット・リスク・マネジメント(CRM):
・ CRMは、リスク・マネジメント部門内の信用リスクを管理するためのグローバルな組織であり、CROに報告を行っています。
・ CRMは、前述のポリシー等の実装、維持、管理に責任を負います。
信用リスク削減手法
リスクの特性およびリスク管理の方針
「信用リスク」を参照してください。
手続きおよび体制の概要
野村は、担保、保証、クレジット・デリバティブ等の手段により、信用リスクを削減しています。
担保契約
・ 信用リスクをさらに削減するため、野村では担保契約を活用しています。
・ 取引開始時、エクスポージャーの水準が変動した時、もしくはその他の事由が発生した際に、カウンターパーティから担保を受領できるようにしています。
マスター・ネッティング契約
・ 野村は、多くのカウンターパーティとの間で、国際スワップデリバティブ協会の基本契約書、またはそれに準ずる契約書(総称して「マスター・ネッティング契約」)を締結しています。
・ マスター・ネッティング契約を締結することで、債権、債務を相殺し、カウンターパーティのデフォルトにより発生する潜在的な損失額を減少させています。
デリバティブ等取引における与信相当額
以下は、2026年3月末における野村のトレーディング目的のデリバティブ等取引における与信相当額になります。カウンターパーティの信用格付と満期までの年限ごとに公正価値で表示しており、これらの信用格付は野村のCRMが付与した内部格付です。
(1)同一のカウンターパーティとのデリバティブ等取引の異なる満期の債権、債務の相殺額を表示しています。また、同一のカウンターパーティとの同一の満期の取引については、債権、債務の相殺後の金額を各年限の欄に表示しています。なお、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」および編纂書815「デリバティブとヘッジ」に基づき、デリバティブ等取引にかかる現金担保による相殺効果も勘案されています。
(2)「その他」は、無格付のカウンターパーティおよび特定のカウンターパーティを対象としない、ポートフォリオ・レベルでの評価調整を含んでいます。
(3)受入担保額がデリバティブ等取引の公正価値の合計を上回っている場合、野村の与信相当額を適切に表示しないためゼロと表記しております。
市場リスク
市場リスクは、市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失が発生するリスクです。
リスク管理の方針、手続きおよび体制の概要
リスクの特定、評価、管理および削減に係る方法ならびにヘッジの有効性に関する監視方法
・ 当社では、市場リスクを統計的に測定・モニタリングするために、Value at Risk(VaR)を利用しています。感応度分析やストレス・テストも評価手段として用いており、感応度は市場リスク・ファクターの単位当たりの変動によるポートフォリオ価値変化を示す指標です。感応度は資産種別によって異なり、リスク・ファクターごとの合算は原則として行いません。ストレス・テストでは、ポートフォリオ・リスクやテール・リスクの非線形性を含めて分析し、グループ全体から各部門、個々のトレーディング・デスクに至るまで市場リスク・ファクターを横断的に合算可能とします。
・ 市場リスクは、ビジネス部門やシニア・マネジメントに報告される日次レポート等を通じて、承認されたリミット内かどうかをモニタリングします。市場リスク管理は、フロント部門から独立した市場リスク部門が行い、体系的かつ効果的な認識、分析、報告および管理を通じて強固な枠組みを構築しています。市場リスク・リミットの使用状況は、Market Risk Limit Procedureに基づき、ビジネス・ヒエラルキーおよびリーガル・エンティティ・ヒエラルキーの各レベルで報告されます。
・ 市場リスク・リミットの使用額が事前に承認されたリミットを超過した場合、フロント部門は市場リスク部門と協力し、アクションプランを策定し、承認を得て実行します。リミット違反が発生した際は、ポリシーに従い、関係者および関連会議体に報告されます。
Value at Risk (VaR)
VaRは、株価、金利、クレジット・スプレッド、為替レート、コモディティ価格とこれらのボラティリティや相関を含む市場要因の不利な動きによる損失額を計測する指標です。
・ メソドロジーの前提
当社は、グループ全体のトレーディングに関するVaRの計測に、グローバルに統一されたVaRモデルを使用しています。ヒストリカル・シミュレーション法を採用し、過去2年間の市場データをもとに、現在のエクスポージャーに適用して保有期間1日の収益分布を生成し、将来の損失を必要な信頼水準(確率)で推定します。VaRモデルは、必要に応じて高品質なデータが得られない場合には代理変数を用いて能力を維持します。
・ VaRバックテスティング
VaRモデルのパフォーマンスは定期的にモニタリングされ、主に1日分の損失とVaR値の比較(バックテスティング)を実施しています。バックテスティングの結果はリスク・マネジメント部門が月次でレビューします。
・ VaRの限界と利点
VaRの主な利点は、異なる資産カテゴリーのリスクを合算可能であることです。しかし、過去データに基づくリスク計測であるため、直近の市場変動要因に基づく分布や相関からの推測が求められることを仮定します。加えて、VaRは流動性のある市場におけるリスクの把握には適していますが、急激な変動に対しては限界があります。そのため、VaRは厳しい事象の影響を完全には表しません。当社はVaRの限界を認識し、リスク管理プロセスの一要素として利用しています。
ノン・トレーディング・リスク
当社におけるノン・トレーディング・ポートフォリオの主な市場リスクは、取引関係維持やビジネス推進を目的として長期的に保有している投資有価証券にかかるもので、主に日本の株式市場の変動の影響を受けます。このポートフォリオの市場リスクを推定する手法のひとつに、東京証券取引所上場銘柄に対する主要インデックスであるTOPIXの変化に対する市場感応度分析があります。
当社では、TOPIXとビジネス推進を目的として保有する株式の直近90日間の市場価格の変動に基づく回帰分析を行います。当社の試算では、取引関係維持やビジネス推進を目的として保有する株式は、TOPIXが10%変動すると、2025年3月末で約77億円、2026年3月末で約112億円の損失が予想されました。TOPIXは2025年3月末は2,658.73ポイント、2026年3月末は3,497.86ポイントで引けております。このシミュレーションは、TOPIXとの回帰分析により算出された結果です。したがって、投資有価証券の個々の株式の価格変動により、実際の結果はこの試算とは異なる点にご留意ください。
オペレーショナル・リスク管理
当社はオペレーショナル・リスクを、内部プロセス、システム、役職員の行動の不適切さ、機能不全、または外部事象から生じる財務上の損失、法令違反、および当社グループの評判の悪化をともなう非財務的影響を被るリスクと定義しています。このリスクには、コンプライアンス、リーガル、ITおよび情報セキュリティ、不正、サードパーティに関するリスク、その他の非財務リスクが含まれます。この定義には戦略リスク(経営陣の不適切な意思決定による損失)やレピュテーショナル・リスクは含まれませんが、オペレーショナル・リスクの顕在化が当社グループの評判に影響を与える可能性があるため、両者は密接に関連しています。
リスク管理の方針および手続きの概要
当社はオペレーショナル・リスクの特定、評価、管理、モニタリングおよび報告が可能となる管理枠組みを整備しています。この枠組みは、経営会議から委任されたグループ・リスク管理委員会によって監督されています。オペレーショナル・リスク管理の枠組みは以下のように構成されています。
管理の枠組みの基盤
・ ポリシー・フレームワークの構築と維持:オペレーショナル・リスク管理の基本的事項をポリシーとして明文化しています。
・ 研修および理解の促進:オペレーショナル・リスク管理に対する認識を高める取組みです。
主要な管理活動
・ リスク事象の報告:オペレーショナル・リスクに起因する損失や利益、その他の影響が発生した事例や事故に関する情報を収集・報告するプロセスです。
・ RCSA(Risk & Control Self Assessment):自身の業務におけるオペレーショナル・リスクおよびリスク削減のために導入されたコントロールの評価、ならびに対応策の策定を行うプロセスです。オペレーショナル・リスク管理部署はこのプロセスを構築し、ビジネス・ユニットへの導入を支援します。
・ KRI(Key Risk Indicator):オペレーショナル・リスクに関する主要な指標を収集・監視し、予め定めた水準を超えた場合に必要な対応を行うプロセスです。
・ シナリオ分析:テール・リスク(低頻度かつ大規模な損失が発生するリスク)を評価し、必要に応じて統制の改善を行うプロセスです。
管理活動結果の活用
・ 分析および報告:オペレーショナル・リスク管理部署は、ビジネス・ユニットからの情報について事実確認や原因分析を行い、経営陣に報告します。
・ 所要資本の計算と配分:バーゼル規制および地域規制当局の要件に基づき、オペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本を計算します。
モデル・リスク管理
モデル・リスクとは、モデルの誤り、またはモデルの不正確または不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定の誤りを引き起こすリスク、または顧客からの信頼低下を招くリスクを指します。当社では、モデル・リスクを効果的に管理するために、モデルの開発、管理、検証、承認、使用、継続的モニタリング、定期レビューを含むモデル・リスク管理の枠組みを整備しています。この枠組みの中では、以下の要件を定めています:
・ モデルの開発と検証:新規モデルの導入および承認済みモデルの重要な変更に際しては、モデル開発チームから独立したチームによる検証を受けることが必要です。モデル変更の重要度は、モデル・リスク管理の実施手続きにおいて定めた基準に基づいて判定されます。
・ 独立検証:モデル検証チームは、複数の分析を通じてモデルの適切性を評価し、モデルの限界を特定し、モデル・リスクの定量化を図ります。このプロセスにより、モデルの信頼性と安全性が確保されます。
・ リスクの低減:モデルはモデル検証チームによる承認時点で使用制限、モデル・リザーブ、資本調整などの条件を適用することによりリスクが低減されます。これにより、モデルが経済的に健全であることを保証します。
・ 定期的な評価とモニタリング:承認されたモデルについては定期的に検証手続きを実施し、そのパフォーマンスを監視します。この監視は、モデルの適切性を継続的に評価するために重要な役割を果たします。
・ ガバナンスと承認:モデル・リスク・マネジメント・コミッティによって、モデル全体の監督、精査、ガバナンスが行われ、検証済みモデルの最終承認が実施されます。
以上のように、当社はモデル・リスクの管理体制を確立し、財務的および非財務的リスクを適切に把握・管理するための取り組みを強化しています。
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「社会からの信頼および株主、お客様をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高める」という経営目標を達成するうえで、コーポレート・ガバナンスの強化を最重要課題の1つと認識し、経営監督の実効性と経営の透明性を確保しつつ、持続的な成長と機動的なグループ経営を追求した体制の強化・充実に取り組んでおります。
当社は、株主、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーの立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みとしての実効性のあるコーポレート・ガバナンスの枠組みを示し、その実現に資することを目的として、「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」を定めております。
「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」は当社ホームページからご覧いただけます。
(https://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/main/04/teaserItems1/0/linkList/00/link/cg_guideline.pdf)
また、当社は、野村グループの役員・社員一人ひとりが遵守すべき行動規範として、「野村グループ行動規範」を策定しております。これは、野村グループの役職員が、野村グループ企業理念を具体的な行動に移すための指針となるものであり、あらゆる企業活動を野村グループ行動規範に基づいて実行、その遵守を徹底し、株主のみならず、あらゆるステークホルダーに対する責任を果たすべく努めております。
「野村グループ行動規範」は当社ホームページからご覧いただけます。
(https://www.nomuraholdings.com/jp/company/basic/main/04/teaserItems2/00/linkList/0/link/coc.pdf)
企業統治の体制の概要および当該企業統治の体制を採用する理由
当社は指名委員会等設置会社であり、以下の理由からこれが当社にとって現時点における最適な機関設計であると判断しております。
指名委員会等設置会社は、社外取締役を過半数とする指名・監査・報酬の三委員会を設置し、経営の監督と業務執行の分離による監督機能の強化および透明性の向上を図るとともに、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委任することで意思決定の迅速化が図られる体制です。また、指名委員会等設置会社は、当社が上場するNYSEの上場会社マニュアルに規定されるコーポレート・ガバナンスに関する基準に最も近いものであると考えております。
当社の企業統治の体制の概要は以下のとおりです。
<取締役会および委員会について>経営の監督と業務執行が制度的に分離された指名委員会等設置会社である当社では、取締役会および法定の指名・監査・報酬の三委員会に加え、リスク管理に関して取締役会による監督の深化を目的とする委員会である「リスク委員会」、ならびに社外取締役が当社の事業およびコーポレート・ガバナンスに関する事項について定期的に議論するための「社外取締役会議」を設置しております。
当社の取締役会は、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ることを目的とし、その主たる役割を経営の監督としております。取締役会は、経営の公正性・透明性を確保するとともに、「経営の基本方針」を決定し、当該方針を踏まえたグループCEOその他の会社を経営する執行役の選任および当社の重要な業務執行の決定を行っております。
当社の取締役会は、多角的な視点から活発な議論を行うことができるよう、性別、国際性および職歴等の多様性と、財務、企業経営、法律等の専門性を備えた人員で構成することを原則としております。また、その監督機能を適切に発揮するため、社外取締役を過半とすることを原則としております。
当社の現在の取締役会は、全12名のうち8名が社外取締役であり、そのうち外国人取締役が4名、女性取締役が3名という多様な人員構成となっております。また、経営、グローバル、金融業、会計財務、法制度・規制、内部統制(リスク管理含む)、デジタル・IT・DXおよびサステナビリティなどの専門性や経験を備えた人員構成となっております。特に、米国ビジネスの拡大を受けて、米国の金融業界、マクロ経済、規制環境に精通する取締役を選任しております。さらに、取締役の地理的分散を考慮し、アジアから金融に精通する取締役を選任するとともに、グローバルな経営的知見の重要性に鑑みて、グローバルに事業展開する日本企業の経営者である取締役を選任しております。
当社の取締役会については、執行役を兼務しない取締役を議長とすることで、執行役の業務執行に対する監督に専念できる体制の強化を図っております。また、指名・監査・報酬・リスクの各委員会については、社外取締役を委員長とすることで、業務執行からの独立性を一層明確にしております。
現在の当社の取締役会および委員会の構成
(提出日現在)
| 役職および氏名 | 委員会 |
| 取締役会長 永井浩二 | - |
| 取締役 代表執行役社長グループCEO 奥田健太郎 | - |
| 取締役 代表執行役副社長 中島豊 | - |
| 取締役 小川祥司 | 監査委員(常勤)、リスク委員 |
| 社外取締役 Victor Chu(ビクター・チュー) | 監査委員 |
| 社外取締役 J. Christopher Giancarlo (クリストファー・ジャンカルロ) | リスク委員 |
| 社外取締役 Patricia Mosser(パトリシア・モッサー) | リスク委員(委員長) |
| 社外取締役 高原豪久 | 指名委員、報酬委員 |
| 社外取締役 石黒美幸 | 指名委員、報酬委員、リスク委員 |
| 社外取締役 石塚雅博 | 監査委員(委員長) |
| 社外取締役 大島卓 | 指名委員(委員長)、報酬委員(委員長) |
| 社外取締役 Nellie Liang(ネリー・リャン) | リスク委員 |
当社は、2026年6月23日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として「取締役11名選任の件」を提案しております。当該議案が承認可決されますと、当社の取締役会および委員会の構成は以下のとおりとなる予定です。
なお、当該定時株主総会の直後に開催予定の取締役会において決議事項として予定している内容も含めて記載しております。
| 役職および氏名 | 委員会 |
| 取締役会長 永井浩二 | - |
| 取締役 代表執行役社長グループCEO 奥田健太郎 | - |
| 取締役 代表執行役副社長 中島豊 | - |
| 取締役 小川祥司 | 監査委員(常勤)、リスク委員 |
| 社外取締役 Victor Chu(ビクター・チュー) | 監査委員 |
| 社外取締役 Patricia Mosser(パトリシア・モッサー) | リスク委員(委員長) |
| 社外取締役 高原豪久 | 指名委員、報酬委員 |
| 社外取締役 石黒美幸 | 指名委員、報酬委員、リスク委員 |
| 社外取締役 石塚雅博 | 監査委員(委員長) |
| 社外取締役 大島卓 | 指名委員(委員長)、報酬委員(委員長) |
| 社外取締役 Nellie Liang(ネリー・リャン) | リスク委員 |
当社の取締役会は、3か月に1回以上の頻度で2026年3月期には合計11回開催されております。
2026年3月期における各取締役の取締役会への出席状況
(2026年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2026年3月期) |
| 取締役会長 永井浩二 | 11回/11回 |
| 取締役 代表執行役社長グループCEO 奥田健太郎 | 11回/11回 |
| 取締役 代表執行役副社長 中島豊 | 10回/11回 |
| 取締役 小川祥司 | 11回/11回 |
| 社外取締役 Victor Chu(ビクター・チュー) | 10回/11回 |
| 社外取締役 J. Christopher Giancarlo (クリストファー・ジャンカルロ) | 10回/11回 |
| 社外取締役 Patricia Mosser(パトリシア・モッサー) | 11回/11回 |
| 社外取締役 高原豪久 | 11回/11回 |
| 社外取締役 石黒美幸 | 11回/11回 |
| 社外取締役 石塚雅博 | 11回/11回 |
| 社外取締役 大島卓 | 11回/11回 |
| 社外取締役 Nellie Liang(ネリー・リャン) | 9回/9回 (就任後の開催回数) |
2026年3月期における当社の取締役会の具体的な検討内容
取締役会では、業務執行全般に加えて、サステナビリティ等の特定の領域について、執行側からの定期的な報告を実施しました。また、経営戦略、各部門の戦略、情報開示等の重要課題についても審議を実施しました。その概要は以下のとおりです。
| 主たる検討内容 | |
| ウェルス・マネジメント部門の今後の戦略 | 足元の状況、経営ビジョン達成に向けた人材の確保・育成施策、ワークプレイスを通じたエマージング・ウェルス顧客とのビジネス拡大、テクノロジーを活用したパートナーの行動変容等 |
| インベストメント・マネジメント部門の今後の戦略 | 足元の状況、経営ビジョン達成に向けた運用ソリューションの提供、プライベートおよびリアル・アセット領域の拡大等 |
| ホールセール部門の今後の戦略 | 足元の状況、経営ビジョン達成に向けたプラットフォーム管理とオペレーティング・モデル、顧客基盤の強化拡大、新たな地域での成長機会の追及等 |
| バンキング部門の戦略 | 足元の状況、経営ビジョン達成に向けた顧客獲得施策、プロダクト・サービスの展開、預金スイープの進捗等 |
| 2027年3月期予算および戦略 | 予算策定にあたっての考え方、各部門の戦略等 |
| マッコーリー・グループの米国・欧州におけるパブリック・アセットマネジメント事業の買収・統合について | 買収の戦略的意義、今後のブランディング戦略、経営体制、統合の方針、投資家および市場からの反応、収益化への寄与等 |
| 資本コストや株価を意識した経営の実現への対応 | 当社の株主資本コスト、2030年に向けた経営ビジョン、企業価値(PBR)向上に向けた取組み、Nomura Report 2025での開示等 |
| CET1比率ターゲット・レンジの設定 | ターゲット・レンジ設定の背景、バーゼルⅢ最終化に伴う影響、同業他社との比較等 |
| 事案の対応策等の進捗について | 課徴金納付事案再発防止策および元社員事案を受けた対応策の進捗等 |
| フィッシング詐欺等による不正取引について | 対応状況、不正取引を防止するためのセキュリティ対策、被害補償および今後の対応の方針等 |
| 株主との対話 | 株主との対話実施状況、議決権行使結果、社外取締役の関与を含めたエンゲージメント向上への取組み、今後の活動方針等 |
| インベスター・デー | 経営ビジョンの進捗状況、2030年に向けたビジネスの成長戦略等 |
| AEJビジネス環境 | AEJにおける各ビジネスの状況、今後の展開および成長戦略等 |
| サステナビリティ関連報告 | マテリアリティの特定および開示、パーパスとの関係性等 |
| 政策保有株式検討委員会報告 | 政策保有株式の保有状況、今後の削減目標等 |
| 2025年野村グループ従業員サーベイの結果および今後の対応 | 従業員サーベイの結果、地域別の差異、抽出された課題に対する今後のアクションプラン等 |
| 取締役会評価に関する報告 | 2025年度に実施した取締役会の実効性強化に向けた取組み等(※) |
(※)取締役会評価については、社外取締役会議においても議論を行いました。なお、最新の取締役会評価の結果については、当社「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」で開示しております。
(URL)https://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/main/04/teaserItems1/01/linkList/0/link/cg_report.pdf
当社の各委員会の役割および活動状況は以下のとおりです。
① 指名委員会
株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。指名委員会においては、グループCEOの後継者計画について、今後の経営環境を踏まえて求められる資質や候補者案について議論を行うなどガバナンスの更なる発展に取り組んでおります。
当社の指名委員会は、1年に1回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2026年3月期には合計6回開催されております。
2026年3月期における各取締役の指名委員会への出席状況
(2026年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2026年3月期) | |
| 指名委員(委員長) | 社外取締役 大島卓 | 6回/6回 |
| 指名委員 | 社外取締役 高原豪久 | 6回/6回 |
| 指名委員 | 社外取締役 石黒美幸 | 5回/5回 (就任後の開催回数) |
2026年3月期における当社の指名委員会の具体的な検討内容
| 主たる検討内容 | |
| グループCEOの後継者計画 | ・グループCEOの後継者計画について議論 ・経営環境等を踏まえたグループCEOに求められる資質や後継者計画の主要なプロセスについて執行側より委員会に報告し、議論 |
| 社外取締役候補者の決定 | ・社外取締役候補者の決定について議論 ・選定にあたって、以下の観点を考慮 ・性別、国際性および職歴等の観点を踏まえて多様性を備えた構成となること ・経営監督機能を適切に発揮すべく、社外取締役が過半数となること ・社外取締役の独立性基準を原則として満たす者であること ・財務、企業経営、法律等の専門家を含むこと ・上場会社の取締役・監査役・執行役の兼任数の基準(社外取締役は当社の他に原則3社まで)を満たすこと |
| 社内取締役候補者の決定 | ・社内取締役候補者の決定について議論 ・選定にあたって、以下の観点を考慮 ・監査委員会による監査の実効性を高めるため、取締役会が、野村グループの業務に精通した社内出身の執行役を兼務しない取締役を常勤監査委員または監査特命取締役として選定することとしていること |
② 監査委員会
取締役および執行役の職務の執行の監査ならびに監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行う法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。すべての委員は、米国企業改革法に基づく独立性の要件を満たしております。また、石塚雅博は同法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有するものであります。
2026年3月期における各取締役の監査委員会への出席状況
(2026年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2026年3月期) | |
| 監査委員(委員長) | 社外取締役 石塚雅博 | 13回/13回 |
| 監査委員 | 社外取締役 Victor Chu(ビクター・チュー) | 12回/13回 |
| 監査委員(常勤) | 取締役(非業務執行) 小川祥司 | 13回/13回 |
当社の監査委員会の活動状況については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](3)[監査の状況]」に記載のとおりです。
③ 報酬委員会
取締役および執行役の報酬等の内容にかかる決定に関する方針ならびに個人別の報酬等の内容を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。
当社の報酬委員会は、1年に1回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2026年3月期には合計5回開催されております。
2026年3月期における各取締役の報酬委員会への出席状況
(2026年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2026年3月期) | |
| 報酬委員(委員長) | 社外取締役 大島卓 | 5回/5回 |
| 報酬委員 | 社外取締役 高原豪久 | 5回/5回 |
| 報酬委員 | 社外取締役 石黒美幸 | 4回/4回 (就任後の開催回数) |
当社の報酬委員会の具体的な検討内容については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](4)[役員の報酬等]」に記載のとおりです。
④ リスク委員会
取締役会による野村グループのリスク管理の監督を補助し、リスク管理の高度化に資することを目的とする任意の機関であり、取締役会で5名の委員を選定しております。
当社のリスク委員会は、1年に4回以上の頻度で必要に応じて随時開催され、2026年3月期には合計5回開催されております。
2026年3月期における各取締役のリスク委員会への出席状況
(2026年3月31日現在)
| 役職および氏名 | 出席状況(2026年3月期) | |
| リスク委員(委員長) | 社外取締役 Patricia Mosser (パトリシア・モッサー) | 5回/5回 |
| リスク委員 | 社外取締役 J. Christopher Giancarlo (クリストファー・ジャンカルロ) | 4回/5回 |
| リスク委員 | 社外取締役 石黒美幸 | 5回/5回 |
| リスク委員 | 社外取締役 Nellie Liang(ネリー・リャン) | 5回/5回 |
| リスク委員 | 取締役(非業務執行) 小川祥司 | 5回/5回 |
2026年3月期における当社のリスク委員会の具体的な検討内容
| 主たる検討内容 | |
| リスク・アペタイト | リスク・アペタイトの定期的な見直し、リスク・アペタイト・ステートメントの改定 |
| リスク管理の高度化・強化 | IT・サイバーリスク管理の高度化や強化に向けた取組み、流動性リスク管理高度化の取組み、三線管理の枠組みの更なる浸透に向けた取組み |
| トップリスク/エマージングリスク | 当社の経営戦略や財務面に重大な影響を及ぼす可能性の高いリスクのアウトルックと紐づく当社戦略 |
| 規制遵守 | バーゼルⅢ資本規制への対応状況 |
(※)上記検討内容を踏まえた当社のリスク管理の詳細については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](1)[コーポレート・ガバナンスの概要]リスク管理体制の概要」に記載のとおりです。
<業務執行の仕組み>当社は指名委員会等設置会社であることから、取締役会は業務執行の決定の権限を法律で認められる限りにおいて執行役に対して原則として委任し、執行役が当社の業務を機動的に執行する体制をとっております。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、特に重要な業務執行については「経営会議」、「グループ・リスク管理委員会」、「野村グループ・コンダクト委員会」、「サステナビリティ委員会」といった会議体における審議を経て決定することとしております。また、経営会議等での審議状況について、取締役会は各会議体から適宜報告を受けることとしております。
各会議体の役割および構成については以下のとおりです。
① 経営会議
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、執行役および代表執行役社長 グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループの経営戦略、事業計画および予算ならびに経営資源の配分をはじめとする、野村グループの経営にかかる重要事項について審議・決定しております。
② グループ・リスク管理委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEO以外の代表執行役のうち議長が指名する者、コンプライアンス統括責任者(CCO)、リスク管理統括責任者(CRO)、財務統括責任者(CFO)、部門長(ビジネスを行う部門の責任者)および議長が指名する者から構成される会議体であり、経営会議からの委任を受けて、野村グループの統合リスク管理に関する重要事項について審議・決定しております。
③ 野村グループ・コンダクト委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループにおけるコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理上必要な事項の審議、ならびに「野村グループ行動規範」の定着のために必要な事項について審議・決定しております。
④ サステナビリティ委員会
代表執行役社長 グループCEO 奥田健太郎を議長とし、代表執行役社長 グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループにおけるサステナビリティ推進にかかる戦略等について審議・決定しております。
また、高度化・専門化する金融業務における業務執行体制の一層の強化を図るため、執行役から業務執行権限の一部の委任を受け、個々の担当分野のビジネス、オペレーションに専念する役割を担う「執行役員」を設置しております。
コーポレート・ガバナンス体制
(提出日現在)

(2026年6月23日開催予定の定時株主総会終了後の取締役会決議後)

内部統制システム整備の状況および提出会社の子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況
当社は、経営の透明性・効率性の確保、法令・諸規則の遵守、リスク管理、事業・財務報告の信頼性の確保、適時・適切な情報開示の促進といった観点から、グループ全体にわたる企業行動の適正化を推進するための内部統制システムの強化・充実に努めております。
当社における内部統制システムは、取締役会において、「野村ホールディングスにおける業務の適正を確保するための体制」として決議しており、当該体制にはグループとしての内部統制システムの整備に関する事項も含まれております。また、野村グループ各社においても、当社の決議内容を踏まえ、それぞれ自社の実情に合った内部統制システムの整備を行っております。
■内部統制システムの構造

取締役の定数
当社の取締役は20名以内とする旨を定款に定めております。
取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う旨を定款に定めております。
剰余金の配当等の決定機関
当社は、経営環境の変化に機動的に対応した株主への利益還元や資本政策を遂行できるよう、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。
取締役および執行役の責任免除
当社は、取締役および執行役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮することができるよう、会社法第426条第1項の規定により、会社法第423条第1項に定める取締役(取締役であった者を含む。)および執行役(執行役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。
責任限定契約
当社は、取締役 小川祥司および社外取締役全員と会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく責任の限度額は、2,000万円または法令が規定する額のいずれか高い額となります。
役員等賠償責任保険契約
当社は、当社およびその子会社等の取締役、執行役、執行役員、監査役および幹部社員等を被保険者として、会社法第430条の3第1項に定める役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しております。当該保険契約では、被保険者が会社の役員等の地位に基づき行った行為(不作為を含む。)に起因して損害賠償請求がなされたことにより被保険者が被る損害賠償金や訴訟費用等が塡補されることとなり、被保険者のすべての保険料を当社が全額負担しております。ただし、役員等個人の故意かつ詐欺的もしくは不誠実な行為に起因するもの等一定の免責事由があります。
種類株式について
資金調達の選択肢を可能な限り広く確保し、将来にわたり経済やビジネスの環境変化に迅速に対応していくことが可能となるよう、当社は、普通株式のほか、無議決権優先株式を発行できる旨を定款に定めております。優先株式の単元株式数は普通株式と同数の100株であり、優先株主は、普通株主に先立ち優先配当金を受けている限り、すべての事項につき株主総会において議決権を行使することができません。
なお、提出日現在、現に発行している株式は普通株式のみであります。
リスク管理概要
当社の事業活動は、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、その他外生的事象に起因する多様なリスクに晒されています。以下にリスク管理の概要を示します。
リスクの特性
野村では、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、モデル・リスクなど業務運営によって生じる不測の損失により当社グループの資本が毀損する可能性、および当社グループの信用力の低下または市場環境の悪化により、必要な資金の確保が困難になる資金流動性リスク、さらに誤った経営判断、拙速なまたは誤った事業の推進、または業界や外部環境の変化に対する不作為により、現在および将来の収益、自己資本、資金流動性、企業価値、または野村のレピュテーションが被る戦略リスクなどを管理しています。野村に影響を与える可能性のある追加のリスクについては、「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」に記載されています。
リスク管理の方針
当社は全社員がリスク管理を行う主体であるとの認識のもと、能動的にリスク管理に取り組むことを基本方針とし、組織内の全階層で積極的なリスク管理を推進しています。リスクはリスク・アペタイトの範囲内に抑制することを目指しています。
リスク管理手続き
・ リスクに関する経営情報の算出、集計、報告およびモニタリングを行い、意思決定に貢献する情報を提供します。
・ リスク・マネジメント部門とファイナンス部門は、リスク・アペタイトに対応するポジションの状況を定期的に取りまとめ、データの適切な管理を実施します。
・ 経営情報はリスク・カテゴリー全般にわたり、さまざまなリスク管理手法を用いて作成されます。
・ 当社のリスク管理の枠組みは、リスク・アペタイト、ガバナンスおよび監督、財務的資源の管理、すべてのリスク・カテゴリーの管理、管理プロセスで構成されています。
リスク管理体制の概要
野村は、財務の健全性を維持し、企業価値を高めることを目的としたリスク管理のための枠組みを確立しています。
三つの防衛線による管理体制:
・ 第一の防衛線: フロント部署および全役職員がリスク管理に責任を負います。
・ 第二の防衛線: リスク管理部署が第一の防衛線をサポート・監視し、経営陣に報告します。
・ 第三の防衛線: 独立した内部監査部署がリスク管理の検証・評価を行い、監査委員会に報告します。
リスク・アペタイトの設定:
野村は経営戦略に基づき、許容するリスクの種類および水準を定め、定期的に見直しを行います。野村のリスク・アペタイトは、リスク管理統括責任者(CRO)および財務統括責任者(CFO)により提案され、経営会議の承認により決定されます。リスク・アペタイトはその後、執行側からの提案に対して同意を与える権限を有するリスク委員会でさらに審議されます。
リミット管理の枠組み
堅牢なリミット・モニタリングおよび管理を構築することは、リスクの適切なモニタリングおよび管理の要となります。リミット管理の枠組みにおいては、適正な水準の権限を有する組織階層においてリミットの承認が行われるように、エスカレーションの方針が策定されます。リスク・マネジメント部門およびファイナンス部門は、リミットの承認、モニタリング、必要に応じて実施する報告を含む、日々のリミット管理の運用に責任を有します。ビジネス部門は、当該リミットを遵守する責任を負います。リミットは、市場リスク、信用リスク、モデル・リスクなどの定量的指標に適用されます。
リスク管理の組織体制
野村は、経営戦略および経営資源の配分ならびに経営に係る重要事項を審議あるいは決定する機関として経営会議を設置しています。経営会議の委任を受け、グループ・リスク管理委員会は、野村の統合リスク管理に係る重要事項を審議または決定します。同委員会は、業務の健全かつ円滑な運営に資することを目的として運営され、グループCEO、グループCEO以外の代表執行役のうち議長が指名する1名、コンプライアンス統括責任者、リスク管理統括責任者(CRO)、財務統括責任者(CFO)、部門長および議長が指名する者から構成されます。野村は、適切な組織機構及び会議体を設置し、効果的にビジネスを推進しつつ、実効性のあるリスク管理を行います。
なお、リスク管理における取締役会とリスク委員会の各役割については、「(1)[コーポレート・ガバナンスの概要]<取締役会および委員会について>」をご参照ください。
リスク・カテゴリーと定義
野村は、リスクを以下のように分類し、それぞれを管理する部署を設置しています。
・ 財務リスク: 信用リスク、市場リスク、モデル・リスク
・ 非財務リスク: オペレーショナル・リスク、レピュテーショナル・リスク
・ 資金流動性リスク: 資金流動性リスク
・ その他のリスク: ESG(環境、社会、ガバナンス)、戦略リスク等
財務リスクと非財務リスクの詳細については後記をご参照ください。資金流動性リスクについては、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (5)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。
信用リスク
リスクの特性
信用リスクとは、債務者が債務不履行、破産、または法的手続き等により、合意された条件とおりに契約上の義務を履行できないことで生じる損失リスクを指し、オフ・バランス資産にかかる損失を含みます。当該リスクはまた、カウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメントにより損失を被るリスクを含みます。
リスク管理の方針
野村は、リスク・アペタイトに沿って、適切に信用リスクを取ることを可能にするリスク管理の枠組みを設計しています。
・ クレジット・リスク・マネジメント(CRM)は、個々のカウンターパーティの信用分析の結果に基づき、カウンターパーティまたは債務者の信用力を、内部格付を付すことにより表します。内部格付はデフォルト確率と紐付けされ、信用リスク・アセット額算出に使用されています。
・ カウンターパーティに対して発生するクレジット・エクスポージャーは、内部格付に基づき設定するクレジット・リミットにより管理されます。
信用リスク管理の対象には、カウンターパーティとの取引に加えて、ローン、プライベート・エクイティ投資、ファンド投資、投資有価証券のほか、信用リスク管理が必要と考えられる各種の債券や株式商品が含まれます。野村の信用リスクは、主にデリバティブ取引、証券貸借取引から発生しています。
手続き
野村における信用リスク管理は、以下のような手続きで行われています。
・ 内部格付の付与・更新:
CRMは、カウンターパーティの信用力評価を、対象先の事業環境、競争力、経営陣や財務面での強みや柔軟性に関する詳細なデュー・ディリジェンスや分析に基づき行います。また、クレジット・アナリストは、対象先の組織体制や、明示的なまたは暗黙の信用補完も考慮します。クレジット・アナリストは、内部格付を付与するとともに、年1回以上、見直しを行う責任を負います。
・ クレジット・リミットの設定:
CRMは、内部格付に基づき、カウンターパーティにクレジット・リミットを設定します。
・ エクスポージャーおよびリミット管理:
野村のクレジット・リスク・マネジメント・システムは、カウンターパーティレベルおよびグループ・レベルで、クレジット・エクスポージャーを計算・集計しています。これにより、日次でリミットの使用状況やエクスポージャーの集中リスクを把握・管理し、リミット超過が発生した場合には、適切に報告を行う体制を確立しています。
体制の概要
野村は、グローバルおよびリーガル・エンティティ単位で信用リスクを管理しており、以下の体制を構築しています。
ポリシー等:
・ リスク・アペタイトに基づくリスク管理体制の下、信用リスク管理の基本方針、リスク計測方法、クレジット・リミット設定にかかる承認権限、モニタリングなどに関する事項は、グローバル・ポリシー、スタンダード、プロシージャーで規定されています。
・ ポリシー等は、グループ・リスク管理委員会等による適正な承認手続きを経て制定され、信用リスク管理の基本方針のほか、クレジット・リミット設定にかかる承認権限を定めています。
クレジット・リスク・マネジメント(CRM):
・ CRMは、リスク・マネジメント部門内の信用リスクを管理するためのグローバルな組織であり、CROに報告を行っています。
・ CRMは、前述のポリシー等の実装、維持、管理に責任を負います。
信用リスク削減手法
リスクの特性およびリスク管理の方針
「信用リスク」を参照してください。
手続きおよび体制の概要
野村は、担保、保証、クレジット・デリバティブ等の手段により、信用リスクを削減しています。
担保契約
・ 信用リスクをさらに削減するため、野村では担保契約を活用しています。
・ 取引開始時、エクスポージャーの水準が変動した時、もしくはその他の事由が発生した際に、カウンターパーティから担保を受領できるようにしています。
マスター・ネッティング契約
・ 野村は、多くのカウンターパーティとの間で、国際スワップデリバティブ協会の基本契約書、またはそれに準ずる契約書(総称して「マスター・ネッティング契約」)を締結しています。
・ マスター・ネッティング契約を締結することで、債権、債務を相殺し、カウンターパーティのデフォルトにより発生する潜在的な損失額を減少させています。
デリバティブ等取引における与信相当額
以下は、2026年3月末における野村のトレーディング目的のデリバティブ等取引における与信相当額になります。カウンターパーティの信用格付と満期までの年限ごとに公正価値で表示しており、これらの信用格付は野村のCRMが付与した内部格付です。
| (単位:十億円) | ||||||||||||||||||
| 信用格付 | 満期までの年限 | 異なる満期間の相殺(1) | 公正価値の合計 (a) | 受入担保額(b) | 再構築コスト(3) (a)-(b) | |||||||||||||
| 1年未満 | 1年から3年 | 3年から5年 | 5年から7年 | 7年超 | ||||||||||||||
| AAA | 6 | 15 | 11 | 4 | 45 | △73 | 8 | 1 | 7 | |||||||||
| AA | 401 | 438 | 482 | 671 | 3,626 | △4,887 | 731 | 134 | 597 | |||||||||
| A | 457 | 344 | 270 | 219 | 1,127 | △1,929 | 488 | 186 | 302 | |||||||||
| BBB | 378 | 171 | 105 | 66 | 488 | △504 | 704 | 257 | 447 | |||||||||
| BB以下 | 104 | 189 | 73 | 35 | 41 | △238 | 204 | 740 | - | |||||||||
| その他(2) | 90 | 20 | 28 | 1 | 29 | △170 | △2 | 21 | - | |||||||||
| 小計(店頭取引デリバティブ) | 1,436 | 1,177 | 969 | 996 | 5,356 | △7,801 | 2,133 | 1,339 | 1,353 | |||||||||
| 上場デリバティブ | 924 | 138 | 213 | 42 | 0 | △557 | 760 | 126 | 634 | |||||||||
| 合計 | 2,360 | 1,315 | 1,182 | 1,038 | 5,356 | △8,358 | 2,893 | 1,465 | 1,987 | |||||||||
(1)同一のカウンターパーティとのデリバティブ等取引の異なる満期の債権、債務の相殺額を表示しています。また、同一のカウンターパーティとの同一の満期の取引については、債権、債務の相殺後の金額を各年限の欄に表示しています。なお、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」および編纂書815「デリバティブとヘッジ」に基づき、デリバティブ等取引にかかる現金担保による相殺効果も勘案されています。
(2)「その他」は、無格付のカウンターパーティおよび特定のカウンターパーティを対象としない、ポートフォリオ・レベルでの評価調整を含んでいます。
(3)受入担保額がデリバティブ等取引の公正価値の合計を上回っている場合、野村の与信相当額を適切に表示しないためゼロと表記しております。
市場リスク
市場リスクは、市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失が発生するリスクです。
リスク管理の方針、手続きおよび体制の概要
リスクの特定、評価、管理および削減に係る方法ならびにヘッジの有効性に関する監視方法
・ 当社では、市場リスクを統計的に測定・モニタリングするために、Value at Risk(VaR)を利用しています。感応度分析やストレス・テストも評価手段として用いており、感応度は市場リスク・ファクターの単位当たりの変動によるポートフォリオ価値変化を示す指標です。感応度は資産種別によって異なり、リスク・ファクターごとの合算は原則として行いません。ストレス・テストでは、ポートフォリオ・リスクやテール・リスクの非線形性を含めて分析し、グループ全体から各部門、個々のトレーディング・デスクに至るまで市場リスク・ファクターを横断的に合算可能とします。
・ 市場リスクは、ビジネス部門やシニア・マネジメントに報告される日次レポート等を通じて、承認されたリミット内かどうかをモニタリングします。市場リスク管理は、フロント部門から独立した市場リスク部門が行い、体系的かつ効果的な認識、分析、報告および管理を通じて強固な枠組みを構築しています。市場リスク・リミットの使用状況は、Market Risk Limit Procedureに基づき、ビジネス・ヒエラルキーおよびリーガル・エンティティ・ヒエラルキーの各レベルで報告されます。
・ 市場リスク・リミットの使用額が事前に承認されたリミットを超過した場合、フロント部門は市場リスク部門と協力し、アクションプランを策定し、承認を得て実行します。リミット違反が発生した際は、ポリシーに従い、関係者および関連会議体に報告されます。
Value at Risk (VaR)
VaRは、株価、金利、クレジット・スプレッド、為替レート、コモディティ価格とこれらのボラティリティや相関を含む市場要因の不利な動きによる損失額を計測する指標です。
・ メソドロジーの前提
当社は、グループ全体のトレーディングに関するVaRの計測に、グローバルに統一されたVaRモデルを使用しています。ヒストリカル・シミュレーション法を採用し、過去2年間の市場データをもとに、現在のエクスポージャーに適用して保有期間1日の収益分布を生成し、将来の損失を必要な信頼水準(確率)で推定します。VaRモデルは、必要に応じて高品質なデータが得られない場合には代理変数を用いて能力を維持します。
・ VaRバックテスティング
VaRモデルのパフォーマンスは定期的にモニタリングされ、主に1日分の損失とVaR値の比較(バックテスティング)を実施しています。バックテスティングの結果はリスク・マネジメント部門が月次でレビューします。
・ VaRの限界と利点
VaRの主な利点は、異なる資産カテゴリーのリスクを合算可能であることです。しかし、過去データに基づくリスク計測であるため、直近の市場変動要因に基づく分布や相関からの推測が求められることを仮定します。加えて、VaRは流動性のある市場におけるリスクの把握には適していますが、急激な変動に対しては限界があります。そのため、VaRは厳しい事象の影響を完全には表しません。当社はVaRの限界を認識し、リスク管理プロセスの一要素として利用しています。
ノン・トレーディング・リスク
当社におけるノン・トレーディング・ポートフォリオの主な市場リスクは、取引関係維持やビジネス推進を目的として長期的に保有している投資有価証券にかかるもので、主に日本の株式市場の変動の影響を受けます。このポートフォリオの市場リスクを推定する手法のひとつに、東京証券取引所上場銘柄に対する主要インデックスであるTOPIXの変化に対する市場感応度分析があります。
当社では、TOPIXとビジネス推進を目的として保有する株式の直近90日間の市場価格の変動に基づく回帰分析を行います。当社の試算では、取引関係維持やビジネス推進を目的として保有する株式は、TOPIXが10%変動すると、2025年3月末で約77億円、2026年3月末で約112億円の損失が予想されました。TOPIXは2025年3月末は2,658.73ポイント、2026年3月末は3,497.86ポイントで引けております。このシミュレーションは、TOPIXとの回帰分析により算出された結果です。したがって、投資有価証券の個々の株式の価格変動により、実際の結果はこの試算とは異なる点にご留意ください。
オペレーショナル・リスク管理
当社はオペレーショナル・リスクを、内部プロセス、システム、役職員の行動の不適切さ、機能不全、または外部事象から生じる財務上の損失、法令違反、および当社グループの評判の悪化をともなう非財務的影響を被るリスクと定義しています。このリスクには、コンプライアンス、リーガル、ITおよび情報セキュリティ、不正、サードパーティに関するリスク、その他の非財務リスクが含まれます。この定義には戦略リスク(経営陣の不適切な意思決定による損失)やレピュテーショナル・リスクは含まれませんが、オペレーショナル・リスクの顕在化が当社グループの評判に影響を与える可能性があるため、両者は密接に関連しています。
リスク管理の方針および手続きの概要
当社はオペレーショナル・リスクの特定、評価、管理、モニタリングおよび報告が可能となる管理枠組みを整備しています。この枠組みは、経営会議から委任されたグループ・リスク管理委員会によって監督されています。オペレーショナル・リスク管理の枠組みは以下のように構成されています。
管理の枠組みの基盤
・ ポリシー・フレームワークの構築と維持:オペレーショナル・リスク管理の基本的事項をポリシーとして明文化しています。
・ 研修および理解の促進:オペレーショナル・リスク管理に対する認識を高める取組みです。
主要な管理活動
・ リスク事象の報告:オペレーショナル・リスクに起因する損失や利益、その他の影響が発生した事例や事故に関する情報を収集・報告するプロセスです。
・ RCSA(Risk & Control Self Assessment):自身の業務におけるオペレーショナル・リスクおよびリスク削減のために導入されたコントロールの評価、ならびに対応策の策定を行うプロセスです。オペレーショナル・リスク管理部署はこのプロセスを構築し、ビジネス・ユニットへの導入を支援します。
・ KRI(Key Risk Indicator):オペレーショナル・リスクに関する主要な指標を収集・監視し、予め定めた水準を超えた場合に必要な対応を行うプロセスです。
・ シナリオ分析:テール・リスク(低頻度かつ大規模な損失が発生するリスク)を評価し、必要に応じて統制の改善を行うプロセスです。
管理活動結果の活用
・ 分析および報告:オペレーショナル・リスク管理部署は、ビジネス・ユニットからの情報について事実確認や原因分析を行い、経営陣に報告します。
・ 所要資本の計算と配分:バーゼル規制および地域規制当局の要件に基づき、オペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本を計算します。
モデル・リスク管理
モデル・リスクとは、モデルの誤り、またはモデルの不正確または不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定の誤りを引き起こすリスク、または顧客からの信頼低下を招くリスクを指します。当社では、モデル・リスクを効果的に管理するために、モデルの開発、管理、検証、承認、使用、継続的モニタリング、定期レビューを含むモデル・リスク管理の枠組みを整備しています。この枠組みの中では、以下の要件を定めています:
・ モデルの開発と検証:新規モデルの導入および承認済みモデルの重要な変更に際しては、モデル開発チームから独立したチームによる検証を受けることが必要です。モデル変更の重要度は、モデル・リスク管理の実施手続きにおいて定めた基準に基づいて判定されます。
・ 独立検証:モデル検証チームは、複数の分析を通じてモデルの適切性を評価し、モデルの限界を特定し、モデル・リスクの定量化を図ります。このプロセスにより、モデルの信頼性と安全性が確保されます。
・ リスクの低減:モデルはモデル検証チームによる承認時点で使用制限、モデル・リザーブ、資本調整などの条件を適用することによりリスクが低減されます。これにより、モデルが経済的に健全であることを保証します。
・ 定期的な評価とモニタリング:承認されたモデルについては定期的に検証手続きを実施し、そのパフォーマンスを監視します。この監視は、モデルの適切性を継続的に評価するために重要な役割を果たします。
・ ガバナンスと承認:モデル・リスク・マネジメント・コミッティによって、モデル全体の監督、精査、ガバナンスが行われ、検証済みモデルの最終承認が実施されます。
以上のように、当社はモデル・リスクの管理体制を確立し、財務的および非財務的リスクを適切に把握・管理するための取り組みを強化しています。