有価証券報告書-第121期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/23 16:00
【資料】
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【項目】
138項目
(5)野村の人的資本に関する戦略
① 人材マネジメント戦略の進化によるパーパスの実践と企業価値の向上
野村は「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」ことをグループのパーパスとして掲げております。このパーパスを実践し企業価値向上を実現するためには、戦略的な成長投資による自己資本利益率(ROE)の向上が求められます。そのためには、野村の人材(人的資本)が、社会課題に対する最適解を追求するプロフェッショナル集団としてその能力を最大限に発揮し、生産性の向上、新たな付加価値の創造、リスク管理の高度化を追求し続けることが不可欠と考えます。
野村は、長期的な視点で人材マネジメント戦略を進化させることにより、人材のエンゲージメントを向上させ、人的資本がチームとしてもたらす知的資本(注1)の差別化を図り、野村が提供する付加価値を更に強化していくことを目指します。
(注1)野村における知的資本とは、組織力、ノウハウ、顧客とのネットワーク、ブランド等、野村の競争力の源泉となるあらゆる無形資産を指します。
② 野村の人材マネジメント戦略
野村の人材マネジメント戦略は、企業理念に掲げる「挑戦」「協働」「誠実」という価値観を基礎として、採用・育成・評価・配置および登用という人材マネジメントサイクルの差別化と、行動規範、インクルージョン、およびウェルビーイングの深化を目的としています。
また、すべての社員に求められる「洞察」「決断」「統率」「育成」および「インクルージョン」の5つの行動に焦点を当てた、リーダーシップ行動モデルを策定しました。今後は、さまざまな人材マネジメント施策に、このリーダーシップ行動モデルを取り入れていく予定です。
a.採用
採用に関しては、野村グループのパーパス実践に向け、「挑戦」「協働」「誠実」という価値観に賛同し、リスク管理の基礎となるリスク・カルチャーを有する人材を獲得することを前提としています。その上で、新たな付加価値に挑み続けるプロフェッショナル人材を獲得・育成するために、日本を含むすべての地域、ならびに新卒採用およびキャリア採用の双方において、部門または職種別の採用を実践しています。
また、専門分野における高度な知識・経験を有する多様な人材が必要となることから、キャリア採用にも力を入れています。ここ数年は、採用者数の半数以上がキャリア採用者となる傾向が続いています。
さらに、2023年1月には、野村の退職者(アルムナイ)をネットワーク化し、グループの外で活躍するアルムナイとの交流を深めながら、アルムナイの再雇用を積極的に促す仕組みを導入しています。2025年3月31日時点で、ネットワークサイトへの登録者数は約290名、前年比で約40名増加となっており、ネットワークの活用を進めています。
b.育成
野村は、以下に掲げる人材育成方針のもと、社員の成長を支援しています。
<人材育成方針>野村グループは、「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」というパーパスを実践するため、新たな付加価値に挑み続けるプロフェッショナル集団の形成を通じて、野村グループ人材の差別化を目指しています。

社員一人ひとりが高度な専門性およびリーダーシップを合わせもつ自律分散型組織を目指しています。そのために、階層別研修を新入社員、インストラクター、マネージャー層に向けた研修に再整理したうえで、部門別の専門性を高める部門別研修と自律的なキャリア形成を促進する自己選択型研修の充実化に取り組んでいます。自己選択型研修の一例としては、2023年度にデジタル人材育成プログラム「Digital IQ University」を開始し、IT業務に携わる社員に限らず多くの社員がデジタルに関する幅広い知識やスキルを身に着けることができる体系的な学習機会を提供しています。部門別研修の一例としては、インベストメント・バンキングにおいて、M&Aユニバーシティというナレッジマネジメント基盤を用いて、社員がM&Aアドバイザリー業務における専門知識を学び、実務に活かすことを可能としています。
また、経営リーダー候補の戦略的育成のために、段階的な学びを促進するさまざまな選抜研修プログラムを実施しています。その中では、自己応募・選抜型で60年以上毎年派遣を続ける海外留学や、ベンチャー企業出向研修等の越境学習体験、経営リーダー候補向けフラッグシップ・プログラムである「野村経営塾」のほか、「野村マネジメント・スクール」をはじめとする国内外の外部機関が提供するリーダーシップ開発プログラムなど、通常業務を超えた新たな視座・視野の獲得機会を提供しています。
c.評価
評価に関しては、野村グループのパーパス実践に向け、日本を含むすべての地域・部門・職種において、各社員の業務内容に期待される生産性の水準に対する外部評価も参考に、適正な評価に基づくペイ・フォー・パフォーマンスの更なる徹底を図っています。国内では、原則すべての管理職に職務給を導入しています。
また、グローバルに360度フィードバックを導入しており、その結果について対象者と評定者との間で対話を行うことにより、対象者の成長支援やリーダーシップ開発につなげています。さらに、組織全体に行動規範の考え方を浸透させ、リスク管理の高度化を図るため、ERCCレーティング(注2)も導入しています。
(注2)ERCCレーティング:コンプライアンス/コンダクト面を評価するもの。なお、ERCCとは、Ethics 倫理観、Risk Management リスクマネジメント、Compliance コンプライアンス、Conduct コンダクトの頭文字をとったもの。
d.配置および登用
配置に関しては、社員の挑戦マインドおよび自律的なキャリア形成を尊重しています。以前よりグローバルに社内公募制度を有していましたが、日本において2020年度より同制度の適用範囲を大幅に拡大しています。コーポレートタイトルを問わず、多くの社員が部門の垣根を超えて同制度に応募し、新たなキャリアにチャレンジするための異動を能動的に実現しています。
また、グループ内の重要なポジションへの人材の登用とそのための後継者育成という観点から、重要なポジションを担う可能性を有する人材プールをグローバルに管理しています。これらの人材プールに対してアセスメントを実施し、各社員のリーダーシップ適性に応じて、さまざまなリーダーシップ開発プログラムを該当社員に提供しています。
③ 企業文化の醸成
野村では、企業文化の醸成のために、行動規範の定着、インクルージョンおよびウェルビーイングの推進等に取り組んでいます。そして人材マネジメント戦略の効果を検証・改善するために、2013年度より「野村グループ従業員サーベイ」、2023年度からは四半期ごとに社員の中からランダムに選ばれた対象者に意識調査を行う「パルスチェックサーベイ」を実施しています。これらの取組みを分析し、その結果を新たな施策につなげるべく、PDCAサイクルに落とし込み、社員のエンゲージメントの向上を目指しています。
2025年4月にカルチャー&エンゲージメント部を新設しました。カルチャー&エンゲージメント部では、ポジティブな企業文化の醸成をグループワイドで促進し、社員のエンゲージメント向上につなげてまいります。
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a.行動規範
野村では、法令諸規則の遵守にとどまらず、すべての役職員が社会規範に沿った行動ができるよう、野村の一員として取るべき行動の指針である「野村グループ行動規範」を策定し、研修その他の施策を通して、行動規範に基づく適正な行為(コンダクト)を推進する取組みを日々進めています。毎年8月の「野村創業理念と企業倫理の日」では、全社で過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにする取組みとして、適正なコンダクトの在り方に関するディスカッション、野村グループ行動規範を遵守することへの宣誓を行っています。野村グループ行動規範は、2019年12月の策定以降、野村を取り巻く社会・経済情勢の変化やステークホルダーの期待によりよく応えることができるよう、毎年見直しを行っています。
b.インクルージョン
約90の国籍の社員が働き、30の国や地域に拠点を持つ野村では、多様な人材こそが競争力、イノベーションおよび高度なリスク管理の源泉と考え、2016年7月に「グループ・ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」を採択しました。以降、時間単位有給休暇の取得やパートナーシップ制度の導入など、職場環境整備にも尽力してきました。野村は「多様性が組織を強くする」という考えを中心に据えており、社員一人ひとりが「自分らしくあることが大切にされ、尊重される職場環境であると感じ、野村に自身の居場所がある」という状態を目指しています。その推進においては、執行役、執行役員、ならびにグループ各社およびグローバル各地域の代表で構成されるワーキンググループにおいてトップダウンでグループ全体のインクルーシブな職場環境づくりを進めるとともに、社員ネットワークを通じてボトムアップによる取組みも行われています。
2024年度以降は、全世界の役職員の人事評価項目にインクルージョンの推進を盛り込みました。全役職員に対して、職場でのインクルージョンに対する理解を深め、より良い職場環境づくりに貢献することを求めています。また、国内の各子会社(合弁会社など一部を除く)において導入した、「育児休業取得奨励金」により、男性社員の連続1か月以上の育児休業取得が促進されました。2024年9月には、社員の約15,000人がインクルージョンを「ジブンゴト化」する目的により、人権啓発の一環として「野村グループ・インクルージョン研修」を受講しマイノリティ課題への理解を深めました。これからも、誰もが自分らしく成長し、ポテンシャルを最大限に発揮できる環境を提供していきます。
c.ウェルビーイング
野村は、以下に掲げる社内環境整備方針のもと、社員のウェルビーイングの実現に取り組んでいます。
<社内環境整備方針>野村グループの最大の財産は、人材です。社員一人ひとりがもつ独自の強みを十分に発揮し、活躍するためには、心身ともに健康であることが重要です。
野村グループは、適正な労働条件と快適な職場環境の整備をはじめ、社員が意欲をもって働き続けられるよう、育児・介護支援等の福利厚生諸制度の充実や、社員の健康保持・増進に力を入れています。

ウェルビーイングに関しては、まずは社員自身が肉体的にも精神的にも、社会的にも満たされた状態になるために「アブセンティーイズムの低減」「プレゼンティーイズムの低減」「ワークエンゲージメントの向上」が必要との認識に基づき、これらを社員の健康保持・増進に取り組むうえでの指標とし、下記のとおり目標を定めています。
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(指標および目標)
指標実績値目標値
(2025年度)
2022年度2023年度2024年度
アブセンティーイズム(百万円)794.7794.7759.7-
プレゼンティーイズム(%)16.116.417.910
ワークエンゲージメント53.753.353.760

(注)1 アブセンティーイズム:傷病による欠勤にともなう損失額。当事業年度の平均年収に社員数と傷病休暇利用率を乗じて算出しています。ウェルビーイングの取組みを推進することにより低減させることが目標ではありますが、体調不良時に休みやすい環境整備も必要であるため、現時点では目標値は出さずモニタリングに努めます。
2 プレゼンティーイズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態を示す値。測定尺度の1つであるSPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)に基づき、健康意識調査における回答を平均し、100%から当該平均値を控除して算出しています。
3 ワークエンゲージメント:仕事から活力を得て誇りを感じ、従業員がいきいきと仕事をしている状態を示す値。ストレスチェック(新職業性ストレス簡易調査票)における回答を平均し、全国平均を50とした偏差値に換算して算出しています。
4 上記の目標値は野村、実績値は主要な連結子会社である野村證券株式会社の数値になります。
また、社員が経済的に健全な状態(ファイナンシャル・ウェルネス)を保つため、従業員持株会、確定拠出年金制度および職場つみたてNISAなど社員に対して資産形成に資する制度を提供しています。また、従業員持株会への拠出や職場つみたてNISAの拠出には、奨励金制度も導入しています。これらの制度をより効果的に活用できるよう、2023年度には野村證券株式会社において、2024年度には他の国内子会社において、退職金や年金制度について短時間で理解を深めることができる動画コンテンツ(野村ファイナンシャル・ウェルネス・プログラム)を提供しています。

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