有価証券報告書-第122期(2025/04/01-2026/03/31)
(5)野村の人的資本に関する戦略
① 野村の人材マネジメント戦略と経営戦略
野村は、変化の激しい現代社会において、未来志向の変革を継続することが企業価値の向上に不可欠であると考えています。この変革には、社員一人ひとりが高い専門性を備え、優れたリーダーシップを発揮することが求められます。また、チームとして個々の総和を超える力を生み出すことも重要です。そのためには、健全な企業文化の醸成が欠かせません。こうした考えのもと、野村は「新たな付加価値の創造に挑み続けるプロフェッショナル集団」を目指す姿として定め、人材マネジメント戦略におけるビジョンとして掲げています。
このビジョンの実現に向け、リーダーシップ行動モデルを導入するとともに、採用・育成・評価・配置および登用からなる人材マネジメントサイクルを最適化し、社員一人ひとりのリーダーシップと専門性を高めています。さらに、「野村グループ従業員サーベイ」を実施し、PDCAサイクルを通じて人材マネジメント戦略の効果を検証し、改善を図っています。加えて、行動規範の定着やインクルーシブな職場環境づくり、ウェルビーイングの実現を通じて健全な企業文化の醸成を進めています。
野村は、2030年度に向けた経営ビジョンと目標を掲げ、その達成に向けて複数の注力テーマに取り組んでいます(詳細は「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」をご参照ください)。また、そのために必要な人材の強化を戦略的に進めています。具体的には、「安定収益の飛躍的な成長」を実現するため、既存事業内における新たな取組みや、部門横断で付加価値の創造を担うことができる専門人材の充実を進めています。加えて、「グローバル戦略の深化」を実現するため、日本で培ってきた強固なフランチャイズなどの強みと、高成長かつ大きなフィープールを持つ海外市場をつなぐことにリーダーシップを発揮することのできるグローバル人材の確保・育成に取り組んでいます。
このように、野村の企業理念と価値観に共感する人材を採用し、育成、評価、配置および登用を通じて、当該人材の専門性とリーダーシップを高めていきます。これにより、人的資本の価値を高め、持続的な企業価値の向上を実現します。

② 野村の人材マネジメントサイクル
野村は、人材マネジメント戦略の実現に向けて、パーパス策定を契機として、2025年4月より従来のコンピテンシー・フレームワークに代えて「リーダーシップ行動モデル」を導入しました。本モデルは、「洞察」「決断」「統率」「育成」および「インクルージョン」の5つの行動項目で構成され、グループ全体で未来志向のリーダーシップ変革を促進することを目的としています。役割やコーポレートタイトルにかかわらず、すべての社員がそれぞれの立場におけるリーダーシップを考え、実践することを期待しており、各人の強みや改善点を可視化し、客観的な議論を促す観点から、本モデルを採用、育成、評価、配置および登用からなる人材マネジメントサイクルの各プロセスと密接に連携させています。主な内容は以下のとおりです。
a.採用
採用に関しては、野村グループのパーパス実践に向け、「挑戦」「協働」「誠実」という価値観に賛同し、リスク管理の基礎となるリスク・カルチャーを有する人材を獲得することを前提としています。その上で、新たな付加価値の創造に挑み続けるプロフェッショナル人材を獲得・育成するために、日本を含むすべての地域、ならびに新卒採用およびキャリア採用の双方において、部門または職種別の採用を実践しています。
また、専門分野における高度な知識・経験を有する多様な人材が必要となることから、キャリア採用にも力を入れています。ここ数年は、採用者数の半数以上がキャリア採用者となる傾向が続いています。
さらに、2023年1月には、野村の退職者(アルムナイ)をネットワーク化し、グループの外で活躍するアルムナイとの交流を深めながら、アルムナイの再雇用を積極的に促す仕組みを導入しています。2026年3月31日時点で、ネットワークサイトへの登録者数は約350名、前年比で約60名増加となっており、ネットワークの活用を進めています。
b.育成
野村は、以下に掲げる人材育成方針のもと、社員の成長を支援しています。
野村は、社員一人ひとりが高度な専門性およびリーダーシップを合わせもつ自律分散型組織を目指しています。その実現に向けて、階層別研修を新入社員、インストラクター、マネージャー層向けに再整理したうえで、部門別の専門性を高める部門別研修と自律的なキャリア形成を促進する自己選択型研修の充実に取り組んでいます。自己選択型研修の一例として、2023年度にデジタル人材育成プログラム「Digital IQ University」を開始し、IT業務に携わる社員に限らず多くの社員に対して、デジタルに関する幅広い知識やスキルを体系的に身につけることができる学習機会を提供しています。また、部門研修の一例として、ウェルス・マネジメント部門の36か月プログラムやホールセール部門のグローバルアナリスト研修などを実施しており、業務に必要な専門知識を習得し、実務に活用できる体制を整えています。
また、経営リーダー候補の戦略的育成のために、段階的な学びを促進するさまざまな選抜研修プログラムを実施しています。その中では、自己応募・選抜型で60年以上毎年派遣を続ける海外留学や、ベンチャー企業出向研修等の越境学習体験、経営リーダー候補向けフラッグシップ・プログラムである「野村経営塾」のほか、「野村マネジメント・スクール」をはじめとする国内外の外部機関が提供するリーダーシップ開発プログラムなど、通常業務を超えた新たな視座・視野の獲得機会を提供しています。
c.評価
評価に関しては、野村グループのパーパス実践に向け、日本を含むすべての地域・部門・職種において、各社員の業務内容に期待される生産性の水準に対する外部評価も参考に、適正な評価に基づくペイ・フォー・パフォーマンスの更なる徹底を図っています。国内では、原則すべての管理職に職務給を導入しています。
また、グローバルに360度フィードバックを導入しており、その結果について対象者と評定者との間で対話を行うことにより、対象者の成長支援やリーダーシップ開発につなげています。さらに、組織全体に行動規範の考え方を浸透させ、リスク管理の高度化を図るため、ERCCレーティング(注1)も導入しています。
(注1)ERCCレーティング:コンプライアンス/コンダクト面を評価するもの。なお、ERCCとは、Ethics 倫理観、Risk Management リスク・マネジメント、Compliance コンプライアンス、Conduct コンダクトの頭文字をとったもの。
d.配置および登用
配置に関しては、社員の挑戦マインドおよび自律的なキャリア形成を尊重しています。以前よりグローバルに社内公募制度を有していましたが、日本において2020年度より同制度の適用範囲を大幅に拡大しています。コーポレートタイトルを問わず、多くの社員が部門の垣根を超えて同制度に応募し、新たなキャリアにチャレンジするための異動を能動的に実現しています。
また、グループ内の重要なポジションへの人材の登用とそのための後継者育成という観点から、重要なポジションを担う可能性を有する人材プールをグローバルに管理しています。これらの人材プールに対してアセスメントを実施し、各社員のリーダーシップ適性に応じて、さまざまなリーダーシップ開発プログラムを該当社員に提供しています。
③ 健全な企業文化の醸成
野村では、社員のエンゲージメント向上と健全な企業文化の醸成に向けて、行動規範の定着、インクルージョンおよびウェルビーイングの推進等に取り組んでいます。2025年4月に新設されたカルチャー&エンゲージメント部を中心に、その実現を図っています。
a.行動規範
野村は、法令諸規則の遵守にとどまらず高い倫理観を持ち、社会から真に信頼される会社を目指し、野村グループの全役職員が取るべき行動の指針である「野村グループ行動規範」を定めています。また、研修やその他の施策を通して、行動規範に基づく適正な行為(以下「コンダクト」)を推進する取組みを日々進めています。毎年8月の「野村『創業理念と企業倫理』の日」においては、地域を問わず野村グループの全役職員が過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにする取組みとして、過去の不祥事を振り返ったうえでの適正なコンダクトの在り方に関するディスカッション等を行うとともに、野村グループ行動規範を遵守することへの宣誓を行っています。行動規範は、2019年12月の策定以降、野村を取り巻く社会・経済情勢の変化やステークホルダーの期待によりよく応えることができるよう、定期的に見直しを行っています。
b.インクルージョン
グローバルに事業を展開する野村グループでは、性別、国籍、人種、性的指向、性自認、障がいの有無に加え、教育、経験、能力、価値観などさまざまな背景を持つ社員が働いており、多様な人材こそが、競争力、イノベーションおよび高度なリスク管理の源泉であると考えています。2016年にダイバーシティ&インクルージョン推進に関する方針を採択して以来、社員一人ひとりに自分の居場所があり、能力や個性を最大限発揮できるインクルーシブな職場環境づくりを進めてきました。経営陣を中心としたワーキンググループによるトップダウンの取組みに加え、社員ネットワークによるボトムアップの両輪の取組みがその原動力となっています。
2024年度からは、全世界の役職員の人事評価項目にインクルージョンの推進を組み込み、インクルーシブな職場環境づくりへの貢献を求めています。また、国内全社員約15,000人を対象に「野村グループ・インクルージョン研修」を継続的に実施しており、人権、育児・介護との両立、ハラスメント、心理的安全性等に関する理解促進と職場での実践の浸透を図っています。野村證券株式会社を含む国内の各子会社(合弁会社など一部を除く)では、性別を問わず、出産・育児を見据える社員が、キャリア継続への不安を抱えることなく働ける環境整備を進めています。その一環として、「育児休業取得奨励金」を導入するとともに、管理職に対しては、職場における両立支援や育休取得促進への取組みを人事評価に反映し、育児と仕事を両立しやすい職場風土の醸成に取り組んでいます。結果、野村證券株式会社は2025年8月に女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」において最高位にあたる三段階目認定を取得しました。性別によらず育児休業等取得率100%を目標に、引き続き環境整備に取り組んでおり、男性社員の育児休業取得率は半数を上回り、平均取得日数も2024年度の31.5日から2025年度の38.6日へと伸長しました。このように、仕事と育児の両立が定着してきました。
また、2025年度は障がい者インクルージョンの推進にも取り組み、「Valuable 500」への加盟や東京2025デフリンピックへの協賛を行いました。継続的な研修と各施策の推進が評価され、2026年3月には東京都の「心のバリアフリー」好事例企業に選定されました。引き続き、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境整備を進めていきます。
c.ウェルビーイング
野村は、以下に掲げる社内環境整備方針のもと、社員のウェルビーイングの実現に取り組んでいます。
ウェルビーイングに関しては、まずは社員自身が肉体的にも精神的にも、社会的にも満たされた状態になるために「アブセンティーイズムの低減」「プレゼンティーイズムの低減」「ワークエンゲージメントの向上」が必要との認識に基づき、これらを社員の健康保持・増進に取り組むうえでの指標とし、下記のとおり目標を定めています。

(指標および目標)
(注)1 アブセンティーイズム:傷病による欠勤にともなう損失額。当事業年度の平均年収に社員数と傷病休暇利用率を乗じて算出しています。ウェルビーイングの取組みを推進することにより低減させることが目標ではありますが、体調不良時に休みやすい環境整備も必要であるため、現時点では目標値は設定せずモニタリングに努めます。
2 プレゼンティーイズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態を示す値。測定尺度の1つであるSPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)に基づき、健康意識調査における回答を平均し、100%から当該平均値を控除して算出しています。
3 ワークエンゲージメント:仕事から活力を得て誇りを感じ、従業員がいきいきと仕事をしている状態を示す値。ストレスチェック(新職業性ストレス簡易調査票)における回答を平均し、全国平均を50とした偏差値に換算して算出しています。
4 上記の目標値は野村、実績値は主要な連結子会社である野村證券株式会社の数値になります。
また、社員が経済的に健全な状態(ファイナンシャル・ウェルネス)を保つため、従業員持株会、確定拠出年金制度および職場つみたてNISAなど社員に対して資産形成に資する制度を提供しています。加えて、従業員持株会への拠出や職場つみたてNISAの拠出には奨励金制度も導入しています。これらの制度をより効果的に活用できるよう、2023年度には野村證券株式会社において、2024年度には他の国内子会社において、退職金や年金制度について短時間で理解を深めることができる動画コンテンツ(野村ファイナンシャル・ウェルネス・プログラム)を提供しました。さらに、2024年10月には社員の資産形成の支援に特化した部署を新設し、社員への情報発信や投資相談等を一層強化しています。これらの取組みの結果、当社の社員における従業員持株会や職場つみたてNISAの利用者は着実に増加しています。
① 野村の人材マネジメント戦略と経営戦略
野村は、変化の激しい現代社会において、未来志向の変革を継続することが企業価値の向上に不可欠であると考えています。この変革には、社員一人ひとりが高い専門性を備え、優れたリーダーシップを発揮することが求められます。また、チームとして個々の総和を超える力を生み出すことも重要です。そのためには、健全な企業文化の醸成が欠かせません。こうした考えのもと、野村は「新たな付加価値の創造に挑み続けるプロフェッショナル集団」を目指す姿として定め、人材マネジメント戦略におけるビジョンとして掲げています。
このビジョンの実現に向け、リーダーシップ行動モデルを導入するとともに、採用・育成・評価・配置および登用からなる人材マネジメントサイクルを最適化し、社員一人ひとりのリーダーシップと専門性を高めています。さらに、「野村グループ従業員サーベイ」を実施し、PDCAサイクルを通じて人材マネジメント戦略の効果を検証し、改善を図っています。加えて、行動規範の定着やインクルーシブな職場環境づくり、ウェルビーイングの実現を通じて健全な企業文化の醸成を進めています。
野村は、2030年度に向けた経営ビジョンと目標を掲げ、その達成に向けて複数の注力テーマに取り組んでいます(詳細は「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」をご参照ください)。また、そのために必要な人材の強化を戦略的に進めています。具体的には、「安定収益の飛躍的な成長」を実現するため、既存事業内における新たな取組みや、部門横断で付加価値の創造を担うことができる専門人材の充実を進めています。加えて、「グローバル戦略の深化」を実現するため、日本で培ってきた強固なフランチャイズなどの強みと、高成長かつ大きなフィープールを持つ海外市場をつなぐことにリーダーシップを発揮することのできるグローバル人材の確保・育成に取り組んでいます。
このように、野村の企業理念と価値観に共感する人材を採用し、育成、評価、配置および登用を通じて、当該人材の専門性とリーダーシップを高めていきます。これにより、人的資本の価値を高め、持続的な企業価値の向上を実現します。

② 野村の人材マネジメントサイクル
野村は、人材マネジメント戦略の実現に向けて、パーパス策定を契機として、2025年4月より従来のコンピテンシー・フレームワークに代えて「リーダーシップ行動モデル」を導入しました。本モデルは、「洞察」「決断」「統率」「育成」および「インクルージョン」の5つの行動項目で構成され、グループ全体で未来志向のリーダーシップ変革を促進することを目的としています。役割やコーポレートタイトルにかかわらず、すべての社員がそれぞれの立場におけるリーダーシップを考え、実践することを期待しており、各人の強みや改善点を可視化し、客観的な議論を促す観点から、本モデルを採用、育成、評価、配置および登用からなる人材マネジメントサイクルの各プロセスと密接に連携させています。主な内容は以下のとおりです。
a.採用
採用に関しては、野村グループのパーパス実践に向け、「挑戦」「協働」「誠実」という価値観に賛同し、リスク管理の基礎となるリスク・カルチャーを有する人材を獲得することを前提としています。その上で、新たな付加価値の創造に挑み続けるプロフェッショナル人材を獲得・育成するために、日本を含むすべての地域、ならびに新卒採用およびキャリア採用の双方において、部門または職種別の採用を実践しています。
また、専門分野における高度な知識・経験を有する多様な人材が必要となることから、キャリア採用にも力を入れています。ここ数年は、採用者数の半数以上がキャリア採用者となる傾向が続いています。
さらに、2023年1月には、野村の退職者(アルムナイ)をネットワーク化し、グループの外で活躍するアルムナイとの交流を深めながら、アルムナイの再雇用を積極的に促す仕組みを導入しています。2026年3月31日時点で、ネットワークサイトへの登録者数は約350名、前年比で約60名増加となっており、ネットワークの活用を進めています。
b.育成
野村は、以下に掲げる人材育成方針のもと、社員の成長を支援しています。
| <人材育成方針>野村グループは、「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」というパーパスを実践するため、新たな付加価値の創造に挑み続けるプロフェッショナル集団の形成を通じて、野村グループ人材の差別化を目指しています。 |
野村は、社員一人ひとりが高度な専門性およびリーダーシップを合わせもつ自律分散型組織を目指しています。その実現に向けて、階層別研修を新入社員、インストラクター、マネージャー層向けに再整理したうえで、部門別の専門性を高める部門別研修と自律的なキャリア形成を促進する自己選択型研修の充実に取り組んでいます。自己選択型研修の一例として、2023年度にデジタル人材育成プログラム「Digital IQ University」を開始し、IT業務に携わる社員に限らず多くの社員に対して、デジタルに関する幅広い知識やスキルを体系的に身につけることができる学習機会を提供しています。また、部門研修の一例として、ウェルス・マネジメント部門の36か月プログラムやホールセール部門のグローバルアナリスト研修などを実施しており、業務に必要な専門知識を習得し、実務に活用できる体制を整えています。
また、経営リーダー候補の戦略的育成のために、段階的な学びを促進するさまざまな選抜研修プログラムを実施しています。その中では、自己応募・選抜型で60年以上毎年派遣を続ける海外留学や、ベンチャー企業出向研修等の越境学習体験、経営リーダー候補向けフラッグシップ・プログラムである「野村経営塾」のほか、「野村マネジメント・スクール」をはじめとする国内外の外部機関が提供するリーダーシップ開発プログラムなど、通常業務を超えた新たな視座・視野の獲得機会を提供しています。
c.評価
評価に関しては、野村グループのパーパス実践に向け、日本を含むすべての地域・部門・職種において、各社員の業務内容に期待される生産性の水準に対する外部評価も参考に、適正な評価に基づくペイ・フォー・パフォーマンスの更なる徹底を図っています。国内では、原則すべての管理職に職務給を導入しています。
また、グローバルに360度フィードバックを導入しており、その結果について対象者と評定者との間で対話を行うことにより、対象者の成長支援やリーダーシップ開発につなげています。さらに、組織全体に行動規範の考え方を浸透させ、リスク管理の高度化を図るため、ERCCレーティング(注1)も導入しています。
(注1)ERCCレーティング:コンプライアンス/コンダクト面を評価するもの。なお、ERCCとは、Ethics 倫理観、Risk Management リスク・マネジメント、Compliance コンプライアンス、Conduct コンダクトの頭文字をとったもの。
d.配置および登用
配置に関しては、社員の挑戦マインドおよび自律的なキャリア形成を尊重しています。以前よりグローバルに社内公募制度を有していましたが、日本において2020年度より同制度の適用範囲を大幅に拡大しています。コーポレートタイトルを問わず、多くの社員が部門の垣根を超えて同制度に応募し、新たなキャリアにチャレンジするための異動を能動的に実現しています。
また、グループ内の重要なポジションへの人材の登用とそのための後継者育成という観点から、重要なポジションを担う可能性を有する人材プールをグローバルに管理しています。これらの人材プールに対してアセスメントを実施し、各社員のリーダーシップ適性に応じて、さまざまなリーダーシップ開発プログラムを該当社員に提供しています。
③ 健全な企業文化の醸成
野村では、社員のエンゲージメント向上と健全な企業文化の醸成に向けて、行動規範の定着、インクルージョンおよびウェルビーイングの推進等に取り組んでいます。2025年4月に新設されたカルチャー&エンゲージメント部を中心に、その実現を図っています。
a.行動規範
野村は、法令諸規則の遵守にとどまらず高い倫理観を持ち、社会から真に信頼される会社を目指し、野村グループの全役職員が取るべき行動の指針である「野村グループ行動規範」を定めています。また、研修やその他の施策を通して、行動規範に基づく適正な行為(以下「コンダクト」)を推進する取組みを日々進めています。毎年8月の「野村『創業理念と企業倫理』の日」においては、地域を問わず野村グループの全役職員が過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにする取組みとして、過去の不祥事を振り返ったうえでの適正なコンダクトの在り方に関するディスカッション等を行うとともに、野村グループ行動規範を遵守することへの宣誓を行っています。行動規範は、2019年12月の策定以降、野村を取り巻く社会・経済情勢の変化やステークホルダーの期待によりよく応えることができるよう、定期的に見直しを行っています。
b.インクルージョン
グローバルに事業を展開する野村グループでは、性別、国籍、人種、性的指向、性自認、障がいの有無に加え、教育、経験、能力、価値観などさまざまな背景を持つ社員が働いており、多様な人材こそが、競争力、イノベーションおよび高度なリスク管理の源泉であると考えています。2016年にダイバーシティ&インクルージョン推進に関する方針を採択して以来、社員一人ひとりに自分の居場所があり、能力や個性を最大限発揮できるインクルーシブな職場環境づくりを進めてきました。経営陣を中心としたワーキンググループによるトップダウンの取組みに加え、社員ネットワークによるボトムアップの両輪の取組みがその原動力となっています。
2024年度からは、全世界の役職員の人事評価項目にインクルージョンの推進を組み込み、インクルーシブな職場環境づくりへの貢献を求めています。また、国内全社員約15,000人を対象に「野村グループ・インクルージョン研修」を継続的に実施しており、人権、育児・介護との両立、ハラスメント、心理的安全性等に関する理解促進と職場での実践の浸透を図っています。野村證券株式会社を含む国内の各子会社(合弁会社など一部を除く)では、性別を問わず、出産・育児を見据える社員が、キャリア継続への不安を抱えることなく働ける環境整備を進めています。その一環として、「育児休業取得奨励金」を導入するとともに、管理職に対しては、職場における両立支援や育休取得促進への取組みを人事評価に反映し、育児と仕事を両立しやすい職場風土の醸成に取り組んでいます。結果、野村證券株式会社は2025年8月に女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」において最高位にあたる三段階目認定を取得しました。性別によらず育児休業等取得率100%を目標に、引き続き環境整備に取り組んでおり、男性社員の育児休業取得率は半数を上回り、平均取得日数も2024年度の31.5日から2025年度の38.6日へと伸長しました。このように、仕事と育児の両立が定着してきました。
また、2025年度は障がい者インクルージョンの推進にも取り組み、「Valuable 500」への加盟や東京2025デフリンピックへの協賛を行いました。継続的な研修と各施策の推進が評価され、2026年3月には東京都の「心のバリアフリー」好事例企業に選定されました。引き続き、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境整備を進めていきます。
c.ウェルビーイング
野村は、以下に掲げる社内環境整備方針のもと、社員のウェルビーイングの実現に取り組んでいます。
| <社内環境整備方針>野村グループの最大の財産は、人材です。社員一人ひとりがもつ独自の強みを十分に発揮し、活躍するためには、心身ともに健康であることが重要です。 野村グループは、適正な労働条件と快適な職場環境の整備をはじめ、社員が意欲をもって働き続けられるよう、育児・介護支援等の福利厚生諸制度の充実や、社員の健康保持・増進に力を入れています。 |
ウェルビーイングに関しては、まずは社員自身が肉体的にも精神的にも、社会的にも満たされた状態になるために「アブセンティーイズムの低減」「プレゼンティーイズムの低減」「ワークエンゲージメントの向上」が必要との認識に基づき、これらを社員の健康保持・増進に取り組むうえでの指標とし、下記のとおり目標を定めています。

(指標および目標)
| 指標 | 実績値 | 目標値 (2031年3月期) | ||
| 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | ||
| アブセンティーイズム(百万円) | 794.7 | 759.7 | 705.4 | - |
| プレゼンティーイズム(%) | 16.4 | 17.9 | 16.8 | 15 |
| ワークエンゲージメント | 53.3 | 53.7 | 53.5 | 55 |
(注)1 アブセンティーイズム:傷病による欠勤にともなう損失額。当事業年度の平均年収に社員数と傷病休暇利用率を乗じて算出しています。ウェルビーイングの取組みを推進することにより低減させることが目標ではありますが、体調不良時に休みやすい環境整備も必要であるため、現時点では目標値は設定せずモニタリングに努めます。
2 プレゼンティーイズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態を示す値。測定尺度の1つであるSPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)に基づき、健康意識調査における回答を平均し、100%から当該平均値を控除して算出しています。
3 ワークエンゲージメント:仕事から活力を得て誇りを感じ、従業員がいきいきと仕事をしている状態を示す値。ストレスチェック(新職業性ストレス簡易調査票)における回答を平均し、全国平均を50とした偏差値に換算して算出しています。
4 上記の目標値は野村、実績値は主要な連結子会社である野村證券株式会社の数値になります。
また、社員が経済的に健全な状態(ファイナンシャル・ウェルネス)を保つため、従業員持株会、確定拠出年金制度および職場つみたてNISAなど社員に対して資産形成に資する制度を提供しています。加えて、従業員持株会への拠出や職場つみたてNISAの拠出には奨励金制度も導入しています。これらの制度をより効果的に活用できるよう、2023年度には野村證券株式会社において、2024年度には他の国内子会社において、退職金や年金制度について短時間で理解を深めることができる動画コンテンツ(野村ファイナンシャル・ウェルネス・プログラム)を提供しました。さらに、2024年10月には社員の資産形成の支援に特化した部署を新設し、社員への情報発信や投資相談等を一層強化しています。これらの取組みの結果、当社の社員における従業員持株会や職場つみたてNISAの利用者は着実に増加しています。