有価証券報告書-第89期(2025/04/01-2026/03/31)
(人的資本)
2-2-1.人的資本経営に対する考え方
当社グループは、企業理念の一つに「人材の重視」を掲げ、競争力の源泉が人材にあることを明文化しています。この理念に基づき、人事戦略を経営戦略の一環と位置付け、事業環境の変化や中長期的な経営課題に対応できる人材・組織の強化を図っています。社員一人ひとりが有する多様な価値観や専門性を最大限に活かし、主体的な成長と高いエンゲージメントをもって付加価値創出に貢献できる組織の実現を、人事戦略の基本方針としています。
中期経営計画における人的資本経営・人事戦略では、「採用」、「育成」、「人財ポートフォリオ」、「評価・処遇」を主要な施策領域と定めて、人的資本への体系的な投資とマネジメントを継続的に進化・深化させています。社員のエンゲージメント向上により、人的資本が創出する付加価値を最大限に引き出していくことで、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上につなげていきます。(「第4 提出会社の状況 5.従業員の状況等」もご参照ください。)

2-2-2.ポテンシャル人材の「採用」
当社グループでは、労働人口の減少や人材の外部流出等に伴う人的リソースの不足が持続的な成長や中長期的な企業価値向上に与える影響を経営課題の一つと認識し、計画的かつ積極的な人材採用に取り組んでいます。
高いポテンシャルを持つ人材の確保に向け、グループ各社の事業特性に応じた採用活動を展開しています。大和証券の新卒採用(通年)においては、応募者が作成する「自分史」を活用し、価値観や行動特性を多面的に把握した上で、現場の部室店長を含む複数の視点による選考を行い、入社後の成長やキャリア形成に資する採用を実施しています。
また、応募者が関心のある部門・社員を選択して面談できる「ジョブサポーター制度」を導入し、具体的な業務内容やキャリアパスへの理解を深めることで採用時のミスマッチ低減を図っています。加えて、実務に近い内容で細分化・専門化したインターンシップの実施や高度な専門性を発揮する人材を評価する人事制度「エキスパート・コース」の導入により、部門別採用の応募者拡大と専門人材の採用強化を進めています。
さらに、多様な知識・経験を有する人材を迎え入れることが企業の持続的な成長につながるという確信から、キャリア採用※を積極的に推進しています。2025年度は年間採用人数766名のうち26.9%を占めています。採用者の定着と活躍できる環境を整備するため、入社式、メンター制度、キャリア入社社員間の交流チャネルの整備、部門長を含む懇親会等のオンボーディング施策を実施しています。
※ 正社員としての就業経験があり、当社グループが事業を行っている業界への知見や特定の職種での勤務経験のある方を募集する採用形態。
2-2-3.人材育成方針
「高付加価値人財への『育成』」
当社グループでは、「人材」への継続的な投資を通じてその価値を高め、「人財」へと磨き上げることで、企業の持続的な成長へと繋げていくことを基本的な考え方としています。変化の激しい事業環境においては、求められる人材像も多様化しており、社員一人ひとりが自身のパフォーマンス向上やキャリア形成に必要な能力を主体的に考え、学び続けられる環境の整備が不可欠であると認識しています。
大和証券では、これまでに蓄積した知見やノウハウを反映した教育研修プログラムに加え、全社員を対象に個別最適化された学習機会を提供するオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy Business※」を導入しています。生成AIの活用やデータ分析、マネジメント、マーケティング等の幅広い分野から必要な知識・スキルを選択・習得できる環境を整備し、社員の主体的な成長とキャリア形成を支援しています。
また、お客様ニーズの高度化・多様化に対応した付加価値の高いソリューション提案の実現に向け、資格取得支援として、試験対策講座受講料や受験料の補助、社内コミュニティによる交流促進等も実施しています。この結果、2026年3月末時点において、CFP資格取得者数は金融業界において最多水準となる1,775名となっています。
さらに、デジタル技術を活用してビジネス変革を担う人材の育成を目的とした、「デジタルITマスター認定制度」や全社員を対象に生成AIの活用等のデジタルスキル向上を図る「Daiwa Digital College」を導入するなど、デジタル人材の育成にも注力しています。
※ 「Udemy Business」は、Udemyで公開されている世界約29万の講座から、厳選した約30,000講座以上(2025年12月末時点)を、定額で利用できるオンライン動画学習プラットフォーム。
「適財適所の人財ポートフォリオ」
当社グループでは、社員一人ひとりが個性や強みを活かして高いパフォーマンスを発揮するためには、自らのキャリアを主体的に考え、行動することが重要であると考えています。自律的なキャリア形成を目的として、1on1ミーティングを通じた上司とのキャリアビジョンや強み・課題の共有、自身の希望するキャリアや職場環境に対する考えを人事部門に直接伝えることができる「自己申告制度」、当社グループ内の様々な業務に自ら応募して異動を実現する「グループ内公募制度」を導入しています。
また、社員の志向やスキルレベル等をリアルタイムで可視化できる「タレントマネジメントシステム」を活用し、1on1ミーティングで更新された情報を、社員ごとに蓄積・引き継ぐことで、異動後においても一貫したキャリア支援・育成を可能としています。これらの取組みを通じて、競争力の源泉である人財に関する情報を経営資本として活用し、最適な人財ポートフォリオの構築を進めています。
「公正な評価・処遇体系の構築」
当社グループでは、すべての社員が高いモチベーションを持ち、その能力を発揮し続けるためには、公正で納得性の高い評価が重要だと考えています。入社年次に関わらず、より高い役割や責任あるポジションへの挑戦意欲を喚起する評価体系を目指しています。処遇については、Pay for Performanceの考えに基づき、成果や実績をもとにあるべき水準と配分を常に模索しながら、競争力のある処遇制度を整備し、パフォーマンスに応じた報酬となるよう毎年見直しを行っています。
当社グループは、2022年度以降5年連続で給与水準の引き上げを実施しています。2026年度の処遇改定では、グループ全体で給与水準を5%程度引き上げ、過去5年間の累計では25%以上の引き上げとなります。業績拡大に伴う賞与増とあわせ、平均年間給与は2021年度の1,220万円から2025年度の1,793万円に増加しており、4年間で47%増加しております。加えて、2026年度より、グループ従業員持株会を通じた「特別奨励金拠出制度」を導入します。株価上昇や企業価値向上に対する社員の意識をより一層高めることで、さらなる企業価値向上を目指します。
なお、定量的な成果に加えて行動や姿勢等の定性面も考慮した総合的な評価を行い、複数の目線で評価の妥当性を精査しています。あわせて、定期的に社内アンケートを実施し、社員の声をもとに評価や処遇の水準が適切であったか検討するなど、双方向のコミュニケーションを通じた納得性の向上に努めています。
2-2-4.社内環境整備方針
「エンゲージメントと生産性の向上」
当社グループでは、社員の働きがいを追求するため、各種人事制度の整備や働き方改革に取り組んでいます。社員の率直な意見を把握して継続的な改善活動につなげていくこと、また、企業業績との関係性が検証されている「エンゲージメント」を包括的に計測し、生産性や業績の向上につなげるため、匿名形式の「エンゲージメントサーベイ」を定期的に実施しています。当該サーベイでは、当社グループにおける「企業理念」「中期経営計画」「2030Vision」等の要素を組み入れながら、エンゲージメントに影響を及ぼす要素を網羅的に把握するコンセプトのもと、設問を設計しています。当該サーベイにより、グループ各社がそれぞれの強みや課題を把握し、改善アクションを行うとともに、社員一人ひとりの成長と生産性の向上に向けた活動を継続しています。なお、将来業績の成長との関係性が検証されているとされる「持続可能なエンゲージメント※1」をグループKPIに設定しており、2025年度の調査においてグループ全体でのスコアは84%となっています。これはWTW日本基準値※2を上回り、グローバル高業績企業基準値※3も射程距離に捉えた水準であると認識しています。グローバル高業績企業基準値の水準を意識し、現行の水準を向上すべく改善活動に取り組んでいます。
また、エンゲージメントサーベイの結果と財務指標、人事関連指標との相関分析を実施しています。過去5回の結果より、グループKPIに設定している「持続可能なエンゲージメント」のスコア及び一部設問のスコアが生産性(収益/労働時間)や離職率と統計有意に相関することが確認されました。
「生産性の向上」においては、人への直接的な投資のみならず、人が使うシステムも含め「人的資本投資」と考えています。基本的なシステムインフラの整備を行うことで従業員が価値創出できる時間を増やし、「デジタルIT人材」の積極的な育成や、デジタルツールを駆使した、蓄積したデータの分析・研究・活用を行うことで、効率的なビジネスの仕組みづくりに取り組むと同時に、社員一人ひとりがより一層イノベーティブな業務に取り組めるよう環境を整備しています。
※1 持続可能なエンゲージメントとは、生産的な職場環境、心身の健康などによって維持される、目標達成に向けた高い貢献意欲や組織に対する強い帰属意識を指す、ウイリス・タワーズワトソンの概念。同社は、持続可能なエンゲージメントのスコアが高い企業は将来的に当該企業が属する業界の平均的な成長率を上回る業績成長を見せる傾向にあるとしている。当社グループでは、「持続可能なエンゲージメント」とその構成要素を体系的に把握しながら、分析結果を全社的な施策や各組織における改善活動に活用している。なお、当グループKPIは、当該カテゴリーの全設問における肯定的な回答の割合の平均値を算出したものを使用。
※2 ウイリス・タワーズワトソンにて当該サーベイを実施している企業の中で、日本で働いている回答者のスコアの加重平均値。
※3 ウイリス・タワーズワトソンにて当該サーベイを実施している企業のうち、(i)純利益やROIC等、財務及び業績に関する所定の指標が過去3年間継続して当該企業が属する業界の全世界平均値を上回っており、かつ、(ⅱ)当該サーベイの中で、人事、人材及び組織に関連する質問への肯定的回答の割合が当該企業が属する業界の全世界平均値と比べて特に高い水準にある、という2つの条件を満たす企業の調査結果の加重平均値。

「ウェルビーイングの向上と健康経営推進」
当社グループでは、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001や、厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」を参考に、適正な労働条件や職場環境の整備をはじめ、社員が心身ともに健康で働き続けられるよう、労働安全衛生の確立に積極的に取り組んでいます。
社員のウェルビーイング向上により生産性を高め、組織として高いパフォーマンスを発揮し続けることを目指し、CHO(最高健康責任者)に人事担当役員を選任しています。毎年、グループ全役職員の健康状態を分析した「健康白書」を作成している他、CHO主催の「健康経営推進会議」を定期的にグループ横断で開催し、健康経営のための取組の評価・改善を行っています。
人事部・総合健康開発センター(医務室)・健康保険組合の三者が協働し、健康施策に関する企画・発信を行うとともに、日常的な意見交換を通じて施策の実効性を高めています。
健康経営によって解決を目指す経営課題への取り組みとしてメンタル不全の未然防止のためのマインドフルネス研修の他、睡眠リテラシーの向上に関する施策、歯科の健康施策を導入し、社員のパフォーマンス向上に向けた取組を強化しています。
また、全国に勤務する社員がオンラインで医務室を利用できるオンライン診療を導入しており、婦人科を含む様々な科目の診察や薬の処方に加え、こころの健康に関する相談も行っています。また、女性特有の健康課題への対処として、月経・更年期による体調不良や不妊治療の際に取得できる「エル休暇」の導入や治療時間の確保等に加えて、フェムテックを活用したプログラムの実施やリテラシーの更なる向上によって女性の健康について包括的にサポートする「Daiwa ELLE Plan+」を拡充しています。
さらに、社員の健康づくりを支援するとともに、データサイエンスとAIを活用した人的資本経営を実現するため、グループ会社である大和総研が開発したウェルビーイングプラットフォーム「ハービット」のトライアル利用を2025年度より開始しました。社員がワンストップで食事、運動、メンタルヘルス等のアプリを無料で活用でき、自身の疾病リスクを確認しながら自ら健康増進を図ることができる環境を整備しています。
これらの結果をモニタリングするため、プレゼンティーイズム損失割合※1やアブセンティーイズム平均値※2に関する目標値を設定し、定期的に進捗状況の評価を行っております。
2025年度も女性の健康施策をはじめ様々な取り組みを実施しており、経済産業省が東京証券取引所と共同で、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組む上場企業を選定する「健康経営銘柄」に当社グループは2026年3月に選定されました。2015年の制度開始以来、11回目の選定となります。
※1 プレゼンティーイズムは、何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態。プレゼンティーイズム損失割合は、病気やケガがないときに発揮できる仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事の出来をパーセンテージで評価するアンケートを実施し、全従業員の平均値と100%との乖離を算出したもの。数値が小さいほど生産性が高い。
※2 アブセンティーイズムは、病欠、病気休業の状態。アブセンティーイズム平均値は、過去1年間に自分自身の病気を理由として何日欠勤したかを問うアンケートを実施し、全従業員の平均値を算出したもの。平均日数が少ないほど生産性が高い。

2-2-5.人権
グローバル化の進展により世界経済が拡大する一方で、世界各地において、格差や貧困の拡大、気候変動等の環境問題の深刻化、感染症の拡大、紛争の勃発等、様々な社会的課題が顕在化しています。人権をめぐる問題はこれらの課題と密接に関連しており、企業活動においてもその影響を十分に考慮することが求められています。当社グループでは、企業活動が人権に及ぼす負の影響の拡大を防ぎ、人権尊重に関する企業の責任を果たすため、2022年に「人権方針」を制定しました。本方針は、2011年に国連にて承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」および2017年に日本政府が策定した「ビジネスと人権に関する国家アクションプラン」に準拠しています。具体的な取り組みについては、人事担当役員を委員長とする「人権啓発推進委員会」において検討を行い推進しています。
2-2-6.ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループでは、特に注力すべき重点分野の一つとして「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げており、社員一人ひとりが強みや個性を活かし、最大限に能力を発揮できる環境の整備に取り組んでいます。ジェンダー・年齢・障がい・人権・LGBTQ+・採用ルート等、様々な観点からダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。
代表執行役社長CEOを委員長とする「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」では、複数の経営幹部のもと、テーマに応じて全国の部室店から役職員をアドバイザーとして選任し、幅広いテーマについて議論を行っています。同会で挙がった課題を踏まえ、必要なアクションを具体化し、各種制度や施策の拡充につなげています。
また、組織風土を継続的に把握・改善するため、マネージャーに対する多面評価において、「外面性に加え、内面的な多様性を尊重し、部下の個性や能力を最大限に発揮できるよう促している」や「部下の意見や考えに公平に耳を傾け、心理的安全性が保たれた組織運営を行っていること」等、ダイバーシティ推進に関する評価項目を導入しています。
近年は、LGBTQ+に関する制度拡充や理解促進にも力を入れており、各自治体における「パートナーシップ制度」において、自治体より公式に認定されたパートナーを社内制度においても配偶者と同等と認める運用や社内外の相談窓口の設置、Tokyo Pride Paradeへのグループ役職員の参画等を進めてきました。この結果、一般社団法人work with Prideが主催し、職場におけるLGBTQ+などの性的マイノリティへの取り組みを評価する「PRIDE指標2025」において、最高評価である「ゴールド」を獲得しました。すべての社員が安心して業務に取り組むことができる職場環境の整備とともに、インクルーシブな文化の醸成を目指しています。
2-2-7.女性活躍推進、ジェンダーギャップ解消に向けた取組
当社グループにおける社員の女性比率は40.5%(2025年度末/提出会社及びすべての国内連結子会社、以下同じ)となっており、ダイバーシティ推進の中でも女性活躍を重要課題に位置付け、アンコンシャス・バイアスの解消をはじめ、女性社員の能力や意欲、可能性を引き出していくための各種施策を推進しています。
グループ各社の事業特性や人員構成は異なりますが、グループ一体での取り組みを進めるため、半期ごとに各社の人事担当役員が集う「D&I推進ミーティング」を実施し、各社が設定する目標の進捗状況や好事例等を共有して連携を深めています。これらの継続的な取り組みの結果、女性管理職比率は22.0%となり、当社グループがサステナビリティKPIの1つとして掲げる「2026年度までに女性管理職比率20%以上(連結)」を達成しました。
こうした取組が評価され、当社グループは、経済産業省が東京証券取引所と共同で、女性活躍の推進に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」に2026年3月に選定されました。2012年の制度開始以来、11回目の選定となります。
2-2-8.ファイナンシャル・ウェルネス
社員の経済状況(家計)が悪化すると、ストレスや心理的負担の増大を通じて、生産性やモチベーションの低下を招くだけでなく、不適切な行為やコンプライアンス上のリスクが顕在化する可能性が高まり、当社グループの信用や企業価値に悪影響を及ぼす恐れがあります。このような認識のもと、当社グループでは、社員のファイナンシャルウェルネスの向上を人的資本経営における重要な要素の一つと位置付け、適切な金銭管理や将来に向けた資産形成を支援しています。奨学金返済の負担軽減を目的とした「奨学金返済サポート貸付」のほか、「持株会」「職場つみたてNISA」に対する奨励金の付与を通じて、長期的な資産形成を後押ししています。また、財形貯蓄制度、ストック・オプション制度、住宅取得のための融資制度を設けている他、退職後を見据えた資産形成支援として確定拠出型年金(401K)制度等を導入しています。これらの取り組みを通じて、社員の経済的な安心感および生活の安定を高め、エンゲージメントや満足度の向上を図ることで、中長期的な生産性の向上および企業価値の持続的な向上につなげていくことを目指しています。
2-2-1.人的資本経営に対する考え方
当社グループは、企業理念の一つに「人材の重視」を掲げ、競争力の源泉が人材にあることを明文化しています。この理念に基づき、人事戦略を経営戦略の一環と位置付け、事業環境の変化や中長期的な経営課題に対応できる人材・組織の強化を図っています。社員一人ひとりが有する多様な価値観や専門性を最大限に活かし、主体的な成長と高いエンゲージメントをもって付加価値創出に貢献できる組織の実現を、人事戦略の基本方針としています。
中期経営計画における人的資本経営・人事戦略では、「採用」、「育成」、「人財ポートフォリオ」、「評価・処遇」を主要な施策領域と定めて、人的資本への体系的な投資とマネジメントを継続的に進化・深化させています。社員のエンゲージメント向上により、人的資本が創出する付加価値を最大限に引き出していくことで、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上につなげていきます。(「第4 提出会社の状況 5.従業員の状況等」もご参照ください。)

2-2-2.ポテンシャル人材の「採用」
当社グループでは、労働人口の減少や人材の外部流出等に伴う人的リソースの不足が持続的な成長や中長期的な企業価値向上に与える影響を経営課題の一つと認識し、計画的かつ積極的な人材採用に取り組んでいます。
高いポテンシャルを持つ人材の確保に向け、グループ各社の事業特性に応じた採用活動を展開しています。大和証券の新卒採用(通年)においては、応募者が作成する「自分史」を活用し、価値観や行動特性を多面的に把握した上で、現場の部室店長を含む複数の視点による選考を行い、入社後の成長やキャリア形成に資する採用を実施しています。
また、応募者が関心のある部門・社員を選択して面談できる「ジョブサポーター制度」を導入し、具体的な業務内容やキャリアパスへの理解を深めることで採用時のミスマッチ低減を図っています。加えて、実務に近い内容で細分化・専門化したインターンシップの実施や高度な専門性を発揮する人材を評価する人事制度「エキスパート・コース」の導入により、部門別採用の応募者拡大と専門人材の採用強化を進めています。
さらに、多様な知識・経験を有する人材を迎え入れることが企業の持続的な成長につながるという確信から、キャリア採用※を積極的に推進しています。2025年度は年間採用人数766名のうち26.9%を占めています。採用者の定着と活躍できる環境を整備するため、入社式、メンター制度、キャリア入社社員間の交流チャネルの整備、部門長を含む懇親会等のオンボーディング施策を実施しています。
※ 正社員としての就業経験があり、当社グループが事業を行っている業界への知見や特定の職種での勤務経験のある方を募集する採用形態。
2-2-3.人材育成方針
「高付加価値人財への『育成』」
当社グループでは、「人材」への継続的な投資を通じてその価値を高め、「人財」へと磨き上げることで、企業の持続的な成長へと繋げていくことを基本的な考え方としています。変化の激しい事業環境においては、求められる人材像も多様化しており、社員一人ひとりが自身のパフォーマンス向上やキャリア形成に必要な能力を主体的に考え、学び続けられる環境の整備が不可欠であると認識しています。
大和証券では、これまでに蓄積した知見やノウハウを反映した教育研修プログラムに加え、全社員を対象に個別最適化された学習機会を提供するオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy Business※」を導入しています。生成AIの活用やデータ分析、マネジメント、マーケティング等の幅広い分野から必要な知識・スキルを選択・習得できる環境を整備し、社員の主体的な成長とキャリア形成を支援しています。
また、お客様ニーズの高度化・多様化に対応した付加価値の高いソリューション提案の実現に向け、資格取得支援として、試験対策講座受講料や受験料の補助、社内コミュニティによる交流促進等も実施しています。この結果、2026年3月末時点において、CFP資格取得者数は金融業界において最多水準となる1,775名となっています。
さらに、デジタル技術を活用してビジネス変革を担う人材の育成を目的とした、「デジタルITマスター認定制度」や全社員を対象に生成AIの活用等のデジタルスキル向上を図る「Daiwa Digital College」を導入するなど、デジタル人材の育成にも注力しています。
※ 「Udemy Business」は、Udemyで公開されている世界約29万の講座から、厳選した約30,000講座以上(2025年12月末時点)を、定額で利用できるオンライン動画学習プラットフォーム。
「適財適所の人財ポートフォリオ」
当社グループでは、社員一人ひとりが個性や強みを活かして高いパフォーマンスを発揮するためには、自らのキャリアを主体的に考え、行動することが重要であると考えています。自律的なキャリア形成を目的として、1on1ミーティングを通じた上司とのキャリアビジョンや強み・課題の共有、自身の希望するキャリアや職場環境に対する考えを人事部門に直接伝えることができる「自己申告制度」、当社グループ内の様々な業務に自ら応募して異動を実現する「グループ内公募制度」を導入しています。
また、社員の志向やスキルレベル等をリアルタイムで可視化できる「タレントマネジメントシステム」を活用し、1on1ミーティングで更新された情報を、社員ごとに蓄積・引き継ぐことで、異動後においても一貫したキャリア支援・育成を可能としています。これらの取組みを通じて、競争力の源泉である人財に関する情報を経営資本として活用し、最適な人財ポートフォリオの構築を進めています。
「公正な評価・処遇体系の構築」
当社グループでは、すべての社員が高いモチベーションを持ち、その能力を発揮し続けるためには、公正で納得性の高い評価が重要だと考えています。入社年次に関わらず、より高い役割や責任あるポジションへの挑戦意欲を喚起する評価体系を目指しています。処遇については、Pay for Performanceの考えに基づき、成果や実績をもとにあるべき水準と配分を常に模索しながら、競争力のある処遇制度を整備し、パフォーマンスに応じた報酬となるよう毎年見直しを行っています。
当社グループは、2022年度以降5年連続で給与水準の引き上げを実施しています。2026年度の処遇改定では、グループ全体で給与水準を5%程度引き上げ、過去5年間の累計では25%以上の引き上げとなります。業績拡大に伴う賞与増とあわせ、平均年間給与は2021年度の1,220万円から2025年度の1,793万円に増加しており、4年間で47%増加しております。加えて、2026年度より、グループ従業員持株会を通じた「特別奨励金拠出制度」を導入します。株価上昇や企業価値向上に対する社員の意識をより一層高めることで、さらなる企業価値向上を目指します。
なお、定量的な成果に加えて行動や姿勢等の定性面も考慮した総合的な評価を行い、複数の目線で評価の妥当性を精査しています。あわせて、定期的に社内アンケートを実施し、社員の声をもとに評価や処遇の水準が適切であったか検討するなど、双方向のコミュニケーションを通じた納得性の向上に努めています。
2-2-4.社内環境整備方針
「エンゲージメントと生産性の向上」
当社グループでは、社員の働きがいを追求するため、各種人事制度の整備や働き方改革に取り組んでいます。社員の率直な意見を把握して継続的な改善活動につなげていくこと、また、企業業績との関係性が検証されている「エンゲージメント」を包括的に計測し、生産性や業績の向上につなげるため、匿名形式の「エンゲージメントサーベイ」を定期的に実施しています。当該サーベイでは、当社グループにおける「企業理念」「中期経営計画」「2030Vision」等の要素を組み入れながら、エンゲージメントに影響を及ぼす要素を網羅的に把握するコンセプトのもと、設問を設計しています。当該サーベイにより、グループ各社がそれぞれの強みや課題を把握し、改善アクションを行うとともに、社員一人ひとりの成長と生産性の向上に向けた活動を継続しています。なお、将来業績の成長との関係性が検証されているとされる「持続可能なエンゲージメント※1」をグループKPIに設定しており、2025年度の調査においてグループ全体でのスコアは84%となっています。これはWTW日本基準値※2を上回り、グローバル高業績企業基準値※3も射程距離に捉えた水準であると認識しています。グローバル高業績企業基準値の水準を意識し、現行の水準を向上すべく改善活動に取り組んでいます。
また、エンゲージメントサーベイの結果と財務指標、人事関連指標との相関分析を実施しています。過去5回の結果より、グループKPIに設定している「持続可能なエンゲージメント」のスコア及び一部設問のスコアが生産性(収益/労働時間)や離職率と統計有意に相関することが確認されました。
「生産性の向上」においては、人への直接的な投資のみならず、人が使うシステムも含め「人的資本投資」と考えています。基本的なシステムインフラの整備を行うことで従業員が価値創出できる時間を増やし、「デジタルIT人材」の積極的な育成や、デジタルツールを駆使した、蓄積したデータの分析・研究・活用を行うことで、効率的なビジネスの仕組みづくりに取り組むと同時に、社員一人ひとりがより一層イノベーティブな業務に取り組めるよう環境を整備しています。
※1 持続可能なエンゲージメントとは、生産的な職場環境、心身の健康などによって維持される、目標達成に向けた高い貢献意欲や組織に対する強い帰属意識を指す、ウイリス・タワーズワトソンの概念。同社は、持続可能なエンゲージメントのスコアが高い企業は将来的に当該企業が属する業界の平均的な成長率を上回る業績成長を見せる傾向にあるとしている。当社グループでは、「持続可能なエンゲージメント」とその構成要素を体系的に把握しながら、分析結果を全社的な施策や各組織における改善活動に活用している。なお、当グループKPIは、当該カテゴリーの全設問における肯定的な回答の割合の平均値を算出したものを使用。
※2 ウイリス・タワーズワトソンにて当該サーベイを実施している企業の中で、日本で働いている回答者のスコアの加重平均値。
※3 ウイリス・タワーズワトソンにて当該サーベイを実施している企業のうち、(i)純利益やROIC等、財務及び業績に関する所定の指標が過去3年間継続して当該企業が属する業界の全世界平均値を上回っており、かつ、(ⅱ)当該サーベイの中で、人事、人材及び組織に関連する質問への肯定的回答の割合が当該企業が属する業界の全世界平均値と比べて特に高い水準にある、という2つの条件を満たす企業の調査結果の加重平均値。

「ウェルビーイングの向上と健康経営推進」
当社グループでは、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001や、厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」を参考に、適正な労働条件や職場環境の整備をはじめ、社員が心身ともに健康で働き続けられるよう、労働安全衛生の確立に積極的に取り組んでいます。
社員のウェルビーイング向上により生産性を高め、組織として高いパフォーマンスを発揮し続けることを目指し、CHO(最高健康責任者)に人事担当役員を選任しています。毎年、グループ全役職員の健康状態を分析した「健康白書」を作成している他、CHO主催の「健康経営推進会議」を定期的にグループ横断で開催し、健康経営のための取組の評価・改善を行っています。
人事部・総合健康開発センター(医務室)・健康保険組合の三者が協働し、健康施策に関する企画・発信を行うとともに、日常的な意見交換を通じて施策の実効性を高めています。
健康経営によって解決を目指す経営課題への取り組みとしてメンタル不全の未然防止のためのマインドフルネス研修の他、睡眠リテラシーの向上に関する施策、歯科の健康施策を導入し、社員のパフォーマンス向上に向けた取組を強化しています。
また、全国に勤務する社員がオンラインで医務室を利用できるオンライン診療を導入しており、婦人科を含む様々な科目の診察や薬の処方に加え、こころの健康に関する相談も行っています。また、女性特有の健康課題への対処として、月経・更年期による体調不良や不妊治療の際に取得できる「エル休暇」の導入や治療時間の確保等に加えて、フェムテックを活用したプログラムの実施やリテラシーの更なる向上によって女性の健康について包括的にサポートする「Daiwa ELLE Plan+」を拡充しています。
さらに、社員の健康づくりを支援するとともに、データサイエンスとAIを活用した人的資本経営を実現するため、グループ会社である大和総研が開発したウェルビーイングプラットフォーム「ハービット」のトライアル利用を2025年度より開始しました。社員がワンストップで食事、運動、メンタルヘルス等のアプリを無料で活用でき、自身の疾病リスクを確認しながら自ら健康増進を図ることができる環境を整備しています。
これらの結果をモニタリングするため、プレゼンティーイズム損失割合※1やアブセンティーイズム平均値※2に関する目標値を設定し、定期的に進捗状況の評価を行っております。
2025年度も女性の健康施策をはじめ様々な取り組みを実施しており、経済産業省が東京証券取引所と共同で、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組む上場企業を選定する「健康経営銘柄」に当社グループは2026年3月に選定されました。2015年の制度開始以来、11回目の選定となります。
※1 プレゼンティーイズムは、何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態。プレゼンティーイズム損失割合は、病気やケガがないときに発揮できる仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事の出来をパーセンテージで評価するアンケートを実施し、全従業員の平均値と100%との乖離を算出したもの。数値が小さいほど生産性が高い。
※2 アブセンティーイズムは、病欠、病気休業の状態。アブセンティーイズム平均値は、過去1年間に自分自身の病気を理由として何日欠勤したかを問うアンケートを実施し、全従業員の平均値を算出したもの。平均日数が少ないほど生産性が高い。

2-2-5.人権
グローバル化の進展により世界経済が拡大する一方で、世界各地において、格差や貧困の拡大、気候変動等の環境問題の深刻化、感染症の拡大、紛争の勃発等、様々な社会的課題が顕在化しています。人権をめぐる問題はこれらの課題と密接に関連しており、企業活動においてもその影響を十分に考慮することが求められています。当社グループでは、企業活動が人権に及ぼす負の影響の拡大を防ぎ、人権尊重に関する企業の責任を果たすため、2022年に「人権方針」を制定しました。本方針は、2011年に国連にて承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」および2017年に日本政府が策定した「ビジネスと人権に関する国家アクションプラン」に準拠しています。具体的な取り組みについては、人事担当役員を委員長とする「人権啓発推進委員会」において検討を行い推進しています。
2-2-6.ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループでは、特に注力すべき重点分野の一つとして「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げており、社員一人ひとりが強みや個性を活かし、最大限に能力を発揮できる環境の整備に取り組んでいます。ジェンダー・年齢・障がい・人権・LGBTQ+・採用ルート等、様々な観点からダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。
代表執行役社長CEOを委員長とする「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」では、複数の経営幹部のもと、テーマに応じて全国の部室店から役職員をアドバイザーとして選任し、幅広いテーマについて議論を行っています。同会で挙がった課題を踏まえ、必要なアクションを具体化し、各種制度や施策の拡充につなげています。
また、組織風土を継続的に把握・改善するため、マネージャーに対する多面評価において、「外面性に加え、内面的な多様性を尊重し、部下の個性や能力を最大限に発揮できるよう促している」や「部下の意見や考えに公平に耳を傾け、心理的安全性が保たれた組織運営を行っていること」等、ダイバーシティ推進に関する評価項目を導入しています。
近年は、LGBTQ+に関する制度拡充や理解促進にも力を入れており、各自治体における「パートナーシップ制度」において、自治体より公式に認定されたパートナーを社内制度においても配偶者と同等と認める運用や社内外の相談窓口の設置、Tokyo Pride Paradeへのグループ役職員の参画等を進めてきました。この結果、一般社団法人work with Prideが主催し、職場におけるLGBTQ+などの性的マイノリティへの取り組みを評価する「PRIDE指標2025」において、最高評価である「ゴールド」を獲得しました。すべての社員が安心して業務に取り組むことができる職場環境の整備とともに、インクルーシブな文化の醸成を目指しています。
2-2-7.女性活躍推進、ジェンダーギャップ解消に向けた取組
当社グループにおける社員の女性比率は40.5%(2025年度末/提出会社及びすべての国内連結子会社、以下同じ)となっており、ダイバーシティ推進の中でも女性活躍を重要課題に位置付け、アンコンシャス・バイアスの解消をはじめ、女性社員の能力や意欲、可能性を引き出していくための各種施策を推進しています。
グループ各社の事業特性や人員構成は異なりますが、グループ一体での取り組みを進めるため、半期ごとに各社の人事担当役員が集う「D&I推進ミーティング」を実施し、各社が設定する目標の進捗状況や好事例等を共有して連携を深めています。これらの継続的な取り組みの結果、女性管理職比率は22.0%となり、当社グループがサステナビリティKPIの1つとして掲げる「2026年度までに女性管理職比率20%以上(連結)」を達成しました。
こうした取組が評価され、当社グループは、経済産業省が東京証券取引所と共同で、女性活躍の推進に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」に2026年3月に選定されました。2012年の制度開始以来、11回目の選定となります。
2-2-8.ファイナンシャル・ウェルネス
社員の経済状況(家計)が悪化すると、ストレスや心理的負担の増大を通じて、生産性やモチベーションの低下を招くだけでなく、不適切な行為やコンプライアンス上のリスクが顕在化する可能性が高まり、当社グループの信用や企業価値に悪影響を及ぼす恐れがあります。このような認識のもと、当社グループでは、社員のファイナンシャルウェルネスの向上を人的資本経営における重要な要素の一つと位置付け、適切な金銭管理や将来に向けた資産形成を支援しています。奨学金返済の負担軽減を目的とした「奨学金返済サポート貸付」のほか、「持株会」「職場つみたてNISA」に対する奨励金の付与を通じて、長期的な資産形成を後押ししています。また、財形貯蓄制度、ストック・オプション制度、住宅取得のための融資制度を設けている他、退職後を見据えた資産形成支援として確定拠出型年金(401K)制度等を導入しています。これらの取り組みを通じて、社員の経済的な安心感および生活の安定を高め、エンゲージメントや満足度の向上を図ることで、中長期的な生産性の向上および企業価値の持続的な向上につなげていくことを目指しています。